JP3546457B2 - 樹脂組成物及びそれを用いた多層配線板の製造法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、多層配線板の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、層間絶縁層をビルドアップ方式で形成する多層配線板の絶縁樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常の多層配線板は、内層回路を形成した絶縁基板上に、プリプレグと呼ばれるガラス布にエポキシ樹脂を含浸し半硬化状態にした材料を銅箔と重ねて熱プレスにより積層一体化した後、ドリルで層間接続用のスルーホールと呼ばれる穴を開け、スルーホール内壁と銅箔表面上に無電解めっきを行って、必要ならばさらに電解めっきを行って回路導体として必要な厚さとした後、不要な銅を除去して多層配線板を製造する。
【0003】
ところで、近年、電子機器の小型化・軽量化・多機能化が一段と進み、これに伴い、LSIやチップ部品等の高集積化が進みその形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。この為、多層配線板は、電子部品の実装密度を向上するために、微細配線化の開発が進められている。
【0004】
しかしながら、配線幅の縮小には技術的に限界があり、現在量産可能な配線幅は100μm前後である。この為、単に配線幅を縮小するだけではなく大幅な配線密度の向上は達成しにくい。
【0005】
また、配線密度向上の隘路となっているのが、直径400μm前後の面積を占めるスルーホールである。このスルーホールは、一般的にメカニカルドリルで形成されるために比較的に寸法が大きく、この為配線設計の自由度が乏しくなる。
【0006】
これらの問題を解決するものとして、感光性を付与した絶縁樹脂を、回路形成した絶縁基材上に塗り、フォトプロセスにより絶縁樹脂に微小なバイアホールを形成して層間接続する方法が、特公平4−55555号公報、特開平4−148590号公報に開示されている。
【0007】
また、感光性を付与した絶縁樹脂層とめっき銅導体との接着性を向上するために、絶縁樹脂層に酸素ガスプラズマを用いる方法が、特開昭58−209195号公報に開示されており、また感光性絶縁樹脂層表面を粗面化するために、液体ホーニング処理を行う方法が、特開昭58−119695号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来の方法は、フォトプロセスによって形成した微小なバイアホールで層間接続する多層配線板であり、従来抱えていた多層配線板の配線密度向上の問題に関して、大きく寄与するものである。
【0009】
しかし、特公平4−55555号公報には、めっき銅導体との接着性を高めるために(粗化面の凹凸を得るために)平均粒子径10μm以下の粒子状物質を感光性樹脂中に含んだものを用いているが、今日要求されている75μmあるいは50μmの配線幅の場合に、配線導体下部に安定した粗化形状を得ることは通常困難である。また、平均粒子径10μm以下の粒子状物質が除去された凹部にめっきが追従されて析出されるために、銅表面にわずかな凹凸が存在し、その為エッチング精度が悪くなり回路形成性に問題が残る。
【0010】
また、特開平4−148590号公報には、感光性ソルダーレジストを絶縁層に用いているが、銅めっき析出用樹脂としては配合設計されていないために、通常のガラスエポキシプリプレグを絶縁材に用いた配線板に比べて銅めっきとの接着力がかなり低くなってしまう問題がある。
【0011】
さらに、特公平4−55555号公報と特開平4−148590号公報には、感光性絶縁樹脂層にバイアホールを形成する際の現像液に、塩素系溶剤や100%溶剤の現像液が用いられている。塩素系溶剤は今後使用ができなくなる問題があり、また100%溶剤の現像液は、高引火点溶剤が使用されるとしても危険性が無いとはいえず、現像作業時の環境悪化や設備の防爆化等も問題となる。
【0012】
また、特開昭58−209195号公報や特開昭58−119695号公報には、感光性樹脂としてメタクリロイル基を側鎖にもつフェノキシ樹脂を使用し、この樹脂表面に酸素ガスプラズマ処理や液体ホーニング処理を行っている。この酸素ガスプラズマ処理では樹脂表面に極性基が出現し、また液体ホーニング処理では若干の粗化面が生成できる。この方法によって、めっき導体との接着性は向上できるが、通常のガラスエポキシプリプレグを絶縁材に用いた配線板に近いめっき導体との接着力を得ることは通常困難である。
【0013】
以上説明したように、感光性絶縁層を用いた多層配線板において、めっき導体との接着性に優れ、100%溶剤以外の現像液でバイアホールを形成できる感光性絶縁樹脂及びそれを用いた多層配線板は、技術的な難易度が高くその達成が困難であった。
【0014】
本発明は、作業環境の点で安全な現像液を用いて直径100μm〜200μmの微小なバイアホールを安定的に加工できる絶縁樹脂組成物と、それを用いて効率的に多層配線板を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の感光性樹脂組成物は、以下の(A)〜(F)の成分からなることを特徴とする。
(A)数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
(B)エポキシ樹脂中のエポキシ基を光重合性不飽和基で25%〜75%置換した(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂
(C)メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴム
(D)アルキルフェノール樹脂
(E)(B)成分のアクリロイル基を紫外線によって反応させる為の光開始剤
(F)(A)と(B)成分のエポキシ基と加熱によって反応する硬化剤
【0016】
これらの組成物は、(A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分の総合計配合量100において、(C)成分と(D)成分の合計量が5〜40%の範囲であり、かつ、(C)成分と(D)成分の配合比率が95/5〜60/40であることが好ましい。
【0017】
数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型、環式脂肪族エポキシ、グリシジルエステル型等のエポキシ樹脂、及びこれらのエポキシ樹脂に難燃化の目的で臭素等のハロゲンを付加したエポキシ樹脂の何れでも数平均分子量(Mn)が1500以下の範囲であれば単独または2種以上を混合して用いることができる。なお、数平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G.P.C)により求めることができる。
【0018】
エポキシ樹脂中のエポキシ基を光重合性不飽和基で25%〜75%置換したメタ)アクリレート化エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型等のエポキシ樹脂のエポキシ当量に対して、光重合性不飽和モノマーを化学理論量的に0.25〜0.75当量反応させて製造される。具体的な光重合性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート等が代表的なものとして挙げられる。
【0019】
メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムとしては、ブタジエンの不飽和二重結合部分にメタアクリル酸とアクリロニトリルを反応させて製造されるものである。メタアクリル酸の付加量は、2mol%〜12mol%の範囲が良く、この範囲以外では、現像性及び耐めっき性の点で好ましくない。また、アクリロニトリル量は特に限定するものではないが、他の樹脂との相溶性の点から20重量%以上が好ましい。
【0020】
アルキルフェノール樹脂は、前記メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムを熱硬化するために用いられる。このアルキルフェノール樹脂としては、アルキル基の種類、反応基の種類及び分子量分布によって各種あるが、パラターシャリーブチルフェノール、パラターシャリーアミルフェノール、パラーフェニルフェノール、パラセカンダリーブチルフェノール等が使用できる。
【0021】
これらの組成は、メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の合計配合量は、数平均分子量(Mn)が150以下のエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂中のエポキシ基を光重合性不飽和基で25%〜75%置換した(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂と、メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムと、アルキルフェノール樹脂の総合計配合量100に対して5〜40重量%の範囲であることが好ましい。
このメタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の合計配合量が5重量%未満では、絶縁樹脂上に析出させためっき銅との接着性が不十分になる。また、40重量%を越えると耐熱性や絶縁信頼性の低下が生じる。
【0022】
また、メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の配合比率は、95/5〜60/40重量比の範囲にすることが好ましい。
このメタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の配合比率が95/5重量比未満では、メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムの硬化が不十分で耐熱性や絶縁信頼性が低下する。また、配合比率が60/40重量比を越えると、メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムの硬化が逆に進み過ぎて粗化されにくくなり、その結果、めっき銅との接着性が不十分になる。
【0023】
エポキシ樹脂中のエポキシ基を光重合性不飽和基で25%〜75%置換した(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂の光重合性不飽和基を反応させるための光開始剤としては、使用する露光機の紫外線に波長を持つものが使用できる。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−ジメトキシ−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン、アゾビスイソブチルニトリル、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジメチルチオキサンソン、メチルベンゾイルフォーメート、3,3,4,4−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が使用できる。
