JP3401695B2 - 新規のハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラー - Google Patents

新規のハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラー

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JP3401695B2 JP14450495A JP14450495A JP3401695B2 JP 3401695 B2 JP3401695 B2 JP 3401695B2 JP 14450495 A JP14450495 A JP 14450495A JP 14450495 A JP14450495 A JP 14450495A JP 3401695 B2 JP3401695 B2 JP 3401695B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明はハロゲン化銀カラー写真
感光材料用シアンカプラーに関し、詳しくは発色性及び
色再現性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料用シ
アンカプラーに関する。 【0002】 【従来の技術】シアン色画像形成カプラーとして、これ
までフェノール類或いはナフトール類が多く用いられて
いる。 【0003】ところが、従来用いられているフェノール
類及びナフトール類から得られるシアン画像には色再現
上大きな問題がある。それは、吸収の短波側のキレが悪
く、緑領域にも不要な吸収即ち不整吸収を持つことであ
る。これにより、ネガにおいてはマスキング等による不
整吸収の補正を行わざるを得ず、またペーパーの場合は
補正の手段がなく、色再現性をかなり悪化させているの
が現状である。 【0004】又、従来用いられているフェノール類及び
ナフトール類から得られる色素画像は、その保存性にお
いても幾つかの問題点が残されていた。例えば米国特許
2,367,531号及び同2,423,730号に記
載の2−アシルアミノフェノールシアンカプラーより得
られる色素画像は、一般に熱堅牢性が劣り、米国特許
2,369,929号及び同2,772,162号に記
載の2,5−ジアシルアミノフェノールシアンカプラー
より得られる色素画像は、一般に光堅牢性が劣り、1−
ヒドロキシ−2−ナフタミドシアンカプラーから得られ
る色素画像は、一般に光及び熱堅牢性の両面で不十分で
ある。 【0005】又、米国特許4,122,369号、特開
昭57−155538号、同57−157246号など
に記載されている2,5−ジアシルアミノフェノールシ
アンカプラーや米国特許3,880,661号に記載さ
れているバラスト部分にヒドロキシル基を有する2,5
−ジアシルアミノフェノールシアンカプラーも、その色
素画像を長期保存するには、光・熱に対する堅牢性や、
イエローステインの発生の点で、未だ十分満足できるレ
ベルは得られていない。 【0006】これらの問題点を解決することを目的とし
て、特開昭64−554号、同63−250649号、
同63−250650号などにピラゾロアゾール型のシ
アンカプラーが提案されている。 【0007】しかしながら、これらのカプラーは、何れ
も形成される発色色素の吸収波長を満足させるために、
電子吸引性基及び水素結合性の基が導入してあるため、
良好な色再現性を示すもののカップリング活性の点で十
分満足できるレベルではなく、発色性と色再現性を同時
に満足するものではなかった。 【0008】そこで本発明者らは、このような状況を鑑
み、種々検討した結果、良好な色再現性を有し、なおか
つ良好な発色性を有するピラゾロアゾール型のシアンカ
プラーを発見することに成功し、本発明を完成するに至
った。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
第一の目的は発色性が良好で十分な発色濃度が得られ、
なおかつ吸収の切れがシャープで青及び緑領域に吸収が
少ない、いわゆる分光吸収特性に優れた鮮明なシアン画
像を与えるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカ
プラーを提供することにある。 【0010】更に、第二の目的は熱・湿度に対し色相の
変化を起こさないシアン画像を形成しうるハロゲン化銀
カラー写真感光材料用シアンカプラーを提供することに
ある。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記一般式(1)又は一般式(2)で表されるハロゲン化
銀カラー写真感光材料用シアンカプラーにより達成され
た。 【0012】 【化2】 【0013】〔式中、R1及びR3は複素環基、アルコキ
シ基、アリールオキシ基又は複素環オキシ基を表し、R
2及びR4は置換基を表し、X1及びX2は水素原子又は発
色現像主薬の酸化体との反応により脱離しうる基を表
す。〕 以下、本発明を詳細に説明する。 【0014】前記一般式(1)及び一般式(2)におい
て、R1及びR3が表す複素環基としては、2−チエニル
