JP3547221B2 - フライフィッシング用リーダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フライフィッシング用リーダーに関するものであり、詳しくは、合成樹脂よりなるバット部、テーパー部及びティぺット部を有するモノフィラメントにおいて、バット部とティペット部の伸度がそれぞれ20〜65%であり、さらに高破断点強度および高結節強度を有したフライフィッシング用リーダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フライフィッシングは、魚に気付かれない離れた場所から、オモリもウキも付けずに疑似餌を飛ばして水面に送り込み、あたかも本物の生き物のように見せかけ、魚を騙し、釣り上げる方法である。フライフィッシングには、▲1▼疑似餌を本物の生き物のように見せかけること、▲2▼魚を騙すために疑似餌を本物の生き物の如く静かに水面に落下させることが必要である。
【0003】
このようなフライフィッシングの要求に対応するために、竿であるフライロッド、リール、道糸の役割を果たすフライライン、ハリスの役割であるリーダーおよび疑似餌であるフライの5つのパーツがフライフィッシングでは使用される。この中でも、リーダーは、▲1▼魚に疑似餌と気付かせないために糸径を小さくしフライラインからフライを適当に離すこと、▲2▼フライを静かに水面に落下させるため、リーダーはフライラインからのエネルギーを受け、糸の先端およびフライにエネルギーを順次伝達しスムーズにエネルギーを減らすのにテーパー部を有することが必要となる。このため、通常、リーダーは、フライラインと接続される糸径の大きいバットと呼ばれる部分、テーパー形状を有するテーパーと呼ばれる部分及びフライを取り付ける糸径の小さいティペットと呼ばれる部分からなっている。
【0004】
上記のようにフライフィッシングは魚にフライを本物の生き物に見せかけ騙し釣り上げる方法であり、フライを静かに水面に落下させるためのキャスティングの感覚が重要となる。このキャスティングの感覚は、竿を振り投げる際の、フライライン及びリーダーが描く弧(以下、ターンオーバーと呼ぶ)に影響される。このターンオーバーは、フライラインとリーダーの長さ及びリーダーを構成するバット部、テーパー部とティペット部の長さにより決定されるが、特に、リーダーの長さとこれを構成するバット部、テーパー部とティペット部の長さが重要である。リーダーの伸度が高いと、一度、魚を釣り上げた後にリーダーの長さが変化し、キャスティングの感覚が異なり好ましくなく、さらに、魚を釣り上げる際にリーダーが伸びると魚を引き上げる感覚が悪くなる。
【0005】
また、当然ではあるが魚を釣り上げる際の糸切れを少なくするためにリーダーは強度の大きい方が良く、さらに、リーダーはフライ及びフライラインと結び付け使用されるため、魚を釣り上げる際には、結び目の強度も大きい方が良い。
【0006】
そして、既存のフライフィッシング用リーダーは、通常ポリアミド系樹脂を構成樹脂としており、しかもこのポリアミド系樹脂からなるリーダーはバット部の伸度が大きく、ティペット部の伸度の2.5倍より大きくなっている。すなわち、上記の様なターンオーバーに影響を及ぼすものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したことに鑑み、本発明の目的は、伸度の小さいフライフィッシング用リーダーを提供することにある。具体的には、バット部とティペット部の伸度が小さく、バット部の伸度がティペット部の伸度の2.5倍以下であり、さらに高破断点強度および高結節強度を有したフライフィッシング用リーダーを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、合成樹脂モノフィラメントよりなるバット部、テーパー部及びティペット部を有し、前記バット部とティペット部の伸度がそれぞれ20〜65%であり、バット部の伸度がティペット部の伸度の2.5倍以下であるフライフィッシング用リーダーが提供される。
また本発明によれば、合成樹脂がポリアミド系樹脂である前記フライフィッシング用リーダーが提供される。
