JP3684318B2 - 竪型断熱低温タンクの外槽支持構造 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、液体窒素、LNG等を収容する竪型断熱低温タンクの外槽支持構造に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
従来、LN、LOX、LNG等の低温液体を収容するタンクとして、小型(150KL以下)のものは真空断熱タンクがあり、中大型のものは平底円筒タンクが知られているが、これらのタンクには次のような欠点がある。
【0003】
平底円筒タンク;
(1) その形状から敷地面積が大きくなることが避けられない。
(2) 内槽に収容されている低温液体貯蔵物の蒸発により、タンク内が高圧になるとアンカーボルトで固定された内槽底板の周縁部が反り返ってしまうため、高圧状態では貯蔵できない。
(3) 内外槽間の圧力は、構造上大気圧より通常+50〜+100mmAqほどしか高くできない。
【0004】
真空断熱タンク;
(1) 内槽と外槽との間を真空引きするので、負圧により凹まないように、外槽の板厚を厚くしなければならず、外槽の材料重量が多くなる。
(2) 真空引きする工程が煩雑であり、高コストとなる。
(3) 真空引きするため、タンクを大型化することが困難である。
(4) 外槽から基礎盤に支持脚または支持スカートを介して支えるため、内槽は外槽から底部だけでなく側部からも支持固定しなければならない。
【0005】
そこで、本出願人は、実願平4−050276号(考案の名称;竪型断熱低温タンク)にて、内槽の底部を支持スカートで基礎上に支持させ、外槽の下部をコーンを介して支持スカートに支持させた竪型断熱低温タンクを提案した。
【0006】
この竪型断熱低温タンクは、内槽の上下を鏡板で形成したボンベ状に形成されるため、高圧に耐え、また内槽を支持スカートで基礎上に支持するため、その設置面積も少なくて済む利点がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の竪型断熱低温タンクは、支持スカートで外槽を支持する真空断熱タンクと違って、低温液体を貯蔵する内槽の底部に、直接支持スカートを連結して基礎上に支持するため、内槽の冷熱が支持スカートに伝熱してしまう問題が避けられない。
【0008】
このため先願においては、内外槽の底部間にアルミ布などの対流防止板を設けて支持スカートの下部が過度に冷えないようにしているが、対流防止板を設けても支持スカートと外槽のコーンと接続部が露点以下となり、結露が発生してしまう問題が新たに判明した。
【0009】
この先願の竪型断熱低温タンクにおいては、内槽や支持スカートの材質は、極低温に強いSUS等が使用され、外槽の材質は、コストを考慮して、一般に使用されるSS材が使用されるため、接続部に結露が発生すると、低級材料であるSS材の腐食の問題が避けられない。
【0010】
この外槽と内槽との接続部における支持スカートの過冷却を避けるには、この接続部であるコーンや支持スカートに別途放熱板を設ければ、接続部の結露を防止できるが、外槽下部は、コーンを介して支持スカートに接続されており、支持スカートは、このコーンの板厚のごく狭い領域を介して、内外槽間の保冷材の重量を支持しているため、その接続部に応力が集中しやすく、単に放熱板を取り付けたのでは、地震時支持強度が十分に確保できなくなってしまう。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、内槽を支持スカートで基礎上に直接支持するにおいて、その支持スカートに外槽を支持させても支障のない竪型断熱低温タンクの外槽支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、低温液体を貯蔵する内槽を支持スカートを介して基礎上に支持し、その内槽を囲繞する外槽を上記支持スカートに支持させる竪型断熱低温タンクの外槽支持構造において、上記支持スカートの外周に、放熱兼補強リング部材を設け、その放熱兼補強リング部材と外槽の側板下部とを逆円錐台状のコーンで連結した竪型断熱低温タンクの外槽支持構造である。
