JP3551396B2 - 新規なハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラー - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーに関し、詳しくは発色性および色再現性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
シアン色画像形成カプラーとして、これまでフェノール類あるいはナフトール類が多く用いられている。
【0003】
ところが、従来用いられているフェノール類及びナフトール類から得られるシアン画像には色再現上大きな問題がある。それは、吸収の短波側のキレが悪く、縁領域にも不要な吸収すなわち不整吸収を持つことである。これにより、ネガにおいてはマスキング等による不整吸収の補正を行わざるを得ず、またペーパーの場合は補正の手段がなく、色再現性をかなり悪化させているのが現状である。
【0004】
又、従来用いられているフェノール類及びナフトール類から得られる色素画像は、その保存性においても幾つかの問題点が残されていた。例えば米国特許2,367,531号及び同2,423,730号に記載の2−アシルアミノフェノールシアンカプラーより得られる色素画像は、一般に熱堅牢性が劣り、米国特許2,369,929号及び同2,772,162号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールシアンカプラーより得られる色素画像は、一般に光堅牢性が劣り、1−ヒドロキシ−2−ナフタミドシアンカプラーから得られる色素画像は、一般に光及び熱堅牢性の両面で不十分である。
【0005】
又、米国特許4,122,369号、特開昭57−155538号、同57−157246号などに記載されている2,5−ジアシルアミノフェノールシアンカプラーや米国特許3,880,661号に記載されているバラスト部分にヒドロキシル基を有する2,5−ジアシルアミノフェノールシアンカプラーも、その色素画像を長期保存するには、光・熱に対する堅牢性や、イエローステインの発生の点で、未だ十分満足できるレベルは得られていない。
【0006】
これらの問題点を解決することを目的として、特開昭64−554号、同63−250649号、同63−250650号などにピラゾロアゾール型のシアンカプラーが提案されている。
【0007】
しかしながら、これらのカプラーは、いずれも形成される発色色素の吸収波長を満足させるために、電子吸引性基及び水素結合性の基が導入してあるため、良好な色再現性を示すもののカップリング活性の点で十分満足できるレベルではなく、発色性と色再現性を同時に満足するものではなかった。
【0008】
そこで本発明者らは、このような状況を鑑み、種々検討した結果、良好な色再現性を有し、なおかつ良好な発色性を有するピラゾロアゾール型のシアンカプラーを発見することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の第一の目的は発色性が良好で十分な発色濃度が得られ、なおかつ吸収の切れがシャープで青および緑領域に吸収が少ない、いわゆる分光吸収特性に優れた鮮明なシアン画像を与えるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーを提供することにある。
【0010】
更に、第二の目的は熱・湿度に対し色相の変化を起こさないシアン画像を形成しうるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0012】
(1).下記一般式(1)または一般式(2)で表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラー。
【0013】
【化3】
【0014】
式中、R1およびR3は置換基を表し、R2およびR4は水素原子または置換基を表し、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、カルボキシ、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロまたはスルホの各基、スピロ化合物残基若しくは有橋炭化水素化合物残基を表す。X1およびX2は水素原子または発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる基を表し、n1,n2,n3およびn4は1〜5の整数を表す。
【0015】
(2).前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーが下記一般式(3)で表される請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラー。
【0016】
【化4】
【0017】
式中、R5は置換基を表し、R2およびR6は水素原子または置換基を表し、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、カルボキシ、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロまたはスルホの各基、スピロ化合物残基若しくは有橋炭化水素化合物残基を表す。n2およびX1は一般式(1)におけるn2およびX1と同義であり、n5は1〜4の整数を表す。
【0018】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0020】
以下、R1,R2,R3,およびR4で表される各基において、アルキル基としては、炭素数1〜32のものが好ましく、直鎖でも分岐でもよい。
アリール基としては、フェニル基が好ましい。
【0021】
アシルアミノ基としては、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0022】
スルホンアミド基としては、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0023】
アルキルチオ基、アリールチオ基におけるアルキル成分、アリール成分は上記R1,R2,R3,およびR4で表されるアルキル基、アリール基が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2〜32のもの、シクロアルキル基としては炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましく、アルケニル基は直鎖でも分岐でもよい。
【0024】
シクロアルケニル基としては、炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましい。
スルホニル基としてはアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等;
スルフィニル基としてはアルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基等;
ホスホニル基としてはアルキルホスホニル基、アルコキシホスホニル基、アリールオキシホスホニル基、アリールホスホニル基等;
アシル基としてはアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等;
カルバモイル基としてはアルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基等;
スルファモイル基としてはアルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基等;
アシルオキシ基としてはアルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基等;
スルホニルオキシ基としては、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等;
カルバモイルオキシ基としてはアルキルカルバモイルオキシ基、アリールカルバモイルオキシ基等;
ウレイド基としてはアルキルウレイド基、アリールウレイド基等;
スルファモイルアミノ基としてはアルキルスルファモイルアミノ基、アリールスルファモイルアミノ基等;
複素環基としては5〜7員のものが好ましく、具体的には2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−ピロリル基、1−テトラゾリル基等;
複素環オキシ基としては5〜7員の複素環を有するものが好ましく、例えば3,4,5,6−テトラヒドロピラニル−2−オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基等;
