JP3547630B2 - 電子レンジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱庫内の底面となる角トレイが本体より脱着可能な電子レンジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メンテナンスが簡単に行えるように加熱庫の底面となっている角トレイが本体より自在に脱着できる電子レンジの従来技術について説明する。図11(イ)はこの電子レンジの断面を正面から見た概略図であり、同図(ロ)は同図(イ)における円S3内を拡大して示した図である。
【0003】
図11(イ)に示すように、電子レンジ本体1内に設けられた加熱庫2は底面2aの中央に凹部1aが形成されており、その底面2a上には凹部1aを覆うようにガラス製の角トレイ3が取り付けられている。凹部1a内には、モータ4によって駆動されるマイクロ波撹拌用のスタラファン5が設けられている。6はマイクロ波を発振するマグネトロンであり、導波管7より送られてきたマイクロ波はこのスタラファン5によって加熱庫2内に拡散される。
【0004】
角トレイ3は本体1より脱着できる構成となっているため、角トレイ3と加熱庫2の側面2bとの間には隙間がある。従って、調理や清掃による煮汁や油、水、洗剤などが角トレイ3から漏れ出て、凹部1a内に流れ込むおそれがある。そこで、図11(ロ)に示すように、角トレイ3の周縁にはシリコンパッキン8がシリコン接着剤9にて固着されている。
【0005】
シリコンパッキン8には、角トレイ3の両側縁及び後端縁に沿う部分で上縁が薄く延びて延在部8aが形成されている。本体1から取り外された角トレイ3を加熱庫2内に装着するには、延在部8aがめくれ上がった状態でその下面を加熱庫2の側面2bに密接させて角トレイ3を押し下げる。これによって、角トレイ3の下側の空気が押し出され、シリコンパッキン8の延在部8aは吸盤のように加熱庫2の側面2bに吸着する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図12(イ)は上記電子レンジの断面を側方から見た概略図であり、同図(ロ)は同図(イ)における円S4内を拡大して示した図である。尚、図中左側が電子レンジの前面になる。角トレイ3の前端縁に沿う部分のシリコンパッキン8は、電子レンジの扉10の開閉を円滑にし、また角トレイ3が簡単に取り外せるように、延在部8a(図11(イ)参照)が形成されておらず扉10との間に隙間が設けられている。従って、この隙間から煮汁や油などが漏れ出る。
【0007】
また、上記シリコンパッキン8と扉10との隙間からは空気も角トレイ3の下側に流入し、加熱庫2の側面2bを押さえている延在部8aの下面が持ち上がって、延在部8aによるシリコンパッキン8のシール効果も弱まる。故に、煮汁や油などがさらに漏れ出ることになる。凹部1a内に流れ込んでスタラファン5に付着したりその付近に溜まった煮汁や油などは、マグネトロン6で発振されたマイクロ波との間で放電し、これがスタラファン5などの故障の原因となる。
【0008】
本発明は上記課題をかんがみて成されたものであり、角トレイより煮汁や油などが漏れ出ない電子レンジを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の電子レンジは、加熱庫と、該加熱庫の底面に形成された凹部と、該凹部内に設けられたマイクロ波攪拌用ファンと、マイクロ波透過性材料から成り加熱庫の底面を覆う角トレイと、該角トレイの周縁に固着されたパッキンとを備えている電子レンジにおいて、加熱庫の底面には凹部の周縁に沿って凸条が形成されているとともに、その凸条の頂部に角トレイの下面が当接するようになっていることを特徴とする
【0010】
上記構成の電子レンジでは、パッキンのシール効果が弱く煮汁や油などが角トレイの下側に漏れ出ても、凹部の周縁に形成された凸条でせき止められて凹部内には流れ込まない。
【0011】
請求項2の電子レンジは、請求項1に記載の電子レンジにおいて、
凸条の周囲には複数の穴が形成されており、該穴の径はマイクロ波が漏洩しない程度の大きさであって、隣接する穴同士の間隔はマイクロ波の4分の1波長であることを特徴とする。従って、凸条でせき止められた煮汁や油などはこの穴から加熱庫へ排出される。このとき、穴からはマイクロ波が漏れ出ることはない。
【0012】
請求項3の電子レンジは、加熱庫と、該加熱庫の底面に形成された凹部と、該凹部内に設けられたマイクロ波攪拌用ファンと、マイクロ波透過性材料から成り加熱庫の底面を覆う角トレイと、該角トレイの周縁に固着されたパッキンとを備えている電子レンジにおいて、加熱庫の底面の手前側の左右両端には角トレイの下面を吸着するための吸盤が設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によると、吸盤が角トレイの下面を吸着することで、角トレイの前端縁に固着されているパッキンの下面と加熱庫の底面とが密接する。
