JP3549665B2 - 塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル系樹脂組成物に関し、より詳しくは、加工性の改良された塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
塩化ビニル樹脂は、各種の物理的および化学的性質に優れているために広く用いられているが、加工温度が熱分解温度に近く、成形加工領域が狭いばかりでなく、ゲル化速度が遅い等の種々の加工上の問題を有している。
【0003】
かかる問題は、塩化ビニル樹脂に可塑剤を添加することによってある程度解決できることはよく知られているが、可塑剤の添加は、可塑剤の揮発、逃散等の問題を生じるほかに成形品の機械的性質を低下させる欠点がある。
【0004】
一方、成形品の表面を平滑にし、長時間の成形においても変わらぬ光沢を維持して、ゲル化速度を速めたり、深絞りを可能にしたりする、いわゆる加工特性の向上を目的として、塩化ビニル樹脂と相溶性を有する或種の共重合体を加工助剤として塩化ビニル樹脂に配合する方法が従来から検討されている。
【0005】
例えば、メタクリル酸メチルとスチレンとの共重合体(以下、MS樹脂という。)、スチレンとアクリロニトリルとの共重合体(以下、AS樹脂という。)およびメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体(以下、MMA系樹脂という。)等を加工助剤として塩化ビニル樹脂に配合する方法が提案されてきている。
【0006】
しかし、MS樹脂を塩化ビニル樹脂に配合する方法は、塩化ビニル樹脂の溶融粘度を低下させる効果が小さく、そのために表面平滑性に優れた成形品を得ることができないという欠点を有する。
【0007】
また、AS樹脂を塩化ビニル樹脂に配合する方法は、得られる樹脂組成物の熱安定性が悪く、ゲル化速度や深絞り等の加工特性が改善されない等の欠点を有する。
【0008】
さらに、MMA系樹脂を塩化ビニル樹脂に配合する方法は、塩化ビニル樹脂組成物のゲル化速度の促進効果が大きく、また高温での引張強度が増大する結果、深絞りが可能となり真空成形、異形押出し等に優れた効果が認められ、硬質分野での二次加工性が大幅に改良されるが、反面一般に未ゲル化物(フィッシュアイ)が発生し易く、押出しフィルム等とした場合、光沢が欠如する等成形品の品質上の欠点がある。
【0009】
このような分散性不良の問題を解決する方法として、メタクリル酸メチルを主成分とする単量体の二段重合体もしくはその重合体混合物を塩化ビニル樹脂の加工助剤として配合する方法が提案されており(特公昭52−1746号公報)、その分散性、透明性、熱着色性ならびにゲル化性がバランス良く優れているため、硬質塩化ビニル樹脂のみならず軟質分野への加工助剤と広く使用されている。
【0010】
しかし、近年塩化ビニル樹脂に対する加工助剤の絡み合い効果を応用した成形加工技術(厚物シートのカレンダーロールによる直接成形法、通常のダイスおよび押出機を用いての塩化ビニル樹脂の発泡異形押出法等)の発展に伴い、透明性を問題としない代わり、分散性、ゲル化特性に優れた加工助剤の開発が望まれており、このような成形加工分野では、上記のような二段重合物もしくはその重合体混合物もそれなりの添加効果を発揮しているが、未だに満足すべき所まで到っていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の如き状況に鑑み鋭意検討を進めた結果、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステルブロック共重合体を塩化ビニル系樹脂の加工助剤として用いることにより、優れた分散性とゲル化特性を示すことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、塩化ビニル系樹脂と、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステルブロック共重合体とからなる塩化ビニル系樹脂組成物にある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル単独重合体あるいは塩化ビニル80重量%以上と20重量%以下の酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、α−オレフィン、塩化オレフィン等から選ばれる他の単量体との共重合体であり、これらの単独または混合物を意味する。
【0014】
また、本発明においては、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステルブロック共重合体を用いる。
【0015】
ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に用いられるラクトンとしては、種々のものが用いられるが、特にε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンが好ましく用いられる。また、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしても、種々のものが用いられるが、特にメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルが好ましく用いられる。中でも、ラクトンがε−カプロラクトンで、(メア)アクリル酸エステルがメタクリル酸メチルである共重合体が最も好ましい。