複素環チオ基としては、5〜7員の複素環チオ基が好ましく、例えば2−ピリジルチオ基、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ基等;
シロキシ基としてはトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ジメチルブチルシロキシ基等;
イミド基としてはコハク酸イミド基、3−ヘプタデシルコハク酸イミド基、フタルイミド基、グルタルイミド基等;
スピロ化合物残基としてはスピロ [3,3] ヘプタン−1−イル等;
有橋炭化水素化合物残基としてはビシクロ [2,2,1] ヘプタン−1−イル、トリシクロ [3,3,1,13 7]デカン−1−イル、7,7−ジメチル−ビシクロ [2,2,1]ヘプタン−1−イル等が挙げられる。
【0025】
上記の基は、さらに長鎖炭化水素基やポリマー残基などの耐拡散性基等の置換基を有してもよい。
【0026】
一般式(1)および一般式(2)において、n1,n2,n3およびn4は1〜5の整数を表し、n1,n2,n3およびn4が2以上の場合R1,R2,R3,およびR4は各々同一であつても異なっていてもよい。
【0027】
X1およびX2は水素原子または発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる基を表し、該発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる基としては、例えばハロゲン原子 (塩素原子、臭素原子、弗素原子等) および、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニル、アルキルオキザリルオキシ、アルコキシオキザリルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、複素環チオ、アルキルオキシチオカルボニルチオ、アシルアミノ、スルホンアミド、N原子で結合した含窒素複素環、アルキルオキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、カルボキシル、等の各基が挙げられるが、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、N原子で結合した含窒素複素環基等である。
【0028】
本発明の一般式(1)または一般式(2)で表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーのうち、色再現性の点で好ましくは下記一般式(3)で表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーが挙げられる。
【0029】
【化5】
【0030】
〔式中、R5は置換基を表し、R2およびR6は水素原子または置換基を表し、n2およびX1は一般式(1)におけるn2およびX1とそれぞれ同義であり、n5は1〜4の整数を表す。〕
R2,R5およびR6の表す置換基としては、一般式(1)および一般式(2)におけるR1,R2,R3,およびR4の表す置換基と同様な置換基を挙げることができる。
【0031】
以下に、本発明の一般式(1)または一般式(2)で表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラー(以下、本発明のシアンカプラーまたは本発明のカプラーとも略称する)の代表的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化6】
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】
【化11】
【0038】
【化12】
【0039】
以下に、本発明のシアンカプラーの合成例を示す。
【0040】
《例示化合物(19)の合成》
合成スキーム
【0041】
【化13】
【0042】
(i)中間体(19c)の合成
80g(0.75モル)の(19a)をエタノール250mlに分散し、147g(0.75モル)の(19b)を氷冷下滴下する。その後室温にて2時間撹拌し、氷冷後結晶を濾取すると、157g(収率74%)の中間体(19c)が得られる。融点142〜143℃。
【0043】
(ii)中間体(19d)の合成
150g(0.53モル)の(19c)をアセトニトリル750mlに分散し、塩化3−ニトロベンゾイル99.9g(0.53モル)を加え、3時間加熱還流する。その後放冷し、結晶を濾取する。得られた結晶を酢酸エチルと炭酸ソーダ水を加え抽出し、乾燥後溶媒を留去し、残渣をエタノールで再結晶すると、134g(収率76%)の中間体(19d)が得られる。
【0044】
(iii)中間体(19e)の合成
66.7g(0.2モル)の中間体(19d)を無水酢酸200ml中加熱還流下3.5時間反応させる。その後、無水酢酸を減圧留去し、酢酸480ml,濃塩酸105ml,32〜36%次亜リン酸25mlを加え、4時間加熱還流下反応させ、放冷後、析出した結晶を濾取する。さらに、この結晶を400mlの酢酸,30mlの水,20mlの濃硫酸中、4時間加熱還流する。その後、反応液を500mlの水に注ぎ、析出した結晶を濾取し、水,酢酸エチルで洗浄すると52.5g(収率96%)の中間体(19e)が得られる。
【0045】
(iv)中間体(19f)の合成
52.4g(0.192モル)の中間体(19e)をピリジン250mlに分散し、23.5g(0.23モル)の無水酢酸を氷冷下0〜5℃で滴下する。その後室温にて一晩反応させる。
【0046】
その後、反応液を希塩酸に注ぎ、析出した結晶を濾取し、水洗、乾燥すると中間体(19f)が57.5g(収率95%)得られる。
【0047】
(v)中間体(19g)の合成
6.3g(20ミリモル)の中間体(19f)をクロロホルム30ml,ピリジン1.58g(20ミリモル)に分散し、氷冷下約0℃にて塩化チオニル11.9g(0.1モル)を滴下する。その後1.5時間室温で反応させ、後、溶媒を減圧留去する。
【0048】
さらに、得られた残渣にメシチルアミン2.97g(22ミリモル)のピリジン50ml溶液を氷冷下約0℃にて加え、1時間室温にて反応させる。
【0049】
その後、約20%炭酸カリウム水溶液35mlを加え、1時間加熱還流下反応させる。
【0050】
反応終了後、氷冷した希塩酸に反応液を注ぎ、析出した結晶を濾取し、水洗、乾燥させると、中間体(19g)が7.8g(収率100%)得られる。
【0051】
(vi)中間体(19h)の合成
1.17g(3ミリモル)の中間体(19g)を無水塩化錫(II)2.84g(15ミリモル)とエタノール20ml中加熱還流下0.5時間反応させる。反応終了後、反応液を水に注ぎ、析出した結晶を濾取する。さらに、これを炭酸ナトリウム水で洗浄し、テトラヒドロフランで抽出し、乾燥後、溶媒を減圧留去すると、中間体(19h)が0.64g(収率62%)得られる。
【0052】
(vii)例示化合物(19)の合成例
0.67g(1.86ミリモル)の中間体(19h)をピリジン10mlに溶解し、(19i)0.77g(1.86ミリモル)を室温にて加える。その後室温にて一晩反応させる。
【0053】
その後、反応液を希塩酸水に注ぎ、析出した結晶を濾取する。さらに、この結晶を酢酸エチルで再結晶すると例示化合物(19)が0.60g(収率44%)得られる。融点141〜143℃
なお、構造は1H−NMR,IR,MASSスペクトルにより確認した。
【0054】
本発明のカプラーは通常ハロゲン化銀1モル当り1×10−3モル〜1モル、好ましくは1×10−2モル〜8×10−1モルの範囲で用いることができる。
【0055】
また本発明のカプラーは他の種類のシアンカプラーと併用することもできる。
本発明のカプラーには、通常の色素形成カプラーにおいて用いられる方法および技術が、同様に適用される。
【0056】
本発明のカプラーには、いかなる発色法によるカラー写真形成用素材としても用いることができるが、具体的には、外式発色法および内式発色法が挙げられる。外式発色法として用いられる場合、本発明のカプラーはアルカリ水溶液あるいは有機溶媒(例えばアルコールなど)に溶解して、現像処理液中に添加し使用することができる。
【0057】
本発明のカプラーを内式発色法によるカラー写真形成用素材として用いる場合、本発明のカプラーは写真感光材料中に含有させて使用する。
【0058】
典型的には、本発明のカプラーをハロゲン化銀乳剤に配合し、この乳剤を支持体上に塗布してカラー感光材料を形成する方法が好ましく用いられる。
【0059】
本発明のカプラーは、例えばカラーのネガおよびポジフィルム並びにカラー印画紙などのカラー写真感光材料に用いられる。
【0060】
