JP3554256B2 - シート給送装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート積載部に積載されたシートを1枚ずつ分離して画像形成装置にむけて送り出すためのシート給送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置においては、普通紙の他、葉書や封筒等の厚紙、プラスチック薄板等の特殊シート等のシートに画像を形成するようにしているものがあるが、このようなシートの画像形成部への供給は一枚ずつ手差しで行われるか、あるいはシート給送装置によって自動的かつ連続的に行われる。
【0003】
図10は、このようなシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概要構成を示す図である。同図において、1AはシートPを印字手段4に1枚ずつ給送するためのシート給送装置であり、このシート給送装置1Aにより給送されたシートPは、搬送ローラ2,3によって挟圧されながら搬送され、印字手段4によって印字された後、排出ローラ5,6によって機外に排出されるようになっている。
【0004】
ここで、このようなシート給送装置1Aとしては、実公平8−3396号公報等に示されるものがあり、図11はその構造を示すものである。
【0005】
同図において、10は側面視略D形の給紙ローラであり、円弧部10aと直線部10bとを有している。なお、この給紙ローラ10の軸10cは、ガイドブロック11に支持されている。また、12はカセットであり、内部には複数枚のシートPが積層状態でセットされる積載板12aが設けられている。なお、12cは積載板12aを付勢するスプリングであり、このスプリング12cの付勢力により積載板上のシートPは給紙ローラ10に向けて付勢されるようになっている。
【0006】
13はブラケット13a上に取り付けられている分離パッドであり、この分離パッド13は、給紙ローラ10の円弧部10aの回転軌道中に位置すると共に、スプリング14によりガイド15に沿って給紙ローラ軸10cの方向に付勢されている。
【0007】
16はガイドブロック11に回転可能に取り付けられたアイドルローラ、17はガイドブロック11に形成された長溝11aに軸17aを介して移動可能に取り付けられた可動アイドルローラである。ここで、この可動アイドルローラ17は、スプリング18により分離パッド13に向けて付勢され、分離パッド13に当接している。なお、このスプリング18の付勢力F2は、分離パッド13のスプリング14の付勢力F1よりも小さく設定されている(即ち、F1>F2である)。
【0008】
また、給紙ローラ10の円弧部10aと最上位のシートP1との間の摩擦力をf1、次位のシートP2と分離パッド13との間の摩擦力をf2、最上位のシートP1と次位のシートP2との間の摩擦力をf3とすると、f1>f2>f3なる関係が成立するように給紙ローラ10及び分離パッド13のそれぞれの摩擦係数が設定されている。
【0009】
次に、このようなシート給送装置1Aの給紙動作について説明する。
【0010】
待機時には、同図に示すように、給紙ローラ10の直線部10bがシートPと対向した状態となっており、給紙ローラ10はシートPとは接触していない。また、可動アイドルローラ17は、可動アイドルローラ17のスプリング18の付勢力F2が分離パッド13のスプリング14の付勢力F1よりも小さく設定されているので、分離パッド13によって押し上げられ、その軸17aが長溝11aの上端に当接した状態となっている。
【0011】
給紙動作が開始されると、給紙ローラ10が矢印方向に回転し、その円弧部10aがシートPのうちの最上位のシートP1と接触することによって、このシートP1が分離パッド13に向けて送られる。この際、シートP1と、次位のシートP2との間に摩擦力が作用することによって、次位のシートP2が最上位のシートP1と共に送られることがある。しかしながら、次位のシートP2は、次のようにして分離パッド13によって最上位のシートP1から分離され、最上位のシートP1のみが給送されることとなる。
【0012】
次位のシートP2は、その先端が分離パッド13突き当たることによって、その移動が阻止され、一次的に最上位のシートP1から分離される。また、上述したように、給紙ローラ10の円弧部10aとシートP1との間の摩擦力f1、次位のシートP2と分離パッド13との間の摩擦力f2、最上位のシートP1と次位のシートP2との間の摩擦力f3が、f1>f2>f3に設定されているため、給紙ローラ10の回転につれて最上位のシートP1と次位のシートP2とが共に給紙ローラ10の円弧部10aと分離パッド13とで挟圧された状態になると、次位のシートP2は分離パッド13との間の摩擦力f2によってその移動が阻止されて二次的に最上位のシートP1から分離され、これにより最上位のシートP1のみが給送されることとなる。
【0013】
そして、この後、給紙ローラ10が1回転すると、給紙ローラ10は同図に示すように円弧部10aが分離パッド13を押圧しない待機状態に戻る。なお、このとき2つのスプリング14,18の付勢力F1,F2の差により、分離パッド13は、可動アイドルローラ17をその軸17aが長溝11aの上端に当接するまで押し上げた状態で停止した状態となる。
【0014】
ところで、分離パッド13は、給紙ローラ10の円弧部10aの回転軌道中に位置しているため、円弧部10aが回転することにより円弧部10aによって押し下げられることとなるが、可動アイドルローラ17はスプリング18により分離パッド13に向けて付勢されているので、分離パッド13が押し下げられても分離パッド13に当接し、この当接によってもシートの分離動作がなされることとなる。
【0015】
さらに、可動アイドルローラ17を分離パッド13に向けて付勢し、分離パッド13との間でシートP1を挟圧する構成とすることにより、最上位のシートP1と次位のシートP2との間に摩擦力が作用しても、搬送ローラ2,3によってシートP1が搬送される過程で、次位のシートP2が最上位のシートP1と共に送られてしまうのを防止することができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来のシート給送装置を、例えば図10に示したようなプリンタに用いた場合、給送されたシートP1は、搬送ローラ2,3によって挟圧されながら搬送され、印字手段4によって印字されることとなるが、搬送ローラ2,3によるシートP1の搬送が開始された際、通常、シートP1はシート給送装置1Aから完全に脱した状態とはなっていない。即ち、シートP1は、その後部が分離パッド13と可動アイドルローラ17とで挟圧された状態となっており、この状態で、搬送ローラ2,3により搬送されるようになる。
