JP3554308B2 - 自動車用風防装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、折り畳み式幌屋根付自動車用の風防装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドイツ特許第19709602A1の明細書から、固定手段で自動車に固定可能な下フレームを有する風防装置が公知である。この風防装置の上フレームは枢軸を支点に下フレームに揺動自在に軸支され、前記枢軸は風防装置の直立位置では自動車の長手方向に対してほぼ横方向に延在している。双方のフレームはそれぞれ全面が閉鎖されて形成され、それぞれがメッシュ材またはネット材で形成された可撓性を有する平坦な風防部材を備えている。
【0003】
折り畳み式幌屋根付自動車、すなわちカブリオレの場合、このような風防装置はカブリオレのフロントシート列の後部に、背もたれのほぼ上端部の高さに実装される。その際に下フレームは後方でフロントシート列に繋がる積荷スペースを覆うことができる。折り畳み位置では上フレームは後方に折り畳まれる。直立位置では上フレームは上方に折り返され、それによって上フレームから広げられたネットはフロントシート列のヘッドレストの背後に位置するようになされる。この直立位置でフロントシート列の乗員に対する有効な風防効果が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、冒頭に記載した風防装置において、より少ない部品で済み、ひいては低コストで製造可能である実施形態を提案するという課題に対処するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、これらの問題は請求項1に記載の特徴を有する風防装置によって解決される。
【0006】
即ち、本発明は、2つのフレームをC字形に形成し、該フレームの開口側でそれぞれ取り付けられ、該フレームそれぞれに備えられる共通の風防部材を伸張させるという基本構想に基づくものである。本発明によるフレームはそれぞれ片側が開口しているので、従来の全面が閉じたフレームよりも簡単に製造できる。従って、本発明による風防装置は、低コストで製造可能となる。
【0007】
好適な実施形態では、上フレームが下フレームから上方に突出する上フレームの直立位置にあるとき、枢軸に対向した内側の面に一重、または多重に湾曲した凹面を備えるように風防部材を形成することができる。このような措置によって、風防部材の内側で下フレームの下方にあるスペースへアクセスが可能である。それによって特に、下フレームがフロントシート列に繋がる積荷スペースを覆うような場合は、風防装置を設置した場合でも、この積荷スペースに簡単にアクセスできる。
【0008】
上フレームの直立位置で伸張される風防部材の空間的な形状は例えば、前記風防部材を適宜に裁断することにより、および/または風防部材の残りの材料よりも弾力性が少ないバンド、紐、またはこれに類する材料を風防部材に結び、および/または風防部材の材料の弾力性が様々な方向で異なるようにすることによって実現可能である。
【0009】
別の実施形態では、上フレームのC字形の脚部の間に延在し、両端が枢軸の近傍で、または該枢軸上で脚部に固定されているクロスメンバを備えることができ、風防部材は更にクロスメンバに固定される。この措置によって、クロスメンバによって上フレームの直立位置における風防部材用の所望の空間形状を達成することができるようになる。それによって更に、伸張された風防部材の形状安定性は高まるので、例えば風を受けることによる相対移動を軽減できる。その上、風防装置の剛性を高めることができる。クロスメンバは、さらに、その開口側が上フレームに対向するようC字形に形成され、C字形脚部の自由端が上フレームに固定されており、上フレームが下フレームに対向する裏側の面において、上フレームから突出するように構成することができる。
【0010】
好適な一実施形態では、上フレームはその折り畳み位置で裏側が下フレームの上面に載置される。この措置によって、折り畳み位置で風防装置用の収納スペースが特に節減される。その他の例として、上フレームと下フレームとは、上フレームの折り畳み位置において互いに適合するようなサイズ及び形状に形成することもできる。
【0011】
