JP3549901B2 - エンジンの排気ガス浄化用触媒 - Google Patents

エンジンの排気ガス浄化用触媒 Download PDF

Info

Publication number
JP3549901B2
JP3549901B2 JP32418791A JP32418791A JP3549901B2 JP 3549901 B2 JP3549901 B2 JP 3549901B2 JP 32418791 A JP32418791 A JP 32418791A JP 32418791 A JP32418791 A JP 32418791A JP 3549901 B2 JP3549901 B2 JP 3549901B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
exhaust gas
rhodium
platinum
palladium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP32418791A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05154382A (ja
Inventor
浩 村上
和則 井原
昌子 八谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP32418791A priority Critical patent/JP3549901B2/ja
Publication of JPH05154382A publication Critical patent/JPH05154382A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3549901B2 publication Critical patent/JP3549901B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/20Air quality improvement or preservation, e.g. vehicle emission control or emission reduction by using catalytic converters
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ロジウムを含む触媒成分が担持されるエンジンの排気ガス浄化用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、エンジンの希薄燃焼状態における排気ガスを浄化するために、低温での活性に富みしかも三元触媒としての機能を有し、特にNOx 処理能力が優れた排気ガス浄化用触媒が望まれている。
【0003】
そこで、γ−アルミナ等の吸着性に富む物質と共にプラチナ、パラジウム及びロジウム等の触媒用貴金属を触媒担体に担持させて触媒コート層を形成するに際し、排気ガス浄化用触媒に流入する排気ガスの温度又は排気ガス浄化用触媒のの内部における排気ガスの流通状態に対応して排気ガス浄化用触媒中に含まれる上記プラチナ、パラジウム及びロジウム等の濃度分布に種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、特開昭61−46252号公報には、排気ガス浄化用モノリス触媒において、上流側の端面よりも下流側に入った部分の全断面にわたる所要厚さ部分及びこの所要厚さ部分からモノリス触媒の軸線に沿って下流側の端面に至る軸心付近部の各触媒成分担持量を他の部分よりも大とする技術が記載されている。
【0005】
また、特開昭62−57651号公報には、排気ガス浄化用モノリス触媒において、パラジウム、ロジウム及びプラチナがそれぞれ添加物と共に担持されるアルミナ層を、担体上に順次形成してなる触媒コート層とする技術が記載されている。
【0006】
さらに、上述したようなプラチナ、パラジウム及びロジウム等の触媒用貴金属を触媒担体に担持させるときに、これら各貴金属成分相互間に生ずる影響が触媒性能を損うことがなく、又、各貴金属の担持量を所定量に保ちながら上述したような排気ガス浄化作用を強化するのに有利な各貴金属成分の分布担持方式とすることについて解明が進められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭61−46252号公報に記載される排気ガス浄化用モノリス触媒では、所要部において担持量が大となされた触媒成分であるプラチナ、パラジウム及びロジウムは互に高濃度で混合する状態で担持されることになり、排気ガスによりもたらされる高温下では各貴金属が反応し合い合金化することにより触媒機能が低下するに至るという問題点があった。
【0008】
また、上記特開昭62−57651号公報に記載される排気ガス浄化用モノリス触媒では、パラジウム、ロジウム及びプラチナの各貴金属成分は各々が別々のアルミナ層に担持されるため各貴金属相互間の合金化傾向は避けられるが、層状に担持される各貴金属の排気ガスに接する順序については配慮されていないため酸化、還元両反応にわたって良い効率が得られないという問題点があった。
【0009】
上記に鑑みて、本発明は、触媒コート層に担持される各貴金属の触媒機能が経時的に低下することがなく、且つ上記各貴金属各々の特性が発現され易いエンジンの排気ガス浄化用触媒の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述したような目的を達成するため、請求項1の発明は、触媒成分であるロジウムを高濃度の状態で且つ他の貴金属と隣接することがないように上流側の端部に他の部分よりも多く担持させようとするものである。
【0011】
具体的に、請求項1の発明が講じた解決手段は、触媒担体に所定量のロジウムを含む触媒コート層が形成されてなるエンジンの排気ガス浄化用触媒であって、
上記触媒コート層は、上記触媒担体上に形成されたγ−アルミナ層と、該γ−アルミナ層上に形成された酸化セリウム層と、を備え、
上記ロジウムは、上記γ−アルミナ層には、排気ガス流れ方向の上流側の端部から下流側の端部に亘り全体に担持されている一方、上記酸化セリウム層には、上流側の端部にのみ担持されている構成とするものである。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に、上記γ−アルミナ層には、プラチナが排気ガス流れ方向の上流側の端部から下流側の端部に亘り全体に担持されており、上記酸化セリウム層には、パラジウムが排気ガス流れ方向の上流側の端部から下流側の端部に亘り全体に担持されているという構成要素を付加するものである。
【0013】
また、請求項3の発明は、ロジウムに比べて耐熱性の劣る貴金属を、高濃度の状態で他の貴金属と隣接しないようにロジウムに併せて触媒コート層に担持させるためのものであって、具体的には、請求項1の発明に、上記触媒コート層には、触媒成分であるプラチナ及びイリジウムのうちのいずれか一方が下流側部分に他の部分よりも高濃度に分布されているという構成要素を付加するものである。
【0014】
また、請求項4の発明は、ロジウムに比べて耐被毒性の劣る貴金属を、高濃度の状態で他の貴金属と隣接しないようにロジウムに併せて触媒コート層に担持させるためのものであって、具体的には、請求項1の発明に、上記触媒コート層には、触媒成分であるプラチナ及びパラジウムが排気ガス流れ方向の上流側の端部から下流側の端部に亘り全体に担持されていると共にプラチナ及びパラジウムのうちのいずれか一方が下流側部分に他の部分よりも高濃度に分布されているという構成要素を付加するものである。
【0015】
