JP3546487B2 - 低温タンクの屋根ノズル保冷装置 - Google Patents

低温タンクの屋根ノズル保冷装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は屋根ノズルが貫通する部分の外槽屋根外面への着霜を防止できるようにした低温タンクの屋根ノズル保冷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LNG等の低温液化ガスを貯蔵する二重殻地上低温タンクは、図5及び図6に概略を示す如く、グランド1上に、固定ブロック2を介しコンクリート製の基礎床版3を据え付けて浮床とし、該基礎床版3上に、底版4aと側板4bと屋根4cとからなる外槽4を設置し、且つ該外槽4内の底板4a上に、底板5aと側板5bと屋根5cとからなる内槽5を、底部冷熱抵抗緩和材6を介して設置し、更に、上記底部冷熱抵抗緩和材6の周辺部上面には、内槽側板5bの外周を覆うようにパーライトダイヤフラム7を設置して、側壁部では該パーライトダイヤフラム7と外槽側板4bとの間、屋根部では外槽屋根4cと内槽屋根5cとの間に、保冷材としてのパーライト粒8を充填し、内槽5内に貯蔵した低温液化ガス9を保冷させるようにしてある。
【0003】
かかる構成としてある低温タンクの屋根部には、屋根ノズル10が外槽屋根4cと内槽屋根5cとを貫通して下端が内槽5内まで達するように配置されていて、補強材12を介して上記内槽屋根5cに固定されており、更に、屋根ノズル10は、内部が内槽5内と同じ温度となることから、該屋根ノズル10の外槽屋根貫通部位置から上方位置にかけて屋根ノズル保冷装置が設けてある。
【0004】
従来の屋根ノズル保冷装置は、屋根ノズル10の外槽屋根貫通部位置から外槽屋根4cの上方位置にかけての外周位置に、下端部を外槽屋根4cに固定し且つ上端部をトッププレート11aを介して屋根ノズル10の外周面に固定するようにした筒状のエキスパンション11を配置し、且つ該エキスパンション11の内側にグラスウール13を充填し、更に、エキスパンション11の外周部及びエキスパンション11よりも上方位置の屋根ノズル10部の外周にポリウレタンフォーム等の断熱材14を多層に設けてなる構成としてあり、内槽5内に低温液化ガス9を受け入れたときに生ずる内槽5の熱収縮に伴う外槽屋根4cと屋根ノズル10との上下方向の相対変位を上記エキスパンション11によって吸収させ、内槽屋根5cの半径方向の変位をエキスパンション11と屋根ノズル10との間のグラスウール13によって吸収させるようにしてある。又、屋根ノズル10の冷熱は、内槽屋根5cと外槽屋根4cの間のパーライト粒8及びエキスパンション11内のグラスウール13により外槽屋根4cへ伝わりにくにようにしてある。14aはグラスウール圧縮充填部である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記二重殻構造の低温タンクの場合、内槽5内に低温液化ガス9を入れることによって内槽5が冷却されて熱収縮が発生すると、屋根部のパーライト粒8が側部へ落下することになって外槽屋根4cの下側に空間15が形成されてしまうことになる。このとき、屋根ノズル10の外槽屋根貫通部では、内槽5と同じ温度となっている屋根ノズル10内からの冷熱を、内槽屋根5cと外槽屋根4cとの間のパーライト粒8と、エキスパンション11内に充填されているグラスウール13によって遮断するようになっているが、グラスウール13は変位吸収能力は優れているもののパーライト粒8に比して断熱性能は低いため、空間15が生じると空間15部での断熱性能が更に低下し、又、空間15が形成されると、グラスウール13がエキスパンション11内から抜け落ちてしまう事態も発生し、冷熱が上記エキスパンション11から外槽屋根4cに伝わり易くなったり、冷気が空間15側へ対流し易くなり、その結果、外槽屋根4cの外面に霜16が付着することになる。この霜16の付着は、見栄え上の問題だけではなく、塗装を劣化させたり外槽4の低温脆化の原因となる。