さらに本発明によれば、合成樹脂がフッ化ビニリデン系樹脂である前記フライフィッシング用リーダーが提供される。
【0009】
[発明の具体的な説明]
以下、本発明のフライフィッシング用リーダーについて説明する。
【0010】
(合成樹脂)
本発明における合成樹脂としては、ポリアミド系樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂が挙げられ、特に、水の屈折率に近い屈折率を有するフッ化ビニリデン系樹脂が魚を騙す点で好ましい。さらに、合成樹脂には、可塑剤、熱安定剤、結晶核剤、滑剤などの添加剤を含有することができる。
【0011】
上記フッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデン系樹脂単独重合体、フッ化ビニリデン単位を70モル%以上含有する共重合体、若しくは、これら重合体や共重合体の混合物が挙げられる。フッ化ビニリデンと共重合されるモノマーとしては、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、3フッ化エチレン、3フッ化塩化エチレン、フッ化ビニルなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0012】
さらに、フッ化ビニリデン系樹脂には、可塑剤、熱安定剤、アクリル系樹脂、結晶核剤、滑剤などの添加剤を含有することができ、特に、リーダーのスムーズなキャスティングおよび目的とする位置に正確にフライを落とすには、巻きぐせ等の糸くせを取る必要があるが、この糸くせの取れ易さの観点からは、可塑剤を1〜10重量%添加することが好ましい。
【0013】
フッ化ビニリデン系樹脂に添加される可塑剤としては、脂肪族系ポリエステルが挙げられる。例えば、炭素数2〜4の脂肪族ジアルコールと炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸のエステルからなる脂肪族ポリエステルおよび3〜7員環の環状エステルからなる脂肪族ポリエステルが好ましい。炭素数2〜4の脂肪族ジアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール等を挙げることができ、また、炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等を挙げることができる。また、3〜7員環の環状エステルとしては、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
【0014】
(伸度)
本発明のフライフィッシング用リーダーの特徴は、バット部及びティペット部の伸度がそれぞれ20〜65%であり、更にテーパー部の伸度も20〜65%であることが好ましい。バット部とティペット部の伸度がそれぞれ65%よりも大きいと、魚を釣り上げる前と魚を釣り上げた後のリーダーの長さが極端に変化し、これによりターンオーバーが魚を釣り上げる前と魚を釣り上げた後で異なることとなり、キャスティングの感覚が変動する。さらに、魚を釣り上げる際に糸切れを起こし難い引張強度と結節強度の高いフライフィッシング用リーダーを得るためには、製造時に延伸工程を加えることが必要となるが、引張強度と結節強度の高いフライフィッシング用リーダーを得ようとすると、バット部、テーパー部及びティペット部の伸度をそれぞれ20%以下に抑えることは困難である。
【0015】
キャスティング感覚に違和感を感じないことと魚を釣り上げる際の糸切れを防止することとのバランスから、バット部、テーパー部及びティペット部の伸度はそれぞれ20〜65%の範囲であり、25〜60%の範囲が好ましい。
【0016】
さらに、バット部の伸度はティペット部の伸度の2.5倍以下であり、好ましくは2.0倍以下、特に好ましくは1.8倍以下である。バット部の伸度がティペット部の伸度の2.5倍より大きいと、フライフィッシング用リーダーを構成しているバット部、テーパー部及びティペット部の長さの比率が魚を釣り上げる前と魚を釣り上げた後で異なることとなり、ターンオーバーに影響を与え、キャスティング感覚が変動することとなる。
【0017】
(平均複屈折率)
