JP3550861B2 - 光偏向装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入射された光を偏向するのに用いられ、特に小型で高い光利用効率を有する光偏向装置、その製造方法及びその光偏向装置を用いた光学機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光偏向装置は、入射された光の方向を切り換える装置であり、従来の光偏向装置の例として、米国特許第5311360号明細書に開示されている光偏向装置が挙げられる。
【0003】
図26は従来の光偏向装置の構造を示す斜視(一部断面)図である。以下、従来の光偏向装置の構成を説明する。シリコンからなる平板101上に酸化シリコン及び窒化シリコンからなる絶縁層102を形成する。103は支持体であり、酸化シリコンからなる。104は残留応力を200MPaまで低減した窒化シリコン膜であり、窒化シリコン膜104は図26に示すようにパターニングされ、105で示す梁の形状をなしており、梁105は支持体102により両端を支持され中空に浮いた状態となっている。梁105は図26に示すように、互いに平行で、梁の幅と間隔が等しい周期的な構造を有しており、断面が2段のステップ形状からなる、いわゆる2レベルの回折格子を形成している。106は印加電極であり平板101に電圧を印加する。なお、図26には図示していないが、梁105表面と、梁105の間の絶縁層102の表面には反射膜として例えばアルミニウムが堆積されている。
【0004】
図27は従来例の光偏向装置の動作原理説明図である。図27において、111aは上部反射膜、111bは下部反射膜である。112は入射光、113は0次回折光、114a,114bは±1次回折光である。
【0005】
図27(a)は上部反射膜111aと印加電極106に電圧を印加していない状態を示しており、上部反射膜111aと下部反射膜111bの段差は入射光波長の2分の1になっている。この時、上下の反射膜で反射する光の光路差は往復で1波長となり位相が揃うので、光偏向装置は単なるミラーとして作用し、入射光112は0次回折光113となり、入射側へ反射される。
【0006】
次に上部反射膜111aと印加電極106に電圧を印加した状態では、上部反射膜111aと平板101は梁105と空気を挟むコンデンサを形成し、上部反射膜111aには正電荷が、平板101には負電荷がチャージされ、この電荷間に静電吸引力が作用するため、図27(b)に示すように、梁105は平板101に接触するまで引き寄せられる。この時、上部反射膜111aと下部反射膜111bの表面の段差は入射光の波長の4分の1となり、それぞれの反射膜で反射する光の光路差は往復で2分の1波長となるため、位相が半波長ずれることにより、互いに打ち消しあって、0次回折光が消滅し、代わりに高次(主に±1次)回折光が出射するようになる。例えば、この時±1次回折光114a,114bはそれぞれ41%の回折効率で発生する。
【0007】
以上のように、この光偏向装置は上部反射膜111aと印加電極106に印加する電圧のオン・オフにより、入射光を変調することが出来る。
【0008】
従来例では、この様な光偏向装置を2次元アレイ状に配置し、1次回折光を投影レンズ等を用いてスクリーンに投影することで、投射型ディスプレイとしての応用例を挙げている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の技術の光偏向装置では、2レベルの回折格子として作用とするため、出射光として用いられる1次回折光の回折効率は41%と低く、光の利用効率がきわめて低いという課題があった。
【0010】
この解決策として、0次回折光を出射光とすることにより、高い回折効率を得ることが考えられる。従来例の光偏向装置は、電圧オフ時にはミラーとして作用し、電圧オン時には0次回折光が消滅するため、反射損失を考慮しても90%以上の高い変調効率を得ることができる。しかしながら、このような高い変調効率を得られるのはレーザ光のような極めて波長幅が小さい場合に限られており、波長帯域の広い光を変調する場合には変調効率は大きく低下する。
【0011】
図28には、例として波長10μmの光を変調するように作製された従来の光偏向装置において、波長に対する0次回折光の回折効率を本発明者らが解析を行った結果を示している。図28に示すように波長10μmでは高い変調率を有しているが、波長の変化にともない、0次回折効率は大きく変化している。図28に示す波長5〜14μmの帯域の光を用いる場合では、出射効率の平均値は、電圧オフ時で62%、電圧オン時で24%であり、変調効率は38%ときわめて低くなる。
【0012】
また、従来の光偏向装置では、回折光の回折角を変化させることができないため、その用途は光のオン・オフを行うに留まっていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上のような従来の光偏向装置の課題を解決するため、第1の発明の光偏向装置は、平板と、平板上に形成された支持体と、支持体に両端を支持され周期的に配置された複数の梁と、1本おきの梁の間に形成された凸起と、平板と複数の梁のいずれか一方に形成された、交互に周期的に配置された第1及び第2の電極と、他方に形成された第3の電極とからなり、第1電極及び/または第2電極と、第3電極との間に印加する電圧を調整することにより梁と平板との距離を変化させ、出射する光の方向を変化させることを特徴とする。
【0014】
また、第2の発明の光偏向装置は、第1電極として機能する部分を有する平板と、平板上に形成された支持体と、支持体に両端を支持され、第2電極として機能する部分を有する複数本の梁と、平板上面及び/または梁下面に形成された突起とを具備し、第1電極と第2電極を同電位とすることで梁が1つの平面内にある第1の状態と、第1電極と第2電極との間に印加する電圧を調整することにより梁が平板側へ変位する際、梁の少なくとも一部が突起により傾斜する第2の状態とを切り換えることで出射する光の方向を変化させることを特徴とする。
【0015】
また、第3の発明の光偏向装置は、平板と、この平板上に形成された複数の電極と、平板上に形成された支持体と、支持体に両端を支持され、電極として機能する部分を有する密に並列した複数本の梁とを具備し、平板上に形成された複数の各電極と、複数本の梁が有する電極として機能する各部分とが、平板の法線方向において重なり合い、複数の電極に夫々適当な電圧を印加し、複数の梁と平板との距離を変化させることにより、平板に平行な平面内で且つ梁の長手方向に垂直な方向に、周期的な凹凸を形成することを特徴とする。

【0016】
また、第4の発明の光ピックアップ装置は、光源と、光源から出射された光を偏向する第1または第2または第3の発明の光偏向装置と、光偏向装置から出射された光を光ディスク上に集光する複数のレンズと、光ディスクにより反射された光の一部を受光する受光素子とからなる。
【0017】
また、第5の発明の画像表示装置は、光源と、光源から出射された光を偏向する第1または第2または第3の発明の光偏向装置を2次元的に配置した光偏向装置アレイと、光偏向装置アレイにより偏向された光の少なくとも一部を投影するレンズとからなる。
【0018】
また、第6の発明の印字装置は、光源と、光源から出射された光を偏向する第1または第2または第3の発明の光偏向装置を少なくとも1列以上並列に配置した光偏向装置アレイと、光偏向装置アレイにより偏向された光の少なくとも一部が入射する感光体とからなる。
【0019】
また、第7の発明の赤外線センサは、焦電体と、赤外光を受け、赤外光の少なくとも一部を焦電体に対して出射する第1または第2または第3の発明の光偏向装置を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、第8の発明の光路切換装置は、光伝搬体と、光伝搬体内を伝搬し出射される光を偏向する第1または第2または第3の発明の光偏向装置と、光偏向装置により偏向され得る1つ以上の光路上に光伝搬体を設けたことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は実施の形態1の光偏向装置の平面図(a)、及びA−A’断面図(b)、及びB−B’断面図(c)である。図1において、1は平板であり、例えばシリコン基板であり、表面に周期的な凹凸が形成されている。2は絶縁層であり、例えば酸化シリコンと窒化シリコンの2層からなる。3a,3bは第1及び第2の電極であり、例えばリンを多量にドープした多結晶シリコン(以下、P−Siと略記)からなる。尚、電極3a同士は図示しない配線を通じて電気的に同電位になるようにしてあり、電極3b同士についても同様である。さらに、これら電極3a,3bには図示しない電圧印加手段によりそれぞれ任意の電圧を印加できるようにしている。
