JP2003243836A - 多層配線板の製造方法及び絶縁樹脂組成物 - Google Patents

多層配線板の製造方法及び絶縁樹脂組成物

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JP2003243836A
JP2003243836A JP2002036552A JP2002036552A JP2003243836A JP 2003243836 A JP2003243836 A JP 2003243836A JP 2002036552 A JP2002036552 A JP 2002036552A JP 2002036552 A JP2002036552 A JP 2002036552A JP 2003243836 A JP2003243836 A JP 2003243836A
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Shin Takanezawa
伸 高根沢
Yukihisa Ishida
恭久 石田
Takako Watanabe
貴子 渡邉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い回路導体との接着強度やはんだ耐熱性に
優れた絶縁樹脂組成物とそれを用いた多層配線板の製造
方法を提供する。 【解決手段】 第1の回路層を形成した絶縁基板の回路
層側の表面に、第1の回路層と接続するためのバイアホ
ールを有する絶縁層を形成し、次いで絶縁層表面への第
2の回路層の形成及びバイアホールによる層間接続を銅
めっきにより行い、必要に応じこの回路層の形成とバイ
アホールによる層間接続を繰り返して多層化する多層配
線板の製造方法において、絶縁層に(1)不飽和二重結
合を有する樹脂、(2)紫外線照射により不飽和二重結
合を反応させる光開始剤、(3)ビスマレイミド化合
物、(4)液状エポキシ樹脂にエポキシ基と反応する官
能基を有するブタジエンとアクリロニトリルの共重合体
を反応させた室温で液状の化合物及び(5)水酸化アル
ミニウムを必須成分として含む絶縁樹脂組成物の層を硬
化してなる層を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層配線板の製造
方法及びこれに用いられる絶縁樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の多層配線板は、内層回路を形成し
た絶縁基板上に、プリプレグと呼ばれるガラス布にエポ
キシ樹脂を含浸し半硬化状態にした材料を銅箔と重ねて
熱プレスにより積層一体化した後、ドリルで層間接続用
のスルーホールと呼ばれる穴をあけ、スルーホール内壁
と銅箔表面上に無電解めっきを行って、必要ならば更に
電解めっきを行って回路導体として必要な厚さとした
後、不要な銅を除去して多層配線板を製造するが、近年
の電子機器の小型化、軽量化、多機能化の進展に伴い、
LSIやチップ部品等の高集積化が進みその形態も多ピ
ン化、小型化へと急速に変化している。この為、多層配
線板は、電子部品の実装密度を向上するために、微細配
線化の開発が進められている。しかしながら、配線幅の
縮小には技術的に限界があり、現在量産可能な配線幅は
75〜100μmである。この為、単に配線幅を縮小す
るだけでは大幅な配線密度の向上が達成しにくい。ま
た、配線密度向上の隘路となっているのが、直径200
μm前後の面積をしめるスルーホールである。このスル
ーホールは、一般的にメカニカルドリルで形成されるた
めに比較的に寸法が大きく、この為配線設計の自由度が
乏しくなる。これらの問題を解決するものとして、感光
性を付与した絶縁樹脂を回路形成した絶縁基板上に形成
し、フォトプロセスにより絶縁樹脂に微少なバイアホー
ルを形成して層間接続する方法が、特公平4ー5555
5号公報や特開昭63ー126296号公報に開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、配線板の高
密度化により配線幅の縮小化が進み、従来にもまして配
線導体回路と樹脂との接着強度やはんだ耐熱性が重要に
なってきている。特にはんだ耐熱性は、はんだ中に鉛を
含まないはんだが環境的に必要となり、この鉛を含まな
いはんだの処理温度が従来よりも約20〜30℃高いた
めにはんだ耐熱性に優れた材料の開発が望まれている。
本発明は、高い回路導体との接着強度やはんだ耐熱性に