【0016】
ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子量は、数平均分子量で1,000〜100,000の範囲が好ましく、5,000〜20,000の範囲がより好ましい。
【0017】
ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体における、ラクトンおよび(メタ)アクリル酸エステルの組成は、特に限定されるものではないが、好ましくはラクトン50〜99重量%および(メタ)アクリル酸エステル1〜50重量%の範囲であり、さらに好ましくはラクトン70〜99重量%および(メタ)アクリル酸エステル1〜30重量%の範囲である。
【0018】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物における、塩化ビニル系樹脂とラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体との配合割合は、好ましくは塩化ビニル系樹脂70〜99.9重量部に対し、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体30〜0.1重量部(合計100重量部)であり、さらに好ましくは塩化ビニル系樹脂80〜99.9重量部に対して、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体20〜0.1重量部である。樹脂組成物中の塩化ビニル系樹脂の量が少なすぎる場合は樹脂が本来有している機械的特性が失われる傾向を示し、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の量が少なすぎる場合は加工性改良が不充分となる。
【0019】
塩化ビニル系樹脂とラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の配合方法については、特に限定されず公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、タンブラー等でドライブレンドするか、またはこのドライブレンド物を押出機、ロール等で溶融混練して配合することができる。
【0020】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じて適当な安定剤(例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、着色剤、滑剤、充填剤、耐衝撃強化剤等も添加することができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。なお、例中における部は重量部を示す。
【0022】
また、例中における物性の評価は以下に示す方法を用いて行った。
【0023】
(1)分子量
GPCにて数平均分子量(Mn)を測定した。
【0024】
(2)ゲル化速度
ブラベンダープラスチコーダーを用いて、混練温度160℃、回転数30rpm、充填量52g,予熱5分の条件下で、混練抵抗(トルク)が最大値を示すまでの時間(秒)、トルクの最大値(kg・m)および平衡トルク(kg・m)を測定した。
【0025】
(実施例1)
(1)ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の合成方法
アルゴン置換した500mlフラスコ中で2官能開始剤となる[(C5Me5)Sm(μ−η−3−CH2CHCHCH2)]2錯体0.31mmolをトルエン200mlに溶解した。この溶液中にメタクリル酸メチル5mlを加え、30分間0℃で重合を行った後、シリンジで5mlサンプリングした。ここで得られたポリメタクリル酸メチルの数平均分子量15,000、分子量分布はMw/Mnは1.1であった。ついで、残りの反応液中にε−カプロラクトン15mlを加え、室温で30分間撹拌し重合を行った。反応後、反応液を多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させた。収率99重量%で得られたポリマーの数平均分子量Mnは67,000、分子量分布Mw/Mnは1.3であり、開始剤が2官能でありかつ、GPCの結果より途中サンプリングしたポリメタクリル酸メチル部分のピークがすべて高分子量側にシフトしていることから、得られたポリマーはトリブロック共重合体(ε−カプロラクトン重合体−メタクリル酸メチル共重合体−ε−カプロラクトン重合体)であることを確認した。また1HNMRより算出したε−カプロラクトン含量は77.6重量%であった。
【0026】
(2)塩化ビニル系樹脂組成物の製造
塩化ビニル系樹脂(平均重合度700、信越化学工業(株)製)100部、ステアリン酸亜鉛0.2部、ステアリン酸カルシウム0.4部およびエポキシ系可塑剤4.0部をヘンシェルミキサーにて混合し、内温120℃にてブレンドを終了した。
【0027】
次いで、その混合物の温度が室温付近になったところで、上記のラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体3.0部を加工助剤として添加し、約3分間撹拌して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。この得られた塩化ビニル系樹脂組成物についての評価結果を表1に示す。
【0028】
(実施例2)
