JPS621906Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はスピニングリール、詳しくは、マスタ
ーギヤをもつハンドル軸と、前記マスターギヤに
噛合うピニオンギヤをもち、回転枠を支持する筒
軸と、スプールをもち、前後方向に往復動自由に
支持されるスプール軸とを備えたスピニングリー
ルに関する。

一般に、此種リールは、前記ハンドル軸の動力
を往復螺旋溝と該螺旋溝に突入するガイドピンと
から成る回転〜往復動変換機構を介してスプール
軸に伝え、該スプール軸を往復動させると共に、
前記動力を、前記マスターギヤ及びピニオンギヤ
を介して筒軸に伝え、前記回転枠を回転させて、
前記スプールに釣糸を巻取るごとく成している。

所で、前記変換機構は、スプール軸に往復螺旋
溝を形成する一方、このスプール軸に、ハンドル
軸に連動して回転する筒状の摺動子を挿嵌し、該
摺動子から前記螺旋溝に突入するごとくガイドピ
ンを突設して構成されるものであるが、前記スプ
ール軸は、耐強度及び耐触性を必要とすることか
ら、通常はステンレスにより形成されており、従
つて斯かるスプール軸に前記の如く螺旋溝を形成
することは非常に困難で加工性が悪く、これによ
つて製造コストが高くなる等の問題がある。

そこで本考案出願人は、リール本体内に、往復
螺旋溝をもつた送り軸を、前記スプール軸と平行
な状態で回転自由に支持して、この送り軸の前端
部を、連動機構を介してハンドルに連動連結する
と共に、前記送り軸に、前記螺旋溝に突入するガ
イドピンをもつた摺動子を挿嵌して、この摺動子
に前記スプール軸の後端部を連結し、前記摺動子
の送り軸上での往復動によりスプール軸を往復動
させるべく成したスピニングリールを先に開発し
て出願した。

所が、この先願考案の場合、リール本体の前端
部と後端部とに軸受を設けて、前記送り軸の両端
を回転自由に支持しなければならないため、軸受
構造が複雑となり、それだけコスト高となるし、
又、前記リール本体に、前記軸受を支持するため
の突出部を余分に設けねばならないため、リール
の全長が長くなり、それだけ大形化する弊害があ
る。又、往復螺旋溝をもつ前記送り軸を、ガイド
ピンをもつ前記摺動子に対して回転させると、該
送り軸にねじりが作用するため、送り軸を大径に
形成して、ねじりによる破損を防ぐ必要があり、
それだけコスト高となる弊害がある。

本考案は以上の点に鑑み考案したもので、目的
とする処は、スプール軸の加工を容易に行なうこ
とができながら、しかも送り軸の軸受構造を簡単
にできると共に、リールの全長を短かくでき、更
に送り軸にねじりが作用するのを防ぐことのでき
るスピニングリールを提供する点にある。

しかして、本考案はリール本体に往復螺旋溝を
もつた藻り軸を前記スプール軸と平行状で、か
つ、前後方向に往復動自由に支持して、該送り軸
の後端部を前記スプール軸に連動連結すると共
に、前記リール本体に、前記マスターギヤに噛合
う送りギヤを回転のみ自由に支持して、該送りギ
ヤに前記送り軸を挿嵌する一方、前記送りギヤに
前記螺旋溝に係合するガイドピンを設け、前記送
り軸の往復動により、前記スプール軸を往復動さ
せるべく成したことを特徴とするものである。

以下本考案リールの実施例を図面に基づいて説
明する。

図において、１は上面の釣竿への取付脚２をも
ち、前面に貫通孔１ａをもつ中空のリール本体で
あり、３はこのリール本体１の側壁に支持するマ
スターギヤ４をもつたハンドル軸であり、５は前
記マスターギヤ４に噛合うピニオンギヤ６をも
ち、かつ前記リール本体１の前記貫通孔１ａ部分
に回転自由に支持する筒軸であり、７はこの筒軸
５を介して前記リール本体１に前後方向に往復動
自由に支持するスプール軸である。

尚、前記ハンドル軸３は、一端がリール本体１
内に突入し、他端が外方に突出して、前記リール
本体１内への突入端に前記マスターギヤ４を設
け、外方への突出端にハンドル８を設けている。

又、前記筒軸５は、一端がリール本体１内に突
入し、他端が外方に突出して、前記リール本体１
内への突入端部外周に前記ピニオンギヤ６を設
け、外方への突出端部外周にベールアームを備え
た回転枠９をカシメ止めにより固定している。

又、前記スプール軸７は、前記筒軸５を貫通し
て、一端がリール本体１内に突入し、他端が外方
に突出して、前記リール本体１内への突入端に、
前記リール本体１の側壁に設けるガイド溝に突入
してスプール軸７の回転を阻止し、軸方向の移動
のみを許すスライダー２０を設け、外方への突出
部外周にスプール２１を取付けている。

しかしてこの考案は、前記リール本体１内に、
往復螺旋溝２２をもつた送り軸２３を、前記スプ
ール軸７と平行状で、かつ、前後方向に往復動自
由に支持して、該送り軸２３の後端部を前記スラ
イダー２０を介して前記スプール軸７に連動連結
すると共に、前記リール本体１に、前記マスター
ギヤ４に噛合う送りギヤ２４を回転のみ自由に支
持して、この送りギヤ２４の中心部に軸受孔２４
ａを設け、該軸受孔２４ａに前記送り軸２３の前
端部を回転及び前後方向に往復動自由に支持する
一方、前記送りギヤ２４に、前記送り軸２３の螺
旋溝２２に係合するガイドピン２５を設け、前記
送り軸２３の往復動により前記スプール軸７を往
復動させるべく成すものである。