優れた絶縁樹脂組成物とそれを用いた多層配線板の製造
方法を提供することを目的とする。これらの方法は、配
線板の高密度化を達成するための新規な製造方法を提案
するものであるが、感光性を付与した絶縁樹脂組成物と
しても全く新規なものである。
【0004】多層配線板は、高密度化の進行により、ガ
ラスクロスを用いずに薄膜の絶縁層を随時重ねていくビ
ルドアップ配線板が主流になりつつある。また、層間の
接続は微小なバイアホールをめっきにより層間接続し、
この際に同時に回路形成もメッキにより行う手法が取り
入られている。このバイアホールは、ドリルやレーザ及
びフォトリソの何れかで形成するが、一括でバイアホー
ルを形成できるフォトリソ法はビア数が増えてきた場合
に有利なプロセスになる。また、フォトリソ法は樹脂が
現像液に溶解、脱落した部分が層間接続のためのバイア
ホールとなることから樹脂設計の点で現像液への溶解性
を低下させないことが重要である。しかしながら、高い
はんだ耐熱性を得るためには絶縁樹脂の分解温度を上げ
る手法が取られるため熱的な反応を主体としたネットワ
ーク硬化が必要である。しかし、フォトリソ法はその大
部分が光反応性樹脂であるため熱的な反応を主体とした
ネットワーク硬化となりにくい。このため、分解温度を
上げづらく、結果的に高いはんだ耐熱性を有す樹脂は困
難であった。我々はこのような問題を解決するために研
究した結果、不飽和二重結合を有する樹脂、紫外線照射
により不飽和二重結合を反応させる光開始剤、ビスマレ
イミド化合物、液状エポキシ樹脂にエポキシ基と反応す
る官能基を有するブタジエンとアクリロニトリルの共重
合体を反応させた室温で液状の化合物、水酸化アルミニ
ウムを必須成分として含有する絶縁樹脂組成物を硬化し
てなる絶縁層は、めっきで回路形成する配線板の製造プ
ロセスで、高いはんだ耐熱性を得ることができ、さらに
この絶縁性樹脂組成物は回路導体との接着性やバイアホ
ール形成性にも優れていることを見出した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1の回路層
を形成した絶縁基板の回路層側の表面に、第1の回路層
と接続するためのバイアホールを有する絶縁層を形成
し、次いで絶縁層表面への第2の回路層の形成及びバイ
アホールによる層間接続を銅めっきにより行い、必要に
応じこの回路層の形成とバイアホールによる層間接続を
繰り返して多層化する多層配線板の製造方法において、
絶縁層が(1)不飽和二重結合を有する樹脂、(2)紫
外線照射により不飽和二重結合を反応させる光開始剤、
(3)ビスマレイミド化合物、(4)液状エポキシ樹脂
にブタジエンとアクリロニトリルとカルボキシル基の液
状供重合体を重合させた室温で液状の化合物及び(5)
水酸化アルミニウムを必須成分として含む絶縁樹脂組成
物の層を硬化してなる層であることを特徴とする多層配
線板の製造方法に関する。本発明は、また、(1)不飽
和二重結合を有する樹脂を40〜70重量%、(2)紫
外線照射により不飽和二重結合を反応させる光開始剤を
1〜15重量%、(3)ビスマレイミド化合物を5〜2
0重量%、(4)液状エポキシ樹脂にブタジエンとアク
リロニトリルとカルボキシル基の液状供重合体を重合さ
せた室温で液状の化合物を2〜10重量%及び(5)水
酸化アルミニウムを10〜30重量含有する絶縁樹脂組
成物に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いる不飽和二重結合を
有する樹脂は、光と光開始剤によって架橋可能な不飽和
二重結合を有する樹脂であれば特に限定するものではな
い。この不飽和二重結合は、樹脂に、(メタ)アクリル
酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、グリシジル(メ
タ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリ
レート等を反応させることにより得られる。また、樹脂
に、酸無水物を付加することも可能である。酸無水物と
しては、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水
物、イタコン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、
コハク酸無水物、ナフタル酸無水物、シトラコン酸無水
物、メチルフタル酸無水物、ジクロロフタル酸無水物、
クロレンディック酸無水物、ブテニルテトラヒドロフタ