【0006】
そこで、本発明は、内槽が熱収縮することに伴い外槽屋根の下側に空間が形成されても、屋根ノズルの周辺部には空間を形成させずにエキスパンション内からのグラスウールの抜け落ちを防止して外槽屋根の外面に霜が付着することがないような低温タンクの屋根ノズル保冷装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、外槽と内槽との間にパーライト粒が充填してあり、且つ外槽の屋根と内槽の屋根とを貫通させて配置した屋根ノズルが内槽屋根に固定してあり、該屋根ノズルが外槽屋根から上方へ突き出る部分の外周位置にエキスパンションを設け、該エキスパンションの内側にグラスウールを充填してなる低温タンクの屋根ノズル保冷装置における上記内槽屋根の外面に、内槽屋根と外槽屋根との間で屋根ノズルの周辺部を取り囲むようにした仕切りを設け、更に、該仕切り内のパーライト粒の上面部と外槽屋根の下面との間にグラスウールを充填した構成とする。
【0008】
又、エキスパンション内にグラスウールを充填する領域を下端部を除く領域とし、且つ上記下端部領域に発泡材を注入固化させた構成とするとよい。
【0009】
一方、外槽と内槽との間にパーライト粒が充填してあり、且つ外槽の屋根と内槽の屋根とを貫通させて配置した屋根ノズルが内槽屋根に固定してあり、該屋根ノズルが外槽屋根から上方へ突き出る部分の外周位置にエキスパンションを設け、該エキスパンションの内側にグラスウールを充填してなる低温タンクの屋根ノズル保冷装置における上記屋根ノズルの上記エキスパンション内の上端より少し下方に離れた位置から該エキスパンションの下端に至る上下方向の領域を、保温筒で被覆して、上記エキスパンション内のグラスウールが保温筒の外側に位置するようにし、且つ内槽屋根の外面に、内槽屋根と外槽屋根との間で屋根ノズルの周辺部を取り囲むようにした仕切りを設け、更に、該仕切り内のパーライト粒の上面部と外槽屋根の下面との間にグラスウールを充填した構成としてもよい。
【0011】
【作用】
外槽屋根と内槽屋根との間において、屋根ノズルの周辺部を取り囲むように仕切りを設けると、内槽が熱収縮することに伴って屋根部のパーライト粒が側部へ落下しても、屋根ノズル周辺部のパーライト粒は仕切り内に保持され、且つこの際、仕切りと外槽屋根との間の隙間が仕切り部分のグラスウールにて塞がれることになる。したがって、屋根ノズル周辺部には空間が形成されることがなくてエキスパンション内からのグラスウールの抜け落ちはなく、空間への冷気の対流は起らない。
【0012】
又、グラスウールが充填されてれいるエキスパンション内の下端部領域に発泡材を注入した場合は、屋根ノズルからエキスパンション内のグラスウールに伝わった冷熱の下降が阻止されることになる。
【0013】
一方、屋根ノズルを、エキスパンション内の上端より少し下方に離れた位置からエキスパンションの下端に至る範囲にかけて保温筒にて被覆し、更に、内槽屋根と外槽屋根との間で、屋根ノズルの周辺部を仕切りで覆うようにすると、断熱性能がより向上されることになる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施例を示すもので、図5及び図6に示したと同様に、外槽4と内槽5との間にパーライト粒8を充填し、且つ外槽屋根4cと内槽屋根5cとを貫通するように導設した屋根ノズル10の外槽屋根貫通部位置から外槽屋根4cの上方位置にかけての外周位置にエキスパンション11を配置して、その上端をトッププレート11aを介し屋根ノズル10の外周面に固定し下端を外槽屋根4cに固定し、該エキスパンション11の内側にグラスウール13が充填してある低温タンクの屋根ノズル保冷装置において、外槽屋根4cと内槽屋根5cとの間に位置する屋根ノズル10の周辺部を取り囲む位置に、下端を内槽屋根5cに固設するようにして仕切り17を設けて、該仕切り17の内側にパーライト粒8を充填して仕切り17の外のパーライト粒8との縁を切るようにし、且つ該仕切り17内のパーライト粒8の上面部と外槽屋根4cの下面との間にグラスウール18を圧縮充填して配置し、グラスウール18が内槽5の熱収縮に伴う仕切り17の上下方向、径方向の変位に追従させられるようにして、仕切り17の上下変位時にその上端と外槽屋根4cの下面との間に生じる隙間を常時塞げるようにする。