JP3553329B2 - ガラス状カーボン材の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス状カーボン材及びその製造法に係わり、特に耐食性に優れた半導体製造装置用部材、CVD装置用部材、スパッタリングターゲット用部材などに適したガラス状カーボン材及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス状カーボン材は、一般の炭素材料が有する軽量性、耐熱性、耐食性、電気伝導性、高純度化が可能である等の性質を備えているほか、ガス不透過性、低発塵性、硬度が高く鏡面加工が可能である等の特徴を持っていることから、エレクトロニクス産業、原子力産業、航空産業等各種の分野での広範な用途に使用されつつある。
ガラス状カーボン材は一般に、熱硬化性樹脂を原料とし、これを硬化した後に不活性雰囲気中で焼成炭素化して得られるが、成形から高温での熱処理までの製造工程においては終始固相を経由するために、気体あるいは液体に対して不透過性である。
【0003】
このため、熱硬化性樹脂の硬化過程において、縮重合反応によって生成する縮合水や分解ガス、原料樹脂に含まれる揮発性モノマーが拡散されにくく、成形体中に閉気孔が生成する要因となる。また、焼成炭素化過程においては、樹脂の熱分解に伴って発生する分解ガスやタール成分の拡散が不十分になると成形体に発泡・キレツが発生し、目的とする形状のガラス状カーボンが得られなくなり、あるいは発泡・キレツが発生するに至らないまでも、タール成分が膨張して成形体中に閉気孔を生成する。
焼成炭素化過程で発生する分解ガスとは、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、メタン、エタンなど常温・常圧下において気体である低分子量物質を指し、タール成分とは樹脂が熱分解して生成する雑多な物質で、常温・常圧下において液体である中分子量物質を指す。
【0004】
従来の技術では、焼成炭素化過程でのタール成分の発生量を抑えるために長時間かけて硬化を行う方法や、焼成炭素化時の昇温速度を小さくして分解ガスおよびタール成分を成形体外に徐放する方法などによって発泡・キレツの発生や大きな閉気孔の生成を防止する方法が行われていたが未だその解決方法は見出されていない。
そのため、硬化や焼成をはじめとする製造時間を大幅に短縮し、かつ発泡、亀裂の発生や大きな閉気孔の生成を防止して耐食性に優れ、且つ目的の形状のガラス状カーボンを歩留良く製造する方法の開発が要望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した要求を満足するものである。
即ち請求項1記載の発明は、製造期間が短くても焼成炭素化時の発泡・キレツの発生を防止し、良好な性状のガラス状カーボン材が歩留良く得られるガラス状カーボン材の製造法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱硬化性樹脂を含む原料を成形し、この成形体を常圧下で加熱してゴム硬度が8〜75の状態まで硬化した後、0.001〜3 Torr の圧力に減圧し、さらに硬化した後に焼成炭素化することを特徴とするガラス状カーボン材の製造法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のガラス状カーボンの製造法では、熱硬化性樹脂を含む原料を用いる。前記熱硬化性樹脂としては、フラン樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、キシレン樹脂等を挙げることができる。また、これら樹脂の混合物を用いることもできる。これらの中で、炭化性、成形加工性等を考慮すると、フラン樹脂又はフェノール樹脂が好ましく、フラン樹脂がより好ましい。前記フラン樹脂の種類としては、フルフラール樹脂、フルフラールフェノール樹脂、フルフラールケトン樹脂、フルフリルアルコール樹脂、フルフリルアルコールフェノール樹脂などの樹脂の初期縮合物が好ましいものとして挙げられる。