このカラー印画紙を初めとする本発明のカプラーを用いた感光材料は、単色用のものでも多色用のものでもよい。多色用感光材料では、本発明のカプラーはいかなる層に含有させてもよいが、通常は緑感光性ハロゲン化銀乳剤層または/および赤色感光性ハロゲン化銀に含有させる。多色用感光材料はスペクトルの3原色領域のそれぞれに感光性を有する色素画像形成構成単位を有する。各構成単位は、スペクトルのある一定領域に対して感光性を有する単層または多層乳剤層から成ることができる。画像形成構成単位の層を含めて感光材料の構成層は、当業界で知られているように種々の順序で配列することができる。
【0061】
典型的な多色用感光材料は、少なくとも1つのシアンカプラーを含有する少なくとも1つの赤感光性ハロゲン化銀乳剤層からなるシアン色素画像形成構成単位、少なくとも1つのマゼンタカプラーを含有する少なくとも1つの緑感光性ハロゲン化銀乳剤層からなるマゼンタ色素画像形成構成単位、(シアンカプラーの少なくとも1つは本発明のカプラーである。)少なくとも1つのイエローカプラーを含有する少なくとも1つの青感光性ハロゲン化銀乳剤層からなるイエロー色素画像形成構成単位を支持体上に担持させたものからなる。
【0062】
感光材料は、追加の層例えばフィルター層、中間層、保護層、下塗り層等を有することができる。
【0063】
本発明のカプラーを乳剤に含有せしめるには、従来公知の方法に従えばよい。例えばトリクレジルホスフェート、ジブチルフタレート等の沸点が175℃以上の高沸点有機溶媒または酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル等の低沸点溶媒のそれぞれ単独にまたは必要に応じてそれらの混合液に本発明のカプラーを単独でまたは併用して溶解した後、界面活性剤を含むゼラチン水溶液と混合し、次に高速回転ミキサーまたはコロイドミルで乳化した後、ハロゲン化銀に添加して本発明に使用するハロゲン化銀乳剤を調製することができる。
【0064】
本発明のカプラーを用いた感光材料に好ましく用いられるハロゲン化銀組成としては、塩化銀、塩臭化銀またはハ塩沃臭化銀がある。また更に、塩化銀と臭化銀の混合物等の組合せ混合物であってもよい。即ち、ハロゲン化銀乳剤がカラー用印画紙に用いられる場合には、特に速い現像性が求められるので、ハロゲン化銀のハロゲン組成として塩素原子を含むことが好ましく、少なくとも1%の塩化銀を含有する塩化銀、塩臭化銀または塩沃臭化銀であることが特に好ましい。
【0065】
ハロゲン化銀乳剤は、常法により化学増感される。また、所望の波長域に光学的に増感できる。
【0066】
ハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中、あるいは写真処理中のカブリの防止、および/又は写真性能を安定に保つことを目的として写真業界においてカブリ防止剤または安定剤として知られている化合物を加えることができる。
【0067】
本発明のカプラーを用いたカラー感光材料には、通常感光材料に用いられる色カブリ防止剤、色素画像安定化剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、マット剤、界面活性剤等を用いることができる。
【0068】
これらについては、例えばリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)176巻、22〜31頁(1978年12月)の記載を参考にすることができる。
【0069】
本発明のカプラーを用いたカラー写真感光材料は、当業界公知の発色現像処理を行うことにより画像を形成することができる。
【0070】
本発明に係るカプラーを用いたカラー写真感光材料は、親水性コロイド層中に発色現像主薬を発色現像主薬そのものとして、あるいはそのプレカーサーとして含有し、アルカリ性の活性化浴により処理することもできる。
【0071】
本発明のカプラーを用いたカラー写真感光材料は、発色現像後、漂白処理、定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行ってもよい。
【0072】
定着処理の後は、通常は水洗処理が行われる。また水洗処理の代替えとして安定化処理を行ってもよいし、両者を併用してもよい。
【0073】
【実施例】
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
実施例1
ポリエチレンで両面ラミネートされた紙支持体上に下記の各層を支持体側より順次塗設し、赤色感光性カラー感光材料試料1を作製した。尚、化合物の添加量は特に断りのない限り1m2当りを示す(ハロゲン化銀は銀換算値)。
【0075】
第1層:乳剤層
ゼラチン1.3g、赤感性塩臭化銀乳剤(塩化銀99.5モル%含有)0.21およびジオクチルフタレート0.45gに溶解した比較シアンカプラーa 9.1×10−4モルからなる赤感性乳剤層。
【0076】
第2層:保護層
ゼラチン0.50gを含む保護層。尚、硬膜剤として2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩をゼラチン1g当り0.017gになるよう添加した。
【0077】
次に、試料1において比較カプラーaを表1に示すカプラー(添加量は比較カプラーaと同モル量)に代えた以外は、全く同様にして、本発明の試料2〜8を作製した。
【0078】
上記で得た試料1〜8は、それぞれ常法に従ってウェッジ露光を与えた後、下記の現像処理工程で現像処理を行った。
【0079】
各処理工程において使用した処理液組成は、下記の如くである。
【0080】
(発色現像液)
純水 800ml
トリエタノールアミン 10g
N,N−ヂエチルヒドロキシルアミン 5g
臭化カリウム 0.02g
塩化カリウム 2g
亜硫酸カリウム 0.3g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホンサン 1.0g
エチレンジアミン四酢酸 1.0g
カテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウム塩 1.0g
ジエチレングリコール 10g
3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)
アニリン硫酸塩 4.5g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンスルホン酸誘導体) 1.0g
炭酸カリウム 27g
水を加えて全量を1lとし、pH10.10に調整する。
【0081】
(漂白定着液)
エチレンジアミン四酢酸鉄第2鉄アンモニウム2水塩 60.0g
エチレンジアミン四酢酸 3.0g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100.0ml
亜硫酸アンモニウム (40%水溶液) 27.5ml水を加えて全量を1lとし、炭酸カリウムまたは氷酢酸でpH5.7に調整する。
【0082】
(安定化液)
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.2g
1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン 0.3
エチレングリコール 1.0g1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホンサン 2.0g
o−フェニルフェノールナトリウム 1.0g
エチレンジアミン四酢酸 1.0g
水酸化アンモニウム(20%水溶液) 3.0g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンスルホン酸誘導体) 1.5g
水を加えて全量を1lとし、硫酸または水酸化カリウムでpH7.0に調整する。
【0083】
上記で処理された試料1〜8について、濃度計(コニカ株式会社製KD−7型)を用いて最高濃度(Dmax)を測定し、さらに、上記各処理済試料を高温・高湿(85℃,60%RH)雰囲気下に21日間放置し、色素画像の耐熱・耐湿性を調べた。
【0084】
但し色素画像の耐熱性、耐湿性は初濃度1.0に対する耐熱、耐湿試験後の色素残留パーセントで表す。結果を表1に示す。
【0085】
【化14】
【0086】
【表1】
【0087】
表1の結果から明らかなように、本発明のカプラーを用いた試料は、比較カプラーを用いた試料に比べていずれもDmaxおよび色素残存率が高く、発色性および耐熱・耐湿性に優れていることが分かる。
【0088】
実施例2
紙支持体の片面にポリエチレンをラミネートし、もう一方の面に酸化チタンを含有するポリエチレンをラミネートした支持体上に、以下に示す構成の各層を酸化チタンを含有するポリエチレン層の側に塗設し、多層ハロゲン化銀写真感光材料、試料9を作製した。塗布液は下記のごとく調製した。
