JP3574739B2 - ポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンド - Google Patents

ポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一種のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンドに関し、さらに詳しくは、80〜99.5%のポリハロゲン化エチレン樹脂と、0.5 〜20%のアクリル酸系の高分子加工助剤で組成されるコンパウンドとされて、該加工助剤の添加により、ポリハロゲン化エチレン樹脂のゲル化物性、加工性、及び滑性を改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のとおり、ポリハロゲン化エチレン樹脂は、良好な物理性質と化学性質を有している。ただし、潜在的な物性の欠陥をも有し、そのために加工に高温を要し、この加工温度はそのクラック温度に接近するため劣化の可能性が増し、そのためにその応用における発展が制限され、特に、硬質加工面で、可塑剤無添加の状況では加工が非常に難しく、その剥離性が低くなり、ローラへの粘着やプレートアウトが発生しやすくなり、製品の外観不良をもたらし、また、溶融粘弾性も低くなり、破断やそれによる機械の停止などをもたらし、生産効率に影響を与えた。
【0003】
しかしながら、高分子加工助剤の発展により、上述のポリハロゲン化エチレン樹脂の欠点が大きく改善された。この高分子加工助剤にはゲル化促進型と潤滑型の二種類があり、前者はポリハロゲン化エチレン樹脂のゲル化速度増進と、溶融粘弾性改善作用を有し、アメリカ合衆国特許第3867481号に記載の加工助剤がこれに属する。後者はポリハロゲン化エチレン樹脂加工時の滑性及び剥離性の増加作用を有し、アメリカ合衆国特許第3859384号に記載の加工助剤がこれに属する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリハロゲン化エチレン樹脂と加工助剤を包括する一種のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンドを提供することを課題としており、さらに詳しくは、該ポリハロゲン化エチレン樹脂の物性を改善しうる一種のアクリル酸系高分子加工助剤を提供することを課題としている。本発明による加工助剤は、周知の、ゲル化促進型と潤滑型の二種類の高分子加工助剤の有する特性を兼ね備えたものとする。本発明の加工助剤は、異なる性質を有するハードコアとソフトコアを乳化或いは溶液重合法で製造し、該ハードコアは、ポリハロゲン化エチレン樹脂のゲル化を促進して、ポリハロゲン化エチレン樹脂のゲル化速度を上げ、溶融粘弾性を改善して良好な分散性を達成するものとし、ソフトコアは、ポリハロゲン化エチレン樹脂の加工時に必要な滑性と良好な剥離性を提供するものとし、この二種のコアを適当に混合して後続のシェル反応の種とし、シェルを重合反応で形成することを以て、コアとシェルを備えた構造を有するものとして製造される。
【0005】
本発明による加工助剤は、ポリハロゲン化エチレン樹脂の各種の加工、例えばカレンダ、押出し、インフレーション、発泡の加工プロセスに十分運用可能であり、透明、半透明及び不透明の軟質、半硬質、硬質製品の製造に用いられ、ポリハロゲン化エチレン樹脂は本発明の加工助剤を添加することで、混練加工時に滑性を有してローラに粘着しなくなり、ローリングバンクが平らとなり、プレートアウトを形成しなくなり、特に加工時間が比較的長い場合にも、材料が依然として良好な剥離性と滑性を維持できるようになるため、極めて良好な透明度、光沢度を有し曇り値の低い製品の提供が可能となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、80〜99.5wt%のポリハロゲン化エチレン樹脂と、0.5 〜20wt%のアクリル酸系の高分子加工助剤で組成されて、各種加工プロセスに応用されうるコンパウンドとされて、この加工助剤が、多段式重合方式で製造されてコアとシェルからなる構造を有して、該コアは、モノマー総量の10〜90wt%のモノマーの重合により形成され、ハードとソフトの2種の異なる形式のコアを、任意の比率で混合してシェル層を重合により形成するための種として用いられ、該シェルは、モノマー総量の10〜90wt%のモノマーの重合により形成されて、一層式或いは多層式に形成され、該加工助剤が毎 100ml のメチルエチルケトン溶液に 0.4g の加工助剤を含む濃度とされ、以上の構成からなるポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンドとしている。
