JP3549552B2 - 加硫制御方法及び加硫システム - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、加硫制御方法及び加硫システムにかかり、特に、加硫機によって、ゴムやプラスチック等の被加硫材料、例えばタイヤの加硫処理を行う加硫制御方法及び加硫システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、タイヤの加硫処理のための処理条件(温度や時間)は、予め加硫する生産ロットから数本の生タイヤをサンプルとして、加硫機に生タイヤを装填し、所定の温度、所定の圧力、所定の加硫時間を設定してテスト加硫し、そのタイヤの内部温度を実測して加硫度を求め、これに基づいて定めている。すなわち、同一ロット内の1〜数本のタイヤで温度測定しながら加硫して最適処理条件を定め、以下これを固定の処理条件として同一ロット内の残りのタイヤの加硫処理を行っている。
【0003】
上記、加硫処理のための処理条件は、様々なばらつき要因を考慮しなければならず、安全率が高い設定となっている。このばらつき要因としては、タイヤゲージ、ブラダーの状態、ゴムの加硫速度のばらつき、生タイヤ温度のばらつき、雰囲気温度のばらつき、モールドの温度、熱源のばらつき等がある。
【0004】
安全率の高い処理条件によって加硫処理すると、実質的に加硫時間が長くなり、処理効率の低下を招くことになるため、その対策として、数値計算によりタイヤ内部の温度を予測することが提案されている(特公平4−73683号、特開平1−113211号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、テスト加硫または数値計算により予測した温度等の結果に基づいて加硫処理しても、同一ロット内における個々の材料のばらつき等による加硫のばらつきを解消することはできない。従って、各ロットで未加硫のタイヤを少なくするためには、安全率は高くしなければならない。このため、得られるタイヤには、最適に加硫されたタイヤとオーバー加硫されたタイヤとが含まれることになる。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、タイヤ等の被加硫材料の加硫処理を行う場合に、未加硫や過加硫となることなく、最適にタイヤを加硫できる加硫制御方法及び加硫システムを得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の加硫制御方法では、被加硫材料を構成する複数の構成材料の各々について、加えられたエネルギーと加硫反応量との関係を表す加硫反応特性を予め測定し該加硫反応特性に基づいて加硫反応速度に関連した少なくとも加硫反応に影響する物理量を予め求め、前記被加硫材料について予め定めた複数位置の各々について、加硫中に時系列的に加熱装置の熱源とその内部温度を計測し被加硫材料が受ける熱エネルギーを用い熱伝導解析を行って前記予め定めた複数位置の温度を推定し推定した温度に基づいて該推定温度により加えられるエネルギーで加硫されるべき被加硫材料の加硫度を求め、求めた加硫度と、前記加硫反応速度に関連した物理量とに基づいて前記複数位置の加硫反応状態量を求め、求めた全ての加硫反応状態量が予め定めた所定値になるまでの被加硫材料に加えるエネルギーを求め、その求めたエネルギーにより前記予め定めた複数位置の加硫反応状態量が前記所定値になるまで加硫するように加硫制御する。
【0008】
また、本発明の加硫システムでは、被加硫材料を構成する複数の構成材料の各々について、加えられたエネルギーと加硫反応量との関係を表す加硫反応特性を予め測定し該加硫反応特性に基づいて加硫反応速度に関連した物理量を予め求める工程と、求めた物理量を記憶装置に蓄積する工程と、前記被加硫材料の複数位置の各々について、加硫中に時系列的に被加硫材料の境界温度を計測し計測された該境界温度を用いて熱伝導解析を行って前記複数位置の温度を推定し推定した温度に基づいて加硫度を求める工程と、前記複数位置の各々について、含まれる前記構成材料の各々に該当する前記物理量を前記記憶装置から読み取り読み取った物理量と、求めた加硫度とに基づいて前記複数位置の加硫反応状態量を求める工程と、求めた全ての加硫反応状態量が予め定めた所定値になるまでの被加硫材料に加えるエネルギーを求める工程と、その求めたエネルギーにより加硫制御する工程と、を含んでいる。
【0009】
なお、前記被加硫材料としては、タイヤを用いることができる。
【0010】
【作用】
