JP3555670B2 - プラズマエッチング用電極板の製造法及び該製造法で得られたプラズマエッチング用電極板 - Google Patents

プラズマエッチング用電極板の製造法及び該製造法で得られたプラズマエッチング用電極板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマエッチング用電極板の製造法及び該製造法で得られたプラズマエッチング用電極板に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス状炭素は、一般の炭素材料が有する軽量、耐熱性、耐食性、電気伝導性等の性質を備えているほか、ガス不透過性で硬度が高い、発塵性が少ない等の特長を有するところから、エレクトロニクス産業、原子力産業、航空産業等各種の分野での広範な用途に使用されつつある。最近は、特開昭62−252942号公報に示されるように炭素粒子の脱落や付着がない性質を利用して、半導体集積回路を製造する際のウエハーのプラズマエッチング加工用電極板として使用することが検討されている。
【0003】
しかしながら近年の半導体集積回路は高性能化が進み、従来問題とされなかったより微細なパーティクル(異物)の発生、さらにはエッチング速度の不安定等の問題がある。
プラズマエッチング用電極板に対する要求性能は一層高度になってきており、特にエッチング時にウエハ画に落下し付着する炭素粒子等の異物の数の少ないものが要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、エッチング時にウエハ面に落下し付着する炭素粒子などの異物の数が少なく、消耗速度の遅いプラズマエッチング用電極板の製造法を提供するものである。
請求項2記載の発明は、エッチング時にウエハ面に落下し付着する炭素粒子などの異物の数が少なく、消耗速度の遅いプラズマエッチング用電極板を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱硬化性樹脂100重量部に、可塑剤としてジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジプロピルフタレート等のジアルキルフタレート類、グリセリン、エチレングリコール、トリアセチン等の多価アルコール又はその誘導体、ナフタレン、アニリン、フタル酸nブチル等から選ばれた1種又はその混合物0.3〜30重量部を加えて混合し、成形、硬化後、不活性雰囲気中で炭化及び高温処理することを特徴とするガラス状炭素製プラズマエッチング用電極板の製造法に関する。
また、本発明は、上記の製造法で得られ、かつ見掛け密度が1.48〜1.55g/cm3 、比抵抗が38〜45μΩm、曲げ強さが120〜230MPa及び気孔径が10μm以下のプラズマエッチング用電極板に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる熱硬化性樹脂としては特に制限はないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、キシレン樹脂等を挙げることができる。また、上記の樹脂の混合物を用いてもよい。好ましくはフラン樹脂及び/又はフェノール樹脂である。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジプロピルフタレート等のジアルキルフタレート類、グリセリン、エチレングリコール、トリアセチン等の多価アルコール又はそ誘導体、ナフタレン、アニリン、フタル酸nブチル等から選ばれた1種又はその混合物が用いられる。可塑剤の量は、炭素粒子などの異物の数、消耗速度等を減少させる点で熱硬化性樹脂100重量部に対して0.3〜30重量部とされる
【0007】
本発明に用いられる熱硬化性樹脂は、硬化前に目的とする形状に応じて成形されるが、その成形方法については特に制限はない。所定の形状に成形した後、更に130〜200℃の温度で硬化処理する。次いで、電極板の形状にするため所定の加工を行った後、高純度の治具及び炉を用い不活性雰囲気中(通常、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスや窒素、水素、ハロゲンガス等の非酸化性ガスの少なくとも1種の気体からなる酸素を含まない雰囲気、減圧又は真空下)において約1000℃の温度で焼成炭化する。更に1500℃以上の温度、好ましくは2000℃以上の温度で高温処理しガラス状炭素からなるプラズマエッチング用電極板が得られる。プラズマエッチング用電極板を得る方法は前記の方法以外にガラス状炭素を得た後、放電加工あるいは超音波加工で所定の形状のプラズマエッチング用電極板に加工してもよい。可塑剤を加えて混合した熱硬化性樹脂の成形、硬化は縮合水などが外部に抜け易い加熱条件及び昇温速度で行うか又は硬化の為の触媒量を適正な量に設定して安定した樹脂板を得る。ガラス状炭素の不純物含有量はウエハを汚染するおそれがあるので20ppm以下が好ましい。