【0008】
熱硬化性樹脂を含む原料は、前記熱硬化性樹脂のみである場合もあるが、必要に応じて前記樹脂の硬化剤を用いることができ、その例としては酸又はアルカリが挙げられる。酸としては硫酸、塩酸、硝酸、りん酸等の無機酸、フェノールスルホン酸、硫酸アニリン、ピクリン酸等の酸が好ましいものとして挙げられ、より好ましくはフェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフロロ酢酸等の有機カルボン酸等が好ましく、フェノールスルホン酸及びパラトルエンスルホン酸がより好ましい。アルカリとしてはアンモニア、アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が好ましい。
【0009】
硬化剤の使用量は、使用した樹脂の種類などによって変動するが、少なすぎると十分に硬化できず、多すぎると急激に硬化反応がおこり発泡等がおこってきれいな成形体を製造することが困難になるので、熱硬化性樹脂に対して0.001〜20重量%の範囲とすることが好ましく、0.01〜15重量%の範囲とすることがより好ましい。
硬化剤は、そのまま、または適宜溶媒に溶解して熱硬化性樹脂に添加する。ここで用いる溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、トルエン等の芳香族類などが挙げられる。
【0010】
本発明のガラス状カーボンの製造法では、必要に応じて硬化剤や溶剤を樹脂に添加し、撹拌混合した出発原料を硬化してゴム硬度が8〜75の状態とし(1次工程)、ここで減圧し(2次工程)、さらに硬化する(3次工程)という3段階の工程を含み、ついで焼成炭素化することを特徴とする。
【0011】
ここでいう1次工程とは、熱硬化性樹脂に必要に応じて硬化剤を添加して、初期の成形硬化をすすめる工程をいい、ゴム硬度が8〜75まで硬化を進める。ゴム硬度は10〜70になるまで硬化を行う進めることが好ましく、30〜60になるまで硬化を進めることがより好ましい。ここで、1次工程の硬化が8未満の段階で2次工程である減圧工程に移行すると、減圧に続いて行う、3次工程である加熱による硬化において架橋を形成するために必要な量を超えるモノマー等を除去してしまうために、得られる製品には閉気孔が増えるとともに耐食性が低下する。一方、ゴム硬度が75を超える段階で2次工程である減圧工程に移行しても、熱硬化性樹脂の硬化がかなり進行しているために、縮合水や未反応モノマーによる凝集跡が生成しており、得られる製品には縮合水や未反応モノマーによる凝集跡に由来する閉気孔が残存するとともに耐食性が低下する。
【0012】
1次工程の硬化は、常圧下で行い、硬化温度は成形加工性及び硬化反応制御の容易さの点から、30〜100℃とすることが好ましく、硬化時間は同様の点から、1〜70時間とすることが好ましい。
なお、本発明でいうゴム硬度とはJIS−K−6301に準拠して測定することができる。測定装置としては、例えば、(株)テクロック製ゴム硬度計(GS−706N)を用いることができる。
【0013】
続く2次工程は、前記1次工程の過程で生成した縮合水や熱硬化性樹脂の初期縮合物に含有される過剰な未反応モノマーを除去するための工程であり、減圧することによりこの工程を行う。2次工程を省略した場合、これに続く、加熱による硬化の過程において縮合水や未反応モノマーが除去しきれずに樹脂成形体内部に気孔を形成し、最終製品となるガラス状カーボン内部にまで閉気孔を残留させる。また、1次工程の際に生成する縮合水や余分な未反応モノマーは、2次工程に続く硬化を行う上で3次元網目構造の架橋形成反応を阻害する要因となり、結果的に硬化時間の長期化や、3次元網目構造が十分に形成されず、焼成炭素化時に多量のタール成分を発生させる要因となる。
なお、一般にこの減圧を行う2次工程でも硬化は進行するが、硬化が全く進行しなくともよい。
【0014】
2次工程における、減圧の圧力は0.001〜3Torr、好ましくは0.01〜1Torrとされる。
