JP3549639B2 - 塩化ビニル系樹脂発泡体用気泡安定剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル系樹脂発泡体用気泡安定剤に関し、詳しくは、健康や環境に悪影響を及ぼすおそれのある芳香族炭化水素を使用することなく、低粘度で取扱の容易な塩化ビニル系樹脂発泡体用気泡安定剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
塩化ビニル系樹脂は、耐熱性、耐候性に優れ、可塑剤を使用することで、硬い用途から軟らかい用途まで使用することができるため種々の用途に使用されている。また、上記塩化ビニル系樹脂の発泡体も、壁紙等の建材、あるいは包装材などとして汎用されている。
【0003】
塩化ビニル系樹脂発泡体を製造する方法は、 (1)アゾジカーボンアミドなどの熱分解型有機発泡剤を使用する方法、 (2)機械的撹拌によって発泡させる方法あるいは (3)ハロゲン系溶剤などの揮発性溶剤を用いて発泡する方法などがあげられる。
【0004】
また、上記塩化ビニル系樹脂発泡体の製造に用いられる塩化ビニル系樹脂には、通常の塩化ビニル系樹脂用安定剤が使用されるが、それだけでは上記の如き方法により製造された発泡体の気泡が均一なもを得ることが困難であり、そのため、メタクリル酸アルキルエステル系重合体などの気泡安定剤が使用されている。
【0005】
ところが、これらのメタクリル酸アルキルエステル系重合体などを塩化ビニル系樹脂に配合する際には、そのまま配合すると均一に混合されず、気泡安定剤としての効果を十分に発揮することができない。そのため溶解性に優れ、低粘度のものを提供することができるキシレン、ミネラルスピリットなどの芳香族系溶剤に溶解して使用される。
【0006】
しかし、近年、健康あるいは環境への悪影響を考え、壁紙等の建材用途での芳香族炭化水素の使用が規制される動きがある。このため、芳香族炭化水素以外の溶剤が要求されるが、その他の溶剤を使用した場合には、溶解性が不十分であったり、溶液の粘度が大きく取扱に窮するなどの欠点がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、低粘度で取扱性に優れ、塩化ビニル系樹脂発泡体に配合した場合に均一な気泡を与えることのできる塩化ビニル系樹脂発泡体用気泡安定剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、メタクリル酸アルキルエステルの単独または共重合体を、脂肪族または脂環族炭化水素と特定のアルコールとの混合溶剤に溶解してなる組成物が、上記目的を達成し得ることを知見した。
ことを見出した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、(イ)メタクリル酸アルキルエステル10〜100重量%およびその他の反応性二重結合を有するモノマー90〜0重量%からなる単独重合体若しくは共重合体又はそれらの混合物を、(ロ)沸点100℃以上の脂肪族または脂環族炭化水素10〜90重量%および下記〔化2〕(前記〔化1〕と同じ)の一般式(I)で表されるアルコール90〜10重量%からなる混合溶剤に溶解してなる塩化ビニル系樹脂発泡体用気泡安定剤を提供するものである。
【0010】
【化2】
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の塩化ビニル系樹脂発泡体用気泡安定剤について詳細に説明する。
【0012】
本発明に用いられる(イ)成分である単独重合体若しくは共重合体又はそれらの混合物はそれぞれ、メタクリル酸アルキルエステルを単独で重合して得られ、若しくはメタクリル酸アルキルエステルとその他の反応性二重結合を有するモノマーとを共重合して得られ、又は得られた単独重合体と共重合体とを混合することにより得られるものである。
上記(イ)成分を構成する上記メタクリル酸アルキルエステルのアルキル基としては、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、第三オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、イソドデシル、ノルマルパラフィンなどがあげられ、また、上記その他の反応性二重結合を有するモノマーとしては、アクリル酸アルキルエステル、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、メタクリル酸アミド、アクリル酸アミド、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、N−ジまたはモノアルキルアミノエチルメタクリレートなどがあげられる。
【0013】
上記メタクリル酸アルキルエステルと上記その他の反応性二重結合を有するモノマーとを重合する際の重合比(前者/後者)は、10/90〜100/0(重量基準)である。上記メタクリル酸アルキルエステルが10重量%未満の使用では、気泡安定剤としての効果が不十分である。
【0014】
上記単独重合体又は上記共重合体の数平均分子量は、好ましくは10000〜100000、更に好ましくは20000〜80000である。該数平均分子量が上記範囲外では、気泡安定化効果が低下するおそれがあり好ましくない。
【0015】
本発明に用いられる(ロ)成分である混合溶剤を構成する沸点100℃以上の脂肪族炭化水素としては、例えば、オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、デカン、ドデカン、流動パラフィンなどあるいはこれらの混合物があげられ、また、沸点100℃以上の脂環族炭化水素としては、例えば、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ピネン、ジペンテン、ビシクロヘキシル、デカリンなどあるいはこれらの混合物があげられる。該脂肪族または脂環族炭化水素に該当する商品(市販品)としては、例えば、エクソン化学社製のアイソパーG,L等あるいはエクゾールD−80,D−100等、日本石油化学社製アイソゾール200,300等、モービル石油化学社製ペガソールAN−45等、中央化成品社製の流パラLP−30等があげられる。