クロスメンバは、枢軸から離間した位置で側面から見て、上フレームと傾斜角αをなすように上フレームに対して傾斜するように構成することができ、さらにクロスメンバの傾斜位置と上フレームの直立位置とは、直立位置においては、クロスメンバが枢軸から離間した位置で側面から見て、下フレームと直立角γをなすように互いに調整されるように構成することができる。
特に有利な一実施形態では、クロスメンバは、該クロスメンバと下フレームとに固定された風防部材の部分が、上フレームの揺動時において、該上フレームの折り畳み位置での引っ張られた状態から、上フレームの中間位置での緩められた状態を経て、上フレームの直立位置での引っ張られた状態へと移動可能なサイズに形成されている。この措置によって、風防部材が上フレームの直立位置でも折り畳み位置でも引っ張られ、ひいては例えば風を受けることによる相対移動の影響を比較的受けないことが保証される。
【0012】
風防部材は、弾性メッシュ材、ネット材、または透明織物材から構成することができる。
特別の実施形態に基づき、風防部材がほぼその周囲全体に沿ってフレームに固定されれば、特に形状安定性が高い状態で風防部材を広げることができる。
【0013】
本発明のその他の重要な特徴と利点は従属クレーム、図面、および図面を参照した図面の説明から明らかにされる。
【0014】
前述の、また以下に説明する特徴はそのつど記載された組合わせによってだけではなく、本発明の枠組みから外れることなく、他の組合わせ、または単独でも適用できることは自明である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施形態の例を図示し、以下の記載により詳細に説明する。
【0016】
図1から図4に記載のとおり、本発明による風防装置1は下フレーム2と、上フレーム3と、風防部材4とを具備している。
【0017】
下フレーム2はその下側の両側に固定手段5を備えており、それによって風防装置1を自動車(図示せず)、特に折り畳み式幌屋根付自動車(カブリオレ)に固定することができる。下フレーム2はC字形に形成されているので、下フレーム2のC字形の脚部6と7とはそれぞれ下フレーム2の開口側で自由端を形成している。C字形脚部6および7の自由端において、下フレーム2の上部両側にそれぞれ、上フレーム3を下フレーム2に軸支する軸受8が配設されている。折り畳み式幌屋根付自動車の場合には、下フレーム2は、走行方向に対して後方でフロントシート列に直接繋がる積荷スペースを完全に覆うようなサイズに形成されるのが望ましい。その目的のため、下フレーム2は横方向に突起するカラー9を備えており、カラー9は下フレーム2の外側で下フレーム全体に沿って延在形成され、前記積荷スペースの後部上方に載置される。
【0018】
上フレーム3もC字形の形状を有し、上フレーム3のC字形の脚部10および11は上フレーム3の開口側で自由端を形成している。上フレーム3は、C字形脚部10、11の自由端で軸受8を介して、矢印の記号で示した走行方向13に対して横向きに延在する下フレーム2で枢軸12を支点に揺動自在に軸支されている。図1および図3は上フレーム3が下フレーム2からほぼ垂直に上方に立ち上がる、上フレーム3の直立位置を示す。上フレーム3のこの直立位置で、風防装置1はカブリオレの幌屋根を開いた際に所望の風防効果をもたらす。例えば幌屋根を閉じていてこのような風防効果が必要ない場合は、図2および図4に示すように、上フレーム3を枢軸12を支点として、走行方向13に対して後方の折り畳み位置に揺動させることができる。この折り畳み位置で、上フレーム3の裏面は下フレーム2の上面に面接触するよう載置される。ここに示す実施形態では、上フレーム3および下フレーム2はさらに、上フレーム3がその折り畳み位置で下フレーム2とほぼ一致するようなサイズに形成されている。下フレーム2のみならず上フレーム3も平坦に形成されているので、フレーム2と3が折り畳み位置でC字形の脚部6、7もしくは10、11に沿って、また特にそれぞれのC字形ベース14もしくは15に沿って互いに当接することにより、上フレーム3を折り畳んだ非使用状態での風防装置1のスペースは特に節減される。
【0019】
上フレーム3を少なくとも限界位置(直立位置と折り畳み位置)で、また特に少なくとも中間位置で固定できるようにするため、適宜の固定手段、ラッチ手段、またはロック手段を備えることができる。
【0020】
風防部材4は可撓性のある、平坦な材料からなっている。好適には、風防部材4はメッシュ材、またはネット材、またはその他の透明織物材から形成される。風防部材4はその周囲全体に沿ってフレーム2および3に固定される。
