JP2003268074A - 塗工用硬化性樹脂組成物、多層プリント配線板、プリント配線板及びドライフィルム - Google Patents

塗工用硬化性樹脂組成物、多層プリント配線板、プリント配線板及びドライフィルム

Info

Publication number
JP2003268074A
JP2003268074A JP2002077451A JP2002077451A JP2003268074A JP 2003268074 A JP2003268074 A JP 2003268074A JP 2002077451 A JP2002077451 A JP 2002077451A JP 2002077451 A JP2002077451 A JP 2002077451A JP 2003268074 A JP2003268074 A JP 2003268074A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
printed wiring
wiring board
coating
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP2002077451A
Other languages
English (en)
Inventor
Takao Ono
隆生 大野
Tatsuya Kiyota
達也 清田
Kentaro Azuma
建太郎 我妻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tamura Kaken Corp
Original Assignee
Tamura Kaken Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tamura Kaken Corp filed Critical Tamura Kaken Corp
Priority to JP2002077451A priority Critical patent/JP2003268074A/ja
Publication of JP2003268074A publication Critical patent/JP2003268074A/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)
  • Non-Metallic Protective Coatings For Printed Circuits (AREA)
  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】粗面化処理により粗面化しても銅めっき膜の密
着性が優れる層間絶縁膜を形成できる塗工用硬化性樹脂
組成物、その硬化塗膜を有する多層プリント配線板、プ
リント配線板及びその半硬化状態の塗膜を有するドライ
フィルムを提供すること。 【解決手段】エポキシ樹脂、その硬化剤及び1,1'−(4
−メチル−m−フェニレン)ビス(3,3'−ジメチルウレ
ア)等の芳香族尿素化合物を含有する塗工用熱硬化性樹
脂組成物。この組成物にさらに感光性樹脂、光重合開始
剤、希釈剤を含有させた塗工用感光性・熱硬化性樹脂組
成物。これらの硬化塗膜を用いた多層プリント配線板、
プリント配線板及びその半硬化塗膜からなるドライフィ
ルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば多層プリント配
線板用層間絶縁材料として有用な硬化性樹脂組成物、こ
れを層間絶縁膜に用いた多層プリント配線板、その硬化
性樹脂組成物をソルダーレジスト膜に用いたプリント配
線板、及びこれらの膜を形成可能なドライフィルムに関
する。
【0002】
【従来の技術】プリント配線板は、基板の上に導体回路
のパターンを形成し、そのパターンのはんだ付けランド
に電子部品をはんだ付けすることにより搭載するための
ものであり、そのはんだ付けランドを除く回路部分は永
久保護皮膜としてのソルダーレジスト膜で被覆される。
これにより、プリント配線板に電子部品をはんだ付けす
る際にはんだが不必要な部分に付着するのを防止すると
共に、回路の導体が空気に直接曝されて酸化や湿度によ
り腐食されるのを防止する。近年、表面実装技術の向上
によりプリント配線板の高密度化、すなわち1枚のプリ
ント基板に搭載する電子部品の数を増やす要求も高ま
り、多層プリント配線板が注目されている。多層プリン
ト配線板は、所望の第1の配線の導体パターンを形成し
たプリント基板に層間絶縁材料からなる層間絶縁膜を形
成し、それから無電解銅めっきを施してその上にさらに
電解銅めっきを施し、そしてその銅めっき膜にネガフィ
ルムを当てがって露光、現像により所望の第2の配線の
導体パターンを形成し、以下同様にして層間絶縁膜を介
して導体パターンを形成することを繰り返して、層間絶
縁膜を介して多層に積み重ねた導体パターンを形成し、
最外層にはドリルやレーザーにより上記各層の電子回路
パターンと接続するに必要な配線を行なうための貫通孔
(スルーホール)を形成してから無電解銅めっきを施し
てその上にさらに電解銅めっきを施し、そしてその最外
層の導体パターンには必要な個所にソルダーレジスト膜
を設ける処理をした後に通常のように電子部品をリフロ
ーはんだ付をする。これが従来の古くからのものである
が、このスルーホールを形成するタイプのものでは、各
層の層間絶縁膜のスルーホールが形成される該当個所に
は導体パターンの導体を形成できないので配線域を狭め
ることになり、その影響を少なくしようとしてスルーホ
ールの径を小さくすることにも限界があるため、スルー
ホールを形成しないで済む表面や内部に部分的にバイア
(直近の下層に通じる貫通孔の周壁に導体部を形成した
接続路)を持つ多層プリント配線板へと発展してきてお
り、さらにプリント基板や層間絶縁膜の1層当たりの厚
さを薄くする工夫がなされている。
【0003】そのパイアを持つ多層プリント配線板の製
造法としては、所望の第1の配線の導体パターンを形成
したプリント配線板に上記と同様の層間絶縁膜を形成
し、この層間絶縁膜にレーザーやドリルによりバイアの
ためのビアホール(直近の下層に通じる貫通孔)を形成
し、ついでその表面を過マンガン酸塩溶液や重クロム酸
塩溶液等の酸化剤溶液(以下、「過マンガン酸塩溶液
等」という)により処理して粗面化し、それから無電解
銅めっきを施してその上にさらに電解銅めっきを施し、
そしてドライフィルム(半硬化状態の粘着性のある感光
性樹脂膜)をその粘着力でその銅めっき膜に張りつけ、
その上に配線の導体パターンのネガフィルムを当てがっ
て露光、現像し、さらに露出した銅めっき膜をエッチン
グにより除去した後露光により硬化したドライフィルム
の膜を希アルカリ液で除去し、これにより第2の導体パ
ターンを形成し、以下同様にして層間絶縁膜を介して導
体パターンを形成することを繰り返して、層間絶縁膜を
介して多層に積み重ねた導体パターンを接続した電子回
路を形成してゆく、いわゆるビルドアップ法が提案され
ている。最外層の導体パターンには必要な個所にソルダ
ーレジスト膜を設ける処理をした後に通常のように電子
部品をリフローはんだ付をする。このビルドアップ法
は、ビアホールは直近の下層に通じる貫通孔でよいの
で、小径のバイアを自由に形成することができ、比較的
配線域を狭めることが少ないので、電子部品を高密度で
実装することができる点で優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
多層プリント配線板の製造法のように、層間絶縁膜に上
記したようにビアホールを形成し、過マンガン酸塩溶液
等による粗面化処理を行ない、無電解銅めっき膜と電解
銅めっき膜を積層した銅めっき膜を形成した場合、従来
のように、層間絶縁材料としてエポキシ樹脂を単純にイ
ミダゾールなどの硬化剤で硬化させる熱硬化性エポキシ
樹脂を使用すると、その硬化塗膜では銅めっき膜との密
着性を良くする粗面化状態にすることが難しい。銅めっ
き膜との密着性を向上させるためには、粗面化処理後の
表面に蛸壺状の穴を無数に形成させ、凹凸を有するいわ
ゆる海島構造になぞらえるような構造にし、銅めっき膜
のその粗面側に形成される部分が例えば釘の頭の裏側に
引っ掛かるようにし、銅めっき膜の物理的密着性であ
る、いわゆるアンカー効果をもたせることが好ましい
が、上記の釘の頭に当たる凸部、すなわち島に相当する
部分は、いわば母体から立ち上がる根元の部分が弱けれ
ば、銅めっき膜に剥離する力が掛かったときには、その
根元から根こそぎ引きちぎられることになり、その結
果、最外層にリフローはんだ付した実装部品ははんだ付
ランドが密着している根元の部分から脱落したり、その
はんだ付ランドの断線を招くこととなるので、上記の島
の根元の部分は強靱で容易に破壊しないようなものでな
ければならないが、上記の熱硬化性エポキシ樹脂の硬化
層ではその島の根元の部分を強靱にすることは困難であ
る。
【0005】本発明の第1の目的は、金属めっき膜の密
着性が優れ剥離し難い硬化膜を形成することができる塗
工用硬化性樹脂組成物、これを用いて得られる多層プリ
ント配線板、プリント配線板及びドライフィルムを提供
することにある。本発明の第2の目的は、スルーホール
を持たなくても表面や内部に部分的にバイアを持つだけ
でよいような膜を形成できる塗工用硬化性樹脂組成物、
これを用いて得られる多層プリント配線板、プリント配
線板及びドライフィルムを提供することにある。本発明
の第3の目的は、上記目的を達成するとともに、露光、
現像性その他の性能も損なわないような膜を形成するこ
とができる塗工用硬化性樹脂組成物、これを用いて得ら
れる多層プリント配線板、プリント配線板及びドライフ
ィルムを提供することにある。本発明の第4の目的は、
接着剤、印刷版材料として使用できる塗工用硬化性樹脂
組成物及びこれを用いて得られるドライフィルムを提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、熱硬化性エポキシ
樹脂を硬化剤を用いて熱硬化させる際に、上記一般式
(化1〕で表される特定の化合物を併用すると、上記目
的を達成できることを見い出し、本発明をするに至っ