【0007】
請求項2の発明は、前記加工助剤のコアが後続のシェルを重合により形成するときの種として用いられ、該コアには2種の異なる形式があり、この2種のコアが任意の比率で混合された後に、種とされ、
上記ハードコアは、そのガラス転移点が65℃以上であり、65〜100 wt% のアルキルメタクリレート(alkylmethacrylates)と、0 〜35wt%の炭素数1 〜8 のアクリル酸系のモノマーと、 0〜35wt%の別のアクリル酸系のモノマーと、 0〜35wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマーと、0 〜5 wt% の架橋剤とが重合してなる重合体或いは架橋結合を有する重合体とされ、
上記ソフトコアは、そのガラス転移点が50℃以下であり、35〜85 wt % の炭素数1 〜8 のアクリル酸系のモノマーに、 15 〜65wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマーと、0 〜50wt%のアルキルメタクリレートと、0 〜40wt%の別のアクリル酸系モノマーと、0 〜5 wt%の架橋剤とが重合してなる重合体或いは架橋結合を有する重合体とされる、
以上を特徴とする、請求項1に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンドとしている。
【0008】
請求項3の発明は、前記加工助剤のハードコアが、65〜100 wt%の炭素数1〜4のアルキルメタクリレート(alkyl methacrylates)と、0 〜35wt%の炭素数1〜4のアクリル酸系モノマーと、0 〜35wt%の炭素数1〜4の別のアクリル酸系モノマーと、0 〜35wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマーと、0 〜5 wt%の架橋剤を重合させてなる重合体或いは架橋結合を有する重合体とされたことを特徴とする、請求項2に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンドとしている。
【0009】
請求項4の発明は、前記加工助剤のソフトコアが、35〜85 wt %の炭素数1〜4のアクリル酸系モノマーと、15 〜65wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマーと、0 〜50wt%の炭素数1〜4のアルキルメタクリレートと、0 〜40wt%の別のアクリル酸系モノマーと、0 〜5 wt%の架橋剤を重合させてなる重合体或いは架橋結合を有する重合体とされたことを特徴とする、請求項2に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンドとしている。
【0010】
請求項5の発明は、前記加工助剤のシェルが、単層式或いは多層式構造とされ、第 1層の組成は、0 〜100 wt%のアルキルメタクリレートと、0 〜50%の炭素数1 〜8 のアクリル酸系モノマーと、0 〜50wt%の別のアクリル酸系モノマーと、0 〜60wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマーと、0 〜5 wt%の架橋剤を重合してなる単一重合体或いは共重合体或いは二重結合を有する重合体とされ、該シェルの第一層以外の層は、0〜10wt%のモノマー重合により形成され、0 〜50 wt %のアルキルメタクリレートと、0 〜60wt%の炭素数1 〜8 のアクリル酸系モノマーと、0 〜50wt%の別のアクリル酸系モノマーが共重合して形成され、以上を特徴とする、請求項1に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンドとしている。
【0011】
請求項6の発明は、前記加工助剤の種が、0 〜100 wt%のハードコアと0 〜100 wt%のソフトコアが任意の比率で混合されてなることを特徴とする請求項1に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンドとしている。
【0012】
請求項7の発明は、前記加工助剤の種が、シェル反応の種として用いられてシェル層の重合が進行され、種の外層に一層或いは多層のシェル層が形成されて、該加工助剤が、コアとシェルからなる構造を有するものとされたことを特徴とする、請求項1に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンドとしている。