【0017】
したがって、シートP1は、その後端が分離パッド13と可動アイドルローラ17との挟圧部を通過するまでは、この挟圧部による負荷を受けた状態(シート後端に負荷が加わった状態)で、搬送ローラ2,3によって搬送されることとなる。
【0018】
ここで、分離パッド13は、既述したように給紙ローラ10の円弧部10aとの間でシートPを挟圧することにより、シートの重送を防止するためのものであるから、その付勢力F1は比較的大きく設定する必要があるが、このように付勢力F1を設定した場合、シートP1の挟圧部における負荷が大きくなる。
【0019】
そして、このようにシートP1の挟圧部における負荷が大きくなると、この負荷に十分に打ち勝つだけの搬送力が搬送ローラ2,3によって得られない場合には、シートの紙送り精度が低下するため、印字手段4による印字精度が低下してしまう。
【0020】
なお、この負荷に十分に打ち勝つだけの搬送力を得るため、例えば搬送ローラ2,3によるシートの挟圧力を大きくすると共に、搬送ローラ2,3を駆動する駆動力を大きくするようにした場合には、装置が大型化したり消費電力が増大してしまう。さらに、搬送ローラ2,3が摩耗し易くなる。
【0021】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、紙送り精度を低下させることなくシートを1枚づつ分離して給紙することのできるシート給送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、シートを1枚ずつ分離して給送するシート給送装置において、シートを支持するシート積載手段と、外周に円弧部と切欠き部とを有し、回転して該円弧部により前記シート積載手段に積載されたシートを送り出す給紙ローラと、前記給紙ローラに圧接されるように付勢され該給紙ローラの円弧部との間でシートを1枚ずつ分離するための分離パッドと、前記給紙ローラの切欠き部が前記分離パッドと対向したときに該給紙ローラと該分離パッドとを離間するアイドルローラと、前記分離パッドが前記アイドルローラに圧接するときに前記分離パッドを前記アイドルローラへの移動方向とは逆方向に付勢する減圧レバーと、を備え、前記分離パッドが前記給紙ローラの円弧部に圧接するときは前記減圧レバーの作用を規制することを特徴とする。
【0023】
前記減圧レバーは、前記分離パッドを前記アイドルローラへの移動方向とは逆方向に付勢することを特徴とする。
【0024】
前記アイドルローラは、前記給紙ローラと同軸に回転可能に配されることを特徴とする。
【0025】
前記シート積載手段は、前記給紙ローラの回転に応じて該給紙ローラに接近する位置と離間する位置とに移動可能であることを特徴とする。
【0026】
前記給紙ローラにより送り出されるシートを常時前記分離パッドに押し付ける可動アイドルローラを備えることを特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0036】
図1乃至図6に基づいて本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態に係るシート給送装置の概略断面図、図2はその上視図である。
【0037】
図1及び図2において、1は画像形成装置100に備えられたシート給送装置であり、シートを支持するシート積載手段である載置板30に傾斜した状態で積載されたシートPを側面視略D形のシート給送手段である給紙ローラ20により、画像形成装置100の不図示の画像形成部に向けて送り出すものである。
【0038】
ここで、この給紙ローラ20は、画像形成装置100に設けられたモータ等の駆動源Mからの駆動により回転されるものであり、シートPと当接する外周面に形成された直線的に切り欠かれた切欠き部20bと、シートPと当接する円弧部20aとを有する。駆動源Mと給紙ローラ20の間には、給紙ローラ20の回転を制御するためのクラッチ等の駆動制御手段Cが設けられており、本実施の形態では、駆動制御手段Cにより給紙ローラは1回転により停止するように制御されている。
【0039】
そして、給紙動作が行われているときには円弧部20aが載置板30に積載されたシートPの最上位のシートP1に接触し、摩擦力によりシートP1の給送を行うようになっている。なお、給紙動作が行われていないときには、同図に示すように切欠き部20bがシートPと対向する位置で停止している。
【0040】
また、載置板30は回動軸30aを介して不図示のシート給送装置本体に回動可能に取り付けられると共に、不図示のばねにより給紙ローラ20に向けて付勢されており、これにより載置板30上に積層状態でセットされたシートPは給紙ローラ20に向けて付勢されるようになっている。なお、この載置板30は、給紙ローラ20の回転に連動して回転する不図示のカムにより給紙ローラ20の一回転の給紙動作で給紙ローラ20に対する近接及び離間の切替が可能になっている。
【0041】
また、同図において、50は分離手段である分離パッド50aを保持する保持部材である分離板であり、この分離板50は回転軸50bを介して不図示のシート給送装置本体に回動可能に取り付けられると共に、ベース52との間に配置された付勢手段である分離バネ51により移動端50cの上面に貼り付けられている分離パッド50が給紙ローラ20に圧接するように付勢されている。そして、給紙ローラ20の円弧部20aが、この分離パッド50aに圧接しながら回転することにより、シートPの分離給送が行われる。
【0042】
また、40は給紙ローラ20の側方において給紙ローラ軸20cに対して回転可能に取り付けられている回転体であるアイドルローラであり、このアイドルローラ40は、給紙動作後に次位のシートP2以下のシートが最上位のシートP1と共に画像形成装置内に搬送されてしまうことを防ぐためのものである。
【0043】
ここで、このアイドルローラ40は、給紙ローラ20の円弧部20aの径よりも多少小さな径を有しており、給紙ローラ20の円弧部20aと分離パッド50aとが当接しないとき、即ち給紙ローラ20の切欠き部20bが分離パッド50aと対向しているときには、同図に示すように給紙ローラ20の代わりに分離パッド50aとの間でシートを挟み込み、送り出されるシートに従動回転するようになっている。これにより、最上位のシートP1のみが送り出され、次位のシートP2以下のシートが最上位のシートP1と共に画像形成装置内に搬送されてしまうのを防ぐようにしている。
【0044】
次に本発明の主要な構成である搬送負荷低減手段について説明する。
【0045】