上記脂肪族または脂環族炭化水素の沸点は、100℃以上である。該沸点が100℃未満では、揮発性が高く取扱上好ましくないばかりでなく、発泡性に悪影響を与える。
【0016】
また、上記(ロ)成分である混合溶剤を構成するアルコールは、上記一般式(I)で表されるものであり、例えば、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノールなどの直鎖および分岐アルコール、エチレングリコールモノプロピルグリコール、エチレングリコールモノブチルグリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルグリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコーモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテルアルコールなどがあげられる。
上記アルコールは、その全炭素原子数が5〜13であり、5未満の場合には揮発性が高く取扱上好ましくないばかりでなく、発泡性に悪影響を与え、13を超える場合には粘度が高くなりすぎる。
【0017】
また、上記(ロ)成分である混合溶剤は、上記脂肪族または脂環族炭化水素10〜90重量%および上記アルコール90〜10重量%からなり、該アルコールが10重量%未満の場合には十分な溶解性を示さず、該脂肪族または脂環族炭化水素が10重量%未満の場合には粘度が大きくなり過ぎる。
【0018】
本発明において、上記(ロ)成分の使用量は、上記(イ)成分100重量部に対して、好ましくは50〜1000重量部、更に好ましくは100〜500重量部である。該(ロ)成分の使用量が50重量部未満では、溶解性が不十分であったり、高粘度であり、1000重量部を超えても無駄であるばかりでなく、気泡安定剤の濃度が小さくなりすぎて、取扱いが煩雑となるため好ましくない。
【0019】
本発明の塩化ビニル系樹脂発泡体用気泡安定剤は、塩化ビニル系樹脂発泡体に使用して安定化させるものである。上記塩化ビニル系樹脂発泡体とは、塩化ビニル系樹脂および可塑剤などからなる塩化ビニル系樹脂組成物を (1)アゾジカーボンアミドなどの熱分解型有機発泡剤を用いて発泡させる方法、 (2)機械的撹拌によって発泡させる方法あるいは (3)ハロゲン系溶剤などの揮発性溶剤系発泡剤を用いて発泡させる方法などによって得られるものであり、上記 (1)の方法は、成型加工した後で加熱して発泡することにより得ることができるため特に汎用されている。
【0020】
本発明の塩化ビニル系樹脂発泡体用気泡安定剤は、上記塩化ビニル系樹脂発泡体を形成するに際し、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、上記(イ)成分が好ましくは0.01〜10重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部となるような使用量で用いられる。ここで、上記(イ)成分が0.01重量部未満では、気泡安定性の改善効果が不十分であり、10重量部を超えても、効果の向上は見られず、むしろ他の性能に悪影響を与えるおそれがあるため好ましくない。
【0021】
上記塩化ビニル系樹脂としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などその重合方法には特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリテン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニリトル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体などの塩素含有樹脂、およびそれら相互のブレンド品あるいは他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリエステルなどとのブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体などをあげることができる。
【0022】
上記可塑剤としては、例えば、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレートなどのフタレート系可塑剤、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペートなどのアジペート系可塑剤、トリクレジルホスフェートなどのホスフェート系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、塩素化パラフィン系可塑剤、トリメリテート系可塑剤、ピロメリテート系可塑剤、ビフェニルテトラカルボキシレート系可塑剤などがあげられる。
【0023】
また、上記 (1)の方法に用いられる上記熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチルニトリル、ジアゾアミノベンゼン、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、アゾビス(ヘキサヒドロベンゾニトリル)などのアゾ系発泡剤、N,N’−ジニトロペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロテレフタルアミンなどのニトロソ系発泡剤、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、3,3’−ジスルホンヒドラジドフェニルスルホン、トルエンジスルホニルヒドラゾン、チオビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンエスルホニルアジド、トルエンスルホニルセミカルバジド、p,p’−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)エーテルなどのヒドラジド系発泡剤、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビズ(スルホニルセミカルバジド)などのカルバジド系発泡剤、トリヒドラジノトリアジン、1,3−ビス(o−ビフェニルトリアジン)などのトリアジン系発泡剤などがあげられる。
