JP3547795B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、磁気テープ等の磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
結合剤中に強磁性粉末を分散させた磁性層を有する塗布型磁気記録媒体では、繰り返し走行による強磁性粉末等の磁性層成分の脱落(粉落ち)が問題となる。
【0003】
記録密度を高くするにしたがって記録周波数も高くする必要があり、磁性層と磁気ヘッドとの間隙を精密に管理する必要が高くなっている。このため、例えばこれまで問題とされてきた磁気ヘッドと摺接する磁性層表面全面からの粉落ちのみでなく、テープエッジ部からの微量の粉落ちでも磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間の間隙に悪影響を与える原因となっている。例えばディジタルコンパクトカセット(DCC)テープ等のディジタル信号の記録に用いる場合には符号誤り率(エラーレート)が増加しやすく実用上問題となる。このため以前にもまして粉落ちの少ない磁気記録媒体が求められている。
【0004】
粉落ちを防止するために種々の方法が提案されている。例えば特開平1−118213号公報では、磁性層に用いる結合剤中にガラス転移温度Tgが0℃以下のポリウレタン樹脂と、Tgが50℃以上で分子内に極性基を含む樹脂とを併用することを提案している。Tgが0℃以下の柔らかいポリウレタン樹脂とTgが50℃以上で極性基をもつ樹脂とを併用することで、磁性粉等の高い分散性が保たれ、その上高いカレンダ加工性が得られ、ヘッド磨耗量、さらに磁性層全面からの粉落ち等を低く抑えられるとしている。しかし、結合剤を前記公報の組成としても、後述するテープエッジ部からの粉落ちを防止することは非常に難しい。ただし、本発明者等による研究の結果、後述するように前記Tgが50℃以上の極性基を含む樹脂として、特にポリウレタン樹脂を用いることで、前記公報で記述されている磁性層全面からの粉落ちのみでなく、テープエッジ部からの粉落ちをも防止することが可能となった。しかし、前記Tgが50℃以上の極性基を含む樹脂としてポリウレタン樹脂を用い、前記公報の構成とすると、高温度環境下での走行安定性が低下し、走行事故発生の増加が避けられず、実用化できない。
【0005】
また、この出願の先願である特開平5−307734号公報でも、69℃または76℃のポリエステルポリウレタン樹脂と、−27℃および−25℃のポリエステルポリウレタン樹脂とを併用しているが、この場合も全く同様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、常温での粉落ちが少なく、特に高温度環境下での走行安定性がすぐれ、さらにカレンダ加工性がよく電磁変換特性がすぐれた磁気記録媒体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(3)の本発明により達成される。
(1)非磁性支持体上に強磁性粉末を結合剤中に分散させた磁性層を設けた磁気記録媒体であって、
前記結合剤は、ガラス転移温度Tgが60℃≦Tg≦80℃のポリウレタン樹脂Aを前記結合剤の35〜50重量%および3℃≦Tg≦25℃のポリウレタン樹脂Bを前記結合剤の30〜65重量%含み、
前記ポリウレタン樹脂Aと前記ポリウレタン樹脂Bとを加えた量が、前記結合剤の80〜100重量%である磁気記録媒体。
(2)前記ポリウレタン樹脂Aおよび/または前記ポリウレタン樹脂Bが極性基を有する上記(1)の磁気記録媒体。
(3)前記ポリウレタン樹脂AのTgと前記ポリウレタン樹脂BのTgとの差が40〜70℃である上記(1)または(2)の磁気記録媒体。
【0008】
【作用および効果】
本発明では、用いる結合剤中にガラス転移温度Tgが60℃≦Tg≦80℃のポリウレタン樹脂Aを結合剤の35〜50重量%およびTgが3℃≦Tg≦25℃のポリウレタン樹脂Bを結合剤の30〜65重量%含む。また、ポリウレタン樹脂Aとポリウレタン樹脂Bとを加えた量が結合剤の80〜100重量%である。さらにポリウレタン樹脂Aおよび/またはポリウレタン樹脂Bの分子内には極性基を有することが好ましい。
【0009】
ポリウレタン樹脂Aを含有することで高温度環境下での走行安定性が向上し、またポリウレタン樹脂Bを含有することで、特に高温度環境下での走行安定性を低下させることなくカレンダ加工性が向上し、すぐれた電磁変換特性が得られる。さらに、これらのポリウレタン樹脂に極性基を含有することで強磁性粉末等の分散性がさらに向上する。
【0010】
