JP3549264B2 - カテーテルチューブ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば、心臓、血管、消化管、尿道、腹腔等の身体腔内に挿入して用いられ、挿入部位の観察や医療処置を行うカテーテルチューブ、特に内視鏡を構成するカテーテルチューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
身体腔内に挿入して用いられるカテーテルチューブにおいて、カテーテルチューブ先端を目的とする部位の方向へ向けたり、目的とする部位に位置させたりするために先端に湾曲機構(首振り機構)を有するカテーテルチューブが開発されている。特に内視鏡分野においては、目的とする視野を確保する目的で湾曲機構は重要な機構の一つとなっている。
【0003】
近年、内視鏡の細径化が進むにつれ、節輪を用いない構造の湾曲機構が考案されている。そのうちの一つに、マルチルーメンチューブの非湾曲部分におけるルーメン内に密巻きの平板コイルを配置して固定し、そのコイル内に牽引ワイヤーを設置した構造のカテーテルチューブがある。この場合、前記密巻きコイルは、湾曲部と非湾曲部の境界部付近及び手元側においてマルチルーメンチューブに対して固定されている。
【0004】
この場合、非湾曲部に密巻きコイルが移動不能な状態で固定されていることにより牽引ワイヤを手元側方向に牽引したときに、マルチルーメンチューブの非湾曲部は収縮しない。従って、牽引操作を行っても非湾曲部分は湾曲しない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなカテーテルチューブにおいては、マルチルーメンチューブの任意のルーメン内に密巻き平板コイルを挿入した後、コイルを固定することとなり、最も簡便な固定方法の一つとしては熱収縮チューブによる締め付け固定が挙げられる。しかし、密巻き平板コイルの外面は比較的平坦なために、マルチルーメンチューブの外側から熱収縮チューブで締め付けても、十分な固定強度を得ることが難しかった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、密巻きコイルをルーメン内に確実に固定できる先端部湾曲機構を備えるカテーテルチューブを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)から(10)の本発明により達成される。
【0008】
(1)チューブ本体と、該チューブ本体のほぼ全長に渡って形成された少なくとも一つのルーメンと、前記チューブ本体の一部あるいは全長に渡って設置され、少なくともその一部分が前記チューブ本体に固定されている密巻きコイルとを有するカテーテルチューブであって、前記密巻きコイルを構成する線材の前記チューブ本体と接する側には溝部が形成されていることを特徴とするカテーテルチューブ。
【0009】
(2)チューブ本体と、該チューブ本体のほぼ全長に渡って形成された少なくとも一つのルーメンと、前記チューブ本体の一部あるいは全長に渡って設置され、少なくともその一部分が前記チューブ本体に固定されている密巻きコイルとを有するカテーテルチューブであって、少なくとも前記密巻きコイルにおける固定された部分の外周面には溝部が形成されていることを特徴とするカテーテルチューブ。
【0010】
(3)チューブ本体と、該チューブ本体のほぼ全長に渡って形成された少なくとも一つのルーメンと、前記チューブ本体の一部あるいは全長に渡って設置され、少なくともその一部分が前記チューブ本体に固定されている密巻きコイルとを有するカテーテルチューブであって、前記密巻きコイルは平板材により構成され、コイル成形後の平板材の横断面において中央部分が凹む状態の反りを生じさせることによって、隣接する平板同士の間に溝が形成されることを特徴とするカテーテルチューブ。
【0011】
(4)前記密巻きコイルの外径と内径の平均値Dと前記平板材の厚さtとの比率D/tが2〜5であることを特徴とするカテーテルチューブ。
【0012】
(5)前記密巻きコイルが前記ルーメンの中に設置されていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【0013】
(6)前記密巻きコイルが平板コイルである上記(1)、(2)、(5)のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【0014】