また、請求項5の発明は、パラジウム及びプラチナを、高濃度の状態で他の貴金属と隣接しないようにロジウムに併せて触媒コート層に担持させるためのものであって、具体的には、請求項1の発明に、パラジウム及びプラチナのうちの一方は上記触媒コート層における下流側部分に他の部分よりも高濃度に分布され、且つパラジウム及びプラチナのうちの他方は上記触媒コート層における上記上流側の端部と上記下流側部分との間の中間部に他の部分よりも高濃度に分布されているという構成を付加するものである。
【0016】
【作用】
請求項1及び2の発明の構成により、ロジウムは酸化セリウムを含む触媒コート層の上流側の端部に他の部分よりも高濃度に分布されているため、触媒コート層に担持される他の貴金属との間で互に反応し合い合金化する懸念の少ない状態にてロジウムを高濃度に担持させることができる。また、ロジウムの触媒コート層の上流側の端部での高濃度分布と、触媒コート層の酸化セリウムの含有と、により、理論又はリーン側の空燃比が得られるようになった状態のときでも優れた低温での活性が得られる。
【0017】
請求項3の発明の構成により、触媒成分であるプラチナ及びイリジウムのうちのいずれか一方は、触媒コート層の下流側部分に他の部分よりも高濃度に分布されているため、ロジウムよりも耐熱性の劣るこれら貴金属における触媒コート層の熱による影響は緩和される。
【0018】
請求項4の発明の構成により、触媒成分であるプラチナ及びパラジウムのうちのいずれか一方は、触媒コート層の下流側部分に他の部分よりも高濃度に分布されているため、ロジウムよりも耐被毒性の劣るこれら貴金属における排気ガス中に含まれる燐、カルシウム、亜鉛、鉛等による触媒毒作用の影響は緩和される。
【0019】
請求項5の発明の構成により、パラジウム及びプラチナのうちの一方は触媒コート層における下流側部分に他の部分よりも高濃度に分布され、且つパラジウム及びプラチナのうちの他方は上記触媒コート層における上流側の端部と下流側部分との間の中間部に他の部分よりも高濃度に分布されているため、パラジウムとプラチナとは高濃度の状態で接することがなく、又パラジウム及びプラチナはいずれもロジウムと高濃度の状態で接することがないので各貴金属相互間の合金化が抑止される。
【0020】
【実施例】
次に本発明の実施例について図面に基づき説明する。
【0021】
図1に示されるように本発明のエンジンの排気ガス浄化用触媒1は、その軸線方向に貫通する多数の細孔2が設けられるハニカム状の触媒担体にロジウムを含む触媒コート層が形成されてなるものであり、排気ガスGが流入する上流側の端部3にロジウムの濃度が他の部分よりも高いロジウム高濃度分布部4が形成されたものとなっている。
【0022】
この排気ガス浄化用触媒1は、例えばその軸線方向の長さLが2インチ(50.8mm)、直径Dが1インチ(25.4mm)とされており、上流側の端面から下流側に形成されるロジウム高濃度分布部4の上記軸線方向の長さL1 は後述するように2〜10mmの範囲に設定される。
【0023】
本実施例における排気ガス浄化用触媒は上述したような触媒担体に、以下のような工程で触媒コート層を設け、さらに上流側の端部にロジウム高濃度分布部4を形成することにより得られるものである。
【0024】
(i) 第1コート層の形成
γ−アルミナ粉末480g及びベーマイト120gを水1000mlに入れ硝酸10mlを添加して撹拌し、アルミナスラリーを得る。得られたアルミナスラリーに触媒担体(コーディエライトのハニカム体を用いる)を浸漬して引き揚げた後余分のスラリーをエアブローで除去し、250℃で2時間乾燥後600℃で2時間焼成して先ずγ−アルミナ層を形成する。
【0025】
この焼成済みの上記γ−アルミナ層に所望量のプラチナ及びロジウムが担持される濃度に調整したジニトロジアミンプラチナ及び硝酸ロジウム溶液を含浸させ、250℃で2時間乾燥後600℃で2時間焼成し第1コート層を形成する。
【0026】
(ii) 第2コート層の形成
酸化セリウム粉末にジニトロジアミンパラジウム水溶液を加えて混合した後、乾燥・焼成工程を経てボールミルで粉砕して酸化セリウムの表面にパラジウムが固定されてなる粉末を得る。得られた上記パラジウム固定酸化セリウム粉末540g及びベーマイト60gを水1000mlに入れ硝酸10mlを添加して撹拌し、パラジウム含有スラリーを得る。得られたパラジウム含有スラリーに上記第1コート層が形成された触媒担体を浸漬して引き揚げた後余分のスラリーをエアブローで除去し、200℃で2時間乾燥後600℃で2時間焼成し第2コート層を形成する。
【0027】
(iii) ロジウム高濃度分布部の形成
エンジンの排気ガス浄化用触媒に含まれる所定量のロジウムを上流側の端部に他の部分よりも高濃度に分布させるように配分して、第1コート層形成工程の硝酸ロジウムの濃度との関連で設定される下記所定量の硝酸ロジウム溶液を上記上流側の端部に含浸させる。しかる後250℃で2時間乾燥後650℃で2時間焼成して本発明のエンジンの排気ガス浄化用触媒1を得る。
【0028】
排気ガス浄化用触媒は、上流側の端面から排気ガスが流入し、排気ガスが下流側に向って流れる間にスポット的に熱が蓄積される部分が生じ、さらに酸化反応を伴って触媒温度が上昇し触媒機能が活発化される。このような蓄熱スポット部分は上流側の端面から少し下流側に出現し易い。そのため、本発明では耐熱性に富むロジウムを上流側の端面を含む上流側の端部に高濃度に分布させ、且つこのロジウム高濃度分布部4の形成範囲を上記上流側の端面から下流に向って10mm程度の範囲とすることにより上記蓄熱スポット部分の広域化を図っている。
【0029】
尚、上述したような工程の(i)における第1コート層及び(ii)における第2コート層が触媒担体に形成された段階までのものは、従来の各貴金属成分が異なるコート層に含有された排気ガス浄化用触媒に相当するものであり、このような段階のものに関してそれぞれ均一に分布されるプラチナとロジウムとの濃度が5:1の比で且つ両者の和が1.6g/1000ml(触媒担体1000ml中のg数で,以下同様とする。)とされさらにこの両者にパラジウムが1.0g/1000ml付加されているものを以後従来例という。
【0030】
上記実施例に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒1の上流側の端部3におけるロジウム高濃度分布部4のロジウム分布濃度が、他の部分よりもどれ程の濃度差を有する高濃度とされることが好ましいかについて説明する。
【0031】
排気ガス浄化用触媒1を実車模擬テスト装置に装着し、排気ガスを空間速度SV60000h-1で流すと共に上記上流側の端部3に形成されるロジウム高濃度分布部4におけるロジウムの分布濃度を変化させて、上流側の端部ロジウム分布濃度の他部に対する濃度差と排気ガス中のNOx又はHCが50%浄化されるときの温度(いわゆるT50温度であって、以下T50温度と称する。)との関係を調べた。NOxについての上記関係を図2に、HCについての上記関係を図3にそれぞれ示す。
【0032】
図2及び図3に示されるのは、上述したように触媒コート層の平均貴金属担持量がプラチナとロジウムとの比が5:1の比で両者の和が1.6g/1000mlとされさらにこの両者にパラジウムが1.0g/1000ml付加されており、ロジウム高濃度分布部4及び他の部分を合算したロジウムの総担持量が0.27g/1000mlのものについてである。
【0033】
図2に示される結果によれば、排気ガス中のNOxに対するT50温度として望ましいとされる250℃程度のNOx浄化機能を有するためには、ロジウム高濃度分布部4におけるロジウム分布濃度の他部に対する濃度差が0.05g/1000ml以上の濃度とされるべきであることがわかる。