(1)錯体の量を0.70mmolとし、メタクリル酸メチルの量を2mlに、ε−カプロラクトンの量を18mlとする以外は実施例1と同様に行い、収率96重量%でトリブロック共重合体を得た(ε−カプロラクトン含量90重量%)。得られた共重合体の数平均分子量は20,000で、分子量分布Mw/Mnは1.53であった。
【0029】
(2)塩化ビニル系樹脂組成物の製造
加工助剤として上記実施例2(1)のラクトン−メタクリル酸エステル共重合体を使用する以外は、実施例1(2)と同様にして樹脂組成物を得て、評価を行った。得られた塩化ビニル系樹脂組成物についての評価結果を表1に示す。
【0030】
(比較例1)
実施例1において、加工助剤をメタブレン(登録商標)P−530(三菱レイヨン(株)製、塩化ビニル樹脂用加工助剤)3.0部に代え、実施例1と同様な方法をくり返して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。得られた塩化ビニル系樹脂組成物についての評価結果を表1に示す。
【0031】
(比較例2)
実施例1において、加工助剤を使用しない以外は、実施例1と同様な方法をくり返して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。得られた塩化ビニル系樹脂組成物についての評価結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明の構成からなる塩化ビニル系樹脂組成物によれば、ラクトン−メタクリル酸エステル共重合体を、塩化ビニル系樹脂の加工助剤として用いるため、分散性がよくゲル化時間を著しく短縮できるという顕著な作用効果を奏することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル系樹脂組成物に関し、より詳しくは、加工性の改良された塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
塩化ビニル樹脂は、各種の物理的および化学的性質に優れているために広く用いられているが、加工温度が熱分解温度に近く、成形加工領域が狭いばかりでなく、ゲル化速度が遅い等の種々の加工上の問題を有している。
【0003】
かかる問題は、塩化ビニル樹脂に可塑剤を添加することによってある程度解決できることはよく知られているが、可塑剤の添加は、可塑剤の揮発、逃散等の問題を生じるほかに成形品の機械的性質を低下させる欠点がある。
【0004】
一方、成形品の表面を平滑にし、長時間の成形においても変わらぬ光沢を維持して、ゲル化速度を速めたり、深絞りを可能にしたりする、いわゆる加工特性の向上を目的として、塩化ビニル樹脂と相溶性を有する或種の共重合体を加工助剤として塩化ビニル樹脂に配合する方法が従来から検討されている。
【0005】
例えば、メタクリル酸メチルとスチレンとの共重合体(以下、MS樹脂という。)、スチレンとアクリロニトリルとの共重合体(以下、AS樹脂という。)およびメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体(以下、MMA系樹脂という。)等を加工助剤として塩化ビニル樹脂に配合する方法が提案されてきている。
【0006】
しかし、MS樹脂を塩化ビニル樹脂に配合する方法は、塩化ビニル樹脂の溶融粘度を低下させる効果が小さく、そのために表面平滑性に優れた成形品を得ることができないという欠点を有する。
【0007】
また、AS樹脂を塩化ビニル樹脂に配合する方法は、得られる樹脂組成物の熱安定性が悪く、ゲル化速度や深絞り等の加工特性が改善されない等の欠点を有する。
【0008】
さらに、MMA系樹脂を塩化ビニル樹脂に配合する方法は、塩化ビニル樹脂組成物のゲル化速度の促進効果が大きく、また高温での引張強度が増大する結果、深絞りが可能となり真空成形、異形押出し等に優れた効果が認められ、硬質分野での二次加工性が大幅に改良されるが、反面一般に未ゲル化物(フィッシュアイ)が発生し易く、押出しフィルム等とした場合、光沢が欠如する等成形品の品質上の欠点がある。
【0009】
このような分散性不良の問題を解決する方法として、メタクリル酸メチルを主成分とする単量体の二段重合体もしくはその重合体混合物を塩化ビニル樹脂の加工助剤として配合する方法が提案されており(特公昭52−1746号公報)、その分散性、透明性、熱着色性ならびにゲル化性がバランス良く優れているため、硬質塩化ビニル樹脂のみならず軟質分野への加工助剤と広く使用されている。
【0010】
しかし、近年塩化ビニル樹脂に対する加工助剤の絡み合い効果を応用した成形加工技術(厚物シートのカレンダーロールによる直接成形法、通常のダイスおよび押出機を用いての塩化ビニル樹脂の発泡異形押出法等)の発展に伴い、透明性を問題としない代わり、分散性、ゲル化特性に優れた加工助剤の開発が望まれており、このような成形加工分野では、上記のような二段重合物もしくはその重合体混合物もそれなりの添加効果を発揮しているが、未だに満足すべき所まで到っていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の如き状況に鑑み鋭意検討を進めた結果、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステルブロック共重合体を塩化ビニル系樹脂の加工助剤として用いることにより、優れた分散性とゲル化特性を示すことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、塩化ビニル系樹脂と、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステルブロック共重合体とからなる塩化ビニル系樹脂組成物にある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル単独重合体あるいは塩化ビニル80重量%以上と20重量%以下の酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、α−オレフィン、塩化オレフィン等から選ばれる他の単量体との共重合体であり、これらの単独または混合物を意味する。