基、2−フリル基、1−ピロリル基、2−イミダゾリル
基、2−チアゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−
ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリミジル基、3−
ピラゾリル基等を挙げることができる。 【0015】アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基、i−プロピルオキシ基、t−ブチルオキシ基、
ドデシルオキシ基、i−ヘキサデシルオキシ基等を挙げ
ることができる。 【0016】アリールオキシ基としては、フェノキシ
基、ナフチルオキシ基等を挙げることができる。 【0017】複素環オキシ基としては5〜7員の複素環
を有するものが好ましく、例えば3,4,5,6-テトラヒドロ
ピラニル-2-オキシ基、1-フェニルテトラゾール-5-オキ
シ基等を挙げることができる。 【0018】R1及びR3が表すこれら上記の基のうち、
色再現性の点で複素環基が好ましい。 【0019】次に、R2及びR4が表す置換基としては特
に制限はないが、代表的には、アルキル、アリール、ア
ニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチ
オ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル等の各
基が挙げられるが、この他にハロゲン原子又はシクロア
ルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィ
ニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモ
イル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オ
キシ、シロキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、カ
ルバモイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、
ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニ
ルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキ
シカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チ
オ、チオウレイド、カルボキシ、ヒドロキシル、メルカ
プト、ニトロ、スルホ等の各基、又はスピロ化合物残
基、有橋炭化水素化合物残基等も挙げられる。 【0020】以下、R2及びR4で表される各基におい
て、アルキル基としては、炭素数1〜32のものが好まし
く、直鎖でも分岐でもよい。アリール基としては、フェ
ニル基が好ましい。 【0021】アシルアミノ基としては、アルキルカルボ
ニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基等が挙げら
れる。 【0022】スルホンアミド基としては、アルキルスル
ホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げ
られる。 【0023】アルキルチオ基、アリールチオ基における
アルキル成分、アリール成分は上記R2及びR4で表され
るアルキル基、アリール基が挙げられる。 【0024】アルケニル基としては、炭素数2〜32の
もの、シクロアルキル基としては炭素数3〜12、特に
5〜7のものが好ましく、アルケニル基は直鎖でも分岐
でもよい。 【0025】シクロアルケニル基としては、炭素数3〜
12、特に5〜7のものが好ましい。 【0026】スルホニル基としてはアルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基等;スルフィニル基としては
アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基等;
ホスホニル基としてはアルキルホスホニル基、アルコキ
シホスホニル基、アリールオキシホスホニル基、アリー
ルホスホニル基等;アシル基としてはアルキルカルボニ
ル基、アリールカルボニル基等;カルバモイル基として
はアルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基
等;スルファモイル基としてはアルキルスルファモイル
基、アリールスルファモイル基等;アシルオキシ基とし
てはアルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニル
オキシ基等;スルホニルオキシ基としては、アルキルス
ルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等;カ
ルバモイルオキシ基としてはアルキルカルバモイルオキ
シ基、アリールカルバモイルオキシ基等;ウレイド基と
してはアルキルウレイド基、アリールウレイド基等;ス
ルファモイルアミノ基としてはアルキルスルファモイル