本発明の加硫制御方法では、被加硫材料を構成する複数の構成材料の各々について、加硫温度及び加硫時間等から得られる加えられたエネルギーと加硫反応量との関係を表す加硫反応特性を予め測定し該加硫反応特性に基づいて加硫反応速度に関連した物理量を予め求める。この被加硫材料には、ゴムやプラスチック等の材料を利用することができ、また、請求項2に記載したようにタイヤを用いることができる。
【0011】
この被加硫材料の複数位置の各々について、加硫中に時系列的に被加硫材料の境界温度を計測し、計測された該境界温度を用いて熱伝導解析を行って前記複数位置の温度を推定し推定した温度に基づいて加硫度を求める。この温度の推定は、有限要素法を用いることができ、この有限要素法を用いた熱伝導解析により被加硫材料内部の温度を被加硫材料に非接触で被加硫材料内部所定の位置について確度よく推定でき、前記複数位置の各々の加硫度を求めることができる。
【0012】
次に、求めた加硫度と、前記加硫反応速度に関連した物理量とに基づいて前記複数位置の加硫反応状態量を求める。この加硫反応状態量は、加硫が進行している過程の加硫反応の度合いを表すものであり、被加硫材料を構成する各構成材料の予め測定された加硫反応特性から得られる加硫反応速度に関連した物理量を用いて、各構成材料毎に求めることができる。
【0013】
次に、求めた全ての加硫反応状態量が予め定めた所定値になるまでの加硫温度及び加硫時間等から得られる被加硫材料に加えるエネルギーを求める。この予め定めた所定値としては、臨界反応値(例えば、加硫を進行させてゴム中に気泡の発生が無くなるときまでの値)を用いることができる。また、エネルギーは、加硫最遅点について求めた加硫反応状態量が予め定めた臨界反応値に到達するまでのエネルギーを用いる。加硫最遅点は、加硫が最も遅れる位置であるので、この加硫最遅点に供給するエネルギーを求めれば、他の位置に供給するためのエネルギーを含むことになる。
【0014】
この求めたエネルギーによりタイヤ等の被加硫材料を加硫すれば、所望の加硫状態まで加硫されていない未加硫の部位が生じることなく、各被加硫材料を最小のエネルギー(最適な加硫条件)で加硫することができる。
【0015】
このように、複数位置における構成材料毎の加硫反応状態量を求め更に予め定めた所定値(臨界反応値)になるまでのエネルギーを求めて被加硫材料を加硫制御しているので、加硫する被加硫材料の各々について、ロット間や経時変化的に構成材料の特性が異なる場合であっても、最適に加硫することができる。
【0016】
また、本発明の加硫システムでは、実際に被加硫材料を加硫する後工程と、この加硫処理を行うまでの前工程と大別できる。この前工程としては、被加硫材料を構成する複数の構成材料の各々について、加えられたエネルギーと加硫反応量との関係を表す加硫反応特性を予め測定し加硫反応特性に基づいて加硫反応速度に関連した物理量を予め求める工程と、求めた物理量を記憶装置に蓄積する工程と、を有している。この物理量は、被加硫材料を構成する複数の構成材料の各々について求めるが、同一種類の構成材料であっても組成が異なることがあるため、ロットが異なるときや、製造ロットが異なるときにも前記物理量を求める。従って、被加硫材料を製造するときに複数の構成材料の組み合わせを異ならせるときにあっては、その組み合わせによって異なる特性となることがあるため、前記物理量を求めることが好ましい。また、経時変化によって特性が異なると予想されるときにも前記物理量を求める。これにより、記憶装置には、実際に被加硫材料を加硫するときの組成または特性となる物理量が蓄積される。
【0017】
後工程では、被加硫材料の複数位置の各々について、加硫中に時系列的に被加硫材料の境界温度を計測し計測された境界温度を用いて熱伝導解析を行って複数位置の温度を推定し推定した温度に基づいて加硫度を求める工程と、複数位置の各々について、含まれる構成材料の各々に該当する物理量を記憶装置から読み取り読み取った物理量と、求めた加硫度とに基づいて複数位置の加硫反応状態量を求める工程と、求めた全ての加硫反応状態量が予め定めた所定値になるまでの被加硫材料に加えるエネルギーを求める工程と、その求めたエネルギーにより加硫制御する工程と、を含んでいる。
【0018】
このように、後工程では、前工程で求めた実際にこれから加硫するための被加硫材料を構成する構成材料に該当する物理量を、記憶装置から読みだしかつ用いているため、被加硫材料の加硫反応状態量及び被加硫材料に加えるエネルギーを正確に求めることができる。従って、複数位置における加硫反応状態量が予め定めた所定値(臨界反応値)になるまでのエネルギーにより被加硫材料を加硫制御するので、製造時のロット間差や経時変化的に構成材料の特性が異なる場合であっても、最適に加硫することができる。