【0014】
また、本発明においては、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステルブロック共重合体を用いる。
【0015】
ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に用いられるラクトンとしては、種々のものが用いられるが、特にε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンが好ましく用いられる。また、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしても、種々のものが用いられるが、特にメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルが好ましく用いられる。中でも、ラクトンがε−カプロラクトンで、(メア)アクリル酸エステルがメタクリル酸メチルである共重合体が最も好ましい。
【0016】
ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子量は、数平均分子量で1,000〜100,000の範囲が好ましく、5,000〜20,000の範囲がより好ましい。
【0017】
ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体における、ラクトンおよび(メタ)アクリル酸エステルの組成は、特に限定されるものではないが、好ましくはラクトン50〜99重量%および(メタ)アクリル酸エステル1〜50重量%の範囲であり、さらに好ましくはラクトン70〜99重量%および(メタ)アクリル酸エステル1〜30重量%の範囲である。
【0018】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物における、塩化ビニル系樹脂とラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体との配合割合は、好ましくは塩化ビニル系樹脂70〜99.9重量部に対し、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体30〜0.1重量部(合計100重量部)であり、さらに好ましくは塩化ビニル系樹脂80〜99.9重量部に対して、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体20〜0.1重量部である。樹脂組成物中の塩化ビニル系樹脂の量が少なすぎる場合は樹脂が本来有している機械的特性が失われる傾向を示し、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の量が少なすぎる場合は加工性改良が不充分となる。
【0019】
塩化ビニル系樹脂とラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の配合方法については、特に限定されず公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、タンブラー等でドライブレンドするか、またはこのドライブレンド物を押出機、ロール等で溶融混練して配合することができる。
【0020】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じて適当な安定剤(例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、着色剤、滑剤、充填剤、耐衝撃強化剤等も添加することができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。なお、例中における部は重量部を示す。
【0022】
また、例中における物性の評価は以下に示す方法を用いて行った。
【0023】
(1)分子量
GPCにて数平均分子量(Mn)を測定した。
【0024】
(2)ゲル化速度
ブラベンダープラスチコーダーを用いて、混練温度160℃、回転数30rpm、充填量52g,予熱5分の条件下で、混練抵抗(トルク)が最大値を示すまでの時間(秒)、トルクの最大値(kg・m)および平衡トルク(kg・m)を測定した。
【0025】
(実施例1)
(1)ラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の合成方法