減圧における温度は、反応制御のしやすさの点から、0〜70℃が好ましい。また、減圧時間は、対象となる成形体の大きさより異なるが、一般に5時間〜1ヶ月が好ましく、10時間〜20日がより好ましい。
2次工程は成形体の取り扱いの容易さの点から、得られる成形体のゴム硬度が20〜85まで行うことが好ましい。
【0015】
続く3次工程では、さらに加熱により架橋反応を進行させ、熱硬化性樹脂の3次元網目構造を発達させ硬化させる。この工程は常圧下又は加圧下で行われることが好ましい。
3次工程の硬化は20〜300℃の温度で行われることが好ましく、50〜200℃の温度で行われることがより好ましい。硬化時間は3日〜30日が好ましい。
【0016】
以上により得られる樹脂成形体は、ついで焼成炭素化してガラス状カーボン材とされるが、これは不活性雰囲気下で行われることが好ましい。不活性雰囲気下としては、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスや窒素、水素、ハロゲン等の非酸化性ガスの少なくとも一種又は二種以上の混合物からなる酸素を含まない気体雰囲気下又は真空下をいう。
焼成炭素化には、高度に純化された治具及び炉などを用いることができる。炭素化における温度は800〜3000℃が好ましいが、本発明では下記理由により1100〜2800℃が特に好ましい。炭化時間は昇温速度、最高温度での保持時間等により大きく異なるが、5時間〜30日が好ましい。
【0017】
ここで焼成炭素化を1100℃未満の温度で処理して得られるガラス状カーボンは比重が1500kg/m3未満であったり、直径100μmを超える大きな閉気孔を有するため耐食性が低下する傾向があり、2800℃を超える温度で熱処理して得られるガラス状カーボンは耐食性が低下する傾向にある。
【0018】
本発明のガラス状カーボン材は、以上の方法により得ることができ、その特徴は、最大閉気孔径が100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは1μm以下であり、比重は1500kg/m3以上、好ましくは1520kg/m3以上である。この最大閉気孔径及び比重を満たすものは、耐食性に優れ、産業用部材として、また、電子関連部材として大変優れた特性を示すものである。
なお、前記方法によれば、減圧工程(2次工程)により、焼成炭素化時にタール成分が大量に発生することによる残炭率の低下、ひいてはガラス状カーボンの比重の低下を避けることができ、また、タール成分の発生量が小さくなることにより最大閉気孔径を抑制することができる。
【0019】
なお、前記最大閉気孔径は製品の不特定の断面における任意の位置の厚み方向を金属顕微鏡にて測定した閉気孔径のうち最大のものをいう。また、前記比重はJIS−R−7222−1979の方法にしたがって測定することができる。
本発明のガラス状カーボン材は、プラズマエッチング用電極、ハードディスク基板、りん酸型燃料電池セパレーター、耐酸容器部材、半導体用装置部材、化学分析用電極、カーボンスパッタ用ターゲット等として有用である。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1
原料樹脂にフラン樹脂(日立化成工業(株)製、VF−303)100重量部に対し、硬化剤としてパラトルエンスルホン酸0.6重量部を加え、アルミシャーレに注形して50℃加熱下で、3時間で成形し次いで7時間で硬化を行い、厚さ6mmで直径300mm、ゴム硬度70の円板形状の樹脂成形体を得た(1次工程)。
この樹脂成形体を0.1Torrの減圧下、30℃で1日間硬化した(2次工程)。このときのゴム硬度は80であった。次いで70℃で5日、90℃で5日で加熱により硬化した(3次工程)後、窒素雰囲気下にて0.5℃/分の昇温速度で最高900℃で10時間保持して焼成炭素化を行った後、アルゴン雰囲気下にて1℃/分の昇温速度で最高2200℃で10時間保持し熱処理した。得られたガラス状カーボンに発泡・キレツは発生しなかった。
【0021】