(7)先端部湾曲機構を有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【0015】
(8)前記密巻きコイルの先端部および手元部が前記ルーメンの内壁に接着されている上記(1)〜(7)のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【0016】
(9)前記密巻きコイルの有する隙間の合計間隔は、前記密巻きコイル全長の10%以内である上記(1)〜(8)のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【0017】
(10)前記ルーメンの前記密巻きコイルが配置された部分の内径は前記密巻きコイルの外径の1.0〜2.0倍である上記(1)〜(9)のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【0018】
【作用】
本発明のカテーテルチューブは、チューブ本体と、密巻きコイル、牽引ワイヤにより構成されている。チューブ本体の任意のルーメン内に、チューブ本体の先端側の一部分を残して前記密巻きコイルが設置されており、その密巻きコイル内に牽引ワイヤが挿通され、牽引ワイヤの先端はチューブ本体の先端近傍に固定されている。
【0019】
密巻きコイルの先端部と手元側部の一部分はチューブ本体に対して固定されているので、密巻きコイルはチューブ本体に対して移動不能となっている。
【0020】
密巻きコイルの固定方法としては、チューブ本体に密巻きコイルを挿入後、チューブ本体の外側に熱収縮チューブを被せ、固定したい部分を加熱することにより、チューブ本体を変形させながら締め付ける。この時、密巻きコイルの外周面には溝部が形成されているので、チューブ本体のルーメン内壁が該溝部にはまり込むこととなり、密巻きコイルはチューブ本体に確実に固定される。
【0021】
このようなカテーテルチューブにおいて、牽引ワイヤを手元側に牽引すればカテーテルチューブの先端部分のみが湾曲することとなる。また、牽引ワイヤを牽引することによりカテーテルチューブは圧縮力を受けるが、上記の通り密巻きコイルが確実に固定されているので、先端湾曲部分以外の部分は湾曲したり、たわんだりすることはない。
【0022】
なお、本発明において密巻きコイルとはコイルとコイルの間の隙間の合計が密巻きコイル全長の0〜10%以内であることをいう。
【0023】
【実施例】
以下、本発明のカテーテルチューブを添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の医療用チューブを内視鏡(ファイバスコープ)を構成するカテーテルチューブに適用した場合の実施例を示す全体側面図である。
【0025】
図2は、図1に示すカテーテルチューブの先端部の構成を示す斜視図である。
【0026】
図3は図2中のI−I線での断面図、図4は図2中のII−II線での断面図、図5は図4中のIII−III線での断面図、図6は図4中のIV−IV線での断面図、図7は図4中のV−V線での断面図である。
【0027】
図1乃至図7に示すようにカテーテルチューブ1は第1ルーメン31、第2ルーメン32、第3ルーメン33、第4ルーメン34の4つのルーメンを備えたマルチルーメンチューブであるチューブ本体2により構成されており、第1ルーメン31および第2ルーメン32はカテーテルチューブ1の先端部に開口している。第3ルーメン33および第4ルーメン34内にはそれぞれ密巻きの平板コイル5が収納されており、平板コイル5はカテーテルチューブ1の湾曲部21と中間部22の境界部24においてチューブ本体2に固定されている。図8には平板コイル5を構成する平板51を示す。このように、平板51の片側面には溝52が形成されている。平板コイル5の固定方法としては、平板コイル5を第3ルーメン33および第4ルーメン34内に挿入した後、固定する部分に被せた熱収縮チューブ(図示せず)を加熱して収縮させることにより、チューブ本体2を外側から締め付け固定させる。チューブ本体2は、熱可塑性の材料により構成されているので、加熱しながら熱収縮チューブで締め付けることにより、ルーメン33、34の内腔が狭くなりルーメン33、34のチューブ本体外周側の内壁面331、341が変形して平板コイル5の溝52内に侵入する。
