JP3552829B2 - 不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体およびその製造方法 - Google Patents

不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体およびその製造方法に関し、さらに詳しくは化学反応性に富み、したがってグラフト重合が容易で、しかも接着性、塗装性、印刷性、帯電防止性などに優れた新規な不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体およびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
4−メチル−1−ペンテンをTiClなどの立体規則重合性チーグラー重合触媒の存在下に重合もしくは共重合させて、透明性、耐熱性に優れた高結晶性4−メチル−1−ペンテン系重合体を製造する方法が多数提案されている。これらの4−メチル−1−ペンテン系重合体は、高結晶性であるため耐熱性には優れているが射出成形、押出成形などの溶融成形において反りおよびヒケが大きいなどの成形性の改善が要望されていた。この欠点を改善する方法として、特開平1−129007号公報に炭素原子数が6〜20の範囲のα,ω−非共役ジエン成分および必要に応じて炭素原子数が2〜20の範囲の直鎖状α−オレフィン成分を共重合することが開示されている。しかしながら、これらの4−メチル−1−ペンテン共重合体は、ヨウ素化が0〜3gと低いため、接着性、塗装性、印刷性、帯電防止性および化学反応性などに劣っており、これらの性能も改善された4−メチル−1−ペンテン系重合体が強く要望されている。
【0003】
本発明者らは、上記のような従来技術に鑑みて不飽和4−メチル−1−ペンテン系共重合体について鋭意検討した結果、4−メチル−1−ペンテン、特定の(分岐)鎖状ポリエン、および必要に応じてα−オレフィンから導かれる構成単位を有し、かつ不飽和炭化水素を有する不飽和性エチレン共重合体は、化学反応性に富み、グラフト変性が容易でしかも接着性、塗装性、印刷性、帯電防止性などに優れていることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、化学反応性に富み、グラフト変性が容易で、しかも接着性、塗装性、印刷性などに優れた不飽和4−メチル−1−ペンテン系共重合体およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【発明の概要】
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、
[A](i) 4−メチル−1−ペンテンと、
(ii)1分子中に1個のビニル基を有する、少なくとも1種の直鎖状また は分岐鎖状非共役トリエンまたはテトラエンと、
必要に応じて、
(iii) 炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィンとのランダム共重合体であり、
[B](i) 4−メチル−1−ペンテンから誘導される構成単位が70モル%を超えて99.9モル%以下であり、
(ii)上記非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が0.1〜30モル%未満であり、
(iii)炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィンから誘導される構成単位が0〜30モル%未満であり、
[C]135℃、デカリン(デカヒドロナフタレン/デュポン社)中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gであることを特徴としている。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンは、ビニル基に隣接した炭素原子に、1個の直鎖状または分岐鎖状炭化水素基と、2個の水素原子と、が結合したものであることが望ましい。
【0007】
本発明の特に好ましい態様においては、上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが下記式[H−1]で表され、上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が下記式[H−2]で表されることが望ましい。
【0008】
【化11】
Figure 0003552829
【0009】
Figure 0003552829
[式[H−1]中、pとqとは0または1であり(但しpとqは同時に0ではない)、fは0〜5の整数であり(但しpとqが1の場合fは0ではない)、gは1〜6の整数であり、R,R,R,R,R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または −(CH−CR10=CR1112で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10,R11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R12は炭素数1〜5のアルキル基である)である(但し、pとqが1の場合、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)。]
【0010】
【化12】
Figure 0003552829
【0011】
Figure 0003552829
[式[H−2]中、p、q、f、g、R〜Rは、上記式[H−1]の場合と同じ意味である。]
また、本発明の別の好ましい態様の1つにおいては、上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが下記式[Ia]で表され、上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が下記式[IIa]で表されることが望ましい。
【0012】
【化13】
Figure 0003552829
【0013】
Figure 0003552829
[式[Ia]中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、R,R,R,R,R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または −(CH−CR10=CR1112で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10,R11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R12は炭素数1〜5のアルキル基である)である。]
【0014】
【化14】
Figure 0003552829
【0015】
Figure 0003552829
[式[IIa]中、f、g、R〜Rは、上記式[Ia]の場合と同じ意味である。]
この内でも、上記式[Ia]および式[IIa]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることが望ましい。
【0016】
本発明の別の好ましい態様においては、上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが下記式[Ib]で表され、上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が下記式[IIb]で表されることが望ましい。
【0017】
【化15】
Figure 0003552829
【0018】
[式[Ib]中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、R,R,R,R,Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または
−(CH−CR10=CR1112で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10,R11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R12は炭素数1〜5のアルキル基である)である。]
【0019】
【化16】
Figure 0003552829
【0020】
[式[IIb]中、f、g、R〜Rは式[Ib]の場合と同じ意味である。]より好ましくは、上記[A](iii)非共役テトラエンが下記式[Ib’]で表され、
上記[B](iii)非共役テトラエンから誘導される構成単位が下記式[IIb’]で表されることが望ましい。
【0021】
【化17】
Figure 0003552829
【0022】
[式[Ib’]中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、R,R,R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1〜5の整数であり、R10,R11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R12は炭素数1〜5のアルキル基である。]
【0023】
【化18】
Figure 0003552829
【0024】
[式[IIb’]中、f、g、R、R、R〜R、n、R10〜R12は式[Ib’]の場合と同じである。]
本発明のさらに好ましい態様においては、上記式[Ib]、式[IIb]、式[Ib’]および式[IIb’]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることが望ましい。
【0025】
その内でも、上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが下記式[Ic]で表され、
上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が下記式[IIc]で表されることが望ましい。
【0026】
【化19】
Figure 0003552829
【0027】
Figure 0003552829
[式[Ic]中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、R,R,R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。]
【0028】
【化20】
Figure 0003552829
【0029】
[式[IIc]中、f、g、R、R、R〜Rは、式[Ic]の場合と同じ意味である。]
本発明おいては、上記式[Ic]および式[IIc]中のR,R,R,Rが全て水素原子であることが望ましい。
【0030】
本発明の特に好ましい態様においては、上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエン中の全ての炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子に直接結合した水素原子の総数が、9〜33個、さらには12〜33個、特に14〜33個であることが望ましい。
【0031】
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造方法は、
(i) 4−メチル−1−ペンテンと、
(ii)1分子中に1個のビニル基を有する、少なくとも1種の直鎖状また は分岐鎖状非共役トリエンまたはテトラエンと、
必要に応じて、
(iii) 炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィンとを、
遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物および/またはイオン化イオン性化合物とから形成される触媒の存在下に共重合させて、
[A](i) 4−メチル−1−ペンテンと、
(ii)1分子中に1個のビニル基を有する、少なくとも1種の直鎖状またィは分岐鎖状非共役トリエンまたはテトラエンと、
必要に応じて、
(iii) 炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィンとの、
ランダム共重合体であり、
[B](i) 4−メチル−1−ペンテンから誘導される構成単位が70モル%を超えて99.9モル%以下であり、
(ii)上記非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が0.1〜30モル%未満であり、
(iii)炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィンから誘導される構成単位が0〜30モル%未満であり、
[C]135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gである不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体を製造することを特徴としている。
【0032】
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の好ましい製造方法においては、上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが、ビニル基に隣接した炭素原子に1個のビニル基以外の直鎖状または分岐鎖状炭化水素基と、2個の水素原子が結合したものであり、
上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が、ポリマー主鎖中の炭素原子に隣接した炭素原子に、1個の直鎖状または分岐鎖状炭化水素基と、2個の水素原子とが結合したものであることが望ましい。
【0033】
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体のさらに好ましい製造方法においては、上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが上記式[H−1]で表され、上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が上記式[H−2]で表されることが望ましい。
【0034】
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体のより好ましい製造方法の1つにおいては、上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが上記式[Ia]で表され、上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が上記式[IIa]で表されることが望ましく、さらには、上記式[Ia]および式[IIa]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることが望ましい。
【0035】
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の別のより好ましい製造方法においては、上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが上記式[Ib]で表され、上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が上記式[IIb]で表されることが望ましく、さらには、上記[A](iii)非共役テトラエンが上記式[Ib’]で表され、上記[B](iii)非共役テトラエンから誘導される構成単位が上記式[IIb’]で表されることが望ましく、特に、上記式[Ib]、式[IIb]、式[Ib’]および式[IIb’]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることが望ましい。
【0036】
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の好ましい製造方法においては、
上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが上記式[Ic]で表され、
上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が上記式[IIc]で表されることが望ましく、さらには、上記式[Ic]および式[IIc]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることが望ましい。
【0037】
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の好ましい製造方法においては、
上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエン中の全ての炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子に直接結合した水素原子の総数が、9〜33個、さらには12〜33個、特に14〜33個であることが望ましい。