【0089】
第1層層塗布液
イエローカプラー(Y−1)26.7g、色素画像安定化剤(ST−1)10.0g、色素画像安定化剤(ST−2)6.67g、添加剤(HQ−1)0.67g、イラジエーション防止染料(AI−3)および高沸点有機溶媒(DNP)6.67gに酢酸エチル60mlを加え溶解し、この溶液を20%界面活性剤(SU−1)7.0mlを含有する10%ゼラチン水溶液220mlに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製した。この分散液を下記条件にて作製した青感光性ハロゲン化銀乳剤(銀8.68g含有)と混合し、第1層塗布液を調製した。
【0090】
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に調製した。
【0091】
また、硬膜剤として第2層及び第4層に(H−1)を、第7層に(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。なおハロゲン化銀写真材料中の添加量は特に記載のない限り1m2当たりのグラム数で示す。
【0092】
なお、層構成は、下記表の如くである。
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
【化15】
【0096】
【化16】
【0097】
【化17】
【0098】
【化18】
【0099】
【化19】
【0100】
【化20】
【0101】
(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1000ml中に下記(A液)及び(B液)をpAg=6.5、pH=3.0に制御しつつ30分かけて同時添加し、さらに下記(C液)、及び(D液)を pAg=7.3、pH=5.5に制御しつつ180分かけて同時添加した。pHの制御は硫酸または水酸化ナトリウムの水溶液を用いて行った。pAgの制御は、下記組成の制御液を用いた。制御液の組成は、塩化ナトリウムと臭化カリウムからなる混合ハロゲン化物塩水溶液であり、塩化物イオンと臭化物イオンの比は、99.8:0.2とし、制御液の濃度は、A液,B液を混合する際には0.1モル/l、C液,D液を混合する際には1モル/lとした。
【0102】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(C液)
塩化ナトリウム 102.7g
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600ml
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600ml
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.85μm、変動係数(S/R)=0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−1を得た。
【0103】
上記乳剤EMP−1に対し、下記化合物を用い50℃にて90分化学熟成を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を得た。
【0104】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モル AgX
塩化金酸 0.5mg/モル AgX
安 定 剤 STAB−1 6×10−4モル/モル AgX
増感色素 BS−1 4×10−4モル/モル AgX
増感色素 BS−2 1×10−4モル/モル AgX
(緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製方法)
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして、平均粒径0.43μm、変動係数(S/R)=0.08、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−2を得た。
【0105】
EMP−2に対し、下記化合物を用いて55℃で120分化学熟成を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を得た。
【0106】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モル AgX
塩化金酸 1.0mg/モル AgX
安 定 剤 STAB−1 6×10−4モル/モル AgX
増感色素 GS−1 4×10−4モル/モル AgX
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製方法)
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして、平均粒径0.50μm、変動係数(S/R)=0.08、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−3を得た。
【0107】
EMP−3に対し、下記化合物を用いて60℃で90分化学熟成を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を得た。
【0108】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モル AgX
塩化金酸 2.0mg/モル AgX
安 定 剤 STAB−1 6 ×10−4モル/モル AgX
増感色素 RS−1 1×10−4モル/モル AgX
変動係数は、標準偏差(S)と平均粒径(R)から計算され、
S=〔Σ(Ri−R)2/Σni〕1/2
Riは粒径を表し、niは粒径がRiである粒子の数を表す。
【0109】
【化21】
【0110】
【化22】
【0111】
次に、試料9において、第5層のシアンカプラー(C−1)、(C−2)を表4に示すカプラー(添加量は比較カプラーC−1、C−2の合計モル数と同モル量)にかえた以外は全く同様にして本発明の試料10〜22を作成した。
【0112】
得られた試料を実施例1と同様にウェッジ露光後、現像処理し、赤感性感光層の最高濃度(Dmax)を測定した。
【0113】
また、上記試料9〜22について、以下の方法によって色再現性の評価を行った。
【0114】
まず、カラーネガフィルム(コニカカラーLV−400:コニカ(株)製)とカメラ(コニカFT−1MOTOR:コニカ(株)製)を用いてマクベス社製カラーチェッカーを撮影した。続いて、カラーネガ現像処理(CNK−4:コニカ株式会社製)を行い、得られたネガ像をコニカカラープリンターCL−P2000(コニカ株式会社製)用いて上記試料No.9〜22に82mm×117mmの大きさにプリントし、前記と同様にして実技プリントを得た。プリントの際のプリンター条件は、カラーチェッカー上の灰色がプリント上で灰色になるように各試料毎に設定を行った。
【0115】
得られた実技プリントについて、色再現性及び黒地性を目視により評価した。
【0116】
結果を表4にまとめて示した。
【0117】
【表4】
【0118】
【化23】
【0119】
表4から明らかなように、比較カプラーC−1およびC−2を用いた試料No9は、色再現性について甚だ不充分である。また、比較カプラーc,dを用いた試料No.10,11は確かに青の色再現性の改良が大きいものの、シアンおよび緑の色再現性についてはほとんど改良が見られず、また最高濃度が低いため黒地性が充分でない。
【0120】
これに対し、本発明のシアンカプラーを含有する試料、ことにNo.12,13,16〜20は、シアン,青,緑のいずれについても色再現性が良好であり、発色性が良好で最高濃度も高く、黒地性に優れている。
【0121】
【発明の効果】
本発明により、第一には、発色性が良好で十分な発色濃度が得られ、なおかつ吸収の切れがシャープで青および緑領域に吸収が少ない、いわゆる分光吸収特性に優れた鮮明なシアン画像を与えるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーを提供することができた。
【0122】
更に、第二には、熱・湿度に対し色相の変化を起こさないシアン画像を形成しうるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーを提供することにある。
【産業上の利用分野】
本発明はハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーに関し、詳しくは発色性および色再現性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
シアン色画像形成カプラーとして、これまでフェノール類あるいはナフトール類が多く用いられている。
【0003】
ところが、従来用いられているフェノール類及びナフトール類から得られるシアン画像には色再現上大きな問題がある。それは、吸収の短波側のキレが悪く、縁領域にも不要な吸収すなわち不整吸収を持つことである。これにより、ネガにおいてはマスキング等による不整吸収の補正を行わざるを得ず、またペーパーの場合は補正の手段がなく、色再現性をかなり悪化させているのが現状である。
【0004】
又、従来用いられているフェノール類及びナフトール類から得られる色素画像は、その保存性においても幾つかの問題点が残されていた。例えば米国特許2,367,531号及び同2,423,730号に記載の2−アシルアミノフェノールシアンカプラーより得られる色素画像は、一般に熱堅牢性が劣り、米国特許2,369,929号及び同2,772,162号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールシアンカプラーより得られる色素画像は、一般に光堅牢性が劣り、1−ヒドロキシ−2−ナフタミドシアンカプラーから得られる色素画像は、一般に光及び熱堅牢性の両面で不十分である。
【0005】
又、米国特許4,122,369号、特開昭57−155538号、同57−157246号などに記載されている2,5−ジアシルアミノフェノールシアンカプラーや米国特許3,880,661号に記載されているバラスト部分にヒドロキシル基を有する2,5−ジアシルアミノフェノールシアンカプラーも、その色素画像を長期保存するには、光・熱に対する堅牢性や、イエローステインの発生の点で、未だ十分満足できるレベルは得られていない。
【0006】
これらの問題点を解決することを目的として、特開昭64−554号、同63−250649号、同63−250650号などにピラゾロアゾール型のシアンカプラーが提案されている。
【0007】
しかしながら、これらのカプラーは、いずれも形成される発色色素の吸収波長を満足させるために、電子吸引性基及び水素結合性の基が導入してあるため、良好な色再現性を示すもののカップリング活性の点で十分満足できるレベルではなく、発色性と色再現性を同時に満足するものではなかった。
【0008】
そこで本発明者らは、このような状況を鑑み、種々検討した結果、良好な色再現性を有し、なおかつ良好な発色性を有するピラゾロアゾール型のシアンカプラーを発見することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の第一の目的は発色性が良好で十分な発色濃度が得られ、なおかつ吸収の切れがシャープで青および緑領域に吸収が少ない、いわゆる分光吸収特性に優れた鮮明なシアン画像を与えるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーを提供することにある。
【0010】
更に、第二の目的は熱・湿度に対し色相の変化を起こさないシアン画像を形成しうるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0012】
(1).下記一般式(1)または一般式(2)で表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラー。
【0013】
【化3】
【0014】
式中、R1およびR3は置換基を表し、R2およびR4は水素原子または置換基を表し、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、カルボキシ、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロまたはスルホの各基、スピロ化合物残基若しくは有橋炭化水素化合物残基を表す。X1およびX2は水素原子または発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる基を表し、n1,n2,n3およびn4は1〜5の整数を表す。
【0015】
(2).前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーが下記一般式(3)で表される請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラー。
【0016】
【化4】
【0017】
式中、R5は置換基を表し、R2およびR6は水素原子または置換基を表し、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、カルボキシ、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロまたはスルホの各基、スピロ化合物残基若しくは有橋炭化水素化合物残基を表す。n2およびX1は一般式(1)におけるn2およびX1と同義であり、n5は1〜4の整数を表す。
【0018】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0020】
以下、R1,R2,R3,およびR4で表される各基において、アルキル基としては、炭素数1〜32のものが好ましく、直鎖でも分岐でもよい。
アリール基としては、フェニル基が好ましい。
【0021】
アシルアミノ基としては、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0022】
スルホンアミド基としては、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0023】
アルキルチオ基、アリールチオ基におけるアルキル成分、アリール成分は上記R1,R2,R3,およびR4で表されるアルキル基、アリール基が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2〜32のもの、シクロアルキル基としては炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましく、アルケニル基は直鎖でも分岐でもよい。
【0024】
シクロアルケニル基としては、炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましい。
スルホニル基としてはアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等;
スルフィニル基としてはアルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基等;
ホスホニル基としてはアルキルホスホニル基、アルコキシホスホニル基、アリールオキシホスホニル基、アリールホスホニル基等;
アシル基としてはアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等;
カルバモイル基としてはアルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基等;
スルファモイル基としてはアルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基等;
アシルオキシ基としてはアルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基等;
スルホニルオキシ基としては、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等;
カルバモイルオキシ基としてはアルキルカルバモイルオキシ基、アリールカルバモイルオキシ基等;
ウレイド基としてはアルキルウレイド基、アリールウレイド基等;
スルファモイルアミノ基としてはアルキルスルファモイルアミノ基、アリールスルファモイルアミノ基等;
複素環基としては5〜7員のものが好ましく、具体的には2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−ピロリル基、1−テトラゾリル基等;
複素環オキシ基としては5〜7員の複素環を有するものが好ましく、例えば3,4,5,6−テトラヒドロピラニル−2−オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基等;
複素環チオ基としては、5〜7員の複素環チオ基が好ましく、例えば2−ピリジルチオ基、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ基等;
シロキシ基としてはトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ジメチルブチルシロキシ基等;