ル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、トリ
カルバリル酸無水物等で変性した化合物が挙げられる。
【0007】これらを反応又は付加させる樹脂としては
特に限定するものではないが、めっき銅との接着性やは
んだ耐熱性及び絶縁性の点からエポキシ樹脂が好まし
い。エポキシ樹脂は分子内にエポキシ基を有するもので
あればどのようなものでも良く、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪
族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ
樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェ
ノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールの
ジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグ
リシジルエーテル化物、フェノール類のジグリシジルエ
ーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化
物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素
添加物等がある。これらは併用しても良く、エポキシ樹
脂以外の成分が不純物として含まれていても良い。この
不飽和二重結合を有する樹脂の配合割合は40〜70重
量%にすることが好ましい。40重量%未満ではフォト
リソ性すなわち解像性が低下する傾向があり、70重量
%を超えるとめっき銅との接着性が低下する傾向があ
る。
【0008】紫外線照射により不飽和二重結合を反応さ
せる光開始剤としては、使用する露光機の光波長にあわ
せたものであれば限定するものではない。例えば、アセ
トフェノン、ベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチル
アミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベ
ンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ
ル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノ
ン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2
−ヒドロキシ−2−メトキシ−1−フェニルプロパン−
1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロパン、アゾビスイソブチロニ
トリル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチル
チオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサント
ン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、
2,4−ジメチルチオキサントン、メチルベンゾイルフ
ォーメート、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチル
パーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1,2−ジ−
9−アクリジニルエタン、1,3−ジ−9−アクリジニ
ルプロパン、1,4−ジ−9−アクリジニルブタン、
1,7−ジ−9−アクリジニルヘプタン、1,8−ジ−
9−アクリジニルオクタン等が挙げられる。光開始剤の
配合割合は1〜15重量%にすることが好ましく、1重
量%未満ではバイアホールの解像性が低下する傾向があ
り、15重量%を超えると樹脂の未硬化状態での経時安
定性が低下する傾向がある。
【0009】ビスマレイミド化合物は、m−ジ−N−マ
レイミジルベンゼン、ビス(4−N−マレイミジルフェ
ニル)メタン、2,2−ビス(4−N−マレイミジルフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−N−マレイミジ
ル−2,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス[(4−N−マレイミジルフェノキシ)フェニル]プ