【0034】
又、図3に示される結果によれば、排気ガス中のHCに対するT50温度として望ましいとされる330℃程度のHC浄化機能を有するためには、ロジウム高濃度分布部4におけるロジウム分布濃度の他の部分に対する濃度差がNOxに対するときと同様に0.05g/1000ml以上の濃度とされるべきであることがわかる。
【0035】
NOx及びHCに対する浄化機能を向上させるためのロジウム高濃度分布部4における他の部分に対する濃度差0.05g/1000mlを保つためには、ロジウム総担持量が0.27g/1000mlに固定される条件下では上記他の部分におけるプラチナ及びロジウム分布濃度をプラチナとロジウムとの濃度(g/1000ml)比が7:1となるように調整することにより得られることは明らかである。
【0036】
ロジウム高濃度分布部4における他の部分に対する濃度差を0.05g/1000mlより大とすることはHCに対するT50温度においては若干の追加利得が期待できるが、上記他の部分に対する濃度差を必要以上に大とすることは上記他の部分におけるロジウム分布濃度を過度に低下させることになり好ましくない。
【0037】
特に、上記他の部分に対する濃度差が0.27g/1000ml程度に達することは上記他の部分においてロジウムが分布しないことを意味し、触媒の上流側の端部を除くそれより下流部分の触媒コート層中にロジウムが含まれないときは、例えば継続使用して廃車に至るような長期間に触媒機能が大幅に低下することが懸念されることからも、ロジウム高濃度分布部4におけるロジウム分布濃度の他の部分に対する濃度差は0.1g/1000ml以下で好ましくは0.05g/1000ml程度である。
【0038】
上述したように、ロジウム高濃度分布部4のロジウム分布濃度が他の部分よりも0.05g/1000ml高い排気ガス浄化触媒1について排気ガス中のNOxとHCとの浄化率を測定した。測定は本実施例の排気ガス浄化用触媒1を実車模擬テスト装置に装着し、理論空燃比のときに発生するものと同様の組成の排気ガスを空間速度SV60000h-1で流すと共に上記流入排気ガスの温度を200〜500℃の範囲で変化させることにより行い、各温度におけるNOxの浄化率を図4に、HCの浄化率を図5に示した。
【0039】
図4に示される結果によれば本発明の実施例は従来例のものに比べてNOxの浄化率が向上している。すなわち、従来例の触媒では100%のNOx浄化は400℃以上の温度でなければ得られなかったのに対し、本発明の排気ガス浄化触媒1では350℃の温度においてNOxの浄化率100%が得られる。さらに、触媒機能の立上りは低温側にシフトしている。
【0040】
図5に示される結果によれば本発明の実施例は従来例のものに比べてHCに対する触媒機能の立上りが低温側にシフトしている。
【0041】
図4及び図5に示されるNOx及びHCの浄化率に示される本実施例の排気ガス浄化用触媒1は従来例のものに比べて低温での活性が優れており、このような特性は自動車の走行にしたがって理論又はリーン側の空燃比が得られるようになった状態のときはもとより、コールドスタート時のように空燃比がリッチ側のときにも変ることはなく上記の優れた低温活性が得られる。
【0042】
次に、エンジンの排気ガス浄化用触媒1の上流側の端部3にロジウム高濃度分布部4を設ける本発明の実施例を前提として展開される種々の具体例につき説明する。
【0043】
−具体例1−
この具体例1のものは、上記実施例、すなわち上流側の端部3にロジウム高濃度分布部4が設けられた触媒コート層が形成されてなるエンジンの排気ガス浄化用触媒1において、図6の(a)又は(b)に示されるようにその下流側部分6にロジウム以外の他貴金属高濃度分布部5を設けた排気ガス浄化用触媒1a及び1bとなっている。
【0044】
この排気ガス浄化用触媒1a,1bは次のような工程により得られた。
【0045】
第1コート層、第2コート層及びロジウム高濃度部分布部4よりなる触媒コート層を上記実施例と同様の工程で形成した。この触媒コート層の下流側部分6にプラチナを高濃度に分布させた排気ガス浄化用触媒1aを得るときには所定量のジニトロジアミンプラチナ溶液を、又、下流側部分6にパラジウムを高濃度に分布させた排気ガス浄化用触媒1bを得るときには所定量のジニトロジアミンパラジウム溶液を含浸させた。さらに、下流側部分6にプラチナとパラジウムとを高濃度に複合分布させるときには所定量のジニトロジアミンプラチナ溶液とジニトロジアミンパラジウム溶液とを含浸させた。しかる後含浸体各々をそれぞれ250℃で2時間乾燥後650℃で2時間焼成して排気ガス浄化用触媒1a又は1bを得た。
【0046】
この具体例1においては、他の部分に対する上流側の端部3のロジウム高濃度分布部4の濃度差は0.1g/1000ml、同じく下流側部分6の他貴金属高濃度分布部5の濃度差はプラチナのとき及びパラジウムのときは共に0.5g/1000mlであり、ロジウム高濃度分布部4及び他貴金属高濃度分布部5の軸線方向の分布範囲長さは各々2〜3mm程度とした。
【0047】
具体例1で得られた排気ガス浄化用触媒1a,1b及びプラチナとパラジウムとが重量比で1:1になるように複合分布された排気ガス浄化用触媒のHCに対する浄化率と下流側部分における他貴金属分布濃度の他の部分に対する濃度差との関係につき測定し図7に示した。尚、測定に際して各触媒を該触媒体積の0.2vol %の鉛を含む1000℃の雰囲気中で50時間エージングしたものを用いた。
【0048】
図7のグラフに示される結果によれば、上流側の端部3にロジウム高濃度分布部4を有する排気ガス浄化用触媒における下流側部分6に設けられるロジウム以外の他貴金属高濃度分布部5は、プラチナとパラジウムとが高濃度に複合分布されるもの、プラチナが高濃度に分布されるもの、次いでパラジウムが高濃度に分布されるものの順にHCの浄化率が優れ、図7に併せ示される従来例の浄化率(図7のグラフ中に黒丸で示される)よりも大幅に改善された。
【0049】
特に、高濃度に分布される他貴金属がプラチナ及び/又はパラジウムであるときには、下流側部分6における他貴金属高濃度分布部5の濃度の他部に対する濃度差が0.1g/1000ml程度のときから、上流側の端部3にロジウム高濃度分布部4を有するのみの上記実施例(図7のグラフ中に二重丸で示される)よりもHC浄化率が向上した。
【0050】
また、下流側部分6における他貴金属高濃度分布部5の他貴金属濃度の他の部分に対する濃度差は、いずれも0.5g/1000ml以上とされるときにHCの浄化率が顕著に改善されていることがわかる。このような浄化率の改善はNOxに対しても同様の傾向がみられる。
【0051】
以上の結果からプラチナ及びパラジウムに見られる低耐被毒性並びにプラチナに見られる低耐熱性の各影響を少くする点で本具体例1は有効な手段といえる。
【0052】
−具体例2−
この具体例2のものは、図6(c)に示されるように上流側の端部3にロジウム高濃度部分布部4が設けられる構成を、触媒担体がその軸線方向に2分されて得られる第1段目のベッド11及び第2段目のベッド12各々について施した排気ガス浄化用触媒1cとするものである。
【0053】
一般に排気ガス浄化用触媒においいては、その内部を上流側から下流側に排気ガスが流通するに際し上流側の端部から下流側部分へ層流で流通するときよりも、流通効率上許容される範囲内で脈流を伴う流通の方が同一触媒において排気ガスの浄化率が良くなることが報告されているが、この具体例2はその知見に基づいて排気ガス浄化用触媒中において上流から下流へ流れる排気ガスに脈流挙動を誘発させることにより排気ガスの浄化率を改善することを可能としたものである。 この排気ガス浄化用触媒1cは次のような工程により得られた。
【0054】
