JP3554519B2 - 現像処理方法および現像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レジスト膜が形成され露光後の例えば液晶ディスプレイ(LCD)用ガラス基板等の基板に現像液を供給して現像処理を行う現像処理方法および現像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば液晶ディスプレイ(LCD)の製造においては、ガラス製の矩形のLCD基板にフォトレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、回路パターンに対応してレジスト膜を露光し、これを現像処理するという、いわゆるフォトリソグラフィー技術により回路パターンが形成される。
【0003】
このような回路パターンの成形に際しては、複数の処理ユニットが集約されたレジスト塗布現像システムにより行われる。このようなシステムにおいては、まず、基板に対して必要に応じて紫外線照射により表面改質・洗浄処理が行われた後、洗浄ユニットによりブラシ洗浄および超音波水洗浄が施される。その後、基板は、レジストの定着性を高めるために、アドヒージョン処理ユニットにて疎水化処理(HMDS処理)され、引き続き、レジスト塗布ユニットにてレジスト塗布が行われ、プリベーク後、露光装置にて所定のパターンが露光され、さらに現像処理ユニットで現像処理され、さらにポストベーク処理されて所定の回路パターンが形成される。
【0004】
これらの中で例えば現像処理ユニットは、基板に現像液を吐出する現像ノズルと、現像処理後にリンス液を吐出する吐出ノズルと、基板保持用のスピンチャックと、現像ノズルと吐出ノズルをそれぞれ待機位置から基板上に移動させる移動機構と、スピンチャック周囲に振り切った処理液を回収するカップを備えている。そして、この現像処理ユニットにて現像処理する際には、まず、スピンチャック上に基板を載置し、現像ノズルから基板上に現像液を供給し、基板上に現像液を液盛りする。この状態で所定の現像時間保持した後スピンチャックを回転させ、現像液を振り切る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、基板上に供給された現像液は、周囲の空気中の酸素により酸化されて劣化するおそれがある。このように現像液が劣化すると所望の現像処理が行われない場合が生ずる。
【0006】
一方、LCD基板は最近益々大型化の要求が高まっており、このような大型基板の現像処理の場合には現像液を多量に供給する必要があることから、無駄にする現像液を極力減らすために現像液を回収して再利用している。しかしながら、上述したように現像処理中に現像液が酸化したり、回収中に現像液が酸化すると、回収された現像液は酸化により劣化したものとなってしまい、再利用するための処理コストが高くなるという問題が生じる。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、酸化による現像液の劣化が生じ難い現像処理方法および現像処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理を行うにあたり、現像液供給ノズルを基板上で走査させながら基板に現像液を供給する際に、前記現像液供給ノズルに取り付けられた不活性ガス供給ノズルから少なくとも基板の表面近傍部分に不活性ガスを供給することを特徴とする現像処理方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理を行うにあたり、現像液供給ノズルを基板上で走査させながら基板に現像液を供給する工程と、基板上に現像液を保持させて現像を進行させる工程と、現像液を基板から振り切る工程と、振り切られた現像液を回収する工程とを具備し、前記現像液を供給する工程の際に、前記現像液供給ノズルに取り付けられた不活性ガス供給ノズルから少なくとも基板の表面近傍部分に不活性ガスを供給し、かつ前記現像液を振り切る工程および/または回収する工程の際に現像液に不活性ガスを供給することを特徴とする現像処理方法を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理を行う現像処理装置であって、基板を支持する基板支持部材と、基板に現像液を吐出する現像液供給ノズルと、前記現像液供給ノズルに取り付けられ、少なくとも基板表面近傍部分に不活性ガスを供給する不活性ガス供給ノズルと、前記現像液供給ノズルを基板上で走査させる走査機構とを具備し、前記走査機構により、現像液を吐出している前記現像液供給ノズルを走査させながら、前記不活性ガス供給ノズルから不活性ガスを供給することを特徴とする現像処理装置を提供する。
【0011】