【0024】
上記熱分解型発泡剤には、例えば、蓚酸、枸櫞酸、酒石酸、尿素、亜鉛化合物、銅化合物などの分解助剤を使用することができる。
【0025】
また、上記 (3)の方法に用いられる上記揮発性溶剤系発泡剤としては、例えば、n−ペンタン、ネオペンタンなどの脂肪族炭化水素、塩化メチル、フロン、代替フロンなどのハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、芳香族炭化水素などがあげられる。
【0026】
また、上記塩化ビニル系樹脂組成物には、カルボン酸、有機リン酸類またはフェノール類の金属(Li,Na,K,Ca,Ba,Mg,Sr,Zn,Cd,Sn, Cs,Al,有機Sn)塩を添加することができ、上記カルボン酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルヘキシル酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、クロロステアリン酸、12−ケトステアリン酸、フェニルステアリン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸および類似酸ならびに獣脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、桐油脂肪酸、大豆油脂肪酸及び綿実油脂肪酸などの天然に産出する上記の酸の混合物、安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、エチル安息香酸、イソプロピル安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、サリチル酸、5−第三オクチルサリチル酸、ナフテン酸、シクロヘキサンカルボン酸等があげられ、上記有機リン酸類としては、モノまたはジオクチルリン酸、モノまたはジドデシルリン酸、モノまたはジオクタデシルリン酸、モノまたはジ−(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステルなどがあげられ、上記フェノール類としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフエノールなどがあげられる。上記金属塩は、中性塩、酸性塩、塩基性塩あるいは過塩基性塩であってもよい。
【0027】
上記金属塩の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部である。
【0028】
また、上記塩化ビニル系樹脂組成物には、さらに通常塩化ビニル系樹脂用添加剤として用いられている各種の添加剤、例えば、ポリオール類、有機ホスファイト化合物、フェノール系または硫黄系抗酸化剤、エポキシ化合物、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等を配合することもできる。
【0029】
上記ポリオール類としては、例えば、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールまたはジペンタリスリトールのステアリン酸ハーフエステル、ビス(ジペンタエリスリトール)アジペート、グリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどあげられる。
【0030】
上記ポリオール類の配合量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、更に好ましくは0.05〜5重量部である。
【0031】
上記有機ホスファイト化合物の例としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−4,4’−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12〜15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス〔4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)〕・1,6−ヘキサンジオール・ジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドなどがあげられる。
【0032】
上記有機ホスファイト化合物の配合量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部とするのが好ましい。
【0033】
上記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン−ビス〔β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられる。
【0034】
上記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステルなどのジアルキルチオジプロピオネート類およびペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)などのポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類などがあげられる。
【0035】
