JP3551896B2 - アルミキルド鋼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は欠陥の少ないアルミキルド鋼に関し、特に介在物系および気泡系の欠陥が少なく、かつ、Caに起因する錆が少ないアルミキルド鋼に関する
【0002】
【従来の技術】
転炉等の精錬炉で処理した溶鋼中には酸素が含まれており、この酸素を除去するために酸素と反応性の高い元素であるAl、Mn、Si等を添加して脱酸することが従来から行われている。このうち、酸素との反応性が最も高く、かつ、一般的に脱酸に使用されるAlは、脱酸生成物としてAl2 O3 を生成してアルミナクラスタを形成し、これが材料疵の原因となり、いわゆる介在物系の欠陥が発生することが指摘されている。このアルミナクラスターはタンディッシュ浸漬ノズル内壁に付着し浸漬ノズルの閉塞の原因ともなるため、付着防止のために浸漬ノズル内にArガスなどを導入する必要が生じ、このArガスが鋳片および材料のピンホールなどの気泡系の欠陥になることが知られている。
【0003】
この問題に対応するため、特開平5−302112号公報には、Mg含有量を制御する方法が提案されている。この提案によるとMgを溶鋼中に0.001%〜0.015%残留させると有害な酸素を完全に固定しMgの酸化物(MgOあるいはMgOを含有する化合物)の状態で微細に分散して無害化できるとしている。
【0004】
また、特開平6−49523号公報には、連続鋳造のタンディッシュからモールドへ溶鋼を注入する際の浸漬ノズルの閉塞が、Ca添加により解決できることが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平5−302112号公報に開示されている方法は、欠陥の原因となるアルミナ介在物を生成させないために鋼中のAl含有量をトレース程度とし、Mgによって脱酸を行うためにMg含有量を0.001%以上の高含有量とする必要がある。しかし、事前にAl脱酸しない場合にはMgの歩留まりが極めて低いために、Mgを高含有量に維持するためには大量のMgを添加する必要があり高コストとなるという問題がある。
【0006】
前記特開平6−49523号公報に示されている方法は、二次精錬で脱炭した鋼をAlで脱酸し、その後にCaを添加してアルミナ介在物をCaO−Al2 O3 系介在物に変化させることにより浸漬ノズル詰まりを防止する方法に関するものである。
【0007】
この浸漬ノズル詰まりを防止する方法は、Al脱酸後にCaを添加するためCa歩留まりが高くコスト的には有利であるが、CaO−Al2 O3 系介在物の組成範囲を厳密に制御しなければならないという問題がある。
【0008】
例えば、CaO−Al2 O3 系介在物のCaO含有量が低すぎると介在物の融点が十分に低下しないために浸漬ノズルの閉塞を防止できないし、CaO含有量が高すぎると、溶鋼中のT.[Ca]含有量が10ppm を超えるため、鋼材表面に錆が発生するという問題がある。この問題を回避するため、同公報には、溶鋼中のT.[Ca]とT.[O]の比を厳密に制御することが必要であることが記載されている。
【0009】
しかし、その制御範囲を正確に制御することが現実には困難であり改善が求められていた。
本発明の目的は、介在物系および気泡系の欠陥が少なく、Caに起因する錆の発生の少ないアルミキルド鋼を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明らは、Mgを高含有量にすることなく介在物を無害化し、Caに起因する錆を発生させないアルミキルド鋼を見出した。
【0011】
本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1) 質量%で、C :0.0005 〜 0.003 %、 Si:0.0001 〜 0.02 %、 Mn:0.05 〜 0.6 %、P :0.005 〜 0.03 %、S :0.0002 〜 0.005 %、O ( 酸素 ): 0.0005 〜 0.006 %、N :0.0005 〜 0.005 %、 Ca:0.0001 〜 0.004 %、 Mg:0.0001 〜 0.001 %、 Al:0.01 〜 0.3 %を含有するアルミキルド鋼において、前記CaとMg含有量の積が2.8 × 10 −7 〜2× 10 −6 、比 (Ca/Mg) が 0.5 〜 30 、 Ca とS含有量の積が2× 10 −5 以下、 Mg とS含有量の積が5× 10 −6 以下、 Ca とO ( 酸素 ) 含有量の積が 1.5 × 10 −5 以下、 Mg とO ( 酸素 ) 含有量の積が4× 10 −6 以下であり、介在物系および気泡系の欠陥が少なく、かつ、 Ca に起因する錆が少ないことを特徴とする、アルミキルド鋼。
【0012】