さらにまた、本発明は、露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理を行う現像処理装置であって、基板を支持する基板支持部材と、前記基板支持部材に支持されている基板を包囲する処理容器と、前記基板支持部材に支持された基板を回転させる基板回転手段と、基板に現像液を吐出する現像液供給ノズルと、現像処理後に前記基板回転手段により回転されて基板から振り切られた現像液を回収する現像液回収手段と、少なくとも基板表面近傍部分に不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給機構と、基板から振り切られた現像液または前記現像液回収手段により回収される現像液に不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給機構とを具備することを特徴とする現像処理装置を提供する。
【0012】
さらにまた、本発明は、露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理を行う現像処理装置であって、基板を支持する基板支持部材と、基板に現像液を吐出する現像液供給ノズルと、不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構と、前記不活性ガス供給機構を、基板に対して平行に不活性ガスを供給する位置と、基板上の現像液に向けて不活性ガスを供給する位置とで切り換える駆動機構とを具備することを特徴とする現像処理装置を提供する。
【0013】
さらにまた、本発明は、露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理を行う現像処理方法であって、基板に現像液を供給する工程と、基板上に現像液を保持させて現像を進行させる工程と、現像後の現像液を基板から回収する工程とを具備し、前記現像液を供給する工程の際に、少なくとも基板の表面近傍部分に不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給機構により不活性ガスを供給し、かつ、前記現像液を回収する工程の際に、回収される現像液に不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給機構により不活性ガスを供給することを特徴とする現像処理方法を提供する。
【0014】
本発明によれば、現像液供給ノズルを基板上で走査させながら基板に現像液を供給する際に、前記現像液供給ノズルに取り付けられた不活性ガス供給ノズルから少なくとも基板の表面近傍部分に不活性ガスを供給するので、現像処理の際における現像液の酸化による劣化を生じ難くすることができる。また、これに加えて、現像液を振り切る際および/または現像液を回収する際に現像液に不活性ガスを供給することにより、現像液を回収する際における現像液の酸化をも生じ難くすることができるので、酸化による劣化が少ない現像液を回収することができる。さらにまた、基板に現像液を供給する際に、第1の不活性ガス供給機構により少なくとも基板の表面近傍部分に不活性ガスを供給し、かつ、現像液を振り切る際または現像液を回収する際に、第2の不活性ガス供給機構により現像液に不活性ガスを供給することにより、現像処理の際における現像液の酸化による劣化を生じ難くすることができるとともに、現像液を振り切る際または回収する際における現像液の酸化をも生じ難くすることができるので、酸化による劣化が少ない現像液を回収することができる。
【0015】
【発明実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る現像処理装置が搭載されたLCD基板のレジスト塗布・現像処理システムを示す平面図である。
【0016】
この塗布・現像処理システムは、複数の基板Gを収容するカセットCを載置するカセットステーション1と、基板Gにレジスト塗布および現像を含む一連の処理を施すための複数の処理ユニットを備えた処理部2と、露光装置(図示せず)との間で基板Gの受け渡しを行うためのインターフェイス部3とを備えており、処理部2の両端にそれぞれカセットステーション1およびインターフェイス部3が配置されている。
【0017】
カセットステーション1は、カセットCと処理部2との間でLCD基板Gの搬送を行うための搬送機構10を備えている。そして、カセットステーション1においてカセットCの搬入出が行われる。また、搬送機構10はカセットの配列方向に沿って設けられた搬送路10a上を移動可能な搬送アーム11を備え、この搬送アーム11によりカセットCと処理部2との間で基板Gの搬送が行われる。
【0018】
処理部2は、前段部2aと中段部2bと後段部2cとに分かれており、それぞれ中央に搬送路12、13、14を有し、これら搬送路の両側に各処理ユニットが配設されている。そして、これらの間には中継部15、16が設けられている。
【0019】
