JP4154626B2 - 低温二重殻貯槽の保冷構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、外槽を貫通するサポートによって内槽を地上に支持する低温二重殻貯槽、あるいは内外槽間に制震用振止め材などの連結材を設置する低温二重殻貯槽の保冷構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
外槽3を貫通するサポート7によって内槽2を地上に支持する低温二重殻貯槽1の従来例を図3に示す。
【0003】
図3(a)は、LNGなどの低温液化ガスを貯蔵する内槽2aを、竪置きした鋼製円筒体で形成し、その内槽2aの下部を、鋼製円筒形外槽3aの皿型形状下部を貫通するサポート7によって地上に支持した竪型低温二重殻貯槽1aの従来事例であり、そのサポート7は、鋼製筒体形状のスカート構造サポート7aで形成している。
【0004】
また、図3(b)は、横置きした鋼製円筒形外槽3bの円筒体下部を貫通するサポート7で鋼製円筒体内槽2bの円筒体下部を地上に支持した横型低温二重殻貯槽1bの従来事例であり、そのサポート7は、形鋼などで製作した台座状のサドル構造サポート7bで形成している。
【0005】
図3(c)は、低温二重殻球形貯槽1cの従来事例を示したものであり、鋼製球形外槽3cを貫通するサポート7が鋼製球形内槽2cを地上に支持し、そのサポート7は、地上に複数立設した鋼管支柱の支柱構造サポート7cで形成している。
【0006】
そして、上記図3(a)、(b)、(c)いずれの低温二重殻貯槽1の内外槽間は、高度の真空状態に保持し、またはドライ窒素などの乾燥ガスを充填した乾燥状態に保持し、かつパーライト粒などの熱伝導性の小さい断熱材5を充填した保冷層40を設けて、低温液化ガスなどを貯蔵した内槽2から大気への冷熱伝達を遮断し、かつ内槽2への大気熱侵入を遮断するように形成している。
【0007】
また、図中符号8は、地震時に内槽2と外槽3がそれぞれ異常揺動するのを抑制するために内槽2と外槽3との間に結合して取付ける制震用振止め材80の連結材8であり、このように低温二重殻貯槽1の内外槽間に結合して設置する連結材8としては、図示は省略するが、例えば、吊り下げ型低温二重殻貯槽の内外槽間に結合して設置するサポーティングロッド、吊りバンドなどもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の低温二重殻貯槽においては、内槽に貯蔵した低温貯蔵液体の冷熱がサポートあるいは連結材を伝わって、サポートあるいは連結材と接する外槽部を冷却するため、その冷却された外槽部外面の大気接触部分には、大気の温度条件や湿度条件にもよるが、大気に含まれている水分が結露して付着、あるいはその結露水の凍結した霜が付着する場合があった。そして、その付着した結露水や霜は、外槽部外面の塗装を剥離したり、外槽部外面を腐食させる原因になっていた。
【0009】
これらの問題解決策として、図示は省略するが、内外槽間の保冷層設置厚さを拡大する構造、サポートあるいは連結材と接する外槽部の外面に、断熱材を取付けた外部保冷層を設ける構造、またはサポートあるいは連結材の中間部などに断熱性を有する材料で形成した伝熱遮断材を設けて冷熱伝達あるいは大気熱伝達を遮断する構造などが考えられている。
【0010】
しかしながら、保冷層設置厚さを拡大する構造は大幅なコストアップとなり、外槽部の外面に外部保冷層を設ける構造では、その外部保冷層の設置によってコストアップ、メインテナンス増加などの問題を惹起し、伝熱遮断材を設ける構造では、コストアップ問題に加えて、伝熱遮断材の設置によるサポートあるいは連結材の強度低下の心配も内在し、従来いずれの保冷構造もいまだ解決すべき問題を残していた。
【0011】
この発明は、上述のような従来技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、メインテナンスや既設保冷層改造などが容易な簡単構造で、かつ大気熱を利用して経済的に、外槽外面の結露水付着を防ぐことのできる低温二重殻貯槽の保冷構造を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る低温二重殻貯槽の保冷構造は、内外槽二重殻貯槽の外槽を貫通するサポートで内槽を地上に支持し、かつ内槽と外槽の間に断熱材を充填してなる保冷層を設けた低温二重殻貯槽の保冷構造であって、上記サポートが貫通する箇所の外槽内側に、上記断熱材に比べて熱伝導性の大きい保冷材を充填するものである。