【0038】
上記のような本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、化学反応性に富み、グラフト変性が容易で、しかも接着性、塗装性、印刷性、帯電防止性などに優れている。
【0039】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体およびその製造方法について具体的に説明する。
【0040】
[不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体]
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、
[A](i) 4−メチル−1−ペンテンと、
(ii)1分子中に1個のビニル基を有する、少なくとも1種の直鎖状また は分岐鎖状非共役トリエンまたはテトラエン(トリエンとテトラエンとを併せて「ポリエン」とも言う)と、
必要に応じて、
(iii) 炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィンとの、
ランダム共重合体である。
【0041】
本発明においては、上記[A](ii)非共役トリエンまたはテトラエンは、炭化水素化合物である。この炭化水素化合物1個当たりの総炭素数(2種以上の炭化水素化合物の場合にはその平均炭素数で示す)は、通常特に限定されないが、好ましくは9〜30個、さらに好ましくは10〜25個、特に好ましくは10〜22個であることが望ましい。炭素数がこれらの範囲にある化合物は、精製などの取扱いが容易であるので有利である。なお、「トリエン」とは、1分子中に3個の炭素−炭素二重結合(C=C)を有する化合物を意味し、また「テトラエン」とは1分子中に4個の炭素−炭素二重結合を有する化合物(炭化水素化合物)を意味する。この炭素−炭素二重結合には、当然、ビニル基(CH=CH−)の炭素−炭素二重結合も含まれる。
【0042】
この[A](ii)非共役トリエンまたはテトラエンは、1個の分子中にただ1個のビニル基(CH=CH−)を有している。
本発明におけるこの[A](ii)非共役トリエンまたはテトラエンには、ビニル基を含めて3個(トリエンの場合)あるいは4個(テトラエンの場合)の炭素−炭素二重結合(C=C)が含まれているが、
この非共役トリエンまたはテトラエン1分子中に含まれる全ての炭素−炭素二重結合に隣接した炭素原子に直接結合している水素原子の総数は、通常特に限定されないが、好ましくは9〜33個、好ましくは12〜33個、さらに好ましくは14〜33個であることが望ましい。水素原子の総数がこのような範囲にあると、加硫速度の速い共重合体が得られるので好ましい。
【0043】
本発明においては、このような非共役トリエンまたはテトラエンの内でも、該非共役トリエンまたはテトラエン中のビニル基にはメチレン基(−CH−)が隣接しているものであることが好ましい。
なお、この水素原子数は、用いられる非共役トリエンまたはテトラエンが2種以上の場合にはこれらの水素原子数の平均で示す。
【0044】
ここで、この「水素原子数の数え方」について、さらに具体的に詳説すると、下記化合物では、炭素−炭素二重結合は、1−2炭素(:ビニル基のもの)、4−5炭素、12−14炭素、16−17炭素に存在し、炭素−炭素二重結合に隣接する炭素は、付番3、6、7、11、13、15、18となる(付番8、9、10、19の炭素はこれに含まれない)。従って炭素−炭素二重結合に隣接する炭素に結合している水素原子数の合計は、付番:3番に2個、6番に3個、7番に2個、11番に2個、13番に3個、15番に2個、18番に2個であるから、16個となる。
【0045】
【化21】
Figure 0003552829
【0046】
また、後述する本願発明に対する比較例にて用いられる下記の化合物(5−エチリデン−2−ノルボルネン)を例に採って説明すると、この化合物では、下記式に示すように炭素−炭素二重結合は、2−3炭素と、5−8炭素に存在し、炭素−炭素二重結合に隣接する炭素は、付番1、4、6、9となる(付番7の炭素はこれに含まれない)。従って炭素−炭素二重結合に隣接する炭素に結合している水素原子数の合計は、付番:1番に1個、4番に1個、6番に2個、9番に3個であるから、7個となる。
【0047】
【化22】
Figure 0003552829
【0048】
本発明では、このような直鎖状または分岐鎖状の非共役トリエンまたはテトラエンは、少なくとも1種以上用いられる。
このような(ii)非共役トリエンまたはテトラエンは、好ましくは下記式[H−1]で表される。
【0049】
【化23】
Figure 0003552829
【0050】
Figure 0003552829
[式[H−1]中、pとqとは0または1であり(但しpとqは同時に0ではない)、fは0〜5の整数であり(但しpとqが1の場合fは0でない)、gは1〜6の整数であり、R,R,R,R,R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または −(CH−CR10=CR1112で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10,R11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R12は炭素数1〜5のアルキル基である)である。ただし、pとqとが共に1の場合、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。]
このような式[H−1]で表される非共役トリエンまたはテトラエンの内で、好ましくは下記式[Ia]および式[Ib]で表される非共役トリエンまたはテトラエン(非共役ポリエンともいう)などが挙げられる。また、非共役ポリエン[Ib]の内では、式[Ib’]の非共役テトラエンおよび式[Ic]の非共役トリエンがより好ましい。
【0051】
以下、これらの好ましい(ii)非共役トリエンまたはテトラエンについて順次詳細に説明する。
非共役トリエンまたはテトラエン[Ia]
上記の化合物[H−1]の内で好ましい(ii)非共役トリエンまたはテトラエンは、下記式[Ia]で表される直鎖状トリエンまたはテトラエン(直鎖状ポリエンともいう)である。
【0052】
【化24】
Figure 0003552829
【0053】
Figure 0003552829
すなわちこの非共役トリエンまたはテトラエン[Ia]は、前記式[H−1]において、pが0であり、qが1であり、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、その他は上記[H−1]と同様である。
【0054】
このような非共役トリエンまたはテトラエン[Ia]の内で、上記R,R,R,R,R,Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくはR,R,R,Rは水素原子であることが望ましい。
【0055】
しかもRは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であることが望ましい。
しかもRは炭素数1〜5好ましくは1〜3のアルキル基であることが望ましい。
【0056】
さらにRは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基(好ましくは1〜3のアルキル基)または −(CH−CR10=CR1112で表される基[ここで、nは1〜5好ましくは1〜3の整数であり、
10、R11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、
12は炭素数1〜5好ましくは1〜3のアルキル基である]であることが望ましい。
【0057】
上記式[Ia]において、炭素数1〜5のアルキル基としては、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。
【0058】
このような(ii)直鎖状トリエンまたはテトラエンとしては、具体的に下記のような化合物が挙げられ、好ましくは、6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン(DMUT)、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、および化合物番号(9)、(13)、(30)、(50)が用いられる。
【0059】
【化25】
Figure 0003552829
【0060】
【化26】
Figure 0003552829
【0061】
【化27】
Figure 0003552829
【0062】
【化28】
Figure 0003552829
【0063】
【化29】
Figure 0003552829
【0064】
【化30】
Figure 0003552829
【0065】
【化31】
Figure 0003552829
【0066】
【化32】
Figure 0003552829
【0067】
【化33】
Figure 0003552829
【0068】
【化34】
Figure 0003552829
【0069】
【化35】
Figure 0003552829
【0070】
これらは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。
上記(ii)直鎖状トリエンまたはテトラエンは、例えば、従来公知の方法によって調製することができる。
【0071】
例えば、ビニル基含有ハロゲン化物(例:ハロゲン化アリル、ハロゲン化ビニル)と金属Mgとを反応させてグリニヤール試薬(アリル−MgXまたはビニル−MgX)を調製する。次いで、このグリニヤール試薬と、非共役二重結合含有直鎖状炭化水素のハロゲン化物(例:ハロゲン化ゲラニル)とを反応させると遊離基反応により、上記のような(ii)直鎖状ポリエンを製造することができる。
【0072】
非共役トリエンまたはテトラエン[Ib]
上記化合物[H−1]の内で好ましい(ii)非共役トリエンまたはテトラエンは、下記式[Ib]で表される分岐鎖状トリエンまたはテトラエン(分岐鎖状ポリエンともいう)である。
【0073】
【化36】
Figure 0003552829
【0074】
Figure 0003552829
すなわちこの非共役トリエンまたはテトラエン[Ib]は、前記式[H−1]において、pが1であり、qが0であり、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、その他は上記式[H−1]と同様である。
【0075】
このような非共役トリエンまたはテトラエン[Ib]の内で、上記R,R,R,R,Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくはR,R,R,Rは全て水素原子であることが望ましい。
【0076】
しかもRは炭素数1〜5好ましくは1〜3のアルキル基であることが望ましい。
しかもRは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基(好ましくは1〜3のアルキル基)、または−(CH−CR10=CR1112で表される基[ここで、nは1〜5好ましくは1〜3の整数であり、R10は水素原子または炭素数1〜5好ましくは1〜3のアルキル基であり、
11は水素原子または炭素数1〜5好ましくは1〜3のアルキル基であることが望ましい。
【0077】
12は炭素数1〜5好ましくは1〜3のアルキル基である]であることが望ましい。これらのうちでRとしては、最も好ましくは上記炭素数のアルキル基であることが望ましい。
【0078】
このような非共役トリエンまたはテトラエン[Ib]の内でも、式[Ic]で表される非共役トリエンまたは式[Ib’]で表される非共役テトラエンが好ましく用いられ、特にそのうち、R,R,R,Rが共に水素原子である式[Ib]のもの、すなわち下記式[Ib−1]で表される非共役トリエン(分岐鎖状トリエン)または非共役テトラエン[Ib’](分岐鎖状テトラエン)が好ましく用いられ、さらに好ましくは、下記式[Ib−1]で示される非共役トリエンが望ましく用いられる。
【0079】
【化37】
Figure 0003552829
【0080】
Figure 0003552829
[式[Ib−1]中、f、g、R、Rはいずれも上記式[Ib]の場合と同じであり、Rが水素原子または炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキル基のものである。これらのf、g、R、Rの内で好ましいものも上記[Ib]と同じである。]
このような(ii)分岐鎖状ポリエン[Ib−1]としては、具体的に下記(1)〜(24)に例示するような化合物が挙げられ、好ましくは、(5)、(6)、(9)、(11)、(14)、(19)、(20)が用いられる。
(1):4−エチリデン−1,6−オクタジエン、
(2):7−メチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、
(3):7−メチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、
(4):7−エチル−−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、
(5):6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、
(6):6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、
(7):4−エチリデン−1,6−デカジエン、
(8):7−メチル−4−エチリデン−1,6−デカジエン、
(9):7−メチル−6−プロピル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、
(10):4−エチリデン−1,7−ノナジエン、
(11):8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン(EMN)、
(12):4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン、
(13):8−メチル−4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン、
(14):7,8−ジメチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、
(15):7,8−ジメチル−4−エチリデン−1,7−デカジエン、
(16):7,8−ジメチル−4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン、
(17):8−メチル−7−エチル−4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン、
(18):7,8−ジエチル−4−エチリデン−1,7−デカジエン、
(19):9−メチル−4−エチリデン−1,8−デカジエン、
(20):8,9−ジメチル−4−エチリデン−1,8−デカジエン、
(21):10−メチル−4−エチリデン−1,9−ウンデカジエン、
(22):9,10−ジメチル−4−エチリデン−1,9−ウンデカジエン、
(23):11−メチル−4−エチリデン−1,10−ドデカジエン、
(24):10,11−ジメチル−4−エチリデン−1,10−ドデカジエン。
【0081】
上記化合物(1)〜(24)の化学式をまとめて以下に示す。
【0082】
【化38】
Figure 0003552829
【0083】
【化39】
Figure 0003552829
【0084】
【化40】
Figure 0003552829
【0085】
【化41】
Figure 0003552829
【0086】
これらは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。
本発明で用いられる上記した分岐鎖状トリエンまたはテトラエン[Ib−1]は、トランス体およびシス体の混合物であってもよく、トランス体単独またはシス体単独であってもよい。
【0087】
上記(ii)分岐鎖状トリエン[Ib]は、本願出願人の出願に係る特願平6−154952号明細書に記載の方法によって調製することができる。
すなわち、例えば下記[I−a]で示される共役ジエンを有する化合物とエチレンとを、遷移金属化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒の存在下に反応させることにより製造することができる。
【0088】
【化42】
Figure 0003552829
【0089】
(式[I−a]中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。)。
【0090】
このような式[Ib−1]で示される分岐鎖状ポリエンの詳細な調製法については後述する。
(ii)非共役ポリエン[Ib]の内で、さらに好ましいものは、下記式[Ib’]で表される。