【0021】
風防部材4は特に、少なくとも直立位置でピンと張った輪郭を呈することができるようにゴム弾性材料からなることができる。上フレーム3の直立位置では、風防部材4は特殊な空間形状を有しており、その特徴は、風防部材4の枢軸12に対向した内側の面が少なくとも一重に湾曲した凹面を有することにある。しかしこの例では多重に湾曲した凹面を有することとしている。このような特徴によって、特に上フレーム3が直立位置で直立している場合に、下フレーム2の下方の積荷スペース(図示せず)に前方から、すなわち風防部材4の内側から十分にアクセスできる。
【0022】
直立位置での風防部材4のこの三次元形状は、図示した実施形態では、上フレーム3のC字形脚部10、11の自由端の間に延在し、ひいては枢軸12の近傍で上フレーム3に固定されたクロスメンバ16によって可能となる。更に、このクロスメンバ16は風防部材4の内側に配置され、当該位置で風防部材4と固着されている。クロスメンバ16の適宜の形状と位置決めによって、上フレーム3の直立位置での風防部材4の所望の空間形状を達成できる。
【0023】
その他の例として、風防部材4の前記の所望の空間形状は、例えばクロスメンバ16の代わりにゴムバンドまたはその類似物を風防部材4に取り付けることによって、前記のクロスメンバ16がなくても達成可能である。更にその他の例として、または補足として、上フレーム3の直立位置で風防部材4の所望の空間的な湾曲が調整されるように、裁断され、さらに材料の弾性に適した配向を選択することができる。
【0024】
風防部材4の所望の空間形状が得られる他に、図示した実施形態で使用されているクロスメンバ16は更に、風防装置1全体を補強する作用を有するので、風防装置の安定性が高まる。クロスメンバ16はC字形に形成され、その開口側ではC字形脚部17、18の自由端が上フレーム3に固定されている。クロスメンバ16は、下フレーム2に面する上フレーム3の裏側で上フレーム3から突出している。
【0025】
図3に示すように、クロスメンバ16は、枢軸12から離間して上フレーム3が位置する平面20と鋭角な傾斜角αをなした平面19上にある。この傾斜角αは、例えば40°から60°の範囲にあればよい。上フレーム3は図3に示す直立位置では下フレーム2から概ね垂直に突出しているので、上フレーム3の裏側、および下フレーム2の上側では上フレーム3の平面20と下フレーム2が位置する平面21との間の角度βは、好適には80°から100°の範囲に広がっている。クロスメンバ16の傾斜角の選択と、上フレーム3の所望の直立位置によって、直立位置でのクロスメンバ16には、クロスメンバ16の平面19が下フレーム2の平面21との間に、好適にはこれも40°から60°の範囲の鋭角な直立角γをなす配向が得られる。
【0026】
図4には折り畳み位置にある上フレーム3を実線で示す。更に破線では、上フレーム3が直立位置と折り畳み位置との間で移動する中間位置を示す。ここで留意すべき点は、クロスメンバ16のサイズの選択、および傾斜角の選択によって、クロスメンバ16と下フレーム2とに固定された風防部材4の部分がこの中間位置では緩んだ状態にあり、一方、図4に示す折り畳み位置、および図3に示す直立位置にある風防部材4はそれぞれピンと張った状態にあることである。このことは、風防部材4にとっては、上フレーム3の直立位置でも折り畳み位置でもピンと張った形状が確保されるので、例えば風を受けることによって生じる風防部材4の不都合な相対移動を抑止できる。
【0027】
クロスメンバ16によって、折り畳み位置においても、間から下フレーム2の下方に配設された積荷スペースへの自由なアクセスが可能になる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の風防装置によれば、フレームがC字形に形成され、それぞれ片側が開口しているので、従来の全面が閉じたフレームよりも部品点数が少なくさらに低コストで製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による風防装置の直立位置での斜視図である。
【図2】図1と同様であるが、折り畳み位置での斜視図である。
【図3】図1に示した風防装置の側面図である。
【図4】図2に示した風防装置の側面図である。
【符号の説明】
1 風防装置
2 下フレーム
3 上フレーム
4 風防部材
5 固定手段
6,7 C字形脚部
8 軸受
9 カラー