前段部2aは、搬送路12に沿って移動可能な主搬送装置17を備えており、搬送路12の一方側には、2つの洗浄ユニット(SCR)21a、21bが配置されており、搬送路12の他方側には紫外線照射ユニット(UV)と冷却ユニット(COL)とが2段に重ねられた処理ブロック25、加熱処理ユニット(HP)が2段に重ねられてなる処理ブロック26および冷却ユニット(COL)が2段に重ねられてなる処理ブロック27が配置されている。
【0020】
また、中段部2bは、搬送路13に沿って移動可能な主搬送装置18を備えており、搬送路13の一方側には、レジスト塗布処理ユニット(CT)22および基板Gの周縁部のレジストを除去する周縁レジスト除去ユニット(ER)23が一体的に設けられており、搬送路13の他方側には、加熱処理ユニット(HP)が2段に重ねられてなる処理ブロック28、加熱処理ユニット(HP)と冷却処理ユニット(COL)が上下に重ねられてなる処理ブロック29、およびアドヒージョン処理ユニット(AD)と冷却ユニット(COL)とが上下に重ねられてなる処理ブロック30が配置されている。
【0021】
さらに、後段部2cは、搬送路14に沿って移動可能な主搬送装置19を備えており、搬送路14の一方側には、本実施形態に係る3つの現像処理ユニット(DEV)24a、24b、24cが配置されており、搬送路14の他方側には加熱処理ユニット(HP)が2段に重ねられてなる処理ブロック31、およびともに加熱処理ユニット(HP)と冷却処理ユニット(COL)が上下に重ねられてなる処理ブロック32、33が配置されている。
【0022】
なお、処理部2は、搬送路を挟んで一方の側に洗浄処理ユニット21a、レジスト処理ユニット22、現像処理ユニット24aのようなスピナー系ユニットのみを配置しており、他方の側に加熱処理ユニットや冷却処理ユニット等の熱系処理ユニットのみを配置する構造となっている。
【0023】
また、中継部15、16のスピナー系ユニット配置側の部分には、薬液供給ユニット34が配置されており、さらに主搬送装置のメンテナンスを行うためのスペース35が設けられている。
【0024】
上記主搬送装置17,18,19は、それぞれ水平面内の2方向のX軸駆動機構、Y軸駆動機構、および垂直方向のZ軸駆動機構を備えており、さらにZ軸を中心に回転する回転駆動機構を備えており、それぞれ基板Gを支持するアーム17a,18a,19aを有している。
【0025】
上記主搬送装置17は、搬送機構10のアーム11との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、前段部2aの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらには中継部15との間で基板Gの受け渡しを行う機能を有している。また、主搬送装置18は中継部15との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、中段部2bの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらには中継部16との間の基板Gの受け渡しを行う機能を有している。さらに、主搬送装置19は中継部16との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、後段部2cの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらにはインターフェイス部3との間の基板Gの受け渡しを行う機能を有している。なお、中継部15、16は冷却プレートとしても機能する。
【0026】
インターフェイス部3は、処理部2との間で基板を受け渡しする際に一時的に基板を保持するエクステンション36と、さらにその両側に設けられた、バッファーカセットを配置する2つのバッファーステージ37と、これらと露光装置(図示せず)との間の基板Gの搬入出を行う搬送機構38とを備えている。搬送機構38はエクステンション36およびバッファステージ37の配列方向に沿って設けられた搬送路38a上を移動可能な搬送アーム39を備え、この搬送アーム39により処理部2と露光装置との間で基板Gの搬送が行われる。
【0027】
このように各処理ユニットを集約して一体化することにより、省スペース化および処理の効率化を図ることができる。
【0028】
このように構成されたレジスト塗布・現像処理システムにおいては、カセットC内の基板Gが、処理部2に搬送され、処理部2では、まず、前段部2aの処理ブロック25の紫外線照射ユニット(UV)で表面改質・洗浄処理が行われ、冷却処理ユニット(COL)で冷却された後、洗浄ユニット(SCR)21a,21bでスクラバー洗浄が施され、処理ブロック26のいずれかの加熱処理ユニット(HP)で加熱乾燥された後、処理ブロック27のいずれかの冷却ユニット(COL)で冷却される。