ロパン、2,2−ビス(4−N−マレイミジル−2−メ
チル−5−エチルフェニル)プロパン等の各種ビスマレ
イミド化合物がそのままもしくは混合物として用いるこ
とができる。ビスマレイミド化合物の配合割合は5〜2
0重量%にすることが好ましく、5重量%未満では絶縁
性が低下する傾向があり、20重量%を超えるとめっき
銅との接着強度が低下する傾向がある。
【0010】液状エポキシ樹脂にエポキシ基と反応する
官能基を有するブタジエンとアクリロニトリルの共重合
体を反応させた室温で液状の化合物について説明する。
液状エポキシ樹脂は、エポキシ当量が好ましくは150
〜300の市販のエポキシ樹脂を用いることができる。
例えば、YD−115(東都化成社製、商品名)やエピ
コート828(油化シェル社製、商品名)、DER−3
31(ダウケミカル社製、商品名)がある。エポキシ基
と反応する官能基を有するブタジエンとアクリロニトリ
ルの共重合体は、液状で重量平均分子量が好ましくは、
2,000〜4,500のブタジエン主鎖アクリロニト
リル共重合体が用いられる。このものは、ブタジエンを
主鎖とし、アクリロニトリル単位を分子中に10〜30
重量%含み、さらにエポキシ樹脂中のエポキシ基と熱的
に反応する官能基としてカルボキシル基やアミン基を官
能基数として平均1.5〜2.5ヶ有するものである。
これらは、市販的に入手可能であり、例えばハイカーC
TBN1300×8、ハイカーCTBN1300×1
3、ハイカーATBN1300×16(何れも宇部興産
社製、商品名)がある。
【0011】以上の液状エポキシ樹脂とエポキシ基と反
応する官能基を有するブタジエンとアクリロニトリルの
共重合体を熱的に反応させることにより、液状エポキシ
樹脂にエポキシ基と反応する官能基を有するブタジエン
とアクリロニトリルの共重合体を反応させた室温で液状
の化合物が得られる。これらは、好ましくは60℃以上
の温度で攪拌することにより作製することができるが、
市販品としても入手可能であり、例えばDT−8208
(大都産業製、商品名)TSR−601(大日本インキ
社製、商品名)がある。液状エポキシ樹脂にエポキシ基
と反応する官能基を有するブタジエンとアクリロニトリ
ルの共重合体を反応させた室温で液状の化合物の配合割
合は2〜10重量%が好ましく、2重量%未満でははん
だ耐熱性に効果が小さく、10重量%を超えるとバイア
ホール解像性が低下する傾向にある。
【0012】水酸化アルミニウムは平均粒径が5μm以
下に微粉砕したものが絶縁性の点から好ましく、住友化
学社製商品名C−3005、C−301、CL−303
や昭和電工社製の商品名ハイジライトH−42、H−4
2M等である。水酸化アルミニウムの配合割合は10〜
30重量%にすることが好ましく、10重量%未満では
めっき銅との接着強度が充分でなくなる傾向があり、3
0重量%を超えるとバイアホール現像後の樹脂残りが多
くなる傾向がある。
【0013】本発明の絶縁樹脂組成物は溶剤に希釈して
用いることができ、例えば、メチルエチルケトン、キシ
レン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロ
ピオネート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−
ジメチルアセトアミド等を使用できる。これらの溶剤
は、単独あるいは混合系でも良い。この溶剤の前記樹脂
に対する割合は、従来使用している割合でよく、絶縁樹
脂の塗膜形成の設備にあわせてその使用量を調整する。
【0014】次に、図1を参照して、本発明の絶縁樹脂
組成物を用いて多層配線板を製造する工程を説明する。
先ず、絶縁基板2上に第1の回路層1aを形成した回路
板3を用意する[図1−(a)参照]。絶縁基板2は、
通常の配線板において用いられている公知の積層板、例
えば、ガラス布−エポキシ樹脂、紙−フェノール樹脂、
紙−エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス紙−エポキシ樹脂
等の積層板が使用でき特に制限はない。また、第1の回
路層1aを形成するための方法についても特に制限はな
く、銅箔と前記絶縁基板を張り合わせた銅張り積層板を
用い、銅箔の不要な部分をエッチング除去するサブトラ
クティブ法や、前記絶縁基板の必要な個所に無電解めっ
きによって回路を形成するアディティブ法等、公知の配