【0024】
数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂中のエポキシ基と、光重合性不飽和基で25%〜75%置換した(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂中の残エポキシ基と加熱によって反応する硬化剤は、硬化反応を促進させる触媒及び直接反応に関与する通常良く知られたものが使用できる。
例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、環状脂肪族酸無水物、ポリアミド、イミダゾール、アミン錯化合物、アミン誘導体、フェノール等である。
【0025】
また、これらの組成の他に、微粉末シリカ、水酸化アルミニウム、シリカ、ケイ酸ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の無機充填剤を混入すれば、化学粗化した際の凹凸を形成しやすく接着力向上の点で好ましく、また、塗膜補強の点からも好ましい。
【0026】
さらに、組成中に無電解めっきの核となる触媒を混合することができる。めっき触媒としては、元素周期率表8族及び/または1B族の元素を無機質又は有機質に科学的あるいは物理的に吸着させた後、金属に還元した状態で混入させる。元素周期率表8族及び/または1B族の元素としては、白金、金、ニッケル、パラジウム、コバルト、鉄、ロジウム、銅、銀等であり、白金パラジウムが電気特性及びめっき析出性の点で好ましい。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、有機溶媒中で混練り・混合し溶液状混合物とする。この際に用いる有機溶媒としては、ケトン系、エステル系、アルコール系、セルソルブ系等を1種、または2種以上混合して用いることができる。
【0028】
以上に説明した感光性絶縁樹脂組成物を用いて、図1に示した工程で多層配線板を製造する。図1に示した工程に従い、詳しく説明する。
先ず、第1の回路を形成した絶縁基板を用意する(図1−a)。
この絶縁基板は特に限定するものではなく、ガラス布−エポキシ樹脂、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス紙−エポキシ樹脂等、通常の配線板に用いる絶縁基板が使用できる。本発明の第1の回路を形成する方法としては、銅箔と前記絶縁基板を張り合わせた銅張り積層板を用い、銅箔の不要な部分をエッチング除去するサブトラクティブ法や、前記絶縁基板の必要な箇所に無電解めっきによって回路を形成するアディティブ法等、通常の配線板の製造法を用いることができる。
【0029】
次に、第1の回路表面上に前記感光性絶縁樹脂組成物を形成する(図1−b)。
この形成方法は、液状の樹脂をロールコート、カーテンコート、ディプコート等の方法で塗布する方式や、感光性絶縁樹脂をフィルム化してラミネートで張り合わせる方式を用いることができる。
【0030】
次に、感光性絶縁樹脂層に、第1の回路と接続するバイアホールを形成するためにフォトマスクを介して露光し(図1−c)、未露光部分を現像液により食刻する方法によって感光性絶縁樹脂層に第1の回路と接続するバイアホールを形成する(図1−d)。
露光は、通常の配線板のレジスト形成と同じ方法が用いられる。
また、未露光部分を選択的に食刻する為に本発明の現像液を用いることで、安全でかつ微細なバイアホールを形成できる。
【0031】
本発明の現像液は、水と蒸気圧133Pa(25℃)以下の有機溶剤を混合した液及び/または水と蒸気圧ん133Pa(25℃)以下の有機溶剤を混合した液にアルカリ成分のホウ砂及び/またはアルカノールアミンを加えた現像液である。
蒸気圧133Pa(25℃)以下の有機溶剤の水との混合比率は、消防法の規制対象外となる40vol%以下であり、現像性の点から好ましい範囲は10〜30vol%の範囲である。
【0032】
蒸気圧133Pa(25℃)以下の有機溶剤けで現像液として好ましいものは、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシエタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレンクレゾールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、炭酸プロピレン等が挙げられる。
【0033】
アルカリ成分としては、ホウ砂及びアルカノールアミンを用いる。
アルカノールアミンとしては、2アミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンを用いることができる。
ホウ砂及びアルカノールアミンを前記有機溶剤と水との混合液に加える量は、ホウ砂の場合、1〜20g/lの範囲であり、好ましくは5〜15g/lの範囲である。また、アルカノールアミンの場合は、1〜10g/lが最適な範囲である。
さらに、現像温度を30℃〜60℃の範囲にすることにより、現像性向上及び現像時間短縮を図ることができる。
【0034】
次に、前記感光性絶縁樹脂を加熱により硬化させる。この硬化は、感光性絶縁樹脂上に回路を形成する際に、感光性絶縁樹脂回路との密着性を強固にするための粗化凹凸形状を適性に形成するためと、強アルカリ性のめっき液に耐えるようにするために重要な工程である。
また、感光性絶縁樹脂を加熱により硬化する際、必要ならば紫外線を更に照射した後加熱する工程を行っても良い。
【0035】
このようにして、絶縁層を硬化した後、アルカリ過マンガン酸により絶縁層を粗化し、絶縁層上に銅めっきを析出させて第2の回路形成及びバイアホールの層間接続を行う(図1−e)。
この場合のアルカリ過マンガン酸粗化液としては、7価のマンガン化合物と水酸化カリウム及び/または水酸化ナトリウムの水溶液混合物を用いることができる。
また、アルカリ過マンガン酸粗化後は、7価のマンガン化合物を6価のマンガン化合物に変える為に中和工程を行う。
【0036】
さらに第2の回路を形成する方法としては、粗化した絶縁層表面に無電解めっき用の触媒を付与して全面に無電解めっき銅を析出させ、必要な場合には電解めっきによって回路導体を必要な厚さにして、不要な箇所をエッチング除去して形成する方法や、めっき触媒を含有した絶縁層を用いて、めっきレジストを形成して必要な箇所のみ無電解めっきにより回路形成する方法、及びめっき触媒を含有しない絶縁層を粗化し、めっき触媒を付与した後めっきレジストを形成して必要な箇所のみ無電解めっきにより回路を形成する方法等を用いることができる。
【0037】
本発明を多層化する場合には、以上の方法(図1−b〜e)を繰り返し行い多層化する(工程:図1−f〜h)。この際、好ましくは、次の回路層を指示する感光性絶縁樹脂層を形成する前に、その下になる回路層導体表面を粗化したり、従来の多層配線板製造に用いられるように回路層導体を酸化して凹凸を形成したり、酸化して形成した凹凸を水素化硼素ナトリウムやジメチルアミンボラン等のアルカリ性還元剤を用いて還元して層間の接着力を高めることができる。
【0038】
【作用】
本発明は、特定の感光性絶縁樹脂を用いて多層化する配線板において、特定の感光性絶縁樹脂及び特定の現像液を用いることにより、安全で微細なバイアホールを形成でき、しかも特定の感光性絶縁樹脂を特定の粗化液で処理することにより、絶縁信頼性を損なうことなく回路導体との接着力を高めることができる。
これらのことから、基板の薄型化の高密度配線板に適した多層配線板を提供することができる。
【0039】
【実施例】
実施例1
(1)35μmの両面粗化銅箔を両面に張り合わせた銅張りガラス布エポキシ樹脂積層板であるMCL−E−67(日立化成工業株式会社製、商品名)を用い、不要な箇所の銅箔をエッチング除去して、第1の回路を形成する(図1−aに示す。)。
(2)この表面の片面に、下記組成の感光性絶縁樹脂をロールコートにより塗布し、80℃−10分乾燥して第1の感光性絶縁樹脂層を形成する(図1−bに示す)。
・数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
エピコート828(Mn: 214、油化シェル株式会社製、商品名)24重量部
・エポキシ樹脂中のエポキシ基をアクリル酸で50%置換したフェノールノボラ
ック型アクリレート化エポキシ樹脂
EA−6310(新中村工業株式会社製、商品名)・・・・・・56重量部
・メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴム
PNR−1H(日本合成ゴム株式会社製、商品名)・・・・・・15重量部
・アルキルフェノール樹脂
ヒタノール2400(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・5重量部
・光開始剤
イルガキュア651(チバガイギー株式会社製、商品名)・・・・5重量部
・熱硬化剤
HP−850N(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・30重量部
2E4MZ(四国化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・0.1重量部
・充填剤
ハイジライトH−42M(昭和電工株式会社製、商品名)・・・15重量部
エロジル#200(日本アエロジル株式会社製、商品名)・・・・1重量部
(3)バイアホールとなる部分に遮蔽部を形成したフォトマスクを介して露光量300mJ/cm2の紫外線を照射して(図1−cに示す)、さらに未露光部分を下記組成の現像液及び下記現像条件で選択的に除去してバイアホールを作製した(図1−dに示す)。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml/l
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・・・・・・・200ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g/l
・モノエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5g/l
〔現像条件〕
・温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45℃
・スプレー圧力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.7kg/cm2