【0029】
その後、基板Gは中段部2bに搬送され、レジストの定着性を高めるために、処理ブロック30の上段のアドヒージョン処理ユニット(AD)にて疎水化処理(HMDS処理)され、下段の冷却処理ユニット(COL)で冷却後、レジスト塗布処理ユニット(CT)22でレジストが塗布され、周縁レジスト除去ユニット(ER)23で基板Gの周縁の余分なレジストが除去される。その後、基板Gは、中段部2bの中の加熱処理ユニット(HP)の一つでプリベーク処理され、処理ブロック29または30の下段の冷却ユニット(COL)で冷却される。
【0030】
その後、基板Gは中継部16から主搬送装置19にてインターフェイス部3を介して露光装置に搬送されてそこで所定のパターンが露光される。そして、基板Gは再びインターフェイス部3を介して搬入され、必要に応じて後段部2cの処理ブロック31,32,33のいずれかの加熱処理ユニット(HP)でポストエクスポージャーベーク処理を施した後、現像処理ユニット(DEV)24a,24b,24cのいずれかで現像処理され、所定の回路パターンが形成される。現像処理された基板Gは、後段部2cのいずれかの加熱処理ユニット(HP)にてポストベーク処理が施された後、いずれかの冷却ユニット(COL)にて冷却され、主搬送装置19,18,17および搬送機構10によってカセットステーション1上の所定のカセットに収容される。
【0031】
次に、本発明の一実施形態に係る現像処理ユニット(DEV)について説明する。図2は現像処理ユニット(DEV)の平面図であり、図3は現像処理ユニット(DEV)の断面図である。
【0032】
これらの図に示すように、現像処理ユニット(DEV)24a,24b,24cは同一の構造を有し、これらには基板Gを機械的に保持するスピンチャック41が回転駆動機構42により回転されるように設けられ、このスピンチャック41の下側には、回転駆動機構42を包囲するカバー43が配置され、このカバー43の外周囲には、2つのアンダーカップ44,45が離間して設けられている。
【0033】
これら2つのアンダーカップ44,45の間の上方には、主として現像液を下方に流すためのインナーカップ46が昇降自在に設けられ、アンダーカップ45の外側には、主としてリンス液を下方に流すためのアウターカップ47がインナーカップ46と一体的に昇降自在に設けられている。図3において、左側には、現像液の排出時にインナーカップ46およびアウターカップ47が上昇される位置が示され、右側には、リンス液の排出時にこれらが降下される位置が示されている。
【0034】
さらに、これら現像処理ユニット全体を包囲するためのシンク48が設けられ、このシンク48には、回転乾燥時にユニット内を排気するための排気口49、現像液のためのドレイン管50a、およびリンス液のためのドレイン管50bが設けられている。
【0035】
図2に示すように、アウターカップ47の一方の側には、現像液用のノズルアーム51が設けられ、このノズルアーム51内には、現像液供給ノズル70が収納されている。このノズルアーム51は、ガイドレール53に沿って、ベルト駆動等の駆動機構52により基板Gを横切って移動するように構成され、これにより、現像液の塗布時には、ノズルアーム51により現像液供給ノズル70は現像液を吐出しながら、静止した基板G上を走査(スキャン)するようになっている。現像液供給ノズル70の側方には不活性ガス供給機構である不活性ガス供給ノズル71(第1の不活性ガス供給機構)が取り付けられている。不活性ガス供給ノズル71からは不活性ガスとして例えばN2ガスが供給される。もちろんArガスやHeガス等の他の不活性ガスであってもよい。
【0036】
アウターカップ47の他方の側には、純水等のリンス液用のノズルアーム54が設けられ、このノズルアーム54の先端部分には、リンス液吐出ノズル60が設けられている。このノズルアーム54は枢軸55を中心として駆動機構56により回動自在に設けられている。これにより、リンス液の吐出時には、ノズルアーム54は、リンス液吐出ノズル60からリンス液を吐出しながら、基板G上をスキャンするようになっている。
【0037】
なお、アウターカップ47の上には昇降自在に蓋体(図示せず)が設けられており、リンスの際にこの蓋体が閉じられるようになっている。また、リンス液吐出ノズル60をカップ内に入れたまま蓋体を閉じることができるように、アウターカップ47には切り欠きが形成されている。
【0038】
現像液供給ノズル70は、図2に示すように、基板Gの短辺よりも若干長い長さを有している。そして、図4に示すように、その先端に多数の現像液吐出口72を有しており、その多数の現像液吐出口72から現像液が吐出されるようになっている。一方、現像液供給ノズル70に取り付けられた不活性ガス供給ノズル71はその長手方向に延びる不活性ガスを吐出する吐出口73を有している。また、不活性ガス供給ノズル71は駆動機構74により矢印方向に回転可能となっており、この駆動機構74により吐出口73の向きを変更可能となっている。