図1において、53は逆方向付勢手段を構成する減圧レバーであり、この減圧レバー53は分離パッド50aがアイドルローラ40と当接するとき、分離板50の移動端50cに設けられた突起部50dに係合し、分離板50をアイドルローラ40への移動方向とは逆方向に付勢して分離パッド50aとアイドルローラ40との圧接圧を減圧するためのものである。
【0046】
この減圧レバー53はベース52に回動軸53aで回動自在に支持されていて、減圧レバー53とベース52との間に掛け渡されている減圧レバーバネ54によって下方向(時計回り方向)に付勢されている。減圧レバー53の先端部53bが、分離板50がアイドルローラ40に圧接するときに分離板50の移動端50c側に設けられている突起部50dに係合するように設けられていて、このときに、分離バネ51による分離板50をアイドルローラ40に圧接させる方向とは反対方向の力を減圧レバーバネ54のバネ力が分離板50に加えられている。なお、分離バネ51の弾性力が減圧レバーバネ54の弾性力よりも大きく設定されている。
【0047】
言い換えれば、分離パッド50aがアイドルローラ40に圧接するとき、分離板50は減圧レバーバネ54のバネ力に抗しながら上方回動するようになっている。そして、このように分離パッド50aがアイドルローラ40に圧接するとき、減圧レバーバネ54のバネ力が分離板50に作用することにより、分離パッド50aとアイドルローラ40の圧接圧は低い状態となる。
【0048】
なお、52aは減圧レバー53を保持するベース52に設けられたレバーストッパであり、このレバーストッパ52aにより、後述するように給紙動作の際、給紙ローラ20の円弧部20aにより押圧されて分離板50が減圧レバー53と共に下降するとき、減圧レバー53の下降が規制されるようになっている。
【0049】
次に、このように構成されたシート給送装置1の給紙動作について図3乃至図5を用いて説明する。
【0050】
図3は、給紙前の状態を示す図であり、シートPが載置板30にスタック状態で載置され、分離板50は分離バネ51により付勢され、移動端50cに設けられた分離パッド50aはアイドルローラ40に圧接している。
【0051】
このとき分離パッド50aは分離バネ51によりアイドルローラ40に圧接しているが、減圧レバー53の先端部53bが分離板50の突起部50dに接することにより減圧レバーバネ54のバネ力が分離板50に作用し、これにより分離パッド50aとアイドルローラ40の圧接圧は低い状態となっている。
【0052】
そして、給紙動作が開始されると、まず給紙ローラ20が矢印に示すように回転を開始する。次に、この給紙ローラ20の回転に伴い載置板30が、不図示のカム及びバネにより図4の実線で示す位置まで上昇し、これにより載置板30に積載されたシートPの最上位のシートP1が給紙ローラ20の円弧部20aと接触し、この後、給紙ローラ20が回転すると、最上位のシートP1は分離パッド50aの上部まで給送される。
【0053】
ここで、このとき最上位のシートP1を含む複数枚のシートが、最上位のシートP1と共に分離パッド50aの上部まで給送される場合もあるが、この場合、既述した各摩擦係数の関係(f1>f2>f3)に基づく摩擦分離の原理により、同図に示すように最上位のシートP1のみが給送される。即ち、分離パッド上に複数枚のシートが進入した場合でも、この段階で最上位のシートP1のみを分離給送できる。また、この状態での分離バネ51の長さはL1であり、摩擦分離に最適なバネ圧となっている。
【0054】
このとき、給紙ローラ20の円弧部20aにより押圧されて分離板50は減圧レバー53と共に下降するが、減圧レバー53の下降はベース52に設けられたレバーストッパ52aによって規制される。このため、分離板50が完全に下降した状態では、減圧レバー53の先端部53bと分離板50の突起部50dとの当接が解除され、減圧レバーバネ54のバネ力は分離板50に作用しなくなる。これにより、給紙ローラ20と分離パッド50aの圧接圧は、シートの分離に十分な圧力が確保される。
【0055】
この後、さらに給紙ローラ20が回転すると、図5に示すように最上紙のシートP1は、アイドルローラ40と分離板50aとの間で挟まれるようになる。ここで、このときアイドルローラ40と給紙ローラ20の径の差により、分離バネ51は長さがL2となり、分離バネ51の長さがL1の時の圧よりも弱い圧でアイドルローラ40と分離パッド50aとが圧接するようになる。
【0056】
そして、このようにアイドルローラ40と分離パッド50aとが弱い圧で圧接することにより、搬送ローラ2,3(図10参照)によりシートP1の搬送が行われる際に、アイドルローラ40と分離パッド50aの接地点においてシートP1にかかる摩擦負荷を低減することができる。
【0057】
さらに、既述したように、分離パッド50aがアイドルローラ40に圧接しているとき、減圧レバー53と減圧レバーバネ54とにより構成される規制手段を備えた搬送負荷低減手段によって、分離板5を減圧レバーバネ54のバネ力により規制しながら上方回動させるようにすることにより、分離板50とアイドルローラ40の圧接圧を低い状態とすることができる。
【0058】
このため、最上位のシートP1を搬送する際に、アイドルローラ40と分離パッド50aの間でシートP1に発生する抵抗力を低く押さえることができ、これにより、アイドルローラ40と分離パッド50aとの間に挟まれているシートP1の引き抜き負荷(搬送負荷)を低減することができ、紙送り精度を低下させることなくシートP1を給紙することができる。また、アイドルローラ40と分離パッド50aとの圧接圧が下がることにより、搬送時、最上位のシートP1の表裏に発生するキズを小さくすることができる。さらに、搬送ローラ2,3で必要な搬送力を低く押さえることができ、装置全体のコストを低減することができる。
【0059】
図6は、分離パッドの他の実施の形態を示したものであり、同図において、50a’はアイドルローラ40に対応して設けられた分離パッドであり、この分離パッド50a’は給紙ローラ20に対応する分離パッド50aに比べて摩擦係数が所定量小さい部材で形成されている。
【0060】
そして、このようにアイドルローラ40に圧接する分離パッド50a’の摩擦係数を給紙ローラ20に圧接する分離パッド50aの摩擦係数よりも小さくする構成を採用することにより、搬送負荷をより効果的に低減することができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、給紙ローラ20の円弧部20aと、アイドルローラ40との間に所定量の外径差があるため、分離パッド50aが給紙ローラ20の円弧部20aと圧接しているときと、アイドルローラ40と圧接しているときとでは分離バネ51の長さが異なるようになる。したがって、分離パッド50aが給紙ローラ20の円弧部20aと圧接しているときに比べてアイドルローラ40と圧接しているときの方が分離バネ51の長さが長くなる。