【0019】
【実施例】
図1には、本発明が適用された加硫機10の実施例が示されている。
【0020】
加硫機10は、モールドユニット12と、変形可能なブラダ14Aを有するブラダユニット14とを備えている。
【0021】
モールドユニット12は上側モールド12A及び下側モールド12Bで構成されている。モールドユニット12の周囲は、ジャケット16によって覆われている。このジャケット16には、通路18が設けられ、パイプ20を介して加熱流体(例えば、蒸気)が流動する構成となっている。このジャケット16によってモールドユニット12のタイヤ周面に対応する側が加熱される。
【0022】
また、モールドユニット12のタイヤ端面側を加熱するために、これらの上側及び下側には、上側プラテン22及び下側プラテン24が配設されている。
【0023】
プラテン22、24には、それぞれ通路22A、24Aが形成されており、パイプ(図示省略)を介して加熱媒体を循環させるようになっている。
【0024】
ブラダ14Aは、上側及び下側リング28、30に取付けられ、上側リング28はセンタポスト32に固着されている。このセンタポスト32は、スリーブ34によって移動自在に支持されている。このため、ブラダ14Aは、センタポスト32の上下動に応じて移動することができる。
【0025】
下側リング30には、ブラダ14Aを経てスチーム、ガス及び温水等の加熱流体を循環させるためのパイプ36、38が連結されている。これにより、ブラダ14Aが加熱される。
【0026】
本実施例では、上記構成の加硫機10において3個の温度センサが設けられている。第1の温度センサは、前記ジャケット16へ加熱流体を送り込むためのパイプ20内の温度を検出するジャケット温度検出センサ42である。第2の温度センサは、前記プラテン24(又は22)の温度を検出するプラテン温度検出センサ44である。第3の温度センサは、ブラダユニット14によって囲まれた加硫機10の内方空間の温度を検出するブラダー内温度検出センサ46である。
【0027】
これらの温度検出センサ42、44、46は、制御装置70(図3参照)に接続され、それぞれタイヤ48とは非接触であるが、熱伝導解析(FEM解析)によってこれらの温度検出センサ42、44、46から得られた検出結果からタイヤ48内の温度をを予測するために用いられる。
【0028】
また、図2に示されるように、タイヤ48内の温度を予測するにあたり、タイヤ48の厚みが各部位によって異なっている。また、タイヤは複数の構成材料から形成されるので各構成材料のゴム等は各々異なった材料特性を有している。このため、本実施例では、タイヤの加硫状態を特定するために、タイヤ48のセンター部48A、ハンプ部48B、ビード部48Cのそれぞれの位置(合計3位置)について、タイヤ内温度を予測する。これと共に、詳細は後述するが、タイヤの構成材料毎に加硫反応状態を把握して加硫時間を決定している。
【0029】
図3に示したように、制御装置70は、CPU72、ROM74、RAM76及び入出力ポート(I/O)78を有するマイクロコンピュータによって構成され、各々は、バス80によって相互にコマンドやデータ等のやりとり可能に接続されている。ROM74には、後述する制御ルーチン等が記憶されている。
【0030】
入出力ポート78には、ジャケット温度検出センサ42、プラテン温度検出センサ44及びブラダー内温度検出センサ46が接続され、かつキーボード84、モニター86及びタイヤの各構成材料の加硫反応速度(後述)を表す定数A,Bがデータベースとして記憶された外部記憶装置82も接続されている。また、入出力ポート78には、加硫機10を実質的に駆動するための加硫制御駆動装置88が接続され、制御装置70によって加硫機10の加硫状態を制御するようになっている。
【0031】
上記キーボード84は設定条件としての初期条件47、初期境界条件49及びタイヤ内温度51(境界条件)を入力するためのものであり、この設定条件に基づいて、初期の加硫時間が設定される。なお、設定条件は、キーボード84の入力によらずに、ホストコンピュータ等の他の装置から入力するようにしてもよく、また、予めデータとして記憶するようにしてもよい。。
【0032】