(2) 質量%で、C :0.02 〜 0.20 %、 Si:0.05 〜 0.5 %、 Mn:0.4 〜 2.5 %、P :0.005 〜 0.02 %、S :0.0002 〜 0.008 %、O ( 酸素 ): 0.0005 〜 0.006 %、N :0.001 〜 0.006 %、 Ca:0.0001 〜 0.004 %、 Mg:0.0001 〜 0.001 %、 Al:0.01 〜 0.3 %を含有するアルミキルド鋼において、前記 Ca と Mg 含有量の積が2× 10 −8 〜2× 10 −6 、比 (Ca/Mg) が 2.5 〜 30 、 Ca とS含有量の積が2× 10 −5 以下、 Mg とS含有量の積が5× 10 −6 以下、 Ca とO ( 酸素 ) 含有量の積が 1.5 × 10 −5 以下、 Mg とO ( 酸素 ) 含有量の積が4× 10 −6 以下であり、介在物系および気泡系の欠陥が少なく、かつ、 Ca に起因する錆が少ないことを特徴とする、アルミキルド鋼。
【0013】
(3) 質量%で、C :0.02 〜 0.3 %、 Cr : 11 〜 30 %、 Si:0.1 〜 1.0 %、 Mn:0.2 〜 1.0 %、P :0.005 〜 0.02 %、S :0.0002 〜 0.008 %、O ( 酸素 ): 0.0005 〜 0.006 %、N :0.002 〜 0.05 、 Ca:0.0001 〜 0.004 %、 Mg:0.0001 〜 0.001 %、 Al:0.01 〜 0.3 %を含有するアルミキルド鋼において、前記 Ca と Mg 含有量の積が 2.2 × 10 −7 〜2× 10 −6 、比 (Ca/Mg) が 0.2 〜 30 、 Ca とS含有量の積が2× 10 −5 以下、 Mg とS含有量の積が5× 10 −6 以下、 Ca とO ( 酸素 ) 含有量の積が 1.5 × 10 −5 以下、MgとO ( 酸素 ) 含有量の積が4×10−6以下であり、介在物系および気泡系の欠陥が少なく、かつ、 Ca に起因する錆が少ないことを特徴とする、アルミキルド鋼。
【0014】
(4) 前記アルミキルド鋼がさらに Ti を含有し、TiとN含有量の積が2×10−4以下であることを特徴とする上記(1) ないし (3) のいずれかに記載のアルミキルド鋼。
【0015】
(5) 転炉で脱炭吹錬した溶鋼を取鍋に出鋼して2次精錬装置において成分調整する際に、溶鋼に Al を添加して、溶鋼中の Al 含有量を質量%で 0.01 〜 0.3 %とし、 Mg を添加して、溶鋼中の Mg 含有量を質量%で 0.0001 〜 0.001 %とし、次いで連続鋳造装置で連続鋳造を行ってスラブとすることを特徴とする、上記 (1) ないし (4) のいずれかに記載のアルミキルド鋼の製造方法。
【0016】
(6) 前記連続鋳造を行う際に、浸漬ノズル内に Ar ガスを流さずに連続鋳造を行うことを特徴とする (5) 記載のアルミキルド鋼の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
発明者らは種々の組成の溶鋼を溶製し、試験用の連続鋳造機でスラブを得た後、試験圧延機で所定の板厚まで圧延し、圧延後の鋼板の清浄性と試験用の連続鋳造機での浸漬ノズルへの付着物の付着状況を調査した結果、下記の知見を得た。
(A)脱酸剤としてMgのみを使用すると、Mg使用量が極めて大きく、従来のAl脱酸処理に比較してコスト上昇分が大きいために商業的に適用することが困難である。
(B)Al脱酸後の溶鋼にCaを一定量添加して連続鋳造したが、タンディシュの浸漬ノズルの閉塞が発生する場合と発生しない場合とがあり、安全のために浸漬ノズル内に閉塞防止用のArガスを導入せざるを得なかった。
(C)浸漬ノズル内にArガスを導入すると、溶鋼内でArガスが気泡として鋼材中に留まり気泡系の欠陥が発生した。また、浸漬ノズルが閉塞しないようにCa量を増量した場合には、鋼材表面に錆が発生した。
【0018】
以上の知見を基に、発明者らは介在物が少なく浸漬ノズルの閉塞や錆発生を抑制できるアルミキルド鋼を検討した。
以下に、その検討結果を示す。
(1)溶鋼中の各成分含有量を種々変更して鋳造し、得られた鋳片を所定の板厚まで圧延後に介在物系および気泡系の錆の発生挙動を整理した。
(2)Mgの添加歩留まりを向上させるためにAl脱酸鋼とし、溶鋼中の[Al]含有量を質量%で0.01〜0.3%とした。0.01%未満ではAl脱酸力が小さくMg歩留まりが低下し、0.3%超ではAl脱酸力がほぼ飽和するためAlコストを増大させる。望ましくは、0.012〜0.2%である。
(3)しかし、Al含有量を0.01〜0.3%としてMg含有量を0.001%超とすると、MgO・Al2 O3 系の介在物が多量に発生し、0.0001%未満とすると、同様に介在物の問題が発生することがわかった。このため、鋼中のMg含有量を0.0001〜0.001%とする。 望ましくは、0.00015〜0.0008%である。
【0019】
Mg含有量を制御するには、金属MgあるいはMg含有合金等を溶鋼に添加すればよい。
(4)このAl、Mg含有量範囲では従来のAl単独脱酸鋼よりも介在物の欠陥発生数が低減した。しかしこのAl、Mg含有量範囲では、浸漬ノズルの閉塞が発生し生産性の低下が問題になることがわかった。
【0020】
なお、連続鋳造で用いる浸漬ノズルの閉塞は鋳造作業の途中中断を意味し、取鍋内の残溶鋼は廃鋼とせざるを得ず、以降の生産計画が大幅に変更となり、しかも、タンディッシュやモールドで使用する耐火物を含む消耗品コストが増大するため、解決する必要があった。