【0013】
また、上記サポートは、筒体形状に形成したスカート構造であり、かつ上記熱伝導性の大きい保冷材の充填箇所は、内外槽間に位置するサポート外側面と外槽内側面とで挟まれた下方先端部とした低温二重殻貯槽の保冷構造である。
【0014】
また、内外槽二重殻貯槽の外槽と内槽を制震用振止め材などの連結材で結合し、かつ内槽と外槽の間に断熱材を充填してなる保冷層を設けた低温二重殻貯槽の保冷構造であって、上記連結材と結合した箇所の外槽内側に、上記断熱材に比べて熱伝導性の大きい保冷材を充填するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付して重複する説明は省略した。
【0016】
図1及び図2は、この発明に係る保冷構造を竪型低温二重殻貯槽1aの低温二重殻貯槽1に適用した実施形態例を示したもので、図1は、鋼製筒体形状のスカート構造サポート7aが、鋼製円筒形外槽3aの皿型形状等に形成した下部を貫通する部分の保冷層4を拡大して示した断面説明図であり、図2は、内槽2aと外槽3aとの間に結合して設置した連結材8の地震時制震用振止め材80を設けた部分の保冷層4を拡大して示した断面説明図である。
【0017】
図1に示したように、保冷層4を縦断仕切りしたスカート構造サポート7aが貫通する箇所の外槽3a下部内側近傍部の保冷層4、および図2に示したように、振止め材80を結合した箇所の外槽3a内側近傍部の保冷層4には、パーライト粒などの断熱材5に比べて熱伝導性が大きい保冷材6を所定範囲にわたって充填し、保冷層4の一部を構成するように形成している。
【0018】
図1に示した保冷材6の充填箇所は、後述するような粒状に形成した保冷材6の充填作業が、より容易に行えるように、外槽3a下部内側近傍部の内でも、サポート7aの外側のみ、つまり内外槽間に位置するサポート7a外側面と外槽3a内側面とで挟まれた下方先端部に設けているが、後述するような成形品や袋体からなる保冷材6を用いる場合には、サポート7aの内側のみ、あるいは熱バランスが良くなるようにサポート7aの内側、外側の両側ともに充填箇所を設けてもよい。
【0019】
充填する保冷材6は、図1に示した保冷材6の充填箇所には、熱伝導率が断熱材5のパーライト粒よりも約20倍も大きく、かつ落下充填作業が容易なドライサンド(乾燥砂)、またはコンクリート骨材用に膨張けつ岩から形成されている人工軽量骨材、もしくはその人工軽量骨材を用いて形成したコンクリート体を破砕し成形した造粒品などが適しているが、図2に示した保冷材6充填箇所には、上記人工軽量骨材を用いて形成したコンクリート成形品、あるいは上記ドライサンド、人工軽量骨材または造粒品などを麻袋などの袋に詰めた袋体などが充填取付け作業のしやすさの点などから、より適した材料である。
【0020】
しかしながら、上記箇所に充填する保冷材6の材料およびその充填範囲は、内槽2aへの大気熱侵入による影響、例えばボイルオフガスの発生を可及的に低減でき、かつ外槽3を介して伝導してきた大気熱を蓄熱利用し、サポート7aが貫通する外槽3aの外面部、あるいは振止め材80を結合した外槽3aの外面部を露点温度以上に保持することができる材料とその材料充填範囲であれば、上記材料に限定することなく他の材料を用いることが可能である。なお、保冷材6の充填範囲は、極めて狭い範囲が望ましく、充填する材料の物性、充填位置、気候条件などに基いて設定される。
【0021】
また、図1及び図2に示した実施形態例は、この発明に係る保冷構造を竪型低温二重殻貯槽1aの低温二重殻貯槽1に適用した事例を説明したものであるが、この発明に係る保冷構造は、横型低温二重殻貯槽1b、低温二重殻球形貯槽1c、あるいは図示省略した吊り下げ型低温二重殻貯槽などの低温二重殻貯槽1へも適用することができる。
【0022】
