JP3551698B2 - 液体遮断弁装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等の燃料タンク等に備えられる液体遮断弁装置に関し、該装置に備えられている気体の圧力を伝達するコントロールラインに流入する燃料による装置の作動に対する影響を防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2に示された従来技術のように、自動車の燃料タンク101には給油時や車両走行時に燃料Lから発生する燃料蒸気Gの大気中への排出を防止する燃料蒸気流出防止装置が備えられている。
【0003】
燃料蒸気流出防止装置としては、燃料タンク101の上部に備えられた液体遮断弁装置102、液体遮断弁装置102を通過した燃料蒸気Gをキャニスタ103へと導くベントライン104、キャニスタ103によりHC(ハイドロカーボン)成分が吸着された燃料成分の減少したエアをエンジンEの吸気側Eaへと導入させるためのパージコントロールバルブ及びパージライン106等から構成されている。
【0004】
液体遮断弁装置102は、燃料タンク101からの燃料蒸気Gの通路として機能する他に、例えば給油や車両の揺れにより燃料Lの液面Laが上昇したり、車両が傾斜、転倒した場合に、燃料Lがベントライン104から漏れ出すことを防止する液体遮断機能を備えている。
【0005】
すなわち、燃料タンク101とベントライン104の間に燃料タンク101側から順に配置される、通常は開弁状態であり燃料Lの液面が上昇することで閉弁するフロート弁111と、通常は閉弁状態であり燃料タンク101と圧力室112aの差圧により開弁(燃料タンク101側の圧力が高い場合)するダイアフラム弁112とを備え、両者の作動により液体遮断機能を発揮させている。
【0006】
圧力室112aは、コントロールライン113によりフィラーチューブ114の上部へと接続され大気側の圧力となっている。
【0007】
図3はフィラーチューブ114のキャップ(不図示)をはずして給油ガン115により給油している状態であるが、この状態においては、液面Laは低いのでフロート弁111は開弁状態であり、また、給油ガン115により給油される燃料Lのベンチュリ効果に伴う燃料タンク101内部方向へのエア流速(矢印A101)によりフィラーチューブ114に発生する圧力低下と、燃料タンク101内部の圧力上昇によって、ダイアフラム弁112は開弁し、燃料蒸気Gをベントライン104へと排出している。
【0008】
但し、ダイアフラム弁112の開弁設定圧力は、給油時以外においても燃料タンク101内部が所定の圧力よりも高くなった場合に開弁するように設定されている。
【0009】
従って液体遮断弁装置102は、通常時は図3(a)に示されるようにフロート弁111は開弁し、ダイアフラム弁112は閉弁している。そして、給油等により燃料Lの液面Laが上昇するとフロート弁111はフロート111aの浮動により閉弁し(図3(b)の状態)、ダイアフラム弁112も閉弁する。尚、車両が横転したり転倒した場合には、フロート111aを閉弁方向に付勢するスプリング(不図示)により液面Laの位置にかかわらずフロート弁111は閉弁するようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような液体遮断弁装置102において、車両の旋回や揺れにより燃料Lがフィラーチューブ114の上部まで到達し、その際にコントロールライン113及び圧力室112aへと燃料Lが流入する恐れがある。
【0011】
コントロールライン113が燃料Lで塞がれてしまうと圧力室112aへの圧力導入(低圧側)が行われなくなり、ダイアフラム弁112の開弁に影響を与えることになる。
【0012】
また、ダイアフラム弁112は微圧差で作動するので、圧力室112aへ流入した燃料Lはダイアフラム自体(圧力膜部を含む)に燃料Lの自重を加えて開弁圧力や開弁量に影響を及ぼし、ベントライン104からの燃料蒸気Gの排出量を減少させて給油速度を低下させたり、最悪の場合では燃料蒸気Gの排出がなされず、給油不可能となる問題につながる可能性があり、液体遮断弁装置102の作動安定性を低下させてしまう。