さらに本発明のフライフィッシング用リーダーの内、フッ化ビニリデン系樹脂製の場合は、好ましくは平均複屈折率が33×10ー3〜40×10−3、更に好ましくは35×10ー3〜40×10−3の範囲であることが、もう一つの特徴である。この平均複屈折率は大きい程、破断点強度にとって好ましいが、結節強度は40×10−3より大きいと低下する。
【0018】
(フライフィッシング用リーダーの形状)
本発明のフライフィッシング用リーダーの形状を図1を以て説明する。図1の1はリーダーの全体、2の部分がフライラインと結ぶバット部、3はバット部から滑らかに糸径が減少しているテーパー部および4はフライを結ぶティぺット部と呼ばれる3つの構成部位よりなる。本発明の好ましい態様においては、これら3つの部位は構成樹脂のフッ化ビニリデン系樹脂モノフィラメントからなっているノットレス型である。
【0019】
各部位の糸径は、通常、次の通りである。バット部の糸径は300〜800μm、好ましくは360〜600μm、ティペット部の糸径は70〜600μm、好ましくは80〜500μmである。バット部の糸径に対するティペット部の糸径の比が0.1〜0.5を有するフライフィッシング用リーダーが一般的に使用されている。
【0020】
また、本発明のフライフィッシング用リーダーの長さは1.5〜6.0m、好ましくは2.0〜4.0mであり、バット部、テーパー部及びティペット部の各部位の比は、1:(0.5〜2):(0.5〜2)、好ましくは1:(0.8〜1.2):(0.6〜0.8)である。
【0021】
以下に、本発明のフライフィッシング用リーダーの製造方法の例としてポリアミド系樹脂とフッ化ビニリデン系樹脂の2種類の樹脂を用いた場合について説明する。
【0022】
(ポリアミド系樹脂製フライフィッシング用リーダー)
フライフィッシング用リーダーの製造方法の一工程は、合成樹脂を溶融押出紡糸し、引取速度を変化させることにより、バット部、テーパー部及びティペット部を有するテーパー付き未延伸糸を得るわけであるが、以下に、ポリアミド系樹脂テーパー付き未延伸糸の製造方法の条件を示す。
【0023】
溶融紡糸温度は、ポリアミド系樹脂の融点以上熱分解以下の範囲のいずれの温度でも可能であるが、安定な紡糸性を維持するには、好ましくは220〜280℃、さらに好ましくは240〜270℃の範囲である。
【0024】
押出機の紡糸ノズルから溶融押出された樹脂は、バット部とティペット部の希望する糸径と長さに合わせ、引取速度及び該引取時間を調節すればよい。テーパー部は、バット部を得る引取速度からティペット部を得る引取速度に漸次速くすることにより得られ、その長さはバット部からティぺット部の引取速度までの変化時間により決定できる。
【0025】
ポリアミド系樹脂製フライフィッシング用リーダーのバット部やティペット部、更にはテーパー部の各伸度に影響を与えるのは、後記の緩和熱処理の他に、紡糸ノズルから冷却浴間距離(エアーギャップ)があり、これを通常20〜300mmとすることが必要であり、好ましくは30〜250mm、さらに好ましくは50〜200mmの範囲とする。
【0026】
ポリアミド系樹脂が紡糸ノズルから溶融状態で押出され、冷却浴で冷却され、固化するが、ここで使用される冷却浴の冷媒としては、水、無機塩を含有する水系、アルコール類、水/アルコール混合系、ポリエチレングリコール、グリセリン及び水/グリセリン混合系等が挙げられる。冷却温度は、溶融樹脂との界面で沸騰による気泡を生じない温度以下がよく、冷媒が水の場合には25℃以下、好ましくは15℃以下とするのがよい。
【0027】
上記方法で得られたポリアミド系樹脂からなるテーパー付き未延伸糸を、1段目延伸を次の条件の延伸浴中で延伸する。延伸浴で使用される熱媒体としては、温水、グリセリン等の液状熱媒体を用い、中でも、温水が好ましい。延伸温度は70〜95℃であり、好ましくは80〜95℃、さらに好ましくは80〜90℃である。ついで、2段目延伸を次の条件の延伸浴中で延伸する。延伸浴で使用される熱媒体としては、空気、水蒸気、窒素ガス等の気体熱媒体を用いる。延伸温度は260〜290℃であり、好ましくは270〜290℃、さらに好ましくは270〜285℃である。
【0028】