【0008】
プラズマエッチング用電極板は、見掛け密度が1.48〜1.55g/cm3の範囲とされ、上記の範囲から外れると異物数が増加し、また消耗速度が速くなり、実質上の特性向上は実現しなくなるおそれがある。
本発明においては、さらに比抵抗が38〜45μΩm、曲げ強さが120〜230MPa及び気孔径が10μm以下とされ、上記の範囲から外れると異物数が少なく、消耗速度が遅いプラズマエッチング用電極板を得ることができない。
上記における見掛け密度はJIS R 2701に準じる方法により求めた値、比抵抗はJIS R 7202に準じる方法により求めた値、曲げ強さはJIS R 7222に準じる方法により求めた値及び気孔径は1cm中に含まれる気孔の平均径から求めた値である。
【0009】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。
実施例1
フラン樹脂(日立化成工業(株)製、商品名VF−303)100重量部にパラトルエンスルホン酸0.6重量部、フタル酸nブチル10重量部及びエチレングリコール5重量部を添加し、十分混合した後、該混合物を成形型に注入し50℃で3日、70℃で3日及び90℃で3日間保持して乾燥硬化した後、160℃までを5℃/時間で昇温し、160℃で3日間保持し硬化処理を行い厚さが4mmで直径が285mmの円板状樹脂成形体を得た。
【0010】
該成形体を環状炉に入れ窒素気流中で1300℃の温度で10日間焼成炭化した後、高純度の治具及び雰囲気炉を用い窒素気流中で2000℃の温度で40時間高温処理を行いガラス状炭素を得た。次いで該ガラス状炭素に直径が0.8mmの貫通小孔を3mmのピッチで多数穿孔しプラズマエッチング用電極板を得た。得られたプラズマエッチング用電極板の性状を表1に示す。表1において酸化減量は10×10mmで、厚さが2mmの試験片を600℃の大気中に30分さらしたときの毎分、1cm当たりの減量を示す。
【0011】
次に、得られたプラズマエッチング用電極板をプラズマエッチング装置にセットし、反応ガス:トリフロロメタン(CHF)、キャリアガス:アルゴン(Ar)、反応チャンバー内のガス圧:1Torr、電源周波数:13.5MHzの条件で直径6インチのシリコンウエハの酸化膜エッチングを行った。このときシリコンウエハの表面に付着した0.15μm以上の粉末粒子(異物数)の個数を数えた。また上記と同じ条件で酸化膜エッチングを行い消耗速度を求めた。この結果を表2に示す。表2に示されるように、本発明になるプラズマエッチング用電極板の異物数は3個で、消耗速度が9.7μm/時間と、消耗量の少ないことが示される。なお表において気孔径は金属顕微鏡で観察して求めた値を示し、消耗速度は次式により求めた(以下同じ)。
【0012】
【数1】
Figure 0003555670
【0013】
実施例2
フラン樹脂(日立化成工業(株)製、商品名VF−303)100重量部にパラトルエンスルホン酸0.6重量部、フタル酸nブチル10重量部及びエチレングリコール10重量部を添加し、十分混合し、以下実施例1と同様の工程を経てプラズマエッチング用電極板を得た。得られたプラズマエッチング用電極板の性状を表1に及び電極特性を表2に示す。
表2に示されるように、本発明になるプラズマエッチング用電極板の異物数は15個で、消耗速度が8.4μm/時間と、消耗量の少ないことが示される。
【0014】
実施例3
フラン樹脂(日立化成工業(株)製、商品名VF−303)70重量部及びフェノール樹脂(日立化成工業(株)製、商品名VP−112N)30重量部を50℃の温度で十分混合した後、30℃まで冷却した。次いで該混合物100重量部に対し、パラトルエンスルホン酸0.6重量部、フタル酸nブチル5重量部及びエチレングリコール20重量部を添加し、十分混合し、以下実施例1と同様の工程を経てプラズマエッチング用電極板を得た。得られたプラズマエッチング用電極板の性状を表1に及び電極特性を表2に示す。
表2に示されるように、本発明になるプラズマエッチング用電極板の異物数は30個で、消耗速度が8.7μm/時間と、消耗量の少ないことが示される。