結合剤がこのような2種のポリウレタン樹脂を80重量%以上含有することにより、まず、テープエッジ部からの粉落ちを防止するに際し、大きな効果が得られる。このテープエッジ部からの粉落ちとは、従来前記特開平1−118213号公報等において問題とされてきたような、主に磁性層と磁気ヘッドあるいはガイドピン等との摺接により生じる磁性層表面全体からの粉落ちよりも格段と苛酷な条件下での粉落ちである。
【0011】
すなわち、例えばDCCテープ等では記録信号のディジタル化により記録が高密度化し、記録トラック数を増加させるためにトラック幅が限られ、テープの幅方向のずれを精密に管理する必要がある。そのため磁気ヘッド近傍のガイド辺によりテープ走行時の幅方向のずれを修正している。その際、ガイド辺とテープエッジ部とが一部摺接することがあり、磁性層表面全体からの粉落ちのみでなく、従来問題とならなかったテープエッジ部からの微量の粉落ちをも防止する必要が生じている。このガイド辺とテープエッジ部との摺接により、テープエッジ部にはきわめて大きな応力がかかるが、このようなテープエッジ部からの微量の粉落ちをも防止するのはきわめて困難である。このようなテープエッジ部からの微量の粉落ちを防止するために前記のような2種のポリウレタン樹脂を80重量%以上含む結合剤を使用する。
【0012】
しかし、この際、前記公報にあるように、0℃以下のTgをもつポリウレタン樹脂を結合剤中の30〜50重量%程度含有した結合剤では、通常使用範囲の温度環境下でも、温度が高くなると結合剤が軟化する傾向をもち、磁性層と磁気ヘッドやガイドピン等との摩擦が極端に高くなるため、高温度環境下での走行安定性がきわめて悪化するという重大欠陥をもつ。
【0013】
そこで0℃以下のTgをもつポリウレタン樹脂にかえて、Tgが前記範囲であるポリウレタン樹脂Bをポリウレタン樹脂Aと併用することで、高温度環境下での走行安定性もすぐれ、テープエッジ部からの粉落ちを防止する際に大きな効果が得られ、さらにカレンダ加工性が向上し、すぐれた電磁変換特性をもつ磁気記録媒体が得られる。
【0014】
【具体的構成】
以下本発明の具体的構成について詳細に説明する。
本発明の磁気記録媒体には、結合剤中にガラス転移温度Tgが60℃≦Tg≦80℃、さらに好ましくは70℃≦Tg≦80℃のポリウレタン樹脂Aを結合剤の35〜50重量%含む。
【0015】
ポリウレタン樹脂AのTgが低すぎると高温度環境下での走行安定性が悪化し、走行停止事故が生じやすくなる。またTgが高すぎると溶剤との溶解性が悪化して分散性が低下しやすくなる。さらに、カレンダ加工性が劣化しやすく、電磁変換特性の低下を招きやすくなる。
【0016】
結合剤中のポリウレタン樹脂Aの含有量は、少なすぎると高温度環境下での走行安定性が悪化して走行停止事故が生じやすくなり、一方多すぎるとカレンダ加工性等が悪化して電磁変換特性が低下しやすくなり、さらに粉落ち防止効果も低下してくる。
【0017】
また、用いるポリウレタン樹脂Aの数平均分子量として好ましいのは5000〜60000、さらに好ましくは20000〜40000である。数平均分子量が小さすぎると磁性層と非磁性支持体との界面の接着強度が低下し、磁性層の剥離・脱落を引き起こしやすくなる。一方大きすぎると分散性が低下し、電磁変換特性が低下しやすくなる。
【0018】
さらに、結合剤中にはTgが3℃≦Tg≦25℃、特に好ましくは5℃≦Tg≦20℃のポリウレタン樹脂Bを結合剤の30〜65重量%、より好ましくは50〜65重量%含む。
【0019】
ポリウレタン樹脂BのTgが低すぎると、特に高温度環境下での走行安定性が悪化して走行停止事故が生じやすくなり、一方Tgが高すぎるとカレンダ加工性が低下して磁性層表面が粗くなり、再生出力等の電磁変換特性が劣化してくる。
【0020】
結合剤中のポリウレタン樹脂Bの含有量は、少なすぎるとカレンダ加工性が低下してくるため電磁変換特性が低下しやすくなり、一方多すぎると高温度環境下での走行安定性が悪化しやすくなる。
【0021】
また、用いるポリウレタン樹脂Bの数平均分子量として好ましいのは5000〜60000、さらに好ましくは20000〜40000である。数平均分子量が小さすぎると磁性層と非磁性支持体との界面の接着強度が低下し、磁性層の剥離・脱落を引き起こしやすくなる。一方大きすぎると分散性が低下し、電磁変換特性が低下しやすくなる。
【0022】
これらポリウレタン樹脂A、BのTgの差は40〜70℃であることが好ましい。これらの差が大きすぎても、小さすぎても粉落ちや高温での走行安定性が悪化する。なお、これらの樹脂のTgは、後述する動的粘弾性測定装置を用いて測定すればよい。
【0023】