【0021】
浸漬ノズルの閉塞防止のための従来の対策としては浸漬ノズル内に洗浄用のガス(例えば、Ar、窒素など)を流す方法もあるが、その場合には洗浄用のガスが鋳型内に流入し気泡系の欠陥が増大するという問題があった。
(5)そこで、溶鋼中の[Ca]含有量を適正に制御することにより浸漬ノズルの閉塞を防止することを検討し、以下の知見を得た。
【0022】
(a)溶鋼中にCaが存在すると、溶鋼中の介在物にCa酸化物が含有され介在物の融点が低下し、溶鋼が浸漬ノズルを通過する温度(1550〜1600℃)近傍で、介在物の外周に液相が存在すれば介在物が浸漬ノズル内壁に堆積して閉塞に至る現象は解消できる。
【0023】
(b)Ca含有量が0.0001%未満では介在物の外周に液相を存在させることができず、浸漬ノズルの閉塞を防止することができない。
(c)Ca含有量が0.004%超では鋼材表面に錆が発生する。
【0024】
以上から、Ca含有量範囲を0.0001〜0.004%とすれば、浸漬ノズルの閉塞を防止でき、鋼材表面の錆も抑制できる。望ましくは、0.0002〜0.0035%である。
(6)しかし、このようにAl含有量を0.01〜0.3%、Mg含有量を0.0001〜0.001%、Ca含有量を0.0001〜0.004%に制御した場合でも、問題の生じた鋼材があった。
【0025】
すなわち、Ca含有量とMg含有量がいずれも高含有量で存在しCaとMg含有量(質量%)の積(以下、Ca×Mgとも略記する)が2×10−6を超えると錆の発生が避けられないこと、Ca×Mgが2×10−8未満では浸漬ノズルの閉塞が防止できないことがわかった。
【0026】
そのため、Ca×Mgを2×10−8〜2×10−6とする必要がある。望ましくは、3×10−8〜1.5×10−6である。
また、以上のCa×Mgの範囲を満たした場合でも、問題の生じた鋼材があった。すなわち、MgとCaとの質量%比(Ca/Mg)が0.2未満となると浸漬ノズルの閉塞が生じ、質量%比(Ca/Mg)が30超となると錆が発生することがわかった。そのため、質量%比(Ca/Mg)を0.2〜30とする必要がある。望ましくは、0.3〜27である。
【0027】
発明者らはSを含有する溶鋼を溶製し、試験連続鋳造機でスラブを得た後、試験圧延機で所定の板厚まで圧延し、圧延後の鋼板の清浄性と試験連続鋳造機での浸漬ノズルへの付着物の付着状況を調査した結果、下記の知見を得た。
(1)CaとS含有量(質量%)の積(以下、Ca×Sとも略記する)が2×10−5を超えるとCaSを起点として微小な錆が発生し、MgとS含有量(質量%)の積(以下、Mg×Sとも略記する)が5×10−6を超えるとMgSが浸漬ノズルに付着して浸漬ノズルの閉塞を起こす。
【0028】
そのため、Ca×Sを2×10−5以下、Mg×Sを5×10−6以下とする必要がある。望ましくは、Ca×Sは1.5×10−5以下、Mg×Sは3×10−6以下である。
(2)S含有量を0.0002%未満にするためには製鋼処理コストが増大し、0.008%超ではCa×SやMg×Sが低くても錆や浸漬ノズルの閉塞が生じるおそれがあり、S含有量範囲を0.0002〜0.008%とする。望ましくは、0.0003〜0.005%である。
【0029】
発明者らはOを含有する溶鋼を溶製し、試験連続鋳造機でスラブを得た後、試験圧延機で所定の板厚まで圧延し、圧延後の鋼板の清浄性と試験連続鋳造機での浸漬ノズルへの付着物の付着状況を調査した結果、下記の知見を得た。
(1)CaとO含有量(質量%)の積(以下、Ca×Oとも略記する)が1.5×10−5を超えるとCaOを起点として微小な錆が発生し、MgとO含有量(質量%)の積(以下、Mg×Oとも略記する)が4×10−6を超えると生成したMgOが浸漬ノズルに付着して浸漬ノズルの閉塞を起こす。
【0030】
そのため、Ca×Oを2×10−5以下、Mg×Oを4×10−6以下とする必要がある。望ましくは、Ca×Oは1.5×10−5以下、Mg×Oは3×10−6以下である。
(2)O含有量を0.0005%未満にするためには製鋼処理コストが増大し、0.006%超ではCa×OやMg×Oが低くても疵発生率が増大するおそれがあり、O含有量範囲を0.0005〜0.006%とする。望ましくは、0.0007〜0.005%である。
【0031】
発明者らはTiおよびNを含有する溶鋼を溶製し、試験連続鋳造機でスラブを得た後、試験圧延機で所定の板厚まで圧延し、圧延後の鋼板の清浄性と試験連続鋳造機での浸漬ノズルへの付着物の付着状況を調査した結果、下記の知見を得た。
(1)TiとN含有量(質量%)の積(以下、Ti×Nとも略記する)が2×10−4を超えるとTiの窒化物が介在物として生成し、CaまたはMg含有量を調整しても浸漬ノズルの閉塞が生じる。
【0032】
そのため、Ti×Nを2×10−4以下とする必要がある。望ましくは、1.5×10−4以下である。
発明者らは極低炭素アルミキルド鋼を溶製する際に下記の知見を得た。
(1)転炉出鋼後に真空脱炭を行うために、出鋼時に完全脱酸できないため、スラグ中のFeO、MnOなどが高いまま精錬を終了する。
(2)そのため、鋳造時に取鍋内溶鋼中のAlがスラグ中FeO、MnOと反応してできるAl2 O3 の生成が継続しておきるために、清浄性を維持することが難しい。
