JPH0368653B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、スピニングリール、詳しくは、リー
ル本体に、スプールをもつたスプール軸を、前記
リール本体の前後方向に移動自由に支持すると共
に、回転枠を回転自由に支持してマスターギヤを
もつた駆動機構による回転で前記スプールに釣糸
を巻取るようにしたスピニングリールに関する。

一般に、此種リールは駆動機構におけるハンド
ル軸に固定した回転部材に円形の偏心カムを設け
ると共に、スプール軸に枢支した摺動子を前記偏
心カムのカム面全周を抱持摺動するごとく連結し
て、ハンドル軸の回動操作により、回転部材を回
転させると共に、回転部材に対し偏心回転する偏
心カムを介して摺動子を揺動させ、スプール軸を
前後方向に往復動すべくしている。

そのため、前記偏心カムにより前記スプール軸
が前後方向に単位時間当り移動される量は、偏心
カムにおける回転部材の回転中心に対する最偏心
部が、前方側及び後方側に位置しているとき最も
少なく、かつ中央側に位置する程大きくなるごと
く変化するのであり、従つて、スプールに巻取ら
れた釣糸は、全体に等径状にならずスプールの前
後方向の両端側程大径で、中央側程小径となつて
しまう問題があつた。

そのため、本発明出願人は、前記リール本体
に、長径部と短径部とをもつほぼ楕円形のカム溝
を、前記長径部と短径部とが交差する中心が、前
記マスターギヤの中心に位置し、かつ、長径部が
前記リール本体の前後方向に向かい、短径部が前
記リール本体の上下方向に向かうように形成した
カムを設けると共に、このカムに対応する位置
に、特別に前記駆動機構の摺動ギヤを設ける一
方、前記スプール軸に、前記カムのカム面に摺動
する従動体を設け、この従動体を、前記摺動ギヤ
に連動させたものを先に提案した。

ところが、前記駆動機構の摺動ギヤを特別に設
ける構造としたため、構造が複雑になるばかりで
なく、既存のリールに適用することが困難となる
問題があつた。

しかして本発明は、以上の問題を解決すべく発
明したもので、目的とする所は、ハンドル軸を回
転操作することによりスプール軸を前後方向のい
ずれの方向にも等速運動させられ、釣糸をスプー
ルの前後方向の全体に等径状に巻取りすることが
できながら、しかも、構造を簡単にできると共
に、既存のリールに容易に適用できる経済的に有
利なスピニングリールを提供する点にある。

即ち、本発明リールは、リール本体に、スプー
ルをもつたスプール軸を、前記リール本体の前後
方向に移動自由に支持すると共に、回転枠を回転
自由に支持してマスターギヤをもつた駆動機構に
よる回転で前記スプールに釣糸を巻取るようにし
たスピニングリールであつて、前記リール本体
に、長径部と短径部とをもつほぼ楕円形のカム溝
を、前記長径部と短径部とが交差する中心が、前
記マスターギヤの中心に位置し、かつ、長径部が
前記リール本体の前後方向に向かい、短径部が前
記リール本体の上下方向に向かうように形成した
カムを前記マスターギヤと対向して設けると共
に、前記スプール軸に、前記駆動機構の軸部の径
方向外方に嵌合するリング部をもつ摺動子を枢着
し、かつ、前記マスターギヤに、中心側から半径
方向外方に向かう案内部を設ける一方、前記カム
溝及び前記案内部に係合する従動体と、前記軸部
に対し回転可能で、かつ、前記軸部の半径方向に
摺動可能に嵌合する嵌合孔とをもち、前記マスタ
ーギヤの回転に追従して前記カム溝の軌跡に沿つ
て回転する回転体を、前記摺動子のリング部に回
転可能に嵌合したことを特徴とするものである。

以下、本発明スピニングリールの実施例を図面
に基づいて説明する。

図面において、１は釣竿への取付脚１ａと蓋１
ｂとをもち、前面に貫通孔１ｃをもつ中空のリー
ル本体であり、２はこのリール本体１の貫通孔１
ｃ部分に軸受３を介して回転自由に支持する筒軸
であり、４はこの筒軸２を介して前記リール本体
１に前後方向に往復動自由に支持するスプール５
をもつたスプール軸であり、また６は、前記リー
ル本体１の蓋１ｂ及び側壁１ｄに支持するハンド
ル軸７と、該ハンドル軸７に取付筒８ａを介して
一体回転するごとく取付けるマスターギヤ８と該
マスターギヤ８に噛合い前記筒軸２に駆動力を伝
達するピニオン９とから成る駆動機構である。