上記実施例に用いたと同じ触媒担体をその軸線方向に2分して第1段目のベッド11及び第2段目のベッド12とし、これら各ベッド11及び12について第1コート層、第2コート層及びロジウム高濃度分布部4よりなる触媒コート層を上記実施例と同様の工程で形成し、上記各ベッド11及び12を軸線共通に且つ第1段目のベッド11の下流側の端面と第2段目のベッド12の上流側の端面とが当接する構成とされている。
【0055】
この具体例2のものは、第1段目のベッド11及び第2段目のベッド12各々の上流側の端部3に形成されるロジウム高濃度分布部4の軸線方向の分布範囲長さは各々1〜2mmで、且つロジウム高濃度分布部4の他の部分に対する濃度差は各々0.05g/1000mlとした。尚、ベッド11及びベッド12から構成される触媒コート層中の各貴金属の総量は、プラチナとロジウムとの比が5:1で両者の和が1.6g/1000mlとされ、この両者にパラジウム1.0g/1000mlが添加される量であることは勿論である。
【0056】
具体例2で得られた排気ガス浄化用触媒1cのNOxに対するT50温度及びHCに対するT50温度をそれぞれ測定し、図8(a)及び(b)に示した。尚、測定に際して触媒を大気中で1000℃で50時間エージングしたものを用いた。
【0057】
図8の棒グラフに示される結果によれば、上流側の端部3にロジウム高濃度分布部4が形成されるベッドが2段直列される本具体例2の排気ガス浄化用触媒1cは、一段単体構造とされた実施例の排気ガス浄化用触媒1に比べてNOx、HC共にT50温度が低く、排気ガス浄化用の触媒機能が優れていることが明らかである。
【0058】
また、各貴金属が異層に分布する従来例のものに比べれば排気ガス浄化用の触媒機能が大幅に改善されている。
【0059】
−具体例3−
この具体例3のものは、図6(d)に示されるように、触媒担体がその軸線方向に3分されて得られる第1段目のベッド11、第2段目のベッド12及び第3段目のベッド13各々について、それぞれ形成される触媒コート層の各上流側の端部において、第1段目のベッド11はロジウムの分布を高濃度とし、第2段目のベッド12はパラジウム及びプラチナのうちの一方の分布を高濃度とし、第3段目のベッド13はパラジウム及びプラチナのうちの他方の分布を高濃度とし、これらの各ベッド11,12及び13を軸線共通に且つ第1段目のベッド11の下流側の端面と第2段目のベッド12の上流側の端面とが、又第2段目のベッド12の下流側の端面と第3段目のベッド13の上流側の端面とがそれぞれ当接する構成とされている。
【0060】
したがって、この具体例3のものは全体として、触媒コート層の上流側の端部3にロジウム高濃度分布部4が形成されると共に、パラジウム及びプラチナのうちの一方が触媒コート層の下流側部分6に高濃度に分布されて他貴金属高濃度分布部5が形成され、且つパラジウム及びプラチナのうちの他方が触媒コート層の上記上流側の端部3と上記下流側部分6との間の中間部7に高濃度に分布されて他貴金属高濃度分布部5′が形成された排気ガス浄化用触媒1dとなっている。
【0061】
この排気ガス浄化用触媒1dは次のような工程により得られた。
【0062】
上記実施例に用いたと同じ触媒担体をその軸線方向に3分して第1段目のベッド11、第2段目のベッド12及び第3段目のベッド13とし、これら各ベッド11,12及び13について第1コート層及び第2コート層よりなる触媒コート層を上記実施例と同様の工程で形成した。
【0063】
触媒コート層が形成されたベッド各々について、ベッドごとの各上流側の端部に、ロジウムを高濃度に分布させるための硝酸ロジウム溶液、パラジウムを高濃度に分布させるためのジニトロジアミンパラジウム溶液、プラチナを高濃度に分布させるためのジニトロジアミンプラチナ溶液をそれぞれ含浸させた後、250℃で2時間乾燥後650℃で2時間焼成した。しかる後、各触媒コート層及びロジウム高濃度分布部4又は他貴金属高濃度分布部5,5′が形成された第1段目のベッド11、第2段目のベッド12及び第3段目のベッド13を上述したように直列当接させることにより得た。
【0064】
各ベッドの上流側の端部にそれぞれ形成されるロジウム、パラジウム又はプラチナの各高濃度分布部4,5′,5の軸線方向の分布範囲長さは各々2〜3mmとなるように上記各溶液を調整した。尚、ベッド11、ベッド12及びベッド13から構成される触媒コート層中の各貴金属の総量は具体例2と同様にした。
【0065】
具体例3で得られた排気ガス浄化用触媒1dにおける第2段目のベッド12の他貴金属高濃度分布部5′をパラジウムとし、第3段目のベッド13の他貴金属高濃度分布部5をプラチナとし、第1段目のベッド11のロジウム高濃度分布部4と共に各ベッドの貴金属が高濃度に分布される濃度の他の部分に対する濃度差を変化させ、各濃度差のときにおけるHCの浄化率並びにNOx及びHCに対するT50温度を測定した。
【0066】
この測定は、3段のベッドのうちのいずれかのベッドの上流側の端部の貴金属分布濃度の他の部分に対する濃度差を変化させるときには、他の2段のベッドの各上流側の端部の各貴金属分布濃度は各々固定することにより濃度差の変化と触媒機能との関係を測定したもので、上記濃度差の変化する貴金属がロジウムのときが図9(a),(b)に、パラジウムのときが図10(a),(b)に、プラチナのときが図11(a),(b)にそれぞれ示されている。
【0067】
図9(a),(b)に示される結果によれば、ロジウム高濃度分布部4における分布濃度の他の部分に対する濃度差が0.01g/1000mlから0.1g/1000mlまでの範囲でHCの浄化率は向上し、NOx及びHCに対するT50温度は低下する傾向が明らかであった。上記濃度差が0.1g/1000mlを上まわり0.2g/1000mlまでの間ではHCの浄化率の向上並びにNOx及びHCに対するT50温度の低下は上記0.01〜0.1g/1000mlの範囲に比べていずれもその度合いは少なかった。
【0068】
図10(a),(b)に示される結果によれば、パラジウム高濃度分布部5′における分布濃度の他の部分に対する濃度差が0.1g/1000mlから1.0g/1000mlまでの範囲でHCの浄化率は向上し、NOx及びHCに対するT50温度は低下する傾向が明らかであった。上記濃度差が0.5g/1000mlを上まわり1.0g/1000mlまでの間ではHCの浄化率の向上並びにNOx及びHCに対するT50温度の低下は上記0.1〜0.5g/1000mlの範囲に比べていずれもその度合いは少なかった。
【0069】
図11(a),(b)に示される結果によれば、プラチナ高濃度分布部5における分布濃度の他の部分に対する濃度差が0.1g/1000mlから1.0g/1000mlまでの範囲でHCの浄化率は向上し、NOx及びHCに対するT50温度は低下する傾向が明らかであった。上記濃度差が0.5g/1000mlを上まわり1.0g/1000mlまでの間ではHCの浄化率の向上並びにNOx及びHCに対するT50温度の低下は上記0.1〜0.5g/1000mlの範囲に比べていずれもその度合いは少なかった。
【0070】
図9〜11に示される各結果を通覧すれば、上述したような実施例に基づく上記具体例各々において、触媒コート層に含まれる各貴金属の総量が例えばプラチナとロジウムとの比が5:1で両者の和が1.6g/1000mlで且つこの両者にパラジウムが1.0g/1000ml付加された条件下では、
a.ロジウム高濃度分布部4の他の部分に対するロジウム濃度差を0.2g/1000ml程度の大きな値とすること、
b.パラジウム高濃度分布部5′の他の部分に対するパラジウム濃度差を1.0g/1000mlに近い大きな値とすること、
c.プラチナ高濃度分布部5の他の部分に対するプラチナ濃度差を1.0g/1000ml程度の大きな値とすること、