【0014】
請求項4の電子レンジは、請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジにおいて、パッキンの下面には加熱庫の底面に当接して自在に屈曲する突起部が形成されていることを特徴とする。従って、押し下げられる角トレイに伴って突起部が加熱庫の底面に当接するとそのまま屈曲し、パッキンの下面と加熱庫の底面との隙間を埋める。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。尚、各実施形態とも図11及び図12に示す従来技術と同じ構成の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
先ず、第1実施形態について説明する。図1(イ)はこの電子レンジの断面を正面から見た概略図であり、同図(ロ)は同図(イ)における円S1内を拡大して示した図である。図2(イ)は電子レンジの断面を側方から見た概略図であり、同図(ロ)は同図(イ)における円S2内を拡大して示した図である。
【0017】
この電子レンジでは、加熱庫2の底面2aに凸条11が2本、凹部1aを囲むように形成されている。図1(ロ)に示すように、凸条11の頂部は角トレイ3の下面に当接していることから、シリコンパッキン8のシール効果が弱く角トレイ3上の煮汁や油などが角トレイ3の下側に漏れ出ても、この凸条11でせき止められて凹部1a内には流れ込まない。
【0018】
次に、第2実施形態について説明する。図3は本実施形態の電子レンジ本体1の加熱庫2内を模式的に示した斜視図である。加熱庫2の底面2aには第1実施形態と同様に凸条11が形成されており、その外側には凸条11を囲むように複数の穴12が一列に並んで形成されている。この穴12の径は電波が漏洩しない程度の大きさ、例えば4mmであり、また穴12同士の間隔Lはマイクロ波の4分の1波長である。
【0019】
図4及び図5は電子レンジの断面の一部を示した図であり、それぞれ図1(ロ)及び図2(ロ)に対応している。この電子レンジでは、第1実施形態と同様に、シリコンパッキン8のシール効果が弱く煮汁や油などが角トレイ3から漏れ出ても凸条11でせき止められる。そして、溜まった煮汁や油などは穴12から加熱庫2外へ排出される。故に、凸条11のシール効果がより高まる。
【0020】
次に、第3実施形態について説明する。図6は本実施形態の電子レンジ本体1の加熱庫2の内部を模式的に示した斜視図である。加熱庫2の底面2aには、手前側の左右両端にシリコン製の吸盤13が設けられている。
【0021】
図7は電子レンジの断面の一部を示した図であり、図2(ロ)に対応している。吸盤13はシリコンパッキン8よりも内側で角トレイ3の下面を吸着しており、シリコンパッキン8の下面を加熱庫2の底面2aに密接させている。従って、この電子レンジでは角トレイ3の前端縁がシールされ煮汁や油などが漏れ出ない。
【0022】
また、角トレイ3の下側に空気が流れ込まないので、シリコンパッキン8の側端縁及び後端縁に形成した図示しない延在部8aの下面が持ち上がらず、シール効果は維持される。さらに、シリコンパッキン8と扉10との間には隙間を有することから扉10の開閉は自在であり、角トレイ3の脱着も容易に行うことができる。
【0023】
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態とシリコンパッキン8の構成だけが異なるものである。図8は本実施形態の角トレイ3における側端縁の部分を示した断面図である。図に示すように、シリコンパッキン8の下面には細長い突起部8bが延びている。この突起部8bは、図示しないシリコンパッキン8全体の下面に形成されている。
【0024】
上記構成の角トレイ3を図示しない加熱庫2内に装着する。図9は本実施形態の電子レンジの断面の一部を示した図であり、図1(ロ)に対応する。突起部8bはシリコン製なので、押し下げられた角トレイ3に伴って加熱庫2の底面2aに当接すると簡単に屈曲する。
【0025】
この屈曲した突起部8bによって、シリコンパッキン8の下面と加熱庫2の底面2aとの隙間が埋められる。従って、凸条11と共に漏れ出た煮汁や油などを直接せき止めるだけでなく、角トレイ3の前端縁からの空気の流入がないので延在部8aによるシリコンパッキン8のシール効果を維持することができる。
【0026】