10,11 C字形脚部
12 枢軸
13 走行方向
14,15 C字形ベース
16 クロスメンバ
17,18 C字形脚部
19,20,21 平面

Claims (13)

  1. 固定手段(5)によって自動車に固定可能な下フレーム(2)と、枢軸(12)を支点として前記下フレーム(2)に揺動自在に軸支された上フレーム(3)と、前記フレーム(2、3)に取り付けられた可撓性を有する平坦な材料から成る少なくとも1つの風防部材(4)とを備えた折り畳み式幌屋根付自動車用の風防装置であって、
    前記双方のフレーム(2、3)がC字形に形成され、該それらのフレームの開口側は前記枢軸(12)に対向し、かつ1つの共通の風防部材(4)が、前記双方のフレーム(2,3)に備えられ該双方のフレーム(2,3)に固定されることを特徴とする風防装置。
  2. 前記風防部材(4)は、前記上フレーム(3)が前記下フレーム(2)から上方に突出する前記上フレーム(3)の直立位置にあるとき、前記枢軸(12)に対向した内側の面に一重、または多重に湾曲した凹面を備えるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の風防装置。
  3. 前記上フレーム(3)のC字形の脚部(10,11)の間に延在してクロスメンバ(16)が備えられ、該クロスメンバ(16)の端部は前記枢軸(12)の近傍または該枢軸(12)上で前記上フレーム(3)にその端部が固定され、前記風防装置(4)は更に前記クロスメンバ(16)に固定されることを特徴とすることを特徴とする請求項1または2に記載の風防装置。
  4. 前記クロスメンバ(16)はC字形に形成され、その開口側は前記上フレーム(3)に対向していることを特徴とする請求項3に記載の風防装置。
  5. 前記クロスメンバ(16)は、前記上フレーム(3)の前記下フレーム(2)に面した裏側で、前記上フレーム(3)から突出することを特徴とする請求項3または4に記載の風防装置。
  6. 前記上フレーム(3)はその折り畳み位置で裏面が前記下フレーム(2)の上面に載置されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の風防装置。
  7. 前記フレーム(2、3)は、前記上フレーム(3)の前記折り畳み位置では互いにほぼ適合するようなサイズおよび形状に形成されることを特徴とする請求項6に記載の風防装置。
  8. 前記クロスメンバ(16)は、前記枢軸(12)から離間した位置で側面から見て、前記上フレーム(3)と傾斜角αをなすように、前記上フレーム(3)に対して傾斜していることを特徴とする請求項4に記載の風防装置。
  9. 前記クロスメンバ(16)の傾斜位置と、前記上フレーム(3)の直立位置とは、該直立位置においては、前記クロスメンバ(16)が前記枢軸(12)から離間した位置で側面から見て、前記下フレーム(2)と直立角γをなすように互いに調整されることを特徴とする請求項8に記載の風防装置。
  10. 前記クロスメンバ(16)は、該クロスメンバ(16)と前記下フレーム(2)とに固定された前記風防部材(4)の部分が、前記上フレーム(3)の揺動時において、前記上フレーム(3)の折り畳み位置での引っ張られた状態から、前記上フレーム(3)の中間位置での緩められた状態を経て、前記上フレーム(3)の直立位置での引っ張られた状態へと移動可能なサイズに形成され、かつ前記上フレーム(3)に対して傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の風防装置。
  11. 前記風防部材(4)は弾性メッシュ材、またはネット材、または透明織物材からなることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の風防装置。
  12. 前記風防部材(4)はほぼその周囲全体に沿って前記フレーム(2、3)に固定されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の風防装置。
  13. 前記下フレーム(2)は、走行方向(13)に対して後方でフロントシート列に直接繋がる積荷スペースを完全に覆うようなサイズに形成されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の風防装置。
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