・時間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5分
(4)150℃−30分の条件で、感光性絶縁樹脂組成物の熱硬化を行う。
(5)絶縁樹脂表面を化学粗化するために、粗化液として、KMnO4:60g/l、NaOH:40g/lの水溶液を作成し、50℃に加温して5分間浸漬処理する。KMnO4浸漬処理後は、SnCl3:30g/l、HCl:300ml/lの水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和し、粗化凹凸形状を形成した。
(6)第1の感光性絶縁樹脂層の表面上に第2の回路を形成するために、まず塩化パラジウムを含む無電解めっき用触媒であるHS−202B(日立化成工業株式会社製、商品名)に、室温−10分の条件で浸漬処理し、水洗し、無電解銅めっき液であるL−59めっき液(日立化成工業株式会社製、商品名)に、70℃−60分間浸漬し、さらに硫酸銅電解めっきを行って、感光性絶縁樹脂層表面の全面に、厚さ20μmの導体層を形成する。
次に、めっき導体の不要な箇所をエッチング除去するために、エッチングレジストを形成し、エッチングし、その後エッチングレジストを除去して、第1の回路と接続したバイアホールを含む第2の回路形成を行う(図1−e)。
(7)さらに、多層化するために、第2の回路導体を、亜塩素酸ナトリウム:50g/l、NaOH:20g/l、リン酸3ナトリウム:10g/lの水溶液に、85℃−2分間浸漬し、水洗して、80℃−20分間乾燥し、第2の回路導体表面上に、酸化銅の凹凸を形成する。
(8)この酸化銅の凹凸を形成した第2の回路導体表面上に、第2の感光性絶縁樹脂層を、前記組成の感光性絶縁樹脂を用いて、第1の感光性絶縁樹脂層と同じ方法で形成する(図1−f)。
(9)第3の回路形状となるように、遮蔽部を形成したフォトマスクを介して、露光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、さらに、未露光部分を下記組成の現像液及び下記現像条件で、選択的に除去してバイアホールを形成した。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml/l
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・・・・・・・200ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g/l
・モノエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5g/l
〔現像条件〕
・温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45℃
・スプレー圧力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.7kg/cm2
・時間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5分
(10)150℃−30分の条件で、感光性絶縁樹脂層の熱硬化を行う。
(11)絶縁樹脂層表面を化学粗化するために、粗化液として、KMnO4:60g/l、NaOH:40g/lの水溶液を作成し、50℃に加温して5分間浸漬処理する。
KMnO4浸漬処理後は、SnCl3:30g/l、HCl:300ml/lの水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和し、粗化凹凸形状を形成した(図1−g)。
(12)第2の感光性絶縁樹脂層の表面上に第3の回路を形成するために、まず塩化パラジウムを含む無電解めっき用触媒であるHS−202B(日立化成工業株式会社製、商品名)に、室温−10分の条件で浸漬処理し、水洗し、無電解銅めっき液であるL−59めっき液(日立化成工業株式会社製、商品名)に、70℃−60分間浸漬し、さらに硫酸銅電解めっきを行って、感光性絶縁樹脂層表面の全面に厚さ20μmの導体層を形成する。
次に、めっき導体の不要な箇所をエッチング除去するために、エッチングレジストを形成し、エッチングし、その後エッチングレジストを除去して、第2の回路と接続したバイアホールを含む第3の回路形成を行う(図1−hに示した)。
以上説明した方法により、多層配線板を作製した。
【0040】
実施例2
実施例1で示した感光性絶縁樹脂組成において、数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂種類を、エピコート828(Mn:214、油化シェル株式会社製、商品名)からエピコート834(Mn:328、油化シェル株式会社製、商品名)に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
【0041】
実施例3
実施例1で示した感光性絶縁樹脂組成において、数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂種類を、エピコート828(Mn:214、油化シェル株式会社製、商品名)からエピコート1001(Mn:834、油化シェル株式会社製、商品名)に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
【0042】
実施例4
実施例1で示した組成において、アクリル酸50%置換フェノールノボラック型アクリレート化エポキシ樹脂に変えて、アクリル酸50%置換ビスフェノールA型アクリレート化エポキシ樹脂のEA−1010(新中村工業株式会社製、商品名)に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
【0043】
実施例5
実施例1で示した組成において、アクリル酸50%置換したアクリレート化エポキシ樹脂を、アクリル酸で75%置換したフェノールノボラック型アクリレート化エポキシ樹脂(新中村工業株式会社製、試作品)に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
【0044】
実施例6
実施例2で示した組成において、メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の合計含有量が10%となる様に下記組成の感光性絶縁樹脂を作製した。その他は、実施例2と同様の方法で行った。
・数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
エピコート834(Mn: 328、油化シェル株式会社製、商品名)27重量部
・エポキシ樹脂中のエポキシ基をアクリル酸で50%置換したフェノールノボラ
ック型アクリレート化エポキシ樹脂
EA−6310(新中村工業株式会社製、商品名)・・・・・・・63重量部
・メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴム
PNR−1H(日本合成ゴム株式会社製、商品名)・・・・・・・・9重量部
・アルキルフェノール樹脂
ヒタノール2400(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・1重量部
・光開始剤
イルガキュア651(チバガイギー社製、商品名)・・・・・・・・5重量部
・熱硬化剤
HP−850N(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・30重量部
2E4MZ(四国化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・・0.1重量部
・充填剤
ハイジライトH−42M(昭和電工株式会社製、商品名)・・・・15重量部
エロジル#200(日本アエロジル株式会社製、商品名)・・・・・1重量部
【0045】
実施例7
実施例2で示した組成において、メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の合計含有量が30%となる様に下記組成の感光性絶縁樹脂を作製した。その他は、実施例2と同様の方法で行った。
・数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
エピコート834(Mn: 328、油化シェル株式会社製、商品名)21重量部
・エポキシ樹脂中のエポキシ基をアクリル酸で50%置換したフェノールノボラ
ック型アクリレート化エポキシ樹脂
EA−6310(新中村工業株式会社製、商品名)・・・・・・・49重量部
・メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴム
PNR−1H(日本合成ゴム株式会社製、商品名)・・・・・・・21重量部
・アルキルフェノール樹脂
ヒタノール2400(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・9重量部
・光開始剤
イルガキュア651(チバガイギー社製、商品名)・・・・・・・・5重量部
・熱硬化剤
HP−850N(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・30重量部
2E4MZ(四国化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・・0.1重量部
・充填剤
ハイジライトH−42M(昭和電工株式会社製、商品名)・・・・15重量部
エロジル#200(日本アエロジル株式会社製、商品名)・・・・・1重量部
【0046】
実施例8
実施例1において、感光性絶縁樹脂層にバイアホールを選択的に形成するための現像液を下記変更した。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・780ml/l
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・220ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g/l
【0047】
実施例9
実施例1において、感光性絶縁樹脂層にバイアホールを選択的に形成するための現像液を下記組成に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・780ml/l
・ジプロピレングリコールモノエチルエーテル・・220ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g/l
・モノエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・5g/l
【0048】
実施例10
実施例1において、感光性絶縁樹脂層にバイアホールを選択的に形成するための現像液を下記組成に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml/l
