JP4041341B2 - 電気部品用ソケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体装置(以下「ICパッケージ」という)等の電気部品を着脱自在に保持する電気部品用ソケット、特に、その電気部品の、異なる径の端子に対してコンタクトピンの接圧を略一定にできる電気部品用ソケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、この種の「電気部品用ソケット」としては、「電気部品」であるICパッケージを着脱自在に保持するICソケットがある。
【0003】
このICパッケージには、BGA(Ball Grid Array)タイプと称するものがあり、これは方形のパッケージ本体の下面に端子としての多数の半田ボールが設けられている。
【0004】
また、ICソケットには、コンタクトピンが配設され、このコンタクトピンには、一対の弾性片が形成され、これら弾性片の先端部には、ICパッケージの半田ボールの側面部に離接される接触部が形成されると共に、その弾性片が上下方向に移動する移動板にて押圧されて弾性変形されるようになっている。
【0005】
その移動板を移動させて、弾性片を弾性変形させることにより、両弾性片の両接触部の間隔を広げ、この間に半田ボールを挿入し、その後、移動板が元の位置に復帰されることにより、弾性片の接触部も元の位置に戻って行き、両接触部で半田ボールが挟持されて、電気的に接続されることとなる。この場合には、半田ボールとコンタクトピンとの接圧を所定の値として導通性を安定させる必要がある。
【0006】
この状態で、例えばバーンインテストが行われ、次いで、上記と同様に、移動板を移動させて、両弾性片の接触部を変位させて両接触部の間隔を広げて半田ボールから離間させ、ICパッケージを自動機により、ICソケットから取り出すようにしている。
【0007】
このようにすれば、移動板を移動させるだけで、無挿抜力式にICパッケージの装着、取り外しを行えるので、作業能率を著しく向上させることができることとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のものにあっては、それぞれ半田ボールの異なるボールを有する複数のICパッケージを同じICソケットに装着させようとする場合、例えば0.3mmと0.5mmのボール径をそれぞれ有するICパッケージにICソケットのコンタクトピンを接触させる場合、ボール径が例えば0.3mmのものを基準として接圧(コンタクトピンの弾性力)を設定すると、0.5mmのものにコンタクトピンを接触させた時には、接圧が高くなり過ぎ、コンタクトピンの耐久性が低下したり、半田ボールが変形したりする。また、逆に、0.5mmのものを基準として接圧を設定すると、0.3mmのものでは、接圧が充分でなくなり、安定した接圧が得られない虞があった。このため、ボール径に対応した複数種のコンタクトピン等が必要となっていた。
【0009】
そこで、この発明は、径が異なるICパッケージを装着した場合でも、同一のコンタクトピンで、端子とコンタクトピンとの接圧を略同一にできる電気部品用ソケットを提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、ソケット本体上に電気部品を収容する収容面部が設けられ、前記ソケット本体に前記電気部品の端子に離接可能なコンタクトピンが複数並んで配設され、前記ソケット本体に対して移動板が移動自在に設けられ、該移動板を移動させることにより、前記コンタクトピンの弾性片を弾性変形させて、該弾性片の先端部に設けられた接触部を変位させ、前記電気部品の端子の側面部に離接させるようにした電気部品用ソケットにおいて、前記移動板の移動範囲を調整可能として、前記弾性片の変形量を前記端子の径に応じて前記端子と前記コンタクトピンとの接圧を略同一とするように変化可能とした電気部品用ソケットとしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記移動板は、前記ソケット本体に対して上下動自在に設けられ、該移動板を上下方向に移動させることにより、前記弾性片が弾性変形されて当該弾性片の前記接触部が変位され、前記移動板の最上昇位置を変えることにより、移動範囲を調整可能としたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加え、前記ソケット本体に係止位置の異なる係止部が複数設けられ、該異なる係止部を前記移動板に係止させることにより、前記移動板の最上昇位置を変えることができるように構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、前記コンタクトピンには、一対の弾性片が設けられ、該両弾性片の上端部に形成された接触部で、前記端子が挟持されるようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の構成に加え、前記移動板は、前記ソケット本体に対して上下動自在に設けられると共に、該移動板には、前記各コンタクトピンに対してそれぞれ一つの押圧部が形成され、該押圧部にて、前記コンタクトピンの一対の弾性片を弾性変形させるように構成したことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1乃至図9には、この発明の実施の形態を示す。
【0017】
まず構成を説明すると、図中符号11は、「電気部品用ソケット」としてのICソケットで、このICソケット11は、「電気部品」であるICパッケージ12の性能試験を行うために、このICパッケージ12の「端子」である半田ボール12bと、測定器(テスター)のプリント配線板(図示省略)との電気的接続を図るものである。
【0018】
このICパッケージ12は、例えば図6等で一部表れているように、いわゆるBGA(Ball Grid Array)タイプと称されるもので、方形のパッケージ本体12aの下面に多数の略球状の半田ボール12bが突出してマトリックス状に配列されている。
【0019】
このICソケット11は、図2及び図3に示すように、大略すると、プリント配線板上に装着されるソケット本体13を有し、このソケット本体13には、各半田ボール12bに離接されるコンタクトピン15が配設されると共に、このコンタクトピン15を変位させる移動板17が上下動可能に配設され、更に、この移動板17の上側に、トッププレート19がそのソケット本体13に固定されて配設されている。また、そのトッププレート19には、第1ガイド部材20又は第2ガイド部材21が交換可能に取り付けられると共に、その移動板17を上下動させる操作部材22が配設されている。
【0020】
そのコンタクトピン15は、ばね性を有し、導電性に優れた板材がプレス加工により図6及び図7等に示すような形状に形成されている。
【0021】
詳しくは、コンタクトピン15は、上側に第1弾性片15a及び第2弾性片15bが形成され、下側に1本のソルダーテール部15cが形成されている(図1等参照)。
【0022】
それら一対の弾性片15a,15bは、下端部側の基部15fが略U字状に折曲されることにより、互いに対向するように形成されている。
【0023】
その第1弾性片15aは剛性が高く形成され、又、第2弾性片15bはその第1弾性片15aより剛性が低く形成され、その第1弾性片15a及び第2弾性片15bには、それぞれ移動板17により押圧される突片15d,15eが90度折り曲げられた状態で突設されている(図7参照)。これら突片15d,15eは、形成位置の高さが異なり、第2弾性片15bの突片15eの方が高い位置に形成されている。そして、これら突片15d,15eが移動板17の押圧部17aで押圧されることにより、各弾性片15a,15bが弾性変形されるようになっている。
【0024】
また、それら弾性片15a,15bの上端部(先端部)には、ICパッケージ12の半田ボール12bの側面部に離接する接触部15g,15hが形成され、この両接触部15g,15hで半田ボール12bが挟持されるようになっている。
【0025】
そして、このコンタクトピン15のソルダーテール部15c及び基部15fが、ソケット本体13に圧入されて、この基部15fに形成された図示省略の食込み部がソケット本体13に食い込むことにより、コンタクトピン15の上方への抜けを防止するようにしている。
【0026】
このソケット本体13から下方に突出したソルダーテール部15cは、図2及び図3に示すように、ロケートボード23を介して更に下方に突出され、図示省略のプリント配線板の各貫通孔に挿通されて半田付けされることにより接続されるようになっている。
【0027】
一方、移動板17は、図2及び図5に示すように、ソケット本体13に上下動自在に配設され、スプリング24により上方に付勢されている。そして、移動板17を上下動させるアーム26が一対配設されている。