た。すなわち、本発明は、(1)、(A1)熱硬化性エ
ポキシ樹脂、(B1)熱硬化性エポキシ樹脂の硬化剤、
(B2)下記一般式〔化1〕で表される芳香族尿素化合
物を含有する塗工用硬化性樹脂組成物を提供するもので
ある。
【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は炭素数1〜5のア
ルキル基を表わし、同一でも異なってもよく、X1 及び
2 は水素原子、メチル基、塩素原子又は臭素原子を表
わし、同一でも異なってもよい。)また、本発明は、
(2)、(A1)熱硬化性エポキシ樹脂、(A2)1分
子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する
活性エネルギー線硬化性樹脂、(B1)熱硬化性エポキ
シ樹脂の硬化剤、(B2)下記一般式〔化1〕で表され
る芳香族尿素化合物、(C)光重合開始剤及び(D)希
釈剤を含有する塗工用硬化性樹脂組成物、
【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は炭素数1〜5のア
ルキル基を表わし、同一でも異なってもよく、X1 及び
2 は水素原子、メチル基、塩素原子又は臭素原子を表
わし、同一でも異なってもよい。) (3)、(A1)成分100gに対し、(B2)成分を
0.01〜10gの割合で用いる上記(1)又は(2)
の塗工用硬化性樹脂組成物、(4)、(B1)成分がジ
シアンジアミド系化合物である上記(1)ないし(3)
のいずれかの塗工用硬化性樹脂組成物、(5)、上記
(1)ないし(4)のいずれかの塗工用硬化性樹脂組成
物を用いて形成した硬化膜の層間絶縁膜を有する多層プ
リント配線板、(6)、上記(1)ないし(4)のいず
れかに記載の塗工用硬化性樹脂組成物を用いて形成した
硬化膜のソルダーレジスト膜を有するプリント配線板、
(7)、上記(1)ないし(4)のいずれかの塗工用硬
化性樹脂組成物を基材フィルムに塗布して半硬化状態に
した塗布膜からなるドライフィルムを提供するものであ
る。なお、上記(7)の発明は、「該ドライフィルムは
剥離されて上記(5)に記載の硬化膜の層間絶縁膜又は
上記(5)に記載の硬化膜のソルダーレジスト膜として
硬化して使用されるドライフィルム。」の限定を設けて
もよい。
【0007】本発明において、「(A1)熱硬化性エポ
キシ樹脂」としては、1分子中に少なくとも1個のエポ
キシ基、好ましくは2個以上のエポキシ基を有するエポ
キシ樹脂(エポキシオリゴマーを含む)が好適である。
例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹
脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラッ
ク型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポ
キシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型
エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフ
ェニル型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、
イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族環状エポキシ
樹脂などが挙げられる。また、硬化物の難燃化を目的と
して上記のエポキシ樹脂の臭素化タイプ、例えば臭素化
ビスフェノールA型エポキシ樹脂も使用できる。これら
の熱硬化性エポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、複数
併用してもよい。これらの中で、特にビスフェノールA
型エポキシ樹脂(例えば「エピクロン1050」(大日
本インキ化学工業社製))、ビフェニル型エポキシ樹脂
(例えば「YX−4000」(油化シェルエポキシ社製
の2,6−キシレノールダイマージグリシジルエーテル
の商品名)や、脂環式エポキシ樹脂(例えば「EHPE
−3150」(ダイセル化学社製の2,2−ビス(ヒド
ロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−
4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物の商品
名)などは、上記(B1)、(B2)成分と共に用いる
と特に、その硬化塗膜を過マンガン酸塩溶液等で表面粗
面化処理した後の海島構造が緻密に形成され、より高い
金属めっき膜の密着性が得られる点で好ましい。
【0008】本発明において、「(B1)熱硬化性エポ
キシ樹脂の硬化剤」は、上記(A1)成分の熱硬化性エ
ポキシ樹脂を硬化させる成分であり、従来その硬化剤と
して使用されているものは使用でき、例えばビスフェノ
ールA、ビスフェノールF、ポリビニルフェノール、フ
ェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック
樹脂、トリアジン構造を分子内に有するフェノールノボ
ラック樹脂、ジシアンジアミド系化合物、イミダゾール
系化合物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよ
いし、複数を組み合わせ用いてもよい。特に、ジシアン
ジアミド系化合物が好ましいが、ジシアンジアミド系化
合物としては、ジシアンジアミドや、その誘導体、例え
ば置換基に炭素数1〜12の直鎖、分岐のいずれでもよ
いアルキル基や、フェニル基、ベンジル基、フェネチル
基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基
(これらは炭素数1〜3の低級アルキル基、炭素数1〜
3の低級アルコキシル基、水酸基、アミノ基及び炭素数
1〜4の低級アルキル置換アミノ基の少なくとも1種を
有してもよい)等のアリール基、アラルキル基を有する
N−置換ジシアンジアミド誘導体(特開平11−119
429号公報に記載の一般式及び具体的例示のもの))
及びこれらのジシアンジアミドやその誘導体の有機酸
塩、例えば乳酸、フタル酸類、トリメリット酸その他の
多塩基カルボン酸や、りん酸、その2つの水素を炭素数
1〜9の直鎖又は分岐のアルキル基、環状脂肪族炭化水
素基及びアクリロイル基若しくはメタクリロイル基の少
なくとも1種で置換した有機りん酸の塩、さらには硫
酸、その1つの水素を炭素数1〜18のアキル基若しく
は芳香族基で置換した有機硫酸の塩が挙げられる(特願
2000−277430号明細書に記載の一般式及び具
体的例示のもの)。
【0009】この(B1)成分の使用量は、上記(A
1)成分の熱硬化性エポキシ樹脂100gに対して、通
常0.01g以上100g以下の範囲で選択される。こ
の使用量が0.01g未満では、この(A1)成分の熱
硬化性エポキシ樹脂の熱硬化反応が進行し難く、その結
果本発明の上記(A1)〜(B2)又は上記(A1)〜
(D)を含有する塗工用硬化性樹脂組成物の硬化塗膜は
耐熱性、耐溶剤性、絶縁抵抗が向上し難く、また、10
0gを越えると、その硬化塗膜の架橋密度が上がり過
ぎ、過マンガン酸塩溶液等に侵され難くなるので、過マ
ンガン酸塩溶液等による表面粗面化後に上記した海島構
造が形成され難く、金属めっき膜の密着性が低下するお
それがある。この(B1)成分のより好ましい使用量
は、上記(A1)成分の熱硬化性エポキシ樹脂100g
に対して、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ポリ
ビニルフェノール、フェノールノボラック樹脂、ビスフ
ェノールAノボラック樹脂、トリアジン構造を分子内に
有するフェノールノボラック樹脂の場合、2.0〜10
0gの範囲、ジシアンジアミド系硬化剤、イミダゾール
系化合物の場合、1.01〜2.0gの範囲から選択さ
れる。
【0010】本発明において、「(B2)上記一般式
〔化1〕で表される芳香族尿素化合物」は、すでに知ら
れており、例えばオミキュア24(ACI Japan
社製の1,1’−(4−メチル−m−フェニレン)ビス
(3,3’ジメチルウレア))が挙げられる。この(B
2)成分の使用量は、上記(A1)成分の熱硬化性エポ
キシ樹脂100gに対して、通常0.01〜10gの範
囲で選択される。この使用量が0.01g未満では、本
発明の塗工用硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の過マンガン
酸塩溶液等による表面粗面化後の上記した海島構造にお
いて、島に相当する部位は、その根元の部分が脆く、そ
の結果、後工程で形成されるめっき膜がその根元から剥
離し易くなり、得られる多層プリント配線板の最外層の
そのめっき膜で形成されたはんだ付ランドに電子部品を
リフローはんだ付するときには特に、はんだが溶融して
固化する際に収縮力が生じるので、これに影響されては
んだ付ランドが剥がれ易かったり、断線をし易い結果と
なる。また、10gを超えると、硬化塗膜の架橋密度が
上がり過ぎ、過マンガン酸塩溶液等に侵され難くなるの
で、これによる表面粗面化後に上記した海島構造が形成
され難く、金属めっき膜の密着性が低下するおそれがあ
る。この(B2)成分は上記(B1)成分がジシアンジ
アミド系化合物である場合には、強靱な熱硬化性エポキ
シ樹脂の硬化膜を形成することができ、上記した海島構
造の島の根元の部分も強靱になるので、特に金属めっき
膜の密着性を向上することができる点で好ましい。
【0011】本発明においては、上記(A1)成分、上
記(B1)成分、上記(B2)成分、さらには必要に応
じて後述する有機溶剤を少なくとも含有する塗工用熱硬
化性樹脂組成物も好ましいが、上記(A1)成分、上記
(A2)成分、上記(B1)成分、上記(B2)成分の
ほかに、「(C)光重合開始剤」及び「(D)希釈剤」
を少なくとも含有する塗工用感光性・熱硬化性樹脂組成
物も使用することができ、いずれも例えば多層プリント
配線板の層間絶縁材料やプリント配線板製造用ソルダー
レジスト組成物として好適に使用することができる。本