このようなポリウレタン樹脂Aとポリウレタン樹脂Bとを加えた量は、用いる結合剤の80〜100重量%、特に95〜100重量%であることが好ましい。結合剤中のポリウレタン樹脂Aとポリウレタン樹脂Bとを加えた量が少なすぎるとテープエッジ部からの粉落ちが発生してエラーレートが増加しやすくなったり、高温度環境下での走行安定性が悪化しやすくなったり、あるいはカレンダ加工性が低下して磁性層表面が粗くなり、再生出力等の電磁変換特性が劣化しやすくなったりする。
【0024】
ポリウレタン樹脂Aおよびポリウレタン樹脂Bに用いるポリウレタン樹脂としては、通常このような磁気記録媒体に用いられるポリウレタン樹脂であれば、前記Tgを満足する限りいずれも使用できる。ただし強磁性粉末等、磁性層に含有する粉末成分の分散性や磁性層の走行耐久性等を向上させるために、ポリウレタン樹脂Aおよび/またはポリウレタン樹脂Bの分子内には極性基が含有されていることが好ましい。
【0025】
極性基としては、イオウを含有するスルホン酸基、硫酸基またはそれらのエステルもしくは塩、リンを含有するホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基またはそれらのエステルもしくは塩、あるいはカルボン酸若しくはその塩等を一種以上含むものが好ましい。特に好ましいのはスルホン酸基(−SO Y)、カルボン酸基(−COOY)、ホスホン酸基(PO Y)等である。ただしYはH、アルカリ金属のいずれてあってもよい。これらの極性基はポリウレタンポリマー1分子あたり0.1〜5分子程度含まれていることが好ましい。
【0026】
さらに、本発明の磁気記録媒体に用いる結合剤としては、前記ポリウレタン樹脂Aおよびポリウレタン樹脂B以外の樹脂が、前記結合剤の20重量%未満含まれていてもよい。このような樹脂としては、通常用いられているものであれば特に制限はなく、例えばTgが前記以外の範囲のポリウレタン樹脂、塩化ビニル−アクリル酸エステル系共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン系共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル系共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル系共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン系共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン系共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン系共重合体、ポリ弗化ビニル−塩化ビニリデン−アクリロニトリル系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース等)、スチレンブタジエン系共重合体、ポリエステル樹脂−クロロビニルエーテルアクリル酸エステル系共重合体、アミノ樹脂および合成ゴム系の熱可塑性樹脂などをあげることができる。これらの結合剤のうちでは、特にテープエッジからの粉落ちを防止する効果を高めるためにはポリウレタン樹脂が好ましい。これらは一種単独でも、二種以上を組み合わせることもできる。
【0027】
磁性層に用いられるこれらの結合剤の含有量は、強磁性粉末100重量部に対して5〜30重量部、特に15〜25重量部が好ましい。結合剤の含有量が少なすぎると磁性層の強度が低下するため、走行耐久性が悪化しやすくなる。一方、多すぎると強磁性粉末の含有量が低下するため電磁変換特性が低下してくる。
【0028】
これらの結合剤を硬化する架橋剤としては、各種ポリイソシアナート、特にジイソシアナートを用いることができ、特に、トリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、メチレンジイソシアナートの1種以上が好ましい。これらの架橋剤は、トリメチロールプロパン等の水酸基を複数有するものに変性した架橋剤またはジイソシアネート化合物3分子が結合したイソシアヌレート型の架橋剤として用いることが特に好ましく、結合剤樹脂に含有される官能基等と結合して樹脂を架橋する。架橋剤の含有量は結合剤100重量部に対し、10〜30重量部とすることが好ましい。
【0029】
本発明の磁気記録媒体に用いる強磁性粉末としては、例えばγ−Fe 、Co含有γ−Fe 、Fe 、Co含有Fe 、CrO 等の酸化物微粉末や、Fe、Co、Niあるいはこれらの合金微粉末等公知の磁性粉末から、目的に応じて適当なものを選択すればよく、特に制限はない。