アミノ基、アリールスルファモイルアミノ基等;複素環
基としては5〜7員のものが好ましく、具体的には2−
フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−
ベンゾチアゾリル基、1−ピロリル基、1−テトラゾリ
ル基等;複素環オキシ基としては5〜7員の複素環を有
するものが好ましく、例えば3,4,5,6−テトラヒ
ドロピラニル−2−オキシ基、1−フェニルテトラゾー
ル−5−オキシ基等;複素環チオ基としては、5〜7員
の複素環チオ基が好ましく、例えば2−ピリジルチオ
基、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2,4−ジフェノキ
シ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ基等;シロキ
シ基としてはトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキ
シ基、ジメチルブチルシロキシ基等;イミド基としては
コハク酸イミド基、3−ヘプタデシルコハク酸イミド
基、フタルイミド基、グルタルイミド基等;スピロ化合
物残基としてはスピロ〔3,3〕ヘプタン−1−イル
等;有橋炭化水素化合物残基としてはビシクロ〔2,
2,1〕ヘプタン−1−イル、トリシクロ〔3,3,
1,13 7〕デカン−1−イル、7,7−ジメチル−ビ
シクロ〔2,2,1〕ヘプタン−1−イル等が挙げられ
る。 【0027】R2及びR4が表すこれら上記の置換基のう
ち、色再現性の点でアルキル基、アリール基、複素環基
等が好ましく、アリール基が特に好ましい。 【0028】上記の基は、さらに長鎖炭化水素基やポリ
マー残基などの耐拡散性基等の置換基を有してもよい。 【0029】X1及びX2は水素原子又は発色現像主薬の
酸化体との反応により離脱しうる基を表し、該発色現像
主薬の酸化体との反応により離脱しうる基としては、例
えばハロゲン原子 (塩素原子、臭素原子、弗素原子等)
及び、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、ア
シルオキシ、スルホニルオキシ、アルコキシカルボニル
オキシ、アリールオキシカルボニル、アルキルオキザリ
ルオキシ、アルコキシオキザリルオキシ、アルキルチ
オ、アリールチオ、複素環チオ、アルキルオキシチオカ
ルボニルチオ、アシルアミノ、スルホンアミド、N原子
で結合した含窒素複素環、アルキルオキシカルボニルア
ミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、カルボキシ
ル、等の各基が挙げられるが、好ましくは水素原子、ハ
ロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環
オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チ
オ基、N原子で結合した含窒素複素環基等である。 【0030】本発明の一般式(1)又は一般式(2)で
表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプ
ラーのうち、色再現性の点で好ましくは一般式(1)で
表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプ
ラーが挙げられる。 【0031】以下に、本発明の一般式(1)又は一般式
(2)で表されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シ
アンカプラー(以下、本発明のシアンカプラー又は本発
明のカプラーとも略称する)の代表的化合物例を示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0032】 【化3】 【0033】 【化4】【0034】 【化5】【0035】 【化6】【0036】 【化7】【0037】 【化8】【0038】 【化9】【0039】以下に、本発明のシアンカプラーの合成例
を示す。 【0040】《例示化合物I−7の合成》 合成スキーム 【0041】 【化10】【0042】(i)中間体2の合成 175g(0.59モル)の中間体1をピリジン1.2
l、無水酢酸66g(0.65モル)と共に室温にて5
時間撹拌下反応させる。反応終了後、結晶を濾取し、得
られた結晶を1.6lの5%塩酸中に分散し、約30分
後、結晶を濾取し、水洗すると中間体2が190g(収
率95%)得られる。 【0043】(ii)中間体3の合成 150gの中間体2(0.44モル)をクロロホルム9
00mlに分散し、塩化チオニル163g(1.37モ
ル)、ピリジン30mlを順次加え、加熱還流下6時間
反応させる。反応終了後、溶媒を減圧留去すると、中間
体3が166g(収率106%)得られる。中間体3に
ついてはこれ以上の精製を行わず次の反応に用いた。 【0044】(iii)例示化合物I−7の合成 3.58g(0.01モル)の中間体3をピリジン30
mlに溶解し、4.02g(0.01モル)の中間体4
を加え、室温にて8時間反応させる。反応終了後、4.