発明において、「(A2)1分子中に少なくとも2個の
エチレン性不飽和結合を有する活性エネルギー線硬化性
樹脂」とは、例えば1分子中にエポキシ基を少なくとも
2個有する多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくと
も一部にアクリル酸又はメタクリル酸等のラジカル重合
性不飽和モノカルボン酸を反応させた後、生成した水酸
基に多塩基酸又はその無水物を反応させたものなどを挙
げることができる。上記多官能性エポキシ樹脂として
は、少なくとも2官能のエポキシ樹脂であればいずれで
も使用可能であり、エポキシ当量の制限は特にないが、
通常1,000以下、好ましくは100〜500のもの
を用いる。例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノー
ルF型、ビスフェノールAD型等のフェノールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型等のク
レゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA
ノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ
樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリ
シジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エ
ポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ
樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノー
ル類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドと
の縮合物型エポキシ樹脂等をあげることができる。ま
た、これらの樹脂にBr,Cl等のハロゲン原子を導入
したものなども挙げられる。これらの内でも耐熱性を考
慮すると、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。これ
らのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、また2種以上
を併用してもよい。
【0012】これらのエポキシ樹脂とラジカル重合性不
飽和モノカルボン酸を反応させる。エポキシ基とカルボ
キシル基の反応によりエポキシ基が開裂し水酸基とエス
テル結合が生成する。使用するラジカル重合性不飽和モ
ノカルボン酸としては、特に制限は無く、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸などがある
が、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方(以
下、(メタ)アクリル酸ということがある。)が好まし
く、特にアクリル酸が好ましい。エポキシ樹脂とラジカ
ル重合性不飽和モノカルボン酸との反応方法には特に制
限は無く、例えばエポキシ樹脂とアクリル酸を適当な希
釈剤中で加熱することにより反応できる。希釈剤として
は、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等
のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノー
ル、などのアルコール類、シクロヘキサン、メチルシク
ロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油
ナフサ等の石油系溶剤類、セロソルブ、ブチルセロソル
ブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトー
ル等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロ
ソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カル
ビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等
の酢酸エステル類等を挙げることができる。また触媒と
しては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン
などのアミン類、トリフェニルホスフィン、トリフェニ
ルホスフェートなどのリン化合物類等を挙げることがで
きる。
【0013】上記のエポキシ樹脂とラジカル重合性不飽
和モノカルボン酸の反応において、エポキシ樹脂が有す
るエポキシ基1当量あたりラジカル重合性不飽和モノカ
ルボン酸を0.7〜1.2当量反応させる事が好まし
い。アクリル酸又はメタクリル酸の少なくとも一方を用
いるときは、さらに好ましくは0.8〜1.0当量加え
て反応させる。ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸が
0.7当量未満であると、後続の工程の合成反応時にゲ
ル化を起こすことがあったり、あるいは樹脂の安定性が
低下する。また、ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸
が過剰であると未反応のカルボン酸が多く残存するた
め、硬化物の諸特性(例えば耐水性等)を低下させる恐
れがある。エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカ
ルボン酸の反応は、加熱状態で行うのが好ましく、その
反応温度は、80〜140℃である事が好ましい。反応
温度が140℃を超えるとラジカル重合性不飽和モノカ
ルボン酸が熱重合を起こし易くなり合成が困難になるこ
とがあり、また80℃未満では反応速度が遅くなり、実
際の製造上好ましくないことがある。エポキシ樹脂とラ
ジカル重合性不飽和モノカルボン酸の希釈剤中での反応
においては、希釈剤の配合量が反応系の総重量に対し
て、20〜50%である事が好ましい。エポキシ樹脂と
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸の反応生成物は単
離することなく、希釈剤の溶液のまま、次の多塩基酸類
との反応に供する事ができる。なお、本発明において、
「%」とは「質量%」を意味する。
【0014】上記エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和
モノカルボン酸との反応生成物である不飽和モノカルボ
ン酸化エポキシ樹脂に、多塩基酸又はその無水物(これ
らの両方でもよい)を反応させる。多塩基酸又はその無
水物としては、特に制限は無く、飽和、不飽和のいずれ
も使用できる。このような多塩基酸としては、コハク
酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、テ
トラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル
酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテト
ラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、
ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル
酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキ
サヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、
メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタ
ル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエ
ンドメチレンテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、
ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられ、多塩
基酸無水物としてはこれらの無水物が挙げられる。これ
らの化合物は単独で使用することができ、また2種以上
を混合して使用してもよい。多塩基酸又は多塩基酸無水
物は、上記のエポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノ
カルボン酸との反応で生成した水酸基に反応し、樹脂に
結合したカルボキシル基を持たせる。反応させようとす
る多塩基酸の使用量は、エポキシ樹脂とラジカル重合性
不飽和モノカルボン酸との反応生成物が有する水酸基1
モルに対し0.2〜1.0モルである事が望ましい。露
光時に高感度の樹脂膜が得られる点からは、好ましくは
0.3〜0.9モル、さらに好ましくは0.4〜0.8
モルの割合で反応させる。0.2モル未満であると得ら
れた樹脂の希アルカリ現像性が低下することがあり、ま
た1.0モルを超えると最終的に得られる硬化塗膜の諸
特性(例えば耐水性等)を低下させることがある。多塩
基酸は、上記の不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂に
添加され、脱水縮合反応され、反応時生成した水は反応
系から連続的に取り出すことが好ましいが、その反応は
加熱状態で行うのが好ましく、その反応温度は、70〜
130℃である事が好ましい。反応温度が130℃を超
えると、エポキシ樹脂に結合されたものや、未反応モノ
マーのラジカル重合性不飽和基が熱重合を起こし易くな
り合成が困難になることがあり、また70℃未満では反
応速度が遅くなり、実際の製造上好ましくないことがあ
る。多塩基酸無水物を使用する場合もこれに準ずる。上
記の多塩基酸又はその無水物と不飽和モノカルボン酸化
エポキシ樹脂との反応生成物である多塩基酸変性不飽和
モノカルボン酸化エポキシ樹脂の酸価は、60〜300
mgKOH/gが好ましい。反応させる多塩基酸又はその無水
