JP3797847B2 - 繊維用塩化ビニル系樹脂組成物及び繊維用塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は繊維用塩化ビニル系樹脂組成物及び繊維用塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物に関し、詳しくは、ウィッグ、ブレード、エクステンションヘアー等の頭髪装飾用等の人工毛髪用繊維として用いられ、人毛に似た艶、色相、風合いを有する塩化ビニル系繊維を形成することのできる繊維用塩化ビニル系樹脂組成物及び繊維用塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
塩化ビニル系樹脂を紡糸して繊維状にしてなる塩化ビニル系繊維は、その透明性、柔軟性が優れていることから頭髪装飾用等の人工毛髪用繊維として多く使用されている。しかしながら、塩化ビニル系樹脂は溶融粘度が高く、また、高温時において熱分解し、また、高延伸倍率の曳糸性が極めて低いため、溶融紡糸によっては細繊度繊維の紡糸が困難であった。このため、一般には溶剤を用いて湿式又は乾式紡糸法により製造する方法や、あるいは特殊な方法、例えば、特公昭34−6908号公報に記載されているように、ノズルより溶出する溶融糸を直ちに高温の熱媒中へ導き、あるいは繊維軸方向に設けた加熱紡糸筒を通して瞬間的に加熱溶融することにより、曳糸性を向上させて高延伸倍率にて延伸し、細繊度繊維を得る方法が知られている。また、特公昭51−2109号公報に記載されているように、塩素化塩化ビニル樹脂とメチルメタクリレート系重合体とを併用することによって曳糸性を改良する研究が行なわれている。
【0003】
しかしながら、上記方法によっても塩化ビニル系樹脂は溶融紡糸において十分な曳糸性を得ることはできず、十分な細さの細繊度繊維を得ることは困難であるといった課題があった。また、塩化ビニル系樹脂は、高温での熱の作用や、日光や紫外線等の光照射によって脱塩化水素反応が進行してポリエン構造が生成し、黄色化が起こる。該黄色化は加工中の熱履歴により経時的に進行し、「焼け」や「色むら」を発生させるため、上記塩化ビニル系樹脂を紡糸してなる塩化ビニル系繊維は着色性、特に初期着色性が劣り、商品価値を低下させる場合があるといった課題があった。また、紡糸時に用いる例えば溶融紡糸押出機内の溶融樹脂が粘着して滞留物となり、これが熱分解して焼け樹脂が発生する場合があり、この焼け樹脂が繊維中に混入すると糸切れが発生して紡糸が困難になったり、掃除に長時間労力を費やすことになる。
【0004】
このような問題を解決するために、特開平10−251916号公報には、塩化ビニル系樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂の混合物に有機スズ系安定剤及び滑剤を配合してなる繊維用塩化ビニル系樹脂組成物が提案されており、「焼け」や「色むら」といった問題点の改善はみられているが、ここで使用される有機スズ系安定剤は環境への悪影響が考えられ、臭気の問題もあった。また、特開平11−100714号公報には、塩化ビニル系樹脂に、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、熱安定剤及び滑剤を配合してなる繊維用塩化ビニル系樹脂が提案されているが、ここで熱安定性として使用されている有機スズ系安定剤は臭気の問題があり、その他の具体的に例示されている有機スズ系安定剤以外の安定剤を使用した場合には「焼け」や「色むら」の改善という面から未だ満足できる性能のものは得られていない。例えば、ここで使用されているハイドロタルサイト化合物等は単独で使用した場合には分散不良を起こし、「糸切れ」を生じ、「焼け」や「色むら」の改善効果も小さい。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、溶融紡糸する際に優れた曳糸性を有し、細繊度繊維の製造が可能であると共に、「糸切れ」、「焼け」や「色むら」が発生しにくく、初期着色性を著しく改良し得ると共に、糸切れが発生しにくい繊維を提供し得る繊維用塩化ビニル樹脂組成物及び繊維用塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、塩化ビニル系樹脂にハイドロタルサイト化合物と珪酸化合物とを組み合わせて用いることによって、「糸切れ」、「焼け」や「色むら」のない塩化ビニル系繊維を提供し得ることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
即ち、本発明は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、(イ)ハイドロタルサイト化合物の少なくとも一種0.01〜10重量部、(ロ)二酸化珪素0.001〜1重量部を含有してなることを特徴とする繊維用塩化ビニル系樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、(イ)ハイドロタルサイト化合物100重量部に対し、(ロ)二酸化珪素0.1〜50重量部を混合してなることを特徴とする繊維用塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の繊維用塩化ビニル系樹脂組成物及び繊維用塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物について詳細に説明する。
【0010】
本発明に使用される(イ)成分のハイドロタルサイト化合物は、下記一般式(I)で表わされるように、マグネシウム及び/又はアルカリ金属とアルミニウムあるいは亜鉛、マグネシウム及びアルミニウムからなる複合塩化合物であり、結晶水を脱水したものであってもよい。
【0011】
【化1】
Mgx1Zn x2 Al2(OH)2(x1+x2)+4(CO3)1/2・mH2O
(式中、Iaはアルカリ金属原子を表わし、x1、x2及びyは各々次に示す範囲にあり、mは0又は正の数を示す;0≦x2/x1<10,2≦x1+x2≦20)
【0012】