(3)生成したAl2 O3 が浸漬ノズル内に堆積して浸漬ノズルの閉塞を起こしやすく、浸漬ノズル洗浄用のガス(ArやN2 など)を浸漬ノズル内に導入するのが通例であり、その結果、気泡系の欠陥が生じていた。
(4)上記(2)および(3)の問題を解決するために、質量%でCa:0.0001〜0.004%、Mg:0.0001〜0.001%、Al:0.01〜0.3%を含有し、前記CaとMg含有量の積が2×10−8〜2×10−6であり、かつ、比(Ca/Mg)が0.2〜30であるとよい。
【0033】
なお、極低炭素アルミキルド鋼中のC含有量は0.0005%未満では精錬時間が長く製鋼コストが増大し、0.003%超では加工性が悪化するため、0.0005%〜0.003%とした。望ましくは、0.0006%〜0.0026%である。
【0034】
Siは含有量が0.0001%以上不可避的に鋼材中に入るため、これ未満に意図的にする場合には製鋼コストが大幅に増加する。Si含有量が0.02%超では亜鉛メッキの密着性を悪化させるため、Si含有量は0.0001〜0.02%とした。望ましくは、0.0005〜0.019%である。
【0035】
Mnの含有量は、0.05%未満では強度が確保できず、0.6%超では加工性が悪化するため、0.05〜0.6%とした。望ましくは、0.06〜0.4%である。
【0036】
Pの含有量は、0.005%未満では脱燐のための製鋼コストが飛躍的に増大し、0.03%超では粒界脆化がを起きるため、0.005〜0.03%とした。望ましくは、0.006〜0.025%である。
【0037】
Sの含有量は、0.0002%未満では脱硫のための製鋼コストが飛躍的に増大し、0.008%超では延性が低下するため、0.0002〜0.008%とした。望ましくは、0.0003〜0.005%である。
【0038】
Oの含有量は、0.0005%未満では酸素低減のための製鋼コストが飛躍的に増大し、0.006%超では介在物起因の疵発生を抑制できないため0.0005〜0.006%とした。望ましくは、0.0006〜0.004%である。
【0039】
Nの含有量は、0.0005%未満では脱窒のための製鋼コストが飛躍的に増大し、0.005%超では深絞り性が悪化するため、0.0005〜0.005%とした。望ましくは、0.0006〜0.004%である。
【0040】
厚板あるいは鋼管でも介在物系および気泡系の欠陥が発生しており、質量%でCa:0.0001〜0.004%、Mg:0.0001〜0.001%、Al:0.01〜0.3%を含有し、前記CaとMg含有量の積が2×10−8〜2×10−6であり、かつ、比(Ca/Mg)が0.2〜30であるとこれらの欠陥が改善できる。
【0041】
Cの含有量は、0.02%未満では強度が低下し、0.2%超では溶接性や靱性が低下するため、0.02〜0.2%とした。望ましくは、0.025〜0.18%である。
【0042】
Siの含有量は、0.05%未満では強度向上に寄与せず、0.5%超では溶接性及び靱性が悪化するため、Si含有量は0.05〜0.5%とした。望ましくは、0.06〜0.4%である。
【0043】
Mnの含有量は、0.4%未満では強度・靱性が不足となり、2.5%超では溶接性が悪化し、Mn合金コストも増大するため、0.4〜2.5%とした。望ましくは、0.5〜2.3%である。
【0044】
Pの含有量は、0.005%未満では脱燐処理コストが増大し、0.02%超では中心偏析による割れが引き起こされるため、0.005〜0.02%とした。望ましくは、0.006〜0.015%である。
【0045】
Sの含有量は、0.0002%未満では脱硫コストが増大し、0.008%超では介在物中の硫化物が割れの起点となるため、0.0002〜0.008%とした。望ましくは、0.0003〜0.005%である。
【0046】
Oの含有量は、0.0005%未満では酸素低減のための製鋼コストが飛躍的に増大し、0.006%超では介在物起因の疵発生を抑制できないため0.0005〜0.006%とした。望ましくは、0.0006〜0.004%である。
【0047】
Nの含有量は、0.001%未満では脱窒素処理のコストが飛躍的に増大し、0.006%超では靱性が悪化するため、0.001〜0.006%とした。望ましくは、0.0015〜0.005%である。
【0048】
Cr含有量の高いステンレス鋼においても、介在物系および気泡系の欠陥が発生しており、質量%でCa:0.0001〜0.004%、Mg:0.0001〜0.001%、Al:0.01〜0.3%を含有し、前記CaとMg含有量の積が2×10−8〜2×10−6であり、かつ、比(Ca/Mg)が0.2〜30であるとこれらの欠陥が改善できる。
【0049】
Cの含有量は、0.02%未満では強度が低下し、0.3%を超えると耐食性が悪化するため、0.02〜0.3%とした。望ましくは、0.025〜0.26%である。
【0050】
Crの含有量は、11%未満では耐食性が低下し、30%超ではCr合金コストが増大するため、11〜30%とした。望ましくは、11〜28%である。
Siは脱酸剤として有用な元素であり含有量が0.1%未満では脱酸力が低下し、1.0%超では靱性が悪化するため、0.1〜1.0%とした。望ましくは、0.11〜0.8%である。