物の量により、反応生成物の酸価は調整できる。
【0015】本発明においては、上記の多塩基酸変性不
飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂も感光性樹脂として
使用できるが、上記の多塩基酸変性不飽和モノカルボン
酸化エポキシ樹脂の有するカルボキシル基に、1つ以上
のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基を持つグリシジ
ル化合物を反応させることにより、ラジカル重合性不飽
和基を更に導入し、さらに感光性を向上させた感光性樹
脂としてもよい。この感光性を向上させた感光性樹脂
は、最後のグリシジル化合物の反応によってラジカル重
合性不飽和基が、その前駆体の感光性樹脂の高分子の骨
格の側鎖に結合するため、光重合反応性が高く、優れた
感光特性を持つことができる。1つ以上のラジカル重合
性不飽和基とエポキシ基を持つ化合物としては、例え
ば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトール
トリアクリレートモノグリシジルエーテル等が挙げられ
る。なお、グリシジル基は1分子中に複数有していても
よい。これらの化合物は単独で用いてもよく、混合して
用いてもよい。上記グリシジル化合物は、上記の多塩基
酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂の溶液に添
加して反応させるが、その樹脂に導入したカルボキシル
基1モルに対し、通常0.05〜0.5モルの割合で反
応させる。得られる感光性樹脂を含有する感光性樹脂組
成物の感光性(感度)や、熱管理幅(塗布膜乾燥時の未
露光部分の現像時除去可能な塗布膜硬化度の熱的許容限
度の管理範囲)及び電気絶縁性等の電気特性などのこと
を考慮すると、好ましくは0.1〜0.5モルの割合で
反応させるのが有利である。反応温度は80〜120℃
が好ましい。このようにして得られるグリシジル化合物
付加多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂
からなる感光性樹脂は酸価が45〜250mgKOH/gであ
る事が好ましい。
【0016】上記(A2)成分100gに対し、上記
(A1)成分は5〜100gの割合で添加されることが
好ましい。この添加量が5g未満では光硬化させた後に
熱硬化させる、いわゆるポストキュアー後において、所
望の物性を有する塗膜が得られないことがあるし、10
0gを超えると(A2)成分の光硬化性が低下すること
がある。ポストキュアー後の塗膜物性及び(A2)成分
の光硬化性などの点からら、(A1)成分の添加量は、
好ましくは15〜60gである。
【0017】上記「(C)光重合開始剤」としては、特
に制限はなく、従来知られているものはいずれも使用で
きる。具体的には、代表的なものとしては例えば、ベン
ゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチル
エーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイ
ンーnーブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ
ル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、
2, 2- ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、
2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2
- ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1
−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕
−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4- (2-ヒド
ロキシエトキシ) フェニル−2-(ヒドロキシ-2- プロピ
ル) ケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノ
ン、4, 4'ージエチルアミノベンゾフェノン、ジクロ
ロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エ
チルアントラキノン、2- ターシャリーブチルアントラ
キノン、2−アミノアントラキノン、 2−メチルチオ
キサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチ
オキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,
4ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケター
ル、アセトフェノンジメチルケタール、P−ジメチルア
ミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらを
単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤の使用量は、上記(A2)成分の活性エネ
ルギー線硬化性樹脂100g に対して、通常0.5〜5
0g である。0.5g 未満では、この(A)成分の活性
エネルギー線硬化性樹脂の光硬化反応が進行し難くな
り、50g を超えるとその加える量の割には効果は向上
せず、むしろ経済的には不利となったり、硬化塗膜の機
械的特性が低下することがある。光硬化性、経済性、硬
化塗膜の機械的特性などの点からは、その使用量は、好
ましくは2.0〜30g である。
【0018】上記「(D)希釈剤」は、光重合性モノマ
ー及び有機溶剤の少なくとも1種からなる。光重合性モ
ノマーは反応性希釈剤といわれるもので、これは、上記
(A2)成分の活性エネルギー線硬化性樹脂(感光性樹
脂)の光硬化を更に十分にして、耐酸性、耐熱性、耐ア
ルカリ性などを有する塗膜を得るために使用することが
好ましく、1分子中に二重結合を少なくとも2個有する
化合物が好ましく用いられる。上記(A2)成分の感光
性樹脂を含有する塗工用感光性・熱硬化性樹脂組成物の
粘度や乾燥性を調節するために有機溶剤を用いてもよい
が、その必要がなければ用いなくてもよく、また、上記
(A2)成分の感光性樹脂のみの光硬化性で足りる場合
には光重合性モノマーは用いなくてもよい。その反応性
希釈剤の代表的なものとしては、例えば、1,4−ブタ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサン
ジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジ
ペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシ
クロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクト
ン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エ
チレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、ア
リル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシ
アヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレン
オキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレ
ート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエ
リスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の反応性希
釈剤が挙げられる。
【0019】上記の2〜6官能その他の多官能反応性希
釈剤は単品又は複数の混合系のいずれにおいても使用可
能である。この反応性希釈剤の添加量は、上記(A2)
成分の活性エネルギー線硬化性樹脂100g当たり、通
常2.0〜40gの範囲で選ばれる。その添加量が2.
0gより少ないと十分な光硬化が得られず、本発明の塗
工用感光性・熱硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の耐酸性、
耐熱性等において十分な特性が得られず、また、添加量
が40gを越えるとタックが激しく、露光の際アートワ
ークフィルムの基板への付着が生じ易くなり、目的とす
る硬化塗膜が得られ難くなる。光硬化性、硬化塗膜の耐
酸性、耐熱性等、アートワークフィルムの基板への付着
の防止の点からは、反応性希釈剤の添加量は、好ましく
は4.0〜20gである。上記有機溶剤としては、例え
ばメチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノー
ル、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアル
コール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の
脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油
系溶剤、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ
類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトー
ル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテー
ト、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテ
ート、ブチルカルビトールアセテート等の酢酸エステル
