JP3550789B2 - Icソケット - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、IC,LSI等をパッケージしたIC部品を検査するのに用いるICソケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
このような、ICソケットの中には、所謂オープン・トップ型と称して、IC部品挿入用の開口を形成した略方形のカバー部材を設け、このカバー部材を機械装置等によって押し下げることによりIC部品の挿入を可能にし、その押し下げを解除することによりIC部品の接続端子にコンタクトピンを接触させるようにしたものがある。このようなタイプのICソケットには、カバー部材の下降時に、コンタクトピンをIC部品の挿入路から退避させ、上昇時に、コンタクトピンをIC部品の接続端子に上方から接触させるようにしたものが多いが、そのようなものは接続端子がIC本体の側方に位置するIC部品には適しているが、下方(底部)に設けられているものには適さない。
【0003】
そこで、そのようなIC部品に適するものとして、IC部品を載置する位置より下方位置に、カバー部材の上下運動に連動して水平方向又は上下方向へ移動するスライド部材を設け、その部材の移動によりコンタクトピンをIC部品の接続端子に接離させるようにしたICソケットが知られている。本発明は、それらのうちスライド部材を水平方向へ移動させるタイプのICソケットに関するものであり、このようなたタイプのICソケットの一例としては特公平6−30280号公報記載のものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の公報に記載のICソケットは、カバー部材を上方位置へ復帰させる場合に、コンタクトピンの弾性復帰力のみによってスライド部材を水平方向へ摺動させ、しかもそのスライド部材によって操作レバーを回転させ、その結果、操作レバーによってカバー部材を上方位置へ押し上げるようにしている。このような作動をコンタクトピンの弾性復帰力のみで行わせるようにするには、各部品の加工上においても、また組立上においても相当の配慮が必要となり、更にそのことからコンタクトピンの弾性力を必要以上に強くした場合にはカバー部材に対する機械装置の押し下げ力を必要以上に大きくしなければならいという問題点がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、カバー部材の押し上げは別の弾性手段によって行わせるようにして上記した従来例よりもカバー部材の押し下げ力を軽減させ、且つスライド部材を介してカバー部材に対して水平方向に負荷が掛かっても機械装置等に余分な負荷を与えずにスムーズにカバー部材を押し下げることのできるICソケットを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記の目的を達成するために、本発明のICソケットは、IC部品を挿入させるための開口を有しており方形をした本体に対して上下動可能に取り付けられ上方への作動習性を付与されたカバー部材と、前記本体内において前記IC部品を載置する載置手段と、複数のコンタクトピンを作動させるために前記載置手段の下方位置に前記本体に対して水平方向へ移動可能に配置されたスライド部材と、前記本体の対向する一対の側壁部に各々その一端で回転可能に取り付けられた第1リンクと、一端を前記第1リンクの他端と相互に回転可能に第1軸に取り付け他端を前記スライド部材の側方部に第2軸を介して相互に回転可能に取り付けた第2リンクとを備え、前記第1軸を前記カバー部材の上下動によって水平方向へ移動可能にする。
【0007】
また、本発明のICソケットは、好ましくは、前記第1軸が、前記本体の対向する一対の側壁部に各々取り付けられた二つの第1リンクに対して共通のシャフトであって、前記カバー部材に水平方向に長く形成された孔に嵌合しており、また前記第2軸が、前記本体の対向する一対の側壁部に各々配置された二つの第2リンク及び前記スライド部材に対して共通のシャフトとして構成され、前記第2軸は前記二つの第2リンク間で支持され、前記スライド部材には前記第2軸が緩く嵌合する孔を形成するようにする。
【0008】
【実施例】
本実施例のICソケットは、所謂オープン・トップ型と言われているものであり、その中でも特にボール・グリッド・アレー(以下、BGAという)と称されるIC部品を検査するICソケットとして示してある。図1は本実施例の平面図であり、図2は図1のA−A線から視た断面図である。図3は図2と同様に図1のA−A線から視た断面図であるが、カバー部材を押し下げBGAを載置した状態を示している。図4は図1のB−B線から視た断面図である。図5は図4と同様に図1のB−B線から視た断面図であるが、カバー部材を押し下げた状態を示している。図6は図1の一部拡大図であって、図(a)はBGAを装填していない状態を示しており、図(b)はBGAを装填した状態を示している。
【0009】
先ず、周知ではあるが、本実施例のICソケットに装填されるBGAについて簡単に説明しておく。BGAを側面から見た状態が図3に示されているが、本実施例において対象とするBGAは、基板1の上面側にIC本体2が取り付けられ、下面側には接続端子として直径が約0.75mmの略球形をした複数の半田ボール3が配列されている。そして、この半田ボール3は1列に17個ずつ7列に配列されている。
【0010】
次に、本実施例の構成を説明する。図2に示されているように合成樹脂製のソケット本体4には横1列に17本のコンタクトピン5が圧入によって植設されている。このコンタクトピン5は圧入されている基部5aと自由端5bとの間にバネ部5cが形成され、自由端5bの先端には接点部5dが形成されている。このようなコンタクトピン5が実際にはソケット本体4に7列に植設されている。
【0011】
合成樹脂製のカバー部材6は、図1で分かるように方形をしており、図面上明らかではないが同じく方形をしたソケット本体4に対して上下動可能に取り付けられている。即ち、カバー部材6には下方に周知の形状をした4個の可撓性のフック部6aが一体成形されており、各フック部6aにはコイルバネ7が巻回されている。従って、このカバー部材6はコイルバネ7によって上方への作動習性が付与されているが、フック部6aの先端に鉤状に形成された係合部6bがソケット本体4に形成された断面U字状の溝4a内でフック部4bに係合することによって上限位置を規制されている。また、カバー部材6にはBGAを挿入可能にするために略方形の開口6cが形成されている。
【0012】
ソケット本体4には、合成樹脂製であってソケット本体4やカバー部材6よりも若干小さい方形のスライドプレート8が、図2において左右方向にのみ移動可能に載置されている。コンタクトピン5の自由端5bは、このスライドプレート8に形成された孔8aに挿入されており、接点部5dを上方へ突き出している。また、スライドプレート8には図2において水平方向に長い長孔8bが設けられており、この長孔8bは方形の短手方向(図2の表裏方向)に貫通するようにして形成されている。
【0013】
ソケット本体4には、図1に示すように長手方向に沿って両側に金属製の補強プレート9,9が取り付けられている。その取り付け方は、図4及び図5に示すように、下方部に沿って3点で行われている。このうち中央部は圧入ピン10によってソケット本体4に固定されているが、両側は夫々シャフト11,11がソケット本体4を貫通しており反対側にある補強プレート9と共にEリング12,12で抜け止めされている。
【0014】
図2及び図3で明示されているように、スライドプレート8の上方位置には方形をした合成樹脂製の固定プレート13が配置されているが、この固定プレート13は図1,図4,図5に示すように長手方向両側の補強プレート9,9に各々3個の圧入ピン14によって固定されている。図1及び図3から分かるように、固定プレート13の上部には方形をした凹部がBGAの載置部13aとして設けられており、上下に貫通し且つ縦横に配列された孔13bにはコンタクトピン5の接点部5dが嵌入している。そして、この孔13bと接点部5dとの配置形状は拡大して図6に示されている。
【0015】
固定プレート13にはシャフト15が嵌合しており、図1に示すようにその両端は、ソケット本体4に設けられた耳部4c及び補強プレート9を貫通している。そして、このシャフト15の両端には各々第1リンクバー16の一端が回転可能に取り付けられ、Eリング12によって抜け止めされている。カバー部材6には、図2及び図3に示すように水平方向に長くその一方が開放された孔6dが設けられており、その孔6dにシャフト17が嵌合している。このシャフト17の両端には、各々第1リンクバー16の他端と第2リンクバー18の一端とが回転可能に取り付けられ、Eリング12によって抜け止めされている。尚、上記の孔6dは、スライドプレート8の長孔8bのように閉鎖された本来の長孔に形成しても差し支えない。
【0016】
シャフト19が、スライドプレート8の長孔8bに嵌合している。このシャフト19の両端には、各々第2リンクバー18の他端が回転可能に取り付けられ、Eリング12によって抜け止めされている。上記の説明からも分かるように、シャフト15はソケット本体4に対して移動できないが、シャフト17,19は移動することが可能になっている。また、上記のような構成から考え各シャフト15,17,19を夫々二つの軸部品に分けて構成してもよい。例えば、シャフト15は部品点数の削減,組立工数の削減,及び強度等を考慮して1本のシャフトで構成しているが、これを二つに分け夫々補強プレート9に植設するようにしても構わない。シャフト17,19についても略同等のことが言える。
【0017】
次に、上記のように構成したICソケットについて、BGAの装填操作を説明する。図1,図2,図4は、BGAが装填されていない状態を示している。この状態から機械装置等によってコイルバネ7の弾性に抗してカバー部材6が押し下げられると、それに伴いシャフト17は下降していく。しかしながら、そのとき第1リンクバー16がシャフト15で回転するため、シャフト17は下降と同時に図2において左方向へも移動し、第2リンクバー18を介してシャフト19を左方向へ押す。そのため、スライドプレート8もシャフト19によって左方向へ移動させられる。
【0018】
左方向への移動時に、スライドプレート8は、孔8aの内壁によってコンタクトピン5の自由端5bをバネ部5cの弾性に抗して押すことになる。従って、第2リンクバー18には多数のコンタクトピン5による反発力が加わることになるが、本実施例においてはこの力が第1リンクバー16を介してシャフト15に掛かることになる。しかし、上記したようにシャフト15は金属製の補強プレート9に支持されているので、この反発力はカバー部材6に対して水平方向への力として作用せず、カバー部材6の下降に悪影響を与えない。もしも、本実施例において第1リンクバー16が無い場合には、この力はカバー部材6に対して略右方向へ作用することになるので、カバー部材6は右方向へ寄せられ、強い押し下げ力を必要とさせられる。
【0019】
このようにして、スライドプレート8が左方向へ移動していくと、コンタクトピン5の接点部5dは図6(a)において左方向へ移動し、固定プレート13の孔13bの左側の内壁面の近傍位置にまで達する。この位置までくると、カバー部材6はソケット本体4の上面に阻止され、その下降を停止する。その停止状態が図3及び図5に示されており、そのうち図3にはその状態でBGAを固定プレート13の載置部13aに載置した状態が示されている。図3からも分かるように、このときBGAの半田ボール3は固定プレート13の孔13b内に挿入されている。
【0020】
図3の状態から機械装置等によるカバー部材6に対する押し下げ力を解除していくと、カバー部材6はコイルバネ7によって上昇していく。それによってシャフト17が上方向且つ右方向へ移動するので、シャフト19は右方向へ移動する。シャフト19の移動に伴い、スライドプレート8はコンタクトピン5の弾性復帰力によってシャフト19に追従して右方向へ移動する。そして、図6(b)に示すように、コンタクトピン5の接点部5dがBGAの半田ボール3に接触して停止する。このように本実施例におけるコンタクトピン5の弾性力はスライドプレート8を移動させることができ且つ半田ボール3に対する適度の接触圧が得られるように設定されている。
【0021】
上記のようにしてスライドプレート8が停止した後もカバー部材6はシャフト17,19を伴って初期位置まで上昇しBGAの装填操作は終了するが、検査を終了してBGAをICソケットから取り出す場合には、機械装置等によって改めてカバー部材6を押し下げる。カバー部材6の押し下げ終了位置は図3の状態であり、このときBGAをICソケットから取り出すことになる。その後、押し下げ力を解除すると、カバー部材6はコイルバネ7によって復帰し、またスライドプレート8はコンタクトピン5の弾性によって復帰し、図2及び図4の初期状態となる。
【0022】
尚、上記の実施例においては、シャフト19を第2リンクバー18に取り付け、スライドプレート8には長孔8bを形成したが、逆にシャフト19をスライドプレート8に取り付け、第2リンクバー18に長孔を形成するようにしてもよい。また、そのようにした場合には、強度及び組立上に問題がなければ、1本のシャフトに代えてスライドプレート8の両側に軸部を一体成形で形成するようにしてもよい。また、接点部5dと半田ボール3との接触に悪影響を及ぼさなければ、長孔8bを円孔としても差し支えない。
【0023】
更に、設計上強度的に問題がなければ、補強プレート9を介さず固定プレート13を直接ソケット本体4に取り付けるようにしてもよく、また、BGAの位置決めがソケット本体4の一部で確実に行えれば、この固定プレート13を設ける必要はなく、例え設けた場合であっても孔13bをコンタクトピン5毎に形成する必要はない。更にまた、上記の実施例はBGA用のICソケットとして説明したが、本発明はPGAと称されているピン・グリッド・アレーのように、IC本体から接続端子が下方は突出して形成された総てのIC部品に適用できるものである。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、コンタクトピンはIC部品に対して適度の接触圧を有する範囲でスライド部材のみを移動させることのできる弾性復帰力を備えていればよいため、しかもカバー部材復帰付勢力と分散されているため、機械装置等による押し下げ力を軽減できるという特徴がある。また、第1リンクと第2リンクとの簡単なリンク構成によって、スライド部材による略水平方向の負荷がカバー部材に対して水平方向に掛からず、カバー部材の押し下げ力に悪影響を与えないという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のICソケットの実施例の平面図である。
【図2】図1のA−A線から視た断面図である。
【図3】図1のA−A線から視た断面図であって、カバー部材を押し下げBGAを載置した状態を示している。
【図4】図1の、B−B線から視た断面図である。
【図5】図1のB−B線から視た断面図であって、カバー部材を押し下げた状態を示している。
【図6】図1の一部拡大図であって、(a)はBGAを装填していない状態を示しており、(b)はBGAを装填した状態を示している。
【符号の説明】
4 ソケット本体
4a 溝
4b,6a フック部
4c 耳部
5 コンタクトピン
5a 基部
5b 自由端
5c バネ部
5d 接点部
6 カバー部材
6b 係合部
6c 開口
6d,8a,13b 孔
7 コイルバネ
8 スライドプレート
8b 長孔
9 補強プレート
10,14 圧入ピン
11,15,17,19 シャフト
12 Eリング
13 固定プレート
13a 載置部
16 第1リンクバー
18 第2リンクバー

Claims (6)

  1. IC部品を挿入させるための開口を有しており方形をした本体に対して上下動可能に取り付けられ上方への作動習性を付与されたカバー部材と、前記本体内において前記IC部品を載置する載置手段と、複数のコンタクトピンを作動させるために前記載置手段の下方位置に前記本体に対して水平方向へ移動可能に配置されたスライド部材と、前記本体の対向する一対の側壁部に各々その一端で回転可能に取り付けられた第1リンクと、一端を前記第1リンクの他端と相互に回転可能に第1軸に取り付け他端を前記スライド部材の側方部に第2軸を介して相互に回転可能に取り付けた第2リンクとを備え、前記第1軸を前記カバー部材の上下動によって水平方向へ移動可能にしたことを特徴とするICソケット。
  2. 前記スライド部材の側方部と前記第2リンクの他端との何れか一方に前記第2軸が設けられ、他方には前記第2軸が緩く嵌合する孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載のICソケット。
  3. 前記第1軸は、前記カバー部材に、その一端を閉鎖又は開放させて水平方向に長く形成された孔に嵌合していることを特徴とする請求項1又は2に記載のICソケット。
  4. 前記第1軸は、前記本体の対向する一対の側壁部に各々取り付けられた二つの第1リンクに対して共通のシャフトであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のICソケット。
  5. 前記第2軸は、前記本体の対向する一対の側壁部に各々配置された二つの第2リンク及び前記スライド部材に対して共通のシャフトであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のICソケット。
  6. 前記本体は合成樹脂で成形されており、該本体の対向する一対の側壁部には各々補強プレートが取り付けられ、前記第1リンクは該補強プレートに回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のICソケット。
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