15g(0.03モル)の炭酸カリウム水溶液20ml
を加え、加熱還流下2時間反応させる。 【0045】反応終了後、酢酸エチルを加え、抽出し、
水洗、乾燥、濃縮する。その後、得られた残渣をカラム
クロマトグラフィーを用いて精製すると、目的とする例
示化合物I−7が3.89g(収率57%)得られる。 【0046】なお、構造は1H−NMR,IR,MAS
Sスペクトルにより確認した。 【0047】本発明のカプラーは通常ハロゲン化銀1モ
ル当り1×10-3モル〜1モル、好ましくは1×10-2
モル〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。 【0048】また本発明のカプラーは他の種類のシアン
カプラーと併用することもできる。 【0049】本発明のカプラーには、通常の色素形成カ
プラーにおいて用いられる方法及び技術が、同様に適用
される。 【0050】本発明のカプラーには、いかなる発色法に
よるカラー写真形成用素材としても用いることができる
が、具体的には、外式発色法及び内式発色法が挙げられ
る。外式発色法として用いられる場合、本発明のカプラ
ーはアルカリ水溶液或いは有機溶媒(例えばアルコール
など)に溶解して、現像処理液中に添加し使用すること
ができる。 【0051】本発明のカプラーを内式発色法によるカラ
ー写真形成用素材として用いる場合、本発明のカプラー
は写真感光材料中に含有させて使用する。 【0052】典型的には、本発明のカプラーをハロゲン
化銀乳剤に配合し、この乳剤を支持体上に塗布してカラ
ー感光材料を形成する方法が好ましく用いられる。 【0053】本発明のカプラーは、例えばカラーのネガ
及びポジフィルム並びにカラー印画紙などのカラー写真
感光材料に用いられる。 【0054】このカラー印画紙を初めとする本発明のカ
プラーを用いた感光材料は、単色用のものでも多色用の
ものでもよい。多色用感光材料では、本発明のカプラー
はいかなる層に含有させてもよいが、通常は緑感光性ハ
ロゲン化銀乳剤層又は/及び赤色感光性ハロゲン化銀に
含有させる。多色用感光材料はスペクトルの3原色領域
のそれぞれに感光性を有する色素画像形成構成単位を有
する。各構成単位は、スペクトルのある一定領域に対し
て感光性を有する単層又は多層乳剤層から成ることがで
きる。画像形成構成単位の層を含めて感光材料の構成層
は、当業界で知られているように種々の順序で配列する
ことができる。 【0055】典型的な多色用感光材料は、少なくとも1
つのシアンカプラーを含有する少なくとも1つの赤感光
性ハロゲン化銀乳剤層からなるシアン色素画像形成構成
単位、少なくとも1つのマゼンタカプラーを含有する少
なくとも1つの緑感光性ハロゲン化銀乳剤層からなるマ
ゼンタ色素画像形成構成単位、(シアンカプラーの少な
くとも1つは本発明のカプラーである。)少なくとも1
つのイエローカプラーを含有する少なくとも1つの青感
光性ハロゲン化銀乳剤層からなるイエロー色素画像形成
構成単位を支持体上に担持させたものからなる。 【0056】感光材料は、追加の層例えばフィルター
層、中間層、保護層、下塗り層等を有することができ
る。 【0057】本発明のカプラーを乳剤に含有せしめるに
は、従来公知の方法に従えばよい。例えばトリクレジル
ホスフェート、ジブチルフタレート等の沸点が175℃
以上の高沸点有機溶媒又は酢酸ブチル、プロピオン酸ブ
チル等の低沸点溶媒のそれぞれ単独に又は必要に応じて
それらの混合液に本発明のカプラーを単独で又は併用し
て溶解した後、界面活性剤を含むゼラチン水溶液と混合
し、次に高速回転ミキサー又はコロイドミルで乳化した
後、ハロゲン化銀に添加して本発明に使用するハロゲン
化銀乳剤を調製することができる。 【0058】本発明のカプラーを用いた感光材料に好ま
しく用いられるハロゲン化銀組成としては、塩化銀、塩
臭化銀又はハ塩沃臭化銀がある。また更に、塩化銀と臭
化銀の混合物等の組合せ混合物であってもよい。即ち、
ハロゲン化銀乳剤がカラー用印画紙に用いられる場合に
は、特に速い現像性が求められるので、ハロゲン化銀の
ハロゲン組成として塩素原子を含むことが好ましく、少
なくとも1%の塩化銀を含有する塩化銀、塩臭化銀又は
塩沃臭化銀であることが特に好ましい。 【0059】ハロゲン化銀乳剤は、常法により化学増感
される。また、所望の波長域に光学的に増感できる。 【0060】ハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工
程、保存中、或いは写真処理中のカブリの防止、及び/
又は写真性能を安定に保つことを目的として写真業界に
おいてカブリ防止剤又は安定剤として知られている化合
物を加えることができる。 【0061】本発明のカプラーを用いたカラー感光材料
には、通常感光材料に用いられる色カブリ防止剤、色素
画像安定化剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、マット剤、
界面活性剤等を用いることができる。 【0062】これらについては、例えばリサーチ・ディ
スクロージャー(Research Disclosure)176巻、22〜31
頁(1978年12月)の記載を参考にすることができる。 【0063】本発明のカプラーを用いたカラー写真感光