はいずれも各々の他の部分におけるロジウム分布濃度、パラジウム分布濃度及びプラチナ分布濃度を0に近づけ或いは極端に低下させることになる。
【0071】
排気ガス浄化用触媒の触媒コート層における上記状態は、上述したように自動車の長期使用期間中に触媒機能の大幅な低下を惹起する懸念があることと各濃度差を大にして得られる利得の少ないこととにより、各貴金属の高濃度分布部における各他の部分に対する濃度差は、ロジウムについては0.1g/1000ml程度、パラジウムについては0.5g/1000ml程度、プラチナについては0.5g/1000ml程度となるような総合的な各貴金属の濃度分布とすることが好ましいことがわかる。
【0072】
また、具体例3で得られた排気ガス浄化用触媒1dにおけるロジウム高濃度分布部4を有する第1段目のベッド11とパラジウム高濃度分布部5′を有する第2段目のベッド12とプラチナ高濃度分布部5を有する第3段目のベッド13との軸心方向の配列順序を種々交換させて各配列順序ごとのHC浄化率並びにNOx及びHCに対するT50温度を測定し図12〜14に示した。尚、この測定時の各貴金属高濃度分布部における他の部分に対する各濃度差は、ロジウムが0.1g/1000ml、パラジウム及びプラチナが各0.5g/1000mlにて測定し、これらの高濃度分布部各々を有する各ベッドが上流側から下流側に向うI、II及びIII の位置に互換配置したものである。
【0073】
図12の棒グラフに示される結果によれば、排気ガスに最初に接する上流側の端部にロジウム高濃度分布部を有する配列順序とされた排気ガス浄化用触媒がいずれも優れたHC浄化率を示した。
【0074】
図13及び図14の棒グラフに示される結果によれば、排気ガスに最初に接する上流側の端部にロジウムを有する配列順序とされた排気ガス浄化用触媒はいずれもNOx及びHCに対するT50温度が他の配列順序のもの及び従来例のものよりも低い。
【0075】
また、図12〜14に示される各結果を通覧すれば、この具体例3における排気ガス浄化用触媒1dは、その触媒コート層の最初に排気ガスに接する上流側の端部3にロジウムが高濃度に分布され、触媒コート層に関して下流となる下流側部分6にパラジウム及びプラチナのうちの一方が、さらに中間部7にパラジウム及びプラチナのうちの他方がそれぞれ高濃度に分布されることにより排気ガス浄化用触媒として優れた触媒機能を発現することがわかる。
【0076】
また、この具体例3の排気ガス浄化用触媒1dにおけるロジウム高濃度分布部3、パラジウム高濃度分布部5′及びプラチナ高濃度分布部5の好ましい配列順序にしたがえば、上記具体例1と同様にプラチナ及びパラジウムに認められる低耐被毒性並びにプラチナに認められる低耐熱性に起因する好ましくない各影響を抑止することが可能となった。
【0077】
尚、上記各測定において、排気ガスの浄化率の測定に際しては触媒を該触媒体積の0.2vol %の鉛を含む1000℃の雰囲気中で50時間エージングしたものを用い、T50温度の測定に際しては触媒を大気中で1000℃で50時間エージングしたものを用いた。
【0078】
−具体例4−
この具体例4のものは、排気ガス浄化用触媒成分としての機能が認められ、特にNOxの浄化率が良いイリジウムを併せ用いた排気ガス浄化用触媒となっている。
【0079】
図6(e)に示されるように具体例4の排気ガス浄化用触媒1eは、触媒コート層の上流側の端部3にロジウム高濃度分布部4を形成し、且つ下流側部分6に他貴金属高濃度分布部5″を形成するに際して該他貴金属をイリジウムとしたものである。
【0080】
この排気ガス浄化用触媒1eは次のような工程により得られた。
【0081】
第1コート層、第2コート層及びロジウム高濃度分布部4よりなる触媒コート層を上記実施例と同様の工程で形成した。この触媒コート層の下流側部分6にイリジウムを高濃度で担持させるための所定量の塩化イリジウム溶液を含浸させた。しかる後250℃で2時間乾燥後650℃で2時間焼成して排気ガス浄化用触媒1eを得た。
【0082】
具体例4で得られた排気ガス浄化用触媒1eにおける下流側部分6におけるイリジウム高濃度分布部5″のイリジウムの分布濃度とNOxに対するT50温度との関係を測定し図15に示した。尚、測定に際しては触媒を大気中で1000℃で50時間エージングしたものを用いた。
【0083】
図15のグラフに示される結果によれば、下流側部分にイリジウムが分布しイリジウム高濃度分布部5″が形成されてその分布濃度が0.1g/1000mlに達するまでの範囲でNOxに対するT50温度は低下する傾向が明らかであった。上記分布濃度が0.1g/1000mlを上まわり0.2g/1000mlまでの間ではNOxに対するT50温度の低下は上記0.1g/1000mlに達するまでの範囲に比べてその度合いは少なかった。
【0084】
したがって、このような触媒コート層が形成されてなる排気ガス浄化用触媒1eの下流側部分6におけるイリジウム高濃度分布部5″の分布濃度又は触媒コート層中にもイリジウムが分布されるときのイリジウム高濃度分布部5″の他の部分に対する濃度差は0.1g/1000ml程度とされることが好ましいことがわかる。
【0085】
−具体例5−
この具体例5のものは、図6(f)に示されるように上記具体例3における第1段目のベッド11、第2段目のベッド12及び第3段目のベッド13が直列に当接し合う触媒コート層が形成されてなる排気ガス浄化用触媒1d(図6(d)参照)において、上流側の端部3のロジウム高濃度分布部4、下流側部分6のプラチナ高濃度分布部5及び中間部7のパラジウム高濃度分布5′各々に例えばセリウム、ランタン、ジルコニウム又はバリウム等の熱安定剤8を添加し、各貴金属高濃度分布部4,5及び5′の耐熱性向上を図った排気ガス浄化用触媒1fとなっている。
【0086】
この排気ガス浄化用触媒1fは次のような工程により得られた。
【0087】
上記具体例3と同様の工程でベッド11、ベッド12及びベッド13各々に第1コート層及び第2コート層よりなる触媒コート層を先ず形成した。
【0088】
次いで、触媒コート層が形成された上記ベッド各々について、ベッドごとの各上流側の端部に貴金属成分含有溶液と熱安定剤含有溶液との混合溶液の所定量を含浸させた。しかる後250℃で2時間乾燥後650℃で2時間焼成することにより得た。
【0089】
上記工程において熱安定剤が添加されたロジウムを高濃度に分布担持させるには硝酸ロジウム溶液と例えば硝酸バリウム、硝酸ジルコニア及び硝酸ランタンのうちの少くとも一種の溶液との混合液の所定量を含浸させ、熱安定剤が添加されたパラジウムを高濃度に分布担持させるにはジニトロジアミンパラジウム溶液と例えば硝酸バリウム、硝酸ジルコニア及び硝酸ランタンのうちの少くとも一種の溶液との混合液の所定量を含浸させ、熱安定剤が添加されたプラチナを高濃度に分布させるにはジニトロジアミンプラチナ溶液と例えば硝酸バリウム、硝酸ジルコニア及び硝酸ランタンのうちの少くとも一種の溶液との混合液の所定量を含浸させるとよい。
【0090】
ロジウム高濃度分布部4を有するベッド11、パラジウム高濃度分布部5′を有するベッド12及びプラチナ高濃度分布部5を有するベッド13よりなる触媒コート層における上記各貴金属の総量は具体例2と同様とすることにより、各貴金属高濃度分布部における高濃度に分布する濃度の他の部分に対する濃度差各々は、ロジウムで0.1g/1000ml、パラジウムで0.5g/1000ml、プラチナで0.5g/1000mlとし、各貴金属の高濃度分布部の軸線方向の分布範囲長さは各々2〜3mm程度とした。
【0091】