上記ハイドロタルサイト化合物は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。該合成品の合成方法としては、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭51−29129号公報、特公平3−36839号、特開昭61−174270号公報、特開平5−179052号公報等に記載の公知の方法を例示することができる。また、上記ハイドロタルサイト化合物は、その結晶構造、結晶粒子径等に制限されることなく使用することが可能である。
【0013】
また、上記ハイドロタルサイト化合物としては、その表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル又はワックス等で被覆したものであってもよい。
【0014】
これら(イ)成分のハイドロタルサイト化合物の配合量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。配合量が0.01重量部未満では熱安定化効果が得られず、また10重量部よりも多く配合しても無駄であるばかりでなく、着色を低下する恐れ等があるため好ましくない。
【0015】
本発明においては、(ロ)成分として、二酸化珪素を用いることでハイドロタルサイト化合物との相乗効果が発揮される。ここで使用される二酸化珪素は、二酸化珪素の純度が好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であり、無水物であっても含水物であってもよい。二酸化珪素の比表面積は、80m2/g以上、好ましくは120m2/g以上である。
【0016】
(ロ)成分の二酸化珪素の配合量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.1重量部である。配合量が0.001重量部未満では配合効果が得られず、1重量部よりも多く配合しても無駄であるばかりでなく、着色を低下する恐れ等があるため好ましくない。
【0017】
これら(イ)成分及び(ロ)成分はそれぞれ単独で塩化ビニル系樹脂に配合することもできるが、予めヘンシェルミキサー等で混合して安定剤組成物として配合することで、二次凝集を抑制して優れた分散性を発揮し、耐熱性の向上効果が著しく発揮することができるため好ましい。
【0018】
安定剤組成物の製造方法に関しては特に制限されるものではなく、(イ)成分及び(ロ)成分を混合した後で他の添加剤を加えて混合する方法、あるいは(イ)成分及び(ロ)成分と共に他の添加剤を一括して混合する方法等が挙げられる。また、混合は上述したヘンシェルミキサー、ロッキングミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー、らいかい機等の混合機器を使用する方法でも、あるいは容器に入れて手ブレンドする方法でもよい。
【0019】
この場合において、(ロ)成分の配合量は、(イ)成分100重量部に対し、0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部である。配合量が0.1重量部未満ではハイドロタルサイト化合物との相乗効果を得るために不十分であるため好ましくなく、また50重量部を超えて配合した場合には無駄であるし、塩化ビニル系樹脂に配合する際にハイドロタルサイト化合物の安定化作用を阻害する恐れがあるため好ましくない。
【0020】
本発明に使用される塩化ビニル系樹脂としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等その重合方法には特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル三元共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、及びそれらの相互のブレンド品、あるいはそれらの塩化ビニル系樹脂と他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン等とのブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体等を挙げることができる。
【0021】
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物あるいは塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物には、有機酸亜鉛塩を含有することで初期の着色を抑制し得ることができるため好ましい。
【0022】
ここで有機酸としては、カルボン酸、フェノール類又は有機リン酸等が挙げられ、有機酸亜鉛塩は、正塩、酸性塩、塩基性塩あるいは過塩基性塩であってもよい。
【0023】
上記カルボン酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルへキシル酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、クロロステアリン酸、12−ケトステアリン酸、フェニルステアリン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸及び類似酸ならびに獣脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、桐油脂肪酸、大豆油脂肪酸及び綿実油脂肪酸等の天然に産出する上記酸の混合物、安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、エチル安息香酸、イソプロピル安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、サリチル酸、5−第三オクチルサリチル酸、ナフテン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アジピン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、また、上記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール等が挙げられ、上記有機リン酸としては、例えば、モノ又はジオクチルリン酸、モノ又はジドデシルリン酸、モノ又はジオクタデシル燐酸、モノ又はジ(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステル等が挙げられる。