また、図2に示した連結材8の振止め材80について更に詳述すると、この振止め材80は、内槽2a側に固着した山形鋼形状の固定具81と、外槽3a側に固着したリブ板状の固定具82と、その固定具82に設けた係合孔84に引っ掛けられるようにかぎ状に形成した一方端のフック83を有し、かつ棒ネジ状に形成した他方端部にナット状の固着具85を備えてなる連結具86と、固定具81に設けた係合孔87に嵌入させた連結具86他端部に取付けた固着具85と固定具81との間に嵌め込み設けたコイルバネ状の伸縮調整具88とを設けてなり、その振止め材80は、低温貯蔵液を内槽2aに貯蔵し内槽2aが中心部に向かって収縮したとしても伸縮調整具88が収縮して、常に内槽2aと外槽3aの間を適度な緊張力をもって連結し、内外槽が地震時にそれぞれ異常揺動するのを抑制する構造を備えた振止め材80の事例であるが、外槽3と内槽2を結合する他の構造を備えた振止め材(図示省略)の連結材、あるいは吊り下げ型低温二重殻貯槽に設置するサポーティングロッド、吊りバンド等の連結材(図示省略)など、内外槽間に結合して設置するその他の構造を有する連結材にも、この発明に係る保冷構造は適用することができる。
【0023】
【発明の効果】
叙述の説明で明らかなように、この発明に係る低温二重殻貯槽の保冷構造は、サポートが貫通する外槽内側、あるいは連結材を結合した外槽内側に、断熱材に比べて熱伝導性の大きい保冷材を充填して保冷層を形成しているので、サポートが貫通する外槽部、あるいは連結材を結合した外槽部は、大気からの入熱を受けて暖められ、露点温度以上となるために、その外槽部外面には結露水は生じず、結露水や結露水が凍結した霜の付着を防止することができる。また、その構造も、断熱材に比べて熱伝導性の大きい保冷材充填のみの施工で可能なため簡便で、結露防止に大気熱を利用した経済的な保冷構造となる。
【0024】
また、内外槽間に位置するスカート構造サポート外側面と外槽内側面とで挟まれた下方先端部に熱伝導性の大きい保冷材を充填した低温二重殻貯槽の保冷構造では、粒状に形成した保冷材を上から落下充填するだけで、この発明に係る保冷構造を形成することができるため極めて施工が容易であり、保冷層設置厚さを拡大する構造などの従来構造に比べて格段に経済性の増した保冷構造となる。
【0025】
さらに、上記いずれの発明も、保冷層の断熱材取替のみにて実施可能であり、大幅な構造変更を必要としないため、既設低温二重殻貯槽の結露水付着防止構造に、より適した構造となる。
【0026】
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る低温二重殻貯槽保冷構造の一実施形態例を示した概要断面説明図である。
【図2】 この発明に係る低温二重殻貯槽保冷構造の他の実施形態例を示した概要断面説明図である。
【図3】 低温二重殻貯槽の保冷構造全体概念を示した断面構造説明図である。
【符号の説明】
1 低温二重殻貯槽 2 内槽
3 外槽 4 保冷層
5 断熱材 6 保冷材
7 サポート 8 連結材
Claims (3)
- 内外槽二重殻貯槽の外槽を貫通するサポートで内槽を地上に支持し、かつ内槽と外槽の間に断熱材を充填してなる保冷層を設けた低温二重殻貯槽の保冷構造であって、上記サポートが貫通する箇所の外槽内側に、上記断熱材に比べて熱伝導性の大きい保冷材を充填したことを特徴とする低温二重殻貯槽の保冷構造。
- 上記サポートは、筒体形状に形成したスカート構造であり、かつ上記熱伝導性の大きい保冷材の充填箇所は、内外槽間に位置するサポート外側面と外槽内側面とで挟まれた下方先端部であることを特徴とする請求項1記載の低温二重殻貯槽の保冷構造。
- 内外槽二重殻貯槽の外槽と内槽を制震用振止め材などの連結材で結合し、かつ内槽と外槽の間に断熱材を充填してなる保冷層を設けた低温二重殻貯槽の保冷構造であって、上記連結材と結合した箇所の外槽内側に、上記断熱材に比べて熱伝導性の大きい保冷材を充填したことを特徴とする低温二重殻貯槽の保冷構造。
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- 1998-06-12 JP JP17978998A patent/JP4154626B2/ja not_active Expired - Lifetime
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