【0091】
【化43】
Figure 0003552829
【0092】
・・・・[Ib’]
[式[Ib’]中において、f、g、n、R、R、R〜RおよびR10〜R12は前記[Ib]の場合と同様であり、好ましいものも前記[Ib]と同様である。]
すなわち、この非共役テトラエン(分岐鎖状テトラエン)は、前記式[Ib]において、特に、Rが前記「−(CH−CR10=CR1112」で表される化合物(ここで、n、R10、R11、R12は前記[Ib]の場合と同様である)である。
【0093】
このような式[Ib’]で表される非共役テトラエン[Ib’]としては、具体的には、例えば下記付番(1)〜(73)に示すようなものが挙げられ、好ましくは、4−エチリデン−8,12−ジメチル−1,7,11−トリデカトリエン(EDT、化合物番号30)が用いられる。
【0094】
【化44】
Figure 0003552829
【0095】
【化45】
Figure 0003552829
【0096】
【化46】
Figure 0003552829
【0097】
【化47】
Figure 0003552829
【0098】
【化48】
Figure 0003552829
【0099】
【化49】
Figure 0003552829
【0100】
【化50】
Figure 0003552829
【0101】
【化51】
Figure 0003552829
【0102】
【化52】
Figure 0003552829
【0103】
【化53】
Figure 0003552829
【0104】
本発明においては、このような非共役ポリエンを1種または2種以上組み合わせて用いることができ、例えば、分岐鎖状の非共役トリエン[Ic]、好ましくは[Ib−1]と、分岐鎖状の非共役テトラエン[Ib’]とを組み合わせて用いてもよく、前記直鎖状の非共役トリエンまたはテトラエン[Ia]と、分岐鎖状ポリエン[Ib]とを組み合わせて用いてもよい。
【0105】
このような分岐鎖状テトラエン[Ib’]の構造は、質量分析、赤外線吸収スペクトル、プロトンNMRスペクトル等を測定することにより決定することができる。このような分岐鎖状テトラエン[Ib’]は、通常、立体異性構造(トランス体とシス体)を有する。本発明においては、上記立体異性体の混合物であってもよく、また、いずれかの幾何異性体単独であってもよい。
【0106】
このような分岐鎖状テトラエン[Ib’]の合成法については、前記[Ib−1]の場合と同様であり、後述する。
(iii) 炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが用いられる。これらの直鎖状α−オレフィンは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。
【0107】
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、上記のような(i) 4−メチル−1−ペンテン、(ii)非共役トリエンまたはテトラエン(ポリエンともいう)および必要に応じて(iii) 直鎖状α−オレフィンの単量体から誘導される構成単位が、それぞれランダムに配列して結合し、(iii)非共役トリエンまたはテトラエン(ポリエン)に起因する分岐構造を有するとともに、主鎖は、実質的に線状構造となっている。この共重合体が実質的に線状構造を有しており実質的にゲル状架橋重合体を含有しないことは、該共重合体が有機溶媒に溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認することができる。たとえば極限粘度[η]を測定する際に、該共重合体が135℃、デカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0108】
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、
上記(i) 4−メチル−1−ペンテンから誘導される構成単位を、70モル%を超えて99.9モル%以下、好ましくは72〜99.5モル%、さらに好ましくは73〜99.0モル%の量で、
(ii)非共役トリエンまたはテトラエン(非共役ポリエン)から誘導される構成単位を0.1〜30モル%未満、好ましくは0.2〜20モル%、さらに好ましくは0.3〜10モル%の量で、
また(iii)直鎖状α−オレフィンから誘導される構成単位を、0〜30モル%未満、好ましくは1〜28モル%、さらに好ましくは2〜25モル%の量で含有している。(iii)非共役ポリエン成分がこのような範囲にあると、化学反応性に富み、したがってグラフト重合が容易で、しかも接着性、塗装性、印刷性、帯電防止性などに優れた不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体が得られるので好ましい。
【0109】
このような本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体において[A](ii)非共役トリエンまたはテトラエンが前記式[H−1]で表される場合には、不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体中においては[B](ii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位は、実質的に下記式[H−2]で表される構造を有している。
【0110】
【化54】
Figure 0003552829
【0111】
Figure 0003552829
[式[H−2]中、p、q、f、g、R〜Rは、上記式[H−1]の場合と同じ意味である。]
特に、このような[A](ii)非共役トリエンまたはテトラエンが前記式[Ia]で表される場合には、不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体中においては[B](ii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位は、実質的に下記式[IIa]で表される構造を有している。
【0112】
【化55】
Figure 0003552829
【0113】
Figure 0003552829
[式[IIa]中、f、g、R〜Rは、上記式[Ia]の場合と同じ意味である。]
また、このような[A](ii)非共役トリエンまたはテトラエンが前記式[Ib]で表される場合には、不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体中においては[B](ii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位は、実質的に下記式[IIb]で表される構造を有している。
【0114】
【化56】
Figure 0003552829
【0115】
Figure 0003552829
[式[IIb]中、f、g、R、R、R〜Rは、上記式[Ib]の場合と同じ意味である。]
なお非共役トリエンまたはテトラエン(非共役ポリエン)から誘導される構成単位が上記各構造を有していることは、その共重合体の13C−NMRスペクトルを測定することによって確認することができる。
【0116】
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/g、好ましくは0.1〜7dl/g、さらに好ましくは0.2〜5dl/gである。
【0117】
上記のような本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、化学反応性に富み、したがってグラフト重合が容易で、しかも接着性、塗装性、印刷性、帯電防止性などに優れている。
【0118】
このような不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、樹脂改質剤として用ることができる。
具体的には、本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体を樹脂改質剤として、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリスチレンなどに添加すると、グラフト重合が容易となり、接着性、塗装性、印刷性、帯電防止性などが飛躍的に向上する。
【0119】
[不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造]
上記のような本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、(i) 4−メチル−1−ペンテン、(ii)上記非共役トリエンまたはテトラエン{好ましくは上記式[H−1]さらに好ましくは[Ia]、[Ib]、より好ましくは[Ia]、[Ib−1]、または[Ib’]で表される、非共役トリエンまたはテトラエン}と、必要に応じて(iii) 直鎖状α−オレフィンとを、触媒の存在下に共重合させて得られる。
【0120】
このような触媒としては、[a]ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)などの遷移金属化合物と、[b]有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)および/またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒などが使用できる。具体的には、
[a−1]固体状チタン触媒成分と、[b‐1]有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒、
[a‐2]周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、[b‐2]有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなるメタロセン系触媒、が特に好ましく用いられる。
【0121】
本発明で用いられる固体チタン触媒成分[a‐1]は、下記のようなマグネシウム化合物、チタン化合物、および電子供与体を接触させることにより調製される。
【0122】
本発明において、固体チタン触媒成分[a‐1]の調製に用いられるチタン化合物としては、たとえばTi(OR)4−g(Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、0≦g≦4)で示される4価のチタン化合物を挙げることができる。
【0123】
これらの中で、ハロゲン含有チタン化合物、特にテトラハロゲン化チタンが好ましい。中でも、四塩化チタンが特に好ましく用いられる。
また、本発明では、3価のチタン化合物、4価のチタン化合物が用いられるが、特に4価のチタン化合物が好ましい。
【0124】
本発明において、固体チタン触媒成分[a‐1]の調製に用いられるマグネシウム化合物としては、還元性を有するマグネシウム化合物および還元性を有しないマグネシウム化合物を挙げることができる。
【0125】
ここで還元性を有するマグネシウム化合物としては、たとえばマグネシウム・炭素結合あるいはマグネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物を挙げることができる。
【0126】
これら還元性を有しないマグネシウム化合物は、上述した還元性を有するマグネシウム化合物から誘導した化合物あるいは触媒成分の調製時に誘導した化合物であってもよい。
【0127】
なお本発明において、マグネシウム化合物は上記の還元性を有するマグネシウム化合物および還元性を有しないマグネシウム化合物の他に、上記のマグネシウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物あるいは他の金属化合物との混合物であってもよい。さらに上記の化合物を2種以上組み合わせた混合物であってもよい。
【0128】
本発明においては、これらの中でも、還元性を有しないマグネシウム化合物が好ましく、特に好ましくはハロゲン含有マグネシウム化合物であり、さらに、これらの中でも塩化マグネシウム、アルコキシ塩化マグネシウム、アリロキシ塩化マグネシウムが好ましく用いられる。
【0129】
本発明において、固体チタン触媒成分[a‐1]の調製に用いられる電子供与体としては、有機カルボン酸エステル、多価カルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0130】
固体チタン触媒成分[a‐1]は、上記したようなマグネシウム化合物(もしくは金属マグネシウム)、電子供与体およびチタン化合物を接触させることにより製造することができる。固体チタン触媒成分[a‐1]を製造するには、マグネシウム化合物、チタン化合物、電子供与体から高活性チタン触媒成分を調製する公知の方法を採用することができる。なお、上記の成分は、たとえばケイ素、リン、アルミニウムなどの他の反応試剤の存在下に接触させてもよい。
【0131】
本発明で用いられる有機アルミニウム化合物触媒成分[b‐1]としては、少なくとも分子内に1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用できる。このような化合物としては、たとえば、
(i)一般式(RAl(O(R))
(式中、RおよびRは炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基であり、これらは互いに同一でも異なってもよい。Xはハロゲン原子を表わし、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかも、m+n+p+q=3である)で表わされる有機アルミニウム化合物、
(ii)一般式(M)Al(R
(式中、MはLi、Na、Kであり、Rは前記(i)におけるRと同じ)で表わされる第I属金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などを挙げることができる。
【0132】
また電子供与体として、下記のような一般式[II]で示される有機ケイ素化合物を用いることもできる。
Si(OR’)4−n ・・・[1]
(式中、RおよびR’は炭化水素基であり、nは0<n<4を満たす数である。)
さらに電子供与体触媒成分として、下記のような一般式[2]で示される有機ケイ素化合物を用いることもできる。
【0133】
SiR (OR3−m ・・・[2]
(式中、Rはシクロペンチル基もしくはアルキル基を有するシクロペンチル基であり、Rはアルキル基、シクロペンチル基およびアルキル基を有するシクロペンチル基からなる群より選ばれる基であり、Rは炭化水素基であり、mは0≦m≦2を満たす数である。)
上記式[2]において、Rはシクロペンチル基もしくはアルキル基を有するシクロペンチル基であり、シクロペンチル基以外には、たとえば、2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、2−エチルシクロペンチル基、2,3−ジメチルシクロペンチル基などのアルキル基を有するシクロペンチル基を挙げることができる。
【0134】
本発明で用いられるチタン系触媒は、固体チタン触媒成分[a‐1]と、有機アルミニウム化合物触媒成分[b‐1]と、必要に応じて電子供与体触媒成分とから形成されるが、これら触媒成分にはα−オレフィンが予備重合されていてもよい。予備重合の際、オレフィン重合用触媒1g当り、0.1〜500g、好ましくは0.3〜300g、特に好ましくは1〜100gの量でα− オレフィンを予備重合させる。
【0135】
予備重合は、不活性炭化水素媒体にオレフィンおよび上記の触媒成分を加え、温和な条件下に行うことが好ましい。
予備重合で使用されるα− オレフィンは、後述する本重合で使用されるα− オレフィンと同一であっても、異なってもよい。
【0136】
次に本発明で用いられるメタロセン系触媒を形成する[a‐2]メタロセン化合物と[b‐2]有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒について説明する。
【0137】
メタロセン系触媒を形成する[a‐2]周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物は、具体的には、次式[V]で表される。
MLx …[V]
式[V]中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属であり、具体的にジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、xは遷移金属の原子価である。
【0138】
Lは遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
【0139】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、たとえば、
シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−またはi−プロピルシクロペンタジエニル基、n−、i−、sec−、t−、ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基などのアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基、さらに
インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。
【0140】
これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
式[V]で示される化合物が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0141】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLとしては、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、Rはアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基またはハロゲン原子またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などが挙げられる。
【0142】
炭素数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、より具体的には、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、
フェニル基、トリル基などのアリール基、
ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基が挙げられる。
【0143】
また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などが挙げられる。
アリーロキシ基としては、フェノキシ基などが挙げられ、
スルホン酸含有基(−SO)としては、メタンスルホナト基、p−トルエンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基、p−クロルベンゼンスルホナト基などが挙げられる。
【0144】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
上記式で表されるメタロセン化合物は、たとえば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記式[VI]で表される。
【0145】
M …[VI]
式[VI]中、Mは上記遷移金属であり、Rはシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、R、RおよびRは、それぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有する基または上記一般式[V]中のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同様である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0146】
以下に、Mがジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物を例示する。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0147】
上記の1,3−位置換シクロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジエニル基に置換えた化合物を本発明で用いることもできる。
また上記式[VI]において、R、R、RおよびRの少なくとも2個、例えばRおよびRがシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基はアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を例示することもできる。このときRおよびRはそれぞれ独立に式[V]中で説明したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同様である。
【0148】
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物としては、
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
【0149】
さらに、下記式[A]で示される特開平4−268307号公報に記載のメタロセン化合物が挙げられる。
【0150】
【化57】
Figure 0003552829
【0151】
[式[A]中、Mは周期律表の第IVB族の金属であり、具体的には、例えば、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムを挙げることができる。
【0152】
およびRは、互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜10好ましくは1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜10好ましくは1〜3のアルコキシ基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリールオキシ基、炭素原子数2〜10好ましくは2〜4のアルケニル基、炭素原子数7〜40好ましくは7〜10のアリールアルキル基、炭素原子数7〜40好ましくは7〜12のアルキルアリール基、炭素原子数8〜40好ましくは8〜12のアリールアルケニル基、またはハロゲン原子好ましくは塩素原子である。
【0153】
およびRは、互いに同じでも異なっていても良く、水素原子、ハロゲン原子好ましくは弗素原子、塩素原子または臭素原子、ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10好ましくは1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基、−NR10 、−SR10、−OSiR10 、−SiR10 または−PR10 基であり、その際R10はハロゲン原子好ましくは塩素原子、または、炭素原子数1〜10好ましくは1〜3のアルキル基、または炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基である。
【0154】
およびRは特に水素原子であることが好ましい。
およびRは互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じであり、RおよびRは水素原子でないという条件のもとでRおよびRについて記載した意味を有する。RおよびRは、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基またはトリフルオロメチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0155】
は、下記:
【0156】
【化58】
Figure 0003552829
【0157】
=BR11、=AlR11、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO、=NR11、=CO、=PR11または=P(O)R11であり、その際R11、R12およびR13は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10好ましくは1〜4のアルキル基さらに好ましくはメチル基、炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基好ましくはCF基、炭素原子数6〜10好ましくは6〜8のアリール基、炭素原子数6〜10のフルオロアリール基好ましくはペンタフルオロフェニル基、炭素原子数1〜10好ましくは1〜4のアルコキシ基特に好ましくはメトキシ基、炭素原子数2〜10好ましくは2〜4のアルケニル基、炭素原子数7〜40好ましくは7〜10のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40好ましくは8〜12のアリールアルケニル基、または炭素原子数7〜40好ましくは7〜12のアルキルアリール基であり、また「R11とR12」または「R11とR13」とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。
【0158】
は珪素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくは珪素またはゲルマニウムである。
は、=CR1112、=SiR1112、=GeR1112、−O−、−S−、=SO、=PR11または=P(O)R11であることが好ましい。
【0159】
およびRは互いに同じであっても異なっていてもよく、R11について記載したと同じ意味を有する。
mおよびnは互いに同じであっても異なっていてもよく、0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
【0160】
このような化合物の内でも、下記の化合物がある。
rac−エチレン(2−メチル−1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド、
rac−ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)−ジルコニウム−ジクロライド。
【0161】
このようなメタロセンの製造方法については、従来より公知の方法にて製造することができる(例:特開平4−268307号公報参照)。
本発明では、下記式[B]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いることもできる。
【0162】
【化59】
Figure 0003552829
【0163】
式[B]中、Mは周期律表第IVB族の遷移金属原子を示し、具体的には、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0164】
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示し、具体的には、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素数1から20の炭化水素基;
前記炭化水素基にハロゲン原子が置換したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル、
トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル、
トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基、トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基、
などのケイ素含有基;
ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロ−キシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などの酸素含有基;
前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基などのイオウ含有基;
アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などの窒素含有基;
ジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどのフォスフィノ基などのリン含有基である。
【0165】
これらのうちRは炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。またRは水素、炭化水素基が好ましく、特に水素あるいは、メチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
【0166】
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示し、このうち水素、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。RとR、RとR、RとRのうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。
【0167】
また芳香族環を形成する基以外の基は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおRが芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。
【0168】
ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基として、具体的には、前記RおよびRと同様の基が例示できる。
とR、RとR、RとRのうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含む、Mに配位する配位子としては以下に示すようなものが挙げられる。
【0169】
【化60】
Figure 0003552829
【0170】
本発明においては、また下記式[C]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を用いることもできる。
【0171】
【化61】
Figure 0003552829
【0172】
Figure 0003552829
式[C]中、M、R、R、 R、R、RおよびRとしては、前記式[B]の場合と同様なものが挙げられる。
【0173】
、R、RおよびRのうち、Rを含む2個の基が、アルキル基であることが好ましく、RとR、またはRとRがアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。また、このアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R、Rで例示した置換基が挙げられる。
【0174】
、R、RおよびRで示される基のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert− ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの鎖状アルキル基および環状アルキル基;
ベンジル、フェニルエチル、フエニルプロピル、トリルメチルなどのアリールアルキル基などが挙げられ、2重結合、3重結合を含んでいてもよい。
【0175】
またR、R、RおよびRから選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。
ハロゲン原子として、具体的には、前記RおよびRと同様の基が例示できる。
【0176】
、X、YおよびRとしては、前記式[B]の場合と同様のものが挙げられる。
以下に上記式[C]で示されるメタロセン化合物(遷移金属化合物)の具体的な例を示す。
【0177】
rac−ジメチルシリレン−ビス(4,7−ジメチル−1− インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,7−トリメチル−1− インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,6−トリメチル−1− インデニル)ジルコニウムジクロリド。
【0178】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
上記遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0179】
本発明では、また式[C]で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)として、他の態様には下記のものがある。
としては、炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピル、ブチルの炭素数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。
【0180】
また、X、Xとしては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
は、炭素数6〜16のアリール基を示し、具体的には、
フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル(ペリナフテニル)、アセアントリレニルなどである。これらのうちフェニル、ナフチルであることが好ましい。これらのアリール基は、前記Rと同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。