その他の構成は図5及び図6に示すものと同じであり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0017】
内槽5が低温液化ガス9を受け入れることにより冷却されて熱収縮すると、それに伴い屋根部のパーライト粒8が側部へ落下することによって外槽屋根4cの下側に空間15が形成されることになるが、この際、屋根ノズル10の周辺部のパーライト粒8は仕切り17によって取り囲まれているため、側部への落下が防止される。又、このとき、仕切り17も内槽5の熱収縮に伴って下方へ変位することになるため、仕切り17の上端と外槽屋根4cの下面との間には隙間が生ずるが、仕切り17内のパーライト粒8の上面部にはグラスウール18を詰めてあることから、該グラスウール18の伸縮作用によって仕切り17の変位を吸収でき、仕切り17の上端の隙間からのパーライト粒8のこぼれ落ちが防止される。
【0018】
したがって、外槽屋根4cと内槽屋根5cとの間において、屋根ノズル10の周辺部に空間15が形成されることはなく、このため、エキスパンション11内からグラスウール13が抜け落ちることはなく、屋根ノズル10からの冷熱が空間15へ対流することがなくなるので、外槽屋根4cの外面への着霜が防止される。
【0019】
次に、図2は本発明の他の実施例を示すもので、図1に示す実施例と同様な構成において、エキスパンション11内の上下方向全域にグラスウール13を充填することに代えて、エキスパンション11内の下端部領域に上下2枚の仕切り板20を設けて、この上下の仕切り板20間に低温発泡材19を注入して固化させたものである。
【0020】
図2の実施例の場合には、エキスパンション11内の下端部領域に発泡材19が注入してあることから、屋根ノズル10からエキスパンション11内のグラスウール13に伝わった冷気が下へ降りてくることを防止することができ、外槽屋根4cへ冷熱を更に伝えにくくすることができる。
【0021】
又、図3は図5及び図6に示したものと同様な構成において、屋根ノズル10のエキスパンション11内の上端より少し下方に離れた位置から内槽屋根5cに至る上下方向の領域を、ポリウレタンフォームからなる保温筒21にて被覆したものである。
【0023】
図4は本発明の更に別の実施例を示すもので、上記図3に示した構成において、屋根ノズル10を被覆する保温筒21を、下端が内槽屋根5cに至るようにしてあることに代えて、下端がエキスパンション11の下端に至る領域となるようにし、且つ図1及び図2に示したと同様に、内槽屋根5cの上面の屋根ノズル10を取り囲む位置に仕切り17を設けると共に、該仕切り17内のパーライト粒8の上面部にグラスウール18を圧縮充填したものである。
【0024】
図4の実施例の場合には、保温筒21による冷熱の遮断効果と仕切り17によるパーライト粒8の側部への落下防止効果とを相剰させることができ断熱性能を更に向上させることができる。
【0025】
なお、本発明は上記実施例にのみ限定されるものではなく、たとえば、図4の実施例において二点鎖線で示す如く、仕切り17内の領域全長に至るように保温筒21を追加してもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の低温タンクの屋根ノズル保冷構造によれば、次の如き優れた効果を発揮する。