【0013】
請求項8の発明は、前記加工助剤が、乳化重合或いは溶液重合の方式で製造され、製造された粉体が0.25〜1.5の比粘度値を有し、この比粘度値が30℃の恒温下で、100mlのメチルエチルケトン溶液中に0.4gの加工助剤を含む時に測定されることを特徴とする、請求項1に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンドとしている。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンドは、80〜99.5%のポリハロゲン化エチレン樹脂と、0.5 〜20%のアクリル酸系の高分子加工助剤で組成されるコンパウンドとされて、該加工助剤の添加により、ポリハロゲン化エチレン樹脂のゲル化物性、加工性、及び滑性が改善される。
【0015】
本発明の加工助剤の製造においては、2種の異なる形式のコア、即ちハードコアとソフトコアを、必要な物性に応じて異なる混合比で混合して後続の反応の種となしている。このハードコアのガラス転移点(Glass transition temperature;Tg)は65℃以上で、ソフトコアのガラス転移点は50℃以下である。ハードコアはポリハロゲン化エチレン樹脂のゲル化物性を促進し、溶融粘弾性、ソフトコアは潤滑性を増進してプレートアウトの発生を防止し、耐衝撃性を増加する機能を有する。本発明に係る技術に関する文献には、アメリカ合衆国特許第3859384号、同じく第3859589号があり、それらに一段のコア及び多段のシェルの重合製造方式が記載されており、また、アメリカ合衆国特許第31754号、第2791600号、第42882号、第3925510号、日本特許第4723443号、第50123761号、第501237642号があるが、これらのいずれも本発明に記載の製造方式とは異なる。
【0016】
本発明の提供する高分子加工助剤は、コア(core)とシェル(shell)を有してなる重合体とされ、その製造方法においては、溶液重合或いは乳化重合が採用され、重合方式として、バッチ式、セミバッチ式、或いは連続式のいずれかが採用される。本発明の加工助剤は、以下に説明するコアとシェルを包括する。
【0017】
上記コアは、モノマー総量の 10 〜 90 wt% のモノマーの重合により形成され、異なる性質の二種類のコア、即ち比較的硬いハードコアと軟らかいソフトコアの少なくとも一方を包括しうる。
【0018】
その中、ハードコアは、ガラス転移温度Tg≧65℃で、65〜100 wt% のアルキルメタクリレート(alkylmethacrylates)と、0 〜35wt%の炭素数1 〜8 のアクリル酸系のモノマーと、 0〜35wt%の別のアクリル酸系のモノマーと、 0〜35wt%の二重結合を有するフェニルエチレンと、0 〜5 wt%
の架橋剤とが重合してなる。
【0019】
その中、ソフトコアは、ガラス転移温度Tg≦50℃で、35〜85 wt % の炭素数1 〜8 のアクリル酸系のモノマーに、 15 〜65wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマーと、0 〜50wt%のアルキルメタクリレートと、0 〜40wt%の別のアクリル酸系モノマーと、0 〜5 wt%の架橋剤とが重合してなる。
【0020】
上記シェルは、モノマー総量の 90 〜 10 wt%のモノマーの重合により形成され、一層式或いは多層式構造とされ、第 1層の組成は、0 〜100 wt%のアルキルメタクリレートと、0 〜50%の炭素数1 〜8 のアクリル酸系モノマーと、0 〜50wt%の別のアクリル酸系モノマーと、0 〜60wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマーと、0 〜5 wt%の架橋剤が重合してなる。そして第一層以外の層は、0 〜50 wt %のアルキルメタクリレートと、0 〜60wt%の炭素数1 〜8 のアクリル酸系モノマーと、0 〜50wt%の別のアクリル酸系モノマーが共重合してなる。
【0021】