【0024】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物において、有機酸亜鉛塩の配合量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。配合量が0.01重量部未満では配合効果が得られず、10重量部よりも多く配合しても無駄であるばかりでなく、熱履歴時に短時間で黒化を生じる恐れがあるため好ましくない。
【0025】
また、本発明の安定剤組成物において、有機酸亜鉛塩の配合量は、(イ)ハイドロタルサイト化合物100重量部に対し、0.1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部である。配合量が0.1重量部未満あるいは50重量部を超えた場合には、上記と同様の問題が生じる。
【0026】
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物あるいは塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物には、β−ジケトン化合物を含有することで初期の着色を抑制しうることができるため好ましい。
【0027】
ここでβ−ジケトン化合物としては、例えば、ジベンゾイルメタン、ベンゾイルアセトン、ステアロイルベンゾイルメタン、カプロイルベンゾイルメタン、デヒドロ酢酸、トリベンゾイルメタン、1,3−ビス(ベンゾイルアセチル)ベンゼン等あるいはこれらの金属塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛等)等が挙げられる。
【0028】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物において、β−ジケトン化合物の配合量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。配合量が0.01重量部未満では配合効果が得られず、10重量部よりも多く配合しても無駄であるばかりでなく、熱履歴時に短時間で黒化を生じる恐れがあるため好ましくない。
【0029】
また、本発明の安定剤組成物において、β−ジケトン化合物の配合量は、(イ)ハイドロタルサイト化合物100重量部に対し、0.1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部である。配合量が0.1重量部未満あるいは50重量部を超えた場合には、上記と同様の問題が生じる。
【0030】
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、さらに通常塩化ビニル系樹脂用添加剤として用いられている各種の添加剤、例えば、有機酸アルカリ土類金属塩、有機錫化合物、可塑剤、滑剤、防曇剤、防霧剤、液状ポリブタジエン、過塩素酸塩類、ゼオライト化合物、有機ホスファイト化合物、フェノール系又は硫黄系抗酸化剤、エポキシ化合物、ポリオール類、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、その他の無機金属化合物等を配合することもできる。
【0031】
上記有機酸アルカリ土類金属塩を構成するアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム等が挙げられ、有機酸アルカリ土類金属塩は、正塩、酸性塩、塩基性塩あるいは過塩基性塩であってもよい。
【0032】
上記有機錫化合物としては、例えば、ジブチル錫あるいはジオクチル錫のラウレート、マレート、メルカプト、マレートポリマー等が挙げられる。
【0033】
上記可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ブチルヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルテレフタレート等のフタル酸系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペート等のアジピン酸系可塑剤;多価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等と、二塩基酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等とを用い、必要により一価アルコール、モノカルボン酸をストッパーに使用したポリエステル系可塑剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ(ブトキシエチル)ホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;その他、テトラヒドロフタル酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、ビフェニレンポリカルボン酸系可塑剤等が挙げられる。
【0034】
上記滑剤としては、例えば、炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、アルコール系滑剤、金属石けん系滑剤等が挙げられる。
【0035】
上記防曇剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンジステアレート、ジグリセリンジオレートナトリウムラウリルサルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルアミン塩酸塩、ラウリン酸ラウリルアミドエチルリン酸塩、トリエチルセチルアンモニウムイオダイド、オレイルアミノジエチルアミン塩酸塩、ドデシルピリジニウム塩等が挙げられる。
【0036】
上記防霧剤としては、例えば、アニオン系含フッ素界面活性剤、カチオン系含フッ素界面活性剤、両性含フッ素界面活性剤、ノニオン系含フッ素界面活性剤、含フッ素オリゴマー等の含フッ素化合物が挙げられる。
【0037】