上記のガラス状カーボンを破断して破面の閉気孔観察と水中置換法による比重測定を行った。測定結果を表1に示す。また、10mm×10mm×3mmの直方体のテストサンプルを製作し、600℃の空気中で5分間保持して酸化消耗を測定した結果を表1に併記する。
表1から、本実施例は最大閉気孔径が0.5μmと非常に小さく、比重は1526kg/m3と高く、酸化消耗は0.03mg/cm2・分と耐酸化性に優れており、非常に優れた特性を示した。
なお、ゴム硬度とはJIS−K−6301に準拠して(株)テクロック製(GS−706N)により測定し、酸化消耗とは製品から切出した試料片を600℃空気中で5分間保持した時の重量減少から算出した値をいい、比重はJIS−R−7222−1979の方法で測定した値をいう。
【0022】
実施例2
実施例1の原料樹脂及び硬化剤を用い、アルミシャーレに注形して50℃加熱下で3時間で成形し、次いで1時間で硬化を行い、厚さ6mmで直径250mm、ゴム硬度10の円板形状の樹脂成形体を得た(1次工程)。
この樹脂成形体を0.1Torrの減圧下で20℃で5日間硬化した(2次工程)。このときのゴム硬度は28であった。次いで70℃で5日、90℃で3日で加熱により硬化した(3次工程)後、窒素雰囲気下にて0.5℃/分の昇温速度で最高900℃で10時間保持して焼成炭素化を行った後、1×10−5Torrの真空中で1℃/分の昇温速度で最高温度1100℃で8時間処理した。得られたガラス状カーボンに発泡・キレツは発生しなかった。
【0023】
上記のガラス状カーボンを破断して破面の閉気孔観察と水中置換法による比重測定を行った。測定結果を表1に示す。また、10mm×10mm×3mmのテストサンプルを製作し、600℃空気中で5分間保持して酸化消耗を測定した結果を表1に併記する。
表1から、本実施例は最大閉気孔径が100μmと小さく、比重は1500kg/m3と高く、酸化消耗は0.05mg/cm2・分と耐酸化性に優れており、非常に優れた特性を示した。
【0024】
実施例3
原料樹脂にフラン樹脂(日立化成工業(株)製、VF−303)100重量部に対し、硬化剤としてフェノールスルホン酸1重量部を加え、アルミシャーレに注形して70℃加熱下で1時間で成形し、次いで3時間で硬化を行い、厚さ5mmで直径500mm、ゴム硬度60の円板形状の樹脂成形体を得た(1次工程)。
この樹脂成形体を0.1Torrの減圧下で1日間硬化した(2次工程)。このときのゴム硬度は65であった。次いで70℃で5日、90℃で5日で加熱により硬化した(3次工程)後、窒素雰囲気下にて0.5℃/分の昇温速度で最高900℃で10時間保持して焼成炭素化を行った後、次いで1×10−4Torrの真空中にて最高温度1800℃で5時間保持し熱処理した。得られたガラス状カーボンに発泡・キレツは発生しなかった。
【0025】
上記のガラス状カーボンを破断して破面の閉気孔観察と水中置換法による比重測定を行った。測定結果を表1に示す。また、10mm×10mm×3mmのテストサンプルを製作し、600℃空気中で5分間保持して酸化消耗を測定した結果を表1に併記する。
表1から、本実施例は最大閉気孔径が25μmと非常に小さく、比重は1546kg/m3と高く、酸化消耗は0.03mg/cm2・分と耐酸化性に優れており、非常に優れた特性を示した。
【0026】
実施例4
原料樹脂にフラン樹脂(日立化成工業(株)製VF−303)100重量部に対し、硬化剤としてフェノールスルホン酸0.6重量部を加え、アルミシャーレに注形して50℃加熱下で1時間で成形し、次いで3時間で硬化を行い、厚さ5mmで直径500mm、ゴム硬度53の円板形状の樹脂成形体を得た(1次工程)。
この樹脂成形体を0.1Torrの減圧下で1日間硬化した(2次工程)。このときのゴム硬度は70であった。次いで70℃で5日、90℃で5日で加熱により硬化した(3次工程)後、窒素雰囲気下にて0.5℃/分の昇温速度で最高900℃で10時間保持して焼成炭素化を行った後、次いで1×10−4Torrの真空中にて最高温度2200℃で5時間保持し熱処理した。得られたガラス状カーボンに発泡・キレツは発生しなかった。
【0027】