【0062】
このため、アイドルローラ40に分離パッド50aが圧接するときには、給紙ローラ20の円弧部20aと圧接するときよりも低い圧接圧が得られる。一例として、分離バネ51のバネ定数を15gf/mm、アイドルローラ40と給紙ローラ20の円弧部20aとの外径差を3mmとした場合、分離パッド50aの圧接圧を45gf程度変化させることができる。これにより、本発明の搬送負荷低減手段と組み合わせることによって、さらに一層の搬送負荷の低減を図ることができる。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0064】
図7は本実施の形態に係るシート給送装置の概略断面図であり、同図において、第1の実施の形態と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0065】
同図において、60はアイドルローラ40と分離パッド50aとの接触点近傍で紙をパッドに押し付けるシート押さえ手段である可動アイドルローラであり、この可動アイドルローラ60はアイドルローラホルダ61に回転自在に取り付けられている。また、このアイドルローラホルダ61は不図示のバネ等の付勢手段により、分離パッド50aの方向に付勢されると共に、可動アイドルローラ60が、例えば既述した図5に示すような給紙動作中の分離板50の動きに追従できるように、言い換えれば可動アイドルローラ60が分離パッド50aに常時当接することができるよう不図示のシート給送装置本体に昇降自在に保持されている。
【0066】
ここで、この可動アイドルローラ60の特有な作用、効果を説明する。
【0067】
図8は第1実施の形態において、特定の条件下での給紙動作終了直前の状態を示すものである。ここで、この特定の条件とは、シートPの自重が大きいことやシートPの載置角度が垂直に近いとき、あるいは分離パッド50aの摩擦係数が小さい等の条件が重なったときであり、このような場合、同図に示すように最上位のシートP1、次位のシートP2を含む複数枚のシートが、分離パッド50a上に進入してくることがある。
【0068】
そして、この状態のまま給紙動作が終了すると、分離パッド50aとアイドルローラ40とが弱い圧で圧接しているとき、分離パッド50aとアイドルローラ40との間に複数枚のシートが挟まれ、搬送ローラ2,3による搬送が行われたときに次位のシートP2以下の複数のシートが画像形成装置内に進入する場合がある。
【0069】
そこで、本実施の形態のように、分離パッド50aに常時当接する可動アイドルローラ60を追加し、給紙が完了する直前にアイドルローラ40と分離パッド50aの接触点近傍でシートPを分離パッド50aに押し付けることにより、給紙後のアイドルローラ40によるシートPの保持がより確実となる。
【0070】
これにより、給紙ローラ20の円弧部20aと分離パッド50aとのシートPを介した当接が解除された後に、最上位のシートP1と共に次位のシートP2が送られてしまうというような不具合の発生を防ぐことができ、より動作信頼性の高いシート給送装置1を提供することができる。
【0071】
なお、本実施の形態はこれに限らず、可動アイドルローラ60の代わりに、図9に示すようにシート押え手段として、給紙ローラ20とアイドルローラ40との段部のうち給紙ローラ20の停止直前側の段部Aにフランジ部20dを一体的に備えた給紙ローラを用いても良い。また、シート押え手段として分離パッド50a方向に常時付勢される不図示のレバー部材等を適用しても、可動アイドルローラ60を設けた場合と同様な効果が得られ、また動作信頼性を保持したままコストを低く押さえることも可能である。
【0072】
以上、詳細に本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。例えば、これまでの説明においては、シートPを載置板30に傾斜した状態で積載する構成のものについて述べてきたが、シートPを水平載置した状態で給紙する構成のものにも本発明を適用することができる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、給紙ローラと分離手段とによりシートを挟持するとき、搬送負荷低減手段によって給紙ローラと分離手段の圧接により発生する搬送負荷を低減することにより、紙送り精度を低下させることなくシートを1枚ずつ分離して給送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置の概略断面図。
【図2】上記シート給送装置における分離手段の上視図。
【図3】上記シート給送装置の給紙前の状態を示す図。
【図4】上記シート給送装置の給紙中の状態を示す図。
【図5】上記シート給送装置の給紙直後の状態を示す図。
【図6】分離手段の他の例を示す上視図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置の概略断面図。
【図8】第1の実施の形態での特定の条件下における給紙動作終了直前の状態を示す図。
【図9】図8に示す可動アイドルローラの代わりの構成を示す図。
【図10】従来のシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概要構成を示す図。
【図11】従来のシート給送装置の構造を示す図。
【符号の説明】
1 シート給送装置
20 給紙ローラ
20a 円弧部
20b 切欠き部
30 載置板(シート積載手段)
50a 分離パッド(分離手段)
51 分離バネ
53 減圧レバー(搬送負荷低減手段)
54 減圧レバーバネ(搬送負荷低減手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート積載部に積載されたシートを1枚ずつ分離して画像形成装置にむけて送り出すためのシート給送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置においては、普通紙の他、葉書や封筒等の厚紙、プラスチック薄板等の特殊シート等のシートに画像を形成するようにしているものがあるが、このようなシートの画像形成部への供給は一枚ずつ手差しで行われるか、あるいはシート給送装置によって自動的かつ連続的に行われる。
【0003】
図10は、このようなシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概要構成を示す図である。同図において、1AはシートPを印字手段4に1枚ずつ給送するためのシート給送装置であり、このシート給送装置1Aにより給送されたシートPは、搬送ローラ2,3によって挟圧されながら搬送され、印字手段4によって印字された後、排出ローラ5,6によって機外に排出されるようになっている。