【0013】
本発明は上記した従来技術の問題を解決する為に成されたもので、その目的とするところは、ダイアフラム弁の圧力室とフィラーチューブを接続するコントロールラインに流入する燃料による液体遮断弁装置の作動安定性を低下させることを防止し、また、流入した燃料を速やかに排出することを可能とする液体遮断弁装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
液体を収容する密封容器の上部に設けられ、前記密封容器内の気体を排出する排出経路と、
前記密封容器と圧力室との圧力差に応答して前記排出経路を開閉する圧力応答手段と、
密封容器の液体供給部と前記圧力室とを接続して圧力室に液体供給部の圧力を導入する圧力導入経路と、
を備えた液体遮断弁装置において、
前記圧力導入経路の途中に配置され、圧力導入経路に流入した液体を一時的に滞留させる滞留室と、
この滞留室の下部に、通常は閉弁状態であり加速度が加わり揺動した場合に開弁して滞留室内の液体を排出する揺動弁と、
前記揺動弁を介して前記滞留室と密封容器とを接続する接続経路と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
これによると、圧力導入経路に流入した液体は滞留室に一時的に滞留し、密封容器の揺動により開弁する揺動弁を経て接続経路により密封容器内部へと戻される。
【0016】
液体供給部から液体を供給する状態(車両の停止状態)では、揺動弁は閉弁して液体供給部の圧力は圧力導入経路により圧力室に伝わり、圧力応答手段は密封容器と圧力室との圧力差に応じて応答可能となり、排出経路を開いて気体を排出可能とする。
【0017】
また、圧力導入経路に流入した液体は滞留室で捕捉されるので、圧力応答手段の圧力室まで流入してしまうことがなく、圧力応答特性に影響を与えず液体遮断弁装置の安定した動作特性が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
【0019】
本発明の実施の形態に関わる液体遮断弁装置1は、従来技術で説明したものと同様に、密封容器としての例えば自動車等の燃料タンク101の上部に取りつけられ、液体遮断弁装置1に接続しているベントライン104から気体としての燃料蒸気G等は排出するが、例えば液体としての燃料Lの給油時や車両が揺れて燃料Lの液面水位が上昇したり、車両が傾斜、転倒した場合には燃料Lをベントライン104へ漏出させないように機能するものである。
【0020】
また、ベントライン104から排出された燃料蒸気Gは、その他の燃料蒸気流出防止装置の構成部材により、大気中への排出が防止されている。すなわち、ベントライン104の下流側に、キャニスタ103、パージコントロールバルブ105、パージライン106等を備え、燃料タンク101から排出した燃料蒸気Gの燃料成分の減少させたエアをエンジンEの吸気側Eaへと導入させている。
【0021】
液体遮断弁装置1自体の機能は、図3に示された液体遮断弁装置102と同様であり、燃料タンク101からの燃料蒸気Gの通路として機能する他に、例えば給油や車両の揺れにより燃料Lの液面Laが上昇したり、車両が傾斜、転倒した場合に、燃料Lがベントライン104から漏れ出すことを防止する液体遮断機能を備えている。
【0022】
すなわち、燃料タンク101とベントライン104の間に燃料タンク101側から順に配置される、通常は開弁状態であり燃料Lの液面が上昇することで閉弁するフロート弁11と、通常は閉弁状態であり燃料タンク101と圧力室12aの差圧により開弁(燃料タンク101側の圧力が高い場合)する圧力応答手段としてのダイアフラム弁12とを備え、両者の作動により液体遮断機能を発揮させている。
【0023】
圧力室12aは、圧力導入経路としてのコントロールライン13により、燃料タンク101の液体供給部としてのフィラーチューブ14の上部へと接続された大気側の圧力となっている。
【0024】
さらに、コントロールライン13の途中には、フィラーチューブ14からコントロールライン13に流入した燃料Lを一時的に滞留させる滞留室15を備えている。この滞留室15の容積は、コントロールライン13の容量を上回る容積としている。