上記のガラス状カーボンを破断して破面の閉気孔観察と水中置換法による比重測定を行った。測定結果を表1に示す。また、10mm×10mm×3mmのテストサンプルを製作し、600℃空気中で5分間保持して酸化消耗を測定した結果を表1に併記する。
表1から、本実施例は最大閉気孔径が10μmと非常に小さく、比重は1550kg/m3と高く、酸化消耗は0.02mg/cm2・分と耐酸化性に優れており、非常に優れた特性を示した。
【0028】
比較例1
原料樹脂にフラン樹脂(日立化成工業(株)製VF−303)100重量部に対し、硬化剤としてパラトルエンスルホン酸0.5重量部を加え、アルミシャーレに注形して50℃加熱下で3時間で成形を行い、次いで5時間で硬化を行い、厚さ5mm、直径300mm、ゴム硬度55の円板形状の樹脂成形体を得た。
この樹脂成形体を70℃で30日、90℃で30日で加熱硬化した後、窒素雰囲気下にて0.5℃/分の昇温速度で最高900℃で10時間保持し焼成炭素化を行った。焼成炭素化後に成形体を取出したところ、成形体は発泡によって元の形状を留めていなかった。
水中置換法により上記の発泡したガラス状カーボンの破片について比重測定を行った。測定結果を表1に示す。また、10mm×10mm×3mmのテストサンプルを製作し、600℃空気中で5分間保持して酸化消耗を測定した結果を表1に併記する。
【0029】
比較例2
原料樹脂にフラン樹脂(日立化成工業(株)製VF−303)100重量部に対し、硬化剤としてフェノールスルホン酸1重量部を加え、アルミシャーレに注形して50℃加熱下で1時間で成形し、次いで1時間で硬化を行い、厚さ5mmで直径500mm、ゴム硬度5の円板形状の樹脂成形体を得た。
この樹脂成形体を0.1Torrの減圧下で1日間硬化した。このときのゴム硬度は7であった。次いで70℃で5日、90℃で5日で加熱により硬化した後、窒素雰囲気下にて0.5℃/分の昇温速度で最高900℃で10時間保持して焼成炭素化を行った後、次いで不活性雰囲気中にて最高温度1100℃で5時間保持し熱処理した。得られたガラス状カーボンに発泡・キレツは発生しなかった。
上記のガラス状カーボンを破断して破面の閉気孔観察と水中置換法による比重測定を行った。測定結果を表1に示す。また、10mm×10mm×3mmのテストサンプルを製作し、600℃空気中で5分間保持して酸化消耗を測定した結果を表1に併記する。
【0030】
比較例3
原料樹脂にフラン樹脂(日立化成工業(株)製VF−303)100重量部に対し、硬化剤としてフェノールスルホン酸3重量部を加え、アルミシャーレに注形して50℃加熱下で2時間で成形し、次いで5時間で硬化を行い、厚さ5mmで直径500mm、ゴム硬度80の円板形状の樹脂成形体を得た。
この樹脂成形体を0.1Torrの減圧下で1日間硬化した。このときのゴム硬度は89であった。次いで70℃で5日、90℃で5日で加熱により硬化した後、窒素雰囲気下にて0.5℃/分の昇温速度で最高900℃で10時間保持して焼成炭素化を行った後、次いで1×10−4Torrの真空中にて最高温度2400℃で5時間保持し熱処理した。得られたガラス状カーボンに発泡・キレツは発生しなかった。
上記のガラス状カーボンを破断して破面の閉気孔観察と水中置換法による比重測定を行った。測定結果を表1に示す。また、10mm×10mm×3mmのテストサンプルを製作し、600℃空気中で5分間保持して酸化消耗を測定した結果を表1に併記する。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
請求項1記載のガラス状カーボン材の製造法によれば、製造期間が短くても焼成炭素化時の発泡・キレツの発生を防止し、耐食性等に優れる良好な性状のガラス状カーボン材が歩留良く得られる。
Claims (1)
- 熱硬化性樹脂を含む原料を成形し、この成形体を常圧下で加熱してゴム硬度が8〜75の状態まで硬化した後、0.001〜3Torrの圧力に減圧し、さらに硬化した後に焼成炭素化することを特徴とするガラス状カーボン材の製造法。
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