イミド基としてはコハク酸イミド基、3−ヘプタデシルコハク酸イミド基、フタルイミド基、グルタルイミド基等;
スピロ化合物残基としてはスピロ [3,3] ヘプタン−1−イル等;
有橋炭化水素化合物残基としてはビシクロ [2,2,1] ヘプタン−1−イル、トリシクロ [3,3,1,13 7]デカン−1−イル、7,7−ジメチル−ビシクロ [2,2,1]ヘプタン−1−イル等が挙げられる。
【0025】
上記の基は、さらに長鎖炭化水素基やポリマー残基などの耐拡散性基等の置換基を有してもよい。
【0026】
一般式(1)および一般式(2)において、n1,n2,n3およびn4は1〜5の整数を表し、n1,n2,n3およびn4が2以上の場合R1,R2,R3,およびR4は各々同一であつても異なっていてもよい。
【0027】
X1およびX2は水素原子または発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる基を表し、該発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる基としては、例えばハロゲン原子 (塩素原子、臭素原子、弗素原子等) および、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニル、アルキルオキザリルオキシ、アルコキシオキザリルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、複素環チオ、アルキルオキシチオカルボニルチオ、アシルアミノ、スルホンアミド、N原子で結合した含窒素複素環、アルキルオキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、カルボキシル、等の各基が挙げられるが、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、N原子で結合した含窒素複素環基等である。
【0028】
本発明の一般式(1)または一般式(2)で表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーのうち、色再現性の点で好ましくは下記一般式(3)で表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーが挙げられる。
【0029】
【化5】
【0030】
〔式中、R5は置換基を表し、R2およびR6は水素原子または置換基を表し、n2およびX1は一般式(1)におけるn2およびX1とそれぞれ同義であり、n5は1〜4の整数を表す。〕
R2,R5およびR6の表す置換基としては、一般式(1)および一般式(2)におけるR1,R2,R3,およびR4の表す置換基と同様な置換基を挙げることができる。
【0031】
以下に、本発明の一般式(1)または一般式(2)で表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラー(以下、本発明のシアンカプラーまたは本発明のカプラーとも略称する)の代表的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化6】
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】
【化11】
【0038】
【化12】
【0039】
以下に、本発明のシアンカプラーの合成例を示す。
【0040】
《例示化合物(19)の合成》
合成スキーム
【0041】
【化13】
【0042】
(i)中間体(19c)の合成
80g(0.75モル)の(19a)をエタノール250mlに分散し、147g(0.75モル)の(19b)を氷冷下滴下する。その後室温にて2時間撹拌し、氷冷後結晶を濾取すると、157g(収率74%)の中間体(19c)が得られる。融点142〜143℃。
【0043】
(ii)中間体(19d)の合成
150g(0.53モル)の(19c)をアセトニトリル750mlに分散し、塩化3−ニトロベンゾイル99.9g(0.53モル)を加え、3時間加熱還流する。その後放冷し、結晶を濾取する。得られた結晶を酢酸エチルと炭酸ソーダ水を加え抽出し、乾燥後溶媒を留去し、残渣をエタノールで再結晶すると、134g(収率76%)の中間体(19d)が得られる。
【0044】
(iii)中間体(19e)の合成
66.7g(0.2モル)の中間体(19d)を無水酢酸200ml中加熱還流下3.5時間反応させる。その後、無水酢酸を減圧留去し、酢酸480ml,濃塩酸105ml,32〜36%次亜リン酸25mlを加え、4時間加熱還流下反応させ、放冷後、析出した結晶を濾取する。さらに、この結晶を400mlの酢酸,30mlの水,20mlの濃硫酸中、4時間加熱還流する。その後、反応液を500mlの水に注ぎ、析出した結晶を濾取し、水,酢酸エチルで洗浄すると52.5g(収率96%)の中間体(19e)が得られる。
【0045】
(iv)中間体(19f)の合成
52.4g(0.192モル)の中間体(19e)をピリジン250mlに分散し、23.5g(0.23モル)の無水酢酸を氷冷下0〜5℃で滴下する。その後室温にて一晩反応させる。
【0046】
その後、反応液を希塩酸に注ぎ、析出した結晶を濾取し、水洗、乾燥すると中間体(19f)が57.5g(収率95%)得られる。
【0047】
(v)中間体(19g)の合成
6.3g(20ミリモル)の中間体(19f)をクロロホルム30ml,ピリジン1.58g(20ミリモル)に分散し、氷冷下約0℃にて塩化チオニル11.9g(0.1モル)を滴下する。その後1.5時間室温で反応させ、後、溶媒を減圧留去する。
【0048】
さらに、得られた残渣にメシチルアミン2.97g(22ミリモル)のピリジン50ml溶液を氷冷下約0℃にて加え、1時間室温にて反応させる。
【0049】
その後、約20%炭酸カリウム水溶液35mlを加え、1時間加熱還流下反応させる。
【0050】
反応終了後、氷冷した希塩酸に反応液を注ぎ、析出した結晶を濾取し、水洗、乾燥させると、中間体(19g)が7.8g(収率100%)得られる。
【0051】
(vi)中間体(19h)の合成
1.17g(3ミリモル)の中間体(19g)を無水塩化錫(II)2.84g(15ミリモル)とエタノール20ml中加熱還流下0.5時間反応させる。反応終了後、反応液を水に注ぎ、析出した結晶を濾取する。さらに、これを炭酸ナトリウム水で洗浄し、テトラヒドロフランで抽出し、乾燥後、溶媒を減圧留去すると、中間体(19h)が0.64g(収率62%)得られる。
【0052】
(vii)例示化合物(19)の合成例
0.67g(1.86ミリモル)の中間体(19h)をピリジン10mlに溶解し、(19i)0.77g(1.86ミリモル)を室温にて加える。その後室温にて一晩反応させる。
【0053】
その後、反応液を希塩酸水に注ぎ、析出した結晶を濾取する。さらに、この結晶を酢酸エチルで再結晶すると例示化合物(19)が0.60g(収率44%)得られる。融点141〜143℃
なお、構造は1H−NMR,IR,MASSスペクトルにより確認した。
【0054】
本発明のカプラーは通常ハロゲン化銀1モル当り1×10−3モル〜1モル、好ましくは1×10−2モル〜8×10−1モルの範囲で用いることができる。
【0055】
また本発明のカプラーは他の種類のシアンカプラーと併用することもできる。
本発明のカプラーには、通常の色素形成カプラーにおいて用いられる方法および技術が、同様に適用される。
【0056】
本発明のカプラーには、いかなる発色法によるカラー写真形成用素材としても用いることができるが、具体的には、外式発色法および内式発色法が挙げられる。外式発色法として用いられる場合、本発明のカプラーはアルカリ水溶液あるいは有機溶媒(例えばアルコールなど)に溶解して、現像処理液中に添加し使用することができる。
【0057】
本発明のカプラーを内式発色法によるカラー写真形成用素材として用いる場合、本発明のカプラーは写真感光材料中に含有させて使用する。
【0058】
典型的には、本発明のカプラーをハロゲン化銀乳剤に配合し、この乳剤を支持体上に塗布してカラー感光材料を形成する方法が好ましく用いられる。
【0059】
本発明のカプラーは、例えばカラーのネガおよびポジフィルム並びにカラー印画紙などのカラー写真感光材料に用いられる。
【0060】
このカラー印画紙を初めとする本発明のカプラーを用いた感光材料は、単色用のものでも多色用のものでもよい。多色用感光材料では、本発明のカプラーはいかなる層に含有させてもよいが、通常は緑感光性ハロゲン化銀乳剤層または/および赤色感光性ハロゲン化銀に含有させる。多色用感光材料はスペクトルの3原色領域のそれぞれに感光性を有する色素画像形成構成単位を有する。各構成単位は、スペクトルのある一定領域に対して感光性を有する単層または多層乳剤層から成ることができる。画像形成構成単位の層を含めて感光材料の構成層は、当業界で知られているように種々の順序で配列することができる。