【0051】
Mnも脱酸剤として有用な元素であり含有量が0.2%未満では脱酸効果が不足し、1.0%超では靱性が悪化するため、0.2〜1.0%とした。望ましくは、0.25〜0.9%である。
【0052】
Pは熱間加工性を悪化させる元素であり含有量が0.02%超では加工性が悪化し、0.005%未満では脱燐コストが増大するため0.005〜0.02%とした。望ましくは、0.006〜0.015%である。
【0053】
Sも熱間加工性を悪化させる元素であり含有量が0.008%超では加工時の疵が避けられず、0.0002%未満では脱硫に要するコストが増大するため、0.0002〜0.008%とした。望ましくは、0.0003〜0.005%である。
【0054】
Oの含有量は、0.0005%未満では酸素低減のための製鋼コストが飛躍的に増大し、0.006%超では介在物起因の疵発生が避けられないため、0.0005〜0.006%とした。望ましくは、0.0006〜0.004%である。
【0055】
Nは固溶体強化に有効であり含有量が0.002%未満では強度が低下し、0.05%超では靱性が悪化するため、0.002〜0.05%とした。望ましくは、0.002〜0.04%である。
【0056】
【実施例】
(実施例1)
250質量トン(以下、単にtともいう)転炉で脱炭吹錬した溶鋼を取鍋に出鋼し、二次精錬装置にて成分調整を行った後、連続鋳造装置でスラブにした。スラブを所定板厚まで圧延後に欠陥を超音波探傷にて調べた。
【0057】
表1に、圧延後の鋼材のCa、Mg、Al以外の代表的な含有量を示す。
【0058】
【表1】
表2に調査結果を示す。
【0059】
【表2】
なお、表2中の欠陥指数は、No.1の条件で得られた圧延後試料の超音波探傷結果の欠陥数を1として指数で算出したものであり、介在物系の欠陥と気泡系の欠陥との分離が困難であったので、これらの欠陥の総合指標として示した。
【0060】
目標の欠陥指数を0.5以下とした。目標の欠陥指数に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
また、含有量(質量%)の良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
【0061】
同様に、指標のCa×Mg、比(Ca/Mg)の良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
さらに、浸漬ノズル中にArガスを吹き込まない、すなわちArガス量が0l(標準状態)/minの試験No.には○、Arガス量が10l(標準状態)/minの試験No.には×とした。
【0062】
これらの評価が全て○の試験No.は総合評価を○、一つでも×の試験No.は総合評価を×とした。
Al単独脱酸であるNo.19は、欠陥指数が2.0と高く、また連鋳で用いる浸漬ノズルが閉塞傾向を示したため、連鋳初期より浸漬ノズル内にArを流さなければならなかった。
【0063】
No.1はAl無添加としたために浸漬ノズルの閉塞防止用のArガス添加は不要であったがMgコストが増大した。
No.2〜5はCaが0.0001%未満でAlを0.01%以上としたために浸漬ノズルの閉塞防止用Arが必要となり、気泡系の欠陥が増加したために欠陥指数が増大した。
【0064】
一方、本発明例のNo.6〜9は、浸漬ノズルの閉塞防止用のArガス添加が必要では無く、しかも、介在物の微細分散が進行したために欠陥指数が0.3以下と大幅に低減した。
【0065】
No.10は、Ca×Mgが良好範囲の下限未満のために浸漬ノズルの閉塞防止用のArガス添加が必要となり気泡系の欠陥を引き起こし、No.11は逆にCa×Mgが良好範囲の上限を超えたため錆発生の問題が発生した。
【0066】
No.12は比(Ca/Mg)の下限未満のために浸漬ノズルの閉塞防止用のArガス添加が必要となり気泡系の欠陥を引き起こし、No.13は比(Ca/Mg)の良好範囲の上限を超えたために錆発生の問題が生じた。
【0067】
No.14はCa含有量が良好範囲の上限を超えたために錆が発生し、No.15はMg含有量が良好範囲の上限を超えたために浸漬ノズルの閉塞防止用のArガス添加が必要となり気泡系の欠陥が増大した。
【0068】
No.16はMg含有量が良好範囲の下限未満のため欠陥が増大し、No.17はAl下限未満のためにMgコストが増大した。
No.18はAl含有量が良好範囲の上限を超えたためAlコストが増大し、しかも欠陥指数もNo.1と比較して若干増加した。
【0069】
以上から、質量%でCa:0.0001〜0.004%、Mg:0.0001〜0.001%、Al:0.01〜0.3%を含有し、CaとMg含有量の積が2×10−8〜2×10−6であり、かつ、比(Ca/Mg)が0.2〜30であると欠陥指数が減少し、錆の発生も防止でき、しかも製造コストを低減できた。
【0070】
(実施例2)
実施例1と同様に、250t転炉で脱炭吹錬した溶鋼を取鍋に出鋼し、二次精錬装置にて成分調整を行った後、連続鋳造装置でスラブにした。スラブを所定板厚まで圧延後に欠陥を超音波探傷にて調べた。
【0071】
表3に、圧延後の鋼材のCa、Mg、S以外の代表的な含有量を示す。
【0072】
【表3】
表4に調査結果を示す。
【0073】
【表4】
なお、表4中の欠陥指数は、実施例1のNo.1の欠陥数を1として算出したものである。
【0074】
目標の欠陥指数を0.5以下とした。目標の欠陥指数に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
また、含有量(質量%)の良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
【0075】
同様に、指標のCa×S、比(Ca/S)の良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
さらに、浸漬ノズル中にArガスを吹き込まない、すなわちArガス量が0l(標準状態)/minの試験No.には○、Arガス量が10l(標準状態)/minの試験No.には×とした。
【0076】
これらの評価が全て○の試験No.は総合評価を○、一つでも×の試験No.は総合評価を×とした。
No.20のようにS含有量を0.0001%と低くした場合、二次精錬で徹底脱硫処理を行ったため脱硫コストが膨大となり、さらに、単鋳しかできなかったために製造コストが大となった。
【0077】
No.24は、S含有量が良好範囲の上限を超えたため浸漬ノズルの閉塞防止用のArガス添加が必要となり、錆も発生した。
No.26は、Ca×Sが良好範囲を超えのために錆が発生した。
【0078】
No.28はMg×Sが良好範囲を超えのために浸漬ノズルの閉塞防止用のArガス添加が必要となった。
一方、本発明例のNo.21〜23、No.25、No.27ではコストが増大することなく浸漬ノズルの閉塞や錆発生の問題もなく、欠陥も低位に確保可能であった。
【0079】
(実施例3)
実施例1、2と同様に、250t転炉で脱炭吹錬した溶鋼を取鍋に出鋼し、二次精錬装置にて成分調整を行った後、連続鋳造装置でスラブにした。スラブを圧延後に欠陥を超音波探傷にて調べた。
【0080】
表5に、圧延後の鋼材のCa、Mg、O以外の代表的な含有量を示す。
【0081】
【表5】
表6に調査結果を示す。
【0082】
【表6】
なお、表6中の欠陥指数は、実施例1のNo.1の欠陥数を1として算出したものである。
【0083】
目標の欠陥指数を0.5以下とした。目標の欠陥指数に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
また、含有量(質量%)の良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
【0084】
同様に、指標のCa×O、比(Ca/O)の良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
さらに、浸漬ノズル中にArガスを吹き込まない、すなわちArガス量が0l(標準状態)/minの試験No.には○、Arガス量が10l(標準状態)/minの試験No.には×とした。
【0085】
これらの評価が全て○の試験No.は総合評価を○、一つでも×の試験No.は総合評価を×とした。
No.29のようにO含有量を0.0004%と良好範囲より低くした場合、二次精錬で徹底脱O処理を行ったため脱Oコストが膨大となり、さらに、単鋳しかできなかったために製造コストが大となった。
【0086】
No.33はO含有量が良好範囲の上限を超えたため欠陥が増加し、No.35はCa×Oが良好範囲を超えたために錆が発生、No.37はMg×Oが良好範囲を超えたために浸漬ノズルの閉塞防止用のArガス添加が必要となった。
【0087】
一方、本発明例のNo.30〜32、No.34、No.36ではコストが増大することなく浸漬ノズルの閉塞や錆発生の問題もなく、欠陥も低位に確保可能であった。
【0088】
(実施例4)
実施例1〜3と同様に、250t転炉で脱炭吹錬した溶鋼を取鍋に出鋼し、二次精錬装置にて成分調整を行った後、連続鋳造装置でスラブにした。スラブを圧延後に欠陥を超音波探傷にて調べた。
【0089】
表7に、圧延後の鋼材のTi、N以外の代表的な含有量を示す。
【0090】
【表7】
表8に調査結果を示す。
【0091】
【表8】
なお、表8中の欠陥指数は、実施例1のNo.1の欠陥数を1として算出したものである。
【0092】
目標の欠陥指数を0.5以下とした。目標の欠陥指数に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
指標のTi×Nの良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
【0093】
さらに、浸漬ノズル中にArガスを吹き込まない、すなわちArガス量が0l(標準状態)/minの試験No.には○、Arガス量が10l(標準状態)/minの試験No.には×とした。
【0094】
これらの評価が全て○の試験No.は総合評価を○、一つでも×の試験No.は総合評価を×とした。
No.42、44〜46のようにTi×Nが良好範囲を超えた場合、浸漬ノズルの閉塞防止用のArガス添加が必要となりその結果欠陥指数が増大した。
【0095】
一方、Ti×Nが良好範囲を満足したNo.38〜41、No.43ではコストが増大することなく浸漬ノズルの閉塞の問題もなく、欠陥も低位に確保可能であった。
【0096】
(実施例5)
250t転炉で脱炭吹錬した溶鋼を取鍋に出鋼し、RHにて真空脱炭処理を行い、引き続きRHで成分調整を行った後、連続鋳造装置でスラブにした。スラブを鋼板に圧延後に欠陥を超音波探傷にて調べた。
【0097】
錆の発生は、圧延後の鋼板に塩水噴霧を5時間実施した後に、その有無を目視で観察した。
表9に、圧延後の鋼材のCa、Mg以外の代表的な含有量を示す。
【0098】
【表9】
表10に調査結果を示す。
【0099】
【表10】
なお、表10中の欠陥指数は、No.1の条件で得られた圧延後試料の超音波探傷結果の欠陥数を1として指数で算出したものであり、介在物系の欠陥と気泡系の欠陥との分離が困難であったので、これらの欠陥の総合指標として示した。
【0100】
目標の欠陥指数を0.5以下とした。目標の欠陥指数に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
また、含有量(質量%)の良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
【0101】
同様に、指標のCa×Mg、比(Ca/Mg)の良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
さらに、浸漬ノズル中にArガスを吹き込まない、すなわちArガス量が0l(標準状態)/minの試験No.には○、Arガス量が10l(標準状態)/minの試験No.には×とした。
【0102】
これらの評価が全て○の試験No.は総合評価を○、一つでも×の試験No.は総合評価を×とした。
No.47〜49のようにCa、Mgの含有量が0.0001%未満では欠陥指数が1.0以上となり欠陥を抑制することができなかった。
【0103】
また、No.52のようにMgが良好範囲の上限を超えたり、No.53のようにCa×Mgが良好範囲の下限未満であったり、NO.58のように比(Ca/Mg)が良好範囲の下限未満では、浸漬ノズルの閉塞防止用のArガス添加が必要となった。
【0104】
また、No.56や57のようにCa×Mgが良好範囲の上限を超えたり、比(Ca/Mg)が良好範囲の上限を超えると錆が発生した。
(実施例6)
250t転炉で脱炭吹錬した溶鋼を取鍋に出鋼し、RHにて真空精錬処理を行った後、連続鋳造装置でスラブにした。スラブを圧延後に欠陥を超音波探傷にて調べた。
【0105】
表11に、圧延後の鋼材のCa、Mg以外の代表的な含有量を示す。
【0106】
【表11】
表12に調査結果を示す。
【0107】
【表12】
なお、表12中の欠陥指数は、No.1の条件で得られた圧延後試料の超音波探傷結果の欠陥数を1として指数で算出したものであり、介在物系の欠陥と気泡系の欠陥との分離が困難であったので、これらの欠陥の総合指標として示した。
【0108】
目標の欠陥指数を0.5以下とした。目標の欠陥指数に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
また、含有量(質量%)の良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
【0109】
同様に、指標のCa×Mg、比(Ca/Mg)の良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
さらに、浸漬ノズル中にArガスを吹き込まない、すなわちArガス量が0l(標準状態)/minの試験No.には○、Arガス量が10l(標準状態)/minの試験No.には×とした。
【0110】
これらの評価が全て○の試験No.は総合評価を○、一つでも×の試験No.は総合評価を×とした。
No.59〜61のようにCaまたはMg含有量が0.0001%未満では欠陥指数は1.0以上となり欠陥を抑制することができなかった。
【0111】
また、No.64のようにMg含有量が良好範囲の上限を超えたり、No.65のようにCa×Mgが下限未満であったり、NO.70のように比(Ca/Mg)が下限未満では、浸漬ノズルの閉塞防止用のArガス添加が必要となる。また、No.68のようにCa×Mgが良好範囲の上限を超えたり、NO.69のように比(Ca/Mg)が良好範囲の上限を超えると錆が発生した。
【0112】
(実施例7)
高炉から出た溶銑を取鍋内で溶銑脱燐した後、80tAODにてCr合金を投入しつつ脱炭吹錬した溶鋼を炉内で還元・脱硫した後、取鍋に出鋼し、バブリングで成分及び温度調整した後、連続鋳造装置でスラブにした。スラブを冷却した後、目視で欠陥数を調査した。
【0113】
表13に、圧延後の鋼材のCa、Mg以外の代表的な含有量を示す。
【0114】
【表13】
表14に調査結果を示す。
【0115】
【表14】
なお、表14中の欠陥指数は、No.1の条件で得られた圧延後試料の超音波探傷結果の欠陥数を1として指数で算出したものであり、介在物系の欠陥と気泡系の欠陥との分離が困難であったので、これらの欠陥の総合指標として示した。
【0116】