【0022】
図2には電極3a,3bの配置の一例を示しているが、電極3a,3bを交互且つ周期的に配置するため、本実施の形態1では、図に示すような対向する2つの櫛形形状の電極3a,3bとしている。
【0023】
図1の4は絶縁層であり、例えば窒化シリコンからなる。5は支持体であり、例えばリンを多量にドープした酸化シリコン(以下、PSGと表記)からなる。6は梁であり、例えばシリコンの含有比を大きくすることで、膜内に残留する引張応力を150MPaにまで低減した窒化シリコンからなる。図1(c)に示すように、梁6は支持体5により両端を支持され、中空に浮いている。8は反射膜であり、例えばAu(金)からなる。反射膜8は、表面の凹凸や梁6上に堆積されて反射膜7a〜7dを形成している。なお、反射膜7a,7bは第3の電極としても機能する。9は凸起である。
【0024】
図3(a)〜(f)は実施の形態1の光偏向装置の製造工程を示す断面図であるが、同図において図1と同一物には同一番号を附記し説明を省略する。図3において11は犠牲層である。12は弾性体層である。本実施の形態1の光偏向装置は、例えば垂直に入射された波長0.65μmの光を偏向できるように設計しているが、これら光の波長や入射角度が変化しても設計により対応が可能なものであり、本光偏向装置に何等制限を加えるものではない。
【0025】
以下、図3に従って、製造工程を説明する。
(a)シリコンからなる平板1を、例えばドライエッチング(以下、D/Eと表記)により、例えば0.16μm掘り下げ、さらに溝の底面の一部をD/Eし、例えば0.32μm掘り下げる。
【0026】
(b)その後、例えば、酸素雰囲気中で1050℃で1時間酸化を行い、例えば0.1μm厚の酸化シリコンを形成した後、減圧化学気相成長法(以下、LPCVDと表記)により窒化シリコンを例えば0.1μm堆積して絶縁層2を形成する。
【0027】
(c)例えばLPCVDにより全面にP−Siを、例えば0.3μm成膜し、次に、窒素雰囲気中で1050℃で30分間アニールすることによりシート抵抗を例えば30Ω・cmまで低減する。次に、P−Si層をパターニングし、電極3a,3bを形成した後、LPCVDにより窒化シリコンを、例えば0.2μm堆積し、絶縁層4を形成する。
【0028】
(d)例えばLPCVDにより、例えばPSGを例えば1μm堆積し、全面を等方的に、例えば0.78μmD/Eすることで、最大厚さ0.22μmの平坦な面を有する犠牲層11を得る。尚、表面の平坦性を更に改善するため、アルカリ液に粒径数10μmの微粒子を混濁した液を用いて、機械的、化学的に研磨(以下、CMP法と表記)してもよい。
【0029】
(e)例えばLPCVDにより、例えばシリコンの含有比を大きくすることで、膜内に残留する引張応力を150MPaにまで低減した窒化シリコンを、例えば0.1μm堆積して弾性体層12を形成する。
【0030】
(f)例えばD/Eにより弾性体層12をパターニングし、梁6の形状を得る。次に、例えば弗酸により犠牲層11をウェット・エッチングすることで、梁6の下の犠牲層を除去する。なお、この時、全ての犠牲層を除去せずに残すことで、図1(c)に5で示す支持体を形成する。最後に、例えばステンシルマスクを通して、例えば蒸着により、例えばAuを0.1μm堆積することにより、反射膜7a〜7d,8を形成する。
【0031】
以上の工程により光偏向装置が製造される。
次に、図4を用いて、本実施の形態1の光偏向装置の動作原理について説明する。なお、図4において図1、図3と同一物には同一番号を附記し、説明を省略する。図4において、15は入射光、16及び17は1次回折光である。
【0032】
本実施の形態1の光偏向装置は、1本おきの梁を交互に駆動することで動作する。駆動は電極3a,3bと反射膜7a,7bの間に電圧を印加することで達成される。反射膜7a,7bにはバイアス電位V を印加、例えば本実施の形態では接地(V=0V)している。この時、電極3aを反射膜7a,7bと同電位、例えば接地し、電極3bに電圧Vを印加すると、電極3bと反射膜7bの間に静電吸引力が発生し、電極7bの下の梁6は平板1側へたわみ、図4(a)の状態となる。なお平板1の電位は、浮上している反射膜7aへ静電力が作用しないように、反射膜7aと同電位、例えば接地している。
【0033】
図4(a)の状態では、反射膜7a,7c,7b,7dは、それぞれ段差tで右下がりの4段階の周期的なステップ形状、いわゆる4レベルの回折格子を形成する。4レベルの回折格子では、1次回折光は81%という高い効率で出射される。なお、最適な段差tは、回折格子の深さdの1/3である。変調対象の光の波長をλ、光の入射角をθとすると、深さdの最適値は
(3λ)/(8cosθ)で表される。図4(a)の状態の光偏向装置に、同図に示す様に光が入射した場合、周期をΛとすると、α=sin−1(λ/Λ)で表される回折方向に1次回折光が出射される。
【0034】
同様にして、電極3aに電圧Vを印加し、電極3bにV(=0V)を印加すると、図4(a)とは逆に、反射膜7a下の梁6が吸引され、反射膜7b下の梁は中空に浮上した状態となる。この時、β=sin−1(λ/Λ)で表される方向に1次回折光が出射される。
【0035】
また、本光偏向装置の特徴として、−1次回折光がほとんど発生しないことが挙げられる。この為、垂直に光を入射し光を偏向させる場合、1次回折光の出射方向には、切り換えにともなって−1次回折光が混入しないため、高いS/Nで光の切り換えが可能である。
【0036】
図5は、垂直入射(θ=0°)の場合の、線幅(梁の幅)δ(=Λ/4)と1次回折角の関係を示している。本実施の形態の光偏向装置では、δ=1μmとして作製を行っているため、1次光の回折角α=9°、−1次光の回折角β=9°が得られた。
【0037】
以上のように本実施の形態の光偏向装置は、平板上に形成された凸部に並列して梁を形成し、1本おきの梁群を駆動し、残りの梁群を中空に浮上したまま保持することで4レベルの回折格子を形成し、それぞれの梁群の下降と浮上を入れ換えることにより、異なる方向に1次回折光を出射することが可能である。4レベルの回折格子であるため、1次回折光の回折効率は81%の高い値が得られる。さらに、4レベルの回折格子の特性上、−1次の回折光はほとんど出射しないため、例えば偏向方向の切り換え時に1次回折光と−1次回折光の出射方向が重なる場合でも高いS/Nで光の切り換えを行うことが可能である。
【0038】
一方図6には、同様な原理で動作する本実施の形態1の光偏向装置の第2の構造例を示している。なお、図6において図1と同一物には同一番号を附記し説明を省略する。図6に示すように、第2の構造例の光偏向装置は、電極7a,7bの下の梁6が隣接して配置されていることを特徴としている点が図1の光偏向装置と異なっているが、その製造工程は図1の光偏向装置と同様である。
【0039】
図7には第2の構造例の光偏向装置の動作原理を示しているが、図7において図4と同一物には同一番号を附記し説明を省略する。本光偏向装置の駆動は図1の光偏向装置と同様にして達成され、電極3a,3bと反射膜7a,7bの間に電圧を印加して達成される。図4で説明した原理と同様にして、電極3bに電圧を印加し、電極3aと反射膜7a,7bを例えば接地すると図7(a)の状態となり、電極3aに電圧を印加し、電極3bと反射膜7a,7bを例えば接地すると図7(b)の状態となる。図7から明らかなように第2の構造例の光偏向装置は反射膜7a,7c,7bにより断面が3段の階段形状を有する3レベルの回折格子として作用する。適切な作用を得るため、図7に示すように溝深さdは
λ/(3cosθ)を最適値とするように形成され、さらに各段差tは溝深さdの1/2が最適値となるようにしている。
【0040】
例えば、θ=0°、λ=0.65μmの時、d=0.22μmである。