【0013】
請求項2の発明は、外槽の側板下部に補強リングが設けられ、コーンは、その補強リングと支持スカートの放熱兼補強リング部材間を連結する請求項1記載の竪型断熱低温タンクの外槽支持構造である。
【0014】
請求項3の発明は、放熱兼補強リング部材と基礎間の支持スカートの外周に、複数の補強リブを円周方向に間隔を置いて設けた請求項1または2記載の竪型断熱低温タンクの外槽支持構造である。
【0015】
請求項4の発明は、逆円錐台状のコーンに、内槽と接続する配管を引き出すための管束を設けた請求項1〜3いずれか記載の竪型断熱低温タンクの外槽支持構造である。
【0016】
請求項5の発明は、支持スカートが極低温、放熱兼補強リング部材及びコーンが、微低温に強い材料で形成される請求項1〜4いずれか記載の竪型断熱低温タンクの外槽支持構造である。
【発明の実施の形態】
【0017】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0018】
図1は、LNGサテライト貯槽、液体酸素、液体窒素などに採用される200〜2000KLの中型の低温貯槽における竪型断熱低温タンクの外槽支持構造の全体断面図を示し、図2は、その要部の拡大断面図を示したものである。
【0019】
図1において、10は、LN、LOX、LNG等の低温液体を収容する内槽で、上部鏡板11と下部鏡板12とその上下の鏡板11,12を結ぶ側板13とで形成される。
【0020】
この内槽10は円筒状の支持スカート14で基礎15上に支持される。
【0021】
支持スカート14は、内槽10の側板13の径と同じに形成され、その下端のアンカーリング16が基礎15に設けたアンカーボルト17にて固定される。
【0022】
この内槽10を囲繞するように外槽18が設けられ、その内外槽10,18間にパーライト粒等からなる保冷材層20が形成される。
【0023】
外槽18は、屋根部21と、側板22と、側板22の下端と支持スカート14とを結ぶ逆円錐台状のコーン24と、支持スカート14内に設けられた底板25とで形成される。
【0024】
内槽10の上部には、液受入用やBOG排出用の配管26が接続され、その配管26が、保冷材層20を通して外槽18外に延出される。また内槽10の底部には送液や液払出用の配管27が接続され、その配管27が支持スカート14に形成した開口28を通して外槽18外に延出される。
【0025】
なお、29は、内槽10の側板13や上部鏡板11に形成したマンホール、30は、外槽18の屋根部21や側板22に形成したマンホールである。
【0026】
次に図2により、支持スカート14に外槽18を支持する構造を詳しく説明する。
【0027】
先ず、外槽18の底板25は、その間の底部保冷材層20aの断熱性を考慮して内槽10の下部鏡板12より十分下方に位置するように支持スカート14の内周に取り付けられると共にその下部に適宜補強材32が取り付けられる。
【0028】
この底板25が取り付けらる位置の支持スカート14の外周には放熱や補強を目的とする放熱兼補強リング部材33が取り付けられ、外槽18の側板22の下端内周には補強リング34が取り付けられ、これらリング33,34を結ぶように逆円錐台状のコーン24が取り付けられる。
【0029】
この放熱兼補強リング部材と33補強リング34は、工場で、ビルドアップにより断面コ字状で、平面視円弧状に形成され、その円弧状のリングを順次つないで溶接により取り付ける。
【0030】
この放熱兼補強リング部材33と補強リング34間には逆円錐台状のコーン24を取り付ける。
【0031】
放熱兼補強リング部材33とベースプレート16間の支持スカート14外周には、その円周方向に適宜間隔で補強リブ35が取り付けられる。また、外槽18の側板22の下部に取り付ける補強リング34の上部と側板22の内周を結ぶように支持ブラケット36を取り付ける。
【0032】
逆円錐台状コーン24には、内槽10に接続した配管26,27を外槽18外に延出するための管束37が円周方向に沿って配管個数に応じて取り付けられる。
【0033】
