JPS64757Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はスピニングリール、詳しくは、リール
本体にベールアームをもつた回転枠を回転自由に
支持し、この回転枠の回転でスプールに釣糸を巻
取るごとくしたスピニングリールに関する。

一般に、此種リールは、ハンドルの回転操作に
より前記回転枠を回転させると共に前記スプール
を前後方向に移動させて、該スプールに釣糸を巻
取り、キヤステイング操作により前記スプールに
巻装した釣糸を、該釣糸の先端に取付ける仕掛け
の重さで引出して投擲するごとく成している。

所が、このキヤステイング時、前記スプールに
巻装した釣糸は、スプールの軸方向一端側から軸
方向外方に向つて螺旋状に引出されるため、この
引出された釣糸に撚りが掛り、釣糸が絡み易くな
る問題があつた。

本考案は以上の如き従来の問題点に鑑み考案し
たもので、目的とする処は、キヤステイングによ
りスプールから引出された釣糸に掛つた撚りを、
簡単な操作で容易に取除くことのできるスピニン
グリールを提供する点にある。

しかして本考案は、スプールと回転枠との一方
に、他方に係合するロツク体を離脱可能に設け、
このロツク体の係合により、前記スプールを回転
枠の回転に従動するごとく成したことを特徴とす
るものである。

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図において、１は上面に釣竿への取付脚２をも
ち、前面に貫通孔をもつ中空のリール本体であ
り、３はこのリール本体１の前記貫通孔部分に軸
受を介して回転自由に支持するピニオンギヤ３１
をもつた筒軸であり、４はこの筒軸３を介して前
記リール本体１に前後方向に移動自由に支持する
スプール軸であつて、前記リール本体１の両側壁
には前記筒軸３の軸心と直交する方向に貫通する
軸孔５，５を設け、この軸孔５，５にハンドル軸
６を回転自由に支持して、該ハンドル軸６のリー
ル本体１内部への突出部に、前記ピニオンギヤ３
１と噛合うマスターギヤ７を設けている。尚、こ
のマスターギヤ７は、円板状を呈するギヤ本体の
外周部一側面に前記ピニオンギヤ３１に噛合う多
数の歯部７１を周設したものである。

又、前記筒軸３は、一端がリール本体１内部に
突出し、他端が外方に突出して、前記リール本体
１内部への突出端部外周に前記ピニオンギヤ３１
を設け、外方への突出端部外周に、前記筒軸３に
挿嵌する貫通孔をもつた円板状本体８１と、ベー
ルアーム９を支持する１対の腕８２，８２とを備
えた回転枠８をロツクナツト１０により固定して
いる。

又、前記スプール軸４は、前記筒軸３を貫通し
て、一端がリール本体１内に突入し、他端が外方
に突出して、前記リール本体１内への突入部と、
前記マスターギヤ７との間に、スプール軸４の往
復動機構１１を設け、外方への突出部外周に、釣
糸を巻取る胴部１２ａと、該胴部１２ａの両端縁
から半径方向外方に延びる１対の鍔部１２ｂ，１
２ｂと、これら鍔部の一方から軸方向外方に延び
る円筒状のスカート１２ｃとを備えたスプール１
２を取付具１３により着脱自由に取付けている。

しかしてこの考案は、前記回転枠８の一方側腕
８２に、前記スプール１２のスカート１２ｃ外周
面に係合するロツク体１４をピン１５を介して枢
支し、このロツク体１４と前記腕８２との間に、
前記ロツク体１４を、その揺動経路中間位置を境
界として前記スカート１２ｃとの係合方向と係合
離脱方向との一方に付勢する不安定切換ばね１６
を介装し、前記ロツク体１４のスカート１２ｃ外
周面との係合により、前記スプール１２を、前記
ロツク体１４を介して回転枠８の回転に従動させ
るように成したのである。

前記ロツク体１４は、前記スカート１２ｃ外周
面に係合するローラ１４ａと、該ローラ１４ａを
回転自由に支持するアーム１４ｂとから成り、前
記アーム１４ｂの長さ方向中間を前記腕８２に枢
支するのである。