この初期条件とは、加硫前、すなわち生タイヤの初期温度等であり、これは加硫機10の外部に設けられた温度センサ(図示省略)によって検出される。また、初期境界条件とは、タイヤの物性に係り、ゴムの熱伝導率や内部発熱等、時間的に変化しない境界条件である。
【0033】
また、タイヤ内温度は、実際に検出するのではなく、前記ジャケット温度検出センサ42、プラテン温度検出センサ44、ブラダ内温度検出センサ46からの温度に基づいて、アレニウスの式に基づく熱伝導解析(本実施例ではFEM(有限要素法))によって予測する。
【0034】
ここで、本実施例でタイヤを加硫制御するにあたり、基とした加硫時のエネルギー(本実施例では、加硫時間)の最適化の原理について説明する。
【0035】
タイヤを形成するのに用いられる複数の生ゴムは、加硫温度や加硫時間等が同一条件下であっても各々の材料特性等により加硫反応状態が異なる。この加硫反応状態を定量的な加硫反応状態量として表す方法に、加硫反応状態をゴムのトルク(弾性等の力学的特性、例えばタイヤのねじれ反力)に対応させて同一条件下でトルクの変動を測定し、この特性を測定して生ゴムの加硫反応特性とする方法がある。図4には、1つの生ゴムを所定の加硫温度で加硫しながら経時的なトルク(弾性等の力学的特性)の変動を測定した場合の加硫反応特性である加硫反応曲線を示した。
【0036】
また、加硫反応曲線が以下の式(1)に示した加硫度をパラメータとする正規確率分布関数の曲線に近似する点に本発明者は着目し、タイヤの構成材料毎の加硫反応曲線を用いて、各構成材料の加硫反応特性を数式モデル化することによって定数化したタイヤの全構成材料の各加硫反応特性をデータベース化した。図5には、トルクが最大になるまでの加硫反応曲線(図5の実線)と、正規確率分布関数の曲線(図5の点線)とを示した。
【0037】
【数1】
Figure 0003549552
【0038】
但し、0<t<∞
t :加硫時間
CONST :加硫温度(一定)
:加硫度(以下の式(2)、アルレニウスの式から演算)
,B:物理定数
【0039】
【数2】
Figure 0003549552
【0040】
但し、To:標準温度
E :活性化エネルギー
R :気体定数
T :加硫温度
t :加硫時間
次に、この正規確率分布関数を変数変換して、以下の式(3)に示した対数正規確率分布関数を得る。
【0041】
【数3】
Figure 0003549552
【0042】
但し、A,B:物理定数
η:正規確率規準化変数
上記式(3)から、各構成材料の対数正規確率分布関数における曲線は、最小自乗法等によって、物理定数A、Bを係数として加硫度tをパラメータとする直線で近似する。また、図6には、当該加硫反応曲線を有する関数を微分することによって得られる微分曲線を示した。この微分値は、加硫の進行速度(以下、加硫反応速度という)を表すと考えられ、正規確率規準化変数ηに対応する。従って、各構成材料の加硫反応速度は、式(3)の定数項の値である物理定数A、Bによって表現でき、この物理定数A、Bを構成材料毎に求めておけば加硫度に対する構成材料毎の加硫反応速度を求めることができる。従って、これらの定数A、Bをタイヤの構成材料の全てについて求めて、外部記憶装置82にデータベース化して記憶する。
【0043】
上記加硫反応速度の特性は、正規分布に近似できる。そこで、本発明者は、加硫時間をパラメータとして、加硫が完了(例えば、トルクが最大となる)するまでの構成材料の加硫反応速度曲線を正規分布に対応させ、加硫が完了した構成材料に対する加硫反応状態と、所定の加硫度tの時点での加硫反応状態との比率を加硫反応率Uと定義している。
【0044】
上記で述べたように、タイヤは複数の構成材料で形成されているが、加硫反応率Uは、加硫度tに応じて構成材料毎に求めることができる。
【0045】
この加硫反応率Uは、一定温度でのタイヤの加硫処理によって生タイヤの原料である高分子化合物間の結びつき(ポリマーと硫黄との結びつき)をイメージで表した状態(所謂、網目)の密度と見なすことができる。この加硫度tを用いて求められる加硫反応率Uを以下の式(4)に示した。
【0046】
【数4】
Figure 0003549552
【0047】
図7には、3種類の構成材料を例にした加硫度と加硫反応率との対応を示した。このように加硫度が同一であっても加硫反応率が異なることが理解される。
【0048】
従って、最遅部材の加硫度−加硫反応率曲線から、現在の加硫度tに対する加硫反応率Uを求めることで、タイヤの加硫反応状態を特定することができる。このとき、加硫が完了するまでの加硫反応率Uは求まるので、加硫時間を予測することができ、最遅部材を規準とする加硫時間を予測することができる。これによって最遅部材の加硫反応率Uが所定の加硫反応率Uを越えるまで、加硫することでタイヤの加硫を最適に制御できる。