前記筒軸２は、一端がリール本体１内に突入
し、他端が外方に突出してリール本体１内への突
入端部外周に前記駆動機構６のピニオン９を設
け、外方への突出端部外周にベールアームを備え
た回転枠１０を固定している。そして、この回転
枠１０にはつまみ１１の操作により、この回転枠
１０の逆回転を防止可能とした逆回転防止機構
（図示せず）を設けている。

また、前記スプール軸４は、前記筒軸２を貫通
して、一端がリール本体１内に突入し、他端が外
方に突出しており、前記リール本体１内への突入
端を、回転不能で、かつ、前記リール本体１の前
後方向に移動自由に支持させ、また、外方への突
出部外周には前記スプール５を回転自由に支持し
ている。そして、このスプール５は、釣糸収納部
の前部フランジ５ａ及び後部フランジ５ｂを備え
ると共に、前端部につまみ１２の操作により、ス
プール軸４に対する回転抵抗を調整するドラツグ
機構１３を設けている。

しかして、本発明スピニングリールは、第１乃
至第３図のごとく、前記リール本体１の蓋１ｂに
おける前記ハンドル軸７の枢支部周りに、長径部
と短径部とをもつほぼ楕円形のカム溝１４ａを、
前記長径部と短径部とが交差する中心が、前記マ
スターギヤ８の中心に位置し、かつ、長径部が前
記リール本体１の前後方向に向かい、短径部が前
記リール本体１の上下方向に向かうように形成し
たカム１４を前記マスターギヤ８と対向して設け
ると共に、第１、第２及び第４図のごとく、前記
取付筒８ａから成る軸部の径方向外方に嵌合する
円状リング部１６ａをもち、前記マスターギヤ８
の蓋１ｂ側面に沿つて作動する摺動子１６の前記
リング部１６ａと反対側端部を、前記スプール軸
４の端部に摺動ピン１８により摺動自由に枢支す
る一方、前記リール本体１の側壁１ｄに、前後方
向の案内溝１９を形成して、前記摺動ピン１８を
この案内溝１９に摺動自由に嵌入させて、前記ス
プール軸４をリール本体１に対し回転不能とし、
更に、前記マスターギヤ８に、中心側から半径方
向外方に向かう長孔状の案内部２２を設けるので
ある。そして、前記摺動子１６のリング部１６ａ
内側に、前記カム溝１４ａ及び前記案内部２２に
係合する従動体１５をもつた回転体２０を前記リ
ング部１６ａの内周面に沿つて摺動自由に装入
し、この回転体２０に、前記取付筒８ａから成る
軸部に対し回転可能で、かつ、前記取付筒８ａの
半径方向に摺動可能に嵌合する嵌合孔２１を設け
て、前記マスターギヤ８の回転を、前記案内部２
２から従動体１５を介して回転体２０に伝え、該
回転体２０を前記マスターギヤ８の回転に追従し
て前記カム溝１４ａの軌跡に沿つて回転可能とす
るのである。

前記従動体１５は、第２図のごとくピンにより
形成して、その長さ方向中間部を前記回転体２０
に保持し、かつ一端側係合部を前記カム溝１４ａ
に、また他端部を前記マスターギヤ８の案内部２
２にそれぞれ摺動自由に嵌入させるのである。

尚、２３は前記摺動子１６及び回転体２０に対
する押え用ワツシヤである。

しかして、以上の構成において、ハンドル軸７
を等速で回転操作してスプール５に釣糸を巻取る
場合、前記回転枠１０が等速回転すると共に、前
記マスターギヤ８も等速回転し、該マスターギヤ
８の回転が、案内部２２から、該案内部２２に係
合する従動体１５に伝えられ、この従動体１５
が、前記案内部２２に沿つて半径方向に摺動しな
がら前記カム溝１４ａに沿つて摺動することにな
る。そのため、この従動体１５を保持する前記回
転体２０が、この回転体２０の嵌合孔２１が前記
マスターギヤ８の取付筒８ａに対し半径方向に摺
動しながら前記取付筒８ａを中心として前記カム
溝１４ａの軌跡に沿つて偏心状に回動され、この
回転体２０の作動により、前記摺動子１６が、摺
動ピン１８を中心として揺動し、かつ、この摺動
ピン１８を、前後方向の前記案内溝１９に沿つ
て、前後方向のいずれの方向にもそれぞれ等速度
で往復動させることになり、結局、前記スプール
５はスプール軸４を介して前後方向にそれぞれ等
速度で往復動されるのである。