【0028】
このアーム26は、軸27によりソケット本体13にそれぞれ回動自在に取り付けられると共に、上端部26aが操作部材22に当接されるように形成されている。これにより、操作部材22を下降させると、この操作部材22に押されてアーム26が軸27を中心に図5(a)から図5(b)に示すように回動されることにより、このアーム26の当接部26bに押圧されて移動板17が下降されるようになっている。
【0029】
この移動板17には、図6及び図7に示すように、各コンタクトピン15に対してそれぞれ一つの押圧部17aが形成され、この押圧部17aにより一対の弾性片15a,15bの各突片15d,15eが押圧されて、それら弾性片15a,15bが弾性変形されるようになっている。
【0030】
また、移動板17には、図2及び図4に示すように、第1係止段差部17b及び第2係止段差部17cが形成され、図2に示すように、その第1係止段差部17bに、ソケット本体13の第1係止部13aが係止されることにより、移動板17の最上昇位置が規制され、又、図4に示すように、第2係止段差部17cに、ソケット本体13の第2係止部13bが係止されることにより、図2より低い位置で、移動板17の最上昇位置が規制されるように構成されている。これにより、係止位置(高さ)の異なる第1,第2係止部13a,13b等を設けることにより、移動板17の移動範囲(最上昇位置)が調整可能となり、弾性片15a,15bの変形量が半田ボール12bの径に応じて変化可能に構成されている。
【0031】
また、トッププレート19は、図1に示すように、ICパッケージ12が上側に収容される収容面部19aを有し、この収容面部19aにコンタクトピン15が挿入される貫通孔19bが形成されている。
【0032】
さらに、このトッププレート19の周囲の上側に、図1及び図4に示すように、収容時のICパッケージ12を案内する第1ガイド部材20、又は、図8に示すように、第2ガイド部材21が交換可能に設けられている。その第1ガイド部材20には、図2に示すように、下方に延長された係止爪20aが形成され、この係止爪20aがソケット本体13に係止されて取り付けられるようになっている。また、その第1ガイド部材20には、図4に示すように、第2係止部13bの第2係止段差部17cへの係止を阻止する係止阻止突部20bが形成されている。
【0033】
また、第2ガイド部材21には、図8に示すように、第1ガイド部材20の係止阻止突部20bに相当するものは形成されておらず、ソケット本体13の第2係止部13bが移動板17の第2係止段差部17cに係止されて、移動板17の最上昇位置が規制されるようになっている。
【0034】
さらに、操作部材22は、図2に示すように、ICパッケージ12が挿入可能な大きさの開口22aを有し、この開口22aを介してICパッケージ12が挿入されて、トッププレート19の収容面部19a上の所定位置に収容されるようになっている。また、この操作部材22は、図3に示すように、ソケット本体13に対して上下動自在に配設され、スプリング28により上方に付勢されると共に、最上昇位置で、係止爪22bがソケット本体13の被係止部13cに係止され、操作部材22の外れが防止されるようになっている。
【0035】
さらにまた、この操作部材22には、ラッチ30を回動させる作動部22cが形成されている。
【0036】
このラッチ30は、図3に示すように、ソケット本体13に軸30aを中心に回動自在に取り付けられ、スプリング31により図3中反時計回りに付勢され、先端部に設けられた押え部30bによりICパッケージ12の周縁部を押さえるように構成されている。
【0037】
また、このラッチ30には、操作部材22の作動部22cに押圧される被押圧部30cが形成され、操作部材22が下降されると、作動部22cを被押圧部30cが摺動して、ラッチ30が図3中時計回りに回動されて、押え部30bがICパッケージ12配設位置より退避されるようになっている。
【0038】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
【0039】
図6には0.3mm径の半田ボール12bを、又、図9には0.5mm径の半田ボール12bをそれぞれ挟持する場合について示す。
【0040】
まず、0.3mm径の半田ボール12bを挟持する場合について説明する。
【0041】