第2の構成例の光偏向装置は、梁(及び電極7c)の幅δの値が周期Λのほぼ1/3でよいため、製造が容易になるという利点がある。逆に、幅δが製造技術により制約を受ける場合、図1の光偏向装置よりも周期Λを小さくすることが可能であり、これにより大きな1次回折光の回折角を得ることが可能である。例えば、図1の光偏向装置と同様に幅δ=1μm、波長0.65μmとすると、1次光の回折角α(=−β)=12.5°が得られる(4レベルでは9°)。なお、1次回折光16、17の回折効率はΛとλの比により多少変化するものの、60〜70%の高い効率が得られる。
【0041】
以上のように本実施の形態1の第2の構成例の光偏向装置は、製造が容易でありながら、高い回折効率が得られる光偏向装置を実現できるものである。
【0042】
なお、本実施の形態1の光偏向装置は、構成例として、主にシリコン化合物から構成される場合を示したが、構成材質を変えても動作が同じであれば光偏向装置として同様に機能することは言うまでもない。例えば、弾性体層としてアルミニウム等の金属を用い、犠牲層として例えばポリイミド等の有機物を用いて作製しても、全く同様に機能する光偏向装置を実現できる。
【0043】
また、本実施の形態1では、特に偏向対象の光として波長0.65μmの可視光を例として説明したが、本光偏向装置は、様々な波長の光に対して設計が可能であり、何等使用波長に制約はない。
【0044】
また、本実施の形態1では、第1及び第2の電極を平板上に形成し、第3の電極を梁上に形成したが、これらを逆にしてもよく、例えば、平板を第3の電極とするか平板上に第3の電極を形成し、第1及び第2の電極を梁の上面または下面に形成しても同様に機能する光偏向装置が得られることは言うまでもない。
【0045】
また、本実施の形態1では、凸起9を平板1をD/Eすることにより得ているが、平板1上に例えば多結晶シリコンなどの薄膜を堆積し、これをパターニングして形成してもよい。
【0046】
(実施の形態2)
以下、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図8は実施の形態2の光偏向装置の平面図(a)及び断面図(b)である。図8において、21は平板であり、例えばシリコン基板である。22は絶縁層であり、例えば酸化シリコンと窒化シリコンの2層からなる。23は突起であり、例えば多結晶シリコンからなる。24は梁であり、例えばシリコンの含有比を大きくすることで、膜内に残留する引張応力を150MPaにまで低減した、窒化シリコンからなる。25は反射膜であり、例えばAuからなる。
【0047】
図9(a)〜(f)は実施の形態2の光偏向装置の製造工程を示す断面図であるが、同図において図8と同一物には同一番号を附記し説明を省略する。図8において27は犠牲層である。本光偏向装置は、例えば垂直に入射された波長0.65μmの光を偏向できるように設計している。
【0048】
以下、図9に従って、製造工程を説明する。
(a)シリコンからなる平板21を、例えば酸素雰囲気中で1050℃で1時間酸化し、例えば0.1μm厚の酸化シリコンを形成した後、例えばLPCVDにより例えば窒化シリコンを例えば0.1μm堆積して絶縁層22を形成する。
【0049】
(b)例えばLPCVDにより、例えば多結晶シリコンを、例えば0.19μm成膜し、パターニングを行って突起23を形成する。
【0050】
(c)例えばLPCVDにより例えばPSGを1μm堆積し、犠牲層27を形成する。
【0051】
(d)例えば全面を等方的にD/Eすることで、表面を平坦化する。なお、表面の平坦性を更に改善するため、CMP法を用いてもよい。平坦化後の犠牲層厚は光偏向素子の光学的挙動に影響を与えず任意であるが、本実施の形態では、低電圧駆動のためなるべく犠牲層厚を小さくしており、例えば最も深い部分で0.5μmとしている。
【0052】
(e)例えばLPCVDにより、例えばシリコンの含有比を大きくすることで膜内に残留する引張応力を150MPaにまで低減した、窒化シリコンを、例えば0.5μm堆積し、例えばD/Eによりパターニングし、例えば幅3μmの梁24の形状を得る。
【0053】
(f)例えば弗酸により犠牲層27をウェット・エッチングすることで、梁24の下の犠牲層27を除去する。この時、全ての犠牲層を除去せずに残すことで、実施の形態1の光偏向装置と同様にして、犠牲層27を固定端とする両持ち梁形状を得て、梁24を中空に浮かせている。尚、本実施の形態の光偏向装置は、梁の下に突起があるため、ウェット・エッチング後の乾燥工程で梁が液体の表面張力により吸着するという問題がほとんど発生しないという利点がある。最後に、例えばステンシルマスクを通して、全面に例えば蒸着により、例えばAuを0.1μm堆積することにより、反射膜25を形成する。
【0054】
以上の工程により光偏向装置が製造される。なお、梁24の幅をw、梁24同士の間隔をδ、突起23の幅をb、光の波長をλ、光の入射角をθとすると、突起23の高さの最適値hは、
h=λ(w−b)/{2(w+δ)cosθ)}
で与えられ、本実施の形態では、例えばλ=0.65μm、w=3μm、δ=0.5μm、b=1μm、θ=0°としているため、h=0.19μmとなり、上述した製造工程(b)の多結晶シリコンの膜厚をこの値としている。
【0055】
図10は本実施の形態2の光偏向装置の動作原理説明図である。なお、同図において図8、図9と同一物には同一番号を附記し、説明を省略する。図10において、30は入射光、31は反射光、32は1次回折光である。
【0056】
本光偏向装置は、平板21と反射膜25の間に電圧を印加して駆動される。図10(a)は電圧を印加していない状態を示しており、梁24は中空に浮上している。この時、光偏向装置は単なるミラーとして作用するため、入射光30は反射光31となって入射方向へ反射される。
【0057】
次に、例えば5Vの電圧を印加すると、電圧の印加により平板21と反射膜25の間には静電吸引力が作用し、梁24は平板21側へ引き寄せられる。
【0058】
この時、梁24と絶縁層22の間には突起23があるため、例えば図10(b)では梁24の左側(x方向マイナス側端部)は突起23に接触する。梁はy方向に長い構造を有しているため、梁24の固定端部付近がねじれ動作を起こし、梁24の中央付近は図10(b)に示すように、傾斜した状態で吸引されることとなる。この時、光偏向装置はx方向に周期的な構造を有し、反射と回折現象を同時に用いたいわゆる反射形のブレーズ形回折格子として動作する。
【0059】
この為、入射光30は90%以上の極めて高い回折効率で1次回折光32となるが、本実施の形態の光偏向装置では、梁24の間に例えば0.5μmの間隔があるため、出射される光の効率は75%であった。なお、1次回折光の出射角γはγ=sin−1(λ/Λ)で与えられるが、本実施の形態2では、例えばλ=0.65μm、Λ=3μmとしているため、γ=12.5°であった。
【0060】
一方、本光偏向装置は、電圧オン時の0次回折光が、比較的広い波長領域で、波長の変動に対して極めて安定して低い値を維持する特性を有している。
【0061】
図11には例えば最適波長を10μmとして作製した光偏向装置の、波長5〜14μmの波長帯域での波長に対する0次回折効率(出射効率)の関係を示している。図11は従来例の光偏向装置の波長に対する効率変化を示した図28に対応させて示したものであるが、本実施の形態2の光偏向装置は、電圧オフ時には完全にミラーとして作用するため、波長に関係なくほぼ100%の極めて高い効率で光が出射され、さらに、電圧オン時には光の波長が変動しても0次回折効率はそれほど変化せず、波長帯域5〜14μmの平均でわずか3%程度である。このため、変調効率は90%以上の高い値が得られる。
【0062】
以上のように、本実施の形態2の光偏向装置は、ブレーズ形回折格子として作用するため、極めて高い光利用効率で光の出射方向を偏向することが可能な光偏向装置を実現でき、例えば出射光として1次回折光を用いた場合、高効率・高コントラストの光スイッチとして動作する。また、出射光として0次回折光を用いた場合、波長帯域が広い光に対しても高い変調効率を得ることが可能である。
【0063】
(実施の形態3)
以下、本発明の第3の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図12は実施の形態3の光偏向装置の構成及び動作原理を示す図である。本実施の形態3の光偏向装置は、実施の形態2の光偏向装置と同様に作用するため、以下、動作原理と製造工程のみを説明する。
【0064】
図12において、図10と同一物には同一番号を附記し、説明を省略する。図12において35は突起部である。本実施の形態3の光偏向装置は、実施の形態2の光偏向装置と同様にして駆動される。
【0065】
図12(a)は電圧オフの状態であり、実施の形態2の光偏向装置と同様に、この時は単なるミラーとして作用し、入射光30は反射光31となって入射方向へ反射される。
【0066】
次に電圧を印加すると、電圧の印加により平板21と反射膜25の間には静電吸引力が作用し、梁24は平板21側へ引き寄せられる。梁24の下面の一部に突起部35を形成してあり、梁はy方向に長い構造を有しているため、梁24の固定端部付近がねじれ動作を起こし、梁24の中央付近は図12(b)に示すように、傾斜した状態で吸引されることとなる。この時光偏向装置は実施の形態2の光偏向装置と同様に、x方向に周期的な構造を有し、反射と回折現象を同時に用いたいわゆる反射形のブレーズ形回折格子として動作し、入射光30は90%以上の極めて高い回折効率で1次回折光32となる。
【0067】
図13は本実施の形態3の光偏向装置の製造工程を示した図であるが、図13において、図9と同一物には同一番号を附記し、説明を省略する。
【0068】
図13において、36は弾性体層である。本光偏向装置は、例えば垂直に入射された波長0.65μmの光を偏向できるように設計している。
【0069】
以下、図13に従って、製造工程を説明する。
(a)シリコンからなる平板21を、例えば酸素雰囲気中で1050℃で1時間酸化し、例えば0.1μm厚の酸化シリコンを形成した後、例えばLPCVDにより例えば窒化シリコンを例えば0.1μm堆積して絶縁層22を形成した後、例えばLPCVDにより例えばPSGを堆積し、犠牲層27を形成する。犠牲層27の厚みは、任意であるが、本実施の形態3では1μmとしている。
【0070】
(b)例えばD/Eにより犠牲層27に溝を形成する。溝は図に示した座標系でy方向に長い構造を有していることが望ましいが、間隔をおいて形成した点群であってもよい。
【0071】
(c)例えばLPCVDにより、例えばシリコンの含有比を大きくすることで膜内に残留する引張応力を150MPaにまで低減した、窒化シリコンを例えば1μm堆積して弾性体層36を形成する。
【0072】
(d)例えば全面を等方的にD/Eすることで、表面を平坦化する。なお、表面の平坦性を更に改善するため、CMP法を用いてもよい。平坦化後の弾性体層36の厚さは例えば0.5μmとなるようにしている。
【0073】
(e)例えばD/Eによりパターニングし、例えば幅3μmの梁24の形状を得る。
【0074】
(f)例えば弗酸により犠牲層27をウェット・エッチングすることで、梁24の下の犠牲層27を除去する。この時、全ての犠牲層を除去せずに残すことで、実施の形態1の光偏向装置と同様にして、犠牲層27を固定端とする両持ち梁形状を得て、梁24を中空に浮かせている。尚、本実施の形態3の光偏向装置は、実施の形態2の光偏向装置と同様に、梁の下面に突起部があるためウェット・エッチング後の乾燥工程で梁が液体の表面張力により吸着するという問題がほとんど発生しないという利点がある。最後に、例えばステンシルマスクを通して、全面に例えば蒸着により、例えばAuを0.1μm堆積することにより、反射膜25を形成する。
【0075】
以上の工程により光偏向装置が製造される。なお、梁24の幅をw、梁24同士の間隔をδ、突起部35の幅をb、光の波長をλ、光の入射角をθとすると、突起35の高さの最適値hは、
h=λ(w−b)/{2(w+δ)cosθ)}で与えられ、本実施の形態では、例えばλ=0.65μm、w=3μm、δ=0.5μm、b=1μm、θ=0°としているため、h=0.19μmとなり、上述した製造工程(b)の溝の深さをこの値としている。
【0076】
本実施の形態3の光偏向装置は、梁の下面に突起部を形成することで、実施の形態2の光偏向装置と同様に作用する光偏向装置が得られ、ブレーズ形回折格子として作用し、極めて高い光利用効率で光の出射方向を偏向することが可能な光偏向装置を実現できる。
【0077】
(実施の形態4)
以下、本発明の第4の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図14は実施の形態4の光偏向装置の平面図(a)及び断面図(b)である。図14において、41は平板であり、例えばシリコン基板である。42は絶縁層であり、例えば酸化シリコンと窒化シリコンの2層からなる。43は電極であり、例えばP−Siからなる。なお、電極3は図示しない配線を通じて、図示しない電圧印加手段に接続されており、それぞれ任意の電圧を印加できるようにしている。44は絶縁層であり、例えば窒化シリコンからなる。45は支持体であり、PSGからなる。46は梁であり、例えばシリコンの含有比を大きくすることで、膜内に残留する引張応力を150MPaにまで低減した、窒化シリコンからなる。47は反射膜であり、例えばAuからなる。
【0078】
図15(a)〜(f)は実施の形態4の光偏向装置の製造工程を示す断面図であるが、同図において図14と同一物には同一番号を附記し説明を省略する。図15において49は犠牲層である。50は弾性体層である。
【0079】
以下、図15に従って、製造工程を説明する。
(a)シリコンからなる平板41を、例えば酸素雰囲気中で1050℃で1時間酸化し、例えば0.1μm厚の酸化シリコンを形成した後、LPCVDにより例えば窒化シリコンを例えば0.1μm堆積して絶縁層42を形成する。
【0080】
(b)例えばLPCVDにより全面に、例えばP−Siを、例えば0.3μm成膜し、次に、窒素雰囲気中で1050℃で30分間アニールすることによりシート抵抗を例えば30Ω・cmまで低減する。その後、P−Si層をパターニングし、電極43を形成する。
【0081】
(c)例えばLPCVDにより例えば窒化シリコンを堆積して絶縁層44を形成後、例えばエッチバックにより表面を平坦化する。なお、さらに平坦な面を得るために、CMP法を用いてもよい。その後、例えばLPCVDにより例えばPSGを堆積し、犠牲層49を形成した後、例えばLPCVDにより、例えばシリコンの含有比を大きくすることで膜内に残留する引張応力を150MPaにまで低減した窒化シリコンを堆積し、弾性体層50を形成する。
【0082】
(d)例えば、D/Eにより弾性体層50をパターニングし、梁46の形状を得る。
【0083】
(e)例えば、弗酸により梁46間の間隙から犠牲層49をウェット・エッチングすることで、梁46の下の犠牲層49を除去する。なお、この時、全ての犠牲層を除去せずに残すことで、実施の形態1の光偏向装置と同様にして、犠牲層49を固定端とする両持ち梁形状を得て、梁46を中空に浮かせている。最後に、例えばステンシルマスクを通して、全面に例えば蒸着により、例えばAuを0.1μm堆積することにより、反射膜47を形成する。
【0084】
以上の工程により光偏向装置が製造される。
図16は本実施の形態4の光偏向装置の動作原理図である。なお、同図において図14、図15と同一物には同一番号を附記し、説明を省略する。図16において、55は入射光、56は反射光、57a,57bは±1次回折光である。
【0085】
本光偏向装置は、電極43と反射膜47の間に電圧を印加して駆動される。図16(a)は電圧を印加していない状態を示しており、梁46は中空に浮上している。この時、光偏向装置は単なるミラーとして作用するため、入射光55は反射光56となって入射方向へ反射される。
【0086】
次に、1つおきの電極43に例えば5Vの電圧を印加し、他の電極43及び反射膜47を同電位に設定、例えば接地すると、静電吸引力が作用し、電圧を印加した梁46は平板41側へ引き寄せられ、図16(b)の状態となる。この時、従来例の光偏向装置と同様にして0次回折光が消滅し、0次以外の高次回折光が発生し、例えば±1次回折光がそれぞれ41%の効率で発生する。
【0087】
この時、1次回折光の出射角θはθ=sin−1(λ/Λ)で与えられるが、図16(b)の動作状態ではΛ=2δとしており、本実施の形態4では、例えばλ=0.65μm、δ=1μmとしているため、θ=19°であった。
【0088】
次に、図16(c)では、梁の吸引動作原理は図16(b)と同様であるが、2本の梁46を1つの梁要素として駆動させてステップ形状を得ている。
【0089】
この時、回折格子の周期Λ=4δであるので、本実施の形態4では、例えばλ=0.65μm、δ=1μmとしているため、θ=9°であった。
【0090】
同様にして、1つの要素と見なす梁の数を3本,4本,5本…と増やして行くことで、±1次回折光の回折角度は、例えば、6゜、5゜、4゜…と変化させることが可能である。
【0091】
以上のように本実施の形態4の光偏向装置は、1要素と見なす梁の本数を変化させ、回折格子の周期を線幅δの偶数倍とすることにより、0次以外の回折光の回折角を変化させることが可能である。
【0092】
(実施の形態5)
以下、本発明の第5の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図17は実施の形態5の光学機器である光ピックアップ装置の基本的な構成を示す図である。本光学機器は、例えば異なる仕様の光ディスク及び/または光磁気ディスクを読み書きできる光ピックアップ装置である。図17において、61は例えば実施の形態1で述べた光偏向装置である。
【0093】
以下、例として光ディスク用の光ピックアップ装置として用いた場合について説明する。62は半導体レーザであり、例えば波長0.65μmの赤色レーザを発振する。63は受光素子であり、例えば4分割フォトダイオードである。64は部分反射体であり、例えばハーフミラーである。65a,65b,68はレンズであり、65aは例えばCD(コンパクト・ディスク)用の対物レンズでNA(開口率)0.4、65bは例えばDVD(デジタル・ビデオ・ディスク)用の対物レンズでNA0.6である。レンズ68は例えばコリメータレンズであり、DVD用の対物レンズ65bに入射する光を平行光とする。
【0094】
CDの対物レンズのような比較的NAの小さいレンズではレンズに入射する光が平行光でなくても集光することは比較的容易であるが、DVD用の対物レンズのようなNAの大きなレンズでは、その設計・作製はきわめて難しくなるため、本実施の形態に示すように、一旦コリメータレンズで平行光になおした後に集光する方式をとるのが一般的である。66は光情報盤であり、例えば光ディスクである。67a,67bは出射光であり、光偏向装置の動作により67a,67bのいずれかの方向に光が出射され、出射された光はそれぞれレンズ65a,レンズ68に入射するようにしている。69は円筒レンズであり、ビーム形状を変化させることにより受光素子63によりフォーカシングのための情報も検出できるようにしている。
【0095】
以下、本実施の形態の光ピックアップ装置の動作を説明する。
半導体レーザ62から出射されたレーザ光は光偏向装置61へと入射する。光偏向装置61は実施の形態1で述べたように動作し、出射光67aまたは出射光67bを81%の高い効率で出射する。しかも、本光偏向装置は例えばシリコン基板上に作製され、素子の平坦性が高いために出射光には収差が発生しない。レンズ65a,68はそれぞれ出射光67a,67bが入射する位置に配置されている。例えば出射光67aの方向に光を出射したとき、出射光67aはレンズ65aにより集光され、例えばCDである光情報盤66上に焦点を結ぶ。光情報盤66により反射された反射光の一部は、ほぼ同じ経路を戻り部分反射体64により一部が反射され、円筒レンズ69を透過し、受光素子63へ入射する。受光素子63からの出力信号を検出することにより光情報盤上の、例えば凹凸情報を得ることができ、さらにフォーカシングやトラッキングのための情報が得られる。
【0096】
次に、異なる仕様の光情報盤、例えばDVDの再生を行う場合には、光偏向装置61により出射方向を67bの方向に切り換え、レンズ68により平行光とした後、光情報盤の仕様に合わせたレンズ65bに光を入射して、同様に情報の再生を行う。
【0097】
図18には、本実施の形態の光ピックアップ装置の別の構成例を2つ示している。なお、図18において図17と同一物には同一番号を附記し、説明を省略する。図18において、91、94は光路折り曲げ素子であり、例えばプリズムである。92a,92b,93はレンズであり、レンズ92aは、例えばCD用の対物レンズ、レンズ92bは、例えばDVD用の対物レンズ、93は、例えばコリメータレンズである。図18は、図17の座標系で−x方向に向かって見た場合に対応した構成を示しているが、受光素子63や半導体レーザ62は省略している。
【0098】
図17の構成例では、レンズ65a,68に入射する光は、レンズによって集光される光の光軸に対して傾いている(一般にオフ・アキシス・レンズと呼ばれる)ため、その設計・作製や駆動時の制御が難しくなるという問題がある。
【0099】
図18(a)の光ピックアップ装置では、部分反射体64に光路折り曲げ素子91を張り付けるか、または一体に成形し、光の屈折により出射光67a,67bを共に光情報盤66に対し、垂直に出射されるようにしている。このことによりレンズ92a、93には垂直に光が入射するため、レンズ92a,93はともに光軸に対して対称な形状となり、例えば、従来のCDの対物レンズ、DVD対物レンズ、コリメータレンズを用いることが可能となる。
【0100】
さらに、図18(b)の光ピックアップ装置のように、光偏向装置61にレーザ光を入射する方向を−y方向側へ傾けて、出射光67bが部分反射体64に垂直に入射するようにすることで、出射光67aの光路を折り曲げるだけでよくなり、ほぼ半分のサイズの光路折り曲げ素子94だけで光情報盤66に垂直な2つの出射光が得られるようにすることも可能である。
【0101】
なお、光路折り曲げ素子は、本実施の形態の用にプリズムを用いなくとも、例えば回折光学素子を部分反射体上に形成することによっても達成される。
【0102】
以上、本実施の形態の光学情報装置である光ピックアップ装置は、光偏向装置により収差を発生させずに光路を切り換え、レンズをその光路上に配置することで、簡単な構造でありながら高い光利用効率が得られ、複数の仕様の光情報盤を記録・再生することが可能である。
【0103】
なお、光偏向装置を設ける位置は、本実施の形態の半導体レーザと部分反射体の光路上という制限を受けるものではなく、部分反射体とレンズの間の光路上に配置してもよい。
【0104】
また、単にレンズを切り換えるだけでなく、出射光の光路上にそれぞれ別の光学系を形成しても同様の動作が得られる。
【0105】
また、本実施の形態では、特に光ディスク用の光ピックアップ装置として説明を行ったが、偏光板等を適切に配置することにより、光磁気ディスクにも対応可能であることは容易に類推される。
【0106】
また、本実施の形態の光ピックアップ装置では、円筒レンズと4分割フォトダイオードによりフォーカシング制御やトラッキング制御の信号を取得する方式としているが、これらは本光ピックアップ装置に何等制限を与えるものではなく、別の方法によりフォーカス・トラック制御を行ってもよい。
【0107】
(実施の形態6)
以下、本発明の第6の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図19は実施の形態6の光学機器である画像表示装置の基本的な構成を示す図である。図19において71は実施の形態1または実施の形態2または実施の形態4に示された光偏向装置を2次元的に配置した光偏向装置アレイであり、本実施の形態6では、いわゆる空間光変調素子として作用する。本実施の形態6の光偏向装置アレイは、例えば実施の形態2に示した光偏向装置をアレイ化したものである。72は光源である。73はレンズである。74は光源72から出射された入射光であり、75a,75bは光偏向装置アレイ71により偏向させられた出射光であって、光偏向装置アレイの各光偏向装置の動作状況により75a,75bのいずれかの光路に切り換えられる。本実施の形態6では、一例として、出射光75aがレンズ73に入射して図示しない投影面に投射され、出射光75bはレンズ73に入射しない方向とすることで画像が投射されるようにしている。
【0108】
実施の形態2に示した光偏向装置は、実施の形態2で述べたように、波長が変動しても電圧オン時の0次回折光が極めて小さいまま抑制される特性を有しており、波長幅が比較的広い光を偏向させる場合でも高いコントラストが得られる。図20は青色光(波長0.35〜0.45μm)、緑色光(波長0.45〜0.55μm)、赤色光(波長0.55〜0.65μm)の各帯域の光において、溝深さと各帯域での平均0次回折効率の関係を示したものである。いずれの波長帯域でも、およそ1/2波長の溝深さで0次回折効率の極小点があり、その後溝深さが大きくなると一旦数%程度に上昇するが、さらに大きくなると安定して低い値が得られる特性を有することが分かる。このような特性から、例えば、溝深さが0.8μm以上の光偏向装置を作製することにより、RGBのいずれの波長に対しても、99%以上の高変調率が得られ、100以上の高コントラストの投射型ディスプレイを実現できる。すなわち、光の波長によらず、同じ光偏向装置を用いることができる。さらに投射光は光偏向装置に電圧オフ時にミラーとして作用するときの反射光であるため、色ずれがなく、大画面に投射しても鮮やかな画面を得ることができる。
【0109】
図21には、カラー画像表示装置の構成を示している。図21において、81は光源であり、例えばキセノンランプである。82はレンズである。83a〜83cは分離ミラーであり、例えば83aは赤色光のみを反射しその他の光を透過し、83bは青色光のみを反射しその他の光を透過し、83cは緑色光のみを反射しその他の光を透過する特性を有する。84a〜84cは光偏向装置アレイである。85a,85bはミラーである。86は光合成体であり、例えばカップリングプリズムである。87はレンズである。
【0110】
光源81から出射された光は、レンズ82により平行光にコリメートされ、分離ミラー83a,83bによりRGBの光の3原色に分離される。それぞれ分離された光を光偏向装置アレイ84a,84b,84cにより変調する。図21では、例えば光偏向装置アレイ84aで青色の画像を、光偏向装置アレイ84bで緑色の画像を、光偏向装置アレイ84cで赤色の画像を得ている。なお、図には投影される光の経路のみを示している。次に、例えば分離ミラー83cを用いて青色光の画像と緑色の画像を合成し、さらに光合成体86により赤色画像を合成し、最後にレンズ87により図示しない投影面に合成光を投射することにより、カラー画像が得られる。
【0111】
図22は別の構成のカラー画像表示装置を示している。なお、図22において図19と同一物には同一番号を附記し説明を省略する。図22において77はフィルタであり、例えば、それぞれ赤色光、緑色光、青色光のみを透過する3つの帯域波長透過体からなるフィルタである。78は透過光であり、フィルタ77により選択された波長帯域の透過光である。79は回転駆動装置であり、フィルタ77を回転させることにより、透過光78の波長を切り換える。
【0112】
本実施の形態の画像表示装置に用いられる、例えば実施の形態2に示した光偏向装置は、前述した通り、例えば溝深さを0.8μm以上とすることにより、RGBいずれの波長帯域においても同様に出射率の変調を行うことが可能である。このため、図22に示すように光偏向装置に光の3原色を順次、例えば10msec毎に切り換えて入射し、各色に相当する画像を投射することによりカラー画像を得ることが可能である。この構成例では、光学素子数が少なく、安価なカラー画像表示装置を実現できる。
【0113】
なお、本実施の形態では、光偏向装置として、特に実施の形態2の光偏向装置を用いる場合を説明したが、実施の形態1や実施の形態4の光偏向装置を用いても良いことは言うまでもない。ただし、出射光として1次回折光を用いる場合には、波長により出射方向が異なるため、この色ずれを補正する光学系が必要となる。このことは実施の形態2の光偏向装置の1次回折光を出射光とした場合も同様である。
【0114】
以上、本実施の形態6の画像表示装置は、空間光変調素子として特に実施の形態2の光偏向装置を用い反射光を出射光とすることにより、光利用効率が高く、また波長幅が比較的大きくても電圧オン時の0次回折光強度を小さく抑制できるために黒レベルを出せ、コントラストが高い画像表示装置を実現することが可能である。
【0115】
(実施の形態7)
以下、本発明の第7の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図23は実施の形態7の光学機器である印字装置の基本的な構成を示す図である。図23において201は、実施の形態1または実施の形態2または実施の形態4に示した光偏向装置を1次元的に配置した光偏向装置アレイである。202はレーザ装置であり、例えば半導体レーザである。203はビーム拡大器であり、本実施の形態7では例えば円筒レンズを用い、1平面内の出射角度を大きくしている。204は感光体である。205a,205bは出射光である。206はレンズである。本実施の形態では例えば出射光205aがレンズ206へ入射して感光体204に結像し、出射光205bはレンズ206及び感光体204に入射しない方向としている。
【0116】
レーザ装置202から出射された光はビーム拡大器203により1平面内で広角化され、光偏向装置アレイ201へ入射する。この時、光偏向装置アレイの各光偏向装置の動作状態により、出射光は205aまたは205bのいずれかの方向へ偏向され、このうち出射光205aはレンズ206へ入射し、感光体204上で結像する。感光体204は、例えば図示しない帯電器により一様に帯電されており、この上に光を入射することによりその部分に線画像情報として静電潜像を形成する。次に、図示しない現像器により静電潜像の画像部にトナー像を形成し、これを例えば図示しない用紙に転写・定着させることで、印字を行うことが可能である。
【0117】
本実施の形態の印字装置は、1体のレーザ装置から出射されたレーザ光をビーム拡大器に入射し、その出射光を光偏向装置を用いて偏向させることにより、感光体への光の入射を制御するため、簡単な構成で静電潜像を得ることができる。レーザ装置は1つでよく、さらに大きな機械動作をする部分が無いため、低価格で、低消費電力・長寿命の印字装置を提供することが可能である。
【0118】
(実施の形態8)
以下、本発明の第8の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図24は実施の形態8の光学機器である焦電型の赤外線センサの基本的な構成を示す図である。図24において211は、実施の形態1または実施の形態2または実施の形態4に示した光偏向装置である。212は赤外光である。213はレンズであり、例えばポリエンチレンからなる。214a,214bは出射光であり、光偏向装置211の動作状態に応じて214aか214bの方向に偏向される。215は焦電体である。
【0119】
赤外光212はレンズ213により集光され、光偏向装置211に入射する。光偏向装置211により出射光は偏向され、例えば出射光214aが焦電体215に入射し、その他の状態では焦電体215に出射光が入射しないような配置とすることにより、光偏向装置をチョッパとして動作させることが可能となる。
【0120】
実際には変調対象の赤外光は広い波長幅を有しているが、光偏向装置211として例えば実施の形態2に示す光偏向装置を用いた場合、反射光を出射光とすることにより、5〜14μmの広い波長帯域でも波長に関係なく高い出射効率が得られる。さらに、実施の形態2で述べたように、電圧オン時の入射量を小さくすることが可能であるため、例えばレンズに入射する赤外光強度が大きく変化するような場合でも、0レベルの変動はきわめて小さいため、赤外光の絶対的な強度を検出でき、高精度測定が可能となる。
【0121】
以上、本実施の形態8の赤外線センサは、特に実施の形態2の光偏向装置をチョッパとして用い、さらに光偏向装置の反射光が焦電体に入射し、高次回折光が入射しない配置とすることにより、実施の形態2の光偏向装置が電圧オフ時には高い出射効率を有し、電圧オン時には0次回折光が広い波長帯域でも小さい値に留まるという特性から、高感度でありながら、外乱の影響を受けにくい高精度の超小型焦電形赤外線センサを実現することが可能である。
【0122】
なお、レンズ213は、例えばシリコンからなる回折形レンズであっても良い。
【0123】
(実施の形態9)
以下、本発明の第9の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図25は実施の形態9の光学機器である光路切換装置の基本的な構成を示す図である。光路切換装置は光情報通信や光コンピューティングなどにおいて光の切り換えに用いられる。図25において221は実施の形態4に示した光偏向装置である。223a〜223eは光伝搬体であり、例えば光ファイバである。225は入射光である。226a,226b及び227a,227bは出射光であり、実施の形態4で説明したように、光偏向装置221の動作状況により±1次回折光の回折角を変化させることにより出射方向を変化させることが可能である。なお、図25には得られる出射方向のうち、一部のみを示している。
【0124】
以下、例として、出射光227a,227bは図16(b)の状態での±1次回折光を、出射光226a,226bは図16(c)の状態での±1次回折光を表すものとして説明する。
【0125】
本実施の形態では、例えば出射光226a,226bの出射方向に光伝搬体223b,223c、出射光227a,227bの出射方向に光伝搬体223d,223eを配置している。
【0126】
まず、図16(a)の状態では、入射光225は入射側へ反射され、223a以外の光伝搬体には入射しない。
【0127】
次に、図16(b)の状態では、入射光225のうち、それぞれ41%が光伝搬体223d,eに入射する。
【0128】
さらに、図16(c)の状態では、図16(b)と同様にして、それぞれ41%が光伝搬体223b,cに入射する。
【0129】
以上の動作は、回折角度の分離が可能な限り、同様にして実行が可能である。
以上、本実施の形態の光路切換装置は、実施の形態4の光偏向装置に光を入射し、光偏向装置から出射される±1次回折光の方向にそれぞれ光伝搬体を配置することにより、光の伝搬する光伝搬体を選択できるものであり、複数の送信先へ夫々光信号を伝送することが可能な超小型複数方向光路切換器を実現できる。
【0130】
なお、本実施の形態9では、光偏向装置として実施の形態4の光偏向装置を用いて説明したが、実施の形態1または実施の形態2の光偏向装置を用いても、2方向の選択が可能な光路切換装置が作製可能であることは言うまでもない。この場合、実施の形態1及び実施の形態2の光偏向装置は高い回折効率を有し、不要回折光が混入しにくい特徴があるため、光損失が少なく、高S/Nの光路切換装置を得ることが可能である。
【0131】
なお、光の結合効率を向上するために、光伝搬体と光偏向装置の間にレンズを配置しても良い。
【0132】
【発明の効果】
以上のように、第1の発明の光偏向装置は、平板に凹凸を形成し、その凸部に並列して中空に支持された梁を形成し、いずれか1方の梁を平板側に吸引したときに断面が4段の階段形状となるようにすることにより、4レベルの回折格子として作用し、81%の高い回折効率で1次回折光が出射されるため、極めて回折効率が高く、大きな光偏向を得られる光偏向装置を実現できるものである。また第2例の光偏向装置では、駆動時に断面が3段の階段形状となり、3レベルの回折格子として作用するため、作製が容易でありながら、1次回折光の回折効率は60〜70%の高い値が得られる。
【0133】
また、第2の発明の光偏向装置は、反射ミラーとしての作用とブレーズ形回折格子としての作用を切り換え可能であるため、最大90%以上の極めて高い回折効率で光の出射方向を偏向することが可能である。また、出射光として、反射光及び0次回折光を用いると、極めて変調率・コントラストの高い光路切換装置として動作する。
【0134】
また、第3の発明の光偏向装置は、1要素と見なす梁の本数を変化させ、回折格子の周期を線幅δの偶数倍とすることにより、0次以外の回折光の回折角を変化させることが可能であり、多方向への光の偏向が可能な光偏向装置を実現できるものである。
【0135】
また、第4の発明の光ピックアップ装置は、特に第1の発明の光偏向装置により収差を発生させずに光路を切り換え、レンズをその光路上に配置することで、簡単な構成で複数の仕様の光情報盤を記録・再生可能な光ピックアップ装置を提供できるものである。
【0136】
また、第5の発明の画像表示装置は、空間光変調素子として、特に第2の発明の光偏向装置を用い反射光を出射光とすることにより、光利用効率が高く、また波長幅が比較的大きくても電圧オン時の0次回折光強度を小さく抑制できるために黒レベルを出せ、コントラストが高い画像表示装置を実現することが可能である。
【0137】
また、第6の発明の印字装置は、1体のレーザ装置から出射されたレーザ光をビーム拡大器に入射し、その出射光を光偏向装置を用いて偏向させることによって、感光体への光の入射を制御するため、簡単な構成で静電潜像を得ることができる。レーザ装置は1つでよく、さらに大きな機械動作をする部分が無いため、低価格で、低消費電力・長寿命の印字装置を提供することが可能である。
【0138】
また、第7の発明の赤外線センサは、光偏向装置により焦電体に入射する光の強度を変化させることにより、光のチョッピングを行うことができる。特に、第2の発明の光偏向装置特性を用いた場合、電圧オン時の0次回折光が広い波長帯域でも小さい値に留まる上、電圧オフ時は波長に依存せずミラーとして動作することから、高感度で、且つ外乱の影響を受けにくい高精度の超小型焦電形赤外線センサを実現することが可能である。
【0139】
また、第8の発明の光路切換装置は、特に第3の発明の光偏向装置を用いた場合、光偏向装置から出射される±1次回折光の方向にそれぞれ光伝搬体を配置することにより、光の伝搬する光伝搬体を選択できるものであり、複数の送信先へ夫々光信号を伝送することが可能な超小型光路切換器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の第1の実施の形態における光偏向装置の平面図
(b)同A−A’断面図
(c)同B−B’断面図
【図2】同実施の形態の光偏向装置の電極配置例を示す図
【図3】(a)〜(f)同実施の形態の光偏向装置の製造工程図
【図4】(a),(b)同実施の形態の光偏向装置の動作原理図
【図5】同実施の形態の光偏向装置における、線幅δと1次回折光の回折角αの関係図
【図6】(a)同実施の形態の光偏向装置の第2の構造例の平面図
(b)同A−A’断面図
【図7】(a),(b)同第2の構造例の光偏向装置の動作原理図
【図8】(a)本発明の第2の実施の形態における光偏向装置の平面図
(b)同断面図
【図9】(a)〜(f)同実施の形態の光偏向装置の製造工程図
【図10】(a),(b)同実施の形態の光偏向装置の動作原理図
【図11】同実施の形態の光偏向装置の赤外領域の光に対する出射効率の変化を示す図
【図12】(a)本発明の第3の実施の形態における光偏向装置の構成図
(b)同動作原理図
【図13】(a)〜(f)同実施の形態の光偏向装置の製造工程図
【図14】(a)本発明の第4の実施の形態における光偏向装置の平面図
(b)同断面図
【図15】(a)〜(f)同実施の形態の光偏向装置の製造工程図
【図16】(a)〜(c)同実施の形態の光偏向装置の動作原理図
【図17】本発明の第5の実施の形態における光学機器である光ピックアップ装置の基本的な構成を示す図
【図18】(a)同実施の形態の光ピックアップ装置の第2の構成例を示す図
(b)同第3の構成例を示す図
【図19】本発明の第6の実施の形態における光学機器である画像表示装置の基本的な構成を示す図
【図20】(a)〜(c)同実施の形態の光学機器の光偏向装置の、3原色の光に対する溝深さと0次回折効率の関係を示す図
【図21】同実施の形態の投射型カラーディスプレイ装置の構成図
【図22】同実施の形態の投射型カラーディスプレイ装置の第2の例の構成図
【図23】本発明の第7の実施の形態における光学機器である印字装置の構成図
【図24】本発明の第8の実施の形態における光学機器である焦電形赤外線センサの構成図
【図25】本発明の第9の実施の形態における光学機器である光路切換装置の構成図
【図26】従来の技術の光偏向装置の構成を示す一部断面斜視図
【図27】(a),(b)同従来の技術の光偏向装置の動作原理図
【図28】同従来の技術の光偏向装置の赤外領域の光に対する出射効率の変化を示す図
【符号の説明】
1 平板
2 絶縁層
3a,3b 電極(第1及び第2の電極)
4 絶縁層
5 支持体
6 梁
7a,7b 反射膜(第3の電極)
7c,7d 反射膜
8 反射膜
9 凸起

Claims (38)

  1. 平板と、該平板上に形成された支持体と、該支持体に両端を支持され、周期的に配置された複数の梁と、1本おきの該梁の間に形成された凸起と、該平板と該複数の梁のいずれか一方に形成され、交互に周期的に配置された第1及び第2の電極と、他方に形成された第3の電極とからなり、
    該第1電極及び/または該第2電極と、該第3電極との間に印加する電圧を調整することにより該梁と該平板との距離を変化させ、出射する光の方向を変化させることを特徴とする光偏向装置。
  2. 凸起が梁の長手方向に細長い形状を有している請求項1記載の光偏向装置。
  3. 第1及び第2の電極が、櫛形形状を有することを特徴とする請求項1記載の光偏向装置。
  4. 第1及び第2電極と、第3電極との間に絶縁層を形成したことを特徴とする請求項1記載の光偏向装置。
  5. 梁の幅と該梁の間隔が等しく、第1及び第2の電極のいずれか一方と第3の電極の間に電圧を印加した時に、断面が4段の階段形状である4レベルの回折光学素子として機能することを特徴とする請求項1記載の光偏向装置。
  6. 出射光として、前記4段の階段形状により回折された1次回折光を用いることを特徴とする請求項5記載の光偏向装置。
  7. 第1及び第2の電極のいずれか一方と第3の電極との間に電圧を印加し、電圧を印加する電極を切り換えることにより、出射光の方向を変化させることを特徴とする請求項5記載の光偏向装置。
  8. 入射光の波長をλ、前記平板表面を含む平面の法線からの入射角をθとすると、前記4段の階段形状の深さの最適値が、(3λ)/(8cosθ)で計算される値であることを特徴とする請求項5記載の光偏向装置。
  9. 入射光の波長をλ、前記平板表面を含む平面の法線からの入射角をθとすると、前記4段の階段形状の各段差の最適値が、λ/(8cosθ)で計算される値であることを特徴とする請求項5記載の光偏向装置。
  10. 梁の凸起に隣接しない方の側面では該梁が互いに隣接して形成され、第1及び第2の電極のいずれか一方と第3の電極との間に電圧を印加した時に、断面が3段の階段形状である3レベルの回折光学素子として機能することを特徴とする請求項1記載
    の光偏向装置。
  11. 出射光として、3段の階段形状により回折された1次回折光を用いることを特徴とする請求項10記載の光偏向装置。
  12. 第1及び第2の電極のいずれか一方と第3の電極との間に電圧を印加し、電圧を印加する電極を切り換えることにより、出射する光の方向を変化させることを特徴とする請求項10記載の光偏向装置。
  13. 入射光の波長をλ、前記平板表面を含む平面の法線からの入射角をθとすると、3段の階段形状の深さの最適値が、λ/(3cosθ)で計算される値であることを特徴とする請求項10記載の光偏向装置。
  14. 入射光の波長をλ、平板表面を含む平面の法線からの入射角をθとすると、3段の階段形状の各段差の最適値が、λ/(6cosθ)で計算される値であることを特徴とする請求項10に記載の光偏向装置。
  15. 第1電極として機能する部分を有する平板と、該平板上に形成された支持体と、該支持体に両端を支持され、第2電極として機能する部分を有する複数本の梁と、該平板上面及び/または該梁下面に形成された突起とを具備し、該第1電極と該第2電極を同電位とすることで前記梁が1つの平面内にある第1の状態と、該第1電極と該第2電極との間に印加する電圧を調整することにより該梁が該平板側へ変位する際、該梁の少なくとも一部が前記突起により傾斜する第2の状態とを切り換えることで出射する光の方向を変化させることを特徴とする光偏向装置。
  16. 第2の状態では、梁が平板に平行な面内で、且つ梁の長手方向に垂直な方向に周期的構造を有することを特徴とする請求項15記載の光偏向装置。
  17. 第2の状態では、反射形のブレーズ形回折格子として作用することを特徴とする請求項15記載の光偏向装置。
  18. 梁の幅をw、前記梁の間隔をδ、突起の幅をb、光の波長を
    λ、光の入射角をθとすると、前記突起の高さの最適値が
    λ(w−b)/{2(w+δ)cosθ}で計算される値であることを特徴とする請求項15記載の光偏向装置。
  19. 第1電極と第2電極との間に絶縁層を具備した請求項15記載の光偏向装置。
  20. 平板と、該平板上に形成された複数の電極と、該平板上に形成された支持体と、該支持体に両端を支持され、電極として機能する部分を有する密に並列した複数本の梁とを具備し、
    該平板上に形成された複数の各電極と、該複数本の梁が有する電極として機能する各部分とが、前記平板の法線方向において重なり合い、
    該複数の電極に夫々適当な電圧を印加し、該複数の梁と該平板との距離を変化させることにより、該平板に平行な平面内で且つ該梁の長手方向に垂直な方向に、周期的な凹凸を形成することを特徴とする光偏向装置。
  21. 凹凸の周期を変化させることにより、光の出射方向を変化させることを特徴とする請求項20記載の光偏向装置。
  22. 光源と、該光源から出射された光を偏向する請求項1または請求項15または請求項20のいずれかに記載の光偏向装置と、該光偏向装置から出射された光を光ディスク上に集光する複数のレンズと、該光ディスクにより反射された光の一部を受光する受光素子とからなる光ピックアップ装置。
  23. 光偏向装置と複数のレンズの間に、入射した光の一部を反射し一部を透過する部分反射体を設けたことを特徴とする請求項22記載の光ピックアップ装置。
  24. 光源と光偏向装置との間に、入射した光の一部を反射し一部を透過する部分反射体を設けたことを特徴とする請求項22記載の光ピックアップ装置。
  25. 光偏向装置とレンズの間の光路上に、さらに光路折り曲げ素子を設けた請求項22記載の光ピックアップ装置。
  26. 光路折り曲げ素子は、互いに平行でない2つの平面を有している請求項25記載の光ピックアップ装置。
  27. 光路折り曲げ素子は、回折光学素子であることを特徴とする請求項25記載の光ピックアップ装置。
  28. 光源と、該光源から出射された光を偏向する請求項1または請求項15または請求項20のいずれかに記載の光偏向装置を2次元的に配置した光偏向装置アレイと、該光偏向装置アレイにより偏向された光の少なくとも一部を投影するレンズとからなる画像表示装置。
  29. 3体の光偏向装置アレイに3原色の光が夫々入射し、それぞれの出射光を合成することによりカラー画像を得ることを特徴とした請求項28記載の画像表示装置。
  30. 光偏向装置の溝深さが0.8μm以上である請求項28記載の画像表示装置。
  31. 1体の光偏向装置アレイに、光の3原色を順次照射し、これを投射することによりカラー画像を得る請求項28記載の画像表示装置。
  32. 光源と、該光源から出射された光を偏向する請求項1または請求項15または請求項20のいずれかに記載の光偏向装置を少なくとも1列以上並列に配置した光偏向装置アレイと、該光偏向装置アレイにより偏向された光の少なくとも一部が入射する感光体とからなる印字装置。
  33. 光偏向装置アレイと感光体の間の光路上に、さらにレンズを設けた請求項32記載の印字装置。
  34. さらに、該感光体を帯電せしめる帯電器と、該感光体の帯電部に付着する色素と、該色素を転写する転写装置とを備える請求項32記載の印字装置。
  35. 焦電体と、赤外光を受け、該赤外光の少なくとも一部を該焦電体に対して出射する請求項1または請求項15または請求項20のいずれかに記載の光偏向装置を備えたことを特徴とする赤外線センサ。
  36. さらに赤外光を集光するレンズを備え、該レンズにより集光された該赤外光が前記光偏向装置に入射することを特徴とする請求項35記載の赤外線センサ。
  37. さらに赤外光を集光するレンズを備え、該レンズは、前記光偏向装置から出射される該赤外光の少なくとも一部を該焦電体に集光することを特徴とする請求項35記載の赤外線センサ。
  38. 光伝搬体と、該光伝搬体内を伝搬し出射される光を偏向する請求項1または請求項15または請求項20のいずれかに記載の光偏向装置と、該光偏向装置により偏向され得る1つ以上の光路上に光伝搬体を設けたことを特徴とする光路切換装置。
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