【0061】
典型的な多色用感光材料は、少なくとも1つのシアンカプラーを含有する少なくとも1つの赤感光性ハロゲン化銀乳剤層からなるシアン色素画像形成構成単位、少なくとも1つのマゼンタカプラーを含有する少なくとも1つの緑感光性ハロゲン化銀乳剤層からなるマゼンタ色素画像形成構成単位、(シアンカプラーの少なくとも1つは本発明のカプラーである。)少なくとも1つのイエローカプラーを含有する少なくとも1つの青感光性ハロゲン化銀乳剤層からなるイエロー色素画像形成構成単位を支持体上に担持させたものからなる。
【0062】
感光材料は、追加の層例えばフィルター層、中間層、保護層、下塗り層等を有することができる。
【0063】
本発明のカプラーを乳剤に含有せしめるには、従来公知の方法に従えばよい。例えばトリクレジルホスフェート、ジブチルフタレート等の沸点が175℃以上の高沸点有機溶媒または酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル等の低沸点溶媒のそれぞれ単独にまたは必要に応じてそれらの混合液に本発明のカプラーを単独でまたは併用して溶解した後、界面活性剤を含むゼラチン水溶液と混合し、次に高速回転ミキサーまたはコロイドミルで乳化した後、ハロゲン化銀に添加して本発明に使用するハロゲン化銀乳剤を調製することができる。
【0064】
本発明のカプラーを用いた感光材料に好ましく用いられるハロゲン化銀組成としては、塩化銀、塩臭化銀またはハ塩沃臭化銀がある。また更に、塩化銀と臭化銀の混合物等の組合せ混合物であってもよい。即ち、ハロゲン化銀乳剤がカラー用印画紙に用いられる場合には、特に速い現像性が求められるので、ハロゲン化銀のハロゲン組成として塩素原子を含むことが好ましく、少なくとも1%の塩化銀を含有する塩化銀、塩臭化銀または塩沃臭化銀であることが特に好ましい。
【0065】
ハロゲン化銀乳剤は、常法により化学増感される。また、所望の波長域に光学的に増感できる。
【0066】
ハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中、あるいは写真処理中のカブリの防止、および/又は写真性能を安定に保つことを目的として写真業界においてカブリ防止剤または安定剤として知られている化合物を加えることができる。
【0067】
本発明のカプラーを用いたカラー感光材料には、通常感光材料に用いられる色カブリ防止剤、色素画像安定化剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、マット剤、界面活性剤等を用いることができる。
【0068】
これらについては、例えばリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)176巻、22〜31頁(1978年12月)の記載を参考にすることができる。
【0069】
本発明のカプラーを用いたカラー写真感光材料は、当業界公知の発色現像処理を行うことにより画像を形成することができる。
【0070】
本発明に係るカプラーを用いたカラー写真感光材料は、親水性コロイド層中に発色現像主薬を発色現像主薬そのものとして、あるいはそのプレカーサーとして含有し、アルカリ性の活性化浴により処理することもできる。
【0071】
本発明のカプラーを用いたカラー写真感光材料は、発色現像後、漂白処理、定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行ってもよい。
【0072】
定着処理の後は、通常は水洗処理が行われる。また水洗処理の代替えとして安定化処理を行ってもよいし、両者を併用してもよい。
【0073】
【実施例】
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
実施例1
ポリエチレンで両面ラミネートされた紙支持体上に下記の各層を支持体側より順次塗設し、赤色感光性カラー感光材料試料1を作製した。尚、化合物の添加量は特に断りのない限り1m2当りを示す(ハロゲン化銀は銀換算値)。
【0075】
第1層:乳剤層
ゼラチン1.3g、赤感性塩臭化銀乳剤(塩化銀99.5モル%含有)0.21およびジオクチルフタレート0.45gに溶解した比較シアンカプラーa 9.1×10−4モルからなる赤感性乳剤層。
【0076】
第2層:保護層
ゼラチン0.50gを含む保護層。尚、硬膜剤として2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩をゼラチン1g当り0.017gになるよう添加した。
【0077】
次に、試料1において比較カプラーaを表1に示すカプラー(添加量は比較カプラーaと同モル量)に代えた以外は、全く同様にして、本発明の試料2〜8を作製した。
【0078】
上記で得た試料1〜8は、それぞれ常法に従ってウェッジ露光を与えた後、下記の現像処理工程で現像処理を行った。
【0079】
各処理工程において使用した処理液組成は、下記の如くである。
【0080】
(発色現像液)
純水 800ml
トリエタノールアミン 10g
N,N−ヂエチルヒドロキシルアミン 5g
臭化カリウム 0.02g
塩化カリウム 2g
亜硫酸カリウム 0.3g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホンサン 1.0g
エチレンジアミン四酢酸 1.0g
カテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウム塩 1.0g
ジエチレングリコール 10g
3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)
アニリン硫酸塩 4.5g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンスルホン酸誘導体) 1.0g
炭酸カリウム 27g
水を加えて全量を1lとし、pH10.10に調整する。
【0081】
(漂白定着液)
エチレンジアミン四酢酸鉄第2鉄アンモニウム2水塩 60.0g
エチレンジアミン四酢酸 3.0g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100.0ml
亜硫酸アンモニウム (40%水溶液) 27.5ml水を加えて全量を1lとし、炭酸カリウムまたは氷酢酸でpH5.7に調整する。
【0082】
(安定化液)
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.2g
1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン 0.3
エチレングリコール 1.0g1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホンサン 2.0g
o−フェニルフェノールナトリウム 1.0g
エチレンジアミン四酢酸 1.0g
水酸化アンモニウム(20%水溶液) 3.0g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンスルホン酸誘導体) 1.5g
水を加えて全量を1lとし、硫酸または水酸化カリウムでpH7.0に調整する。
【0083】
上記で処理された試料1〜8について、濃度計(コニカ株式会社製KD−7型)を用いて最高濃度(Dmax)を測定し、さらに、上記各処理済試料を高温・高湿(85℃,60%RH)雰囲気下に21日間放置し、色素画像の耐熱・耐湿性を調べた。
【0084】
但し色素画像の耐熱性、耐湿性は初濃度1.0に対する耐熱、耐湿試験後の色素残留パーセントで表す。結果を表1に示す。
【0085】
【化14】
【0086】
【表1】
【0087】
表1の結果から明らかなように、本発明のカプラーを用いた試料は、比較カプラーを用いた試料に比べていずれもDmaxおよび色素残存率が高く、発色性および耐熱・耐湿性に優れていることが分かる。
【0088】
実施例2
紙支持体の片面にポリエチレンをラミネートし、もう一方の面に酸化チタンを含有するポリエチレンをラミネートした支持体上に、以下に示す構成の各層を酸化チタンを含有するポリエチレン層の側に塗設し、多層ハロゲン化銀写真感光材料、試料9を作製した。塗布液は下記のごとく調製した。
【0089】
第1層層塗布液