前記送りギヤ２４は、例えばリール本体１の側
壁から内方に延びる支持片１１に回転自由に支持
して、止め輪２６などの移動阻止手段により軸方
向の移動を阻止し、回転のみを許すようにするの
であつて、図面では、送りギヤ２４に筒軸部２４
ｂを設けると共に、前記支持片１１に軸孔１１ａ
を設け、前記筒軸部２４ｂを前記軸孔１１ａに挿
嵌して、止め輪２６により軸方方向の移動を阻止
している。尚、前記送りギヤ２４は、前記送り軸
２３を介してリール本体１に支持してもよい。こ
の場合、前記送り軸２３を前記支持片１１に往福
動自由に支持すると共に、該送り軸２３の前端を
リール本体１の前壁１２に往復動自由に支持し、
前記前壁１２と送りギヤ２４との間にカラーなど
の移動阻止部材を介装して、この移動阻止部材と
前記支持片１１とで送りギヤ２４の軸方向移動を
阻止するごとく成してもよいのであつて、送りギ
ヤ２４の支持構造は特に限定されるものでない。
又、前記送りギヤ２４は、前記ピニオンギヤ６と
同径に形成して、その歯数を変え、例えば送りギ
ヤ２４の歯数をピニオンギヤ６の歯数より多くし
て、該送りギヤ２４をピニオンギヤ６より低速で
回転させ、回転枠９の回転とスプール２１の前後
方向への移動とが同調するのを防ぐごとく成すの
が好ましい。斯くすることにより、スプール２１
に巻取る釣糸を、その巻付位置を小さなピツチで
変えながら巻付けることができるので、該釣糸を
波形に盛上がらせることなく整然と巻付けること
ができるのである。

又、前記送り軸２３をスプール軸７に連動連結す
る手段として、前記スライダー２０を用いる他、
アームなどの連動部材により連動連結してもよ
い。

尚、図中２７は前記筒軸５に固定する逆転防止
ギヤ、２８はリール本体１に回転自由に支持する
操作杆であつて、その一端に摘み２８ａを、他端
にカム体２８ｂを設け、このカム体２８ｂと前記
逆転防止ギヤ２７との間の逆転防止爪２９を設け
て、該逆転防止爪２９の前記逆転防止ギヤ２７へ
の係合により回転枠９の逆回転を阻止し、係合離
脱により回転枠９を正逆回転させ得るようにして
いる。

本考案は以上の如く構成するもので、釣糸を巻
取るべくハンドル８を回転操作すると、その操作
力がハンドル軸３、マスターギヤ４、ピニオンギ
ヤ６及び筒軸５を介して回転枠９に伝わり、該回
転枠９が回転して、この回転枠９に設けたベール
アームにより釣糸がスプール２１の糸巻部に案内
されると共に、前記操作力が、前記マスターギヤ
４を介して送りギヤ２４に伝わり、該送りギヤ２
４が回転して、この送りギヤ２４に設けたガイド
ピン２５と係合する往復螺旋溝２２をもつ送り軸
２３が軸方向に往復移動すると同時に、該送り軸
２３の動きがスライダー２０を介して前記スプー
ル軸７に伝わり、このスプール軸７がスプール２
１とともに往復動するのである。そして、このス
プール２１の往復動と、前記回転枠９の回転とに
よつて前記釣糸がスプール２１の糸巻部全長に亘
つて平行状に巻取られるのである。

以上の如く本考案は、スプール軸とは別に往復
螺旋溝をもつた送り軸を設けるから、スプール軸
をステンレスで形成しても、該スプール軸を容易
に加工することができるのであり、しかも前記送
り軸を、回転させることなく、スプール軸ととも
に軸方向にのみ移動させるごとく成したから、こ
の送り軸の軸受構造を簡単にできるばかりか、特
にリール本体の後部に、前記送り軸用軸受を支持
するための突出部を設ける必要がないため、スプ
ール軸を容易に加工できることと相俟つて全体の
コストを低減できるのであり、又、前記突出部を
不要にできる分、リールの全長を短かくでき、リ
ール全体を小形化できるのである。

その上、往復螺旋溝をもつ送り軸を、回転させ
ることなく、軸方向にのみ移動させて、該送り軸
にねじりが作用しないようにしたから、ねじりに
よる送り軸の大形化分だけ該送り軸を細径にで
き、全体のコストを更に低減できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のリールの一実施例を示す縦断
側面図、第２図は同じく一部切欠平面図である。 １……リール本体、３……ハンドル軸、４……
マスターギヤ、５……筒軸、６……ピニオンギ
ヤ、７……スプール軸、９……回転枠、２１……
スプール、２２……往復螺旋溝、２３……送り
軸、２４……送りギヤ、２５……ガイドピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. マスターギヤをもつハンドル軸と、前記マスタ
   ーギヤに噛合うピニオンギヤをもち、回転枠を支
   持する筒軸と、スプールをもち、前後方向に往復
   動自由に支持されるスプール軸とを備えたスピニ
   ングリールにおいて、リール本体に往復螺旋溝を
   もつた送り軸を前記スプール軸と平行状で、か
   つ、前後方向に往復動自由に支持して、該送り軸
   の後端部を前記スプール軸に連動連結すると共
   に、前記リール本体に、前記マスターギヤに噛合
   う送りギヤを回転のみ自由に支持して、該送りギ
   ヤに前記送り軸を挿嵌する一方、前記送りギヤに
   前記螺旋溝に係合するガイドピンを設け、前記送
   り軸の往復動により、前記スプール軸を往復動さ
   せるべく成したことを特徴とするスピニングリー
   ル。