JP3549589B2 - 液状フェノールノボラック樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、室温で流動性を有する液状のフェノールノボラック樹脂及びその製造方法に関し、詳しくは、成形材料のほか、エポキシ樹脂原料やエポキシ樹脂の硬化剤として使いよい室温流動性を有する液状フェノールノボラック樹脂とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フェノール類とアルデヒド類とから得られるフェノール樹脂は古くから知られており、例えば、村山新一著「フェノール樹脂」(日刊工業新聞社昭和45年9月30日初版発行)には、酸性触媒の存在下ではメチレン結合でフェノール核が結合されたノボラック樹脂が、また、塩基性触媒の存在下ではレゾール樹脂が得られ、これらの樹脂は、酸性触媒の存在下か、又は無触媒下に加熱することによって、不溶不融の固体に硬化すること等が記載されている。
【0003】
酸性触媒の存在下にフェノールとホルムアルデヒドとをモル比30対1程度のフェノール大過剰の条件下に反応させるときは、2つのフェノール核がメチレン基にて結合された2核体(純度90%以上、ビスフェノールFと称されている。)が主たる反応生成物として得られることも知られている。
【0004】
しかしながら、フェノールとホルムアルデヒドとを酸性触媒の存在下に反応させることによって得られるこのようなフェノールノボラック樹脂の軟化点は、上記ビスフェノールFに代表される低分子量のもので80℃前後、これよりも高分子量のフェノールノボラック樹脂では、通常、軟化点が80℃以上であって、このように、100℃以下では、通常、殆どの場合、固体であるか、又は高粘度であって、室温では流動性をもたない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来、知られているフェノールノボラック樹脂は、100℃以下の温度では、通常、結晶性の固体か、又は高粘度物であって、室温では流動性をもたないので、成形材料や、或いはエポキシ樹脂の硬化剤等として用いる場合には、一旦、加熱溶融させるか、又は粉砕して用いなければならない煩雑さがある。
【0006】
本発明者らは、従来のフェノールノボラック樹脂におけるこのような問題を解決するために、フェノールノボラック樹脂を構成する多核体の結晶化要素について鋭意研究した結果、p,p’−異性体成分は、その対称性の故に結晶化しやすく、なかでも、p,p’−2核体が特に結晶化しやすいこと、また、樹脂中のいずれかの一成分が50重量%を超えるときに結晶化が促進されること、更に、フェノールノボラック樹脂の平均分子量と軟化点との関係を調べた結果、100℃以下の温度において低粘度を有し、室温で流動性を有する液状物であるためには、平均分子量が300以下であることが望ましいこと等の知見を得て、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は、100℃以下の温度において低粘度を有すると共に、室温で流動性を有し、かくして、成形材料や、或いはエポキシ樹脂の硬化剤等として用いる場合に、所謂使いよい液状のフェノールノボラック樹脂とその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による室温で流動性を有する液状フェノールノボラック樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドとから得られる液状フェノールノボラック樹脂であって、2核体/3核体以上の多核体の組成比が重量比にて8.5/1.5〜5/5の範囲にあると共に、2核体中のp,p’−異性体が10重量%以下であり、平均分子量が300以下、60℃における粘度が100ポイズ以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明において、上記2核体とは、式(I)
【0010】
【化1】
【0011】
で表わされる。上記3核体以上の多核体は、一般に、式(II)
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、nは1以上の整数を示す。)
で表わされるが、実際は、直鎖ではなくて、分岐状のものや、環状構造のものもあるので、通常、一般式で表わすことは困難である。
このような本発明によるフェノールノボラック樹脂組成物は、本発明に従って、フェノールとホルムアルデヒドとをフェノール/ホルムアルデヒドの仕込みモル比20/1〜4/1の範囲にて、無触媒下に、温度100〜130℃で一次反応させ、その後、反応温度を高めて、反応系から水を留去しながら、二次反応を完結させることによって得ることができる。特に、好ましいフェノール/ホルムアルデヒドの仕込みモル比は、15/1〜6/1の範囲である。上記一次反応の温度は、通常、120℃程度が好適である。また、二次反応の温度は、例えば、160℃程度が好適である。
【0014】
本発明において用いることができるホルムアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド水溶液であるホルマリン(ホルマリン水溶液)、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等を挙げることができるが、工業的には、安価なホルマリン水溶液を好適に用いることができる。
【0015】
上記フェノールとホルムアルデヒドとの反応は、加圧下でも行なうことができるが、加圧下では、特殊な反応器を必要とすることから、好ましくは、常圧下、温度100〜130の範囲で一次反応を行い、その後、ホルマリン中の水及び反応生成水を留去しながら、徐々に反応温度を高めて、反応を完結させる二次反応を行なう。通常、最終的な反応温度は、150〜170℃程度である。
【0016】
本発明によれば、このような反応方法によって、p,p’−異性体を10重量%以下に制御しつつ、実質的に未反応のホルムアルデヒドと中間生成物であるメチロール化フェノールの生成なしに、結晶化を有効に抑えて、反応を完結させることができ、かくして、2核体/3核体以上の多核体の組成比が重量比にて8.5/1.5〜5/5の範囲にあり、平均分子量が300以下であり、更に、60℃における粘度が100ポイズ以下である室温で流動性を有する液状フェノールノボラック樹脂を得ることができる。
【0017】