従つて、前記ハンドル軸７を等速で回転操作す
ることにより、釣糸を前記スプール５の前後方向
の全体に等径状に巻取りできるのである。

そして、前記駆動機構６は、特別に駆動部品を
追加することなく、従来のマスターギヤ８に案内
部２２を形成し、従来の摺動子１６に設ける回転
体２０を変更するだけでよいので、部品点数を少
なくできるし、マスターギヤ８は従来品の改造に
より得られ、部品管理を容易にできるのである。

しかも、前記駆動機構６は、リール本体１に対
し従来と同じ部品配置により構成できるので、構
造複雑な前記リール本体１は、カム１４を設ける
蓋１ｂを除き、従来のものをそのまま使用できる
ことになり、かつ前記蓋１ｂも、例えば前記カム
１４をもつた部材を固着すべくすれば、そのまま
使用できるし、またこの蓋１ｂは、従来の成形金
型をカム１４の部分のみ改造するだけで簡単に得
ることができ、経済性を向上できるのである。換
言すると、従来のリールにきわめて容易に適用で
き、部品の製造、管理を簡単に行なえることにな
るのである。

尚、以上の説明では、前記カム１４を、リール
本体１の蓋１ｂに設けるごとくしたが、側壁１ｄ
に設けてもよく、かつ斯く側壁１ｄに設ける場
合、前記した蓋１ｂに設ける場合と同様、直接設
けてもよいし、カム１４をもつた部材を固着すべ
くしてもよい。

また、前記カム１４は、前記スプール５を等速
で前動させる部分と、後動させる部分との等速比
を任意に変更して形成してもよい。

以上のごとく本発明によれば、ハンドル軸を回
転操作することにより、スプール軸ひいてはスプ
ールを前後方向のいずれにも等速運動させられ、
釣糸をスプールの前後方向の全体に等径状に巻取
りさせられ、スプールの両フランジ部の外径を小
さくしても釣糸を十分に巻取りでき、スプールを
小形かつ軽量化できるのである。

しかも、リール本体にカムを設け、またマスタ
ーギヤに半径方向の案内部を設けると共に、リン
グ部をもつ摺動子の前記リング部に、前記カムの
カム溝及び前記案内部に係合する従動体をもつた
回転体を回転可能に嵌合したことにより、リール
本体に対する駆動機構の部品配置を従来のものと
同じにできるので、構造複雑なリール本体は従来
のものをそのまま使用することが可能で、全体に
従来のリールにきわめて容易に適用でき、部品の
製造、管理が簡単となつて、経済性を向上できる
のである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は
本発明のリールの断面正面図、第２図は一部断面
下面図、第３図は蓋の内方からカムを見た状態の
説明図、第４図は摺動子、第５図はマスターギヤ
の各説明図である。 １…リール本体、４…スプール軸、５…スプー
ル、６…駆動機構、８…マスターギヤ、１４…カ
ム、１４ａ…カム溝、１５…従動体、１６…摺動
子。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ リール本体に、スプールをもつたスプール軸
   を、前記リール本体の前後方向に移動自由に支持
   すると共に、回転枠を回転自由に支持してマスタ
   ーギヤをもつた駆動機構による回転で前記スプー
   ルに釣糸を巻取るようにしたスピニングリールで
   あつて、前記リール本体に、長径部と短径部とを
   もつほぼ楕円形のカム溝を、前記長径部と短径部
   とが交差する中心が、前記マスターギヤの中心に
   位置し、かつ、長径部が前記リール本体の前後方
   向に向かい、短径部が前記リール本体の上下方向
   に向かうように形成したカムを前記マスターギヤ
   と対向して設けると共に、前記スプール軸に、前
   記駆動機構の軸部の径方向外方に嵌合するリング
   部をもつ摺動子を枢着し、かつ、前記マスターギ
   ヤに、中心側から半径方向外方に向かう案内部を
   設ける一方、前記カム溝及び前記案内部に係合す
   る従動体と、前記軸部に対し回転可能で、かつ、
   前記軸部の半径方向に摺動可能に嵌合する嵌合孔
   とをもち、前記マスターギヤの回転に追従して前
   記カム溝の軌跡に沿つて回転する回転体を、前記
   摺動子のリング部に回転可能に嵌合したことを特
   徴とするスピニングリール。