線板の製造法を用いることができる。また、図1−
(a)には絶縁基板2の片面に第1の回路層1aを形成
した例を示すが、両面銅張積層板を用いて第1の回路層
1aを絶縁基板2の両面に形成することもできる。
【0015】次に、第1の回路層1aの表面を接着性に
適した状態に表面処理する。この手法も、特に制限はな
く、例えば、次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ水溶液に
より第1の回路層1aの表面に酸化銅の針状結晶を形成
し、形成した酸化銅の針状結晶をジメチルアミンボラン
水溶液に浸漬して還元するなど公知の製造方法を用いる
ことができる。次に、第1の回路層1aの表面に、絶縁
樹脂組成物層4bを通常20〜150μmの範囲の膜厚
に形成する[図1−(b)参照]。次に、第1の回路層
1aと接続するバイアホール7dを形成すべき箇所をマ
スクするように形成されたフォトマスク5cを通して絶
縁樹脂組成物層4bに光線6cを照射する露光(光源と
しては通常紫外線が用いられ、通常の配線板のレジスト
形成方法と同じ手法が用いられる)を行う[図1−
(c)参照]。
【0016】次に、絶縁樹脂組成物層4bの未露光部分
を現像液により食刻する方法によって現像してバイアホ
ール7dを形成する[図1−(d)参照]。現像液によ
り食刻する方法は、公知の方法によることができ特に制
限はない。例えば、現像液をスプレーするか又は現像液
に浸漬するなどが挙げられる。用いる現像液としては、
絶縁樹脂組成物をどのような現像タイプにすることで決
定されるが、アルカリ現像液、準水系現像液、溶剤現像
液など一般的なものを用いることができる。現像後、必
要に応じて後露光を行う。そして後加熱を行う。この後
加熱は本発明の効果を発揮するために重要であり、温度
は130℃〜200℃の範囲で30分〜120分の時間
で行う。なお、基板が熱劣化により後工程に支障をきた
さない条件で絶縁材料組成物層4bが最も効率よく硬化
する範囲が良く、望ましい後加熱範囲は130〜180
℃の温度で45分〜90分である。この後加熱により、
後硬化を行い、絶縁層8dが形成される。
【0017】次に、第2の回路層1eの形成とバイアホ
ール7dによる第1の回路層1aと第2の回路層1eと
の層間接続を行う[図1−(e)参照]。第2の回路層
1eの形成は化学的粗化と無電解めっき、無電解めっき
と電解めっき又はこれらを組み合わせて行われる。第2
の回路層1eを形成するための手法としては、絶縁層8
dの粗化した表面に無電解めっき用の触媒を付与して全
面に無電解めっき銅を析出させ、必要な場合には電気め
っきによって回路導体を必要な厚さにして、不要な箇所
をエッチング除去して形成する方法や、めっき触媒を含
有した絶縁層8dを形成し、めっきレジストを形成して
必要な箇所のみ無電解めっきにより回路形成する方法、
及びめっき触媒を含有しない絶縁層8dを粗化し、めっ
き触媒を付与した後めっきレジストを形成して必要な箇
所のみ無電解めっきにより回路形成する方法等を用いる
ことができる。バイアホール7dによる層間接続は回路
形成と同様に穴内にめっきよる導体層を形成して行われ
る。
【0018】絶縁層8dの表面及びバイアホール7d内
を粗化処理する酸化性粗化液としては、クロム/硫酸粗
化液、アルカリ過マンガン酸粗化液、フッ化ナトリウム
/クロム/硫酸粗化液、ホウフッ酸粗化液などを用いる
ことができる。次に、塩化第1錫の塩酸水溶液に浸漬し
て、中和処理を行い、さらに、パラジウムを付着させる
めっき触媒付与処理を行う。めっき触媒処理は、塩化パ
ラジウム系のめっき触媒液に浸漬することにより行われ
る。次に、無電解めっき液に浸漬することにより、この
上に厚さが0.3〜1.5μmの無電解めっき層を析出
させることができる。必要により、更に電気めっきを行
う。無電解めっきに使用する無電解めっき液は、公知の
無電解めっき液を使用することができ、特に制限はな
い。また、電気めっきについても公知の方法によること
ができ特に制限はない。
【0019】以下、第1の回路層1aの表面処理と同様
にして第2の回路層1eの表面処理を行い、以下絶縁樹
脂組成物層4bの形成と同様にして絶縁樹脂組成物層4
fを形成し[図1−(f)参照]、フォトマスク5gを
通して絶縁樹脂組成物層4fに光線6gを照射する露光
を行い[図1−(g)参照]、絶縁樹脂組成物層4fの
未露光部分を現像液により食刻する方法によって現像し
てバイアホール7hを形成し、絶縁樹脂組成物層4fを