類等を挙げることができる。
【0020】本発明の塗工用硬化性樹脂組成物には、上
記の成分のほかに、線膨張係数、耐熱性向上等のため
に、必要に応じて種々の添加剤、例えば溶融シリカ、結
晶性シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ(水酸化アルミ
ニウム)、クレー、硫酸バリウム、マイカ、タルク、E
ガラス微粉末等の無機顔料からなる充填剤も単数又は複
数併用することができる。上記の充填剤は上記(A2)
成分を用いないときは上記(A1)成分100gに対し
て、また、両方を用いるときはその合計100gに対し
て多くても40g(40g以下)が好ましく、多過ぎる
と上記した表面粗面化後の海島構造が形成され難く、金
属めっき膜の密着性を低下させることがある。上記のほ
かの添加剤として、フタロシアニングリーン、フタロシ
アニンブルー等のフタロシアニン系、アゾ系等の有機顔
料や二酸化チタン等の無機顔料の公知の着色顔料等の着
色剤も併用することができ、また、シリコーン化合物や
アクリレート共重合体、フッ素系界面活性剤などのレベ
リング剤、シランカップリング剤などの密着性付与剤、
アエロジルなどのチクソトロピー剤、各種界面活性剤や
高分子分散剤などの分散安定剤、消泡剤、酸化防止剤、
さらには難燃剤として、臭素系化合物、リン系化合物、
アンチモン類、また、過マンガン酸塩溶液等による表面
粗面化のための助剤として、ポリブタジエンなどのゴム
成分も添加してよい。
【0021】上記(A1)〜(B2)成分((A2)成
分なし)又は上記(A1)〜(D)((A2)成分あ
り)成分は、必要に応じて上記の有機溶剤や各種添加剤
をそれぞれ所定の割合で攪拌混合し、分散し難い固体粒
子が含まれる場合には例えば三本ロールミルなどで十分
にその固形分の分散処理を行なうことにより(反応性希
釈剤が含まれる場合にはこれを除いて分散処理をし、そ
の後にこれを加え、その処理中における光硬化反応を抑
制するようにしてもよい)、均質な溶液又は分散液とし
て調製することができる。固形分濃度(不揮発分濃度)
が40〜80%程度では、25℃における粘度が0.5
〜300dPa・s程度のものが好適である。
【0022】上述のようにして得られた本発明の塗工用
硬化性樹脂組成物(塗工用硬化性熱硬化性樹脂組成物又
は塗工用感光性・熱硬化性樹脂組成物)は、多層プリン
ト配線板用層間絶縁膜を形成する場合には、例えば銅張
り積層板(第1層)の銅箔をエッチングして形成した第
1の導体パターンを有するプリント配線板上に、スクリ
ーン印刷法や、静電塗装法、ロールコーター法、カーテ
ンコーター法などにより、10〜150μm程度の厚さ
(液膜厚)に塗布し、上記(A1)〜(B2)((A
2)成分なし)を含有する塗工用硬化性熱硬化性樹脂組
成物の場合には、好ましくは90〜180℃の範囲の温
度で15〜60分間程度加熱処理して硬化塗膜を形成
し、上記(A1)〜(D)((A2)成分あり)を含有
する塗工用感光性・熱硬化性樹脂組成物の場合には、6
0〜80℃程度の温度で15〜60分間程度加熱して溶
剤を揮散させた後、紫外線を照射して光硬化させ、それ
から140〜160℃の熱風循環式の乾燥機等で10〜
60分間ポストキュアーを行なう。得られた硬化塗膜に
は所定位置に、レーザーやドリルによりビアホールを形
成し、このビアホールを所望の位置に配置したビアホー
ルパターンを形成する。また、上記(A1)〜(D)
((A2)成分あり)の場合は、写真現像法にてもビア
ホールパターンを形成できる。ついで過マンガン酸塩溶
液等により硬化塗膜表面を粗面化し、その粗面化した硬
化塗膜表面に無電解金属めっきを施し、さらにその上に
電解金属めっきを施す。なお、無電解めっき、電解めっ
きは銅めっきに限らず、ニッケルその他の金属めっきで
もよい。
【0023】次に、本発明に係わる、あるいは通常一般
的に使用されているドライフィルム(半硬化状態の感光
性樹脂膜からなるフィルム)をその金属めっき膜上に張
りつけ、あるいは本発明に係わる塗工用感光性・熱硬化
性樹脂組成物を塗布して乾燥させ、さらにそのドライフ
ィルム上又はその塗布膜上に所望の導体パターンのネガ
フィルムを当てがい、紫外線により露光し、現像し、つ
いでその露出した金属めっき膜を塩化第二銅溶液等の薬
品によりを溶解除去(エッチング)し、そして残留する
部分の硬化塗膜を希アルカリ液に浸漬して擦り落とし、
これにより金属めっき膜からなる第2の導体パターンを
形成する。その結果、この第2の導体パターンと上記の
プリント配線板の第1の導体パターンがビアホール内壁
に形成した金属めっき膜からなる導体(バイア)により
接続され、第1層と第2層の導体パターンを接続した電
子回路が形成される。
【0024】このようにして、プリント配線板に硬化塗
膜からなる層間絶縁膜を介して第2の導体パターンが形
成されるが、さらにその層間絶縁膜上にその導体パター
ンを介して第3の層間絶縁膜及び第3の導体パターンを
同様にして設け、以下これを繰り返し、最外層の層間絶
縁膜についてはその上の導体パターンを含む全面に、通
常一般的に使用されている、あるいは本発明に係わる塗
工用感光性・熱硬化性樹脂組成物であるソルダーレジス
トインキを塗布して60〜80℃程度の温度で15〜6
0分間程度加熱して溶剤を揮散させて乾燥し、その塗布
面にネガフィルム(電子部品をリフローはんだ付する個
所のはんだ付ランド部分以外は紫外線を透過することが
できるようにパターン化されたネガフィルム)を当てが
って紫外線を照射し、その後ネガフィルムを取り除き、
そのはんだ付けランドに対応する非露光領域を希アルカ
リ水溶液で除去することにより塗膜を現像する。つい
で、140〜160℃の熱風循環式の乾燥機等で10〜
60分間ポストキュアーを行うことにより目的とするソ
ルダーレジスト皮膜を形成せしめることができる。この
ようにしてソルダーレジスト膜で被覆した多層プリント
配線板が得られ、これに電子部品が噴流はんだ付け方法
や、リフローはんだ付け方法によりはんだ付けされるこ
とにより接続、固定されて搭載され、一つの電子回路ユ
ニットが形成される。その電子部品搭載前のソルダーレ
ジスト皮膜を被覆した多層プリント配線板、このプリン
ト配線板に電子部品搭載した電子部品搭載後の多層プリ
ント配線板のいずれをも発明に含める。上記の最外層に
おいて導体パターンをソルダーレジスト膜で被覆し、電
子部品をリフローはんだ付したと同様のことを通常の単
層のプリント配線板において行なうことにより、電子部
品搭載前のソルダーレジスト膜を被覆したプリント配線
板、このプリント配線板に電子部品搭載した電子部品搭
載後のプリント配線板が得られるが、そのいずれをも発
明に含める。
【0025】また、本発明は、上記したように導体パタ
ーンを形成するために金属めっき膜に張りつけて用いる
ドライフィルムや、上記のソルダーレジスト膜、さらに
は上記した層間絶縁膜のそれぞれに対応するドライフィ
ルムも提供するが、その製造法は、まず本発明の塗工用
熱硬化性樹脂組成物又は塗工用感光性・熱硬化性樹脂組
成物の塗工用硬化性樹脂組成物について固形分濃度を4
0〜60質量%程度に調整し、その塗工用硬化性樹脂組
成物を必要に応じて離型剤を塗布する離型処理したポリ
エチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上
にダイコーターにて、10〜150μm程度の厚さ(液
膜厚)に塗布し、塗工用熱硬化性樹脂組成物を用いたも
のについては90〜140℃の範囲の温度で5〜30分
乾燥させ、塗工用感光性・熱硬化性樹脂組成物を用いた
ものについても同様に乾燥させ、いずれもその塗布膜中
の残存溶剤濃度を2〜10質量%にし、半硬化状態の塗
布膜であるドライフィルムを形成する。この際、さらに
そのドライフィルムの上に離型フィルムとして例えばポ
リエチレンフィルムを張り合わせ、巻き取った状態で出
荷し、使用時にそのポリエチレンフィルムを剥離してド
ライフィルムの片面を露出するようにしてもよい。ポリ
エチレンテレフタレートフィルムに裏打ちされた半硬化
状態の塗布膜のドライフィルムは、それぞれの用途に応
じてプリント配線板や、層間絶縁膜の被被覆面に、その
粘着力により張りつけられるが、その際真空ラミネータ
ーによりラミネートすることも好ましいが、その後にポ
リエチレンテレフタレートフィルムを剥離する。多層プ
リント配線板の場合に層間絶縁膜を形成するには、プリ
ント配線板や、他の層間絶縁膜がその被被覆面となる
が、ドライフィルムは上記の塗工用熱硬化性樹脂組成物
を用いて形成し、130〜180℃の範囲で15〜60
分間加熱処理して硬化膜を形成し、その後のビアホール
の形成等は上記したように行なう。また、多層プリント
配線板の最外層の導体パターンにソルダーレジスト膜を
形成する場合や、通常の単層のプリント配線板にソルダ
ーレジスト膜を形成する場合、さらには多層プリント配
線板用の層間絶縁膜を形成する場合であっても、ドライ
フィルムは塗工用感光性・熱硬化性樹脂組成物を用いて
形成し、その張りつけたドライフィルムのその後は、層
間絶縁膜の場合には光硬化と熱硬化を順次行ない、ソル
ダーレジスト膜について上記の塗布膜を形成した場合と
同様に処理される。
【0026】
【発明の実施の形態】後述する実施例で使用する各成分
及びその成分比を中心に、各成分の上述した化合物の中
から選択された類似化合物、各成分比の上述した好まし
い範囲について、後述する実施例を包括する上位概念の
発明を構成することができる。
【0027】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明する
が、本発明は、これらの実施例によってなんら限定され
るものではない。 実施例1 (塗工用熱硬化性樹脂組成物の調製)溶剤としてのソル
ベッソ#150(シエル化学社製の芳香族系溶剤)15
gと、カルビトールアセテート15gとの混合溶剤に、
エピクロン1050(大日本インキ化学工業社製のビス
フェノールA型エポキシ樹脂)70g、フェノライトT
D−2090(大日本インキ化学工業社製のフェノール
ノボラっク樹脂)10gを混合溶解させた。ついで、得
られた混合樹脂溶液に攪拌しながら水酸化マグネシウム