【0039】
図5に示すように、スピンチャック41を回転させる回転駆動機構42、現像液用のノズルアーム51を駆動する駆動機構52、リンス液用のノズルアーム54を回動させる駆動機構56、および不活性ガス供給ノズル71を回転させる駆動機構74は、いずれも制御装置80により制御されるようになっている。
【0040】
次に、以上のように構成された現像処理ユニット(DEV)24a,24b,24cにおける現像処理動作について説明する。
まず、図1に示すように、露光処理された基板Gが主搬送装置19により、現像処理ユニット(DEV)24a,24b,24cのいずれかに搬入され、図2、図3に示すように、搬入された基板Gがスピンチャック41に吸着保持される。次いで、現像液用のノズルアーム51が駆動機構52によってガイドレール53に沿って静止した基板G上を移動されることにより、ノズルアーム51に取り付けられた現像液吐出ノズル70が現像液を吐出しながら基板上を走査(スキャン)され、基板Gの全面に塗布される。
【0041】
その際に、図6の(a)に示すように、現像液供給ノズル70から現像液を吐出して現像液膜Lが形成されながら、不活性ガス供給ノズル71はその吐出口73が水平になるように制御装置80(図5)により制御され、不活性ガス供給ノズル71の吐出口73から不活性ガス、例えばN2ガスが水平方向に吐出され、これにより少なくとも基板Gの表面近傍部分が不活性雰囲気にされる。この場合に、不活性ガスが水平方向に吐出されているため、基板G上の現像液膜に影響を与えない。不活性ガスの吐出方向は水平方向に限らず、水平方向よりも多少上向き(斜め上向き)であってもよい。
【0042】
現像液供給ノズル70が基板Gの一端から他端まで走査(スキャン)されて基板Gの全面に現像液膜Lが形成された後、現像液供給ノズル70は現像液を吐出しない状態で元の位置まで戻される。その際に、図6の(b)に示すように、不活性ガス供給ノズル71はその吐出口73が下向きになるように制御装置80(図5)により制御され、不活性ガス供給ノズル71の吐出口73から不活性ガス、例えばN2ガスが下向きに吐出され、現像液膜Lを攪拌して現像を促進することができる。この場合に、現像液が基板から落下しないように不活性ガスの流量および吐出タイミングを調整する必要がある。不活性ガスの吐出方法としては、所定の流量で連続して吐出してもよいし、断続的(例えばパルス状)に吐出してもよい。
【0043】
このように現像液膜Lが形成された状態で現像処理が進行し、所定時間経過後、基板Gがスピンチャック41により回転されて現像液が振り切られ、振り切られた現像液はドレイン管50aを介して排出される。このとき、インナーカップ46およびアウターカップ47は、図3の左側に示す上昇位置に配置されている。
【0044】
次いで、リンス液用のノズルアーム54が駆動機構56により枢軸55を中心に回動されて、基板G上へ移動し、図示しない蓋体を下降させて密閉し、基板Gを回転させながら、リンス液吐出ノズル60からリンス液が吐出され、基板が洗浄される。
【0045】
所定時間経過後、リンス液の供給を停止され、基板Gの回転を高速にしてリンス液および残留する現像液が振り切り乾燥される。このとき、インナーカップ46およびアウターカップ47は、図3の右側に示す下降位置に配置されている。その後、回転が停止されるとともに蓋体が上昇され、その後リンス液吐出ノズル60が待機位置へ移動されて、一連の現像処理が終了する。
【0046】
このように本実施形態に係る現像処理ユニットによれば、基板Gに現像液を供給する際に、不活性ガス供給ノズル71から水平方向または斜め上向きに不活性ガスを供給するので、少なくとも基板の表面部分に不活性ガスを供給することができ、結果として基板G上の現像液の酸化による劣化を生じ難くすることができる。この場合に、ノズル71から不活性ガスを吐出させるだけであるから、大がかりな設備が不要であり極めて簡易である。
【0047】
また、現像液膜Lを静止したままの状態では、(1)現像液供給開始地点と終了地点とでは現像の進行が異なり現像が不均一になること、および(2)基板の上面にタフスキン層が形成されて現像の進行が妨げられること等の問題が生じるが、上述のように不活性ガス供給ノズル71から不活性ガスを現像液膜Lに供給することにより、現像液膜Lがある程度攪拌され、これによって現像の進行が均一化されるとともにタフスキン層を取り除いて現像を促進させることができる。
【0048】
以上は現像処理の際における現像液の酸化による劣化を防止することを考慮した実施形態について説明したが、次に、現像液を回収する際に回収する現像液の酸化による劣化も考慮した実施形態について説明する。
【0049】