アルゴン置換した500mlフラスコ中で2官能開始剤となる[(C5Me5)Sm(μ−η−3−CH2CHCHCH2)]2錯体0.31mmolをトルエン200mlに溶解した。この溶液中にメタクリル酸メチル5mlを加え、30分間0℃で重合を行った後、シリンジで5mlサンプリングした。ここで得られたポリメタクリル酸メチルの数平均分子量15,000、分子量分布はMw/Mnは1.1であった。ついで、残りの反応液中にε−カプロラクトン15mlを加え、室温で30分間撹拌し重合を行った。反応後、反応液を多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させた。収率99重量%で得られたポリマーの数平均分子量Mnは67,000、分子量分布Mw/Mnは1.3であり、開始剤が2官能でありかつ、GPCの結果より途中サンプリングしたポリメタクリル酸メチル部分のピークがすべて高分子量側にシフトしていることから、得られたポリマーはトリブロック共重合体(ε−カプロラクトン重合体−メタクリル酸メチル共重合体−ε−カプロラクトン重合体)であることを確認した。また1HNMRより算出したε−カプロラクトン含量は77.6重量%であった。
【0026】
(2)塩化ビニル系樹脂組成物の製造
塩化ビニル系樹脂(平均重合度700、信越化学工業(株)製)100部、ステアリン酸亜鉛0.2部、ステアリン酸カルシウム0.4部およびエポキシ系可塑剤4.0部をヘンシェルミキサーにて混合し、内温120℃にてブレンドを終了した。
【0027】
次いで、その混合物の温度が室温付近になったところで、上記のラクトン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体3.0部を加工助剤として添加し、約3分間撹拌して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。この得られた塩化ビニル系樹脂組成物についての評価結果を表1に示す。
【0028】
(実施例2)
(1)錯体の量を0.70mmolとし、メタクリル酸メチルの量を2mlに、ε−カプロラクトンの量を18mlとする以外は実施例1と同様に行い、収率96重量%でトリブロック共重合体を得た(ε−カプロラクトン含量90重量%)。得られた共重合体の数平均分子量は20,000で、分子量分布Mw/Mnは1.53であった。
【0029】
(2)塩化ビニル系樹脂組成物の製造
加工助剤として上記実施例2(1)のラクトン−メタクリル酸エステル共重合体を使用する以外は、実施例1(2)と同様にして樹脂組成物を得て、評価を行った。得られた塩化ビニル系樹脂組成物についての評価結果を表1に示す。
【0030】
(比較例1)
実施例1において、加工助剤をメタブレン(登録商標)P−530(三菱レイヨン(株)製、塩化ビニル樹脂用加工助剤)3.0部に代え、実施例1と同様な方法をくり返して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。得られた塩化ビニル系樹脂組成物についての評価結果を表1に示す。
【0031】
(比較例2)
実施例1において、加工助剤を使用しない以外は、実施例1と同様な方法をくり返して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。得られた塩化ビニル系樹脂組成物についての評価結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明の構成からなる塩化ビニル系樹脂組成物によれば、ラクトン−メタクリル酸エステル共重合体を、塩化ビニル系樹脂の加工助剤として用いるため、分散性がよくゲル化時間を著しく短縮できるという顕著な作用効果を奏することができる。
Claims (1)
- 塩化ビニル系樹脂と、ラクトン−(メタ)アクリル酸エステルブロック共重合体とからなる塩化ビニル系樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08418196A JP3549665B2 (ja) | 1996-04-05 | 1996-04-05 | 塩化ビニル系樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP08418196A JP3549665B2 (ja) | 1996-04-05 | 1996-04-05 | 塩化ビニル系樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09272770A JPH09272770A (ja) | 1997-10-21 |
JP3549665B2 true JP3549665B2 (ja) | 2004-08-04 |
Family
ID=13823320
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP08418196A Expired - Fee Related JP3549665B2 (ja) | 1996-04-05 | 1996-04-05 | 塩化ビニル系樹脂組成物 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3549665B2 (ja) |
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1996
- 1996-04-05 JP JP08418196A patent/JP3549665B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH09272770A (ja) | 1997-10-21 |
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