この場合には、トッププレート19の上側に図2及び図4に示すように、第1ガイド部材20が取り付けられており、第1係止部13aが、第1係止段差部17bに係止されることにより、移動板17の最上昇位置が規制されている。
【0042】
この最上昇位置では、図6(a)に示すように、第1弾性片15aの突片15dは、移動板17の押圧部17aにて殆ど押圧されておらず、閉じられた状態(図中右側に変位した状態)にある。
【0043】
また、第2弾性片15bの突片15eは、移動板17の押圧部17aにて押圧されて弾性変形されることにより、閉じられた状態(図中左側に変位した状態)にある。
【0044】
この状態から、操作部材22を下降させると、図5(a)に示す状態から(b)に示す状態までアーム26が軸27を中心に回動されて、このアーム26の当接部26bで移動板17が下降される。この最下降位置では、図6(b)に示すように、移動板17の押圧部17aが下方に移動することにより、第2弾性片15bの突片15eに対する押圧力が解除されて開かれる(図中右側に変位する)。また、第1弾性片15aの突片15dは、押圧部17aにて押圧されることにより、この第1弾性片15aが弾性変形されて図中左方向に変位されることにより開かれる。
【0045】
次いで、ICパッケージ12を第1ガイド部材20にて案内してトッププレート19の収容面部19a上に収容することにより、半田ボール12bが開かれた両弾性片15a,15bの両接触部15g,15hの間に挿入される。
【0046】
その後、操作部材22を上昇させることにより、スプリング24により移動板17が上昇させられ、この移動板17の第1係止段差部17bに、ソケット本体13の第1係止部13aが係止することにより、その移動板17が最上昇位置で停止されることとなる。この際には、第1ガイド部材20の係止阻止突部20bにより、ソケット本体13の第2係止部13bの第2係止段差部17cへの係止が阻止されているため(図4参照)、移動板17の上昇が途中で停止されることなく、図1に示すように、第1係止部13aと第1係止段差部17bとの係止位置まで上昇されることとなる。
【0047】
この移動板17の上昇により、図6(c)に示すように、押圧部17aの第1弾性片15aの突片15dへの押圧が解除されて、この第1弾性片15aが弾性力により閉じる方向(図中右方向)に戻ることにより、この第1弾性片15aの接触部15gが半田ボール12bの一方の側面部に接触する。
【0048】
また、移動板17の上昇により、押圧部17aにて第2弾性片15bの突片15eが押圧されて、この第2弾性片15bが弾性力に抗して閉じて行き、この第2弾性片15bの接触部15hが半田ボール12bの他方の側面部に接触する。
【0049】
これにより、半田ボール12bが両接触部15g,15hにより挟持され、所定の接圧で接触されることとなる。
【0050】
次に、0.5mm径の半田ボール12bを挟持する場合について説明する。
【0051】
この場合には、トッププレート19の上側に図8に示すように、第1ガイド部材20の代わりに、第2ガイド部材21が取り付けられており、第2係止部13bが、第2係止段差部17cに係止されることにより、移動板17の最上昇位置が規制されている。この最上昇位置は、上述の0.3mm径の半田ボール12bを挟持する場合より低い位置にある。
【0052】
この最上昇位置では、図9(a)に示すように、第1弾性片15aの突片15dは、移動板17の押圧部17aにて、図6(a)より僅かに大きく押し込まれ、接触部15gの位置は、図6(a)に示す位置より図中左側に変位した位置にある。この状態は、0.5mm径の半田ボール12bを挟持する場合における第1弾性片15aの閉状態を示す。
【0053】
また、第2弾性片15bの突片15eは、移動板17の押圧部17aにて、図6(a)より僅かに小さく押し込まれ、接触部15hの位置は、図6(a)に示す位置より図中右側に変位した位置にある。この状態は、0.5mm径の半田ボール12bを挟持する場合における第2弾性片15bの閉状態を示す。
【0054】
この状態から、操作部材22を下降させると、図5(a)に示す状態から(b)に示す状態までアーム26が軸27を中心に回動されて、このアーム26の当接部26bで移動板17が下降される。この最下降位置では、図9(b)に示すように、押圧部17aが下方に位置することにより、第2弾性片15bの突片15eに対する押圧力が解除されて開かれる。また、第1弾性片15aの突片15dは、押圧部17aにて押圧されることにより、この固定側性片15aが弾性変形されることにより開かれる。