硬化させて絶縁層8hとし[図1−(h)参照]、第3
の回路層1iを形成[図1−(i)参照]する。以下、
更に同様の工程を繰り返して層数の多い多層配線板を製
造できる。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 (1)ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔
の厚さ18μm、両面粗化箔を両面に有する日立化成工
業株式会社製MCL−E−67(商品名)]にエッチン
グを施して片面に第1の回路層を有する回路板を作製し
た。 (2)下記組成の絶縁樹脂組成物を回路板上にロールコ
ータにより塗工し、80℃−40分乾燥して膜厚50±
3μmの絶縁樹脂組成物層付回路板を作製した。 ・アクリレート変性エポキシ樹脂、YDV−1011
(東都化成株式会社製、商品名)27重量% ・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、EP−1001
(油化シェル株式会社製、商品名)800gをシクロヘ
キサノン(試薬特級)200gで室温で溶解し、次に、
テトラヒドロ無水フタル酸(試薬特級)270gを加え
て窒素を200ml/分バブリングしながら135℃で
8時間反応させて作製したテトラヒドロ無水フタル酸変
性エポキシ樹脂27重量% ・2,2−ビス[(4−N−マレイミジルフェノキシ)
フェニル]プロパン、BBMI(日立化成工業株式会社
製、商品名)11.3重量% ・液状エポキシ樹脂にエポキシ基と反応する官能基を有
するブタジエンとアクリロニトリルの共重合体を反応さ
せた室温で液状の化合物、DT−8208(大都産業社
製、商品名)8.2重量% ・光開始剤、イルガキュア651(チバガイギー株式会
社製商品名、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセト
フェノン)6重量% ・充填材水酸化アルミニウム、ハイジライトH−42M
平均粒径1μm(昭和電工社製、商品名)20.5重量
% ・溶剤、シクロヘキサノン(試薬1級)樹脂固形分が5
0重量%となるように調整 (3)バイアホールとなる部分に遮蔽部を形成したフォ
トマスクを介して、露光量300mJ/cmの紫外線
を照射して、さらに未露光部分を、2,2−ブトキシエ
トキシエタノールを10vol%、4ホウ酸ナトリウム
8g/Lを含んだ現像液で30℃−1分間スプレー処理
をしてバイアホールを形成した。 (4)メタルハライドランプ型コンベア式露光機(ラン
プ出力:80W/cm、ランプ高さ:80cm、コー
ルドミラーなし、コンベア速度:1.5m/分)を用い
て、紫外線1000mJ/cmを絶縁層に照射して後
露光を行う。 (5)150℃−1時間後加熱を行うことにより、バイ
アホールを有した絶縁層を形成した。 (6)絶縁層を化学粗化するために、粗化液として、K
MnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液
を作製し、70℃に加温して5分間浸漬処理する。引き
続き、中和液(SnCl:30g/L、HCl:30
0ml/L)の水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和
した。 (7)第1の絶縁層表面に第2の回路層を形成するため
に、まず、PdClを含む無電解めっき用触媒である
HS−202B(日立化成工業株式会社製、商品名)
に、室温−10分間浸漬処理し、水洗し、無電解銅めっ
きであるL−59めっき液(日立化成工業株式会社製、
商品名)に70℃−30分間浸漬し、さらに硫酸銅電解
めっきを行って、絶縁層表面上に厚さ20μmの導体層
を形成する。次に、めっき導体の不要な箇所をエッチン
グ除去するためにエッチングレジストを形成し、エッチ
ングし、その後エッチングレジストを除去して、第1の
回路層と接続したバイアホールを含む第2の回路層の形
成を行う。 (8)さらに、多層化するために、第2の回路層の表面
を、亜塩素酸ナトリウム:50g/l,NaOH:20
g/l、リン酸三ナトリウム:10g/lの水溶液に8
5℃ー20分間浸漬し、水洗して、80℃−20分間乾
燥して第2の回路層表面上に酸化銅の凹凸を形成する。 (9)(2)〜(7)の工程を繰り返して3層の多層配
線板を作製した。
【0021】実施例2 実施例1における組成物を下記のように変更した。その
他は、実施例1と同様に行った。 ・アクリレート変性エポキシ樹脂、YDV−1011
