JP3553771B2 - 断熱箱体における開口形成構造 - Google Patents

断熱箱体における開口形成構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却貯蔵庫の外殻を構成する断熱箱体において開口を形成する部分の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷蔵庫の一例として、内部に貯蔵室を構成すべく断熱箱体を形成し、この断熱箱体の天井の上に冷凍装置を載置して、ここで生成された冷気を庫内に供給する形式のものが知られている。このような形式のものでは、断熱箱体の天井壁に冷却用空気を流通させる開口を形成する必要があり、この開口を形成するためには、例えば実公平5−22786号公報に記載されているように、内箱と外箱に予め窓孔を対応して形成する一方、両箱の窓孔の孔縁の間を塞ぐようにしてウインドウフレームと称する枠体を嵌め、係る状態で両箱の間に断熱材を発泡充填することで、断熱箱体とともに開口を形成するのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、庫内の天井部には、庫内空気を吸引して上記の開口を通して冷凍装置に供給する庫内ファンが設けられるが、従来は、庫内の天井部に上記の開口を覆うようにしてエアダクトが取り付けられ、このエアダクトに庫内ファンを設けるようにしていた。したがって、庫内ファンのモータのメンテナンスや交換等を行う場合には、大きなエアダクトごと庫内ファンを外す必要があって、不便であるという事情があった。
本発明は上記のような事情を背景として完成されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、内箱と外箱の間に断熱材を発泡充填することで断熱箱体が形成され、この断熱箱体の天井壁に、断熱箱体の外部に設置された冷凍装置と内部とを連通する開口を形成する部分における構造であって、前記断熱材を発泡充填する際に前記内箱と外箱の開口縁の間を閉鎖する枠体が備えられ、この枠体の下面には孔が形成された下面板が張られているとともに、冷却用機器が前記孔を通して前記枠体内に収納可能とされており、前記冷却用機器には前記孔内に挿入可能なブラケットが設けられて、このブラケットには、外側に突出した少なくとも2個の取付片が形成されている一方、前記孔の口縁には前記取付片を下方から挿入可能な取付開口が形成され、かつこの取付開口の側方には前記ブラケットの回動に伴い前記取付片を上面に重ね合わせて取り付け可能とする取付部が設けられている構成としたところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記枠体には、前記冷却用機器から引き出された配線の接続部分を収納する収納室が設けられているところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
断熱箱体に開口を形成すべく枠体を利用して冷却用機器を取り付けられるようにしたから、別個に取付部材を備えて冷却用機器を取り付ける場合と比較して、構造がすっきりとまとまり、また冷却用機器の取り付け取り外しも簡単にできるようになって、メンテナンスを行う場合等に便利となる。
【0007】
請求項2の発明
枠体に設けられた収納室に配線の接続部分を収納しておくことで、その接続部分に水滴等がかかることが防止される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図9に基づいて説明する。
まず、本実施形態に係る冷蔵庫の構造の概略を図1及び図2によって説明する。符号1は縦長に形成された断熱箱体からなる本体であって、内部に貯蔵室2が構成され、棚網3等を利用して貯蔵物が貯蔵されるようになっている。本体1の前面には出入口4が形成され、上下二段に分かれた開閉扉5が装着されている。本体1の天井の上には、周囲をパネル7で囲まれることによって機械室8が設けられ、その中に冷凍装置13が設置されている。
【0009】
本体1の天井壁1Aには前後2個の開口が形成され、前側(図2の右側)が吸引用の開口10、後側が吐出用の開口11となっており、吸引用の開口10には、詳しくは後記するように庫内ファン36が装備されている。上記の冷凍装置13は、圧縮機14、凝縮器15及び蒸発器等を閉ループ状に接続して冷凍サイクルを構成した周知構造のものであり、蒸発器は密閉状のボックス16内に収容されている。また、上記の両開口10,11の上面を覆うようにして下面開放の台座17が設けられて、その上に上記の蒸発器を収容したボックス16が設置され、両開口10,11が台座17を介してボックス16内と連通されている。