10g、タルク1gを加え、さらにモダフロー(モンサ
ント社製のレベリング剤)1gを加えた後、ジシアンジ
アミド(エポキシ樹脂の硬化剤)1g、下記〔化2〕の
化合物(1,1’−(4−メチル−m−フェニレン)ビ
ス(3,3’ジメチルウレア)1gを加え、20分間攪
拌した。
【0028】
【化2】
【0029】次に、得られた混合物液を三本ロールミル
によりさらに30分間混合し、塗工用熱硬化性樹脂組成
物を得た。その塗工用熱硬化性樹脂組成物の組成を表1
に示す。 (多層プリント配線板の製造)基板(第1層)上の銅箔
面のエッチング処理により第1の導体パターンを形成し
たプリント配線板に脱脂、ソフトエッチング、黒化処
理、洗浄、乾燥などの工程からなる前処理を施した後の
いわゆる面処理済みプリント配線基に、上記の塗工用熱
硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷により塗工し、15
0℃、30分間の熱硬化処理を行ない、60μmの硬化
塗膜(層間絶縁膜(第2層))を形成した。この層間絶
縁膜に、レーザーによりのビアホール(直径150μ
m)を10mm2 当たり100個形成し、このビアホー
ルを所望の位置に配置したビアホールパターンを形成す
る。ついで、粗面化処理(MLB Promoter2
13(シプレー社製過マンガン酸ナトリウム処理液)に
80℃、10分間、硬化塗膜表面を浸漬する処理)を
し、その後水洗してから中和処理(MLB Neutr
aliser 216(シプレー社製の中和液)に50
℃、5分間浸漬する処理)をした。引き続いて、脱脂処
理(Neutraliser 3230(シプレー社
製)に40℃、5分間浸漬する処理)をし、触媒付与処
理(Cataposit44(シプレー社製)に40
℃、5分間浸漬する処理)をし、その後に化学銅めっき
処理(Cuposit328(シプレー社製)に23
℃、20分浸漬する処理)をし、さらに電解銅めっき処
理(硫酸銅液使用)により、めっき膜を25μmまで析
出させた。得られためっき膜をアニーリング(150
℃、1時間)した。このようにして銅めっき膜を設けた
層間絶縁膜を有するプリント配線基が得られた。次に、
この銅めっき膜を有するプリント配線基板について、市
販のドライフィルム(旭化成工業(株)製のサンフォー
ドAQ(半硬化状態の感光性樹脂膜からなる38μmの
フィルム))をその銅めっき膜上にロールラミネーター
によりラミネートしてその粘着力により保持し、さらに
その上に所望の電子回路の配線の導体パターンのネガフ
ィルムを当てがい、紫外線により露光し、現像し、つい
で露出した銅めっき膜を塩化第二銅溶液等の薬品により
エッチングし、そして残留する部分の紫外線照射による
硬化塗膜をアルカリ液に浸漬して擦り落とし、これによ
り銅めっき膜からなる第2の導体パターンを形成し、第
1の導体パターンと第2の導体パターンをビアホール内
壁に形成した銅めっき膜からなる導体(バイア)により
接続させる。
【0030】このようにして硬化塗膜からなる層間絶縁
膜(第2層)上に第2の導体パターンが形成されるが、
さらにその層間絶縁膜上に、第3層の層間絶縁膜及び第
3の導体パターンを同様にして設け、以下これを繰り返
し、最外層の絶縁膜についてはその上の導体パターンを
含む全面に、市販のソルダーレジストインキ(タムラ化
研(株)製のDSR−2200BGX5)を塗布して8
0℃の温度で20分間程度加熱して溶剤を揮散させて乾
燥し、その塗布面にネガフィルム(電子部品をリフロー
はんだ付する個所のはんだ付ランド部分以外は紫外線を
透過することができるようにパターン化されたネガフィ
ルム)を当てがって紫外線を照射し、その後ネガフィル
ムを取り除き、そのはんだ付けランドに対応する非露光
領域を例えば0.5〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液
の希アルカリ水溶液で除去することにより塗膜を現像す
る。ついで、150℃の熱風循環式の乾燥機等で60分
間ポストキュアーを行うことにより目的とするソルダー
レジスト膜を形成せしめた。このようにしてソルダーレ
ジスト膜で被覆した多層プリント配線板が得られ、これ
に電子部品が噴流はんだ付け方法や、リフローはんだ付
け方法によりはんだ付けされることにより接続、固定さ
れて搭載され、一つの電子回路ユニットが形成される。
【0031】(性能評価)以下の項目について調べた結
果を表2に示す。 (1)銅めっき膜の密着性 JIS C6481に準じて、上記の銅めっき膜を形成
したプリント配線基板を試験片として、先端を剥がした
銅めっき膜(幅10mm)のその先端をつかみ具でつか
み、引っ張り方向が銅めっき膜面に垂直になるように引
き剥がし、このときのピール強度(剥離強度)(kN/
m)を求めた。 (2)耐湿性 上記の硬化塗膜の層間絶縁膜(第2層)を形成したプリ
ント配線基板を試験片として、その試験片をプレッシャ
ークッカー装置内に投入し、温度121℃、圧力2気
圧、湿度100%の雰囲気下で200時間放置後、その
層間絶縁膜の状態を目視により観察し、以下の基準に従
い評価した。 ◎:全く変化が認められないもの ○:ほんの僅か変化しているもの △:顕著に変化しているもの ×:塗膜が膨潤して剥離したもの (3)はんだ耐熱性 上記の硬化塗膜の層間絶縁膜(第2層)を形成したプリ
ント配線基板を試験片として、JIS C 6481の
試験方法に従って、260℃のはんだ槽に30秒浸漬
後、セロハン粘着テープ(セロハンは商品名)によるピ
ーリング試験を1サイクルとし、計1〜3サイクルを行
った後の塗膜状態を目視により観察し、以下の基準に従
い評価した。 ◎:3サイクル後も塗膜に変化がないもの ○:3サイクル後に僅かに変化しているもの △:2サイクル後に変化しているもの ×:1サイクル後に剥離が生じているもの (4)耐溶剤性 上記の硬化塗膜の層間絶縁膜(第2層)を形成したプリ
ント配線基板を試験片として、その試験片を常温の塩化
メチレンに30分間浸漬したのち、その層間絶縁膜の状
態を目視により観察し、以下の基準に従い評価した。 ◎:全く変化が認められないもの ○:ほんの僅か変化しているもの △:顕著に変化しているもの ×:層間絶縁膜が膨潤して剥離したもの (5)絶縁抵抗 上記の硬化塗膜の層間絶縁膜(第2層)を形成したプリ
ント配線基板を試験片として、IPC−TM−650の
IPC−SM840B B−25テストクーポンのくし
型電極を用い、85℃、85%R.H.(相対湿度)の
雰囲気下で層間絶縁膜の絶縁抵抗をDC(直流)50V
を印加し、500時間後に測定した。
【0032】実施例2 実施例1において、エピクロン1050 70gの代わ
りに、エピクロン1050 35g及びEHEP315
0(ダイセル化学社製の脂環式エポキシ樹脂(前出))
35gを用いたこと以外は同様にして、表1に示す組成
の塗工用熱硬化性樹脂組成物を調製し、さらにこれを用
いて多層プリント配線板を製造し、実施例1と同様に性
能試験を行なった結果を表2に示す。
【0033】比較例1 実施例1において、上記〔化2〕の化合物を用いなかっ
たこと以外は同様にして、表1に示す組成の塗工用熱硬
化性樹脂組成物の調製し、さらにこれを用いて多層プリ
ント配線板を製造し、実施例1と同様に性能試験を行な
った結果を表2に示す。
【0034】比較例2 実施例2において、上記〔化2〕の化合物を用いなかっ
たこと以外は同様にして、表1に示す組成の塗工用熱硬
化性樹脂組成物の調製し、さらにこれを用いて多層プリ
ント配線板を製造し、実施例1と同様に性能試験を行な
った結果を表2に示す。
【0035】実施例3 (塗工用感光性・熱硬化性樹脂組成物の調製)エチルカ
ルビトールアセテート中において、エポキシ当量が22
0で、かつ1分子中に平均して7個のフェノール残基
と、エポキシ基を有するクレゾールノボラック型エポキ
シ樹脂のエポキシ基1モルに対し、アクリル酸を1モル
の割合で反応させて得られた反応物に、無水テトラヒド
ロフタル酸を0.6モルの割合で反応させ、感光性樹脂
溶液(A)を得た。この感光性樹脂溶液は、固形分の樹
脂成分100質量部に対し、エチルカルビトールアセテ
ート50質量部を含む粘ちょうな液体であり、樹脂分の
酸価は88mgKOH/gであった。この感光性樹脂溶
液(A)55gに対し、ジシアンジアミド1g、上記Y
X−4000 22g、ジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレート4g、2−メチル−1−〔4−(メチルチ
オ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパン−1
−オン 5g、2,4−ジエチルチオキサントン1g、
水酸化マグネシウム10g、タルク1g、上記〔化2〕
の化合物1gを三本ロールミルで混合分散させて、塗工
用感光性・熱硬化性樹脂組成物を得た。その組成を表1
に示す。 (多層プリント配線板の製造と性能評価)実施例1にお
いて、層間絶縁膜として、塗工用熱硬化性樹脂組成物の
代わりに上記で得られた塗工用感光性・熱硬化性樹脂組
成物を用い、その塗布膜(乾燥前膜厚35μm)を80
℃、20分間乾燥させた後(指の腹で触ってべとつかな
い程度)、ネガフィルムを当てがって紫外線を照射して
光硬化させ、1%Na2 CO 3溶液にて現像し、ビアホ
ールパターンを形成し、さらに150℃で60分間熱硬
化して得られる硬化塗膜からなる層間絶縁膜を用いたこ
と以外は同様にして多層プリント配線板を製造し、実施
例1と同様に性能評価した結果を表2に示す。
【0036】比較例3 実施例3において、上記〔化2〕の化合物を用いなかっ
たこと以外は同様にして、表1に示す組成の塗工用熱硬
化性樹脂組成物の調製し、さらにこれを用いて多層プリ
ント配線板を製造し、実施例1と同様に性能試験を行な
った結果を表2に示す。
【0037】実施例4 (ソルダーレジスト膜を被覆したプリント配線板の製
造)基板(第1層)上の銅箔面のエッチング処理により
第1の導体パターンを形成したプリント配線板に脱脂、
ソフトエッチング、黒化処理、洗浄、乾燥などの工程か
らなる前処理を施した後のいわゆる面処理済みプリント
配線板に、上記実施例3で用いた塗工用感光性・熱硬化