特に、本発明によれば、2核体/3核体以上の多核体の組成比が重量比にて8.5/1.5〜7/3の範囲にあると共に、2核体中のp,p’−異性体が10重量%以下であり、平均分子量が300以下、60℃における粘度が70ポイズ以下であるフェノールノボラック樹脂が室温での流動性にすぐれて好ましい。
【0018】
本発明によるフェノールノボラック樹脂において、2核体/3核体以上の多核体の組成比が重量比にて8.5/1.5を越えるときは、結晶化しやすく、他方、5/5よりも小さいときは、平均分子量が大きく、且つ、軟化点が高くなり、固体化しやすく、いずれの場合も、室温で流動性を有する液状の樹脂を得ることができない。同様に、2核体中のp,p’−異性体が10重量%を越えるときも、得られるフェノールノボラック樹脂が結晶化して、室温で流動性を有する樹脂を得ることができない。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0020】
実施例1
温度計、攪拌装置及び留出管を取り付けた5リットル容量四ツ口フラスコにフェノール4230g(45.0モル)、35%ホルマリン水溶液257.1g(3.0モル)を仕込み、45分かけて、室温から120℃に昇温した。反応混合物を攪拌しながら120℃に4時間保った後、加熱を強めて、160℃まで徐々に温度を高めた。この間、仕込んだホルマリン中の水分と反応生成水が留出した。
【0021】
フラスコ内の温度が160℃に達したとき、攪拌しながら、反応混合物をその温度に2時間保って、反応を完結させた。反終了後、未反応のフェノールを減圧下に留去し、液状のフェノールノボラック樹脂576gを得た。
この樹脂をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び高速液体クロマトグラフイー(HPLC)にて分析した結果、次の組成と性質を有するものであった。
【0022】
上記組成から計算にて求めた樹脂の平均分子量は229であった。
【0023】
また、種々の温度における樹脂の粘度は、次のとおりであった。
50℃ 35.0ポイズ
60℃ 9.5ポイズ 70℃ 2.9ポイズ
【0024】
実施例2
1リットル容量の四つ口フラスコにフェノール348.6g(3.7モル)と35%ホルマリン31.7g(0.37モル)とを仕込んだ以外は、実施例1と同様の操作を行なって、液状フェノールノボラック樹脂61.1gを得た。
この樹脂をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び高速液体クロマトグラフイー(HPLC)にて分析した結果、次の組成と性質を有するものであった。
【0025】
上記組成から計算にて求めた樹脂の平均分子量は244であった。
【0026】
また、種々の温度における樹脂の粘度は、次のとおりであった。
55℃ 27.5ポイズ
60℃ 12.5ポイズ
70℃ 3.7ポイズ
【0027】
実施例3
1リットル容量の四つ口フラスコにフェノール564g(6.0モル)35%ホルマリン溶液103.0g(1.2モル)を仕込み、昇温した。温度が110℃に達したとき、水分が還流を始めるので、ホルムアルデヒドの系外への逸散を抑えながら水分を留去し、内温を120℃まで高め、120℃で4時間反応させた後、更に、160℃まで昇温し、160℃で2時間保持し、反応を完結させた。反応終了後、未反応のフェノールを蒸留にて除いて、液状フェノールノボラック樹脂187.2gを得た。
【0028】
この樹脂をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び高速液体クロマトグラフイー(HPLC)にて分析した結果、次の組成と性質を有するものであった。
上記組成から計算にて求めた樹脂の平均分子量は275であった。
【0029】
また、種々の温度における樹脂の粘度は、次のとおりであった。
60℃ 58ポイズ
65℃ 30ポイズ
70℃ 14.5ポイズ
75℃ 7.9ポイズ
【0030】
実施例4
実施例3において、ホルマリン水溶液に代えて、パラホルムアルデヒド36.7g(1.2モル)を仕込んだ以外は、実施例1と同様にして反応を行なった。組成、物性共に、実施例3とほぼ同様の液状フェノールノボラック樹脂200gを得た。
【0031】
【発明の効果】
従来、フェノールノボラック樹脂は、常温では、通常、固体か、又は高粘度であって、流動性をもたないので、成形材料やエポキシ樹脂の硬化剤として用いるに際して、加熱して溶融させたり、溶剤に溶解させたり、或いは、粉砕して用いなければならない等の煩雑さがあったが、本発明によるフェノールノボラック樹脂は、100℃以下の温度において低粘度を有すると共に、室温で流動性を有し、取扱いが非常に容易であり、かくして、上記用途に用いるに際しても、煩雑さを解消できる。
Claims (2)
- フェノールとホルムアルデヒドとから得られる液状フェノールノボラック樹脂であって、2核体/3核体以上の多核体の組成比が重量比にて8.5/1.5〜5/5の範囲にあると共に、2核体中のp,p’−異性体が10重量%以下であり、平均分子量が300以下、60℃における粘度が100ポイズ以下であることを特徴とする室温で流動性を有する液状フェノールノボラック樹脂。
- フェノールとホルムアルデヒドとをフェノール/ホルムアルデヒドの仕込みモル比20/1〜4/1の範囲にて、無触媒下に、温度100〜130℃で一次反応させ、その後、反応系から水を留去しながら、反応温度を最終的に150〜170℃の範囲の温度まで高めて、二次反応を完結させることを特徴とする請求項1記載の液状フェノールノボラック樹脂の製造方法。
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JP25827894A JP3549589B2 (ja) | 1994-10-24 | 1994-10-24 | 液状フェノールノボラック樹脂及びその製造方法 |
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JPH08120038A JPH08120038A (ja) | 1996-05-14 |
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JP25827894A Expired - Lifetime JP3549589B2 (ja) | 1994-10-24 | 1994-10-24 | 液状フェノールノボラック樹脂及びその製造方法 |
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