(1) 屋根ノズルが外槽屋根から上方へ突出する部分にグラスウールを充填したエキスパンションを設け、且つ外槽屋根と内槽屋根との間に位置する屋根ノズルの周辺部を取り囲むように内槽屋根の上面に仕切りを設けて、仕切り内のパーライト粒の上面部にグラスウールを詰めたので、内槽が熱収縮することに伴い屋根部のパーライト粒が側部に落下して外槽屋根の下側に空間が形成されたとしても、屋根ノズル周辺部のパーライト粒を仕切り内に保持させることができ、したがって、屋根ノズル周辺部に空間を形成することがないのでエキスパンション内のグラスウールの抜け落ちを防止でき、屋根ノズルからの冷熱を空間に対流させることがなく、外槽屋根の外面への着霜を防止することができる。
(2) エキスパンション内の下端部領域に発泡材を注入することによって、上記仕切りによ るパーライト粒の落下防止効果に加えて、エキスパンション内のグラスウールに伝わっ た冷気の下方の伝達を防止することができ、断熱性能を向上することができる。
(3) 屋根ノズルを、エキスパンション内の上端より少し下方へ離れた位置から該エキスパ ンションの下端に至る上下方向の領域にかけて保温筒にて被覆し、且つ内槽屋根と外槽 屋根との間で屋根ノズルの周辺部に仕切りを設けて、仕切り内のパーライト粒の上面部 と外槽屋根の下面との間にグラスウールを詰めた構成とすることにより、保温筒による 冷熱の遮断効果と仕切りによるパーライト粒落下防止効果との相剰効果によって断熱性 能を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低温タンクの屋根ノズル保冷装置の一実施例を示す概要図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す概要図である。
【図3】本発明の更に他の実施例を示す概要図である。
【図4】本発明の更に別の実施例を示す概要図である。
【図5】低温タンクの一例を示す概略図である。
【図6】従来の屋根ノズル保冷装置の一例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
4 外槽
4c 屋根
5 内槽
5c 屋根
8 パーライト粒
10 屋根ノズル
11 エキスパンション
15 空間
17 仕切り
18 グラスウール
19 発泡材
21 保温筒

Claims (3)

  1. 外槽と内槽との間にパーライト粒が充填してあり、且つ外槽の屋根と内槽の屋根とを貫通させて配置した屋根ノズルが内槽屋根に固定してあり、該屋根ノズルが外槽屋根から上方へ突き出る部分の外周位置にエキスパンションを設け、該エキスパンションの内側にグラスウールを充填してなる低温タンクの屋根ノズル保冷装置における上記内槽屋根の外面に、内槽屋根と外槽屋根との間で屋根ノズルの周辺部を取り囲むようにした仕切りを設け、更に、該仕切り内のパーライト粒の上面部と外槽屋根の下面との間にグラスウールを充填した構成を有することを特徴とする低温タンクの屋根ノズル保冷装置。
  2. エキスパンション内にグラスウールを充填する領域を下端部を除く領域とし、且つ上記下端部領域に発泡材を注入固化させた請求項1記載の低温タンクの屋根ノズル保冷装置。
  3. 外槽と内槽との間にパーライト粒が充填してあり、且つ外槽の屋根と内槽の屋根とを貫通させて配置した屋根ノズルが内槽屋根に固定してあり、該屋根ノズルが外槽屋根から上方へ突き出る部分の外周位置にエキスパンションを設け、該エキスパンションの内側にグラスウールを充填してなる低温タンクの屋根ノズル保冷装置における上記屋根ノズルを、上記エキスパンション内の上端より少し下方に離れた位置から該エキスパンションの下端に至る上下方向の領域を、保温筒で被覆して、上記エキスパンション内のグラスウールが保温筒の外側に位置するようにし、且つ内槽屋根の外面に、内槽屋根と外槽屋根との間で屋根ノズルの周辺部を取り囲むようにした仕切りを設け、更に、該仕切り内のパーライト粒の上面部と外槽屋根の下面との間にグラスウールを充填した構成を有することを特徴とする低温タンクの屋根ノズル保冷装置。
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