性樹脂組成物(但し、上記配合にフタロシアニングリー
ン1gを含んだものを三本ロールミルで混合分散したも
の)をスクリーン印刷により35μmの厚さ(乾燥前)
に塗工し、80℃、20分間乾燥した。この基板の塗布
面にネガフィルムを密着させ、露光後、1質量%炭酸ナ
トリウム水溶液で現像処理して塗布膜パターンを形成し
た。次にこの基板を150℃で60分間熱硬化し、硬化
塗膜のソルダーレジスト膜を有するプリント配線板を得
た。 (ソルダーレジスト膜の性能評価) (1)指触乾燥性 上記のネガフィルムを密着させる前の乾燥した塗膜表面
に指を軽く押しつけ、指に対する張り付き程度を以下の
基準で評価した。 ◎:全く張り付きなし ○:殆ど張り付きなし △:ほんの僅かに張り付きあり ×:張り付きあり (2)感度 上記のネガフィルムを密着させる前の乾燥した塗膜表面
に感度測定用ステップタブレット(コダック21段)を
設置し、このステップタブレットを通して、メインピ−
クが365nmの波長の紫外線を照射光量として、オ−
ク製作所社製の積算光量計を用いた測定で300mJ/
cm2 となるように照射し、このようして得られたもの
をテストピ−スとし、1重量%の炭酸ナトリウム水溶液
を用い、2.0kg/cm2 のスプレ−圧で60秒間現
像を行った後の露光部分の除去されない部分を数字(ス
テップ数)で表す方法(ステップ数が大きいほど感光特
性が良好)により測定し、その得られた数字で感度を表
した。
【0038】(3)耐金めっき性 上記のソルダーレジスト膜を有するプリント配線板を試
験片として、無電解めっき耐性を調べるために、その試
験片に金めっき加工(市販の無電解ニッケルめっき浴及
び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル;0.5μm、
金;0.03μmの条件でめっきを行なう)後、セロハ
ン粘着テープによるピーリング試験を行い、ソルダーレ
ジスト膜の剥がれ、変色について観察し、以下の基準に
従い評価した。 ◎:全く変化が認められないもの ○:ほんの僅か変化しているもの △:顕著に変化しているもの ×:層間絶縁膜が膨潤して剥離したもの (4)密着性 JIS D−0202に準拠して、碁盤目試験により測
定した。 (5)鉛筆硬度 JIS K−5400 6.14に準拠して測定した。 (6)耐酸性 上記のソルダーレジスト膜を有するプリント配線板を試
験片として、その試験片を10質量%の硫酸水溶液に3
0分浸漬した後、水洗後、セロハン粘着テープによるピ
ーリング試験を行い、ソルダーレジスト膜の剥がれ、変
色について観察し、以下の基準に従い評価した。 ◎:全く変化が認められないもの ○:ほんの僅か変化しているもの △:顕著に変化しているもの ×:層間絶縁膜が膨潤して剥離したもの (7)耐溶剤性 実施例1における耐溶剤性の試験方法と同じである。 (8)はんだ耐熱性 実施例1におけるはんだ耐熱性の試験方法と同じであ
る。 (9)電気特性(絶縁抵抗及び変色) 上記のソルダーレジスト膜を有するプリント配線板を試
験片として、IPC−SM−840B B−25のくし
型クーポンを用い、ソルダーレジスト膜を形成後、85
℃、85%R.H.の恒温恒湿槽中で50Vの直流電圧
を印加し、500時間後の絶縁抵抗を測定するととも
に、変色を目視により観察し、以下の基準に従い評価し
た。 ◎:全く変色が認められないもの ○:薄く変色しているもの △:顕著に変色しているもの ×:黒く焦げ付いているもの
【0039】実施例5 (ドライフィルムの製造及び使用)上記実施例1で得ら
れる塗工用熱硬化性樹脂組成物を、離型剤を塗布して離
型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ
38μm)上にダイコーター(前出)にて、60μm程
度塗布し、100℃の温度で10分乾燥させ、その塗布
膜中の残存溶剤濃度を2〜10%にし、半硬化状態の塗
布膜であるドライフィルムを形成する。そしてさらにそ
のドライフィルムの上に離型フィルムとして例えばポリ
エチレンフィルムを張り合わせ、巻き取った状態で出荷
する。使用時にはそのポリエチレンフィルムを剥離して
ドライフィルムの片面を露出し、そのドライフィルムの
露出面を被被覆面(多層プリント配線板過程の第1層の
プリント配線板、導体パターンを形成した層間絶縁膜、
単層のプリント配線板のそれぞれの上面)に真空ラミネ
ーターでラミネートしてからポリエチレンテレフタレー
トフィルムを剥がし、この後は、上記した塗布膜あるい
はドライフィルムの場合と同様に、熱硬化し、層間絶縁
膜、ソルダーレジスト膜、エッチング用膜等を形成でき
る。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】表2の結果から、上記〔化2〕の化合物を
用いた実施例1〜3の層間絶縁膜は、これを用いない比
較例1〜3のものに対して銅めっき膜の密着性が2倍以
上もよく、顕著に優れ、ソルダーレジスト膜としても優
れていることを示す。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、金属めっき膜の密着性
が優れ剥離し難く、スルーホールを持たなくても表面や
内部に部分的にバイアを持つだけでよく、その他の塗膜
性能も損なわないよにうできる硬化塗膜を形成すること
ができ、また、これらの性能を有するとともに光硬化
性、露光性、現像性その他の塗膜性能も損なわないよに
うできる塗膜及び硬化塗膜を形成することができる塗工
用硬化性樹脂組成物、その硬化塗膜からなる層間絶縁膜
を有する多層プリント配線板、その塗膜からなるソルダ
ーレジス膜を有するプリント配線板及びその半硬化塗膜
からなるドライフィルムを提供することができる。ま
た、本発明の塗工用硬化性樹脂組成物、ドライフィルム
は接着剤、印刷版材料としても用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 我妻 建太郎 埼玉県入間市大字狭山ケ原16番地2 タム ラ化研株式会社内 Fターム(参考) 4J036 AA01 AB07 AD08 AD21 AF06 AF08 AF19 AG07 AJ17 CA20 DA01 DB06 DB08 DB15 DC25 DC31 DC41 FB08 GA26 JA08 5E314 AA25 AA32 CC07 FF19 GG11 GG14 5E346 AA12 CC09 CC32 DD22 DD32 HH11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A1)熱硬化性エポキシ樹脂、(B
    1)熱硬化性エポキシ樹脂の硬化剤、(B2)下記一般
    式〔化1〕で表される芳香族尿素化合物を含有する塗工
    用硬化性樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は炭素数1〜5のア
    ルキル基を表わし、同一でも異なってもよく、X1 及び
    2 は水素原子、メチル基、塩素原子又は臭素原子を表
    わし、同一でも異なってもよい。)
  2. 【請求項2】 (A1)熱硬化性エポキシ樹脂、(A
    2)1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合
    を有する活性エネルギー線硬化性樹脂、(B1)熱硬化
    性エポキシ樹脂の硬化剤、(B2)下記一般式〔化1〕
    で表される芳香族尿素化合物、(C)光重合開始剤及び
    (D)希釈剤を含有する塗工用硬化性樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は炭素数1〜5のア
    ルキル基を表わし、同一でも異なってもよく、X1 及び
    2 は水素原子、メチル基、塩素原子又は臭素原子を表
    わし、同一でも異なってもよい。)
  3. 【請求項3】(A1)成分100gに対し、(B2)成
    分を0.01〜10gの割合で用いる請求項1又は2に
    記載の塗工用硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (B1)成分がジシアンジアミド系化合
    物である請求項1ないし3のいずれかに記載の塗工用硬
    化性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の塗
    工用硬化性樹脂組成物を用いて形成した硬化膜の層間絶
    縁膜を有する多層プリント配線板。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4のいずれかに記載の塗
    工用硬化性樹脂組成物を用いて形成した硬化膜のソルダ
    ーレジスト膜を有するプリント配線板。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし4のいずれかに記載の塗
    工用硬化性樹脂組成物を基材フィルムに塗布して半硬化
    状態にした塗布膜からなるドライフィルム。
JP2002077451A 2002-03-20 2002-03-20 塗工用硬化性樹脂組成物、多層プリント配線板、プリント配線板及びドライフィルム Ceased JP2003268074A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002077451A JP2003268074A (ja) 2002-03-20 2002-03-20 塗工用硬化性樹脂組成物、多層プリント配線板、プリント配線板及びドライフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002077451A JP2003268074A (ja) 2002-03-20 2002-03-20 塗工用硬化性樹脂組成物、多層プリント配線板、プリント配線板及びドライフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003268074A true JP2003268074A (ja) 2003-09-25