【0049】
また、本実施例では、加硫を完了と判定するための加硫反応率Uを臨界反応値として、予め定めた臨界反応率Ubを用いている。この臨界反応率Ubは、気泡発生有無の判別点のテスト等の実験により実用上差し支えない状態まで加硫された構成材料の加硫反応率Uである。この臨界反応率Ubは、得られるタイヤが要求する加硫度等に応じて定めることができる。
【0050】
以下に本実施例の作用を説明する。本実施例では、上記の設定条件に基づいて、FEM解析によって加硫反応状態量としての加硫反応率Uを求め、この求められた加硫反応率から加硫時間を予測する。
【0051】
予測された加硫時間は、加硫機10を加硫制御している実際の加硫時間と比較され、実際の加硫時間が予測された加硫時間となったか否かが判断され、加硫機10をフィードバック制御する。この加硫機10は、予測加硫時間を経過した時点で、最適に加硫されたと判断して停止される。
【0052】
この加硫機10の加硫制御手順を、図8のフローチャートに従って詳細に説明する。ステップ102では、加硫機10によって処理されるタイヤ48の初期条件が入力され、次いでステップ104において初期境界条件が入力された後、ステップ106へ移行して加硫制御駆動装置88での加硫(加熱)を開始し、ステップ108へ移行する。
【0053】
次のステップ108、110、112では、ジャケット温度検出センサ42からの検出結果、プラテン温度検出センサ44からの検出結果及びブラダー温度検出センサ46からの検出結果をそれぞれ取り込み、ステップ114へ移行して熱伝導解析がなされる。
【0054】
ここで、熱伝導解析では、最初にFEM演算によって、前記ステップ108、110、112によって得られた温度に基づいて、タイヤ48のセンター部48A、ハンプ部48B、ビード部48Cのそれぞれの位置(合計3位置)について、タイヤ内温度を予測する。一般には、ハンプ部48Bの肉厚が最も厚いため、このハンプ部48が完全に加硫されれば、他の部位も加硫されているはずであるが、生タイヤを構成するゴムの性質やゴムの積層状態等によっては、別の部位が遅く加硫されることや同一部位内であっても加硫状態が異なることもある。そこで、本実施例では、タイヤ48のセンター部48A、ハンプ部48B、ビード部48Cのタイヤ内温度のそれぞれに基づいて、熱伝導解析が行われる。
【0055】
次のステップ116では、上記3位置のタイヤ内温度に基づいて、熱伝導の度合いが低い等のために、最も加硫が遅れる位置(最遅点)を決定する。
【0056】
次のステップ117では、決定された最遅点について熱伝導解析によって得られた予測温度から加硫度tを求める(式(2)参照)。また、決定された最遅点における各構成材料について、加硫反応速度を表す定数A、Bを外部記憶装置から読み取りかつ、読み取った定数A、Bを用いて各構成材料の加硫反応率Uを求める。
【0057】
次のステップ118では、求めた各構成材料の加硫反応率Uに基づいて、加硫が完了するまでの加硫予測時間tを演算する。すなわち、臨界反応率Ubを読み取って、最遅点における加硫度tに対する各構成材料の加硫反応率Uと、読み取った臨界反応率Ubとの差を求める。この差が最大の構成材料が最も未加硫に近い構成材料であるので、この構成材料の加硫反応率Uが臨界反応率Ubに到達するときの到達加硫度を求める。この到達加硫度と現在の加硫度とから最遅点の全ての構成材料が臨界反応率Ubに到達するまでの、すなわち、加硫が完了するまでの加硫予測時間tを演算する。
【0058】
次のステップ120では、加硫制御駆動装置88によって制御されている実際の加硫時間tが読み込まれ、ステップ122において、実際の加硫時間tと加硫予測時間tとが比較される。
【0059】
ステップ122でt<tと判定された場合は、設定された加硫反応状態に到達していないと判断され、ステップ106へ移行して各部の温度を検出すると共に熱伝導解析を行う(ステップ106〜120)。このように、推定された加硫時間に到達するまで、逐次FEM解析が行われ、逐次最適な加硫時間が求められる。
【0060】
また、ステップ122でt≧tと判定された場合は、設定された加硫反応状態に達したと判断され、ステップ124へ移行して加硫制御を停止し、処理は終了する。
【0061】
従来の加硫機でタイヤをテスト加硫等のデータに基づいて加硫制御した場合を100として、本実施例の加硫反応率を判断基準としたシステムを適用した場合の比較値を以下の表1に示した。