上記液状ポリブタジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエンの単独重合によって得られる1,2−アタクチックポリブタジエン、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン、1,2−アイソタクチックポリブタジエン、1,4−シスポリブタジエン、1,4−トランスポリブタジエン、あるいはこれらのブロックポリマー、グラフトポリマー及び混合物、さらに部分エポキシ化物、末端にヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有するもの、あるいは部分的にマレイン化、ハロゲン化、ボイル化、水素添加、アクリル変性、ウレタン変性、エステル変性等の変性品が挙げられる。これらの液状ポリブタジエンの中でも、特にエポキシ変性されたものが耐候性向上効果を有するため好ましい。これらの液状ポリブタジエンの平均分子量は、好ましくは250〜25000、さらに好ましくは500〜10000である。
【0038】
上記過塩素酸塩類としては、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ストロンチウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸亜鉛、過塩素酸アルミニウム、過塩素酸鉛、過塩素酸アンモニウム等が挙げられ、これらの過塩素酸塩類は無水物でも含水塩でもよく、また、ブチルジグリコール、ブチルジグリコールアジペート等のアルコール系及びエステル系の溶剤に溶かしたもの等及びその脱水物でもよい。
【0039】
上記ゼオライト化合物は、独特の三次元のゼオライト結晶構造を有するアルカリ又はアルカリ土類金属のアルミノ珪酸塩であり、その代表例としては、A型、X型、Y型、及びP型ゼオライト、モノデナイト、アナルサイト、ソーダライト族のアルミノ珪酸塩、クリノブチロライト、エリオナイト及びチャバサイト等を挙げることができ、これらゼオライト化合物の結晶水(いわゆるゼオライト水)を含有する含水物又は結晶水を除去した無水物のいずれでもよい。
【0040】
上記有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2−第三ブチル−4,6−ジメチルフェニル)・エチルホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2' −メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスフィト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−4,4' −イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4' −イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[ 2,2’−メチレンビス( 4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、水素化−4,4' −イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス( オクチルフェニル) ・ビス[ 4,4' −n―ブチリデンビス( 2−第三ブチル−5−メチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオール・ジホスファイト、テトラトリデシル・4,4' −ブチリデンビス( 2−第三ブチル−5−メチルフェノール) ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
【0041】
上記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p −クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4' −チオビス(6−第三ブチル−m −クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2' −メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[ 3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド] グリコールエステル、4,4' −ブチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2' −エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[ 2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル] テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[ (3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル] イソシアヌレート、テトラキス[ メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[ 2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル] −2,4,8,10−テトラオキサスピロ[ 5.5] ウンデカン] 、トリエチレングリコールビス[ β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート] 等が挙げられる。
【0042】
上記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類等が挙げられる。
【0043】
上記エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化サフラワー油等のエポキシ化動植物油、エポキシ化ステアリン酸メチル、エポキシ化ステアリン酸ブチル、エポキシ化ステアリン酸2−エチルへキシル、エポキシ化ステアリン酸ステアリルエステル、エポキシ化ポリブタジエン、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、エポキシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化亜麻仁油脂肪酸エステル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロヘキセンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキセンメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ヘキサンジオールポリグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールポリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールポリグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0044】