【0028】
このような平板コイル51を成形する方法としては、任意の外径を有する丸線をローラなどで圧延して平板にした後、溝を形成するための突起部を有するローラを用いて再度圧延すればよい。また、厚みを均一とするために再度圧延処理をしてもよい。また、本実施例では溝52は平板51の横断面において一カ所であるが、図9に示すように複数の溝を形成してもよい。さらに、図10に示したように平板のふちに溝を設けた形状の平板により密巻きコイルを形成してもよい。このような平板コイルは、例えばステンレス鋼、タングステン、アルミ、白金、真鍮、超弾性合金などの金属材料、またはテフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の材料で構成される。なお、平板コイルを構成する平板の厚さは、断面形状や材質、外径にもよるが、例えばステンレス鋼の場合、厚さ10μm〜1mm程度で、さらに好ましくは10μm〜300μm程度あるとよい。
【0029】
また、平板コイル5のピッチは、隣接する平板と平板の間に隙間が無い、いわゆる完全密着な状態であるのが理想的であるが、その隙間の合計が密巻き平板コイル全長の0〜10%、この範囲内であれば、コイルが非湾曲部(中間部)でたわみが起こらず、実用上問題がない。さらに好ましくは0〜3%程度であるとよい。
【0030】
また、平板コイルの溝部に接着材層を設けることによりルーメン内壁により強固に固定されるので好ましい。。
【0031】
チューブ本体2は、牽引ワイヤ41、42を手元側方向に牽引した場合に、先端部分が容易に湾曲しうる程度の柔軟性を有する材料、例えばポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、シリコーンゴム、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のような可撓性を有する材料で構成されている。
【0032】
また、本発明のカテーテルチューブは、通常、例えば血管内や消化管内など体内に挿入、留置された状態で使用されるので、カテーテルチューブの存在位置をX線透視下で確認しつつ観察や治療行為を行う必要性が高い。そこで、カテーテルチューブにX線造影性を付与しておくのが好ましい。具体的には、チューブ本体2の構成材料中にX線不透過物質を含有するのが好ましい。X線不透過物質としては、硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステンのような金属化合物等が挙げられる。
【0033】
チューブ本体2には、以下に述べるような用途、機能の異なる種々のルーメンが形成されている。
【0034】
第1ルーメン31には、例えば血管や管状器官のような体腔内を観察する観察器具(ファイバスコープ)としての光ファイバ束8が収納されている。なお、光ファイバ束8は、例えば、血管や管状器官内壁へのレーザ光の照射等の医療処置にも使用することができる。
【0035】
この光ファイバ束8は、送光用ファイバ(ライトガイド)81及び受光用ファイバ(イメージガイド)82で構成されており、これらの光ファイバを例えばエポキシ、アクリル、シリコーンゴム等の樹脂で固めて束状としたものである。なお、送光用光ファイバ81および受光用光ファイバ82は、いずれも石英、プラスチック、多成分ガラス等の光ファイバで構成されている。
【0036】
また、光ファイバ束8の先端、すなわち第1ルーメン31の先端の開口付近には集光用のロッドレンズ83が装着される。
【0037】
操作具9の基端側(図1中右側)の図示しない光源より発せられた光は、送光用ファイバ81により導かれ、その先端から観察目的部位へ照射され、その反射光を先端レンズ83を介して、受光用ファイバ82の先端より取り込み、その画像が受光用ファイバ内を伝達され、カテーテルチューブ手元側の受像部(図示せず)へと導かれる。
【0038】
なお、光ファイバ束8は、第1ルーメン31に対し、固定的に設置されているのが好ましいが、第1ルーメン31の長手方向に移動可能とし、光ファイバ束8の先端部が第1ルーメン31の先端開口部より出没自在としてもよい。
【0039】
第2ルーメン32は、カテーテルチューブの先端部へ開放し、ガイドワイヤや医療処置具等の挿通チャンネルとして用いられる。例えば、第2ルーメン32に光ファイバ束を収納して、血管や管状器官内壁へのレーザ照射を行ったり、或は、結石破砕用のプローブを収納して結石を破砕する等の治療行為を行うことができる。