【0062】
【表1】
Figure 0003549552
【0063】
但し、品質には、ドラム耐久性や耐磨耗性を含んでいる。
このように、FEM解析によってタイヤの温度を予測すると共に予測された温度から得られる加硫度と、タイヤの構成材料毎に求めた加硫反応率とによって加硫中の加硫反応状態を特定して加硫時間を制御するようにしたので、同一ロット間でばらつきなく加硫されたタイヤを得ることができると共に、構成材料の要素変更が生じた場合でも当該加硫機により加硫されたタイヤの加硫反応状態もばらつきなく加硫されたタイヤを得ることができる。従って、高い品質のタイヤを安定して供給することができる加硫機を実現することができる。
【0064】
なお、上記実施例では、一定の加硫温度の下で加硫時間の変更によってタイヤに供給する加硫時のエネルギーとしたが、加硫温度を変更して加硫時のエネルギーを制御するようにしてもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、加硫処理中においてタイヤ等の被加硫材料を構成する構成材料の各々について加硫反応状態を把握することができ、この加硫反応状態の量を判断因子として加硫制御しているため、被加硫材料個々に最適な加硫条件を設定できるまたは最適なエネルギーを供給でき、安定した品質で加硫された被加硫材料を提供することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例が適用された加硫機の内部構造を示す概略図である。
【図2】タイヤの軸方向断面図である。
【図3】制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】所定加硫温度で加硫するときの加硫時間とトルクとの関係を表す加硫反応曲線を示す線図である。
【図5】図4の最大トルクまでを示す線図である。
【図6】図5の微分特性を示す線図である。
【図7】加硫度と加硫反応率との関係を表す線図である。
【図8】本実施例の加硫機における加硫制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 加硫機
48 タイヤ
70 制御装置
82 外部記憶装置

Claims (3)

  1. 被加硫材料を構成する複数の構成材料の各々について、加えられたエネルギーと加硫反応量との関係を表す加硫反応特性を予め測定し該加硫反応特性に基づいて加硫反応速度に関連した少なくとも加硫反応に影響する物理量を予め求め、
    前記被加硫材料について予め定めた複数位置の各々について、加硫中に時系列的に加熱装置の熱源とその内部温度を計測し被加硫材料が受ける熱エネルギーを用い熱伝導解析を行って前記予め定めた複数位置の温度を推定し推定した温度に基づいて該推定温度により加えられるエネルギーで加硫されるべき被加硫材料の加硫度を求め、
    求めた加硫度と、前記加硫反応速度に関連した物理量とに基づいて前記複数位置の加硫反応状態量を求め、
    求めた全ての加硫反応状態量が予め定めた所定値になるまでの被加硫材料に加えるエネルギーを求め、
    その求めたエネルギーにより前記予め定めた複数位置の加硫反応状態量が前記所定値になるまで加硫するように加硫制御する、
    加硫制御方法。
  2. 前記被加硫材料は、タイヤであることを特徴とする請求項1に記載の加硫制御方法。
  3. 被加硫材料を構成する複数の構成材料の各々について、加えられたエネルギーと加硫反応量との関係を表す加硫反応特性を予め測定し該加硫反応特性に基づいて加硫反応速度に関連した物理量を予め求める工程と、
    求めた物理量を記憶装置に蓄積する工程と、
    前記被加硫材料の複数位置の各々について、加硫中に時系列的に被加硫材料の境界温度を計測し計測された該境界温度を用いて熱伝導解析を行って前記複数位置の温度を推定し推定した温度に基づいて加硫度を求める工程と、
    前記複数位置の各々について、含まれる前記構成材料の各々に該当する前記物理量を前記記憶装置から読み取り読み取った物理量と、求めた加硫度とに基づいて前記複数位置の加硫反応状態量を求める工程と、
    求めた全ての加硫反応状態量が予め定めた所定値になるまでの被加硫材料に加えるエネルギーを求める工程と、
    その求めたエネルギーにより加硫制御する工程と、
    を含む加硫システム。
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