具体例5で得られた排気ガス浄化用触媒1fにおいて、触媒コート層の上流側の端部3に熱安定剤が添加されたロジウム高濃度分布部4が形成され、下流側部分6に熱安定剤が添加されたプラチナ高濃度分布部5が形成され、その中間部7に熱安定剤が添加されたパラジウム高濃度分布部が形成された状態で、上記ロジウム、パラジウム及びプラチナの高濃度分布部各々について、熱安定剤の添加量及び成分をランタン、ジルコニウム又はバリウムの三者間で変化させ、それらの変化が排気ガス浄化に及ぼす影響について測定した。尚、測定に際しては触媒を大気中で1000℃で5時間エージングしたものを用いた。
【0092】
この測定は熱安定剤の触媒コート層における第1コート層及び第2コート層の合計重量に対する重量%で示される添加量とHCに対するT50温度との関係を熱安定剤の成分別に測定したもので、図16にロジウム高濃度分布部4に添加するとき、図17にパラジウム高濃度分布部5′に添加するとき、図18にプラチナ高濃度分布部5に添加するときをそれぞれ示す。
【0093】
図16〜18のグラフに示される結果によれば、ロジウム高濃度分布部4に対してはジルコニアを、パラジウム高濃度分布部5′に対してはランタンを、プラチナ高濃度分布部5に対してはバリウムをそれぞれ熱安定剤として添加するときが耐熱性の向上と共に触媒機能が最も改善されていることがわかる。
【0094】
また、触媒機能を改善するための熱安定剤の添加量は、ロジウム高濃度分布部4、パラジウム高濃度分布部5′及びプラチナ高濃度分布部5各々に対する上記各熱安定剤成分の添加を通じて、いずれのときも1wt%の添加から5wt%の添加までの範囲でHCに対するT50温度は低下する傾向が明らかであった。
【0095】
上記各添加量が5wt%を上まわり10wt%までの間ではHCに対するT50温度の低下は上記5wt%に達するまでの範囲に比べてその度合は少くなっており、バリウム、ランタン及びジルコニウム等に代表される熱安定剤の添加量は上記第1コート層及び第2コート層の合計重量の10wt%以下、好ましくは5wt%程度であることがわかる。
【0096】
以上の具体例1〜5を通じて排気ガス浄化用触媒のHC又はNOxの浄化率及びHC又はNOxに対するT50温度の測定においては、対象となる個々の排気ガス浄化用触媒に上述したようなエージング処理を行った後実車模擬テスト装置に装着し、空燃比が14.7±0.9のときに相当する排気ガスを空間速度SV60000h-1で流すことにより行った。各浄化率測定時の上記排気ガス温度は400℃とした。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1及び2の各発明に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒によると、ロジウムは酸化セリウムを含む触媒コート層の上流側の端部に他の部分よりも高濃度に分布されているため、触媒コート層に担持される他の貴金属との間で互に反応し合い合金化する懸念の少ない状態にてロジウムを高濃度に担持させることができる。また、ロジウムの触媒コート層の上流側の端部での高濃度分布と、触媒コート層の酸化セリウムの含有と、により、理論又はリーン側の空燃比が得られるようになった状態のときでも優れた低温での活性が得られ、NOxの浄化率を向上させて三元触媒としての機能を改善することができる。
【0098】
また、請求項3の発明によると、触媒成分であるプラチナ及びイリジウムのうちのいずれか一方は、触媒コート層の下流側部分に他の部分よりも高濃度に分布されているため、ロジウムよりも耐熱性の劣るこれら貴金属における触媒コート層の熱による影響は緩和されるので、排気ガス浄化用触媒の耐熱性を向上させることができる。
【0099】
また、請求項4の発明によると、触媒成分であるプラチナ及びパラジウムのうちのいずれか一方は、触媒コート層の下流側部分に他の部分よりも高濃度に分布されているため、ロジウムよりも耐被毒性の劣るこれら貴金属における排気ガス中に含まれる燐、カルシウム、亜鉛、鉛等による触媒毒作用の影響は緩和されるので、排気ガス浄化用触媒の耐被毒性を向上させることができる。
【0100】
また、請求項5の発明によると、パラジウム及びプラチナのうちの一方は、触媒コート層における下流側部分に他の部分よりも高濃度に分布され且つパラジウム及びプラチナのうちの他方は上記触媒コート層における上流側の端部と下流側部分との間の中間部に他の部分よりも高濃度に分布されているため、パラジウムとプラチナとは高濃度の状態で接することがなく、またパラジウム及びプラチナはいずれもロジウムと高濃度の状態で接することがなく各貴金属担体互間の合金化が抑止されるので、担持される各触媒成分の合金化による経時的触媒機能の低下が防止され耐久性に富むと共に各貴金属の高濃度分布により低温での活性がより向上した排気ガス浄化用触媒が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の斜視図である。
【図2】上記実施例におけるNOxに対する好適T50温度となる濃度差を示す図である。
【図3】上記実施例におけるHCに対する好適T50温度となる濃度差を示す図である。
【図4】上記実施例における排気ガス温度とNOx浄化率との関係を示すグラフである。
【図5】上記実施例における排気ガス温度とHC浄化率との関係を示すグラフである。
【図6】上記実施例に基づく具体例1〜5の説明図であって、(a),(b)は具体例1、(c)は具体例2、(d)は具体例3、(e)は具体例4、(f)は具体例5をそれぞれ示す。
【図7】具体例1におけるHC浄化率と濃度差との関係を示すグラフである。
【図8】(a)は具体例2における触媒担体を区分したベッド数とNOxに対するT50温度との関係を示す棒グラフであり、(b)は同じく触媒担体を区分したベッド数とHCに対するT50温度との関係を示す棒グラフである。
【図9】具体例3における上流側の端部にロジウムを高濃度に分布させたときの、(a)は濃度差とHC浄化率との関係を示すグラフであり、(b)は濃度差とHC及びNOxに対するT50温度との関係を示すグラフである。
【図10】具体例3における上流側の端部にパラジウムを高濃度に分布させたときの、(a)は濃度差とHC浄化率との関係を示すグラフであり、(b)は濃度差とHC及びNOxに対するT50温度との関係を示すグラフである。
【図11】具体例3における上流側の端部にプラチナを高濃度に分布させたときの、(a)は濃度差とHC浄化率との関係を示すグラフであり、(b)は濃度差とHC及びNOxに対するT50温度との関係を示すグラフである。
【図12】具体例3における異なる貴金属の高濃度分布部を有する各ベッドの配列順序とHC浄化率との関係を示す棒グラフである。
【図13】具体例3における異なる貴金属の高濃度分布部を有する各ベッドの配列順序とNOxに対するT50温度との関係を示す棒グラフである。
【図14】具体例3における異なる貴金属の高濃度分布部を有する各ベッドの配列順序とHCに対するT50温度との関係を示す棒グラフである。
【図15】具体例4におけるイリジウムの分布濃度とNOxに対するT50温度との関係を示すグラフである。
【図16】具体例5における熱案定剤の対ロジウム添加量とHCに対するT50温度との関係を示すグラフである。
【図17】具体例5における熱安定剤の対パラジウム添加量とHCに対するT50温度との関係を示すグラフである。
【図18】具体例5における熱安定剤の対プラチナ添加量とHCに対するT50温度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 排気ガス浄化用触媒
2 細孔
3 上流側の端部
4 ロジウム高濃度分布部
5,5′,5″ 他貴金属(プラチナ、パラジウム、イリジウム)高濃度分布部6 下流側部分
7 中間部
8 熱安定剤
G 排気ガス流