本発明の加工助剤の製造は、0 〜100 %のハードコアと0 〜100 %のソフトコアを必要に応じて異なる比率で混合し、後続反応の種となし、外層をさらに一層或いは多層のシェルで被覆し、コアとシェルからなる構造を形成し、乾燥後の粉体が、0.25〜1.5 の比粘度値を有するようにしてなる。この値は、毎100ml のメチルエチルケトン溶液に0.4gの加工助剤を含む濃度で、30℃で測定して得られる。ポリハロゲン化エチレン樹脂を混練加工する時には、必要により、本発明の加工助剤を0.5 〜20部添加することで、製品に良好な透明性と光沢度が得られ、特に、ヘイズ(HAZE,曇り値,霞み度)を減らして製品の美観を高めることができる。本発明の加工助剤は極めて良好な効果を提供し、一般には0.5〜5部添加するだけで、適当な製品の物性を獲得でき、また、高添加量により特殊な物性の要求に答えることができる。
【0022】
本発明のコアはモノマー総量の10〜90wt%が重合してなり、理想的には、20〜80wt%が重合してなる。
【0023】
本発明のハードコア材料は、以下を包括する。
(1) 65〜100 wt%、望ましくは75〜90wt%のアルキルメタクリレート。このアルキルメタクリレートのアルキル基部分は、1〜4個の炭素数を有するものでは、直鎖状及び側鎖を有するものがあり、例えば、メチル基、エチル基、イソブチル基などがある。
(2) 0 〜35wt%、望ましくは5 〜35wt%の、炭素数1〜8のアクリル酸系モノマー。該アクリル酸系モノマーは、アクリル酸或いはメタクリル酸のアルキル或いはアリルエステル、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ステアリン酸メタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、及びその置換基、例えば、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルシオ基、シアノ基とされる。
(3) 0 〜35wt%の別のアクリル酸系モノマー。この別のアクリル酸系モノマーの選択範囲は前述のものと同じであるが、ただし重複しない。
(4) 0〜35wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマー。このフェニルエチレンモノマーはスチレン或いはその置換体、例えば、α− メチルスチレン、クロロスチレン、α− ヒドロキシメチルスチレンとされる。
(5) 0〜5 wt%の架橋剤。
【0024】
本発明のハードコア材料は、以上のモノマーが重合してなる共重合体或いは架橋結合を有する共重合体とされる。
【0025】
本発明のソフトコアは、35〜85wt%、理想的には40〜70wt%の、炭素数1 〜8 のアクリル酸系モノマーと、15〜65wt%、理想的には25〜60wt%のフェニルエチレンモノマー、0 〜50wt%のアルキルメタクリレート、0 〜40wt%の別のアクリル酸系モノマー、及び0 〜5 wt%の架橋剤を包括し、以上のモノマーが、重合してなる共重合体或いは架橋結合を有する共重合体とされ、使用するモノマー範囲はハードコア材料と同じである。
【0026】
本発明のシェルはモノマー総量の10〜90wt%のモノマーの重合によりなり、一層式或いは多層式の構造とされ、重合に用いられるモノマーの種類の範囲は前述のコアのものと同じである。本発明の加工助剤は0.25〜1.5 間の比粘度値を有するものとされる。なぜなら、この比粘度値が0.25より低ければ、製品に気班(air mark)が発生し、1.5 より高ければ、製品に流紋(flow mark)が出現するためである。
【0027】
本発明の加工助剤の製造における重合過程で用いられる重合開始剤は水溶性或いは油溶性とされ、そのフリーラジカル発生の方式は熱分解式、例えば過硫酸カリウム、或いは酸化還元方式(redox)、或いは光分解、或いはその他の適用可能な周知の技術のいずれかによるものとされる。
【0028】
本発明により提供されるポリハロゲン化エチレン樹脂は、ポリハロゲン化エチレン単独重合体及び共重合体、例えば、ポリ塩化ビニル単独重合体或いは塩化エチルとその他のモノマーの共重合体とされる。その中、共重合体は、50wt%以上のハロゲン化エチルモノマーとその他のモノマーの共重合によりなり、共重合に用いられるその他のモノマーは、ビニルアセテート或いはその他のビニルアルカノエート(vinyl alkanoates)、ビニリデンハロゲン化物、例えば、アクリル酸、エチルアクリルレート、2 − エチルヘキシルアクリレート(2−ethyl hexyl acrylate)、及び、不飽和の炭水素化合物(unsaturated hydrocarbons)例えばアリルアセテートとされる。その中、ポリ塩化ビニルに関しては、K値が40〜90の間のものであればいずれも適用可能である。
【0029】