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル・・・200ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g/l
・モノエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・5g/l
【0049】
実施例11
実施例1において、感光性絶縁樹脂層にバイアホールを選択的に形成するための現像液を下記組成に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml/l
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・200ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g/l
・トリエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・5g/l
【0050】
実施例12
実施例1において、感光性絶縁樹脂層にバイアホールを選択的に形成するための現像液を下記組成に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml/l
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・200ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g/l
・ジエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・5g/l
【0051】
実施例13
実施例1と同様に、第1の感光性絶縁層にバイアホールを形成し、この第1の感光性絶縁層上に第2の回路を形成し、第2の回路導体表面に酸化銅の凹凸処理を施した。
次に、下記組成のめっき触媒を含んだ感光性絶縁樹脂を、第2の感光性絶縁層として第2の回路導体表面上に形成した。
・数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
エピコート828(Mn: 214、油化シェル株式会社製、商品名)24重量部
・エポキシ樹脂中のエポキシ基をアクリル酸で50%置換したフェノールノボラ
ック型アクリレート化エポキシ樹脂
EA−6310(新中村工業株式会社製、商品名)・・・・・・・56重量部
・メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴム
PNR−1H(日本合成ゴム株式会社製、商品名)・・・・・・・15重量部
・アルキルフェノール樹脂
ヒタノール2400(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・5重量部
・光開始剤
イルガキュア651(チバガイギー社製、商品名)・・・・・・・・5重量部
・熱硬化剤
HP−850N(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・30重量部
2E4MZ(四国化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・0.1重量部
・充填剤
ハイジライトH−42M(昭和電工株式会社製、商品名)・・・・15重量部
エロジル#200(日本アエロジル株式会社製、商品名)・・・・・1重量部
・めっき触媒
PEC−8(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・・・・6重量部
次に、第3の回路形状となるように遮蔽部を形成したフォトマスクを介して露光量300mJ/cm2の紫外線を照射して、さらに未露光部分を下記組成の現像液及び下記現像条件で選択的に除去してバイアホールを形成した。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml/l
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・200ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g/l
・モノエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・5g/l
〔現像条件〕
・温度・・・・・・・・・・45℃
・スプレー圧・・・・・・・・0.7kg/cm2
・時間・・・・・・・・・・・5分
そして、150℃−30分の条件で、感光性絶縁樹脂層の熱硬化を行い、無電解めっき用永久レジストのSR−3000(日立化成工業株式会社製、商品名)を第2の感光性絶縁樹脂層上にラミネートし、無電解めっき銅析出部分が第3の回路となるように露光・現像して、めっきレジスト層を形成する。
次に、露出した絶縁樹脂層表面を化学粗化する為に、粗化液としてKMnO4 :60g/l、NaOH:40g/lの水溶液を作製し、50℃に加温して5分間浸浸処理する。KMnO4浸漬処理後は、SnCL2:30g/l、HCL:300mlの水溶液に室温で5分間浸浸処理して中和し、粗化凹凸形状を形成した。
さらに、無電解銅めっき液であるL−59(日立化成工業株式会社製、商品名)に70℃−120時間浸浸し、第2の回路と接続したバイアホールを含む第3の回路をフルアディティブ法により形成し、多層配線板を作製した。
【0052】
比較例1
実施例1で示した感光性絶縁樹脂組成において、数平均分子量(Mn)が214のエピコート1004(Mn:1750、油化シェル株式会社製、商品名)に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
【0053】
比較例2
実施例4で示した感光性絶縁樹脂組成において、エポキシ樹脂中のエポキシ基をアクリル酸で50%置換したビスフェノールA型アクリレート化エポキシ樹脂EA−1010(新中村工業株式会社製、商品名)に変えて、エポキシ基を有していないアクリレート化エポキシ樹脂に変更した。その他は、実施例4と同様の方法で行った。
【0054】
比較例3
実施例2で示した組成において、メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の合計量が3重量%となる様に下記組成とした。その他は、実施例2と同様の方法で行った。
・数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
エピコート834(Mn: 328、油化シェル株式会社製、商品名)29重量部・エポキシ樹脂中のエポキシ基をアクリル酸で50%置換したフェノールノボラック型アクリレート化エポキシ樹脂
EA−6310(新中村工業株式会社製、商品名)・・・・・・・68重量部
・メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴム
PNR−1H(日本合成ゴム株式会社製、商品名)・・・・・・2.5重量部
・アルキルフェノール樹脂
ヒタノール2400(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・0.5重量部
・光開始剤
イルガキュア651(チバガイギー社製、商品名)・・・・・・・・5重量部
・熱硬化剤
HP−850N(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・30重量部
2E4MZ(四国化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・・0.1重量部
・充填剤
ハイジライトH−42M(昭和電工株式会社製、商品名)・・・・15重量部
エロジル#200(日本アエロジル株式会社製、商品名)・・・・・1重量部
【0055】
【表1】
【0056】
本発明による多層配線板は、表1に示すようにバイアホール形成性、回路導体との接着強度、耐電食性、耐熱性等に優れている。また、現像液が塩素系溶剤や100%溶剤でないため、作業環境の点で優れており、また設備を新たに防爆化する必要もない。
さらに、本発明は、バイアホール形成の際の現像液に水と有機溶剤を混合した液を用いており、また、絶縁層表面の粗化凹凸形状形成としてアルカリ過マンガン酸を用いるものとしている。この為、機械的にメカニカルドリルで形成した電源接続用スルーホールについて、通常行われているスミア処理が、前記現像液とアルカリ過マンガン酸で兼ねられるため、無駄の無い配線板製造工程が可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上のことから、従来設備及び従来方法を変更することなく、微細配線及び薄型多層に優れた低コストな多層配線板の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(h)は、それぞれ本発明の実施例を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1.絶縁基板
2.第1の回路
3.第1の感光性絶縁層
4.フォトマスク
5.紫外線
6.バイアホール
61.バイアホール
7.粗化面
71.粗化面
8.第2の回路
9.第2の絶縁層
10.第3の回路
【産業上の利用分野】
本発明は、多層配線板の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、層間絶縁層をビルドアップ方式で形成する多層配線板の絶縁樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常の多層配線板は、内層回路を形成した絶縁基板上に、プリプレグと呼ばれるガラス布にエポキシ樹脂を含浸し半硬化状態にした材料を銅箔と重ねて熱プレスにより積層一体化した後、ドリルで層間接続用のスルーホールと呼ばれる穴を開け、スルーホール内壁と銅箔表面上に無電解めっきを行って、必要ならばさらに電解めっきを行って回路導体として必要な厚さとした後、不要な銅を除去して多層配線板を製造する。
【0003】
ところで、近年、電子機器の小型化・軽量化・多機能化が一段と進み、これに伴い、LSIやチップ部品等の高集積化が進みその形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。この為、多層配線板は、電子部品の実装密度を向上するために、微細配線化の開発が進められている。
【0004】
しかしながら、配線幅の縮小には技術的に限界があり、現在量産可能な配線幅は100μm前後である。この為、単に配線幅を縮小するだけではなく大幅な配線密度の向上は達成しにくい。
【0005】
また、配線密度向上の隘路となっているのが、直径400μm前後の面積を占めるスルーホールである。このスルーホールは、一般的にメカニカルドリルで形成されるために比較的に寸法が大きく、この為配線設計の自由度が乏しくなる。