図7は、このような現像液の回収を行う実施形態に係る現像処理ユニットを示す断面図である。この実施形態ではドレイン管50aに現像液回収タンク92(現像液回収手段)が設けられており、この回収タンク92に回収した現像液90が貯留される。そして、上記の実施形態の基板表面近傍へ不活性ガスを供給する機構の他に、基板Gから振り切られた現像液または前記現像液回収手段により回収される現像液にN2ガスのような不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構(第2の不活性ガス供給機構)を備えている。この第2の不活性ガス供給機構として、インナーカップ46に不活性ガス供給ノズル91が設けられ、さらに現像液回収タンク92の上部に不活性ガス供給配管93が設けられている。なお、現像液回収タンク92の上部には不活性ガス供給配管93に隣接して排気管94が設けられており、これら不活性ガス供給配管93および排気管94にはそれぞれバルブ95,96が設けられている。また、現像液回収タンク92の底部には現像液排出管97が設けられており、この現像液排出管97にはバルブ98が設けられている。本実施形態において他の構成は従前の実施形態と全く同じであり、図7中図3と同じものには同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
このように構成された現像処理ユニットにおいては、従前の実施形態と全く同様に現像液を塗布して現像を進行させた後、同様に基板Gを回転させて現像液を振り切る。この際に、振り切られた現像液には不活性ガス供給ノズル91から不活性ガスが供給されるので、振り切られて回収経路に至る現像液の酸素(空気)との接触を妨げることができ、回収される現像液の酸化による劣化を抑制することができる。
【0051】
振り切られた現像液は、ドレイン管50aを通って現像液回収タンク92に回収される。このとき、排気管94を介して空気を排出し、不活性ガス供給配管93から不活性ガス、例えばN2ガスが現像液回収タンク92に供給してタンク92内を不活性ガス雰囲気にしておくことにより、現像液回収タンク92に貯留された現像液90の酸素(空気)との接触を妨げることができ、回収された現像液90の酸化による劣化を抑制することができる。
【0052】
本実施形態においては、従前の実施形態と同様に少なくとも基板Gの表面近傍部分に不活性ガスを供給するので、現像処理の際に現像液の酸化による劣化を生じ難くすることができるが、これに加えて上述したように現像液を振りきる際および現像液を回収する際に不活性ガス供給ノズル91および不活性ガス供給配管93から現像液に不活性ガスを供給することにより、現像液を回収する際における現像液の酸化をも生じ難くすることができるので、酸化による劣化が少ない現像液を回収することができる。なお、不活性ガス供給ノズル91および不活性ガス供給配管93は必ずしも両方設ける必要はなく、いずれか一方でも回収される現像液の酸化による劣化を抑制する効果を得ることができる。
【0053】
なお、本発明は、上述した実施の形態には限定されず、その技術思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では現像液供給ノズルとして多数の吐出孔から現像液を吐出するタイプのものを用いたが、これに限るものではなく、例えばスプレータイプの現像液供給ノズルを用いてもよい。
【0054】
このようなスプレータイプのノズルの一例を図8に示す。図8中(a)はスプレーノズルの側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。これらに示すように、スプレーノズル101はその下側に多数の現像液噴出口102を有しており、これら現像液噴出口102から現像液を放射状に噴霧(スプレー)するようになっている。スプレーノズル101は基板Gの短辺の半分の長さよりも若干長い長さを有しており、このスプレーノズル101には支持部材105によりスプレーの影響の及ばない位置に不活性ガス供給ノズル103が取り付けられている。この不活性ガス供給ノズル103の下側に吐出口104が設けられており、この吐出口104から基板G上へ不活性ガス(例えばN2ガス)が供給される。そして、図8の(c)に示すように、基板Gを矢印方向に回転させながら、スプレーノズル101は静止した状態で現像液をスプレーするが、この時不活性ガス供給ノズル103から不活性ガスが供給されているので、基板G上は不活性ガス雰囲気となり、現像液の酸化による劣化を防止することができる。また、図9に示すように、不活性ガス供給ノズル103のみならず、スプレーノズル101の反対側に支持部材105’により不活性ガス供給ノズル103’を設けてその吐出口104’からも不活性ガスを供給するようにすることにより、現像液の酸化による劣化をより有効に防止することができる。
【0055】