【0004】
ここで、このようなシート給送装置1Aとしては、実公平8−3396号公報等に示されるものがあり、図11はその構造を示すものである。
【0005】
同図において、10は側面視略D形の給紙ローラであり、円弧部10aと直線部10bとを有している。なお、この給紙ローラ10の軸10cは、ガイドブロック11に支持されている。また、12はカセットであり、内部には複数枚のシートPが積層状態でセットされる積載板12aが設けられている。なお、12cは積載板12aを付勢するスプリングであり、このスプリング12cの付勢力により積載板上のシートPは給紙ローラ10に向けて付勢されるようになっている。
【0006】
13はブラケット13a上に取り付けられている分離パッドであり、この分離パッド13は、給紙ローラ10の円弧部10aの回転軌道中に位置すると共に、スプリング14によりガイド15に沿って給紙ローラ軸10cの方向に付勢されている。
【0007】
16はガイドブロック11に回転可能に取り付けられたアイドルローラ、17はガイドブロック11に形成された長溝11aに軸17aを介して移動可能に取り付けられた可動アイドルローラである。ここで、この可動アイドルローラ17は、スプリング18により分離パッド13に向けて付勢され、分離パッド13に当接している。なお、このスプリング18の付勢力F2は、分離パッド13のスプリング14の付勢力F1よりも小さく設定されている(即ち、F1>F2である)。
【0008】
また、給紙ローラ10の円弧部10aと最上位のシートP1との間の摩擦力をf1、次位のシートP2と分離パッド13との間の摩擦力をf2、最上位のシートP1と次位のシートP2との間の摩擦力をf3とすると、f1>f2>f3なる関係が成立するように給紙ローラ10及び分離パッド13のそれぞれの摩擦係数が設定されている。
【0009】
次に、このようなシート給送装置1Aの給紙動作について説明する。
【0010】
待機時には、同図に示すように、給紙ローラ10の直線部10bがシートPと対向した状態となっており、給紙ローラ10はシートPとは接触していない。また、可動アイドルローラ17は、可動アイドルローラ17のスプリング18の付勢力F2が分離パッド13のスプリング14の付勢力F1よりも小さく設定されているので、分離パッド13によって押し上げられ、その軸17aが長溝11aの上端に当接した状態となっている。
【0011】
給紙動作が開始されると、給紙ローラ10が矢印方向に回転し、その円弧部10aがシートPのうちの最上位のシートP1と接触することによって、このシートP1が分離パッド13に向けて送られる。この際、シートP1と、次位のシートP2との間に摩擦力が作用することによって、次位のシートP2が最上位のシートP1と共に送られることがある。しかしながら、次位のシートP2は、次のようにして分離パッド13によって最上位のシートP1から分離され、最上位のシートP1のみが給送されることとなる。
【0012】
次位のシートP2は、その先端が分離パッド13突き当たることによって、その移動が阻止され、一次的に最上位のシートP1から分離される。また、上述したように、給紙ローラ10の円弧部10aとシートP1との間の摩擦力f1、次位のシートP2と分離パッド13との間の摩擦力f2、最上位のシートP1と次位のシートP2との間の摩擦力f3が、f1>f2>f3に設定されているため、給紙ローラ10の回転につれて最上位のシートP1と次位のシートP2とが共に給紙ローラ10の円弧部10aと分離パッド13とで挟圧された状態になると、次位のシートP2は分離パッド13との間の摩擦力f2によってその移動が阻止されて二次的に最上位のシートP1から分離され、これにより最上位のシートP1のみが給送されることとなる。
【0013】
そして、この後、給紙ローラ10が1回転すると、給紙ローラ10は同図に示すように円弧部10aが分離パッド13を押圧しない待機状態に戻る。なお、このとき2つのスプリング14,18の付勢力F1,F2の差により、分離パッド13は、可動アイドルローラ17をその軸17aが長溝11aの上端に当接するまで押し上げた状態で停止した状態となる。
【0014】
ところで、分離パッド13は、給紙ローラ10の円弧部10aの回転軌道中に位置しているため、円弧部10aが回転することにより円弧部10aによって押し下げられることとなるが、可動アイドルローラ17はスプリング18により分離パッド13に向けて付勢されているので、分離パッド13が押し下げられても分離パッド13に当接し、この当接によってもシートの分離動作がなされることとなる。
【0015】
さらに、可動アイドルローラ17を分離パッド13に向けて付勢し、分離パッド13との間でシートP1を挟圧する構成とすることにより、最上位のシートP1と次位のシートP2との間に摩擦力が作用しても、搬送ローラ2,3によってシートP1が搬送される過程で、次位のシートP2が最上位のシートP1と共に送られてしまうのを防止することができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来のシート給送装置を、例えば図10に示したようなプリンタに用いた場合、給送されたシートP1は、搬送ローラ2,3によって挟圧されながら搬送され、印字手段4によって印字されることとなるが、搬送ローラ2,3によるシートP1の搬送が開始された際、通常、シートP1はシート給送装置1Aから完全に脱した状態とはなっていない。即ち、シートP1は、その後部が分離パッド13と可動アイドルローラ17とで挟圧された状態となっており、この状態で、搬送ローラ2,3により搬送されるようになる。
【0017】
したがって、シートP1は、その後端が分離パッド13と可動アイドルローラ17との挟圧部を通過するまでは、この挟圧部による負荷を受けた状態(シート後端に負荷が加わった状態)で、搬送ローラ2,3によって搬送されることとなる。
【0018】
ここで、分離パッド13は、既述したように給紙ローラ10の円弧部10aとの間でシートPを挟圧することにより、シートの重送を防止するためのものであるから、その付勢力F1は比較的大きく設定する必要があるが、このように付勢力F1を設定した場合、シートP1の挟圧部における負荷が大きくなる。
【0019】
そして、このようにシートP1の挟圧部における負荷が大きくなると、この負荷に十分に打ち勝つだけの搬送力が搬送ローラ2,3によって得られない場合には、シートの紙送り精度が低下するため、印字手段4による印字精度が低下してしまう。
【0020】