本発明の乳化重合用の乳化剤は、陰イオン性或いは非イオン性界面活性剤とされ、例えばアルキル基或いはアリル基のアルカリ金属塩類或いはアンモニウム塩類、脂肪族類乳化剤、アルコール類、アミン類、アミド類、アルキルフェノール類、有機りん酸混合物、スルホン酸塩類、硫酸塩類、カルボキシルエチル化脂肪族類、及びそのアルカリ金属塩とアンモニウム塩とされる。
【0030】
本発明の提供するコンパウンドには実際に必要に応じて、熱安定剤、滑剤、顔料、可塑剤及び充填剤が添加され、加工、混練される。
【0031】
【実施例】
以下に本発明の幾つかの実施例を示すが、これらの実施例は本発明の特徴を説明するためのもので、本発明の請求範囲を限定するためのものではない。
【0032】
一.種エマルジョンの製造
A,B,C,D,E,Fの6種の異なる種エマルジョンを製造する。その中、A,C,Dはハードコア、B,E,Fはソフトコアとし、その製造方法は以下のようである。
1.種エマルジョンAの製造方法
1Lの重合槽内に、イオン除去浄水720部、ミリスチン酸ナトリウム1.5部、EDTA(エチレンダイアミンテトラアセチックアシドテルトソジアムサルト,Ethyleme Diamine Tetra Acetic AcidTertsodium Salt)0.01部、及び硫酸第1鉄(FeSO)0.01部を加え、その後、蓋をして、重合槽に対して抽気を進行し740mmHgのほぼ真空として、その状態を10分間保持し、その後、窒素ガスを注入して1Kg/cmまで圧力を回復させ、攪拌し並びに40℃まで温度を上げ、さらに0.25部のSFS(ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム,Sodium Formaldehyde Sulfoxylate)重合槽内に加え、三分後にメチルメタクリレート(Methyl Methacrylate,MMA)80部と、エチルアクリレート(Ethyl Acrylate,EA)20部、及びクミルヒドロペルオキシド(Cumyl hydroperoxide,CHP)0.5部を共に重合槽内に加え、1時間反応させて、平均粒径が142nmの種エマルジョン(A)を得る。
2.種エマルジョンBの製造方法
種エマルジョンAの製造方式を用い、その配分は、イオン除去浄水720部、ミリスチン酸ナトリウム1.5部、EDTA0.01部、及び硫酸第1鉄0.01部、SFS0.25部、ブチルアクリレート45部、スチレン55部、CHP0.5部とし、平均粒径123nmの種エマルジョンBを得る。
3.種エマルジョンCの製造方法
種エマルジョンAの製造方式を用い、その配分は、イオン除去浄水720部、ミリスチン酸ナトリウム7.5部、EDTA0.02部、及び硫酸第1鉄0.02部、SFS0.4部、メチルメタクリレート80部、エチルアクリレート20部、CHP0.5部とし、平均粒径62nmの種エマルジョンCを得る。
4.種エマルジョンDの製造方法
種エマルジョンAの製造方式を用い、その配分は、イオン除去浄水720部、ミリスチン酸ナトリウム0.75部、EDTA0.005部、及び硫酸第1鉄0.005部、SFS0.25部、メチルメタクリレート80部、エチルアクリレート20部、CHP0.5部とし、平均粒径262nmの種エマルジョンDを得る。
5.種エマルジョンEの製造方法
種エマルジョンBの製造方式を用い、その配分は、イオン除去浄水720部、ミリスチン酸ナトリウム7.5部、EDTA0.02部、及び硫酸第1鉄0.02部、SFS0.4部、ブチルアクリレート45部、スチレン55部、CHP0.5部とし、平均粒径58nmの種エマルジョンEを得る。
6.種エマルジョンFの製造方法
種エマルジョンBの製造方式を用い、その配分は、イオン除去浄水720部、ミリスチン酸ナトリウム0.75部、EDTA0.005部、及び硫酸第1鉄0.005部、SFS0.25部、ブチルアクリレート45部、スチレン55部、CHP0.5部とし、平均粒径198nmの種エマルジョンFを得る。
【0033】
実施例1:
種エマルジョンAとBを以下の表1中に示される異なる比率で混合し、第1段階のシェル形成のための重合反応を行わせる。即ち、混合した種エマルジョンを1Lの重合槽内に置き、0.01部のEDTAと0.01部の硫酸第1鉄を加えた後、重合槽に蓋をして、抽気して重合槽内の圧力を740mmHgとなし、10分間その状態を保持し、その後、窒素ガスを注入して重合槽内圧力を1Kg/cmまで圧力を回復させ、さらに0.35部のSFSを重合槽内に加え、10分後に0.3部のCHPを加えるほか、注入方式で80部のメチルメタクリレート及び20部のエチルアクリレート及び4部のミリスチン酸ナトリウムを加え、その注入時間は1時間とし、その後、継続して1時間反応させ、表1中に示される結果を得た。
【表1】
Figure 0003574739