また、上記実施形態では、基板の表面近傍に不活性ガスを供給する不活性ガス供給ノズルを現像液供給ノズルに取り付けた例を示したが、これに限らず基板の少なくとも表面近傍に不活性ガスを供給することができればその位置は問わないし、不活性ガス供給機構としてはノズルに限らず他の手段であってもよい。
【0056】
さらに、振り切った現像液または回収される現像液に不活性ガスを供給する位置についても上記実施形態に限るものではなく、その不活性ガス供給形態も不活性ガス供給ノズルや不活性ガス供給配管に限るものではない。
【0057】
さらにまた、上記実施形態では本発明をLCD基板に対する処理システムに適用した場合を例にとって説明したが、これに限らずカラーフィルターや、半導体ウエハ等の他の基板を処理するシステムにも適用することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基板に現像液を供給する際に、少なくとも基板の表面近傍部分に不活性ガスを供給するので、現像処理の際における現像液の酸化による劣化を生じ難くすることができる。また、これに加えて、現像液を振り切る際および/または現像液を回収する際に現像液に不活性ガスを供給することにより、現像液を回収する際における現像液の酸化をも生じ難くすることができるので、酸化による劣化が少ない現像液を回収することができる。さらにまた、基板に現像液を供給する際に、第1の不活性ガス供給機構により少なくとも基板の表面近傍部分に不活性ガスを供給し、かつ、現像液を振り切る際または現像液を回収する際に、第2の不活性ガス供給機構により現像液に不活性ガスを供給することにより、現像処理の際における現像液の酸化による劣化を生じ難くすることができるとともに、現像液を振り切る際または回収する際における現像液の酸化をも生じ難くすることができるので、酸化による劣化が少ない現像液を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る現像処理ユニットが搭載されたLCD基板のレジスト塗布・現像処理システムを示す平面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る現像処理ユニットを示す平面図。
【図3】図2に示した現像処理ユニットを示す断面図。
【図4】図2および図3に示した現像処理ユニットに設けられた現像液供給ノズルを示す斜視図。
【図5】図2および図3に示した現像処理ユニットにおける制御系を示すブロック図。
【図6】図2および図3に示した現像処理ユニットにおける現像処理動作を説明するための模式図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る現像処理ユニットを示す断面図。
【図8】現像液供給ノズルの他の例としてのスプレーノズルを示す側面図、正面図および平面図。
【図9】図8のスプレーノズルの変形例を示す図。
【符号の説明】
24a,24b,24c;現像処理ユニット(DEV)
41;スピンチャック
42;回転駆動機構
46;インナーカップ
47;アウターカップ
51;現像液用のノズルアーム
52,56,74;駆動機構
70;現像液供給ノズル
71,103;不活性ガス供給ノズル(不活性ガス供給機構)
90;回収された現像液
91;不活性ガス供給ノズル(第2の不活性ガス供給機構)
92;現像液回収タンク
93;不活性ガス供給配管(第2の不活性ガス供給機構)
101;スプレーノズル(現像液供給ノズル)
G;LCD基板
Claims (13)
- 露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理を行う現像処理方法であって、
現像液供給ノズルを基板上で走査させながら基板に現像液を供給する際に、前記現像液供給ノズルに取り付けられた不活性ガス供給ノズルから少なくとも基板の表面近傍部分に不活性ガスを供給することを特徴とする現像処理方法。 - 露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理を行う現像処理方法であって、
現像液供給ノズルを基板上で走査させながら基板に現像液を供給する工程と、
基板上に現像液を保持させて現像を進行させる工程と、
現像液を基板から振り切る工程と、
振り切られた現像液を回収する工程と
を具備し、
前記現像液を供給する工程の際に、前記現像液供給ノズルに取り付けられた不活性ガス供給ノズルから少なくとも基板の表面近傍部分に不活性ガスを供給し、かつ前記現像液を振り切る工程および/または回収する工程の際に現像液に不活性ガスを供給することを特徴とする現像処理方法。 - 基板上の現像液に不活性ガスを吹き付けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像処理方法。