テーパー付き未延伸糸の延伸は、1段又は2段以上の多段で行うことができるが、伸度、引張強度及び結節強度の観点からは、総延伸倍率は4.5〜6.5倍、好ましくは4.5〜6.2倍、さらに好ましくは4.5〜6.0倍である。
【0029】
さらに、緩和熱処理を行うことが好ましく、通常、緩和熱処理温度は240〜280℃、緩和率2〜15%、好ましくは3〜10%の範囲である。
【0030】
また、上記方法で得られたフライフィッシング用リーダーの表面に、溌水剤、オイリング剤を塗布してもよい。
【0031】
(フッ化ビニリデン系樹脂製フライフィッシング用リーダー)
フライフィッシング用リーダーの製造方法の一工程は、合成樹脂を溶融押出紡糸し、引取速度を変化させることにより、バット部、テーパー部及びティペット部を有するテーパー付き未延伸糸を得るわけであるが、以下に、フッ化ビニリデン系樹脂テーパー付き未延伸糸の製造方法の条件を示す。
【0032】
溶融紡糸温度は、フッ化ビニリデン系樹脂の融点以上熱分解以下の範囲のいずれの温度でも可能であるが、安定な紡糸性を維持するには、好ましくは200〜300℃、さらに好ましくは230〜280℃の温度範囲である。
【0033】
押出機の紡糸ノズルから溶融押出された樹脂は、バット部とティペット部の希望する糸径と長さに合わせ、引取速度及び該引取時間を調節すればよい。テーパー部は、バット部を得る引取速度からティペット部を得る引取速度に漸次速くすることにより得られ、その長さはバット部からティぺット部の引取速度までの変化時間により決定できる。
【0034】
ポリアミド系樹脂製フライフィッシング用リーダーの場合と同様、フッ化ビニリデン系樹脂製フライフィッシング用リーダーの場合においても、バット部やティペット部、更にはテーパー部の各伸度に影響を与えるのは、後記の緩和熱処理の他に、紡糸ノズルから冷却浴間距離(エアーギャップ)があり、これを通常20〜300mmとすることが必要であり、好ましくは30〜250mm、さらに好ましくは50〜200mmの範囲とする。
【0035】
フッ化ビニリデン系樹脂が紡糸ノズルから溶融状態で押出され、冷却浴で冷却され、固化するが、ここで使用される冷却浴の冷媒としては、水、無機塩を含有する水系、アルコール類、水/アルコール混合系、ポリエチレングリコール、グリセリン及び水/グリセリン混合系等が挙げられる。冷却温度は、溶融樹脂との界面で沸騰による気泡を生じない温度以下がよく、冷媒が水の場合には70℃以下、好ましくは50℃以下とするのがよい。
【0036】
上記方法で得られたフッ化ビニリデン系樹脂からなるテーパー付き未延伸糸を延伸するが、延伸前に予備加熱工程を導入するのが好ましい。その際の熱媒体としては、沸水、グリセリン等の液状熱媒体、空気、水蒸気、窒素ガス等の気体状熱媒体のいずれでもよいが、熱伝導の観点からは液体熱媒体が好ましく、中でも、グリセリンが好ましい。予熱温度は80〜150℃、好ましくは85〜130℃の範囲で、滞留時間は長い程よく、10秒以上が好ましい。次いで、延伸温度150〜300℃の延伸浴中で延伸する。延伸浴で使用される熱媒体としては、沸水、グリセリン等の液状熱媒体、空気、水蒸気、窒素ガス等の気体状熱媒体のいずれでもよいが、特に、グリセリンが好ましい。液体熱媒体を用いた場合の延伸温度は90〜175℃が好ましく、特に、グリセリンでは、延伸温度を150〜175℃とすることがさらに好ましく、165〜173℃とすることが最も好ましい。気体状熱媒体を用いた場合の延伸温度は160〜280℃が好ましい。
【0037】
上記予備加熱工程を導入しない場合であっても、延伸浴中を長くし、未延伸糸の導入速度を遅くすることにより、未延伸糸の延伸浴中の滞留時間を長くしてもよい。
【0038】
テーパー付き未延伸糸の延伸は、1段又は2段以上の多段で行うことができるが、破断点強度と結節強度の向上の観点からは、総延伸倍率は4.0〜7.0倍、好ましくは4.5〜6.5倍、さらに好ましくは4.8〜6.3倍である。
【0039】
延伸後、さらに、緩和熱処理を行ってもよい。通常、緩和熱処理温度は90〜180℃、緩和率2〜10%で行う。
【0040】
また、上記方法で得られたフライフィッシング用リーダーの表面に、溌水剤、オイリング剤を塗布してもよい。
【0041】