上記エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油などのエポキシ化動植物油、エポキシ化ステアリン酸メチル、−ブチル、−2−エチルヘキシル、−ステアリルエステル、エポキシ化ポリブタジエン、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、エポキシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化アマニ油脂肪酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロヘキセンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのエポキシ化合物などがあげられる。
【0036】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)などの2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステルなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリドなどの置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどのシアノアクリレート類などがあげられる。
【0037】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラテス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラエチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカンなどのヒンダードアミン化合物があげられる。
【0038】
また、上記塩化ビニル系樹脂組成物には、通常塩化ビニル系樹脂に使用される安定化助剤を添加することができる。該安定化助剤としては、例えば、ジフェニルチオ尿素、アニリノジチオトリアジン、メラミン、安息香酸、ケイヒ酸、p−第三ブチル安息香酸、デヒドロ酢酸(金属塩)、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、ハイドロタルサイト、ゼオライト、過塩素酸塩などがあげられる。
【0039】
その他、上記塩化ビニル樹脂組成物には、必要に応じて通常塩化ビニル系樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、難燃剤、防曇剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤等を配合することができる。
【0040】
また、上記塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂の加工方法には無関係に使用することが可能であり、例えば、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、溶融流延法、加圧成型加工、ペースト加工、粉体成型等に好適に使用することができる。
【0041】
上記塩化ビニル系樹脂発泡体は、壁材、床材、窓枠、壁紙等の建材;自動車用内装材;農業用資材;トレー等の食品包装材;レザー、シート、ホース、玩具等の雑貨として好適に使用することができる。
【0042】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって制限を受けるものではない。
【0043】
実施例1
ポリイソブチルメタクリレート(数平均分子量50000)30重量部を溶剤(下記〔表1〕参照)70重量部に加熱して溶解性を確認した(溶解した;○,溶解しなかった;×)。また、溶解したものに関しては、25℃および10℃における粘度を測定した。それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例2
本発明の塩化ビニル系樹脂発泡体用気泡安定剤の効果を次に確認した。
【0046】
次の配合物をらいかい機を使用し20分間混合し、均一なペーストゾルを作成した。このペーストゾルを難燃紙上に0.18mm厚になるように塗布し、140℃のオーブン中で1分間セミキュアーた。次いで220℃で30〜50秒間加熱し、発泡体を作成した。得られた発泡体の発泡セルの状態を確認した(良;○,悪;×)。その結果を下記〔表1〕に示す。
【0047】
〔配合〕 重量部
塩化ビニル樹脂〔PSL−280:鐘淵化学(株)製〕 100
ジオクチルフタレート 65
炭酸カルシウム 80
酸化チタン 15
アゾジカーボンアミド 3
MARK FL−30〔旭電化工業(株)製液状安定剤〕 3
気泡安定剤(下記〔表2〕参照) 1
【0048】
【表2】
【0049】
上記〔表1〕および〔表2〕の結果より以下のことが明らかである。
メタクリル酸エステル重合体を芳香族溶媒に溶解してなる塩化ビニル系樹脂安定剤(比較例 1−1)は、低粘度で取扱が容易で溶解性に優れるが、この芳香族溶媒は健康、環境へ悪影響を及ぼすおそれがある。また、脂肪族あるいは脂環族の炭化水素系溶媒を単独で使用した場合(比較例 1−2)には、溶解性が劣り、アルコール系溶媒を単独で使用した場合(比較例 1−3,1−4,1−5)には、溶解性は示すものの溶液の粘度が高くその取扱が困難となる。
【0050】
これに対し、脂肪族あるいは脂環族の炭化水素系溶媒および特定のアルコールの混合溶媒を使用した場合には、溶解性に優れ且つ低粘度の溶液が得られ(実施例 1−1〜1−6 )、塩化ビニル系樹脂発泡体用安定剤としての効果も良好である(実施例 2−1〜2−6 )。
【0051】
【発明の効果】
本発明の塩化ビニル系樹脂発泡体用気泡安定剤は、低粘度で取扱性に優れ、塩化ビニル系樹脂発泡体に配合した場合に均一な気泡を与えることのできるものである。
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