【0025】
また滞留室15には、滞留室15の内側下面部を中央に向かって僅かにロート状に窪ませた形状とし、その中央部に形成されたシート部16aとボール16bからなる揺動弁16が備えられている。シート部16aは、接続経路17により燃料タンク101内部と連通している。
【0026】
図1はフィラーチューブ14がキャップ18により封止されている状態であるが、この状態においては、液面Laは低いのでフロート弁111は開弁状態であり、ダイアフラム弁12は閉弁している。
【0027】
このような状態で、車両の運行に伴う旋回や揺れにより燃料Lが、フィラーチューブ14の上部まで到達し、その際にコントロールライン13に流入することがあったとしても、コントロールライン13に流入した燃料Lは滞留室15に流入してコントロールライン13の導通が確保されると共に、圧力室12aへの燃料Lの流入もなくなる。
【0028】
滞留室15に流入した燃料Lは、運行中の加速度や振動によりボール16bがボール16b’のように移動して揺動弁16が開弁することで、燃料タンク101へと戻される。
【0029】
また、給油時などの車両の停車中では、ボール16bはシート部16aに位置して揺動弁16は閉弁状態となり、コントロールライン13を燃料タンク101から独立させて、フィラーチューブ14の圧力(負圧)を圧力室12aへと導入させてダイアフラム弁12を開弁させ、燃料蒸気Gをベントライン14へと排出可能とする。
【0030】
この実施の形態の揺動弁16はボール16bを採用したが、例えば弁体が略円柱状でシート部16aに対してスプリング等により付勢され、加速度が加わった時に倒れて開弁する方式の弁を採用することも可能である。すなわち、揺動弁16としては、車両が停車している状態で閉弁状態となり、車両の移動時に発生する加速度により開弁する機能を備えるものであれば良い。
【0031】
【発明の効果】
上記のように説明された本発明にあっては、圧力導入経路に流入した液体は滞留室で捕捉され、圧力導入経路の導通が確保されると共に圧力室への液体の流入も防止されるので、圧力応答手段の圧力応答特性に影響を与えず液体遮断弁装置の安定した動作特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態の液体遮断弁装置の接続構成図。
【図2】図2は従来の液体遮断弁装置の接続構成図。
【図3】図3は液体遮断弁装置の動作を説明する図。
【符号の説明】
1 液体遮断弁装置
11 フロート弁
12 ダイアフラム弁(圧力応答手段)
12a 圧力室
13 コントロールライン(圧力導入経路)
14 フィラーチューブ(液体供給部)
15 滞留室
16 揺動弁
16a シート部
16b ボール
17 接続経路
18 キャップ
101 燃料タンク(密封容器)
103 キャニスタ
104 ベントライン
105 パージコントロールバルブ
106 パージライン
E エンジン
Ea 吸気側
G 燃料蒸気(気体)
L 燃料(液体)

Claims (2)

  1. 液体を収容する密封容器の上部に設けられ、前記密封容器内の気体を排出する排出経路と、
    前記密封容器と圧力室との圧力差に応答して前記排出経路を開閉する圧力応答手段と、
    密封容器の液体供給部と前記圧力室とを接続して圧力室に液体供給部の圧力を導入する圧力導入経路と、
    を備えた液体遮断弁装置において、
    前記圧力導入経路の途中に配置され、圧力導入経路に流入した液体を一時的に滞留させる滞留室と、
    この滞留室の下部に、通常は閉弁状態であり加速度が加わり揺動した場合に開弁して滞留室内の液体を排出する揺動弁と、
    前記揺動弁を介して前記滞留室と密封容器とを接続する接続経路と、
    を備えたことを特徴とする液体遮断弁装置。
  2. 前記密封容器内の液体により浮動し、前記圧力応答手段よりも密封容器側の排出経路を開閉するフロート弁を備えたことを特徴とする請求項1に記載の液体遮断弁装置。
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