重合完成したエマルジョンに対して4%の塩化ナトリウム/硫酸(4:1)溶液で塩析を進行し、得られたスラリーを濾過し、並びに清水で洗浄し、脱水後に60℃の炉内で24時間乾燥させる。乾燥後に得た粉体に対して以下の物性試験を行った。
1.ロール引出し試験
ポリ塩化ビニル(K=60)100部、加工助剤1部、有機錫安定剤1.1部、滑剤0.6部を混合し、操作温度190℃で3分間、引出し厚さ0.3mmでロール引出し試験を進行した。
2.ゲル化試験
ポリ塩化ビニル(K=60)100部、加工助剤1部、有機錫安定剤1.1部、滑剤0.6部を混合し、操作温度190℃で3分間、試験機HAAKE BUCHLER SYSTEM40を用い、温度設定175℃、回転速度45rpmでゲル化試験を進行した。
3.耐熱試験
ロール引出し試験での引き出しにより得た長さ1.5cm、幅24cm、厚さ0.3mmのシートを自動炉内に入れ、180℃で130分間加熱する。
4.アイゾッド耐衝撃試験
ロール引出し試験で得たシートを、長さ5cm、幅8cm、厚さ0.3mmの複数の小片にカットし、圧板機で厚さ3mmの試験片となす。圧板機の操作温度は180℃とし、試験片を置き入れてから2.5分間予熱し、その後、100Kg/cmで3分間加圧し、その後、温度を下げて室温としてから試験片を取り出し、ASTM D256 アイゾッド試験法により試験し、耐衝撃強度を測定する。
5.滑性試験
ロール引出し試験と同じ試験方式により、異なる操作時間で試験片を引き出し、図1に示すように、試験片の剥離性の善し悪しを観察する。試験片の引出しは、水平方向に自然に引き伸ばす(加力せず)方式を以てなし、その評価基準は図1中に示すとおりである。
以上の5つの試験項目に関する試験結果を以下の表2に示す。
【表2】
Figure 0003574739
表2の試験結果から分かるように、ポリ塩化ビニルに本発明の加工助剤を添加することで、外観の極めて良好な試験片が得られ、且つ透光度は本発明の加工助剤の使用によって下がることはなく、ある者では本発明の加工助剤の添加により透光度の増加が助けられた。またゲル化試験の結果、本発明の加工助剤を添加することで、ポリ塩化ビニルのゲル化速度が加速され、ゲル化温度が下がり、またゲル化ねじれ力が高くなり、また、種部分のハードコア成分が多くなるほど、ゲル化速度が高まった。ゆえに、本発明の加工助剤のハードコアとソフトコアの比率を調整することで、使用する加工プロセスと機械に最適な物性を有する加工助剤を得ることができる。アイゾッド試験結果から分かるように、本発明の加工助剤を添加することで、ポリ塩化ビニル試験片の耐衝撃強度が高まり、且つ試験データに示されるように、種部分においてソフトコア(種エマルジョンB)の成分が多くなるほど、耐衝撃強度は良好となった。滑性試験により本発明は優れた滑性を有することが分かり、ローラで延伸すると、ローリングバンクが平滑となるのが分かり、また試験片をロールより引き出す時の剥離性も良好であり、ローラに粘着しない特性を有している。
比較例1
種エマルジョンC、Eを用い、実施例1と同じ操作ステップを進行し、並びに実施例1の粉体物性試験方法で物性試験を進行し、その結果を以下の表3と表4に示した。
【表3】
Figure 0003574739
【表4】
Figure 0003574739
比較例2
種エマルジョンD、Fを用い、実施例1と同じ操作ステップを進行し、並びに実施例1の粉体物性試験方法で物性試験を進行し、その結果を以下の表5と表6に示した。
【表5】
Figure 0003574739
【表6】
Figure 0003574739
比較例2と実施例1の異なる点は、比較例2の比粘度は0.15より高いことである。表6のデータに示されるように、このように高い比粘度の加工助剤を加えて加工すると、製品の表面に流紋が発生して外観に影響が生じる。
【0034】
実施例2:
種エマルジョンAとBを上述の配分と方法で製造するが、ただしそれぞれ余分に0.05部のジビニルベンゼン(Divinyl benzene;DVB)を架橋剤として重合系中に加える。こうして、平均粒径が146nmの種エマルジョンG及び平均粒径が128nmの種エマルジョンHを得る。この種エマルジョンG及びHを以下の表7の比率で混合した後、実施例1のシェル層重合部分の配分及び操作に従い、シェル層の重合反応を進行する。余分に加えた0.05部のDVBも反応系中で共に反応する。さらに実施例1の方式で塩析を進行し、反応結果及び物性試験結果を表7及び表8に示した。表8のデータに表示されるように、本発明の架橋型の加工助剤は、同様に優れた物性を有し、またアイゾッド値の比較的高い製品を得られる。