上記ポリオール類としては、例えば、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールのステアリン酸ハーフエステル、ビス(ジペンタエリスリトール)アジペート、グリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ソルビトール、マンニトール、トレハロース等が挙げられる。
【0045】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−第三ブチル−4' −(2−メタクロイルオキシエトキシエトキシ)ベンゾフェノン、5,5' −メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−C7 〜9 混合アルコキシカルボニルエチルフェニル)トリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3、5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2' −メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシエトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2' −エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4' −ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類等が挙げられる。
【0046】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[ 2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル] −1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[ 2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル] −1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[ 2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ] ウンデカン、1,6,11−トリス[ 2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ] ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0047】
上記のその他の無機金属化合物としては、例えば、リン酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0048】
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、通常塩化ビニル系樹脂に使用されるその他の安定化助剤を添加することができる。かかる安定化助剤としては、例えば、ジフェニルチオ尿素、ジフェニル尿素、アニリノジチオトリアジン、メラミン、安息香酸、けい皮酸、p−第三ブチル安息香酸等が挙げられる。
【0049】
その他、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じて通常塩化ビニル系樹脂に使用される添加剤、例えば、充填剤、着色剤、架橋剤、帯電防止剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性化剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、発泡剤等を配合することができる。
【0050】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物を用いて塩化ビニル樹脂系繊維を製造する方法は、特に限定されるものではないが、これをリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合設備を用いて混合し、得られた混合物を粉末状のまま直接押出機へ投入して溶融紡糸する。また、押出機、ニーダー、混連ロール等で造粒化して紡糸原料とした後、紡糸する方法等が挙げられる。
【0051】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物を用いて得られた塩化ビニル系樹脂繊維は、例えば、ウィッグ、ブレード、エクステンションヘアー等の頭髪装飾用等の人工毛髪用繊維等の用途に用いることができる。
【0052】
【実施例】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって制限を受けるものではない。
【0053】
〔実施例1−1〜1−5〕
(安定剤組成物▲1▼〜▲5▼の製造例)
ハイドロタルサイト化合物(HT−1又はHT−2)72.6重量部及びカープレックス#80(シオノギ製薬(株)製;含水無晶形二酸化ケイ素)2.2重量部をヘンシェルミキサー中に仕込み、350rpmで2分間混練し、さらに1050rpmで5分間混練した。その後、他の配合成分(表1)を仕込み、1050rpmで5分間混練した後に取り出した。この安定剤組成物▲1▼〜▲5▼のかさ比重を測定した。その結果を表1に示した。
【0054】
〔比較例1−1〜1−2〕
(安定剤組成物A及びBの製造例)