(東都化成株式会社製、商品名)32.4重量% テトラヒドロ無水フタル酸/アクリル酸変性ノボラック
型エポキシ、PCR−1050(日本化薬株式会社製、
商品名)21.6重量% ・2,2−ビス[(4−N−マレイミジルフェノキシ)
フェニル]プロパン、BBMI(日立化成工業株式会社
製、商品名)11.3重量% ・液状エポキシ樹脂にエポキシ基と反応する官能基を有
するブタジエンとアクリロニトリルの共重合体を反応さ
せた室温で液状の化合物DT−8208(大都産業社
製、商品名4.2重量% ・光開始剤、イルガキュア651(チバガイギー株式会
社製、商品名)6重量% ・充填材水酸化アルミニウム、CLC−303、平均粒
径3μm(住友化学社製、商品名)24.5重量% ・溶剤、シクロヘキサノン(試薬1級)樹脂固形分が5
0%となるように調整
【0022】実施例3 実施例1における組成物を下記のように変更した。その
他は、実施例1と同様に行った。 ・アクリレート変性エポキシ樹脂、YDV−1011
(東都化成株式会社製、商品名)27重量% ・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、EP−1001
(油化シェル株式会社製、商品名)800gをシクロヘ
キサノン(試薬特級)200gで室温で溶解し、次に、
テトラヒドロ無水フタル酸(試薬特級)270gを加え
て窒素を200ml/分バブリングしながら135℃で
8時間反応させて作製したテトラヒドロ無水フタル酸変
性エポキシ樹脂27重量% ・2,2−ビス[(4−N−マレイミジルフェノキシ)
フェニル]プロパン、BBMI(日立化成工業株式会社
製、商品名)7.1重量% ・液状エポキシ樹脂にエポキシ基と反応する官能基を有
するブタジエンとアクリロニトリルの共重合体を反応さ
せた室温で液状の化合物TSR−601(大日本インキ
社製、商品名)10.3重量% ・光開始剤、イルガキュア651(チバガイギー株式会
社製、商品名)6重量% ・充填材水酸化アルミニウム、ハイジライトH−42M
平均粒径1μm(昭和電工社製、商品名)22.6重量
% ・溶剤、シクロヘキサノン(試薬1級)樹脂固形分が5
0重量%となるように調整
【0023】比較例1 実施例1において、液状エポキシ樹脂にエポキシ基と反
応する官能基を有するブタジエンとアクリロニトリルの
共重合体を反応させた室温で液状の化合物、DT−82
08(大都産業社製、商品名)を削除し、その他は、実
施例1と同様に行った。
【0024】比較例2 実施例1において、充填材水酸化アルミニウム、ハイジ
ライトH−42M(昭和電工社製、商品名)を削除し、
その他は、実施例1と同様な方法で行った。
【0025】以上の様にして作製した多層配線板につい
て、絶縁信頼性、バイアホール解像性、ピール強度(絶
縁層とめっき銅との接着強度)、はんだ耐熱性を以下に
示した方法で調べた。その結果を表1に示す。
【0026】[絶縁信頼性]実施例1の(7)工程にお
ける絶縁層表面上への厚さ20μmの導体層の形成まで
経た試料について、バイアホールによる回路層間の接続
が含まれないように切断した試験片を作製し、L1−L
2間(第3の回路層と第2の回路層間)の絶縁抵抗を測
定した。表1には、85℃、85%RHの恒温恒湿槽中
にて直流電圧50Vを印加して試験したときの、108
Ω以上を示す時間を表した。 [バイアホール解像性]実施例1の(3)に相当する工
程において、フォトマスクに、直径50〜150μmで
10μm間隔の円形黒丸の遮蔽部を設け、バイアホール
を形成した。なお、バイアホールを形成できた最小の直
径の評価は、実施例1の(6)に相当する工程を実施し
た後金属顕微鏡により評価した。 [ピール強度]L1回路層(第3の回路層)の一部に幅
10mm、長さ100mmの部分を形成し、この一端を
剥がしてつかみ具でつかみ、垂直方向に約50mm引き
剥がした時の荷重を測定した。表1には、常態及び12
1℃、100%RHのプレッシャークッカーテスター中
にて48時間保持後(表1中においてPCT−48と表
記)について測定した結果を示す。 [はんだ耐熱性]実施例1の(7)工程において絶縁層
表面上への厚さ20μmの導体層の形成まで経た試料に
ついて、バイアホールによる回路層間の接続が含まれな
いように切断した試験片を作製した。これを、25mm
角に切断し、260℃±2℃及び288℃±2℃に調整
したはんだ浴に浮かべ、ふくれが発生するまでの時間を