イエローカプラー(Y−1)26.7g、色素画像安定化剤(ST−1)10.0g、色素画像安定化剤(ST−2)6.67g、添加剤(HQ−1)0.67g、イラジエーション防止染料(AI−3)および高沸点有機溶媒(DNP)6.67gに酢酸エチル60mlを加え溶解し、この溶液を20%界面活性剤(SU−1)7.0mlを含有する10%ゼラチン水溶液220mlに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製した。この分散液を下記条件にて作製した青感光性ハロゲン化銀乳剤(銀8.68g含有)と混合し、第1層塗布液を調製した。
【0090】
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に調製した。
【0091】
また、硬膜剤として第2層及び第4層に(H−1)を、第7層に(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。なおハロゲン化銀写真材料中の添加量は特に記載のない限り1m2当たりのグラム数で示す。
【0092】
なお、層構成は、下記表の如くである。
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
【化15】
【0096】
【化16】
【0097】
【化17】
【0098】
【化18】
【0099】
【化19】
【0100】
【化20】
【0101】
(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1000ml中に下記(A液)及び(B液)をpAg=6.5、pH=3.0に制御しつつ30分かけて同時添加し、さらに下記(C液)、及び(D液)を pAg=7.3、pH=5.5に制御しつつ180分かけて同時添加した。pHの制御は硫酸または水酸化ナトリウムの水溶液を用いて行った。pAgの制御は、下記組成の制御液を用いた。制御液の組成は、塩化ナトリウムと臭化カリウムからなる混合ハロゲン化物塩水溶液であり、塩化物イオンと臭化物イオンの比は、99.8:0.2とし、制御液の濃度は、A液,B液を混合する際には0.1モル/l、C液,D液を混合する際には1モル/lとした。
【0102】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(C液)
塩化ナトリウム 102.7g
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600ml
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600ml
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.85μm、変動係数(S/R)=0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−1を得た。
【0103】
上記乳剤EMP−1に対し、下記化合物を用い50℃にて90分化学熟成を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を得た。
【0104】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モル AgX
塩化金酸 0.5mg/モル AgX
安 定 剤 STAB−1 6×10−4モル/モル AgX
増感色素 BS−1 4×10−4モル/モル AgX
増感色素 BS−2 1×10−4モル/モル AgX
(緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製方法)
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして、平均粒径0.43μm、変動係数(S/R)=0.08、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−2を得た。
【0105】
EMP−2に対し、下記化合物を用いて55℃で120分化学熟成を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を得た。
【0106】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モル AgX
塩化金酸 1.0mg/モル AgX
安 定 剤 STAB−1 6×10−4モル/モル AgX
増感色素 GS−1 4×10−4モル/モル AgX
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製方法)
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして、平均粒径0.50μm、変動係数(S/R)=0.08、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−3を得た。
【0107】
EMP−3に対し、下記化合物を用いて60℃で90分化学熟成を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を得た。
【0108】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モル AgX
塩化金酸 2.0mg/モル AgX
安 定 剤 STAB−1 6 ×10−4モル/モル AgX
増感色素 RS−1 1×10−4モル/モル AgX
変動係数は、標準偏差(S)と平均粒径(R)から計算され、
S=〔Σ(Ri−R)2/Σni〕1/2
Riは粒径を表し、niは粒径がRiである粒子の数を表す。
【0109】
【化21】
【0110】
【化22】
【0111】
次に、試料9において、第5層のシアンカプラー(C−1)、(C−2)を表4に示すカプラー(添加量は比較カプラーC−1、C−2の合計モル数と同モル量)にかえた以外は全く同様にして本発明の試料10〜22を作成した。
【0112】
得られた試料を実施例1と同様にウェッジ露光後、現像処理し、赤感性感光層の最高濃度(Dmax)を測定した。
【0113】
また、上記試料9〜22について、以下の方法によって色再現性の評価を行った。
【0114】
まず、カラーネガフィルム(コニカカラーLV−400:コニカ(株)製)とカメラ(コニカFT−1MOTOR:コニカ(株)製)を用いてマクベス社製カラーチェッカーを撮影した。続いて、カラーネガ現像処理(CNK−4:コニカ株式会社製)を行い、得られたネガ像をコニカカラープリンターCL−P2000(コニカ株式会社製)用いて上記試料No.9〜22に82mm×117mmの大きさにプリントし、前記と同様にして実技プリントを得た。プリントの際のプリンター条件は、カラーチェッカー上の灰色がプリント上で灰色になるように各試料毎に設定を行った。
【0115】
得られた実技プリントについて、色再現性及び黒地性を目視により評価した。
【0116】
結果を表4にまとめて示した。
【0117】
【表4】
【0118】
【化23】
【0119】
表4から明らかなように、比較カプラーC−1およびC−2を用いた試料No9は、色再現性について甚だ不充分である。また、比較カプラーc,dを用いた試料No.10,11は確かに青の色再現性の改良が大きいものの、シアンおよび緑の色再現性についてはほとんど改良が見られず、また最高濃度が低いため黒地性が充分でない。
【0120】
これに対し、本発明のシアンカプラーを含有する試料、ことにNo.12,13,16〜20は、シアン,青,緑のいずれについても色再現性が良好であり、発色性が良好で最高濃度も高く、黒地性に優れている。
【0121】
【発明の効果】
本発明により、第一には、発色性が良好で十分な発色濃度が得られ、なおかつ吸収の切れがシャープで青および緑領域に吸収が少ない、いわゆる分光吸収特性に優れた鮮明なシアン画像を与えるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーを提供することができた。
【0122】
更に、第二には、熱・湿度に対し色相の変化を起こさないシアン画像を形成しうるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーを提供することにある。
Claims (2)
- 下記一般式(1)または一般式(2)で表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラー。
- 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラーが下記一般式(3)で表される請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラー。
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