なお、この負荷に十分に打ち勝つだけの搬送力を得るため、例えば搬送ローラ2,3によるシートの挟圧力を大きくすると共に、搬送ローラ2,3を駆動する駆動力を大きくするようにした場合には、装置が大型化したり消費電力が増大してしまう。さらに、搬送ローラ2,3が摩耗し易くなる。
【0021】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、紙送り精度を低下させることなくシートを1枚づつ分離して給紙することのできるシート給送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、シートを1枚ずつ分離して給送するシート給送装置において、シートを支持するシート積載手段と、外周に円弧部と切欠き部とを有し、回転して該円弧部により前記シート積載手段に積載されたシートを送り出す給紙ローラと、前記給紙ローラに圧接されるように付勢され該給紙ローラの円弧部との間でシートを1枚ずつ分離するための分離パッドと、前記給紙ローラの切欠き部が前記分離パッドと対向したときに該給紙ローラと該分離パッドとを離間するアイドルローラと、前記分離パッドが前記アイドルローラに圧接するときに前記分離パッドを前記アイドルローラへの移動方向とは逆方向に付勢する減圧レバーと、を備え、前記分離パッドが前記給紙ローラの円弧部に圧接するときは前記減圧レバーの作用を規制することを特徴とする。
【0023】
前記減圧レバーは、前記分離パッドを前記アイドルローラへの移動方向とは逆方向に付勢することを特徴とする。
【0024】
前記アイドルローラは、前記給紙ローラと同軸に回転可能に配されることを特徴とする。
【0025】
前記シート積載手段は、前記給紙ローラの回転に応じて該給紙ローラに接近する位置と離間する位置とに移動可能であることを特徴とする。
【0026】
前記給紙ローラにより送り出されるシートを常時前記分離パッドに押し付ける可動アイドルローラを備えることを特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0036】
図1乃至図6に基づいて本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態に係るシート給送装置の概略断面図、図2はその上視図である。
【0037】
図1及び図2において、1は画像形成装置100に備えられたシート給送装置であり、シートを支持するシート積載手段である載置板30に傾斜した状態で積載されたシートPを側面視略D形のシート給送手段である給紙ローラ20により、画像形成装置100の不図示の画像形成部に向けて送り出すものである。
【0038】
ここで、この給紙ローラ20は、画像形成装置100に設けられたモータ等の駆動源Mからの駆動により回転されるものであり、シートPと当接する外周面に形成された直線的に切り欠かれた切欠き部20bと、シートPと当接する円弧部20aとを有する。駆動源Mと給紙ローラ20の間には、給紙ローラ20の回転を制御するためのクラッチ等の駆動制御手段Cが設けられており、本実施の形態では、駆動制御手段Cにより給紙ローラは1回転により停止するように制御されている。
【0039】
そして、給紙動作が行われているときには円弧部20aが載置板30に積載されたシートPの最上位のシートP1に接触し、摩擦力によりシートP1の給送を行うようになっている。なお、給紙動作が行われていないときには、同図に示すように切欠き部20bがシートPと対向する位置で停止している。
【0040】
また、載置板30は回動軸30aを介して不図示のシート給送装置本体に回動可能に取り付けられると共に、不図示のばねにより給紙ローラ20に向けて付勢されており、これにより載置板30上に積層状態でセットされたシートPは給紙ローラ20に向けて付勢されるようになっている。なお、この載置板30は、給紙ローラ20の回転に連動して回転する不図示のカムにより給紙ローラ20の一回転の給紙動作で給紙ローラ20に対する近接及び離間の切替が可能になっている。
【0041】
また、同図において、50は分離手段である分離パッド50aを保持する保持部材である分離板であり、この分離板50は回転軸50bを介して不図示のシート給送装置本体に回動可能に取り付けられると共に、ベース52との間に配置された付勢手段である分離バネ51により移動端50cの上面に貼り付けられている分離パッド50が給紙ローラ20に圧接するように付勢されている。そして、給紙ローラ20の円弧部20aが、この分離パッド50aに圧接しながら回転することにより、シートPの分離給送が行われる。
【0042】
また、40は給紙ローラ20の側方において給紙ローラ軸20cに対して回転可能に取り付けられている回転体であるアイドルローラであり、このアイドルローラ40は、給紙動作後に次位のシートP2以下のシートが最上位のシートP1と共に画像形成装置内に搬送されてしまうことを防ぐためのものである。
【0043】
ここで、このアイドルローラ40は、給紙ローラ20の円弧部20aの径よりも多少小さな径を有しており、給紙ローラ20の円弧部20aと分離パッド50aとが当接しないとき、即ち給紙ローラ20の切欠き部20bが分離パッド50aと対向しているときには、同図に示すように給紙ローラ20の代わりに分離パッド50aとの間でシートを挟み込み、送り出されるシートに従動回転するようになっている。これにより、最上位のシートP1のみが送り出され、次位のシートP2以下のシートが最上位のシートP1と共に画像形成装置内に搬送されてしまうのを防ぐようにしている。
【0044】
次に本発明の主要な構成である搬送負荷低減手段について説明する。
【0045】
図1において、53は逆方向付勢手段を構成する減圧レバーであり、この減圧レバー53は分離パッド50aがアイドルローラ40と当接するとき、分離板50の移動端50cに設けられた突起部50dに係合し、分離板50をアイドルローラ40への移動方向とは逆方向に付勢して分離パッド50aとアイドルローラ40との圧接圧を減圧するためのものである。
【0046】
この減圧レバー53はベース52に回動軸53aで回動自在に支持されていて、減圧レバー53とベース52との間に掛け渡されている減圧レバーバネ54によって下方向(時計回り方向)に付勢されている。減圧レバー53の先端部53bが、分離板50がアイドルローラ40に圧接するときに分離板50の移動端50c側に設けられている突起部50dに係合するように設けられていて、このときに、分離バネ51による分離板50をアイドルローラ40に圧接させる方向とは反対方向の力を減圧レバーバネ54のバネ力が分離板50に加えられている。なお、分離バネ51の弾性力が減圧レバーバネ54の弾性力よりも大きく設定されている。
【0047】