【0006】
これらの問題を解決するものとして、感光性を付与した絶縁樹脂を、回路形成した絶縁基材上に塗り、フォトプロセスにより絶縁樹脂に微小なバイアホールを形成して層間接続する方法が、特公平4−55555号公報、特開平4−148590号公報に開示されている。
【0007】
また、感光性を付与した絶縁樹脂層とめっき銅導体との接着性を向上するために、絶縁樹脂層に酸素ガスプラズマを用いる方法が、特開昭58−209195号公報に開示されており、また感光性絶縁樹脂層表面を粗面化するために、液体ホーニング処理を行う方法が、特開昭58−119695号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来の方法は、フォトプロセスによって形成した微小なバイアホールで層間接続する多層配線板であり、従来抱えていた多層配線板の配線密度向上の問題に関して、大きく寄与するものである。
【0009】
しかし、特公平4−55555号公報には、めっき銅導体との接着性を高めるために(粗化面の凹凸を得るために)平均粒子径10μm以下の粒子状物質を感光性樹脂中に含んだものを用いているが、今日要求されている75μmあるいは50μmの配線幅の場合に、配線導体下部に安定した粗化形状を得ることは通常困難である。また、平均粒子径10μm以下の粒子状物質が除去された凹部にめっきが追従されて析出されるために、銅表面にわずかな凹凸が存在し、その為エッチング精度が悪くなり回路形成性に問題が残る。
【0010】
また、特開平4−148590号公報には、感光性ソルダーレジストを絶縁層に用いているが、銅めっき析出用樹脂としては配合設計されていないために、通常のガラスエポキシプリプレグを絶縁材に用いた配線板に比べて銅めっきとの接着力がかなり低くなってしまう問題がある。
【0011】
さらに、特公平4−55555号公報と特開平4−148590号公報には、感光性絶縁樹脂層にバイアホールを形成する際の現像液に、塩素系溶剤や100%溶剤の現像液が用いられている。塩素系溶剤は今後使用ができなくなる問題があり、また100%溶剤の現像液は、高引火点溶剤が使用されるとしても危険性が無いとはいえず、現像作業時の環境悪化や設備の防爆化等も問題となる。
【0012】
また、特開昭58−209195号公報や特開昭58−119695号公報には、感光性樹脂としてメタクリロイル基を側鎖にもつフェノキシ樹脂を使用し、この樹脂表面に酸素ガスプラズマ処理や液体ホーニング処理を行っている。この酸素ガスプラズマ処理では樹脂表面に極性基が出現し、また液体ホーニング処理では若干の粗化面が生成できる。この方法によって、めっき導体との接着性は向上できるが、通常のガラスエポキシプリプレグを絶縁材に用いた配線板に近いめっき導体との接着力を得ることは通常困難である。
【0013】
以上説明したように、感光性絶縁層を用いた多層配線板において、めっき導体との接着性に優れ、100%溶剤以外の現像液でバイアホールを形成できる感光性絶縁樹脂及びそれを用いた多層配線板は、技術的な難易度が高くその達成が困難であった。
【0014】
本発明は、作業環境の点で安全な現像液を用いて直径100μm〜200μmの微小なバイアホールを安定的に加工できる絶縁樹脂組成物と、それを用いて効率的に多層配線板を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の感光性樹脂組成物は、以下の(A)〜(F)の成分からなることを特徴とする。
(A)数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
(B)エポキシ樹脂中のエポキシ基を光重合性不飽和基で25%〜75%置換した(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂
(C)メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴム
(D)アルキルフェノール樹脂
(E)(B)成分のアクリロイル基を紫外線によって反応させる為の光開始剤
(F)(A)と(B)成分のエポキシ基と加熱によって反応する硬化剤
【0016】
これらの組成物は、(A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分の総合計配合量100において、(C)成分と(D)成分の合計量が5〜40%の範囲であり、かつ、(C)成分と(D)成分の配合比率が95/5〜60/40であることが好ましい。
【0017】
数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型、環式脂肪族エポキシ、グリシジルエステル型等のエポキシ樹脂、及びこれらのエポキシ樹脂に難燃化の目的で臭素等のハロゲンを付加したエポキシ樹脂の何れでも数平均分子量(Mn)が1500以下の範囲であれば単独または2種以上を混合して用いることができる。なお、数平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G.P.C)により求めることができる。
【0018】
エポキシ樹脂中のエポキシ基を光重合性不飽和基で25%〜75%置換したメタ)アクリレート化エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型等のエポキシ樹脂のエポキシ当量に対して、光重合性不飽和モノマーを化学理論量的に0.25〜0.75当量反応させて製造される。具体的な光重合性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート等が代表的なものとして挙げられる。
【0019】
メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムとしては、ブタジエンの不飽和二重結合部分にメタアクリル酸とアクリロニトリルを反応させて製造されるものである。メタアクリル酸の付加量は、2mol%〜12mol%の範囲が良く、この範囲以外では、現像性及び耐めっき性の点で好ましくない。また、アクリロニトリル量は特に限定するものではないが、他の樹脂との相溶性の点から20重量%以上が好ましい。
【0020】
アルキルフェノール樹脂は、前記メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムを熱硬化するために用いられる。このアルキルフェノール樹脂としては、アルキル基の種類、反応基の種類及び分子量分布によって各種あるが、パラターシャリーブチルフェノール、パラターシャリーアミルフェノール、パラーフェニルフェノール、パラセカンダリーブチルフェノール等が使用できる。
【0021】
これらの組成は、メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の合計配合量は、数平均分子量(Mn)が150以下のエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂中のエポキシ基を光重合性不飽和基で25%〜75%置換した(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂と、メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムと、アルキルフェノール樹脂の総合計配合量100に対して5〜40重量%の範囲であることが好ましい。
このメタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の合計配合量が5重量%未満では、絶縁樹脂上に析出させためっき銅との接着性が不十分になる。また、40重量%を越えると耐熱性や絶縁信頼性の低下が生じる。
【0022】
また、メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の配合比率は、95/5〜60/40重量比の範囲にすることが好ましい。
このメタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の配合比率が95/5重量比未満では、メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムの硬化が不十分で耐熱性や絶縁信頼性が低下する。また、配合比率が60/40重量比を越えると、メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴムの硬化が逆に進み過ぎて粗化されにくくなり、その結果、めっき銅との接着性が不十分になる。
【0023】
エポキシ樹脂中のエポキシ基を光重合性不飽和基で25%〜75%置換した(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂の光重合性不飽和基を反応させるための光開始剤としては、使用する露光機の紫外線に波長を持つものが使用できる。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−ジメトキシ−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン、アゾビスイソブチルニトリル、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジメチルチオキサンソン、メチルベンゾイルフォーメート、3,3,4,4−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が使用できる。
【0024】
数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂中のエポキシ基と、光重合性不飽和基で25%〜75%置換した(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂中の残エポキシ基と加熱によって反応する硬化剤は、硬化反応を促進させる触媒及び直接反応に関与する通常良く知られたものが使用できる。
例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、環状脂肪族酸無水物、ポリアミド、イミダゾール、アミン錯化合物、アミン誘導体、フェノール等である。
【0025】
また、これらの組成の他に、微粉末シリカ、水酸化アルミニウム、シリカ、ケイ酸ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の無機充填剤を混入すれば、化学粗化した際の凹凸を形成しやすく接着力向上の点で好ましく、また、塗膜補強の点からも好ましい。
【0026】