【0016】
実施例
フラン樹脂(日立化成工業(株)製、商品名VF−303)100重量部に対し、パラトルエンスルホン酸0.3重量部及びエチレングリコール5重量部を添加し、十分混合し、以下実施例1と同様の工程を経てプラズマエッチング用電極板を得た。得られたプラズマエッチング用電極板の性状を表1に及び電極特性を表2に示す。
表2に示されるように、本発明になるプラズマエッチング用電極板の異物数は32個で消耗速度が8.9μm/時間と、消耗量の少ないことが示される。
【0017】
実施例
フラン樹脂(日立化成工業(株)製、商品名VF−303)100重量部に対し、パラトルエンスルホン酸0.3重量部及びエチレングリコール1.5重量部を添加し、十分混合し、以下実施例1と同様の工程を経てプラズマエッチング用電極板を得た。得られたプラズマエッチング用電極板の性状を表1に及び電極特性を表2に示す。
表2に示されるように、本発明になるプラズマエッチング用電極板の異物数は38個で消耗速度が7.8μm/時間と、消耗量の少ないことが示される。
【0018】
実施例
フラン樹脂(日立化成工業(株)製、商品名VF−303)100重量部に対し、パラトルエンスルホン酸0.3重量部及びエチレングリコール0.3重量部を添加し、十分混合し、以下実施例1と同様の工程を経てプラズマエッチング用電極板を得た。得られたプラズマエッチング用電極板の性状を表1に及び電極特性を表2に示す。
表2に示されるように、本発明になるプラズマエッチング用電極板の異物数は25個で消耗速度が8.1μm/時間と、消耗量の少ないことが示される。
【0019】
比較例1
フラン樹脂(日立化成工業(株)製、商品名VF−303)100重量部に対し、パラトルエンスルホン酸50重量%水溶液1重量部を加え、十分混合し、以下実施例1と同様の工程を経てプラズマエッチング用電極板を得た。得られたプラズマエッチング用電極板の性状を表1に及び電極特性を表2に示す。
表2に示されるように、比較例のプラズマエッチング用電極板の異物数は70個と多く、また消耗速度は12.5μm/時間で消耗量が多い、即ち消耗速度が速いことが示される。
【0020】
比較例2
フラン樹脂(日立化成工業(株)製、商品名VF−303)100重量部に対し、パラトルエンスルホン酸0.3重量部及びエチレングリコール0.2重量部を添加し、十分混合し、以下実施例1と同様の工程を経てプラズマエッチング用電極板を得た。得られたプラズマエッチング用電極板の性状を表1に及び電極特性を表2に示す。
表2に示されるように、比較例のプラズマエッチング用電極板の異物数は80個と多く、また消耗速度は12.8μm/時間と消耗量が多い、即ち消耗速度が速いことが示される。
【0021】
【表1】
Figure 0003555670
【0022】
【表2】
Figure 0003555670
【0023】
【発明の効果】
請求項1における方法により得られるプラズマエッチング用電極板は、エッチング時に発生する有害な炭素微粒子などの異物の数を大幅に少なくすることができ、消耗速度が遅く、長時間の使用が可能である。従ってトラブルがなく安定なエッチング加工を行うことが可能である。
請求項2におけるプラズマエッチング用電極板は、エッチング時に発生する有害な炭素微粒子などの異物の数を大幅に少なくすることができ、消耗速度が遅く、長時間の使用が可能である。従ってトラブルがなく安定なエッチング加工を行うことが可能であり、また機械的強度に優れ、取付け時の破損を極めて少なくすることが可能である。

Claims (2)

  1. 熱硬化性樹脂100重量部に、可塑剤としてジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジプロピルフタレート等のジアルキルフタレート類、グリセリン、エチレングリコール、トリアセチン等の多価アルコール又はその誘導体、ナフタレン、アニリン、フタル酸nブチル等から選ばれた1種又はその混合物0.3〜30重量部を加えて混合し、成形、硬化後、不活性雰囲気中で炭化及び高温処理することを特徴とするガラス状炭素製プラズマエッチング用電極板の製造法。
  2. 請求項1記載の製造法で得られ、かつ見掛け密度が1.48〜1.55g/cm3 、比抵抗が38〜45μΩm、曲げ強さが120〜230MPa及び気孔径が10μm以下のプラズマエッチング用電極板。
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