【0040】
また、カテーテルチューブの先端部開口から血管や管状器官内などに流体を注入し、あるいは血管内などから流体を吸引することができる。具体的には、この第2ルーメン32は、カテーテルチューブを挿入、留置した血管や管状器官内等へ薬液を投与するのに用いられ、あるいは、内視鏡により血管や管状器官内を観察する場合に、視界の妨げとなる体液を押し出すための透明液体(例えば、生理食塩水、ぶどう糖液)を噴射するフラッシュ用チャンネルとしても用いられる。
【0041】
第3、4ルーメン33、34内には、カテーテルチューブの先端部分を屈曲させるための牽引ワイヤ41、42と平板コイル5が収納されている。この第3、4ルーメン33、34の先端開口は、充填材43により封止され、この充填材43により、牽引ワイヤ41、42の先端がチューブ本体2の先端においてチューブ本体2に対し固定されている。なお、牽引ワイヤ41、42の先端の固定位置は、平板コイル5の先端53よりチューブ本体2の先端側とされる。
【0042】
また、牽引ワイヤ41、42の先端の固定位置は、チューブ本体2の横断面内において、チューブ本体2の中心軸から偏心位置であり、これにより、牽引ワイヤ41、42のうちの一方を基端側へ牽引すると、図1中の一点鎖線で示すように、湾曲部21は、その牽引したワイヤ側へ湾曲することが可能となる。
【0043】
従って、牽引ワイヤ41、42の先端の固定位置は、前記横断面の中心より十分離れた位置、例えば横断面内の外周近傍であることが好ましい。
【0044】
牽引ワイヤ41、42の材質としては、牽引操作により断線を生じることがない程度の牽引強度を有するものが好ましく、その具体例としては、ステンレス鋼、超弾性合金等の細径金属線、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレン等の単線や繊維束、カーボンファイバ等を挙げることができる。また、牽引ワイヤの径は、牽引ワイヤの材質にもよるが、例えばステンレス線の場合、30〜500μm程度で、さらに好ましくは50〜300μm程度とするのが良い。
【0045】
このような牽引ワイヤ41、42を手元側方向へ牽引することにより、チューブ本体2の牽引ワイヤ41、42が配置された側を縮めようとする力がチューブ本体2の手元側方向に加わって、チューブ本体2の先端部分が屈曲し、これに伴って第1ルーメン31内の光ファイバ束8の先端部や第2ルーメン32内の医療処置器具の先端部が屈曲する。これにより、カテーテルチューブ1を挿入した血管や管状器官の内面の観察や医療処置が可能となる。
【0046】
本発明では、上記第1〜第4ルーメンに加えて他のルーメンを増設したものでもよい。そのルーメンの用途は、カテーテルチューブ先端にバルーンを設置し、バルーンの拡張、収縮などが上げられる。
【0047】
図1に示すように、カテーテルチューブ1の基端側に接続された操作具9は、操作具本体91を有し、該操作具本体91の先端部に形成されたマニホールド部92よりチューブ本体2の基端部23が挿入されている。また、操作具本体91の基端側には、把持部93が形成されており、該把持部93の基端部には、内視鏡の光ファイバ束8を前記ルーメン31へ挿入するためのコネクタ94が装着されている。また、把持部93には、斜め方向に分岐した分岐部95が形成され、該分岐部95の端部には、前記ルーメン32へ例えば液体を注入するコネクタ96が装着されている。コネクタ94およびルーメン31、コネクタ96およびルーメン32は、操作具本体91内で、それぞれ図示しない管路により接続されている。
【0048】
操作具本体91のマニホールド部92と把持部93との間には、ワイヤ41、42を牽引操作する操作ダイヤル97が回転可能に支持されている。この操作ダイヤル97の回転軸には、図示しない巻き取りリールが固着され、操作ダイヤル97と一体的に回転する。ワイヤ41、42の基端側は、それぞれ、ルーメン33、34の基端から露出して操作具本体91内を通り、前記巻き取りリールに互いに反対方向に巻き付けられている。これにより、操作ダイヤル97を例えば図1中時計回りに回転すると、ワイヤ42が牽引され、ワイヤ41が弛緩して湾曲部21が図1および図4中上方へ湾曲し操作ダイヤル97を前記と逆方向に回転すると、ワイヤ41が牽引され、ワイヤ42が弛緩して湾曲部21が図1および図4中下方へ湾曲する