【0181】
このような遷移金属化合物(メタロセン化合物)の具体的な例を示す。
rac−ジメチルシリレン−ビス(4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(α−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(β−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(1−アントラセニル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0182】
本発明では、上記のような化合物においてジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
また本発明では、下記式[E−1]で示されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0183】
MX ・・・・[E−1]
(Mは、周期率表第IV族またはランタニド系列の金属であり、
は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、
Xは、それぞれ独立に水素、ハロゲンまたは20以下の炭素、ケイ素またはゲルマニウムを含有する炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である。)
このような式[E−1]で示される化合物のうちでも、具体的に、下記式[E−2]で示される化合物が好ましい。
【0184】
【化62】
Figure 0003552829
【0185】
式中、Mはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Xは、上記と同様である。
【0186】
CpはMにπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。
Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期率表第IVA族の元素(たとえばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)であり、
Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、
ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0187】
このような式[E−2]で示される化合物としては、具体的に、
(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、
((t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル)チタンジクロリドなどが挙げられる。
【0188】
本発明では、上記のようなメタロセン化合物は、2種以上組合わせて用いることもできる。
上記説明においては、メタロセン化合物としてチタン化合物について例示したが、チタンを、ジルコニウムまたはハフニウムに置換えた化合物を例示することもできる。
【0189】
これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、上記メタロセン化合物[E−1]および[E−2]としては、中心の金属原子がジルコニウムであり、少なくとも2個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有するジルコノセン化合物が好ましく用いられる。なお前記のメタロセン化合物[VI]では、中心の金属原子がチタンであることが好ましい。
【0190】
これらメタロセン化合物は、炭化水素あるいはハロゲン化炭化水素に希釈して用いてもよい。
また上記のようなメタロセン化合物は、粒子状担体化合物と接触させて用いることもできる。
【0191】
担体化合物としては、Si O、Al、B、MgO、ZrO、CaO、TiO、ZnO、SnO、BaO、ThOなどの無機担体化合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの樹脂を用いることができる。これらの担体化合物は、二種以上組み合わせて用いることもできる。
【0192】
次に本発明でメタロセン系触媒を形成する際に用いられる[b‐2]有機アルミニウムオキシ化合物およびイオン化イオン性化合物について説明する。
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0193】
このような従来公知のアルミノオキサンは、具体的には、下記一般式で表される。
【0194】
【化63】
Figure 0003552829
【0195】
(上記一般式において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、とくに好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。)
ここで、このアルミノオキサンは式(OAl(R))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位[ここで、RおよびRはRと同様の炭化水素基を例示することができ、RおよびRは相異なる基を表わす]からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
【0196】
なお本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
イオン化イオン性化合物としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
【0197】
ルイス酸としては、BR(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえば
トリフルオロボロン、
トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0198】
イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることができる。
【0199】
具体的に、トリアルキル置換アンモニウム塩としては、たとえば
トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、
トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0200】
ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえば
ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、
ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0201】
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0202】
さらに、ボラン化合物としては、下記のような化合物を挙げることもできる。
即ち、具体的には、ボラン化合物としては、デカボラン(14);
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0203】
また、カルボラン化合物としては、
4−カルバノナボラン(14)、
1,3−ジカルバノナボラン(13)、
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0204】
上記のようなイオン化イオン性化合物は、2種以上組合わせて用いてもよい。本発明においては、有機アルミニウムオキシ化合物または上記イオン化イオン性化合物は、上述した担体化合物に担持させて用いることもできる。
【0205】
また触媒[b]を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とともに前述した有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
【0206】
本発明では、上記のような触媒の存在下に(i) 4−メチル−1−ペンテン、(ii)上記非共役トリエンまたはテトラエン(非共役ポリエン)および、必要に応じて(iii)直鎖状α−オレフィンを、通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として用いてもよい。
【0207】
(i) 4−メチル−1−ペンテンと、(ii)上記非共役ポリエンと、(iii)直鎖状α−オレフィンとは、バッチ法、あるいは連続法いずれの方法で共重合されてもよい。共重合を実施するに際しては、上記触媒は以下のような濃度で用いられる。
【0208】
本発明において、[a−1]固体状チタン触媒成分と、[b‐1]有機アルミニウム化合物とからなる触媒が用いられる場合には、
固体状チタン触媒成分は、重合容積1リットル当たり、チタン原子に換算して、通常約0.001〜約1.0ミリモル、好ましくは約0.005〜0.5ミリモの量で用いられる。また有機アルミニウム化合物触媒成分は、固体状チタン触媒成分中のチタン原子1モルに対し、有機アルミニウム化合物触媒成分中の金属原子は、通常約10〜500モル、好ましくは20〜200モルとなるような量で用いられる。さらに、電子供与体触媒成分は、必要により有機アルミニウム化合物触媒成分中の金属原子1モル当たり、通常は約0.001〜10モル、好ましくは0.01〜2モル、特に好ましくは0.05〜1モルとなるような量で用いられる。
【0209】
また[a−3]メタロセン化合物と[b−2]有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物ともいう。)とからなる触媒が用いられる場合には、重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常、0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。また有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内の遷移金属であるメタロセン化合物に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
【0210】
イオン化イオン性化合物の場合は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常、約0〜5ミリモル/リットル(重合度積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
【0211】
本発明において、(i) 4−メチル−1−ペンテンと、(ii)上記非共役ポリエンと、必要に応じて(iii)直鎖状α−オレフィンとを固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下に共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−20℃〜120℃、好ましくは0℃〜100℃、さらに好ましくは0℃〜80℃で、圧力が0を超えて〜50Kg/cm、好ましくは0を超えて〜20Kg/cmの条件下に行われる。
【0212】
また本発明において、(i) 4−メチル−1−ペンテンと、(ii)上記非共役ポリエンと、必要に応じて(iii)直鎖状α−オレフィンとをメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒の存在下に共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−20℃〜120℃、好ましくは0℃〜100℃、さらに好ましくは0℃〜80℃で、圧力が0を超えて〜80Kg/cm、好ましくは0を超えて〜50Kg/cmの条件下に行なわれる。
【0213】
本発明では、(i) 4−メチル−1−ペンテン、(ii)上記非共役ポリエンおよび(iii)直鎖状α−オレフィンは、上述のような特定組成の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体が得られるような量で重合系に供給される。さらに共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0214】
上記のようにして(i) 4−メチル−1−ペンテン、(ii)上記非共役ポリエンおよび必要に応じて(iii)直鎖状α−オレフィンを共重合させると、不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は、常法により処理され、不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体が得られる。
【0215】
[不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体のグラフト変性物]
本発明に係る不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、該不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体に極性モノマーをグラフト重合させることにより、変性して用いることができる。
【0216】
本発明のグラフト変性された不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体(グラフト変性不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体ともいう)は、ラジカル開始剤の存在下あるいは不存在下に、上記のような不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体と、後述するような極性モノマーとを反応させることにより得ることができる。
【0217】
極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニルなどが挙げられる。
【0218】
具体的には、水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ−プロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;10−ウンデセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、2−メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N−メチロールアクリルアミド、2−(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセリンモノアルコールなどが挙げられる。
【0219】
アミノ基含有エチレン性不飽和化合物は、エチレン性二重結合とアミノ基を有する化合物であり、このような化合物としては、次式で表わされるアミノ基または置換アミノ基を少なくとも1種類有するビニル系単量体を挙げることができる。
【0220】
【化64】
Figure 0003552829
【0221】
式中、Rは水素原子、メチル基またはエチル基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12、好ましくは6〜8のシクロアルキル基である。なお上記のアルキル基、シクロアルキル基は、さらに置換基を有してもよい。
【0222】
このようなアミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、具体的には、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチルおよびメタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類;N−ビニルジエチルアミンおよびN−アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体類;アリルアミン、メタクリルアミン、N−メチルアクリルアミン、N,N−ジメチルアクリルアミン、およびN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミンなどのアリルアミン系誘導体;アクリルアミドおよびN−メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系誘導体;p−アミノスチレンなどのアミノスチレン類;6−アミノヘキシルコハク酸イミド、2−アミノエチルコハク酸イミドなどが用いられる。
【0223】
エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物は、1分子中に重合可能な不飽和結合およびエポキシ基を少なくとも1個以上有するモノマーであり、このようなエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなど、
マレイン酸のモノおよびジグリシジルエステル、フマル酸のモノおよびジグリシジルエステル、クロトン酸のモノおよびジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、イタコン酸のモノおよびグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸のモノおよびジグリシジルエステル、シトラコン酸のモノおよびジグリシジルエステル、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2,3−ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモノおよびジグリシジルエステルなどのジカルボン酸モノおよびジアルキルグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合のアルキル基の炭素数1〜12)、p−スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどを例示することができる。
【0224】
芳香族ビニル化合物としては、下記式で表わされる化合物が挙げられる。
【0225】
【化65】
Figure 0003552829
【0226】
上記式において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基を表わし、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基を挙げることができる。また、Rは炭素原子数1〜3の炭化水素基またはハロゲン原子を表わし、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基並びに塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などを挙げることができる。また、nは通常は0〜5、好ましくは1〜5の整数を表す。
【0227】
このような芳香族ビニル化合物の具体的な例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−クロロスチレン、m−クロロスチレンおよびp−クロロメチルスチレンが挙げられる。複素環芳香族ビニル化合物も使用することができ、たとえば4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−イソプロペニルピリジン、2−ビニルキノリン、3−ビニルイソキノリン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなどを挙げることができる。
【0228】
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸、またはこれらの酸無水物あるいはこれらの誘導体(例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステルなど)が挙げられる。具体的な化合物の例としては、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどを挙げることができる。これらの中では、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸アミノプロピルが好ましい。
【0229】
ビニルエステル化合物の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどを挙げることができる。
【0230】
上記極性モノマーは、上記不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体100重量部に対して、通常は、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜80重量部の量で使用される。
【0231】
ラジカル開始剤としては、有機過酸化物あるいはアゾ化合物などを挙げることができる。
有機過酸化物の具体的な例としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドおよび2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイドなどを挙げることができる。また、アゾ化合物としてはアゾイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチロニトリルなどを挙げることができる。
【0232】
このようなラジカル開始剤は、上記不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体100重量部に対して、一般には、0.001〜10重量部の量で使用されることが望ましい。
【0233】
ラジカル開始剤は、そのまま不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体および極性モノマーと混合して使用することもできるが、このラジカル開始剤を少量の有機溶媒に溶解して使用することもできる。ここで使用される有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく使用することができる。このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンのようなの脂環族炭化水素系溶媒;クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレンなどの塩素化炭化水素;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸エチルおよびジメチルフタレートなどのエステル系溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキシアニソールのようなエーテル系溶媒を挙げることができる。
【0234】
また本発明において、不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体をグラフト変性するに際して、還元性物質を用いてもよい。還元性物質は、得られるグラフト変性不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体におけるグラフト量を向上させる作用を有する。
【0235】
還元性物質としては、鉄(II)イオン、クロムイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、パラジウムイオン、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン、ヒドラジンなどのほか、−SH、SOH、−NHNH、−COCH(OH)−などの基を含む化合物が挙げられる。
【0236】
このような還元性物質としては、具体的には、塩化第一鉄、重クロム酸カリウム、塩化コバルト、ナフテン酸コバルト、塩化パラジウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、ヒドラジン、エチルメルカプタン、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0237】
上記の還元性物質は、上記の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体100重量部に対して、通常は、0.001〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の量で使用される。
【0238】
不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体のグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、例えば不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体を有機溶媒に溶解し、次いで極性モノマーおよびラジカル開始剤などを溶液に加え、70〜200℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させることにより行われる。
【0239】
不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体をグラフト変性する際に用いられる有機溶媒は、不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく使用することができる。
【0240】
このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
【0241】
また、押出機などを使用して、無溶媒で、不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体と極性モノマーとを反応させて、グラフト変性不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体を製造することができる。反応温度は、通常不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の融点以上、具体的には120〜250℃の範囲である。このような温度条件下における反応時間は、通常0.5〜10分間である。
【0242】
このようにして調製されたグラフト変性不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体中における極性モノマーから誘導されるグラフト基のグラフト量は、通常は0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜30重量%の範囲内にある。
【0243】
このようにして得られた変性不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、金属および極性樹脂との接着性に優れる。また、該変性不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体を極性樹脂とブレンドすることにより、その耐衝撃性、低温耐衝撃性を改良することができる。
【0244】
また変性不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体を(変性4−メチル−1−ペンテン系ランダム共重合体)成型して得られた成形体では、その成形体表面への印刷性、塗装性に優れている。また、ポリオレフィンにガラス繊維、無機化合物などの充填剤と共に該変性不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体(変性4−メチル−1−ペンテン系ランダム共重合体)をブレンドすることにより、充填剤の分散性が改良された樹脂組成物を得ることができる。このようにすれば、充填剤を配合する場合の利点が保持され、しかも機械強度が向上した樹脂組成物を得ることができる。
【0245】
[不飽和性4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む組成物]
上記のような不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体を含有する本発明に係る組成物は、必要に応じて種々の添加剤、たとえば酸化防止剤、充填剤などを含有することができる。
【0246】
以下に前記の分岐鎖状ポリエン[Ib](分岐鎖状トリエンまたはテトラエン[Ib])の製造方法について詳説する。
分岐鎖状ポリエン[Ib]の製造方法
本発明で用いられる上記式[H−1]で表されるポリエンの内で、p=1、q=0である分岐鎖状トリエンまたはテトラエン[Ib]は、通常、エチレンと下記式[H−1a]で示される共役ジエン化合物[H−1a]とを反応させることにより合成される。
【0247】
【化66】
Figure 0003552829
【0248】
(式[H−1a]中、f、g、R、R、R〜Rは、前記式[H−1]の場合に同じ。)
なおエチレンと上記式[H−1a]で示される共役ジエン化合物との反応の際に副生することのある下記式[H−1b]で示される鎖状ポリエンは、通常、蒸留によって分離することができる。ただし、両者を分離することなく、重合に供することもできる。
【0249】
【化67】
Figure 0003552829
【0250】
(式[H−1b]中、f、g、R、R、R〜Rは、前記式[H−1a]の場合に同じ。)
さらに具体的に説明すると、本発明で用いられる分岐鎖状ポリエン[Ib]は、例えば、下記式[I−a]で示される共役ジエンを有する化合物(以下共役ジエン化合物[I−a]ともいう)とエチレンとを反応させることにより製造することができる。
【0251】
【化68】
Figure 0003552829
【0252】
(式中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。)
上記のような炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基など前記式[Ib]の場合と同様な基が挙げられる。
【0253】
このような式[I−a]で示される共役ジエン化合物としては、具体的にたとえば、下記(1)〜(24)に例示するような化合物が挙げられる。
(1):3−メチレン−1,5−ヘプタジエン、
(2):6−メチル−3−メチレン−1,5−ヘプタジエン、
(3):6−メチル−3−メチレン−1,5−オクタジエン、
(4):6−エチル−3−メチレン−1,5−オクタジエン、
(5):5,6−ジメチル−3−メチレン−1,5−ヘプタジエン、
(6):5,6−ジメチル−3−メチレン−1,5−オクタジエン、
(7):3−メチレン−1,5−ノナジエン、
(8):6−メチル−3−メチレン−1,5−ノナジエン、
(9):6−メチル−5−プロピル−3−メチレン−1,5−ヘプタジエン、
(10):3−メチレン−1,6−オクタジエン、
(11):7−メチル−3−メチレン−1,6−オクタジエン、
(12):3−メチレン−1,6−デカジエン、
(13):7−メチル−3−メチレン−1,6−デカジエン、
(14):6,7−ジメチル−3−メチレン−1,6−オクタジエン、
(15):6,7−ジメチル−3−メチレン−1,6−ノナジエン、
(16):6,7−ジメチル−3−メチレン−1,6−デカジエン、
(17):7−メチル−6−エチル−3−メチレン−1,6−デカジエン、
(18):6,7−ジエチル−3−メチレン−1,6−ノナジエン、
(19):8−メチル−3−メチレン−1,7−ノナジエン、
(20):7,8−ジメチル−3−メチレン−1,7−ノナジエン、
(21):9−メチル−3−メチレン−1,8−デカジエン、
(22):8,9−ジメチル−3−メチレン−1,8−デカジエン、
(23):10−メチル−3−メチレン−1,9−ウンデカジエン、
(24):9,10−ジメチル−3−メチレン−1,9−ウンデカジエン。
【0254】
上記反応によると、分岐鎖状ポリエン[Ib]は、通常、トランス体とシス体との混合物として得られるが、一方の立体異性体が単一物として得られることもある。分岐鎖状ポリエン[Ib]の構造によっては、蒸留によってトランス体とシス体とを分離することができる。ただし、両者を分離することなく重合に供することもできる。
【0255】
また上記反応によれば、分岐鎖状ポリエンとともに一般式[I−b]で示される下記のような鎖状ポリエン化合物も副生することがある。
【0256】
【化69】
Figure 0003552829
【0257】
(式[I−b]中、f、g、R、RおよびRは式[I−a]の場合に同じ。)
この副生物は、通常、蒸留によって分離することができる。ただし、副生物を分離することなく、重合に供することもできる。
【0258】
上記のような共役ジエン化合物[I−a]とエチレンとの反応は、共役ジエンを有する化合物[I−a]によっても異なるが、通常50〜200℃好ましく70〜150℃の温度で、エチレン圧0.5〜100kg/cm、好ましくは1〜100kg/cmさらに好ましくは5〜70kg/cmの圧力下に、0.5〜30時間行われる。エチレンは、反応容器に連続して加えてもよく、また、間欠的に加えてもよい。
【0259】
この反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。また溶媒を使用しないでこの反応を行なうことができるが、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、トルエン、キシレンなどの不活性な炭化水素系溶媒の共存下にこの反応を行なうこともできる。
【0260】
この反応は、通常触媒の存在下に行なわれる。特にこの反応を、遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下に行なうと、分岐鎖状ポリエン[Ib]が効率よく得られる。
【0261】
このような遷移金属化合物としては、具体的に、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウムなどの周期律表第VIII族から選ばれる遷移金属の塩化物、臭化物、アセチルアセトナート塩、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトナート塩、ジピバロイルメタン塩などが挙げられる。これらのうち、コバルト、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウムの化合物(塩化物)が好ましく、特にコバルト化合物(塩化物)が好ましく、最も好ましくは塩化コバルトを挙げることができる。
【0262】
このような遷移金属化合物(たとえば遷移金属塩化物)は、そのままでも触媒の調製のための反応に用いることができるが、触媒の調製に際しては、この遷移金属化合物に有機配位子が配位した遷移金属錯体として用いることが好ましい。すなわちこの遷移金属化合物とともに遷移金属の配位子となりうる有機化合物(配位化合物)を反応系に共存させるか、あるいは予め遷移金属化合物と上記のような配位化合物とから遷移金属錯体を形成して、触媒調製反応に使用するのが好ましい。
【0263】
このような配位子となりうる化合物としては、たとえば、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、シクロオクタジエン、シクロオクタテトラエンなどが挙げられる。
【0264】
また予め遷移金属化合物に有機配位子が配位された錯体としては、
[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]コバルト(II)クロリド、
[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)クロリド、
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)クロリドなどが好ましく用いられる。
【0265】
また有機アルミニウム化合物としては、前述したようなものを用いることができ、トリエチルアルミニウムが好ましく用いられる。有機アルミニウム化合物は、そのまま用いてもよく、またトルエン溶液あるいはヘキサン溶液にして用いることもできる。
【0266】
上記の共役ジエンを有する化合物[I−a]とエチレンとの反応においては、遷移金属化合物は、共役ジエンを有する化合物[I−a]に対して、好ましくは0.001〜10モル%の量で、特に好ましくは0.01〜1モル%の量で用いられる。また配位化合物は、遷移金属化合物に対して、0〜20モル倍の量で用いられることが好ましく、特に0.1〜5モル倍の量で用いられることが好ましい。
【0267】
有機アルミニウム化合物は、遷移金属化合物に対して、1〜200モル倍の量で用いられることが好ましく、特に3〜100モル倍の量で用いられることが好ましい。
【0268】
本発明では、上記の共役ジエンを有する化合物[I−a]とエチレンとを含む反応系において、上記のような遷移金属化合物(または遷移金属錯体)と有機アルミニウム化合物とをその場で反応させて調製してもよいが、予め遷移金属化合物(または遷移金属錯体)と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られた反応生成物を、触媒として用いることが好ましい。
【0269】
すなわち、触媒は、例えば、不活性雰囲気下、前記反応溶剤と同じ溶剤中、例えばデカン中で遷移金属化合物と配位化合物とを室温で混合した後、これに有機アルミニウム化合物を加え、室温で攪拌することによって調製することができる。
【0270】
特に、上記式[H−1]において炭素炭素二重結合が4個[換言すれば、式[H−1]においてRが−(CH−CR10=R1112のもの]である、本発明で用いられる分岐鎖状テトラエン[Ib’](分岐鎖状ポリエン[Ib’])は、例えば、上記エチレンと式[I−a]で示される共役ジエン化合物との反応で、この式[I−a]で示される共役ジエン化合物に代えて、例えば、下記式[I−aa]で示される共役ジエン化合物を用いればよい。
【0271】
【化70】
Figure 0003552829
【0272】
Figure 0003552829
(式[I−aa]中、fは0〜5、gは1〜6好ましくは1〜3の整数を示し、nは1〜5の整数を示し、R〜R11は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキル基を示し、R12は、炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
なお、この反応の際には、特にエチレンを通常0.5〜100kg/cm、好ましくは1〜50kg/cmの圧力下に反応容器に加えることが望ましい。その他の条件はエチレンと上記式[I−a]で示される共役ジエン化合物との反応の場合と同様である。
【0273】
なお、エチレンとこの共役ジエン化合物[I−aa]との反応で、分岐鎖状ポリエン[Ib’]と共に、下記式[I−bb]で示される鎖状ポリエン化合物が副生することがある。この場合には、該副生物は前記と同様にして分離除去すればよい。ただし、副生物を分離せずに、重合に供することもできる。
【0274】
【化71】
Figure 0003552829
【0275】
Figure 0003552829
(式[I−bb]中、f、g、n、R〜R12は上記式[I−aa]の場合に同じ。)
【0276】
【発明の効果】
本発明によれば、化学反応性に富み、グラフト変性が容易でしかも接着性、塗装性、印刷性、帯電防止性などに優れてた不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体が得られる。
【0277】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等限定されるものではない。
【0278】
【参考例1】
6,10− ジメチル −1,5,9− ウンデカトリエン(DMUT)の合成
[p=0,q=1,f=1,g=2、全ての炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子に直接結合した水素原子の総数:17個]
【0279】
【化72】
Figure 0003552829
【0280】
スターラー、ジムロート冷却管、滴下ロート及び温度計を備えた容量1リットルの三口フラスコの中に、窒素雰囲気下で攪拌しながら、削り状マグネシウム金属25.5g(1.05グラム原子)、無水ジエチルエーテル200mlおよび200mgの1,2−ジブロモエタンを入れ、その中に臭化アリル127g(1.05モル)の無水ジエチルエーテル(200ml)溶液を少量滴下した。
【0281】
フラスコ内容物の発熱が始まり臭化アリルマグネシウム(グリニアール試薬)が生成し始めた後に、無水ジエチルエーテル400mlをフラスコ内に追加し、さらに残りの臭化アリルの無水ジエチルエーテル溶液を氷浴下、5時間かけてフラスコ内に滴下し(フラスコ内部温度5℃以下)した。この臭化アリルの無水ジエチルエーテル溶液の滴下終了後、さらに0.5時間攪拌を続けて、臭化アリルマグネシウム溶液を得た。
【0282】
得られた臭化アリルマグネシウム溶液中に残存する不溶物をデカンテーションして除去し、窒素雰囲気下の2リットル容量三口フラスコに移液した。
このように臭化アリルマグネシウム溶液が入れられた三口フラスコを氷浴で冷却しながら、このフラスコ内に、臭化ゲラニル150g(0.69モル)の無水ジエチルエーテル200ml溶液をフラスコ内部温度5℃以下に保持しつつ2時間かけて滴下した。
【0283】
臭化ゲラニルの無水ジエチルエーテル溶液の滴下終了後、さらに室温で8時間攪拌した。
得られた反応混合物を氷浴で冷やしながら、この反応混合物内に飽和塩化アンモニウム水溶液を徐々に滴下し、さらにジエチルエーテルおよび水を加えて有機層と水層とに分液した。
【0284】
有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた乾燥物から溶媒を留去し、残査を減圧蒸留すると、目的物である6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン(DMUT)が104g得られた(収率85%、臭化ゲラニル基準)。
【0285】
得られた6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン(DMUT)の性状、および物性を以下に示す。
(i) 性状:無色油状。
(ii) 沸 点:58−60℃/2mmHg。
(iii) MSスペクトル: 178(M:分子イオンピーク)。
(iv) HNMRスペクトル(CDCl溶液):
δ1.64(6H,singlet)
1.70(3H,singlet)
2.1 (8H,multiplet)
5.0 (4H,multiplet)
5.8 (1H,multiplet)。
(v) IRスペクトル(neat, cm−1):
3075, 2970, 2920, 2850, 1640, 1440, 1380, 1105, 995, 905。
【0286】
【参考例2】
4− エチリデン −8− メチル −1,7− ノナジエン(EMN)の合成
[p=1,q=0,f=1,g=1、全ての炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子に直接結合した水素原子の総数:15個]
【0287】
【化73】
Figure 0003552829
【0288】
[触媒の調製]
アルゴン雰囲気下、スターラー攪拌子を入れた50mlフラスコ中に、無水塩化コバルト(II)43mg(0.33ミリモル)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン263mg(0.66ミリモル)および無水デカン23mlを入れ、25℃で2時間攪拌した。次いで25℃で、濃度1モル/リットルのトリエチルアルミニウム/トルエン溶液 17ml(トリエチルアルミニウム17ミリモル)を加えて2時間攪拌することにより触媒を調製した。
【0289】
300mlステンレス(SUS316)製オートクレーブ中に、アルゴン雰囲気下、7−メチル−3−メチレン−1,6− オクタジエン(β−ミルセン)100g(734ミリモル)と上記のように調製された触媒を全量加えて密閉した。次いでオートクレーブにエチレンボンベを直結して、エチレンを導入して、オートクレーブ内を35kg/cmまで加圧した。次いで95℃に加熱して、消費されたエチレンを間欠的に5回追加して、合計で15時間反応を行った。
【0290】
反応終了後にオートクレーブを冷却してから開放し、得られた反応混合物を100mlの水中に注いで有機層と水層とに分離した。分離された有機層を、エバポレータで低沸点物を除去した後、20段の精密減圧蒸留を行った。
【0291】
目的物であるEMNが83g得られた(収率69%)。また反応副生物として、5,9−ジメチル−1,4,8− デカトリエンが16g生成した(収率13%)。
上記で得られた4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン(EMN)の分析結果を以下に示す。
【0292】
(i) 沸 点:103〜105℃/30mmHg
(ii) GC−MS(ガスクロマトグラフィ−質量分析):
m/z 164(M分子イオンピーク)、
149、123、95、69、41、27
(iii) 赤外線吸収スペクトル(ニート、cm−1
吸収ピーク:3080、2975、2925、2850、1670、1640、1440、1380、1235、1110、995、910、830
(iv)H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl
吸収ピークを下記に示す。
【0293】
【表1】
Figure 0003552829
【0294】
【参考例3】
5,9− ジメチル −1,4,8− デカトリエン(DMDT)の合成
[p=0,q=1,f=0,g=2、全ての炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子に直接結合した水素原子の総数:15個]
【0295】
【化74】
Figure 0003552829
【0296】
スターラー、ジムロート冷却管、滴下ロート及び温度計を備えた容量1リットルの三口フラスコの中に、窒素雰囲気下、0.87モル/リットルのビニルマグネシウムブロミドの無水テトラヒドロフラン溶液500ml(0.435モル)を入れ、フラスコ内容物を氷浴で冷却した。
【0297】
次に、フラスコ内容物を攪拌しながら、このフラスコ内に臭化ゲラニル75g(0.346モル)の無水テトラヒドロフラン溶液100mlを30分間かけて滴下し、さらに8時間室温で攪拌した。
【0298】
得られた反応混合物を氷浴で冷やしながら、このフラスコ内に飽和塩化アンモニウム水溶液を徐々に滴下し、さらにジエチルエーテルおよび水を加えて有機層と水層とに分液した。
【0299】
分取された有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
得られた乾燥物中の溶媒を留去し、残査を減圧蒸留すると、目的物である5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)が21.9g得られた(収率39%、臭化ゲラニル基準)。
【0300】
得られた5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)の性状、および物性を以下に示す。
(i) 性状:無色油状。
(ii) 沸 点:56−58℃/2mmHg。
(iii) MSスペクトル: 164(M)。
(iv)HNMRスペクトル(CDCl溶液):
δ1.64(6H,singlet)
1.70(3H,singlet)
2.04(4H,singlet)
2.76(2H,multiplet)
5.0 (4H,multiplet)
5.8 (1H,multiplet)。
(v) IRスペクトル(neat):
3075, 2970, 2920, 2850, 1640, 1440, 1380, 1105, 995, 905。
【0301】
【実施例1】
[固体チタン触媒成分(a)の調製]
無水塩化マグネシウム95.2g、デカン442mlおよび2−エチルヘキシルアルコ−ル390.6gを130℃で2時間加熱反応を行なって均一溶液とした後、この溶液中に無水フタル酸21.3gを添加し、さらに130℃にて1時間攪拌混合を行ない、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解させた。このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、75mlを−20℃に保持した四塩化チタン200ml中に1時間にわたって全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチルフタレ−ト5.22gを添加し、これより2時間同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過して固体部を採取し、この固体部を275mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行なった。反応終了後、再び熱濾過して固体部を採取し、110℃デカンおよびヘキサンにて、洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。以上の操作によって調製したチタン触媒成分(a)はデカンスラリ−として保存したが、この内の一部を触媒組成を調べる目的で乾燥した。このようにして得られた固体チタン触媒成分(a)の組成はチタン2.5重量%、塩素65重量%、マグネシウム19重量%およびジイソブチルフタレート13.5重量%であった。
[重合]
充分に窒素置換した内容積1リットルのガラス製オートクレーブに4−メチル−1−ペンテン500ml、1−デセン10ml、製造例2で合成した4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエンを主として含む4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン混合物(以下「EMN」と記す)10mlおよび水素1N−リットルを装入し、系内の温度を50℃に昇温した。トリエチルアルミニウムを1ミリモル、トリメチルメトキシシランを1ミリモルおよび上記で調製した触媒をTi原子に換算して0.005ミリモル添加することにより重合を開始した。系内を50℃に保ち、15分間重合を行った後、少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した。得られたポリマー溶液を大過剰のメタノール中に投入することにより、ポリマーを析出させた。ポリマーを濾過により回収し、安定剤[Irganox 1010 (チバガイギー製)30mgおよびMark329K(旭電化製)30mg]を混合した後、80℃で減圧下に一晩乾燥した。