【0030】
強磁性粉末の形状は針状、紡錘状、粒状、板状等通常用いられている形状であれば限定しないが、粒状あるいは板状等の形状より、例えば針状あるいは紡錘状であれば、磁場配向処理の効果がより高く期待出来ること、磁性層自体の長手方向の強度が高まることなどから、好ましくは針状あるいは紡錘状である。このような形状の粉末の平均長径、平均軸比等も通常用いられている範囲であれば特に制限はなく、目的とする磁性層の構成に応じて選定すればよいが、通常は平均長径0.1〜5μm 程度、平均軸比3〜15程度が好ましい。
【0031】
さらに、保磁力Hc、飽和磁化σs等も特に限定はなく、目的に応じて適宜選定すればよいが、通常はHcは350〜2000Oe程度、σsは50〜150emu/g 程度が好ましい。
【0032】
このような強磁性粉末は、磁性層組成中の70〜90重量部程度含まれていればよい。強磁性粉末の含有量が多すぎると結合剤の含有量が減少するためカレンダ加工による表面平滑性が悪化しやすくなり、一方少なすぎると高い再生出力を得られない。
【0033】
さらに磁性層中には、磁性層の機械的強度を高めるために、α−Al 、Cr 、TiO 、SiC、α−Fe 等の無機微粒子を含有させることが好ましい。また、磁性層中には、必要に応じ、リン酸エステル、脂肪酸等の分散剤、脂肪酸エステル、シリコンオイル等の潤滑剤、その他の各種添加物を添加してもよい。
【0034】
このような磁性層組成成分に有機溶媒を加えて磁性塗料を作成するが、用いる有機溶媒としては特に制限はなく、磁性層に通常用いる溶媒、例えばシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン等のケトン系、トルエン等の芳香族系、THF等のフラン系等の各種有機溶剤の1種または2種以上を目的に応じて選択すればよい。また磁性塗料中の有機溶媒の含有率に制限はなく、磁性塗料の組成、調製方法および塗布方法等から適宜決定すればよい。
【0035】
調製した磁性塗料は非磁性支持体上に塗布するが、用いる非磁性支持体に特に制限はなく、目的に応じて各種可撓性材質、各種剛性材質から選択した材料を、各種規格に応じてテープ状などの所定形状および寸法とすればよい。例えば、可撓性材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミドその他の各種樹脂が挙げられる。
【0036】
磁性塗料の塗布方法には特に制限はなく、通常用いられている方法から目的に応じて選択すればよい。また、磁性層は単層のみでなく、2層以上の多層構造をもつものでもよい。さらに、磁性層と非磁性支持体との間に磁性層と非磁性支持体との接着性を向上させるために下塗り層を設けたり、磁性層と非磁性支持体あるいは下塗り層との間に、例えばカレンダ加工性を向上させるために非磁性層等を設けたりしてもよく、製造する磁気記録媒体の性能、目的等から選択すればよい。なお、磁性層を多層構造としたり前記非磁性層等を設けたりする場合、粉落ちを防止するために、結合剤をもつすべての層の結合剤にポリウレタン樹脂Aおよびポリウレタン樹脂Bが前記範囲含まれることが好ましい。
【0037】
磁性塗料塗布後、配向、乾燥、カレンダ加工、キュアリング等の工程を経て磁気記録媒体を得るが、これらの工程に特に制限はなく、通常の方法を目的に応じて選択して用いればよい。このようにして得られた磁性層1層の厚さとしては、通常0.3〜6μm 程度である。
【0038】
なお、本発明の磁気記録媒体には走行安定性の改善や磁性層の帯電防止等のためにバックコート層が設けられることが好ましい。用いるバックコート層には特に制限はなく、通常の方法で設層すればよい。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0040】
実施例1
以下のようにして、磁性層およびバックコート層を具えたDCC用磁気テープを作製した。磁性層およびバックコート層の組成を表わした数値は、特に記述した場合を除き重量部とした。
【0041】
<磁性層>
Co被着γ−Fe 100
(BET値:40m/g、Hc:720Oe、σs:75emu/g )
結合剤(表1、2に示した組成) 17
α−アルミナ(粒径0.2μm ) 1.5
ミリスチン酸 0.5
ポリイソシアネート 5
メチルエチルケトン 290
シクロヘキサノン 90
【0042】
表1、2に示した組成の結合剤を含む上記の組成の磁性塗料を調製し、10μm 厚のポリエステル製非磁性支持体上に塗布、磁場配向、乾燥、カレンダ処理を行い、厚さ2μm の磁性層を形成して、60℃、24時間加温熱処理を行なった。なお、ポリウレタン樹脂はスルホン酸基を有するものを用いた。また、表1、2の結合剤組成比率は重量%で示した。