上記第4実施形態は、第1実施形態の電子レンジにおけるシリコンパッキン8に突起部8bを形成した構成となっている。これと同様に、第3実施形態の電子レンジのシリコンパッキン8に突起部8bを設けてもよい。図10は該電子レンジの断面の一部を示した図であり、図7に相当する。図に示すように、吸盤13が角トレイ3を吸着することで突起部8bは底面2aに押し付けられて屈曲し、シリコンパッキン8の下面と加熱庫2の底面2aとの隙間を埋める。従って、第4実施形態と同様にシール効果がいっそう向上する。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の電子レンジでは、パッキンによる角トレイのシール効果が弱くそこから角トレイ上の煮汁や油などが漏れ出ても、凸条でせき止められる。特に、請求項2の電子レンジでは加熱庫の底面に形成された穴によって凸条でせき止められた煮汁や油などが加熱庫外へ排出される。故に、シール効果が弱くてもマイクロ波攪拌用ファンなどの部材に煮汁や油などが付着するという不都合がない。
【0028】
また、請求項3の電子レンジでは、角トレイの前端縁でパッキンが加熱庫の底面に密着するのでこの部分でシールが成される。さらに、角トレイの下側に空気が流入しないのでパッキンの延在部でのシール効果が維持される。故に、マイクロ波攪拌用ファンなどの部材に煮汁や油などが付着するという不都合がない。
【0029】
特に、請求項4の電子レンジでは、パッキンの下面に形成された突起部によりパッキンの下面と加熱庫の底面との間の隙間が塞がれるので、シール効果をより向上させることができる。
【0030】
このように、請求項1乃至請求項4の電子レンジでは、加熱庫以外のところに煮汁や油などが漏れ出るといった不都合はないので、故障が少なく安全な運転が保障されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)は本発明に係る第1実施形態の電子レンジの断面を正面から見た図であり、(ロ)は同図(イ)における円S1内を拡大して示した図である。
【図2】(イ)は第1実施形態の電子レンジの断面を側方から見た図であり、(ロ)は同図(イ)における円S2内を拡大して示した図である。
【図3】本発明に係る第2実施形態の電子レンジの加熱庫内を示した斜視図である。
【図4】第2実施形態の電子レンジの断面の一部を示した図である。
【図5】第2実施形態の電子レンジの断面の一部を示した図である。
【図6】本発明に係る第3実施形態の電子レンジの加熱庫内を示した斜視図である。
【図7】第3実施形態の電子レンジの断面の一部を示した図である。
【図8】本発明に係る第4実施形態の角トレイの断面の一部を示した図である。
【図9】第4実施形態の電子レンジの断面の一部を示した図である。
【図10】第4実施形態のほかの実施形態について示しており、電子レンジの断面の一部を示した図である。
【図11】(イ)は従来技術の電子レンジの断面を正面から見た図であり、(ロ)は同図(イ)における円S3内を拡大して示した図である。
【図12】(イ)は従来技術の電子レンジの断面を側方から見た図であり、(ロ)は同図(イ)における円S4内を拡大して示した図である。
【符号の説明】
1 電子レンジ本体
2 加熱庫
3 角トレイ
4 モータ
5 スタラファン
6 マグネトロン
7 導波管
8 シリコンパッキン
8a 延在部
8b 突起部
9 シリコン接着剤
10 扉
11 凸条
12 穴
13 吸盤

Claims (4)

  1. 加熱庫と、該加熱庫の底面に形成された凹部と、該凹部内に設けられたマイクロ波攪拌用ファンと、マイクロ波透過性材料から成り前記加熱庫の底面を覆う角トレイと、該角トレイの周縁に固着されたパッキンとを備えている電子レンジにおいて、
    前記加熱庫の底面には前記凹部の周縁に沿って凸条が形成されているとともに、前記凸条の頂部に前記角トレイの下面が当接するようになっていることを特徴とする電子レンジ。
  2. 前記凸条の周囲には複数の穴が形成されており、該穴の径はマイクロ波が漏洩しない程度の大きさであって、隣接する前記穴同士の間隔はマイクロ波の4分の1波長であることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ。
  3. 加熱庫と、該加熱庫の底面に形成された凹部と、該凹部内に設けられたマイクロ波攪拌用ファンと、マイクロ波透過性材料から成り前記加熱庫の底面を覆う角トレイと、該角トレイの周縁に固着されたパッキンとを備えている電子レンジにおいて、
    前記加熱庫の底面の手前側の左右両端には前記角トレイの下面を吸着するための吸盤が設けられていることを特徴とする電子レンジ。
  4. 前記パッキンの下面には前記加熱庫の底面に当接して自在に屈曲する突起部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子レンジ。
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