調べた。
【0027】
【表1】 表1から、本発明の絶縁樹脂組成物を用いて作製した多
層配線板は、高いはんだ耐熱性を維持しながら絶縁信頼
性やバイアホール解像性及びピール強度(めっき銅との
接着強度)に優れることがわかる。
【0028】
【発明の効果】本発明の絶縁樹脂組成物を用いて作製し
た多層配線板は、高いはんだ耐熱性と難燃性を維持しな
がら優れた特性を発揮することができ、さらにフォトプ
ロセスに必要な特性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(i)は多層配線板を製造する工程を
説明する断面図である。
【符号の説明】
1a 第1の回路層 1e 第2の回路層 1i 第3の回路層 2 絶縁基板 3 回路板 4b 絶縁樹脂組成物層 4f 絶縁樹脂組成物層 5c フォトマスク 5g フォトマスク 6c 光線 6g 光線 7d バイアホール 7h バイアホール 8d 絶縁層 8h 絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡邉 貴子 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 5E346 AA12 CC04 CC09 CC32 DD23 DD25 FF07 HH18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の回路層を形成した絶縁基板の回路
    層側の表面に、第1の回路層と接続するためのバイアホ
    ールを有する絶縁層を形成し、次いで絶縁層表面への第
    2の回路層の形成及びバイアホールによる層間接続を銅
    めっきにより行い、必要に応じこの回路層の形成とバイ
    アホールによる層間接続を繰り返して多層化する多層配
    線板の製造方法において、絶縁層が(1)不飽和二重結
    合を有する樹脂、(2)紫外線照射により不飽和二重結
    合を反応させる光開始剤、(3)ビスマレイミド化合
    物、(4)液状エポキシ樹脂にエポキシ基と反応する官
    能基を有するブタジエンとアクリロニトリルの共重合体
    を反応させた室温で液状の化合物及び(5)水酸化アル
    ミニウムを必須成分として含む絶縁樹脂組成物の層を硬
    化してなる層であることを特徴とする多層配線板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 絶縁樹脂組成物が(1)不飽和二重結合
    を有する樹脂を40〜70重量%、(2)紫外線照射に
    より不飽和二重結合を反応させる光開始剤を1〜15重
    量%、(3)ビスマレイミド化合物を5〜20重量%、
    (4)液状エポキシ樹脂にブタジエンとアクリロニトリ
    ルとカルボキシル基の液状供重合体を重合させた室温で
    液状の化合物を2〜10重量%及び(5)水酸化アルミ
    ニウムを10〜30重量含有する組成物である請求項1
    に記載の多層配線板の製造方法。
  3. 【請求項3】 絶縁層が絶縁樹脂組成物を紫外線照射し
    てなる層である請求項1又は2に記載の多層配線板の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 銅めっきによる第2の回路層の形成が化
    学的粗化と無電解めっき、無電解めっきと電解めっき又
    はこれらを組み合わせて行われる請求項1、2又は3に
    記載の多層配線板の製造方法。
  5. 【請求項5】 (1)不飽和二重結合を有する樹脂を4
    0〜70重量%、(2)紫外線照射により不飽和二重結
    合を反応させる光開始剤を1〜15重量%、(3)ビス
    マレイミド化合物を5〜20重量%、(4)液状エポキ
    シ樹脂にエポキシ基と反応する官能基を有するブタジエ
    ンとアクリロニトリルの共重合体を反応させた室温で液
    状の化合物を2〜10重量%及び(5)水酸化アルミニ
    ウムを10〜30重量含有する絶縁樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20190054058A (ko) 2016-09-14 2019-05-21 타츠타 전선 주식회사 난연성 수지 조성물 및 수지 부착 동박

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