又、ロツク体１４を支持する前記腕８２には、
前記ロツク体１４を受入れる凹入部８２ａと、該
凹入部８２ａの底壁を貫通して前記スプール１２
のスカート１２ｃ側に開口する窓孔８２ｂと、前
記凹入部８２ａの底壁から起立する１対の立上片
８２ｃとを設けて、前記立上片８２ｃに前記ロツ
ク体１４を枢支し、該ロツク体１４のローラ１４
ａを前記窓孔８２ｂ内に挿通し、前記スカート１
４ｃ外周面に係合させるようにしている。

又、前記不安定切換ばね１６は、コイルスプリ
ングから成り、該ばね１６の前記腕８２への支持
位置ａと前記ロツク体１４の揺動中心位置ｂとを
通る仮想直線Ｘ位置を境界として、この境界位置
から前記ばね１６の作用線Ｙが、ロツク体１４の
揺動により、ロツク体１４の揺動方向一方側に指
向したとき、前記ロツク体１４を前記ばね１６の
力により係合方向又は係合離脱方向に付勢するご
とく成すのである。

尚、図中１７は前記スプール１２の回転に抵抗
を与えるドラツグ機構、１８は前記リール本体１
の前壁１ａ前方に設ける回転枠８の逆転防止ギ
ヤ、１９はこの逆転防止ギヤ１８と係合する逆転
防止爪であつて、前記リール本体１に揺動自由に
支持している。又、２０はこの逆転防止爪１９の
操作具、２１は前記ハンドル軸６に取付けるハン
ドルである。

本考案は以上の如く構成するもので、釣糸を巻
取るべくハンドル２１を回転操作すると、その操
作力が、ハンドル軸６、マスターギヤ７、ピニオ
ンギヤ３１及び筒軸３を介して回転枠８に伝わ
り、該回転枠８が回転して、この回転枠８に設け
たベールアーム９により釣糸がスプール１２の胴
部１２ａに案内されると共に、前記操作力が、ス
プール軸４の往復動機構１１を介して前記スプー
ル軸４に伝わり、該スプール軸４がスプール１２
とともに前後方向に移動するのである。そしてこ
のスプール１２の前後方向への移動と、前記回転
枠８の回転とによつて前記釣糸がスプール１２の
胴部１２ａ全長に亘つて巻取られるのである。

又、キヤステイング操作により、前記スプール
１２に巻装した釣糸を引出して投擲するときは、
ロツク体１４を第３図実線に示した如くスプール
１２のスカート１２ｃと係合した状態から係合離
脱方向（第３図反時計方向）に揺動させて、この
係合離脱状態を不安定切換ばね１６により維持
し、然る後キヤステイングするのであつて、前記
スプール１２に巻装した釣糸は、スプール１２の
軸方向一端側から軸方向外方に向かつて螺旋状に
引出されることになるため、この引出された釣糸
には撚りが掛かるのである。

しかして、この釣糸の撚りを取るには、第３図
仮想線に示す如く係合離脱位置にある前記ロツク
体１４を、前記スカート１２ｃと係合する方向
（第３図時計方向）に揺動させて、ローラ１４ａ
をスカート１２ｃ外周面に係合させ、この係合状
態を不安定切換ばね１６により維持するのであ
る。そして、前記ハンドル２１を前記釣糸巻取方
向と反対方向に回転操作して、この操作力を、前
記回転枠８からロツク体１４を介してスプール１
２に伝え、該スプール１２を回転枠８とともに該
回転枠の釣糸巻取方向への回転と反対方向に回転
させて、前記引出された釣糸の撚りを取るのであ
る。この撚り取り時、前記スプール１２は、スプ
ール軸４の往復動機構１１により回転しながら軸
方向に往復動するが、差し支えない。この撚り取
り時におけるスプール１２の往復動を防ぐには、
前記ドラツグ機構１７をスプール１２の前方側に
配置して、ドラツグ機構１７によるスプール１２
の回転抵抗を小さくしたとき、スプール１２をス
プール軸４に対しフリー回転できる構造にすれば
よい。