以上、本発明のカテーテルチューブを図示の実施例に基づき説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0049】
本発明のカテーテルチューブにおいて、各ルーメンの数や配置は、図示の構成のものに限定されず、例えば、ルーメン数は、1〜3であってもよい。また、図示のルーメン31〜34に加え、他の1または2以上のルーメンが付加されているものであってもよい。例えば、チューブ本体2の先端部に、作動流体により拡張、収縮するバルーン(図示せず)を設けたバルーンカテーテルとした場合、バルーン内へ作動流体を供給するためのルーメンを付加することができる。
【0050】
以下、本発明のカテーテルチューブを具体的実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
【0051】
(実施例1)
図1乃至図7に示す構造のカテーテルチューブを製作した。このカテーテルチューブの諸条件は次の通りである。
【0052】
<チューブ本体>
構成材料 :軟質ポリ塩化ビニル樹脂
外径 :2.5mm
全長 :約50cm
ルーメン数 :4
操作ワイヤおよび平板コイル収納用ルーメン:2本(内径0.5mm)
光ファイバ束収納用ルーメン:1本(内径1.0mm)
医療用処置、診断具収納用ルーメン:1本(内径1.0mm)
<平板コイル>
構成材料 :ステンレス鋼
形状 :一条一層密巻き。
【0053】
外径 a:0.7mm
内径 b:0.3mm
平板の幅 w:0.4mm
溝深さ h:約0.07mm
溝幅 w’:約0.1mm
<操作ワイヤ>
構成材料 :ポリアリレート撚り糸
本数 :2本
外径 :約0.3mm
<光ファイバ束>
構成 :イメージファイバ(直径約3μmの石英ファイバ約2000本)ライトガイド(直径50μmの石英ファイバ25本)
外径 :約0.9mm
(実施例2)
本発明のカテーテルチューブの第2の実施例について述べる。平板コイル5の形状以外は、実施例1と同様のカテーテルチューブを製作した。
【0054】
図11には、第2の実施例のカテーテルチューブに用いられる平板コイル6の側面図を示す。平板コイル6は長方形断面を有する平板を用いてコイル成形された後、その先端部分61及び図示しない手元側の一部分を削って溝を掘る、後加工することにより、その外周面に溝62が形成されている。このような後加工としては、工具による切削加工、レーザ加工、圧縮加工、ダイスによるねじ切りなどが挙げられる。
【0055】
この平板コイルの諸条件は次の通りである。
【0056】
<平板コイル>
外径 a:0.7mm
内径 b:0.3mm
平板の幅 w:0.4mm
溝深さ h:0.05mm
溝幅 w’:0.1mm
溝ピッチ P:0.3mm
このように必要な部分のみに溝62を形成した平板コイル6を用いることにより、固定部分以外の部分の強度低下を防止することができる。
【0057】
(実施例3)
本発明のカテーテルチューブの第3の実施例について述べる。平板コイル5の形状以外は、実施例1と同様のカテーテルチューブを製作した。
【0058】
図12には、第3の実施例のカテーテルチューブに用いられる平板コイル7の断面図を示す。平板コイル7は長方形断面を有する平板を用いてコイル成形されているが、コイルの中心径D{中心径=(外径a+内径b)/2}と平板の肉厚tとの比率D/tを小さくしてあるためにコイル成形後の平板に反りが生じている。このように反りを生じさせることにより、平板と平板の隙間には溝71が形成されることとなる。
この平板コイルの諸条件は次の通りである。
【0059】
<平板コイル>
外径 a:0.6mm
内径 b:0.23mm
平板の幅 w:0.4mm
肉厚 t:0.15mm
中心径 D=0.38
D/t=2.53
このような平板コイルのD/tは、好ましくは2〜10、さらに好ましくは2.5〜4である。
【0060】
上記実施例1乃至3のカテーテルチューブについて、操作具9のダイヤル97を回転操作して、湾曲部21を湾曲させたところ、いずれも良好に湾曲操作がなされ、ルーメンの潰れによる閉塞。狭窄も生じなかった。
【0061】