【0055】
この場合には、移動板17の最下降位置は図6(b)に示す位置と同じであるため、両弾性片15a,15bの両接触部15g,15hの開き量は、図6(b)と図9(b)とで略同じである。
【0056】
次いで、ICパッケージ12を第2ガイド部材21にて案内してトッププレート19の収容面部19a上に収容することにより、半田ボール12bが開かれた両弾性片15a,15bの間に挿入される。
【0057】
その後、操作部材22を上昇させることにより、スプリング24により移動板17が上昇させられ、この移動板17の第2係止段差部17cに、ソケット本体13の第2係止部13bが係止することにより、その移動板17が最上昇位置で停止されることとなる。
【0058】
この移動板17の上昇により、図9(c)に示すように、押圧部17aの第1弾性片15aの突片15dへの押圧が解除されて、この第1弾性片15aが弾性力により閉じる方向に戻ることにより、この第1弾性片15aの接触部15gが半田ボール12bの一方の側面部に接触する。
【0059】
また、移動板17の上昇により、押圧部17aにて第2弾性片15bの突片15eが押圧されて、この第2弾性片15bが弾性力に抗して閉じて行き、この第2弾性片15bの接触部15hが半田ボール12bの他方の側面部に接触する。
【0060】
これにより、半田ボール12bが両接触部15g,15hにより挟持され、所定の接圧で接触されることとなる。
【0061】
上述のように、移動板17の最下降位置は同じでも、最上昇位置を半田ボール12bの径に応じて変え、移動範囲を調整することにより、第2弾性片15bに対する押込み量を変えている。ここでは、ボール径が0.3mmの場合の第2弾性片15bの押込み量を大きくすることにより、径の異なる半田ボール12bに対する接圧を略同一とすることができる。
【0062】
そして、コンタクトピン15と半田ボール12bとの接圧については、第2弾性片15bの押込み量に従って変化する第1弾性片15aの変位により生ずる弾性力を所定の値に設定することで、ボール径の異なる半田ボール12bに対して好ましい圧力で接触するように構成されている。
【0063】
なお、上記実施の形態では、「電気部品用ソケット」としてICソケット11に、この発明を適用したが、これに限らず、他の装置にも適用できることは勿論である。また、上記実施の形態では、一対の弾性片15a,15bの両方が弾性変形させられて開閉するようになっているが、これに限らず、片方だけ弾性変形するものでも良い。さらに、一対の弾性片の片方だけ弾性変形させるものでは、移動板を横方向に移動させるようにして弾性変形させても良い。この場合には、移動板を移動させるリンク部材に対する移動板の取付け位置を変えることにより、移動板の移動範囲を変えることができる。さらにまた、上記実施の形態では、電気部品として半田ボール12bを有するICパッケージ12に対応したICソケット11に、この発明を適用しているが、これに限らず、棒状の端子を有するいわゆるPGA(Pin Grid Array)タイプのICパッケージに対応したICソケットにも適用できる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載の発明によれば、移動板の移動範囲を調整可能として、弾性片の変形量を端子の径に応じて端子とコンタクトピンとの接圧を略同一とするように変化可能としたため、端子の径が代わっても、コンタクトピンの端子に対する接圧を略一定にできる。
【0065】
請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加え、移動板は、ソケット本体に対して上下動自在に設けられ、この移動板を上下方向に移動させることにより、両弾性片が弾性変形されて当該両弾性片の接触部が変位され、最上昇位置を変えることにより、移動範囲を調整可能とすることで、端子の径が代わっても、コンタクトピンの端子に対する接圧を容易に略一定にできる。
【0066】
請求項3に記載の発明によれば、上記効果に加え、ソケット本体に複数の係止位置の異なる係止部が設けられ、この異なる係止部を移動板に係止させることにより、移動板の最上昇位置を変えることができるように構成したため、特に大きな形状変更が無く、移動板の最上昇位置を変えることができる。
【0067】