- 現像液の供給中は、基板に対して水平または斜め上向きに不活性ガスを供給し、現像液の供給の終了後、基板上の現像液に不活性ガスを供給して撹拌することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の現像処理方法。
- 露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理を行う現像処理装置であって、
基板を支持する基板支持部材と、
基板に現像液を吐出する現像液供給ノズルと、
前記現像液供給ノズルに取り付けられ、少なくとも基板表面近傍部分に不活性ガスを供給する不活性ガス供給ノズルと、
前記現像液供給ノズルを基板上で走査させる走査機構と
を具備し、
前記走査機構により、現像液を吐出している前記現像液供給ノズルを走査させながら、前記不活性ガス供給ノズルから不活性ガスを供給することを特徴とする現像処理装置。 - 前記不活性ガス供給ノズルは、現像液を吐出している前記現像液供給ノズルを前記走査機構により走査している際には基板に対して水平または斜め上向きに不活性ガスを供給し、前記現像液供給ノズルを現像液の供給を停止して前記走査機構により戻す際には基板上の現像液に不活性ガスを供給して攪拌することを特徴とする請求項5に記載の現像処理装置。
- 前記基板を回転させる基板回転手段をさらに具備し、この基板回転手段により基板を回転させつつ、前記現像液供給ノズルから現像液を供給している際に、前記不活性ガス供給ノズルから不活性ガスを供給することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の現像処理装置。
- 露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理を行う現像処理装置であって、
基板を支持する基板支持部材と、
前記基板支持部材に支持されている基板を包囲する処理容器と、
前記基板支持部材に支持された基板を回転させる基板回転手段と、
基板に現像液を吐出する現像液供給ノズルと、
現像処理後に前記基板回転手段により回転されて基板から振り切られた現像液を回収する現像液回収手段と、
少なくとも基板表面近傍部分に不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給機構と、
基板から振り切られた現像液または前記現像液回収手段により回収される現像液に不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給機構と
を具備することを特徴とする現像処理装置。 - 前記第1の不活性ガス供給機構は、前記現像液供給ノズルに取り付けられた第1の不活性ガス供給ノズルを有することを特徴とする請求項8に記載の現像処理装置。
- 前記第2の不活性ガス供給機構は、振り切られた現像液に不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給ノズルを有することを特徴とする請求項9に記載の現像処理装置。
- 前記現像液回収手段は、前記基板回転手段により振り切られた現像液を貯留する現像液貯留容器を有し、前記第2の不活性ガス供給機構は、前記現像液貯留容器に不活性ガスを供給することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の現像処理装置。
- 露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理を行う現像処理装置であって、
基板を支持する基板支持部材と、
基板に現像液を吐出する現像液供給ノズルと、
不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構と、
前記不活性ガス供給機構を、基板に対して平行に不活性ガスを供給する位置と、基板上の現像液に向けて不活性ガスを供給する位置とで切り換える駆動機構と
を具備することを特徴とする現像処理装置。 - 露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理を行う現像処理方法であって、
基板に現像液を供給する工程と、
基板上に現像液を保持させて現像を進行させる工程と、
現像後の現像液を基板から回収する工程と
を具備し、
前記現像液を供給する工程の際に、少なくとも基板の表面近傍部分に不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給機構により不活性ガスを供給し、かつ、前記現像液を回収する工程の際に、回収される現像液に不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給機構により不活性ガスを供給することを特徴とする現像処理方法。
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