材料は、当業界公知の発色現像処理を行うことにより画
像を形成することができる。 【0064】本発明に係るカプラーを用いたカラー写真
感光材料は、親水性コロイド層中に発色現像主薬を発色
現像主薬そのものとして、或いはそのプレカーサーとし
て含有し、アルカリ性の活性化浴により処理することも
できる。 【0065】本発明のカプラーを用いたカラー写真感光
材料は、発色現像後、漂白処理、定着処理を施される。
漂白処理は定着処理と同時に行ってもよい。 【0066】定着処理の後は、通常は水洗処理が行われ
る。また水洗処理の代替えとして安定化処理を行っても
よいし、両者を併用してもよい。 【0067】 【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0068】実施例1 ポリエチレンで両面ラミネートされた紙支持体上に下記
の各層を支持体側より順次塗設し、赤色感光性カラー感
光材料試料1を作製した。尚、化合物の添加量は特に断
りのない限り1m2当りを示す(ハロゲン化銀は銀換算
値)。 【0069】第1層:乳剤層 ゼラチン1.3g、赤感性塩臭化銀乳剤(塩化銀99.
5モル%含有)0.21及びジオクチルフタレート0.
45gに溶解した比較シアンカプラーa:9.1×10
-4モルからなる赤感性乳剤層。 【0070】第2層:保護層 ゼラチン0.50gを含む保護層。尚、硬膜剤として
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナ
トリウム塩をゼラチン1g当り0.017gになるよう
添加した。 【0071】次に、試料1において比較カプラーaを表
1に示すカプラー(添加量は比較カプラーaと同モル
量)に代えた以外は、全く同様にして、本発明の試料2
〜8を作製した。 【0072】上記で得た試料1〜8は、それぞれ常法に
従ってウェッジ露光を与えた後、下記の現像処理工程で
現像処理を行った。 【0073】(現像処理工程) 処理工程 温 度 時 間 発色現像 35.0±0.3℃ 45秒 漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 安定化 30℃〜34℃ 90秒 乾 燥 60℃〜80℃ 60秒 各処理工程において使用した処理液組成は、下記の如く
である。 【0074】 (発色現像液) 純水 800ml トリエタノールアミン 10g N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 5g 臭化カリウム 0.02g 塩化カリウム 2g 亜硫酸カリウム 0.3g 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホンサン 1.0g エチレンジアミン四酢酸 1.0g カテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウム塩 1.0g ジエチレングリコール 10g 3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N −(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン硫酸塩 4.5g 蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンスルホン酸誘導体) 1.0g 炭酸カリウム 27g 水を加えて全量を1lとし、pH10.10に調整する。 【0075】 (漂白定着液) エチレンジアミン四酢酸鉄第2鉄アンモニウム2水塩 60.0g エチレンジアミン四酢酸 3.0g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100.0ml 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml 水を加えて全量を1lとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH5.7に調整する 。 【0076】 (安定化液) 5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.2g 1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン 0.3g エチレングリコール 1.0g 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホンサン 2.0g o−フェニルフェノールナトリウム 1.0g エチレンジアミン四酢酸 1.0g 水酸化アンモニウム(20%水溶液) 3.0g 蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンスルホン酸誘導体) 1.5g 水を加えて全量を1lとし、硫酸又は水酸化カリウムでpH7.0に調整する 。 【0077】上記で処理された試料1〜8について、濃
度計(コニカ株式会社製KD−7型)を用いて最高濃度
(Dmax)を測定し、さらに、上記各処理済試料を高温
・高湿(85℃,60%RH)雰囲気下に21日間放置