請求項5に記載の発明によれば、上記効果に加え、一つの押圧部にて、コンタクトピンの一対の弾性片を弾性変形させるように構成したため、簡単な構造で、一対の弾性片を弾性変形させることができて、端子を挟持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係るICソケットの平面図である。
【図2】同実施の形態1に係る図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】同実施の形態1に係る図1のBーB線に沿う断面図である。
【図4】同実施の形態1に係る図1のCーC線に沿う断面図である。
【図5】同実施の形態1に係るICソケットの動きを示す概略図で、(a)は操作部材が最上昇位置にある状態、(b)は操作部材が最下降位置にある状態を示す。
【図6】同実施の形態1に係るICソケットの移動板及びコンタクトピン等の、0.3mm径の半田ボールを挟持する場合の動きを示す図で、(a)はコンタクトピンの両接触部が閉じた状態を示す図、(b)はコンタクトピンの両接触部が開いた状態を示す図、(c)はコンタクトピンの両接触部で半田ボールを挟持した状態を示す図である。
【図7】同実施の形態1に係る図6のD−D線に沿う断面図である。
【図8】同実施の形態1に係るICソケットの、0.5mm径の半田ボールを挟持する場合を示す、図4に相当する部位の断面図である。
【図9】同実施の形態1に係るICソケットの移動板及びコンタクトピン等の、0.5mm径の半田ボールを挟持する場合の動きを示す図で、(a)はコンタクトピンの両接触部が閉じた状態を示す図、(b)はコンタクトピンの両接触部が開いた状態を示す図、(c)はコンタクトピンの両接触部で半田ボールを挟持した状態を示す図である。
【符号の説明】
11 ICソケット(電気部品用ソケット)
12 ICパッケージ(電気部品)
12a パッケージ本体
12b 半田ボール
13 ソケット本体
13a 第1係止部
13b 第2係止部
15 コンタクトピン
15a 第1弾性片
15b 第2弾性片
15d,15e 突片
15g,15h 接触部
17 移動板
17a 押圧部
17b 第1係止段差部
17c 第2係止段差部
19 トッププレート
19a 収容面部
19b 貫通孔
20 第1ガイド部材
20a 係止爪
20b 係止阻止突部
21 第2ガイド部材
22 操作部材
Claims (5)
- ソケット本体上に電気部品を収容する収容面部が設けられ、前記ソケット本体に前記電気部品の端子に離接可能なコンタクトピンが複数並んで配設され、前記ソケット本体に対して移動板が移動自在に設けられ、該移動板を移動させることにより、前記コンタクトピンの弾性片を弾性変形させて、該弾性片の先端部に設けられた接触部を変位させ、前記電気部品の端子の側面部に離接させるようにした電気部品用ソケットにおいて、
前記移動板の移動範囲を調整可能として、前記弾性片の変形量を前記端子の径に応じて前記端子と前記コンタクトピンとの接圧を略同一とするように変化可能としたことを特徴とする電気部品用ソケット。 - 前記移動板は、前記ソケット本体に対して上下動自在に設けられ、該移動板を上下方向に移動させることにより、前記弾性片が弾性変形されて当該弾性片の前記接触部が変位され、前記移動板の最上昇位置を変えることにより、移動範囲を調整可能としたことを特徴とする請求項1に記載の電気部品用ソケット。
- 前記ソケット本体に係止位置の異なる係止部が複数設けられ、該異なる係止部を前記移動板に係止させることにより、前記移動板の最上昇位置を変えることができるように構成したことを特徴とする請求項2に記載の電気部品用ソケット。
- 前記コンタクトピンには、一対の弾性片が設けられ、該両弾性片の上端部に形成された接触部で、前記端子が挟持されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の電気部品用ソケット。
- 前記移動板は、前記ソケット本体に対して上下動自在に設けられると共に、該移動板には、前記各コンタクトピンに対してそれぞれ一つの押圧部が形成され、該押圧部にて、前記コンタクトピンの一対の弾性片を弾性変形させるように構成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の電気部品用ソケット。
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