さらに、組成中に無電解めっきの核となる触媒を混合することができる。めっき触媒としては、元素周期率表8族及び/または1B族の元素を無機質又は有機質に科学的あるいは物理的に吸着させた後、金属に還元した状態で混入させる。元素周期率表8族及び/または1B族の元素としては、白金、金、ニッケル、パラジウム、コバルト、鉄、ロジウム、銅、銀等であり、白金パラジウムが電気特性及びめっき析出性の点で好ましい。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、有機溶媒中で混練り・混合し溶液状混合物とする。この際に用いる有機溶媒としては、ケトン系、エステル系、アルコール系、セルソルブ系等を1種、または2種以上混合して用いることができる。
【0028】
以上に説明した感光性絶縁樹脂組成物を用いて、図1に示した工程で多層配線板を製造する。図1に示した工程に従い、詳しく説明する。
先ず、第1の回路を形成した絶縁基板を用意する(図1−a)。
この絶縁基板は特に限定するものではなく、ガラス布−エポキシ樹脂、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス紙−エポキシ樹脂等、通常の配線板に用いる絶縁基板が使用できる。本発明の第1の回路を形成する方法としては、銅箔と前記絶縁基板を張り合わせた銅張り積層板を用い、銅箔の不要な部分をエッチング除去するサブトラクティブ法や、前記絶縁基板の必要な箇所に無電解めっきによって回路を形成するアディティブ法等、通常の配線板の製造法を用いることができる。
【0029】
次に、第1の回路表面上に前記感光性絶縁樹脂組成物を形成する(図1−b)。
この形成方法は、液状の樹脂をロールコート、カーテンコート、ディプコート等の方法で塗布する方式や、感光性絶縁樹脂をフィルム化してラミネートで張り合わせる方式を用いることができる。
【0030】
次に、感光性絶縁樹脂層に、第1の回路と接続するバイアホールを形成するためにフォトマスクを介して露光し(図1−c)、未露光部分を現像液により食刻する方法によって感光性絶縁樹脂層に第1の回路と接続するバイアホールを形成する(図1−d)。
露光は、通常の配線板のレジスト形成と同じ方法が用いられる。
また、未露光部分を選択的に食刻する為に本発明の現像液を用いることで、安全でかつ微細なバイアホールを形成できる。
【0031】
本発明の現像液は、水と蒸気圧133Pa(25℃)以下の有機溶剤を混合した液及び/または水と蒸気圧ん133Pa(25℃)以下の有機溶剤を混合した液にアルカリ成分のホウ砂及び/またはアルカノールアミンを加えた現像液である。
蒸気圧133Pa(25℃)以下の有機溶剤の水との混合比率は、消防法の規制対象外となる40vol%以下であり、現像性の点から好ましい範囲は10〜30vol%の範囲である。
【0032】
蒸気圧133Pa(25℃)以下の有機溶剤けで現像液として好ましいものは、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシエタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレンクレゾールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、炭酸プロピレン等が挙げられる。
【0033】
アルカリ成分としては、ホウ砂及びアルカノールアミンを用いる。
アルカノールアミンとしては、2アミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンを用いることができる。
ホウ砂及びアルカノールアミンを前記有機溶剤と水との混合液に加える量は、ホウ砂の場合、1〜20g/lの範囲であり、好ましくは5〜15g/lの範囲である。また、アルカノールアミンの場合は、1〜10g/lが最適な範囲である。
さらに、現像温度を30℃〜60℃の範囲にすることにより、現像性向上及び現像時間短縮を図ることができる。
【0034】
次に、前記感光性絶縁樹脂を加熱により硬化させる。この硬化は、感光性絶縁樹脂上に回路を形成する際に、感光性絶縁樹脂回路との密着性を強固にするための粗化凹凸形状を適性に形成するためと、強アルカリ性のめっき液に耐えるようにするために重要な工程である。
また、感光性絶縁樹脂を加熱により硬化する際、必要ならば紫外線を更に照射した後加熱する工程を行っても良い。
【0035】
このようにして、絶縁層を硬化した後、アルカリ過マンガン酸により絶縁層を粗化し、絶縁層上に銅めっきを析出させて第2の回路形成及びバイアホールの層間接続を行う(図1−e)。
この場合のアルカリ過マンガン酸粗化液としては、7価のマンガン化合物と水酸化カリウム及び/または水酸化ナトリウムの水溶液混合物を用いることができる。
また、アルカリ過マンガン酸粗化後は、7価のマンガン化合物を6価のマンガン化合物に変える為に中和工程を行う。
【0036】
さらに第2の回路を形成する方法としては、粗化した絶縁層表面に無電解めっき用の触媒を付与して全面に無電解めっき銅を析出させ、必要な場合には電解めっきによって回路導体を必要な厚さにして、不要な箇所をエッチング除去して形成する方法や、めっき触媒を含有した絶縁層を用いて、めっきレジストを形成して必要な箇所のみ無電解めっきにより回路形成する方法、及びめっき触媒を含有しない絶縁層を粗化し、めっき触媒を付与した後めっきレジストを形成して必要な箇所のみ無電解めっきにより回路を形成する方法等を用いることができる。
【0037】
本発明を多層化する場合には、以上の方法(図1−b〜e)を繰り返し行い多層化する(工程:図1−f〜h)。この際、好ましくは、次の回路層を指示する感光性絶縁樹脂層を形成する前に、その下になる回路層導体表面を粗化したり、従来の多層配線板製造に用いられるように回路層導体を酸化して凹凸を形成したり、酸化して形成した凹凸を水素化硼素ナトリウムやジメチルアミンボラン等のアルカリ性還元剤を用いて還元して層間の接着力を高めることができる。
【0038】
【作用】
本発明は、特定の感光性絶縁樹脂を用いて多層化する配線板において、特定の感光性絶縁樹脂及び特定の現像液を用いることにより、安全で微細なバイアホールを形成でき、しかも特定の感光性絶縁樹脂を特定の粗化液で処理することにより、絶縁信頼性を損なうことなく回路導体との接着力を高めることができる。
これらのことから、基板の薄型化の高密度配線板に適した多層配線板を提供することができる。
【0039】
【実施例】
実施例1
(1)35μmの両面粗化銅箔を両面に張り合わせた銅張りガラス布エポキシ樹脂積層板であるMCL−E−67(日立化成工業株式会社製、商品名)を用い、不要な箇所の銅箔をエッチング除去して、第1の回路を形成する(図1−aに示す。)。
(2)この表面の片面に、下記組成の感光性絶縁樹脂をロールコートにより塗布し、80℃−10分乾燥して第1の感光性絶縁樹脂層を形成する(図1−bに示す)。
・数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
エピコート828(Mn: 214、油化シェル株式会社製、商品名)24重量部
・エポキシ樹脂中のエポキシ基をアクリル酸で50%置換したフェノールノボラ
ック型アクリレート化エポキシ樹脂
EA−6310(新中村工業株式会社製、商品名)・・・・・・56重量部
・メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴム
PNR−1H(日本合成ゴム株式会社製、商品名)・・・・・・15重量部
・アルキルフェノール樹脂
ヒタノール2400(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・5重量部
・光開始剤
イルガキュア651(チバガイギー株式会社製、商品名)・・・・5重量部
・熱硬化剤
HP−850N(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・30重量部
2E4MZ(四国化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・0.1重量部
・充填剤
ハイジライトH−42M(昭和電工株式会社製、商品名)・・・15重量部
エロジル#200(日本アエロジル株式会社製、商品名)・・・・1重量部
(3)バイアホールとなる部分に遮蔽部を形成したフォトマスクを介して露光量300mJ/cm2の紫外線を照射して(図1−cに示す)、さらに未露光部分を下記組成の現像液及び下記現像条件で選択的に除去してバイアホールを作製した(図1−dに示す)。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml/l
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・・・・・・・200ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g/l
・モノエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5g/l
〔現像条件〕
・温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45℃
・スプレー圧力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.7kg/cm2
・時間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5分
(4)150℃−30分の条件で、感光性絶縁樹脂組成物の熱硬化を行う。
(5)絶縁樹脂表面を化学粗化するために、粗化液として、KMnO4:60g/l、NaOH:40g/lの水溶液を作成し、50℃に加温して5分間浸漬処理する。KMnO4浸漬処理後は、SnCl3:30g/l、HCl:300ml/lの水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和し、粗化凹凸形状を形成した。
(6)第1の感光性絶縁樹脂層の表面上に第2の回路を形成するために、まず塩化パラジウムを含む無電解めっき用触媒であるHS−202B(日立化成工業株式会社製、商品名)に、室温−10分の条件で浸漬処理し、水洗し、無電解銅めっき液であるL−59めっき液(日立化成工業株式会社製、商品名)に、70℃−60分間浸漬し、さらに硫酸銅電解めっきを行って、感光性絶縁樹脂層表面の全面に、厚さ20μmの導体層を形成する。
次に、めっき導体の不要な箇所をエッチング除去するために、エッチングレジストを形成し、エッチングし、その後エッチングレジストを除去して、第1の回路と接続したバイアホールを含む第2の回路形成を行う(図1−e)。
(7)さらに、多層化するために、第2の回路導体を、亜塩素酸ナトリウム:50g/l、NaOH:20g/l、リン酸3ナトリウム:10g/lの水溶液に、85℃−2分間浸漬し、水洗して、80℃−20分間乾燥し、第2の回路導体表面上に、酸化銅の凹凸を形成する。
(8)この酸化銅の凹凸を形成した第2の回路導体表面上に、第2の感光性絶縁樹脂層を、前記組成の感光性絶縁樹脂を用いて、第1の感光性絶縁樹脂層と同じ方法で形成する(図1−f)。
(9)第3の回路形状となるように、遮蔽部を形成したフォトマスクを介して、露光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、さらに、未露光部分を下記組成の現像液及び下記現像条件で、選択的に除去してバイアホールを形成した。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml/l
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・・・・・・・200ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g/l
・モノエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5g/l
〔現像条件〕
・温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45℃
・スプレー圧力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.7kg/cm2
・時間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5分
(10)150℃−30分の条件で、感光性絶縁樹脂層の熱硬化を行う。
(11)絶縁樹脂層表面を化学粗化するために、粗化液として、KMnO4:60g/l、NaOH:40g/lの水溶液を作成し、50℃に加温して5分間浸漬処理する。
KMnO4浸漬処理後は、SnCl3:30g/l、HCl:300ml/lの水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和し、粗化凹凸形状を形成した(図1−g)。
(12)第2の感光性絶縁樹脂層の表面上に第3の回路を形成するために、まず塩化パラジウムを含む無電解めっき用触媒であるHS−202B(日立化成工業株式会社製、商品名)に、室温−10分の条件で浸漬処理し、水洗し、無電解銅めっき液であるL−59めっき液(日立化成工業株式会社製、商品名)に、70℃−60分間浸漬し、さらに硫酸銅電解めっきを行って、感光性絶縁樹脂層表面の全面に厚さ20μmの導体層を形成する。
次に、めっき導体の不要な箇所をエッチング除去するために、エッチングレジストを形成し、エッチングし、その後エッチングレジストを除去して、第2の回路と接続したバイアホールを含む第3の回路形成を行う(図1−hに示した)。
以上説明した方法により、多層配線板を作製した。
【0040】
実施例2
実施例1で示した感光性絶縁樹脂組成において、数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂種類を、エピコート828(Mn:214、油化シェル株式会社製、商品名)からエピコート834(Mn:328、油化シェル株式会社製、商品名)に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
【0041】
実施例3
実施例1で示した感光性絶縁樹脂組成において、数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂種類を、エピコート828(Mn:214、油化シェル株式会社製、商品名)からエピコート1001(Mn:834、油化シェル株式会社製、商品名)に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
【0042】
実施例4
実施例1で示した組成において、アクリル酸50%置換フェノールノボラック型アクリレート化エポキシ樹脂に変えて、アクリル酸50%置換ビスフェノールA型アクリレート化エポキシ樹脂のEA−1010(新中村工業株式会社製、商品名)に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
【0043】
実施例5
実施例1で示した組成において、アクリル酸50%置換したアクリレート化エポキシ樹脂を、アクリル酸で75%置換したフェノールノボラック型アクリレート化エポキシ樹脂(新中村工業株式会社製、試作品)に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
【0044】
実施例6
実施例2で示した組成において、メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の合計含有量が10%となる様に下記組成の感光性絶縁樹脂を作製した。その他は、実施例2と同様の方法で行った。
・数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
エピコート834(Mn: 328、油化シェル株式会社製、商品名)27重量部
・エポキシ樹脂中のエポキシ基をアクリル酸で50%置換したフェノールノボラ
ック型アクリレート化エポキシ樹脂
EA−6310(新中村工業株式会社製、商品名)・・・・・・・63重量部
・メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴム
PNR−1H(日本合成ゴム株式会社製、商品名)・・・・・・・・9重量部
・アルキルフェノール樹脂
ヒタノール2400(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・1重量部
・光開始剤
イルガキュア651(チバガイギー社製、商品名)・・・・・・・・5重量部
・熱硬化剤
HP−850N(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・30重量部
2E4MZ(四国化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・・0.1重量部
・充填剤
ハイジライトH−42M(昭和電工株式会社製、商品名)・・・・15重量部
エロジル#200(日本アエロジル株式会社製、商品名)・・・・・1重量部
【0045】
実施例7
実施例2で示した組成において、メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の合計含有量が30%となる様に下記組成の感光性絶縁樹脂を作製した。その他は、実施例2と同様の方法で行った。
・数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
エピコート834(Mn: 328、油化シェル株式会社製、商品名)21重量部
・エポキシ樹脂中のエポキシ基をアクリル酸で50%置換したフェノールノボラ
ック型アクリレート化エポキシ樹脂
EA−6310(新中村工業株式会社製、商品名)・・・・・・・49重量部
・メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴム
PNR−1H(日本合成ゴム株式会社製、商品名)・・・・・・・21重量部
・アルキルフェノール樹脂
ヒタノール2400(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・9重量部
・光開始剤
イルガキュア651(チバガイギー社製、商品名)・・・・・・・・5重量部
・熱硬化剤
HP−850N(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・30重量部
2E4MZ(四国化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・・0.1重量部
・充填剤
ハイジライトH−42M(昭和電工株式会社製、商品名)・・・・15重量部
エロジル#200(日本アエロジル株式会社製、商品名)・・・・・1重量部
【0046】
実施例8
実施例1において、感光性絶縁樹脂層にバイアホールを選択的に形成するための現像液を下記変更した。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・780ml/l
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・220ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g/l
【0047】
実施例9
実施例1において、感光性絶縁樹脂層にバイアホールを選択的に形成するための現像液を下記組成に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・780ml/l
・ジプロピレングリコールモノエチルエーテル・・220ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g/l
・モノエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・5g/l
【0048】
実施例10
実施例1において、感光性絶縁樹脂層にバイアホールを選択的に形成するための現像液を下記組成に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml/l
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル・・・200ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g/l
・モノエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・5g/l
【0049】
実施例11
実施例1において、感光性絶縁樹脂層にバイアホールを選択的に形成するための現像液を下記組成に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml/l
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・200ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g/l
・トリエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・5g/l
【0050】
実施例12
実施例1において、感光性絶縁樹脂層にバイアホールを選択的に形成するための現像液を下記組成に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml/l
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・200ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g/l
・ジエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・5g/l
【0051】
実施例13
実施例1と同様に、第1の感光性絶縁層にバイアホールを形成し、この第1の感光性絶縁層上に第2の回路を形成し、第2の回路導体表面に酸化銅の凹凸処理を施した。
次に、下記組成のめっき触媒を含んだ感光性絶縁樹脂を、第2の感光性絶縁層として第2の回路導体表面上に形成した。
・数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
エピコート828(Mn: 214、油化シェル株式会社製、商品名)24重量部
・エポキシ樹脂中のエポキシ基をアクリル酸で50%置換したフェノールノボラ
ック型アクリレート化エポキシ樹脂
EA−6310(新中村工業株式会社製、商品名)・・・・・・・56重量部
・メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴム
PNR−1H(日本合成ゴム株式会社製、商品名)・・・・・・・15重量部
・アルキルフェノール樹脂
ヒタノール2400(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・5重量部
・光開始剤
イルガキュア651(チバガイギー社製、商品名)・・・・・・・・5重量部
・熱硬化剤
HP−850N(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・30重量部
2E4MZ(四国化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・0.1重量部
・充填剤
ハイジライトH−42M(昭和電工株式会社製、商品名)・・・・15重量部
エロジル#200(日本アエロジル株式会社製、商品名)・・・・・1重量部
・めっき触媒
PEC−8(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・・・・6重量部
次に、第3の回路形状となるように遮蔽部を形成したフォトマスクを介して露光量300mJ/cm2の紫外線を照射して、さらに未露光部分を下記組成の現像液及び下記現像条件で選択的に除去してバイアホールを形成した。
〔現像液〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800ml/l
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・200ml/l
・ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g/l
・モノエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・5g/l
〔現像条件〕
・温度・・・・・・・・・・45℃
・スプレー圧・・・・・・・・0.7kg/cm2
・時間・・・・・・・・・・・5分
そして、150℃−30分の条件で、感光性絶縁樹脂層の熱硬化を行い、無電解めっき用永久レジストのSR−3000(日立化成工業株式会社製、商品名)を第2の感光性絶縁樹脂層上にラミネートし、無電解めっき銅析出部分が第3の回路となるように露光・現像して、めっきレジスト層を形成する。
次に、露出した絶縁樹脂層表面を化学粗化する為に、粗化液としてKMnO4 :60g/l、NaOH:40g/lの水溶液を作製し、50℃に加温して5分間浸浸処理する。KMnO4浸漬処理後は、SnCL2:30g/l、HCL:300mlの水溶液に室温で5分間浸浸処理して中和し、粗化凹凸形状を形成した。
さらに、無電解銅めっき液であるL−59(日立化成工業株式会社製、商品名)に70℃−120時間浸浸し、第2の回路と接続したバイアホールを含む第3の回路をフルアディティブ法により形成し、多層配線板を作製した。
【0052】
比較例1
実施例1で示した感光性絶縁樹脂組成において、数平均分子量(Mn)が214のエピコート1004(Mn:1750、油化シェル株式会社製、商品名)に変更した。その他は、実施例1と同様の方法で行った。
【0053】
比較例2
実施例4で示した感光性絶縁樹脂組成において、エポキシ樹脂中のエポキシ基をアクリル酸で50%置換したビスフェノールA型アクリレート化エポキシ樹脂EA−1010(新中村工業株式会社製、商品名)に変えて、エポキシ基を有していないアクリレート化エポキシ樹脂に変更した。その他は、実施例4と同様の方法で行った。
【0054】
比較例3
実施例2で示した組成において、メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴムとアルキルフェノール樹脂の合計量が3重量%となる様に下記組成とした。その他は、実施例2と同様の方法で行った。
・数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
エピコート834(Mn: 328、油化シェル株式会社製、商品名)29重量部・エポキシ樹脂中のエポキシ基をアクリル酸で50%置換したフェノールノボラック型アクリレート化エポキシ樹脂
EA−6310(新中村工業株式会社製、商品名)・・・・・・・68重量部
・メタアクリル酸を4mol%付加したアクリロニトリルブタジエンゴム
PNR−1H(日本合成ゴム株式会社製、商品名)・・・・・・2.5重量部
・アルキルフェノール樹脂
ヒタノール2400(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・0.5重量部
・光開始剤
イルガキュア651(チバガイギー社製、商品名)・・・・・・・・5重量部
・熱硬化剤
HP−850N(日立化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・30重量部
2E4MZ(四国化成工業株式会社製、商品名)・・・・・・・0.1重量部
・充填剤
ハイジライトH−42M(昭和電工株式会社製、商品名)・・・・15重量部
エロジル#200(日本アエロジル株式会社製、商品名)・・・・・1重量部
【0055】
【表1】
【0056】
本発明による多層配線板は、表1に示すようにバイアホール形成性、回路導体との接着強度、耐電食性、耐熱性等に優れている。また、現像液が塩素系溶剤や100%溶剤でないため、作業環境の点で優れており、また設備を新たに防爆化する必要もない。
さらに、本発明は、バイアホール形成の際の現像液に水と有機溶剤を混合した液を用いており、また、絶縁層表面の粗化凹凸形状形成としてアルカリ過マンガン酸を用いるものとしている。この為、機械的にメカニカルドリルで形成した電源接続用スルーホールについて、通常行われているスミア処理が、前記現像液とアルカリ過マンガン酸で兼ねられるため、無駄の無い配線板製造工程が可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上のことから、従来設備及び従来方法を変更することなく、微細配線及び薄型多層に優れた低コストな多層配線板の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(h)は、それぞれ本発明の実施例を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1.絶縁基板
2.第1の回路
3.第1の感光性絶縁層
4.フォトマスク
5.紫外線
6.バイアホール
61.バイアホール
7.粗化面
71.粗化面
8.第2の回路
9.第2の絶縁層
10.第3の回路
Claims (8)
- 以下の(A)〜(F)の成分からなることを特徴とする感光性樹脂組成物。
(A)数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
(B)エポキシ樹脂中のエポキシ基を光重合性不飽和基で25%〜75%置換した(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂
(C)メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴム
(D)アルキルフェノール樹脂
(E)(B)成分のアクリロイル基を紫外線によって反応させる為の光開始剤
(F)(A)と(B)成分のエポキシ基と加熱によって反応する硬化剤 - (A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分の総合計配合量100において、(C)成分と(D)成分の合計量が5〜40%の範囲であり、かつ、(C)成分と(D)成分の配合比率が95/5〜60/40であることを特徴とする請求項1に記載の感光性絶縁樹脂組成物。
- 第1の回路を形成した絶縁基板の回路表面上に、絶縁層を形成し、絶縁層に第1の回路と接続する為のバイアホールを形成し、加熱により絶縁層を硬化し、銅めっきによって絶縁層表面に第2の回路の形成及びバイアホールの層間接続を行って多層化する配線板の製造法において、絶縁層が、
(A)数平均分子量(Mn)が1500以下のエポキシ樹脂
(B)エポキシ樹脂中のエポキシ基を光重合性不飽和基で25%〜75%置換した(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂
(C)メタアクリル酸付加アクリロニトリルブタジエンゴム
(D)アルキルフェノール樹脂
(E)(B)成分のアクリロイル基を紫外線によって反応させる為の光開始剤
(F)(A)と(B)成分のエポキシ基と加熱によって反応する硬化剤
からなる感光性絶縁樹脂組成物であることを特徴とする多層配線板の製造法。 - (A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分の総合計配合量100において、(C)成分と(D)成分の合計量が5〜40%の範囲であり、かつ、(C)成分と(D)成分の配合比率が95/5〜60/40であることを特徴とする請求項3に記載の多層配線板の製造法。
- バイアホールの形成が、フォトマスクを介して感光性絶縁樹脂に露光し、未露光部を現像液により食刻する方法であり、絶縁層表面に銅めっきをする際に予めアルカリ過マンガン酸により絶縁層表面を粗化することを特徴とする請求項3または4に記載の多層配線板の製造法。
- 絶縁層にバイアホールを形成する際の現像液に、水と蒸気圧133Pa(25℃)以下の有機溶剤を混合した現像液を用いたことを特徴とする請求項3〜5のうちいずれかに記載の多層配線板の製造法。
- 現像液が、水、蒸気圧133Pa(25℃)以下の有機溶剤、及びアルカリ成分からなる混合溶液であることを特徴とする請求項6に記載の多層配線板の製造法。
- アルカリ成分が、ホウ砂及びまたはアルカノールアミンであることを特徴とする請求項7に記載の多層配線板の製造法。
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