上記製造方法によって得られるフライフィッシング用リーダーは、バット部とティぺット部の伸度が各20〜65%、バット部の伸度がティペット部の伸度の2.5倍以下で、通常、平均複屈折率も33×10−3〜40×10−3の範囲となり、キャスティング感覚の変動がなく、高破断点強度および高結節強度を有するので糸切れのし難い糸が提供される。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
<評価方法>
(1.糸径)
外径測定器(キーエンス株式会社製レーザー外径測定器「LS−3100」)を用い、糸の走行速度2mの条件で糸径を測定した。前記外径測定結果のティペット部の最大糸径と最小糸径の平均値及びバット部の最大糸径と最小糸径の平均値を、ティペット部とバット部の糸径とした。
【0044】
(2.伸度)
引張試験器(オリエンテック社製「テンシロンUTM−III−100」)を用い、10サンプルを対象に、試長30cm、温度23℃、引張速度300mm/分の条件で伸度(破断点伸度)を測定した。下記実施例で得られたフライフィッシング用リーダーをバット部とティペット部に分け、各箇所の伸度を求めた。
【0045】
(3.キャスティング感覚)
フライフィッシング経験年数0〜1年、1〜3年、3〜5年、5〜10年及び10年以上の5段階の経験年数から各々4人を対象に、下記実施例で得られたフライフィッシング用リーダーの竿、フライライン及びフライを結び、ターンオーバー描いてもらったキャスティング感覚▲1▼と、その使用したリーダーを伸度測定でリーダーが破断する前まで伸ばしたものの竿、フライライン及びフライを結び、ターンオーバー描いてもらった場合のキャスティング感覚▲2▼を比較した。ここでターンオーバーに関し次の表1に示す3段階の基準で評価した。
【0046】
【表1】
○:▲1▼と▲2▼とでは、ターンオーバーの感じは同じ
△:▲1▼と▲2▼とでは、ややターンオーバーの感じは異なるが違和感はない
×:▲1▼と▲2▼とでは、ターンオーバーの感じが異なる
【0047】
(4.平均複屈折率)
Berek型コンベンセーターを備えた偏光顕微鏡(オリンパス社製「BH−2」)を用い、NaのD線を光源として温度23℃の条件下でレターデーション法により測定した値を複屈折率とした。
【0048】
(5.結節強度)
引張試験器(オリエンテック社製「テンシロンUTM−III−100」)を用い、10サンプルを対象に、各々バット部とティペット部に分け、テーパーリーダーのバット部およびティペット部に一重の結び目を作り、試長30cm、温度23℃、引張速度300mm/分の条件で測定し、結節強力測定を行った。結節強度は、結節強力をバット部およびティペット部の最大糸径と最小糸径の平均値から求められる断面積で除して求めた。
【0049】
(6.破断点強度)
引張試験器(オリエンテック社製「テンシロンUTM−III−100」)を用い、10サンプルを対象に各々バット部とティペット部に分け、試長30cm、温度23℃、引張速度300mm/分の条件で測定し、破断点強力測定を行った。破断点強度は、破断点強力を破断した各部分(バット部、ティペット部の何れか)の最大糸径と最小糸径の平均値から求められる断面積で除して求めた。
【0050】
(実施例1)
フッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業株式会社製「KF#1100」)100重量部に対しポリエステル可塑剤(プロピレングリコール、ブタンジオールの脂肪族ジオール2種とアジピン酸の脂肪族ジカルボン酸1種からなる脂肪族ポリエステル)を2重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、口径35mmφの押出機を使用し、ペレット化した。ノズル温度280℃、1.3mm×6穴のノズルから、前記ペレットを押出量2.3g/分の一定量で押出し、ノズル先端から冷却浴までの距離100mm、冷却温度40℃の条件で、ピンチロールで引取った。
この際の引取方法は、ベクトルインバーターモーターを使用し、表2に示す引取速度Aで60秒間(バット部)、引取速度Aから表2に示す引取速度Bに1秒間で変化させ(テーパー部)、表2に示す引取速度Bで30秒間(ティペット部)、さらに、表2に示す引取速度Bから引取速度Aに1秒間で変化させ(テーパー部)、これを周期的に行い、テーパー付き未延伸糸を得た。