尚、前記ロツク体１４は、ローラ１４ａとアー
ム１４ｂとにより形成したが、その他第４図に示
す如く揺動可能に枢支する爪１４ｃにより形成し
て、該爪１４ｃを、前記不安定切換ばね１６によ
り係合方向と係合離脱方向との一方に付勢するよ
うにしてもよいし、又、図示していないが、移動
可能なピンにより形成してもよいのであつて、そ
の構造は特に限定されるものでない。尚、爪１４
ｃの場合は、例えば第４図に示した如く前記スカ
ート１２ｃの外周面に一つ又は複数個の係合溝１
２ｄを設けるのであり、またピンの場合は、例え
ば前記スカート１２ｃに一つ又は複数個の係合孔
を設けるのである。又、前記係合溝１２ｄ及び係
合孔は、前記ドラツグ機構１７の配置位置によつ
て、その形状を変えるのである。図示した如くド
ラツグ機構１７をリール本体１の後部に配置する
場合は、前記撚り取り時、前記スプール１２が、
前記往復動機構１１により回転しながら軸方向に
往復動するため、前記係合溝１２ｄを第４図の如
く凹条に、又、前記貫通孔を長孔状に形成して、
前記スプール１２の軸方向への往復動を許すよう
にするのであり、又、前記ドラツグ機構１７をリ
ール本体１の前方側に配置する場合、前記ドラツ
グ機構１７によるスプール１２の回転抵抗を小さ
くすることにより、スプール１２をスプール軸４
に対しフリー回転させることができるため、前記
係合溝１２ｄを半円形に、又、前記貫通孔を円孔
に形成するのである。

又、以上の説明では、ロツク体１４を回転枠８
に支持したが、その他、このロツク体１４は、第
５図の如くスプール１２に支持してもよい。

この第５図は、前記スプール１２のスカート１
２ｃ内側に立上片を設けて爪から成るロツク体１
４を枢支し、このロツク体１４の揺動に所定の抵
抗を付与すると共に、前記スカート１２ｃに、前
記ロツク体１４のガイド孔１２ｅを設けて、前記
ロツク体１４を前記ガイド孔１２ｅからスカート
１２ｃの外方に突出可能とし、このロツク体１４
の先端部を前記回転枠８における一方側腕８２の
回転方向一側面と係合させ、この係合状態を、前
記ロツク体１４に付与した揺動抵抗で維持するよ
うにしている。

以上の如く本考案によれば、キヤステイングに
よりスプールから引出された釣糸に掛かつた撚り
を、キヤステイングした状態で、釣糸巻取用ハン
ドルを釣糸巻取方向と反対方向に回転操作するこ
とにより取除くことができるので、この撚り取り
を極めて容易に、かつ確実に行なうことができる
のである。しかもスプールと回転枠との一方にロ
ツク体を離脱可能に設けたから、このロツク体の
操作により、前記ハンドルによる撚り取りと糸巻
きとを選択でき、撚り取りと糸巻きとの切換えを
迅速に、かつ確実に行なうことができるのであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案リールの一実施例を示す縦断側
面図、第２図は同じく一部切欠底面図、第３図は
要部の拡大断面図、第４図及び第５図は別の実施
例を示す要部の拡大断面図である。 １……リール本体、８……回転枠、９……ベー
ルアーム、１２……スプール、１４……ロツク
体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リール本体にベールアームをもつた回転枠を回
   転自由に支持し、この回転枠の回転でスプールに
   釣糸を巻取るごとくしたスピニングリールにおい
   て、前記スプールと回転枠との一方に、他方に係
   合するロツク体を離脱可能に設け、このロツク体
   の係合により、前記スプールを回転枠の回転に従
   動するごとく成したことを特徴とするスピニング
   リール。