この管束37は、コーン24に取り付けられる円筒体38とその円筒体38の下部に設けられ配管26,27を挿通する穴が形成された円板39とからなり、その管束37内にパーライト粒等が充填されるようになっている。
【0034】
内槽10、支持スカート14は、SUS等極低温に強い材料を用い、外槽18は、SS材を用いる。また放熱兼補強リング部材33、補強リング34及びコーン24は、支持スカート14及び管束37から伝熱される微低温(約−10℃)に適したSM400Cなどの材料を用いる。
【0035】
次に本発明の作用を述べる。
【0036】
内外槽10,18間の保冷材層20には、外気温、外気圧の変化に対する呼吸用として窒素ガスを+1000mmAq程度まで封入した状態で、内槽10内に低温液体を収容する。
【0037】
この貯蔵中、外槽18と保冷材層20の荷重は、支持スカート14にかかることとなるが、その荷重は、補強リング34からコーン24と放熱兼補強リング部材33を介して支持スカート14に確実に伝えることができる。またこの場合、保冷材層20を+1000mmAq程度の陽圧に保つことで、外槽18を最小限の板厚にすることが可能となり、外槽重量の削減が図れると共に、外槽重量を補強リング34が受けてコーン24を介して支持スカート14に伝えることが可能となる。
【0038】
この場合、支持スカート14には、その周方向に補強リブ35が設けられるため十分な支持強度が得られる。
【0039】
また、補強リング34と放熱兼補強リング部材33とは、コーン24と外槽18の側板22、コーン24と支持スカート14のレベル出しを容易にし、同時に据え付け、溶接も容易となる。
【0040】
内槽10の冷熱は、支持スカート14に伝熱し、支持スカート14が冷却されるが、支持スカート14には、放熱兼補強リング部材33が設けられており、支持スカート14からの冷熱より、放熱兼補強リング部材33からの入熱が大きいため、この部分が過度に露点以下まで冷却されることがなく、露付きの発生を防止できる。
【0041】
また、管束37を通る配管26,27で管束37を通してコーン24に微冷熱が伝わるが、コーン24を微低温に強い材料で形成してあるため、冷熱の影響がなく、またコーン24に管束37を設けることで、配管26,27の最適な配置が可能となる。
【発明の効果】
【0042】
以上要するに本発明によれば、支持スカートに放熱兼補強リング部材を設け、そのリング部材にコーンを介して外槽の側板下部に接続することで、外槽及び保冷材層の荷重を支障なく受けることができると共に支持スカートから伝熱する冷熱の影響をなくすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す全体断面図である。
【図2】 図1の要部の詳細断面図である。
【符号の説明】
【0044】
10 内槽
14 支持スカート
15 基礎
18 外槽
22 側板
24 コーン
33 放熱兼補強リング部材
Claims (5)
- 低温液体を貯蔵する内槽を支持スカートを介して基礎上に支持し、その内槽を囲繞する外槽を上記支持スカートに支持させる竪型断熱低温タンクの外槽支持構造において、上記支持スカートの外周に、放熱兼補強リング部材を設け、その放熱兼補強リング部材と外槽の側板下部とを逆円錐台状のコーンで連結したことを特徴とする竪型断熱低温タンクの外槽支持構造。
- 外槽の側板下部に、補強リングが設けられ、コーンは、その補強リングと支持スカートの放熱兼補強リング部材間を連結する請求項1記載の竪型断熱低温タンクの外槽支持構造。
- 放熱兼補強リング部材と基礎間の支持スカートの外周に、複数の補強リブを円周方向に間隔を置いて設けた請求項1または2記載の竪型断熱低温タンクの外槽支持構造。
- 逆円錐台状のコーンに、内槽と接続する配管を引き出すための管束を設けた請求項1〜3いずれか記載の竪型断熱低温タンクの外槽支持構造。
- 支持スカートが極低温に強く、放熱兼補強リング部材及びコーンが、微低温に強い材料で形成される請求項1〜4いずれか記載の竪型断熱低温タンクの外槽支持構造。
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