得られたテーパー付き未延伸糸を、温度169℃のグリセリン浴中で延伸倍率5.4倍に延伸した。さらに、120℃の乾熱で3%緩和熱処理を行い、バット部とティペット部の長さがそれぞれ1mになるように切断し、テーパーリーダーを得た。
得られたフライフィッシング用リーダーのバット部とテッペット部の糸長及び上記評価方法で測定した糸径、伸度、複屈折率、結節強度と引張強度を表2に示した。
【0051】
(実施例2)
ポリアミド樹脂(三菱化学株式会社製「2430A」)を、ノズル温度260℃、1.3mm×6穴のノズルから、前記ペレットを押出量1.5g/分の一定量で押出し、ノズル先端から冷却浴までの距離50mm、冷却温度10℃の条件で、ピンチロールで引取った。
この際の引取方法は、ベクトルインバーターモーターを使用し、表2に示す引取速度Aで60秒間(バット部)、引取速度Aから表2に示す引取速度Bに1秒間で変化させ(テーパー部)、表2に示す引取速度Bで30秒間(ティペット部)、さらに、表2に示す引取速度Bから引取速度Aに1秒間で変化させ(テーパー部)、これを周期的に行い、テーパー付き未延伸糸を得た。
得られたテーパー付き未延伸糸を、温度85℃の温水浴中で延伸倍率3.8倍に延伸した。次いで、温度280℃の乾熱で延伸倍率1.47倍に延伸し、さらに、温度260℃の熱風中で5%緩和熱処理を行い、バット部とティペット部の長さがそれぞれ1mになるように切断し、テーパーリーダーを得た。
得られたフライフィッシング用リーダーのバット部とテッペット部の糸長及び上記評価方法で測定した糸径、伸度、複屈折率、結節強度と引張強度を表2に示した。
【0052】
(比較例1)
ポリアミド樹脂(三菱化学株式会社製「2430A」)を、ノズル温度260℃、1.3mm×6穴のノズルから、前記ペレットを押出量1.5g/分の一定量で押出し、ノズル先端から冷却浴までの距離320mm、冷却温度10℃の条件で、ピンチロールで引取った。
この際の引取方法は、ベクトルインバーターモーターを使用し、表2に示す引取速度Aで60秒間(バット部)、引取速度Aから表2に示す引取速度Bに1秒間で変化させ(テーパー部)、表2に示す引取速度Bで30秒間(ティペット部)、さらに、表2に示す引取速度Bから引取速度Aに1秒間で変化させ(テーパー部)、これを周期的に行い、テーパー付き未延伸糸を得た。
得られたテーパー付き未延伸糸を、温度85℃の温水浴中で延伸倍率3.8倍に延伸した。さらに、温度280℃の乾熱で延伸倍率1.2倍に延伸し、さらに温度260℃の熱風中で5%の緩和熱処理を行い、テーパーリーダーを得た。
得られたフライフィッシング用リーダーのバット部とテッペット部の糸長及び上記評価方法で測定した糸径、伸度、複屈折率、結節強度と引張強度を表2に示した。
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
以上、実施例で具体的に示したように、本発明で提供されるフライフィッシング用リーダーはバット部とティペット部の伸度が20〜65%であり、キャスティングの感覚の変動も小さい。さらに高破断点強度および高結節強度をも有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフライフィッシング用リーダーの形状の一例である。
【符号の説明】
1 フライフィッシング用リーダー
2 バット部
3 テーパー部
4 ティペット部
Claims (3)
- 合成樹脂モノフィラメントよりなるバット部、テーパー部及びティペット部を有し、前記バット部とティペット部の伸度がそれぞれ20〜65%であり、バット部の伸度がティペット部の伸度の2.5倍以下であるフライフィッシング用リーダー。
- 合成樹脂がポリアミド系樹脂である請求項1記載のフライフィッシング用リーダー。
- 合成樹脂がフッ化ビニリデン系樹脂である請求項1記載のフライフィッシング用リーダー。
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JPH0928253A (ja) | 1997-02-04 |
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