Family

ID=29205728

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002077451A Ceased JP2003268074A (ja) 2002-03-20 2002-03-20 塗工用硬化性樹脂組成物、多層プリント配線板、プリント配線板及びドライフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003268074A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010248379A (ja) * 2009-04-16 2010-11-04 Mitsubishi Rayon Co Ltd プレス成形用プリプレグ、及びそれを用いた成形品の製造方法
JP2015180751A (ja) * 2015-07-09 2015-10-15 味の素株式会社 樹脂組成物
CN113733771A (zh) * 2021-09-26 2021-12-03 江油星联电子科技有限公司 一种特殊阻焊制作方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010248379A (ja) * 2009-04-16 2010-11-04 Mitsubishi Rayon Co Ltd プレス成形用プリプレグ、及びそれを用いた成形品の製造方法
JP2015180751A (ja) * 2015-07-09 2015-10-15 味の素株式会社 樹脂組成物
CN113733771A (zh) * 2021-09-26 2021-12-03 江油星联电子科技有限公司 一种特殊阻焊制作方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5928839A (en) Method of forming a multilayer printed circuit board and product thereof
JP4878597B2 (ja) 感光性樹脂組成物、プリント配線板、および半導体パッケージ基板
JP7461406B2 (ja) 感光性樹脂組成物、それを用いたドライフィルム、プリント配線板、及びプリント配線板の製造方法
JP3121213B2 (ja) 感光性樹脂組成物
JP5408655B2 (ja) プリント配線板及びその製造方法
JP2001302871A (ja) 光硬化性・熱硬化性樹脂組成物とこれを用いて形成したソルダーレジスト皮膜や樹脂絶縁層を有するプリント配線板
JP2004027145A (ja) 塗工用硬化性樹脂組成物、多層プリント配線板、プリント配線板及びドライフィルム
KR102053322B1 (ko) 감광성 수지 조성물 및 감광성 절연 필름
JP3672414B2 (ja) 感光性樹脂組成物
WO2020241595A1 (ja) 感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、プリント配線板及び半導体パッケージ、並びにプリント配線板の製造方法
JP2001089644A (ja) 多層プリント配線板用層間電気絶縁材料
JPH10282666A (ja) 感光性樹脂組成物
JP2018163207A (ja) 感光性樹脂組成物、それを用いたドライフィルム、プリント配線板、及びプリント配線板の製造方法
WO2023190456A1 (ja) 硬化物、感光性樹脂組成物、ドライフィルムおよびプリント配線板
JPH11242330A (ja) 感光性樹脂組成物、それを用いた多層プリント配線板とその製造方法
JP2003098666A (ja) 感光性樹脂組成物及びプリント配線板
JP2003268074A (ja) 塗工用硬化性樹脂組成物、多層プリント配線板、プリント配線板及びドライフィルム
JP4351463B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型アルカリ可溶性樹脂、活性エネルギー線硬化型アルカリ可溶性樹脂組成物、ソルダーレジスト用組成物、ドライフィルムおよびプリント配線板
JPH11181050A (ja) 酸ペンダント型臭素化エポキシアクリレート及びそれを用いたアルカリ現像型感光性樹脂組成物
JP2004240233A (ja) ソルダーレジスト組成物、回路基板及びその製造方法
JPH1165117A (ja) 感光性樹脂組成物及びそれを用いたソルダーレジストインク
JP3778644B2 (ja) 感光性樹脂組成物
EP0691802A1 (en) Method of forming a multilayer printed circuit board and product thereof
JP2004157419A (ja) 感光性樹脂組成物及び電子部品搭載用回路基板の製造方法
JP2002256060A (ja) 感光性樹脂組成物及びプリント配線板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040811

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20050329

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20050526

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050906

A521 Written amendment

Effective date: 20051104

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20060509

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A045 Written measure of dismissal of application

Effective date: 20060926

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045