配合成分(表1)を一括してヘンシェルミキサー中に仕込み、350rpmで2分間混練し、さらに1050rpmで10分間混練した後に取り出した。この安定剤組成物A及びBのかさ比重を測定した。その結果を表1に示した。
【0055】
【表1】
【0056】
〔実施例2−1〜2−6及び比較例2−1〜2−3〕
下記配合物を樹脂温度130℃カット、60℃冷却後排出の条件にて75リットルのヘンシェルミキサーで混合し、以下の押出し条件で溶融紡糸を行った。
【0057】
(配合) 重量部
塩化ビニル樹脂(太陽塩ビ(株)製;平均重合度1050) 100
安定剤組成物(表1) 3
エポキシ化大豆油(旭電化工業(株)製;O−130P) 1
リン系キレーター(旭電化工業(株)製;アデカスタブ1030) 0.3
ポリエチレンワックス(三井石油化学(株)製) 0.5
【0058】
(押出し条件)
スクリュー:スクリュー口径40φmm、L/D=25、圧縮比2.3:1、スクリュー形式〔40mmピッチ、フルフライトタイプ〕
ノズル:孔形状;メガネ、孔面積;0.0509mm2、孔数;120、孔配列;円3列、ノズル孔のランド長;0.5mm
シリンダー温度:C1 165℃、シリンダーC2 170℃、C3 175℃、シリンダーC4 170℃
アダプター温度:175℃
ターンヘッド温度:175℃
ダイス温度:175℃
ノズル温度:175℃(ノズル樹脂温度約190℃)
押出し量:10kg/時間
【0059】
ノズルから流出したストランド(ポリ塩化ビニル樹脂組成物の繊維)は、加熱円筒(250℃雰囲気)に導入されて瞬間的に加熱溶解され、ノズル直下約4.5mの位置に設置した引取り機にて巻き取られる。該ストランドは、未延伸糸のままである。この巻取りの際、該未延伸糸の繊度(120本の平均値)が160〜170デニールになるように引取り速度を調節した。次に、該未延伸糸を二槽式延伸機にて第一槽(110℃加圧蒸気雰囲気下)に通し3.5倍に延伸後、第二槽(110℃雰囲気下)に通し5.9%弛緩させ延伸糸にする。さらに、該延伸糸を115℃の雰囲気下にて逐次弛緩方式で25%弛緩させ繊度が65〜70dになるようにした。
【0060】
その際の最大ドラフト比、糸切れ頻度(回数/時間)、初期着色性、繊維の状態を評価した。その結果を表2に示した。
【0061】
(最大ドラフト比)
ノズルより押出される糸条の速度に対し、引取り速度を上げていき単糸切れが頻発し始める時点での速度との比をとる。最大ドラフト比が大きいほど曵糸性が良好であり、細繊度の製造が可能となる。
【0062】
(糸切れ頻度)
8時間連続で溶融紡糸を行い、単糸切れ(120本の内の数本が切れる)が起こる回数を計測し、1時間当りの糸切れ頻度(回数/時間)に換算し下記三段階にて評価した。
○:なし
△:1〜2回
×:3回以上
【0063】
(初期着色性)
ノズルより押出される糸条の色を目視により下記三段階にて評価したものである。
○:黄変がみられない。
△:僅かに黄変が見られる。
×:明らかに黄変が見られる。
【0064】
(繊維の状態)
ノズルより押出される糸条の単糸において部分劣化の発生(炭化物の有無)を目視により評価した。
○:あり
×:なし
【0065】
【表2】
【0066】
上記実施例及び比較例より明らかなように、安定剤としてハイドロタルサイト化合物を用いた場合であっても、珪酸化合物を併用しない場合は糸条の単糸に炭化物が生じ糸切れが多発する(比較例2−1)。また、ハイドロタルサイト化合物に代えて金属石けん系の安定剤を用いた場合には、炭化物の発生は防止できるが曳糸性及び着色性が低下し、この欠点は珪酸化合物を併用しても解消できない(比較例2−2及び2−3)。
【0067】
これに対して、安定剤としてハイドロタルサイト化合物及び珪酸化合物を併用した場合は、炭化物の発生が防止できるだけではなく、曵糸性及び着色性が改善されている(実施例2−1〜2−6)。特に、ハイドロタルサイト化合物と珪酸化合物を予め混合した安定剤組成物は、かさ密度が小さいことからも明らかなように安定剤成分の凝集がないので、塩化ビニル系樹脂への分散性に優れるものと考えられ、この安定剤組成物を用いた場合は、安定剤成分を別個に配合した場合と比較して、曵糸性及び着色性に優れ、単糸切れ頻度も少ないので、長時間連続して塩化ビニル系樹脂繊維の製造が可能となる(実施例2−1〜2−5)。
【0068】
【発明の効果】
本発明の繊維用塩化ビニル系樹脂組成物から得られる塩化ビニル系繊維は、「糸切れ」、「やけ」や「色むら」がなく、人口毛髪用繊維として好適に使用することができる。
Claims (6)
- 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、(イ)ハイドロタルサイト化合物の少なくとも一種0.01〜10重量部、(ロ)二酸化珪素0.001〜1重量部を含有してなることを特徴とする繊維用塩化ビニル系樹脂組成物。
- 有機酸亜鉛塩の少なくとも一種をさらに含有し、その含有量が、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部であることを特徴とする請求項1記載の繊維用塩化ビニル系樹脂組成物。
- β−ジケトンの少なくとも一種をさらに含有し、その含有量が、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部であることを特徴とする請求項1又は2記載の繊維用塩化ビニル系樹脂組成物。
- (イ)ハイドロタルサイト化合物100重量部に対し、(ロ)二酸化珪素0.1〜50重量部を混合してなることを特徴とする繊維用塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物。
- 有機酸亜鉛塩の少なくとも一種をさらに混合し、その混合量が、上記(イ)ハイドロタルサイト化合物100重量部に対し、0.1〜50重量部であることを特徴とする請求項4記載の繊維用塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物。
- β−ジケトンの少なくとも一種をさらに混合し、その混合量が、上記(イ)ハイドロタルサイト化合物100重量部に対し、0.1〜50重量部であることを特徴とする請求項4又は5記載の繊維用塩化ビニル系樹脂用安定剤組成物。
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