【0302】
その結果、極限粘度[η]が2.9dl/gであり、4−メチル−1−ペンテン単位が94.5モル%であり、1−デセン単位が3.0モル%であり、EMN単位が2.5モル%である4−メチル−1−ペンテン・1−デセン・EMN共重合体を40.8g得た。
【0303】
【実施例2】
[重合]
実施例1の重合において、EMNの使用量を20mlとし、触媒の使用量をTi原子に換算して0.01ミリモルとし、かつ1−デセンを使用しなかったこと以外は同様に行った。
【0304】
その結果、極限粘度[η]が2.5dl/gであり、4−メチル−1−ペンテン単位が95.6モル%であり、EMN単位が4.4モル%である4−メチル−1−ペンテン・1−デセン・EMN共重合体を38.5g得た。
【0305】
【実施例3】
[重合]
実施例1の重合において、EMNに代えて5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)を20ml用い、触媒の使用量をTi原子に換算して0.01ミリモルとし、かつ1−デセンを使用しなかったこと以外は同様に行った。
【0306】
その結果、極限粘度[η]が2.6dl/gであり、4−メチル−1−ペンテン単位が95.2モル%であり、DMDT単位が4.8モル%である4−メチル−1−ペンテン・1−デセン・DMDT共重合体を41.1g得た。

Claims (22)

  1. [A](i) 4−メチル−1−ペンテンと、
    (ii)1分子中に1個のビニル基を有する、少なくとも1種の直鎖状また は分岐鎖状非共役トリエンまたはテトラエンと、
    必要に応じて、
    (iii) 炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィンとのランダム共重合体であり、
    [B](i) 4−メチル−1−ペンテンから誘導される構成単位が70モル%を超えて99.9モル%以下であり、
    (ii)上記非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が0.1〜30モル%未満であり、
    (iii)炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィンから誘導される構成単位が0〜30モル%未満であり、
    [C]135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gであることを特徴とする不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体。
  2. 上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが、ビニル基に隣接した炭素原子に、1個の直鎖状または分岐鎖状炭化水素基と2個の水素原子とが結合したものであることを特徴とする請求項1に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体。
  3. 上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが下記式[H−1]で表され、上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が下記式[H−2]で表されることを特徴とする請求項2に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体:
    Figure 0003552829
    [式[H−1]中、pとqとは0または1であり(但しpとqは同時に0ではない)、fは0〜5の整数であり(但しpとqが1の場合fは0ではない)、gは1〜6の整数であり、R,R,R,R,R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または −(CH−CR10=CR1112で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10,R11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R12は炭素数1〜5のアルキル基である)である(但し、pとqが1の場合、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)。]
    Figure 0003552829
    [式[H−2]中、p、q、f、g、R〜Rは、上記式[H−1]の場合と同じ意味である。]
  4. 上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが下記式[Ia]で表され、
    上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が下記式[IIa]で表されることを特徴とする請求項3に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体:
    Figure 0003552829
    [式[Ia]中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、R,R,R,R,R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または −(CH−CR10=CR1112で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10,R11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R12は炭素数1〜5のアルキル基である)である。]
    Figure 0003552829
    Figure 0003552829
    [式[IIa]中、f、g、R〜Rは、上記式[Ia]の場合と同じ意味である。]
  5. 上記式[Ia]および式[IIa]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることを特徴とする請求項4に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体。
  6. 上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが下記式[Ib]で表され、上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が下記式[IIb]で表されることを特徴とする請求項3に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体:
    Figure 0003552829
    [式[Ib]中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、R,R,R,R,Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または −(CH−CR10=CR1112で表される基(ここで、nは1〜5の整数であり、R10,R11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R12は炭素数1〜5のアルキル基である)である。]
    Figure 0003552829
    [式[IIb]中、f、g、R、R、R〜Rは式[Ib]の場合と同じ意味である。]
  7. 上記式[Ib]および式[IIb]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることを特徴とする請求項6に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体。
  8. 上記[A](iii)非共役テトラエンが下記式[Ib’]で表され、
    上記[B](iii)非共役テトラエンから誘導される構成単位が下記式[IIb’]で表されることを特徴とする請求項6に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体。
    Figure 0003552829
    [式[Ib’]中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、R,R,R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1〜5の整数であり、R10,R11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R12は炭素数1〜5のアルキル基である。]
    Figure 0003552829
    [式[IIb’]中、f、g、R、R、R〜R、n、R10〜R12は式[Ib’]の場合と同じである。]
  9. 上記式[Ib’]および式[IIb’]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることを特徴とする請求項8に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体。
  10. 上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが下記式[Ic]で表され、
    上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が下記式[IIc]で表されることを特徴とする請求項6に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体:
    Figure 0003552829
    Figure 0003552829
    [式[Ic]中、fは0〜5の整数であり、gは1〜6の整数であり、R,R,R,RおよびRは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。]
    Figure 0003552829
    [式[IIc]中、f、g、R、R、R〜Rは、式[Ic]の場合と同じ意味である。]
  11. 上記式[Ic]および式[IIc]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることを特徴とする請求項10に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体。
  12. (i) 4−メチル−1−ペンテンと、
    (ii)1分子中に1個のビニル基を有する、少なくとも1種の直鎖状また は分岐鎖状非共役トリエンまたはテトラエンと、
    必要に応じて、
    (iii) 炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィンとを、遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物および/またはイオン化イオン性化合物とから形成される触媒の存在下に共重合させて、
    [A](i) 4−メチル−1−ペンテンと、
    (ii)1分子中に1個のビニル基を有する、少なくとも1種の直鎖状また は分岐鎖状非共役トリエンまたはテトラエンと、
    必要に応じて、
    (iii) 炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィンとの、
    ランダム共重合体であり、
    [B](i) 4−メチル−1−ペンテンから誘導される構成単位が70モル%を超えて99.9モル%以下であり、
    (ii)上記非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が0.1〜30モル%未満であり、
    (iii)炭素数2〜20の直鎖状α−オレフィンから誘導される構成単位が0〜30モル%未満であり、
    [C]135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gである不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体を得ることを特徴とする不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造方法。
  13. 上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが、ビニル基に隣接した炭素原子に、1個のビニル基以外の直鎖状または分岐鎖状炭化水素基と2個の水素原子とが結合したものであり、
    上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が、ポリマー主鎖に隣接した炭素原子に、1個の直鎖状または分岐鎖状炭化水素基と、2個の水素原子とが結合したものであることを特徴とする請求項12に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造方法。
  14. 上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが上記式[H−1]で表され、
    上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が上記式[H−2]で表されることを特徴とする請求項13に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造方法。
  15. 上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが上記式[Ia]で表され、
    上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が上記式[IIa]で表されることを特徴とする請求項13に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造方法。
  16. 上記式[Ia]および式[IIa]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることを特徴とする請求項15に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造方法。
  17. 上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが上記式[Ib]で表され、上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が上記式[IIb]で表されることを特徴とする請求項13に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造方法。
  18. 上記式[Ib]および式[IIb]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることを特徴とする請求項17に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造方法。
  19. 上記[A](iii)非共役テトラエンが上記式[Ib’]で表され、
    上記[B](iii)非共役テトラエンから誘導される構成単位が上記式[IIb’]で表されることを特徴とする請求項13に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造方法。
  20. 上記式[Ib’]および式[IIb’]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることを特徴とする請求項19に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造方法。
  21. 上記[A](iii)非共役トリエンまたはテトラエンが上記式[Ic]で表され、
    上記[B](iii)非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構成単位が上記式[IIc]で表されることを特徴とする請求項13に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造方法。
  22. 上記式[Ic]および式[IIc]において、R,R,R,Rが全て水素原子であることを特徴とする請求項21に記載の不飽和性4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造方法。
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