次に、上記実施例1、2および3の各カテーテルチューブについて、平板コイルの固定力を測定した。その測定方法は、カテーテルチューブを固定した状態で、コイルを押して、コイルが移動したときの荷重を固定強度とした。
【0062】
測定の結果、実施例1乃至3の各カテーテルチューブの固定強度は、5.5kgf、5.0kgf、4.0kgfであり、カテーテルチューブの先端湾曲部と中間部の境界部のチューブ本体が平板コイルと確実に固定されていることが確認できた。
【0063】
本発明のカテーテルチューブの用途は、前述した内視鏡用のカテーテルチューブに限らず、例えば、アブレーションカテーテル等の各種カテーテルチューブ等に適用することもできる。
【0064】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明のカテーテルチューブによれば、ルーメン内に設置した平板コイルに溝部を形成しチューブ本体の外側から締め付けることにより、平板コイルとチューブ本体とを確実に固定することができ、十分な固定強度が得られる。従って、牽引ワイヤを牽引してカテーテルチューブ先端部分を湾曲させたときにチューブ本体に圧縮力が加わっても、平板コイルがチューブ本体に対して移動し難い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカテーテルチューブを内視鏡に適用した場合の実施例を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示すカテーテルチューブの先端部の構成を示す斜視図である。
【図3】図2中のI−I線断面図である。
【図4】図2中のII−II線断面図である。
【図5】図4中のIII−III線断面図である。
【図6】図4中のIV−IV線断面図である。
【図7】図4中のV−V線断面図である。
【図8】平板コイルを構成する溝を形成した平板を表す図である。
【図9】平板コイルを構成する溝を形成した平板を表す図である。
【図10】平板コイルを構成する溝を形成した平板を表す図である。
【図11】本発明の第2の実施例を示す平板コイルの側面図である。
【図12】本発明の第3の実施例を示す平板コイルの断面図である。
【符号の説明】
1 カテーテルチューブ
2 チューブ本体
21 湾曲部
22 中間部(非湾曲部)
23 基端部
31〜34 ルーメン
331、334 内壁面
41、42 ワイヤ
43 充填剤
5 平板コイル
51 平板
52 溝部
53 平板コイルの先端部
6 平板コイル
61 平板コイルの先端部
62 溝
7 平板コイル
71 溝
8 光ファイバ束
81 送光用ファイバ
82 受光用ファイバ
83 ロッドレンズ
9 操作具
91 操作具本体
92 マニホールド部
93 把持部
94 コネクタ
95 分岐部
96 コネクタ
97 操作ダイヤル

Claims (4)

  1. チューブ本体と、該チューブ本体のほぼ全長に渡って形成された少なくとも一つのルーメンと、前記ルーメンの内の少なくとも一つに一部あるいは全長に渡って設置され、先端部及び手元部を有する密巻きコイルとを有するカテーテルチューブであって、前記密巻きコイルが前記先端部および手元部において固定される固定部を有し、前記密巻きコイルにおける前記チューブ本体に固定された前記固定部の外周面のみに溝部が形成されていることを特徴とするカテーテルチューブ。
  2. チューブ本体と、該チューブ本体のほぼ全長に渡って形成された少なくとも一つのルーメンと、前記ルーメンの内の少なくとも一つに一部あるいは全長に渡って設置され、先端部及び手元部を有する密巻きコイルとを有するカテーテルチューブであって、前記密巻きコイルは平板材により構成され、コイル成形後の平板材の横断面において中央部分が凹む状態の反りを生じさせることによって、隣接する平板同士の間に溝が形成されており、前記密巻きコイルが前記先端部および手元部においてのみ固定されていることを特徴とするカテーテルチューブ。
  3. 前記密巻きコイルの外径と内径の平均値Dと前記平板材の厚さtとの比率D/tが2〜5であることを特徴とする請求項2記載のカテーテルチューブ。
  4. 前記密巻きコイルの内部には、牽引ワイヤが挿通されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカテーテルチューブ。
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