し、色素画像の耐熱・耐湿性を調べた。 【0078】但し色素画像の耐熱性、耐湿性は初濃度
1.0に対する耐熱、耐湿試験後の色素残留パーセント
で表す。結果を表1に示す。 【0079】 【化11】【0080】 【表1】 【0081】表1の結果から明らかなように、本発明の
カプラーを用いた試料は、比較カプラーを用いた試料に
比べて何れもDmax及び色素残存率が高く、発色性及び
耐熱・耐湿性に優れていることが分かる。 【0082】実施例2 紙支持体の片面にポリエチレンをラミネートし、もう一
方の面に酸化チタンを含有するポリエチレンをラミネー
トした支持体上に、以下に示す構成の各層を酸化チタン
を含有するポリエチレン層の側に塗設し、多層ハロゲン
化銀写真感光材料、試料9を作製した。塗布液は下記の
ごとく調製した。 【0083】第1層塗布液 イエローカプラー(Y−1)26.7g、色素画像安定
化剤(ST−1)10.0g、色素画像安定化剤(ST
−2)6.67g、添加剤(HQ−1)0.67g、イ
ラジエーション防止染料(AI−3)及び高沸点有機溶
媒(DNP)6.67gに酢酸エチル60mlを加え溶
解し、この溶液を20%界面活性剤(SU−1)7.0
mlを含有する10%ゼラチン水溶液220mlに超音
波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプ
ラー分散液を作製した。この分散液を下記条件にて作製
した青感光性ハロゲン化銀乳剤(銀8.68g含有)と
混合し、第1層塗布液を調製した。 【0084】第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液
と同様に調製した。 【0085】また、硬膜剤として第2層及び第4層に
(H−1)を、第7層に(H−2)を添加した。塗布助
剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を
添加し、表面張力を調整した。なおハロゲン化銀写真材
料中の添加量は特に記載のない限り1m2当たりのグラ
ム数で示す。 【0086】なお、層構成は、下記表の如くである。 【0087】 【表2】【0088】 【表3】【0089】 【化12】【0090】 【化13】【0091】 【化14】【0092】 【化15】【0093】 【化16】【0094】 【化17】【0095】(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)40℃に
保温した2%ゼラチン水溶液1000ml中に下記(A
液)及び(B液)をpAg=6.5、pH=3.0に制
御しつつ30分かけて同時添加し、さらに下記(C
液)、及び(D液)をpAg=7.3、pH=5.5に
制御しつつ180分かけて同時添加した。pHの制御は
硫酸又は水酸化ナトリウムの水溶液を用いて行った。p
Agの制御は、下記組成の制御液を用いた。制御液の組
成は、塩化ナトリウムと臭化カリウムからなる混合ハロ
ゲン化物塩水溶液であり、塩化物イオンと臭化物イオン
の比は、99.8:0.2とし、制御液の濃度は、A
液,B液を混合する際には0.1モル/l、C液,D液
を混合する際には1モル/lとした。 【0096】 (A液) 塩化ナトリウム 3.42g 臭化カリウム 0.03g 水を加えて 200ml (B液) 硝酸銀 10g 水を加えて 200ml (C液) 塩化ナトリウム 102.7g 臭化カリウム 1.0g 水を加えて 600ml (D液) 硝酸銀 300g 水を加えて 600ml 添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液
と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った
後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.85μm、
変動係数(S/R)=0.07、塩化銀含有率99.5
モル%の単分散立方体乳剤EMP−1を得た。 【0097】上記乳剤EMP−1に対し、下記化合物を
用い50℃にて90分化学熟成を行い、青感性ハロゲン
化銀乳剤(Em−B)を得た。 【0098】 チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX 塩化金酸 0.5mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 6×10-4モル/モルAgX 増感色素 BS−1 4×10-4モル/モルAgX 増感色素 BS−2 1×10-4モル/モルAgX (緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製方法)(A液)と(B
液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変
更する以外はEMP−1と同様にして、平均粒径0.4
3μm、変動係数(S/R)=0.08、塩化銀含有率
99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−2を得た。 【0099】EMP−2に対し、下記化合物を用いて5
5℃で120分化学熟成を行い、緑感性ハロゲン化銀乳