【0035】
実施例3:
種エマルジョンAの重合ステップに従い、イオン除去浄水750部、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム,Sodium laury sulfate)2部、氷酢酸0.028部、EDTA0.00125部、硫酸第1鉄0.0125部、過硫酸カリウム0.15部、メチルメタクリレート90部、エチルアクリレート10部、SFS0.2部を配合、重合させて、平均粒径122nmの種エマルジョンIを製造する。別に、種エマルジョンBの重合ステップに従い、イオン除去浄水750部、SLS2部、氷酢酸0.028部、EDTA0.0125部、硫酸第1鉄0.0125部、過硫酸カリウム0.15部、ブチルアクリレート45部、スチレン55部、SFS0.2部を配合、重合させて、平均粒径110nmの種エマルジョンJを得る。この種エマルジョンIとJを85:15の比で混合し、さらに実施例1のシェル重合ステップに従い重合を進行する。ただし実施例3では実施例1中の乳化剤であるミリスチン酸ナトリウムが、SLS(ラウリル酸ナトリウム)に改められ、過硫酸カリウムが実施例1のクミルヒドロペルオキシド(Cumyl hydroperoxide,CHP)に代わり使用されている。こうして得られた乳液をさらに塩化カルシウムで塩析して得られた粉体の比粘度は0.76であり、その物性試験結果は以下の表9に示すとおりであった。表9から分かるように、実施例3により得られた加工助剤も良好な物性と滑性を有する。
【表9】
Figure 0003574739
【0036】
実施例4:
実施例1と実施例3で得られた乳液に対して、スプレー乾燥機を用いてスプレー乾燥を進行し、得られた粉体の物性を以下の表10に示した。
【表10】
Figure 0003574739
表10から分かるように、スプレー方式で得られた粉体と塩析により得られた粉体は同様に良好な加工物性と滑性を有している。
【0037】
実施例5:
実施例1の加工助剤を異なる添加量として、加工物性試験を行い、その結果を以下の表11に示した。
【表11】
Figure 0003574739
表11より分かるように、本発明の加工助剤の添加量が多くなるほど、一部の加工物性、即ち、ゲル化物性、耐熱性、耐衝撃性が増強される。
【0038】
実施例6:
実施例1、3及び実施例4で得られた粉体に対して、押出し製品試験を進行する。試験結果によると、通常より低い、5〜10℃の試料温度において、押出し機のトルク表示は通常より約4.5%低く、得られた製品の外観も極めて良好であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明による加工助剤は、ポリハロゲン化エチレン樹脂の各種の加工、例えばカレンダ、押出し、インフレーション、発泡の加工プロセスに十分運用可能であり、透明、半透明及び不透明の軟質、半硬質、硬質製品の製造に用いられ、ポリハロゲン化エチレン樹脂は本発明の加工助剤を添加することで、混練加工時に滑性を有してローラに粘着しなくなり、ローリングバンクが平らとなり、プレートアウトを形成しなくなり、特に加工時間が比較的長い場合にも、材料が依然として良好な剥離性と滑性を維持できるようになるため、極めて良好な透明度、光沢度を有し曇り値の低い製品の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る滑性試験方法を示す図である。
【表7】
Figure 0003574739
【表8】
Figure 0003574739

Claims (8)

  1. 80〜99.5wt%のポリハロゲン化エチレン樹脂と、0.5 〜20wt%のアクリル酸系の高分子加工助剤で組成されて、各種加工プロセスに応用されうるコンパウンドとされて、この加工助剤が、多段式重合方式で製造されてコアとシェルからなる構造を有して、該コアは、モノマー総量の10〜90wt%のモノマーの重合により形成され、ハードとソフトの2種の異なる形式のコアを、任意の比率で混合してシェル層を重合により形成するための種として用いられ、該シェルは、モノマー総量の10〜90wt%のモノマーの重合により形成されて、一層式或いは多層式に形成され、該加工助剤が毎 100ml のメチルエチルケトン溶液に 0.4g の加工助剤を含む濃度とされ、以上の構成からなるポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンド。
  2. 前記加工助剤のコアが後続のシェルを重合により形成するときの種として用いられ、該コアには2種の異なる形式があり、この2種のコアが任意の比率で混合された後に、種とされ、