【0010】
そして、冷凍装置13並びに庫内ファン36が駆動されると、庫内空気が庫内ファン36により吸引用の開口10を通してボックス16内に吸引され、蒸発器の部分を通過する間に熱交換により冷気が生成され、その冷気が吐出側の開口11から貯蔵室2内に吐出されて循環流通することによって、貯蔵室2内が冷却されるようになっている。
なお、機械室8の前面には、各種電装品等を収納したフロントパネル19が設けられている。
【0011】
続いて、上記した本体1の天井壁1Aにおける開口10,11の部分の構造を詳細に説明する。まず吸引用の開口10の部分について説明すると、大まかには、図3に示すように、外箱21と内箱22の天井面には、それぞれ上記の開口10を設けるべき位置に方形状の窓孔23,24が対向して形成され、両窓孔23,24の孔縁の間を塞ぐようにして、ウインドウフレームと称する枠体25が嵌められ、係る状態で両箱21,22の間に発泡ウレタン等の断熱材26を発泡充填することにより、断熱箱体が形成され、それとともに枠体25の内側に開口10が形成される。
【0012】
より詳細には、上記の枠体25は、合成樹脂材によって図4に示すような形状に形成されている。なお同図では、上下の向きを逆にした状態で示されている。この枠体25は、所定高さの平面方形をなす外枠27を備えており、この外枠27の下面(図4では上側)には、中心に円形孔29の形成された下面板28が張られており、下面板28の周縁には、外枠27から外方に突出した鍔部30が形成されている。この鍔部30は、表面側の肉厚が少し薄くされている。
一方、外枠27の上面側(同図では下側)には、外方に出っ張った鍔部31が形成されている。また、外枠27の外面における2つの角部(図4の手前側と向こう側)を除いた部分には、中央高さ位置において補強用のリブ33が立てられ、長さ方向の途中位置に適宜に縦リブ34が形成されている。
【0013】
枠体25内には、庫内ファン36が取り付けられるようになっている。庫内ファン36は、図3に示すようにファンモータ37の出力軸38にファン39が連結された構造であって、ファンモータ37を取り付けたブラケット41が、枠体25に設けられた後記する取付部51に取り付けられるようなっている。
ブラケット41は、例えばステンレス鋼板をプレス成形することによって、図5に示す形状に形成されている。すなわち、細長い基板42の一方の側縁の両端部に一対の立上り片43が直角曲げされて形成され、各立上り片43の上端に、一対の第1取付片44が、基板42を横切ってその他側の側縁からさらに突出するようにして形成されている。各第1取付片44には2個ずつ取付孔45が形成され、両第1取付片44に、ファンモータ37がねじ止めされて固定されるようになっている。
また、上記の両立上り片43の外側の側縁から、それぞれ外側に延出するようにして腕片46が形成されており、両腕片46の延出端が上記の第1取付片44と反対方向に直角曲げされて、さらにその先端に脚片47が垂下状に形成され、その垂下端に外側に直角曲げされた第2取付片48が形成されている。この第2取付片48には、それぞれねじ孔49が切られている。
【0014】
一方、枠体25には、上記のブラケット41を取り付けるための一対の取付部51が設けられている。この取付部51は、図4に示すように、外枠27内の4個の隅部のうちで、対角線上に位置する2個の隅部に対称に設定されている。詳細には、図6にも示すように、下面板28側から、円形孔29に沿った扇形の領域を画成するようにして区画壁52が所定寸法立ち上がって形成され、その領域における一側の部分では下面板28が除去されて、ブラケット41の第2取付片48が表面側から挿入可能な取付開口53が形成されている。扇形領域の他側では、下面板28がそのまま残されて取付板54となっており、この取付板54には取付孔55が形成されている。また、この取付板54と、区画壁52のうちの円形孔29に沿った内壁52Aとの間には、図7に示すように、第2取付片48の板厚にほぼ等しい寸法の溝58が形成されている。
【0015】
したがって、ブラケット41の第2取付片48を図7(A)の矢線に示すように取付開口53に嵌めて内壁52Aの同図の上端面に当てたのち、第2取付片48を溝58に沿って回動すると、同図(B)に示すように、ブラケット41の第2取付片48が枠体25の取付板54の裏面に潜り込んで重なり合うため、取付板54の取付孔55に通したねじ59を第2取付片48のねじ孔49に螺合して締め付けることで、第2取付片48すなわちブラケット41を枠体25に取り付けることができるようになっている。
【0016】
また、外枠27内の隅部のうちで、上記の取付部51の設定された以外の2つの隅部には、ファンモータ37から引き出された配線の接続部分を収納するための収納室61が形成されている。図3,4に示すように、上記の隅部において、上面から下面にわたって区画壁62が形成され、その中が仕切壁63で仕切られて、一方が上記の収納室61に、他方が配線室64になっている。収納室61は、上面側が塞がれて下面のみが開放されている一方、配線室64は、上下両面が開放されて貫通状となっている。
また、仕切壁63の下端側は所定寸法切り欠かれて配線通路65が形成されている。さらに、収納室61の下面側の側壁(外枠27)には、電線の挿通孔67が開口されている。
なお、吐出用の開口11については、庫内ファン36は取り付けられないが、同様に上記した枠体25を用いて開口11が形成される。
【0017】
続いて、本実施形態の作用を説明する。断熱箱体並びに開口は以下のような手順で製造される。
まず内箱22が準備されて、開口10の形成部分では、図3に示すように、内箱22の窓孔24の口縁に、枠体25の下面側の鍔部30が嵌められて載せられ、重ね合わされた部分に紙テープ70が貼られて塞がれる。続いて、内箱22の外側に外箱21が被せられ、開口10の形成部分では、外箱21の窓孔23の口縁が枠体25の上面側の鍔部31にシール材71を挟んで重ねられる。なお、外箱21における吸引側の開口10の形成用の窓孔23の近傍には、電線の挿通孔72が予め開口されている。
【0018】
次に、枠体25の収納室61の側壁に形成された挿通孔67や、外箱21の挿通孔72に適宜の閉塞板73が貼られ、両箱21,22の間に発泡ウレタン等の断熱材26が発泡充填される。ここで、枠体25の外枠27にはリブ33,34が立てられて補強されているので、発泡圧により変形するおそれがなく、したがって枠体25の内側を治具等で受けておく必要はない。上記により断熱箱体(本体1)が形成されるとともに、枠体25の内側に開口10が形成される。
なお、電線の挿通孔67,72に貼られた閉塞板73は必要に応じて剥される。また、外箱21の挿通孔72と、収納室61の挿通孔67の間には、ドリル等を通して断熱材26に穴を開けることによって電線挿通路75が形成される(図8参照)。
【0019】
さらに、上記のように形成された吸引側の開口10に庫内ファン36を取り付ける手順について説明する。まず、フロントパネル19内に設けられた電装品に接続されたファンモータ37の駆動用の配線77は、図8に参照して示すように、外箱21の挿通孔72、電線挿通路75及び挿通孔67を通り、庫内側に引き出される。
一方、庫内ファン36は、ファンモータ37に、図3に示すようにブラケット41が取り付けられる。そして、ファンモータ37を上向きにした姿勢で、同図の矢線に示すように、庫内側から吸引側の開口10内に挿入される。その際、ファンモータ37から引き出された配線78は、図8に参照して示すように、枠体25の上面側から配線室64に通されて庫内に引き出される。そして、図7において説明したように、ブラケット41の両第2取付片48を、枠体25の対応する取付部51における取付開口53に嵌めて内壁52Aの下端面に当てたのち、ブラケット41を下方から見て時計回り方向に回動すると、両第2取付片48が枠体25の取付板54の裏面に潜り込んで重なり合うため、取付板54の取付孔55にねじ59を通して第2取付片48のねじ孔49に螺合して締め付けることで、ブラケット41が枠体25に固定される。これにより図8に示すように、庫内ファン36が開口10内にほぼすっぽりと収まって取り付けられる。
【0020】
次に、ファンモータ37と電装品側から引き出された配線77,78同士が庫内において接続されたのち、その接続部分にキャップ79が被せられて、枠体25に形成された収納室61内に収納される。最後に、ファン39とともに開口10の下面側を覆うようにして、ファンカバー80がねじ止めして取り付けられる。
なお、吐出側の開口11の下面にも、見栄え等を考慮して同様のファンカバー80が取り付けられる。
【0021】
以上によって組み付けが完了し、冷凍装置13並びに庫内ファン36が駆動されると、庫内空気が庫内ファン36により吸引用の開口10を通して蒸発器のボックス16内に吸引され、そこで生成された冷気が吐出側の開口11から貯蔵室2内に吐出されて循環流通することによって、貯蔵室2内が冷却される。ここで、庫内ファン36は枠体25内にほぼ収まって配されているので、枠体25がシュラウドの役目をし、ファンモータ37の能力が最大限に発揮される。また、配線77,78の接続部分は、上面の閉鎖された収納室61内に収納されているので、蒸発器から水滴が滴下したような場合にも、接続部分が濡れるといったことがない。
【0022】
ファンモータ37のメンテナンスや交換を行うべく庫内ファン36を外す場合は、以下のような手順で行われる。まず、ねじを緩めてファンカバー80を外す。続いて、配線77,78の接続部分を収納室61から庫内側に引き出し、キャップ79を外して接続を解く。続いて、ねじ59を緩めてブラケット41を枠体25の取付板54から外し、ブラケット41を下から見た反時計回り方向に回動させると、ブラケット41の第2取付片48が溝58を通って取付開口53側に抜けるため、そのまま庫内ファン36を庫内側へ外すことができる。
庫内ファン36を再度取り付ける際には、上記と逆の手順によって行える。
【0023】
以上説明したように本実施形態によれば、以下のような数々の利点を得ることができる。
断熱箱体(本体1)に開口10を形成すべく枠体25を利用して庫内ファン36を取り付けられるようにしたから、エアダクト等の別個の取付部材に取り付ける場合と比較して、構造が簡単となる。また、庫内ファン36が開口10にほぼすっぽりと収まるので、貯蔵室2の容量が大きく採れ、また貯蔵室2の天井面が意匠的に優れたものとなる。
また、ファンモータ37の配線77,78の接続部分が、枠体25に形成された庫内側にのみ開口した収納室61に収納できるようになっているから、接続部分に水滴等が掛かることが防がれる。さらに、庫内ファン36の取付取り外しを、配線作業も含めてすべて庫内側から行えるので、メンテナンスを行う場合等にきわめて便利となる。
【0024】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)本発明は、断熱箱体の天井壁のみに限らず、他の側壁に開口を形成する場合にも同様に適用することができる。
(2)枠体内には、庫内ファンに限らず、他の冷却用機器を取り付けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る冷蔵庫の外観斜視図
【図2】その部分側断面図
【図3】断熱箱体の成形時の断面図
【図4】枠体の斜視図
【図5】ブラケットの斜視図
【図6】枠体の平断面図
【図7】ブラケットの取付手順を示す部分斜視図
【図8】庫内ファンの取付時の断面図
【図9】ファンカバーを取り付けた後の一部切欠正面図
【符号の説明】
1…本体(断熱箱体) 1A…天井壁 10…(吸引側の)開口 13…冷凍装置 21…外箱 22…内箱 23,24…窓孔 25…枠体 26…断熱材36…庫内ファン 41…ブラケット 51…取付部 61…収納室 77,78…配線 79…キャップ

Claims (2)

  1. 内箱と外箱の間に断熱材を発泡充填することで断熱箱体が形成され、この断熱箱体の天井壁に、断熱箱体の外部に設置された冷凍装置と内部とを連通する開口を形成する部分における構造であって、
    前記断熱材を発泡充填する際に前記内箱と外箱の開口縁の間を閉鎖する枠体が備えられ、この枠体の下面には孔が形成された下面板が張られているとともに、冷却用機器が前記孔を通して前記枠体内に収納可能とされており、
    前記冷却用機器には前記孔内に挿入可能なブラケットが設けられて、このブラケットには、外側に突出した少なくとも2個の取付片が形成されている一方、
    前記孔の口縁には前記取付片を下方から挿入可能な取付開口が形成され、かつこの取付開口の側方には前記ブラケットの回動に伴い前記取付片を上面に重ね合わせて取り付け可能とする取付部が設けられていることを特徴とする断熱箱体における開口形成構造。
  2. 前記枠体には、前記冷却用機器から引き出された配線の接続部分を収納する収納室が設けられていることを特徴とする請求項1記載の断熱箱体における開口形成構造。
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