剤(Em−G)を得た。 【0100】 チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX 塩化金酸 1.0mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 6×10-4モル/モルAgX 増感色素 GS−1 4×10-4モル/モルAgX (赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製方法)(A液)と(B
液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変
更する以外はEMP−1と同様にして、平均粒径0.5
0μm、変動係数(S/R)=0.08、塩化銀含有率
99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−3を得た。 【0101】EMP−3に対し、下記化合物を用いて6
0℃で90分化学熟成を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤
(Em−R)を得た。 【0102】 チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX 塩化金酸 2.0mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 6 ×10-4モル/モルAgX 増感色素 RS−1 1×10-4モル/モルAgX 変動係数は、標準偏差(S)と平均粒径(R)から計算
され、 S=〔Σ(Ri−R)2/Σni1/2iは粒径を表し、niは粒径がRiである粒子の数を表
す。 【0103】 【化18】【0104】 【化19】 【0105】次に、試料9において、第5層のシアンカ
プラー(C−1)、(C−2)を表4に示すカプラー
(添加量は比較カプラーC−1、C−2の合計モル数と
同モル量)にかえた以外は全く同様にして本発明の試料
10〜22を作成した。 【0106】得られた試料を実施例1と同様にウェッジ
露光後、現像処理し、赤感性感光層の最高濃度
(Dmax)を測定した。 【0107】また、上記試料9〜22について、以下の
方法によって色再現性の評価を行った。 【0108】まず、カラーネガフィルム(コニカカラー
LV−400:コニカ(株)製)とカメラ(コニカFT
−1MOTOR:コニカ(株)製)を用いてマクベス社
製カラーチェッカーを撮影した。続いて、カラーネガ現
像処理(CNK−4:コニカ株式会社製)を行い、得ら
れたネガ像をコニカカラープリンターCL−P2000
(コニカ株式会社製)用いて上記試料No.9〜22に
82mm×117mmの大きさにプリントし、前記と同
様にして実技プリントを得た。プリントの際のプリンタ
ー条件は、カラーチェッカー上の灰色がプリント上で灰
色になるように各試料毎に設定を行った。 【0109】得られた実技プリントについて、色再現性
及び黒地性を目視により評価した。 【0110】結果を表4にまとめて示した。 【0111】 【表4】 【0112】 【化20】 【0113】表4から明らかなように、比較カプラーC
−1及びC−2を用いた試料No.9は、色再現性につ
いて甚だ不充分である。また、比較カプラーc,dを用
いた試料No.10,11は確かに青の色再現性の改良
が大きいものの、シアン及び緑の色再現性については殆
ど改良が見られず、また最高濃度が低いため黒地性が充
分でない。 【0114】これに対し、本発明のシアンカプラーを含
有する試料、ことにNo.12〜19は、シアン,青,
緑の何れについても色再現性が良好であり、発色性が良
好で最高濃度も高く、黒地性に優れている。 【0115】 【発明の効果】本発明により、第一には、発色性が良好
で十分な発色濃度が得られ、なおかつ吸収の切れがシャ
ープで青及び緑領域に吸収が少ない、いわゆる分光吸収
特性に優れた鮮明なシアン画像を与えるハロゲン化銀カ
ラー写真感光材料用シアンカプラーを提供することがで
きた。 【0116】更に、第二には、熱・湿度に対し色相の変
化を起こさないシアン画像を形成しうるハロゲン化銀カ
ラー写真感光材料用シアンカプラーを提供することがで
きた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−203337(JP,A) 特開 昭63−250650(JP,A) 特開 昭63−250649(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 7/38

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記一般式(1)又は一般式(2)で表
    されるハロゲン化銀カラー写真感光材料用シアンカプラ
    ー。 【化1】 〔式中、R1及びR3は複素環基、アルコキシ基、アリー
    ルオキシ基又は複素環オキシ基を表し、R2及びR4は置
    換基を表し、X1及びX2は水素原子又は発色現像主薬の
    酸化体との反応により脱離しうる基を表す。〕
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