言い換えれば、分離パッド50aがアイドルローラ40に圧接するとき、分離板50は減圧レバーバネ54のバネ力に抗しながら上方回動するようになっている。そして、このように分離パッド50aがアイドルローラ40に圧接するとき、減圧レバーバネ54のバネ力が分離板50に作用することにより、分離パッド50aとアイドルローラ40の圧接圧は低い状態となる。
【0048】
なお、52aは減圧レバー53を保持するベース52に設けられたレバーストッパであり、このレバーストッパ52aにより、後述するように給紙動作の際、給紙ローラ20の円弧部20aにより押圧されて分離板50が減圧レバー53と共に下降するとき、減圧レバー53の下降が規制されるようになっている。
【0049】
次に、このように構成されたシート給送装置1の給紙動作について図3乃至図5を用いて説明する。
【0050】
図3は、給紙前の状態を示す図であり、シートPが載置板30にスタック状態で載置され、分離板50は分離バネ51により付勢され、移動端50cに設けられた分離パッド50aはアイドルローラ40に圧接している。
【0051】
このとき分離パッド50aは分離バネ51によりアイドルローラ40に圧接しているが、減圧レバー53の先端部53bが分離板50の突起部50dに接することにより減圧レバーバネ54のバネ力が分離板50に作用し、これにより分離パッド50aとアイドルローラ40の圧接圧は低い状態となっている。
【0052】
そして、給紙動作が開始されると、まず給紙ローラ20が矢印に示すように回転を開始する。次に、この給紙ローラ20の回転に伴い載置板30が、不図示のカム及びバネにより図4の実線で示す位置まで上昇し、これにより載置板30に積載されたシートPの最上位のシートP1が給紙ローラ20の円弧部20aと接触し、この後、給紙ローラ20が回転すると、最上位のシートP1は分離パッド50aの上部まで給送される。
【0053】
ここで、このとき最上位のシートP1を含む複数枚のシートが、最上位のシートP1と共に分離パッド50aの上部まで給送される場合もあるが、この場合、既述した各摩擦係数の関係(f1>f2>f3)に基づく摩擦分離の原理により、同図に示すように最上位のシートP1のみが給送される。即ち、分離パッド上に複数枚のシートが進入した場合でも、この段階で最上位のシートP1のみを分離給送できる。また、この状態での分離バネ51の長さはL1であり、摩擦分離に最適なバネ圧となっている。
【0054】
このとき、給紙ローラ20の円弧部20aにより押圧されて分離板50は減圧レバー53と共に下降するが、減圧レバー53の下降はベース52に設けられたレバーストッパ52aによって規制される。このため、分離板50が完全に下降した状態では、減圧レバー53の先端部53bと分離板50の突起部50dとの当接が解除され、減圧レバーバネ54のバネ力は分離板50に作用しなくなる。これにより、給紙ローラ20と分離パッド50aの圧接圧は、シートの分離に十分な圧力が確保される。
【0055】
この後、さらに給紙ローラ20が回転すると、図5に示すように最上紙のシートP1は、アイドルローラ40と分離板50aとの間で挟まれるようになる。ここで、このときアイドルローラ40と給紙ローラ20の径の差により、分離バネ51は長さがL2となり、分離バネ51の長さがL1の時の圧よりも弱い圧でアイドルローラ40と分離パッド50aとが圧接するようになる。
【0056】
そして、このようにアイドルローラ40と分離パッド50aとが弱い圧で圧接することにより、搬送ローラ2,3(図10参照)によりシートP1の搬送が行われる際に、アイドルローラ40と分離パッド50aの接地点においてシートP1にかかる摩擦負荷を低減することができる。
【0057】
さらに、既述したように、分離パッド50aがアイドルローラ40に圧接しているとき、減圧レバー53と減圧レバーバネ54とにより構成される規制手段を備えた搬送負荷低減手段によって、分離板5を減圧レバーバネ54のバネ力により規制しながら上方回動させるようにすることにより、分離板50とアイドルローラ40の圧接圧を低い状態とすることができる。
【0058】
このため、最上位のシートP1を搬送する際に、アイドルローラ40と分離パッド50aの間でシートP1に発生する抵抗力を低く押さえることができ、これにより、アイドルローラ40と分離パッド50aとの間に挟まれているシートP1の引き抜き負荷(搬送負荷)を低減することができ、紙送り精度を低下させることなくシートP1を給紙することができる。また、アイドルローラ40と分離パッド50aとの圧接圧が下がることにより、搬送時、最上位のシートP1の表裏に発生するキズを小さくすることができる。さらに、搬送ローラ2,3で必要な搬送力を低く押さえることができ、装置全体のコストを低減することができる。
【0059】
図6は、分離パッドの他の実施の形態を示したものであり、同図において、50a’はアイドルローラ40に対応して設けられた分離パッドであり、この分離パッド50a’は給紙ローラ20に対応する分離パッド50aに比べて摩擦係数が所定量小さい部材で形成されている。
【0060】
そして、このようにアイドルローラ40に圧接する分離パッド50a’の摩擦係数を給紙ローラ20に圧接する分離パッド50aの摩擦係数よりも小さくする構成を採用することにより、搬送負荷をより効果的に低減することができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、給紙ローラ20の円弧部20aと、アイドルローラ40との間に所定量の外径差があるため、分離パッド50aが給紙ローラ20の円弧部20aと圧接しているときと、アイドルローラ40と圧接しているときとでは分離バネ51の長さが異なるようになる。したがって、分離パッド50aが給紙ローラ20の円弧部20aと圧接しているときに比べてアイドルローラ40と圧接しているときの方が分離バネ51の長さが長くなる。
【0062】
このため、アイドルローラ40に分離パッド50aが圧接するときには、給紙ローラ20の円弧部20aと圧接するときよりも低い圧接圧が得られる。一例として、分離バネ51のバネ定数を15gf/mm、アイドルローラ40と給紙ローラ20の円弧部20aとの外径差を3mmとした場合、分離パッド50aの圧接圧を45gf程度変化させることができる。これにより、本発明の搬送負荷低減手段と組み合わせることによって、さらに一層の搬送負荷の低減を図ることができる。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0064】
図7は本実施の形態に係るシート給送装置の概略断面図であり、同図において、第1の実施の形態と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0065】