    上記ハードコアは、そのガラス転移点が65℃以上であり、65〜100 wt% のアルキルメタクリレート(alkylmethacrylates)と、0 〜35wt%の炭素数1 〜8 のアクリル酸系のモノマーと、 0〜35wt%の別のアクリル酸系のモノマーと、 0〜35wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマーと、0 〜5 wt% の架橋剤とが重合してなる重合体或いは架橋結合を有する重合体とされ、
    上記ソフトコアは、そのガラス転移点が50℃以下であり、35〜85 wt % の炭素数1 〜8 のアクリル酸系のモノマーに、 15 〜65wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマーと、0 〜50wt%のアルキルメタクリレートと、0 〜40wt%の別のアクリル酸系モノマーと、0 〜5 wt%の架橋剤とが重合してなる重合体或いは架橋結合を有する重合体とされる、
    以上を特徴とする、請求項1に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンド。
  3. 前記加工助剤のハードコアが、65〜100 wt%の炭素数1〜4のアルキルメタクリレート(alkyl methacrylates)と、0 〜35wt%の炭素数1〜4のアクリル酸系モノマーと、0 〜35wt%の炭素数1〜4の別のアクリル酸系モノマーと、0 〜35wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマーと、0 〜5 wt%の架橋剤を重合させてなる重合体或いは架橋結合を有する重合体とされたことを特徴とする、請求項2に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンド。
  4. 前記加工助剤のソフトコアが、35〜85 wt %の炭素数1〜4のアクリル酸系モノマーと、15 〜65wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマーと、0 〜50wt%の炭素数1〜4のアルキルメタクリレートと、0 〜40wt%の別のアクリル酸系モノマーと、0 〜5 wt%の架橋剤を重合させてなる重合体或いは架橋結合を有する重合体とされたことを特徴とする、請求項2に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンド。
  5. 前記加工助剤のシェルが、単層式或いは多層式構造とされ、第 1層の組成は、0 〜100 wt%のアルキルメタクリレートと、0 〜50%の炭素数1 〜8 のアクリル酸系モノマーと、0 〜50wt%の別のアクリル酸系モノマーと、0 〜60wt%の二重結合を有するフェニルエチレンモノマーと、0 〜5 wt%の架橋剤を重合してなる単一重合体或いは共重合体或いは二重結合を有する重合体とされ、該シェルの第一層以外の層は、0〜10wt%のモノマー重合により形成され、0 〜50 wt %のアルキルメタクリレートと、0 〜60wt%の炭素数1 〜8 のアクリル酸系モノマーと、0 〜50wt%の別のアクリル酸系モノマーが共重合して形成され、以上を特徴とする、請求項1に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンド。
  6. 前記加工助剤の種が、0 〜100 wt%のハードコアと0 〜100 wt%のソフトコアが任意の比率で混合されてなることを特徴とする請求項1に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンド。
  7. 前記加工助剤の種が、シェル反応の種として用いられてシェル層の重合が進行され、種の外層に一層或いは多層のシェル層が形成されて、該加工助剤が、コアとシェルからなる構造を有するものとされたことを特徴とする、請求項1に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンド。
  8. 前記加工助剤が、乳化重合或いは溶液重合の方式で製造され、製造された粉体が0.25〜1.5の比粘度値を有し、この比粘度値が30℃の恒温下で、100mlのメチルエチルケトン溶液中に0.4gの加工助剤を含む時に測定されることを特徴とする、請求項1に記載のポリハロゲン化エチレン樹脂コンパウンド。
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