Claims (5)

  1. 触媒担体に所定量のロジウムを含む触媒コート層が形成されてなるエンジンの排気ガス浄化用触媒であって、
    上記触媒コート層は、上記触媒担体上に形成されたγ−アルミナ層と、該γ−アルミナ層上に形成された酸化セリウム層と、を備え、
    上記ロジウムは、上記γ−アルミナ層には、排気ガス流れ方向の上流側の端部から下流側の端部に亘り全体に担持されている一方、上記酸化セリウム層には、上流側の端部にのみ担持されていることを特徴とするエンジンの排気ガス浄化用触媒。
  2. 上記γ−アルミナ層には、プラチナが排気ガス流れ方向の上流側の端部から下流側の端部に亘り全体に担持されており、
    上記酸化セリウム層には、パラジウムが排気ガス流れ方向の上流側の端部から下流側の端部に亘り全体に担持されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気ガス浄化用触媒。
  3. 上記触媒コート層には、触媒成分であるプラチナ及びイリジウムのうちのいずれか一方が下流側部分に他の部分よりも高濃度に分布されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気ガス浄化用触媒。
  4. 上記触媒コート層には、触媒成分であるプラチナ及びパラジウムが排気ガス流れ方向の上流側の端部から下流側の端部に亘り全体に担持されていると共にプラチナ及びパラジウムのうちのいずれか一方が下流側部分に他の部分よりも高濃度に分布されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気ガス浄化用触媒。
  5. パラジウム及びプラチナのうちの一方は上記触媒コート層における下流側部分に他の部分よりも高濃度に分布され、且つパラジウム及びプラチナのうちの他方は上記触媒コート層における上記上流側の端部と上記下流側部分との間の中間部に他の部分よりも高濃度に分布されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気ガス浄化用触媒。
JP32418791A 1991-12-09 1991-12-09 エンジンの排気ガス浄化用触媒 Expired - Fee Related JP3549901B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32418791A JP3549901B2 (ja) 1991-12-09 1991-12-09 エンジンの排気ガス浄化用触媒