同図において、60はアイドルローラ40と分離パッド50aとの接触点近傍で紙をパッドに押し付けるシート押さえ手段である可動アイドルローラであり、この可動アイドルローラ60はアイドルローラホルダ61に回転自在に取り付けられている。また、このアイドルローラホルダ61は不図示のバネ等の付勢手段により、分離パッド50aの方向に付勢されると共に、可動アイドルローラ60が、例えば既述した図5に示すような給紙動作中の分離板50の動きに追従できるように、言い換えれば可動アイドルローラ60が分離パッド50aに常時当接することができるよう不図示のシート給送装置本体に昇降自在に保持されている。
【0066】
ここで、この可動アイドルローラ60の特有な作用、効果を説明する。
【0067】
図8は第1実施の形態において、特定の条件下での給紙動作終了直前の状態を示すものである。ここで、この特定の条件とは、シートPの自重が大きいことやシートPの載置角度が垂直に近いとき、あるいは分離パッド50aの摩擦係数が小さい等の条件が重なったときであり、このような場合、同図に示すように最上位のシートP1、次位のシートP2を含む複数枚のシートが、分離パッド50a上に進入してくることがある。
【0068】
そして、この状態のまま給紙動作が終了すると、分離パッド50aとアイドルローラ40とが弱い圧で圧接しているとき、分離パッド50aとアイドルローラ40との間に複数枚のシートが挟まれ、搬送ローラ2,3による搬送が行われたときに次位のシートP2以下の複数のシートが画像形成装置内に進入する場合がある。
【0069】
そこで、本実施の形態のように、分離パッド50aに常時当接する可動アイドルローラ60を追加し、給紙が完了する直前にアイドルローラ40と分離パッド50aの接触点近傍でシートPを分離パッド50aに押し付けることにより、給紙後のアイドルローラ40によるシートPの保持がより確実となる。
【0070】
これにより、給紙ローラ20の円弧部20aと分離パッド50aとのシートPを介した当接が解除された後に、最上位のシートP1と共に次位のシートP2が送られてしまうというような不具合の発生を防ぐことができ、より動作信頼性の高いシート給送装置1を提供することができる。
【0071】
なお、本実施の形態はこれに限らず、可動アイドルローラ60の代わりに、図9に示すようにシート押え手段として、給紙ローラ20とアイドルローラ40との段部のうち給紙ローラ20の停止直前側の段部Aにフランジ部20dを一体的に備えた給紙ローラを用いても良い。また、シート押え手段として分離パッド50a方向に常時付勢される不図示のレバー部材等を適用しても、可動アイドルローラ60を設けた場合と同様な効果が得られ、また動作信頼性を保持したままコストを低く押さえることも可能である。
【0072】
以上、詳細に本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。例えば、これまでの説明においては、シートPを載置板30に傾斜した状態で積載する構成のものについて述べてきたが、シートPを水平載置した状態で給紙する構成のものにも本発明を適用することができる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、給紙ローラと分離手段とによりシートを挟持するとき、搬送負荷低減手段によって給紙ローラと分離手段の圧接により発生する搬送負荷を低減することにより、紙送り精度を低下させることなくシートを1枚ずつ分離して給送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置の概略断面図。
【図2】上記シート給送装置における分離手段の上視図。
【図3】上記シート給送装置の給紙前の状態を示す図。
【図4】上記シート給送装置の給紙中の状態を示す図。
【図5】上記シート給送装置の給紙直後の状態を示す図。
【図6】分離手段の他の例を示す上視図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置の概略断面図。
【図8】第1の実施の形態での特定の条件下における給紙動作終了直前の状態を示す図。
【図9】図8に示す可動アイドルローラの代わりの構成を示す図。
【図10】従来のシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概要構成を示す図。
【図11】従来のシート給送装置の構造を示す図。
【符号の説明】
1 シート給送装置
20 給紙ローラ
20a 円弧部
20b 切欠き部
30 載置板(シート積載手段)
50a 分離パッド(分離手段)
51 分離バネ
53 減圧レバー(搬送負荷低減手段)
54 減圧レバーバネ(搬送負荷低減手段)
Claims (6)
- シートを1枚ずつ分離して給送するシート給送装置において、
シートを支持するシート積載手段と、
外周に円弧部と切欠き部とを有し、回転して該円弧部により前記シート積載手段に積載されたシートを送り出す給紙ローラと、
前記給紙ローラに圧接されるように付勢され該給紙ローラの円弧部との間でシートを1枚ずつ分離するための分離パッドと、
前記給紙ローラの切欠き部が前記分離パッドと対向したときに該給紙ローラと該分離パッドとを離間するアイドルローラと、
前記分離パッドが前記アイドルローラに圧接するときに前記分離パッドと前記アイドルローラとの圧接圧を減圧する減圧レバーと、
を備え、
前記分離パッドが前記給紙ローラの円弧部に圧接するときは前記減圧レバーの作用を規制することを特徴とするシート給紙装置。 - 前記減圧レバーは、前記分離パッドを前記アイドルローラへの移動方向とは逆方向に付勢することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
- 前記アイドルローラは、前記給紙ローラと同軸に回転可能に配されることを特徴とする請求項1または2に記載のシート給送装置。
- 前記シート積載手段は、前記給紙ローラの回転に応じて該給紙ローラに接近する位置と離間する位置とに移動可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
- 前記給紙ローラにより送り出されるシートを常時前記分離パッドに押し付ける可動アイドルローラを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
- シートに画像を形成する画像形成部と、前記シートを前記画像形成部に給紙する請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート給送装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。
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