目標の欠陥指数を0.5以下とした。目標の欠陥指数に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
また、含有量(質量%)の良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
【0117】
同様に、指標のCa×Mg、比(Ca/Mg)の良好範囲に合致した試験No.には○、合致しない試験No.には×とした。
さらに、浸漬ノズル中にArガスを吹き込まない、すなわちArガス量が0l(標準状態)/minの試験No.には○、Arガス量が10l(標準状態)/minの試験No.には×とした。
【0118】
これらの評価が全て○の試験No.は総合評価を○、一つでも×の試験No.は総合評価を×とした。
No.71〜73のようにCaまたはMg含有量が0.0001%未満では欠陥指数は1.0以上となり欠陥を抑制することができなかった。
【0119】
また、No.76のようにMg含有量が良好範囲の上限を超えたり、No.77のようにCa×Mgが良好範囲の下限未満であったり、NO.82のように比(Ca/Mg)が良好範囲の下限未満では、浸漬ノズルの閉塞防止用のArガス添加が必要となる。
【0120】
また、No.80のようにCa×Mgが良好範囲の上限を超えたり、NO.81のように比(Ca/Mg)が良好範囲の上限を超えると錆が発生した。
【0121】
【発明の効果】
本発明のアルミキルド鋼は、介在物系および気泡系の欠陥が少なく、かつ、Caに起因する錆が少ない。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.0005 〜0.003 %、Si:0.0001 〜0.02%、Mn:0.05 〜0.6%、P:0.005〜0.03%、S:0.0002 〜0.005 %、O(酸素): 0.0005 〜0.006 %、N:0.0005 〜0.005 %、Ca:0.0001 〜0.004 %、Mg:0.0001 〜0.001%、 Al:0.01〜0.3 %を含有するアルミキルド鋼において、前記CaとMg含有量の積が2.8 ×10−7〜2×10−6、比(Ca/Mg) が0.5 〜30、CaとS含有量の積が2×10−5以下、MgとS含有量の積が5×10−6以下、CaとO (酸素) 含有量の積が1.5 ×10−5以下、MgとO (酸素) 含有量の積が4×10−6以下であり、介在物系および気泡系の欠陥が少なく、かつ、 Ca に起因する錆が少ないことを特徴とする、アルミキルド鋼。
- 質量%で、C:0.02 〜0.20%、Si:0.05 〜0.5 %、Mn:0.4〜2.5%、P:0.005〜0.02%、S:0.0002 〜0.008 %、O( 酸素): 0.0005 〜0.006 %、N:0.001〜0.006 %、Ca:0.0001 〜0.004 %、Mg:0.0001 〜0.001 %、 Al:0.01〜0.3 %を含有するアルミキルド鋼において、前記CaとMg含有量の積が2×10−8〜2×10−6、比(Ca/Mg) が2.5 〜30、CaとS含有量の積が2×10−5以下、MgとS含有量の積が5×10−6以下、CaとO (酸素) 含有量の積が1.5 ×10−5以下、MgとO (酸素) 含有量の積が4×10−6以下であり、介在物系および気泡系の欠陥が少なく、かつ、 Ca に起因する錆が少ないことを特徴とする、アルミキルド鋼。
- 質量%で、C:0.02 〜0.3 %、Cr:11 〜30%、Si:0.1〜1.0 %、Mn:0.2 〜1.0 %、P:0.005〜0.02%、S:0.0002 〜0.008 %、O (酸素): 0.0005 〜0.006 %、N:0.002〜0.05、Ca:0.0001 〜0.004 %、Mg:0.0001 〜0.001%、Al:0.01〜0.3 %を含有するアルミキルド鋼において、前記CaとMg含有量の積が2.2 ×10−7〜2×10−6、比(Ca/Mg) が0.2 〜30、CaとS含有量の積が2×10−5以下、MgとS含有量の積が5×10−6以下、CaとO (酸素) 含有量の積が1.5 ×10−5以下、MgとO (酸素) 含有量の積が4×10−6以下であり、介在物系および気泡系の欠陥が少なく、かつ、 Ca に起因する錆が少ないことを特徴とする、アルミキルド鋼。
- 前記アルミキルド鋼がさらにTiを含有し、TiとN含有量の積が2×10−4以下である請求項1ないし3のいずれかに記載のアルミキルド鋼。
- 転炉で脱炭吹錬した溶鋼を取鍋に出鋼して2次精錬装置において成分調整する際に、溶鋼にAlを添加して、溶鋼中のAl含有量を質量%で0.01〜0.3%とし、Mgを添加して、溶鋼中のMg含有量を質量%で0.0001〜0.001 %とし、次いで連続鋳造装置で連続鋳造を行ってスラブとすることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のアルミキルド鋼の製造方法。
- 前記連続鋳造を行う際に、浸漬ノズル内にArガスを流さずに連続鋳造を行うことを特徴とする請求項5記載のアルミキルド鋼の製造方法。
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