【0043】
次いで非磁性支持体の磁性層の裏面に、以下の組成のバックコート層を形成した。
【0044】
<バックコート層>
カーボンブラック(平均粒径0.03μm ) 97
非磁性粉末(SiO 粉末;平均粒径60μm ) 3
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 70
ポリウレタン 30
シリコーンオイル 2
ポリイソシアネート 30
メチルエチルケトン 840
トルエン 560
【0045】
上記組成のバックコート層塗料を調製し、塗布、乾燥、カレンダ処理を行い、60℃24時間加温熱処理して0.5μm 厚の層を形成した。
【0046】
得られた磁気記録媒体について評価を行った。用いたポリウレタン樹脂のTgの測定方法および得られた各磁気記録媒体試料の評価方法を下記に示した。
【0047】
<Tg測定方法>
動的粘弾性測定装置により測定した。用いた測定機器は、岩本制作所(株)製「粘弾性スペクトロメータ type VES−F−III」で、測定条件は、
周波数100Hz 正弦波歪連続加振、
振幅20μm 、
温度2℃/min.昇温
とした。得られた動的弾性率E’より、LogE’値の温度依存曲線を得、屈曲点の温度を求めてTgとした。屈曲点は、図1のLogE’値の温度依存曲線のグラフに示すように接線Mおよび接線Nを求め、その交点とする。
【0048】
<粉落ち試験評価法>
DCC900テープレコーダー(フィリップス社製)を使用して25℃、24時間繰り返し連続走行を行い、磁性層表面およびテープエッジ部からの磁性粉等の脱落によるテープパッドへの脱落粉の付着程度を目視により観察した。その結果、テープパッドへの付着がほとんど確認されないものを○とし、テープパッドへの付着が認められ、エラーレート増加を引き起こすおそれのあるものを△とし、さらにテープパッドへの付着が多いものを×、×のうち特に著しいものを××とした。
【0049】
<再生出力の評価法>
DTT1000テープレコーダー(フィリップス社製)を使用して48kHz の信号を記録し、その再生出力を測定した。その際、従来例として満足できる再生出力レベルである実験番号1の磁気記録媒体を標準とし、この再生出力レベルを0.0dBとして相対値で表わし、0.0dB以下を再生出力不良と判定した。
【0050】
<高温度走行試験評価法>
DCC900テープレコーダー(フィリップス社製)を使用し、各実験で得られた磁気テープを30試料(n=30)用い、60℃環境下で24時間繰り返し連続走行を行い、トルクが高くなり走行停止が発生した試料数を示した。
【0051】
評価結果を、用いた結合剤の種類、Tgおよび組成比率とともに表1、2にまとめて示した。
【0052】
【表1】
Figure 0003547795
【0053】
【表2】
Figure 0003547795
【0054】
表1、2より明らかなように、本発明の範囲の結合剤組成を用いた磁気テープ試料は特に磁性層表面およびテープエッジ部からの粉落ち、高温度環境下での走行安定性、再生出力ともにすぐれた結果が得られる。
【0055】
実施例2
Hc700Oe、BET28m/gのCo被着γ−Fe を含有する乾燥厚1.5μm の下層と、Hc720Oe、BET40m/gのCo被着γ−Fe を含有する乾燥厚0.5μm の上層とを有する2層構造の磁気記録媒体を実施例1に準じて作製した。結合剤は上下層ともにポリウレタン樹脂A、(Tg=70℃)50:ポリウレタン樹脂B、(Tg=20℃)50である。この試料No. 31の結果を表2に併記する。
【図面の簡単な説明】
【図1】屈曲点を求めるための接線Mおよび接線Nを示す一例のグラフである。

Claims (3)

  1. 非磁性支持体上に強磁性粉末を結合剤中に分散させた磁性層を設けた磁気記録媒体であって、
    前記結合剤は、ガラス転移温度Tgが60℃≦Tg≦80℃のポリウレタン樹脂Aを前記結合剤の35〜50重量%および3℃≦Tg≦25℃のポリウレタン樹脂Bを前記結合剤の30〜65重量%含み、
    前記ポリウレタン樹脂Aと前記ポリウレタン樹脂Bとを加えた量が、前記結合剤の80〜100重量%である磁気記録媒体。
  2. 前記ポリウレタン樹脂Aおよび/または前記ポリウレタン樹脂Bが極性基を有する請求項1の磁気記録媒体。
  3. 前記ポリウレタン樹脂AのTgと前記ポリウレタン樹脂BのTgとの差が40〜70℃である請求項1または2の磁気記録媒体。
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