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32418791A JP3549901B2 (ja) 1991-12-09 1991-12-09 エンジンの排気ガス浄化用触媒

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05154382A JPH05154382A (ja) 1993-06-22
JP3549901B2 true JP3549901B2 (ja) 2004-08-04

Family

ID=18163050

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32418791A Expired - Fee Related JP3549901B2 (ja) 1991-12-09 1991-12-09 エンジンの排気ガス浄化用触媒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3549901B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002066325A (ja) * 2000-08-29 2002-03-05 Cataler Corp 排ガス浄化用触媒
KR100706445B1 (ko) * 2005-09-01 2007-04-10 현대자동차주식회사 배기 가스 정화 촉매 및 그 제조 방법
JP2016123958A (ja) * 2015-01-07 2016-07-11 株式会社キャタラー 排気ガス浄化用触媒及び排気ガス浄化用システム
CN109789398B (zh) 2016-07-20 2021-12-03 优美科触媒日本有限公司 内燃机的排气净化用催化剂及使用该催化剂的排气净化方法
EP3488928B1 (en) 2016-07-20 2020-08-19 Umicore Shokubai Japan Co., Ltd. Exhaust gas purification catalyst for internal combustion engine, and exhaust gas purifying method using exhaust gas purification catalyst
JP7017621B2 (ja) * 2018-02-21 2022-02-08 株式会社キャタラー 排ガス浄化触媒装置

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA1073363A (en) * 1975-11-24 1980-03-11 Haren S. Gandhi Segmented three-way catalyst
JPS55130739U (ja) * 1979-03-07 1980-09-16
JPS5712820A (en) * 1980-06-24 1982-01-22 Toyota Motor Corp Monolithic type catalyst structure for cleaning automobile exhaust
JPS5966345A (ja) * 1982-10-07 1984-04-14 Kiyataraa Kogyo Kk 排ガス浄化用触媒の製造方法
JPS6253738A (ja) * 1985-09-03 1987-03-09 Toyota Motor Corp 排気ガス浄化用触媒
JPS62125855A (ja) * 1985-11-25 1987-06-08 Toyota Motor Corp 排気ガス浄化用触媒
JPS62125856A (ja) * 1985-11-27 1987-06-08 Toyota Motor Corp 排気ガス浄化用モノリス触媒
JPS647935A (en) * 1987-06-30 1989-01-11 Nissan Motor Catalytic converter device
JP2730750B2 (ja) * 1989-02-16 1998-03-25 マツダ株式会社 排気ガス浄化用触媒およびその製造方法
JPH03154619A (ja) * 1989-11-14 1991-07-02 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd 触媒コンバータ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05154382A (ja) 1993-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3956437B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒
EP2047903B1 (en) Catalyst for purifying exhaust gas
JPH0760117A (ja) 排気ガス浄化用触媒
JP3391878B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒
JPH0653229B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒
KR100879965B1 (ko) 배기가스정화용 촉매
JP4012320B2 (ja) 希薄燃焼エンジン用排気ガス浄化用触媒
KR20060135754A (ko) 귀금속 농도가 담체 축을 따라 변하는 배기 가스 세정용촉매 및 당해 촉매의 제조방법
JP2006326495A (ja) 排ガス浄化用触媒
US10408102B2 (en) Oxidation catalyst device for exhaust gas purification
JP4350250B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒
JP3327054B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP3882627B2 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP2003190790A (ja) 排ガス浄化用触媒及び排ガス浄化システム
JP3549901B2 (ja) エンジンの排気ガス浄化用触媒
JPS6271536A (ja) エンジンの排気ガス浄化用触媒
JP2001162166A (ja) 排ガス浄化用触媒
JPS63236541A (ja) 排ガス浄化用触媒
JPH08281071A (ja) 排ガス浄化方法及び排ガス浄化用触媒
JP3332369B2 (ja) エンジンの排気ガス浄化用触媒
JPS6357096B2 (ja)
JP3384255B2 (ja) 内燃機関排ガスの浄化方法
JP3368750B2 (ja) 排ガス浄化方法と触媒
JPH08173815A (ja) 排ガス浄化用触媒
JPH1052643A (ja) 排気ガス浄化用触媒および排気ガス浄化方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20020226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040223

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040422

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080430

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090430

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090430

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100430

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100430

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110430

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees