JP3552630B2 - 熱転写記録方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速でフルカラーの高画質画像が低価格普通紙上に形成可能な熱転写記録方法、装置及び記録体に関する。
【0002】
【従来の技術】
染料熱転写記録方法は、カラ−写真に匹敵する高画質画像を提供できる、環境に優しく、小型・保守・即時性の優れた記録技術である。しかし、高画質を再現するためパルプ紙の両面を発泡ポリエステル(PET)フィルム等で積層した高価で選択自由度のない受像紙基材を用いる必要がある。このような課題を解決するため再転写記録法が提案されている。その第1の方法はPETフィルム等の薄い基材に受像層をコーティング等で形成した受像層シートに画像を形成し、その画像を紙等に再転写する方法である。しかし、この方法は薄いシート基材に熱記録するため、画像のレジストレーションが悪く、また受像シートの装置内での引き回しが実用的でない。第2の方法はドラムまたはベルト等の閉ループの記録中間体を用いるものであり、ドラムを用いる方法は特開平4−156384号公報、ベルトを用いる方法は特開平8−67016号公報にそれぞれ開示されている。これは、別に設けた染着層転写体から記録中間体上に染着層を転写し、この染着層に染料熱転写による画像を形成した後、紙等の受像体に染着層ごと再転写する方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記第2の再転写記録方法において、閉ループ記録中間体にドラムを用いる方法(特開平4−156384号公報記載の方法)では、高速で安定な記録走行が行える反面、最終受像体への熱転写が紙等の背面から熱を付与するか、ドラムの内側から加熱するため、熱制御が困難である。また閉ループ記録中間体にベルトを用いる方法(特開平8−67016号公報記載の方法)では、ベルト内側に画像転写加熱源を設けられるので転写は比較的安定であるが、高速で安定な記録とベルトの蛇行制御に課題が生じる。特に、不安定なベルト上に受像層を転写し、画像記録を行う方法は記録プロセスの余裕度を低減化させる。また、ベルト内の加熱源にはハロゲンランプ等が用いられたため、ベルト表面温度制御に課題が生じ、これもプロセス余裕度の低減化を招いていた。
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の発明は、基材上に染着層を有する染着層転写体と、基材上にそれぞれ異なる昇華性染料層を有する3つの染料転写体と、大径ドラムと複数の小径ドラムが内側から接する閉ループ基材からなる記録中間体と、前記閉ループ基材の外側からこれに接する小径ドラムと、受像体とを有し前記小径ドラムが内側から接している閉ループ基材の外側部分に染着層転写部を構成し、前記大径ドラムに接している閉ループ基材の外側部分に前記3つの染料転写体に対応する記録ヘッドをそれぞれ配置して画像記録部を構成し、小径ドラムが外側から接している閉ループ基材の内側に画像転写ヘッドを配置して画像転写部を構成し、前記染着層転写部における前記染着層転写体の染着層を前記閉ループ基材からなる記録中間体上に熱転写するプロセスと、前記記録中間体の移動により前記画像記録部において、前記転写された染着層上に上記それぞれの記録ヘッドにより前記各染料転写体の染料を順次熱転写記録するプロセスと、前記画像転写部において、前記画像記録部にて記録された染着層を受像体上に熱転写するプロセスを有することを特徴とする熱転写記録方法である。
また、本発明の請求項2に記載の発明は、基材上に染着層を有する染着層転写体と、各基材上にそれぞれ異なる昇華性染料層を有する3つの染料転写体と、大径ドラムと複数の小径ドラムが内側から接する閉ループ基材からなる記録中間体と、前記閉ループ基材の外側からこれに接する小径ドラムと、受像体とを有し、前記小径ドラムが内側から接している閉ループ基材の外側部分に染着層転写部を構成し、前記大径ドラムに接している閉ループ基材の外側部分に前記3つの染料転写体に対応する記録ヘッドをそれぞれ配置して画像記録部を構成し、小径ドラムが外側から接している閉ループ基材の内側に画像転写ヘッドを配置して画像転写部を構成したことを特徴とする熱転写記録装置である。
上記の本発明によれば、3つの記録ヘッドを同時駆動して染着層を連続転写することができるため、転写記録速度の高速化が図れるとともに、記録ヘッドによる前記閉ループ基材への染着層の転写は大径ドラムに接している部分で順次行われるため、転写の安定性が増すという効果がある。また閉ループ基材の内側に画像転写ヘッドを配置して画像転写部を構成することにより最終受像体への熱転写制御が容易になる。
【0006】
本願の請求項3記載の発明は、染着層転写部と画像記録部の複数の記録ヘッドを、記録画像サイズのピッチと同等以上になるよう配置し、かつ、記録画像が前記閉ループ記録中間体上全体にほぼ等間隔になるように連続記録する熱転写記録方法であって、転写記録速度の高速化が図れるとともに染着層転写体や染料転写体の転写体材料の使用量も少なくすることが可能となる。
【0007】
本願の請求項4記載の発明は、閉ループ基材の回転駆動を前記大径ドラムに連結した回転駆動部で行い、閉ループ内の小径ローラで補助駆動を行うことを特徴とした熱転写記録方法であり、回転安定性が向上しかつ駆動ロスが少ないという効果を有する。
【0008】
本願の請求項5記載の発明は、染着層転写部、画像記録部、画像転写部に冷間剥離機構が設けられ、染着層転写部及び画像転写部の冷間剥離角度が45度以上であることを特徴とした熱転写記録方法であり、剥離が完全に行えるという効果を有する。
【0009】
本願の請求項6記載の発明は、画像転写部において、中間転写体と受像体との剥離部が、中間転写体内側と受像体外側の両方からニップされていることを特徴とする熱転写記録方法であり、記録された受像層が完全に受像体に転写し、高い高光沢画像を得ることができる。
【0010】
本願の請求項7記載の発明は、染着層転写部において、染着層転写体上の染着層を任意形状に切断して記録中間体上に転写し、画像記録部で染着層に記録した後、画像転写部で、記録中間体上の染着層を受像体上に全面熱転写することを特徴とする熱転写記録方法であり、最初に染着層を任意形状に切断して記録中間体上に転写し、最終的に染着層を受像体上に全面熱転写することにより良好な最終画像を得ることが可能となる。
【0011】
本願の請求項8記載の発明は、閉ループ上に柔軟性機能層を設けたことを特徴とする熱転写記録方法である。
【0012】
本願の請求項9記載の発明は、閉ループ上の柔軟性機能層が、断熱性を有することを特徴とする熱転写記録方法であり、より良好な転写が可能となる。
【0013】
本願の請求項10記載の発明は、同一基材上に染着層転写体と染料転写体が面順次に設けられたことを特徴とする熱転写記録方法であり、同一ヘッドで順次染着層転写、染料転写することが可能となり、面順次塗工シートが使用可能であり、かつヘッド等の部品点数を少なくすることが可能となる。
【0014】
本願の請求項11記載の発明は、同一基材上に色素の異なる染料転写体が面順次に設けられたことを特徴とする記載の熱転写記録方法であり、同一ヘッドで複数の染料転写することが可能となり、面順次塗工シートが使用可能であり、かつヘッド等の部品点数を少なくすることが可能となる。
【0015】
本願の請求項12記載の発明は、記録中間体表面に当接するクリーニング機構を有し、このクリーニング機構が中間記録体走行に対して等速に従動するか、減速駆動することを特徴とする熱転写記録方法であり、記録中間体表面のオイル等を除去し、プロセスの安定化を図ることができる。
【0016】
本願の請求項13記載の発明は、前記クリーニング機構が記録中間体に接するローラ状であることを特徴とする熱転写記録方法である。
【0017】
本願の請求項14記載の発明は、記クリーニング機構が巻だし部と巻き取り部を有し、記録中間体に接するシート状であることを特徴とする熱転写記録方法であり、プロセスの長寿命化を図ることができる。
【0018】
本願の請求項15記載の発明は、基材上に染着層を有する染着層転写体と、同一基材上に複数の色素を有する昇華性染料層を面順次に設けた染料転写体と、複数のドラムに跨る閉ループ基材からなる記録中間体と、受像体とを用い、一方の前記ドラムの閉ループ基材外側に染着層転写部を構成し、他方の前記ドラム外周上の閉ループ外側に記録ヘッドを配置して画像記録部を構成し、前記閉ループ内側に画像転写ヘッドを配置して画像転写部を構成し、前記染着層転写部における前記染着層転写体の染着層を前記記録中間体上に熱転写するプロセスと、前記画像記録部における転写された染着層に染料転写体の染料を熱転写記録するプロセスと、前記画像転写部における記録された染着層を受像体上に熱転写するプロセスを有することを特徴とする熱転写記録方法であり、これにより装置を小型にすることが可能である。
【0019】
本願の請求項24記載の発明は、染着層転写体の基材背面に滑性耐熱層を設け、基材上に熱記録ヘッドにより任意形状に切断転写される染着層を設けたことを特徴とする前記記載の記録方法および装置に供する染着層転写体である。
【0020】
本願の請求項25記載の発明は、染着層が、水酸基価が30以上あるポリオール樹脂とビスフェノールA骨格を有するポリエステル樹脂と塩酢ビ共重合系樹脂とシリコーン樹脂を含むことを特徴とする染着層転写体であって、透明性に優れ、記録感度が高くかつ安定的な転写が可能となる。
【0021】
本願の請求項26記載の発明は、染着層が、水酸基価が30以上あるポリオール樹脂とビスフェノール骨格を有するポリエステル樹脂と塩酢ビ共重合系樹脂とシリコーン樹脂と架橋材を含むことを特徴とする染着層転写体である。
【0022】
本願の請求項27記載の発明は、染着層が高級脂肪酸エステルまたはその誘導体と高級脂肪酸変性シリコーンオイルの少なくとも一方を含む染着層転写体である。
【0023】
本願の請求項28記載の発明は、記録中間体を構成する閉ループ基材が、ポリイミドフィルムからなることを特徴とする前記記録方法および装置に供する記録中間体である。
【0024】
本願の請求項29記載の発明は、前記ポリイミドフィルムの熱収縮率が0.1%以下であることを特徴とする記録中間体であり、熱機械的に安定な記録中間体を供する。
【0025】
本願の請求項30記載の発明は、前記ポリイミドフィルムの伸度が60%以下であることを特徴とする記録中間体である。
【0026】
本願の請求項31記載の発明は、前記ポリイミドフィルムの接触角は55度以下であることを特徴とする記録中間体であり、長寿命のプロセスに貢献する。
【0027】
本願の請求項32記載の発明は、前記ポリイミドフィルムの厚さが40ミクロン以下であることを特徴とする記録中間体であり、画像転写部の転写エネルギを節約できる。
【0028】
本願の請求項33記載の発明は、前記ポリイミドフィルムで構成される閉ループ基材の外側表面が、形状効果で粗面化されている記録中間体である。
【0029】
本願の請求項34記載の発明は、前記閉ループ基材が、短冊状ポリイミドフィルムの両端部をポリイミド系粘着テープで接合したことを特徴とする記録中間体であり、安価な記録中間体を実現できる。
【0030】
本願の請求項35記載の発明は、記録中間体上の柔軟性機能層がフッソ系ゴムからなり、この機能層中に断熱性多孔質部を有する記録中間体である。
【0031】
本願の請求項36記載の発明は、記録中間体の基材と柔軟性機能層間に多孔質層を有する記録中間体である。
【0032】
本願の請求項37記載の発明は、記録中間体基材内面に耐熱滑性層を設けたことを特徴とする記録中間体であり、記録中間体が円滑に走行する画像転写部を構成できる。
【0033】
本願の請求項38の発明は、前記クリーニングシートまたはクリーニングロールがプラスチックまたはパルプからなる不織布からなるクリーニング材であり、記録中間体ベルト表面のオイル等を除去し、プロセスの安定化を図ることができる。
【0034】
本願の請求項39の発明は、前記クリーニングロールが気孔率10%以上であり、そしてまたは硬度20度以下のシリコーンゴムであることを特徴とするクリーニング材であり、記録中間体ベルト表面のオイル等を除去し、プロセスの安定化を図ることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の実施形態の構成断面図を示す。
【0036】
直径150mm程度の大径ドラム10と直径70mm程度以下の小径ドラムまたはローラの52、100、110、120、130等に跨るまたは接するベルト等の閉ループからなる記録中間体8が設けられている。小径ドラム110外周上には染着層転写部1が配置され、大径ドラム10の外周には画像記録部2、3、4が配置されている。また、閉ループ内側に画像転写ヘッド51を配置するよに画像転写部5が設けられている。1の染着層転写部は記録ヘッド11、染着層転写体6及びその巻だし部12、巻き取り部13、冷間剥離機構14からなる。画像記録部2、3、4はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)色の記録部がダンデム構造に設置されている。染着層転写部1とY、M、C画像記録部2、3、4は所定の記録サイズと同等以上の間隔をあけて配置されている。例えば、A6サイズ横置きであればその間隔は110mm程度が適当である。Y画像記録部2は記録ヘッド21、Y染料転写体7a、その巻だし部22、巻き取り部23、冷間剥離機構24からなる。M画像記録部3は記録ヘッド31、M染料転写体7b、その巻だし部32、巻き取り部33、冷間剥離機構34からなる。C画像記録部4は記録ヘッド41、C染料転写体7C、その巻だし部42、巻き取り部43、冷間剥離機構44からなる。画像転写部5は、記録ヘッド51、小径ドラム52、冷間剥離機構部の補助駆動ローラー100、ニップローラ101、受像体9、受像体巻だし部91からなる。
【0037】
記録中間体の駆動は大径ドラム10に連動される駆動装置で主駆動するとともに、ローラ100を補助駆動することにより行う。記録中間体ベルトの主駆動力は大径ドラム表面のゴム弾性体(硬度60度ないし70度)とベルト基材背面との摩擦力で行われる。補助駆動の周速を主駆動より早くすると閉ループ基材に大きな張力が掛かった場合でも安定になる。
【0038】
クリーニング機構500は、ガイドローラ110、従動または駆動ローラ111、クリーニングシート112、クリーニングシートの巻だし部113と巻き取り部114からなっている。111自身が従動または駆動するクリーニングローラであってもよい。
【0039】
130は記録中間体ベルト8の張力調整ローラを示す。140は蛇行または斜行防止機構である。
【0040】
記録中間体8はポリイミド等の熱機械的に安定なフィルムのみでも良い。
【0041】
図2に染着層転写体6の構成断面図を示す。基材61の背面に滑性耐熱層62を設け、基材表面には染着層64が一般に5から9ミクロンの厚さで全面形成されている。必要に応じて剥離層63が基材と染着層間に設けられる。
【0042】
図3は記録中間体蛇行(または斜行)防止機構140の1例を示す。141,142はテーパ条機構で、記録中間体ベルトが斜行しテーパ部に乗り上げると、押し戻される機能がある。
【0043】
染料転写体7(7a、7b、7c)は、通常の昇華プリンタに搭載されるインクシートが用いられる。
【0044】
また、記録ヘッドは画像記録用の市販端面ヘッド(解像度は一般に300dpi)が用いられ、画像転写部の画像転写ヘッドにはC端面ヘッド(コーナーヘッド)が用いられる。染着層転写用ヘッドは端面またはC端面ヘッドが用いられる。
【0045】
次に全体のプロセス動作を説明する。まず、染着層転写部1において、画信号に基づき画像サイズより少し大きめの任意サイスの染着層64が記録中間体8上に切断転写される。この切断転写された染着層の先端が画像記録部2にくるとY画像の記録が開始される。同様に順次画像記録部3、4でM、Cの画像が同一染着層上に形成される。最後に画像転写部5で普通紙等任意の受像体9上に3色記録された染着層が全面転写され、目的の画像が得られる。このプロセスは順次連続行われるので、5ヘッドは同時に駆動されている。従って、例えばY記録時には同時に次の画面の染着層転写動作が行われている。連続記録時、記録中間体上にはほぼ全面に、等間隔に画像が配列されている。即ち、高速の連続プリントが可能となる。300dpiの分解能のライン記録ヘッドを用いて、5ms/ラインの速度でA6サイズ横置きの記録を行うと、最初のプリントは30ないし40秒かかるが、連続プリント時には7ないし10秒以内に1枚が形成され、4分以内に24枚のプリントが可能である。
【0046】
更に、各部の詳細プロセスを説明する。染着層転写部1において、記録ヘッド11の上流から大径ドラム10に沿うようにして染着層転写体6が挿入され、記録ヘッド11で任意形状の切断エネルギを印可された後、ファン等で冷却され14の冷間剥離機構で45度以上の急峻な角度で染着層転写体6がドラム上のベルト面から引き剥がされ、染着層のみがベルト上に転写される。染着層の切断転写は、切断開始上流からの余熱と切断開始点での急峻な過大エネルギとその後の熱履歴制御を付与して行われる。上記冷間剥離角度は60度以上、好ましくは90度以上が安定な染着層転写が行われる。
【0047】
Y、M、Cの画像記録は通常の方法によるが、染着層は記録中間体8上に準安定的に固定されているだけなので、染料転写体の引き剥がし時は充分冷却させる必要があり、図の24、34、44部の冷間剥離プロセスが重要である。
【0048】
画像転写部5に置いても、画像転写後の冷間剥離は特に重要であり、転写ヘッド51の位置と補助駆動ローラでもある剥離ローラ100までの距離は充分離す必要がある。画像全部が転写してから受像体9を記録中間体8から離すと効果が大きい。また、剥離点が明確になるように、ニップローラ101で受像体91と記録中間体8を押圧すると、安定な染着層の受像体への画像転写が行われる。
【0049】
再度、染着層が転写される迄に、記録中間体8上をクリニング機構部で清浄すると安定なプロセスが実現できる。クリーニング機構500は111をクリーニングローラとして用いてもよく、クリーニングシート112を用いてもよい。ロールでもシートでも、記録中間体速度より1/n(nは整数)になるように減速すると、クリーニング効果が大きい。クリーニングは、ベルト上のゴミ等異物の除去や、プロセスの途中各部材料からにじみ出る低分子成分やオイル成分の除去のため重要である。
【0050】
尚、記録部は1ヘッドとY,M,Cが面順次に形成されたインクシートを用いた構成であってもよい。
【0051】
次に各部の構成材料について述べる。
【0052】
記録中間体8の基材は25から50μmのポリイミドフィルム基材が適当である。ポリイミドフィルムには直接ヘッドの熱が印加されるので、普通グレード(カプトン100H、東レデュポン製)より熱機械安定性の優れたものが好ましい。
本目的には特に、熱収縮率、伸度の小さいものが適切である。25ミクロンを例にとると、東レデュポン製のカプトン100V、や100EN、宇部興産製のユーピレックス25S等が好ましい。この中でも、特に100ENは優れている。100ENの熱収縮率(ASTM D−1204)は0.02%で100Hの0.3%と比較すると、かなり優れている。また100ENの伸度(ASTM D−882)は、100Hの80%に対して57%とすぐれている。また、接触角も製膜直後は55度であるが、プラズマやコロナ処理により40度以下にすることが可能になり、このような高接着処理後、使用するのが好ましい。また、製膜後200℃以上のアニーリングをすることにより、熱的安定性も向上する。
【0053】
その他、アラミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)などの耐熱フィルムも使用可能である。
【0054】
本目的の場合は、ポリイミドフィルム単独の使用も可能であるが、上層に機能層を形成しても良い。機能層はフッソ系ゴムやシリコーン系ゴムを5ないし30μmの薄さに形成したものが用いられる。フッソ系ゴムとしては、カーボンや酸化マグネシウム等の微粒子を含むフッ化ビニリデン・6フッ化プロピレン・4フッ化エチレンの3元共重合体フッソゴム(バイトン)などが有効である。また、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ビニリデンフルオライド・ヘキサフルオロプロピレン系のフッソ樹脂、フッソゴム等も有用である。シリコーンゴムとしては、各種コーティング用、剥離紙用、粘着剤用の付加重合または縮合重合して製膜可能なものが好ましい。
【0055】
記録感度を高める機能層構成として、閉ループ基材表層側に多孔性の層を設け、この上に平滑な柔軟性ゴム層を設けると良い。フッソ系材料で構成する場合は、下層にカーボン等の微粒子の多い多孔性層を設け、上層に微粒子含有量の少ない平滑なゴム層を形成することにより実現できる。
【0056】
染着層転写体6の基材61及び背面層62は染料転写体と同等のものが用いられる。基材61として、6ないし12μmのポリエステル(PET)フィルムが一般的である。背面層62はアクリルポリオール系樹脂、可塑系樹脂、架橋剤の他、タルク・シリカ等の微粒子、各種シリコーンオイル等の組成物で構成される架橋系樹脂層が約1μmに形成される。基材表面の染着層64としては、画質・感度・切断転写性・記録中間体機能層82との準安定接着性等を考慮した組成物が用いられる。
【0057】
上記組成物の基本骨格はアクリルポリオール系樹脂と低分子ポリエステル系樹脂とからなる2元相溶系透明樹脂層である。塩酢ビ系樹脂を加えて3元相溶透明樹脂系も有用であるその他、各種の添加材が加えられた場合も染着層または、塗料として全体として相溶系で構成される。
【0058】
従来、透明性の優れるアクリル(メタクリル)系樹脂は昇華プリンタに一般的に使われる色素染着性が少なく、受像層材料に用いられなかった。しかし、水酸基等の官能基を多く含むアクリルポリオール系樹脂は、色素染着性が増加することに着目し、染着層の膜強度を保つ骨格樹脂に選定した。
【0059】
また、一般の(飽和線状)ポリエステル樹脂(数平均分子量Mn約2万)は色素染着性の高いことで知られているが、粘着性が高すぎ、これを主たる受像層樹脂に使うためには剥離付与材選択に多くの困難が伴った。また、上記アクリルポリオール系樹脂と併用すると相溶性が不充分で、平滑で透明な製膜ができない。そこで、Mnが1万以下の低分子ポリエステル樹脂を採用することにより、相溶性を向上させることができると共に、ビスフェノールA骨格を導入することにより剥離性も付与することができる。酸成分としてマレイン酸を、グリコール成分としてビスフェノールAのエチレンまたはプロピレングリコール付加物の骨格を有するポリエステル樹脂は特に優れている。これにより染着性と膜強度の高いアクリルポリオールとポリエステルの相溶2元系透明樹脂層を実現できた。
【0060】
塩酢ビ系樹脂は、色素染着性と自己剥離性(色材層と受像層間の剥離性)に優れているが、染着記録された画像安定性に課題があり、単独では用いにくく受像層補助樹脂として用いられていた。アクリルポリオール/ポリエステル相溶樹脂系に塩酢ビ系樹脂を加えることにより、更に染着性と剥離性を付与した3元相溶系を実現できる。水酸基を有する塩酢ビ系樹脂を採用するとその効果が増大する。
【0061】
上記2元または3元相溶系樹脂層に更に柔軟性と剥離性を付与するためにシリコーン樹脂を導入すると効果が大きい。シリコーン樹脂として、アルキド変成やポリエステル変成、アクリル変成したものは染着性と耐候性を向上出きる。また、水酸基またはメトキシ基を有する変性用シリコーン樹脂を用いても良い。これら官能基を有するものは、上記2元または3元相用樹脂系とソフトなネットワークを作り安定な経時変化の少ない染着層の剥離性が得られる。また、樹脂層製膜性(レベリング性)も改善される。
【0062】
上記相溶樹脂系とシリコーン樹脂の構成樹脂が全て水酸基を有すると、染着層全体がソフトなネットワークを構成し、柔軟で強靱な染着層を形成できる。
【0063】
上記染着層に更に、高速記録(高温記録)適性を付与するために架橋材を含有する部分架橋樹脂系を構成することもできる。架橋材として、ポリイソシアネート化合物が有用で、ポリオール等と反応してウレタン結合を染着層膜内に形成し、強靱で可撓性のある架橋膜を形成する。
【0064】
上記染着層には、必要に応じて高級脂肪酸エステルや脂肪酸変性シリコーンオイルなどの樹脂相溶分散促進材を添加してもよい。
【0065】
更に、染着層の各構成要素について詳述する。
【0066】
ポリオールは1分子中に活性水素基(−OH, =NH2)等の官能基を2個以上持つ高分子の総称で、アクリルポリオールの他ポリエーテル系、ポリエステル系等がある。アクリルポリオールは水酸基等を持つアクリルモノマーとアクリル酸エステルとの共重合アクリル樹脂である。本発明には特に、水酸基価が30以上、望ましくは約50で、ガラス転移点(Tg)が40℃から70℃、望ましくは50℃から60℃の物性値を持つ透明樹脂が好ましい。
【0067】
低分子ポリエステル樹脂は、数平均分子量が1万以下、望ましくは6000以下が好ましい。Tgは50℃から70℃が好ましい。また、水酸基価は10から70程度有するものが好ましい。
【0068】
塩酢ビ系樹脂は、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコールの共重合樹脂が適する。Tgは60℃から80℃程度が好ましく、水酸基を含むほうが好ましい。
【0069】
官能基を有する樹脂変性用シリコーン樹脂の水酸基価は3から10が好ましい。メトキシ基含有でも効果が期待できる。
【0070】
混合樹脂分散促進材または剥離材として添加効果がある高級脂肪酸エステルは、ステアリン酸ブチル等の高級脂肪酸のアルコールエステルや水酸基を有する多塩基酸のアルコールエステルなどが用いられる。
【0071】
染着層を部分架橋系にするために、架橋材として一般的なポリイソシアネート(1分子中にイソシアネート基−NCOを2個以上持つ化合物)が用いられる。イソシアネート量は樹脂合計に対して5重量%以下で十分な効果を発揮する。望ましくは2重量%以下で十分である。トリレンジイソシアネート(TDI)と多官能アルコール類から得られるポリイソシアネート化合部の酢酸エチル溶液であるコロネートL(日本ポリウレタン工業社製)や、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたコロネートHX(日本ポリウレタン工業社製)が有効である。
【0072】
上記染着層組成物に、各種光安定剤や紫外線吸収剤、クエンチャー、酸化防止剤等を配合すると、画像安定性が向上する。特に、光安定剤としてヒンダードアミン系安定剤(HALS)を、紫外線吸収剤(UVA)としてサリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系UVAの組み合わせが有効である。UVAとしては、ベンゾトリアゾール系が特に効果が大きい。
【0073】
染着層は単層で構成されるだけでなく、必要に応じて機能分離して2層以上の層構成でもよい。2層の場合、上層の樹脂層の表面エネルギーは下層より高いものが用いられる。前述の単層組成物をベースに考える場合、上層はポリエステル成分が多く、下層は塩酢ビ成分を多くすると、上下層に表面エネルギの差を設けることができ、染着層の記録中間体上への転写及び色材の記録に安定性がより付与される。
【0074】
7a,7b,7cの染料転写体の昇華染料と樹脂からなる色材層はそれぞれ、Y,M,Cの色材層が単独でベタ塗り印刷される。Y昇華染料としては、キノフタロン系・スチリル系・ピリドンアゾ系の色素が2種類以上混合したものを用いる。M色素としてはイミダゾールアゾ系の末端基の若干異なるものが2種類以上混合される。必要に応じてアントラキノン系色素を混合してもよい。C色素としては複数のインドアニリン系色素と補色用としてアントラキノン系色素を混合したものが用いられる。
【0075】
色材層の結着樹脂としては、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、一液性エポキシ樹脂やその混合組成物が一般的である。特に、AS樹脂の内、アクリロニトリル樹脂成分が一般グレード(約23%)より多い約30重量%含有するものは基材との接着力や耐熱性が優れ、染着層との張り付きが少なく本記録プロセスのため安定に使用できる。
【0076】
尚、染着層転写体、染料転写体、記録中間体を総称して記録体と呼ぶことがある。
【0077】
クリニング材としては、プラスチックまたはパルプからなる不織布を用いると効果が大きい。パルプ材としては、一般のクッキングペーパ等が使用できる(呉羽化学製、ネオラーヌ。 王子製紙製、リード等)。プラスチック材としてはポリプロピレン(PP)、ポリエステル系(PET)、アクリル系、アラミド系やそれらの混合品の不織布が用いられる。その厚さは10ないし200ミクロンのものが有効である。混合品としては、PP/PET系(ユニセル社製、B、BTタイプ)、アラミド/ポリエステル系(帝人社製、コーネックスMXシリーズ)がある。アラミド/ポリエステル系の混合品は40/60,30/70等の混合比率で、厚さ50ないし100ミクロンの製品があるが、いずれも有効である。また、ロール状のクリーニング材としては、気孔率10%から50%のシリコーンゴムが好ましい(トーヨポリマ社製、ローレンS)。またゴム硬度は20度以下が適当である。シリコーンゴム中に低分子のオイル成分のないものまたは少ないものが好ましい。
【0078】
【実施例】
実施例に基づいて、更に詳述する。
(第1の実施例)
・装置設計:大径ドラム10は直径150mm、幅260mm、表層ゴム硬度70度の周りに、110mm間隔でY,M,C画像記録部を配置。直径50mmの小径ドラムの外周部に染着層転写部を配置。転写部および記録部は端面ヘッド(A4サイズ、300dpi)を採用。また剥離機構、ロール巻出し・巻き取り機構を具備している。 52の画像転写ドラム径は50mm、100の画像剥離ローラ(補助駆動ローラ)径は20mm、ニップローラ101の径は10mm、転写ヘッドはコーナーヘッド(A4、300dpi)を採用。補助駆動ローラ100とガイドローラ110の間に張力調整ローラ130を設けた。
・記録中間体:25μm、幅260mmのポリイミドフィルムベルトの表層には、以下の処方の機能層を下層5μm、上層10μmの厚さに形成した。またポリイミドフィルムには熱機械的に安定なカプトン100ENを用いた。
・機能層:下層多孔層塗料組成物
フッソゴム(バイトンB、昭和電工デュポン社)・・・・・ 10重量部
カーボン(MTカーボンN−990、cancarb 社)・・・・・・・・ 5重量部
酸化マグネシュウム(キョウーワマグ30、共和化学社)・・ 5重量部
ポリアミン架硫材・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.4重量部
メチルイソブチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・ 40重量部
以上の組成物をポリイミド上にダイコータで塗工乾燥し、下層を形成した。
この上に上記組成物のカーボン量を2重量部、酸化マグネシウム量を1重量部にした組成物を上層塗料組成物とし、下層と同様に被膜を形成し機能層上層とした。
・染着層転写体:基材として市販の12μm厚さの重剥離の剥離PETフィルム(180度剥離力30g/インチ)を用い、その上に下記組成物の染着層を5μmの厚さに形成した。
【0079】
アクリルポリオール樹脂・・・・・・・・12重量部
低分子ポリセステル樹脂・・・・・・・・14重量部
塩酢ビ樹脂・・・・・・・・・・・・・・14重量部
水酸基含有シリコーン樹脂・・・・・・・ 4重量部
高級脂肪酸エステル・・・・・・・・・・ 2重量部
脂肪酸変性シリコーンオイル・・・・・・0.3重量部
HALS・・・・・・・・・・・・・・・・・2重量部
ベンゾヘノン系UVA・・・・・・・・・・ 2重量部
溶剤・・・・・・・・・・・・・・・・・80重量部
また、基材背面にはインクシートと同じ滑性耐熱層を設けた。
インクシート:6μmのPETの背面に下記滑性耐熱層を1μm設け、基材
表面には以下のインクを用いて0.8μmのYインク層を形成した。
【0080】
ピリドンアゾ系Y色素・・・・・・・・・・2重量部
キノフタロン系Y色素・・・・・・・・・・1重量部
AS 樹脂(ダイセル製、セビアンN−080。AN成分が30重量%)・・・4重量部
溶剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・15重量部
同様にして、M,Cインキを製造し、それぞれのインクシートを作製した。
・滑性耐熱層:下記の塗料を用い1μmの滑性耐熱層を形成した。
【0081】
アクリルポリオール樹脂・・・・・・・・・・8重量部
AS樹脂(上記色材用と同じもの)・・・・・・2重量部
変性シリコーンオイル・・・・・・・・・・・10重量部
タルク・・・・・・・・・・・・・・・・・・10重量部
溶剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60重量部
記録実験:染着層転写部で5ms/ラインの速度でA6横サイズ(幅150mm、長さ100mm)の染着層を記録中間体上に切断転写した後、染着層先頭部がY記録部ヘッド直下に来た時、Y記録を開始し、順次M,C記録を行った。最後に画像転写部で普通紙(キャストコート紙、日本製紙製エスプリコートC)上に記録された染着層を全面転写して、光沢のある高画質画像を得た。プリント速度は1枚目が35秒で、連続時は8秒であった。当然のことながら、連続記録時は5ヘッドが同時に駆動されている。
(第2の実施例)
装置設計:大径ドラム10は直径150mm、幅260mm、表層ゴム硬度70度の周りに、110mm間隔でY,M,C画像記録部を配置。直径50mmの小径ドラムの外周部に染着層転写部を配置。転写部、記録部は端面ヘッド(A4サイズ、300dpi)、剥離機構、ロール巻出し・巻き取り機構を具備。 52の画像転写ドラム径は50mm、100の画像剥離ローラ(補助駆動ローラ)径は20mm、ニップローラ101の径は10mm、転写ヘッドはコーナーヘッド(A4、300dpi)を採用。更にクリーニング部において、記録中間体ベルトと同幅のアラミド・ポリエステル混紡品のクリーニングシートを用い、その速度をベルト速度の1/10になるように巻だしロール113、巻き取りロール114の条件を設定した。また、補助駆動ローラ100とガイドローラ110の間にテーパ状の記録中間体ベルト斜行機構140を設けた。
記録中間体:25μm、幅260mmのポリイミドフィルムベルトのみを用いて、記録中間体ベルトとした。ポリイミドフィルムとしては、カプトン100ENを用い、プラズマで高接着処理を、250℃の熱処理をした。長さ1160mmの両端部を当接し、幅20mmのポリイミド粘着テープ(日東電工製NO.360PC)で接合してベルト状にした。
・染着層転写体:基材として市販の12μm厚さの重剥離の剥離PETフィルム(180度剥離力30g/インチ)を用い、その剥離層上に下記組成物の染着層を6−8μmの厚さに形成した。
【0082】
アクリルポリオール樹脂・・・・・・・・12重量部
低分子ポリセステル樹脂・・・・・・・・14重量部
塩酢ビ樹脂・・・・・・・・・・・・・・14重量部
アルキド変性シリコーン樹脂・・・・・・ 4重量部
高級脂肪酸エステル・・・・・・・・・・ 1重量部
ベンゾヘノン系UVA・・・・・・・・・・ 2重量部
溶剤・・・・・・・・・・・・・・・・・80重量部
また、基材背面にはインクシートと同じ滑性耐熱層を設けた。
インクシート:6μmのPETの背面に下記滑性耐熱層を1μm設け、基材
表面には以下のインクを用いて0.8μmのYインク層を形成した。
【0083】
ピリドンアゾ系Y色素・・・・・・・・・・2重量部
キノフタロン系Y色素・・・・・・・・・・1重量部
AS 樹脂(ダイセル製、セビアンN−080。AN成分が30重量%)・・・4重量部
溶剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・15重量部
同様にして、M,Cインキを製造し、それぞれのインクシートを作製した。
・滑性耐熱層:下記の塗料を用い1μmの滑性耐熱層を形成した。
【0084】
アクリルポリオール樹脂・・・・・・・・・・8重量部
AS樹脂(上記色材用と同じもの)・・・・・・2重量部
変性シリコーンオイル・・・・・・・・・・・0.5重量部
タルク・・・・・・・・・・・・・・・・・・1重量部
溶剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60重量部
記録実験:染着層転写部で5ms/ラインの速度でA6横サイズ(幅150mm、長さ100mm)の染着層を記録中間体上に切断転写した後、染着層先頭部がY記録部ヘッド直下に来た時、Y記録を開始し、順次M,C記録を行った。最後に画像転写部で普通紙(キャストコート紙、日本製紙製エスプリコートFP)上に記録された染着層を全面転写して、光沢のある高画質画像を得た。プリント速度は1枚目が35秒で、連続時は7秒であった。当然のことながら、連続記録時は5ヘッドが同時に駆動されている。
【0085】
以上詳細に説明したように本発明によれば、画像記録部の3つの記録ヘッドを大径ドラムに接している閉ループ基材の外側部分にそれぞれ配置することにより、3つの記録ヘッドを同時駆動して染着層を順次連続して転写することができるため、転写記録速度の高速化が図れるとともに、記録ヘッドによる前記閉ループ基材への染着層の転写は大径ドラムに接している部分で順次行われるため、転写の安定性が増すという効果がある。
また、別途閉ループ基材の内側に画像転写ヘッドを配置して画像転写部を構成することにより最終受像体への熱転写制御が容易になるという効果を有する。
【0086】
以上の結果、普通紙に光沢のある画像安定性の良い高画質画像が、銀塩現像プリントより即時的に高速で得られた。また、単独インクロール及び普通紙使用のため、銀塩印画紙プリントと同等のランニングコストが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成断面図
【図2】染着層転写体の構成断面図
【図3】蛇行防止機構を示す図
【符号の説明】
1 染着層転写部
2、3、4 画像記録部
5 画像転写部
6 染着層転写体
7(7a,7b,7c) 染料転写体
8 記録中間体
9 受像体
10 大径ドラム
12 スプロケットホール勘合凸部機構
110 染着層転写部小径ドラム
112 クリーニングシート
130 張力調整ローラ
140 蛇行防止機構
500 クリニング機構

Claims (2)

  1. 基材上に染着層を有する染着層転写体と、基材上にそれぞれ異なる昇華性染料層を有する3つの染料転写体と、大径ドラムと複数の小径ドラムが内側から接する閉ループ基材からなる記録中間体と、前記閉ループ基材の外側からこれに接する小径ドラムと、受像体とを有し前記小径ドラムが内側から接している閉ループ基材の外側部分に染着層転写部を構成し、前記大径ドラムに接している閉ループ基材の外側部分に前記3つの染料転写体に対応する記録ヘッドをそれぞれ配置して画像記録部を構成し、小径ドラムが外側から接している閉ループ基材の内側に画像転写ヘッドを配置して画像転写部を構成し、前記染着層転写部における前記染着層転写体の染着層を前記閉ループ基材からなる記録中間体上に熱転写するプロセスと、前記中間体の移動により前記画像記録部において、前記転写された染着層上に上記それぞれの記録ヘッドにより前記各染料転写体の染料を順次熱転写記録するプロセスと、前記画像転写部において、前記画像記録部にて記録された染着層を受像体上に熱転写するプロセスを有することを特徴とする熱転写記録方法。
  2. 基材上に染着層を有する染着層転写体と、基材上にそれぞれ異なる昇華性染料層を有する3つの染料転写体と、大径ドラムと複数の小径ドラムが内側から接する閉ループ基材からなる記録中間体と、前記閉ループ基材の外側からこれに接する小径ドラムと、受像体とを有し前記小径ドラムが内側から接している閉ループ基材の外側部分に染着層転写部を構成し、前記大径ドラムに接している閉ループ基材の外側部分に前記3つの染料転写体に対応する記録ヘッドをそれぞれ配置して画像記録部を構成し、小径ドラムが外側から接している閉ループ基材の内側に画像転写ヘッドを配置して画像転写部を構成したことを特徴とする熱転写記録装置。
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