JP2010248379A - プレス成形用プリプレグ、及びそれを用いた成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
ことなく高温高圧成形時における樹脂の過剰な流動を抑え、得られる成形品の外観不良、
性能不良、及び金型の不良等を抑制することができるプレス成形用プリプレグと該プレス成形用プリプレグを用いた成形品の製造方法。
【解決手段】エポキシ樹脂(X)と、質量平均分子量が10,000〜60,000のポ
リエーテルスルホン樹脂(Y)と、エポキシ硬化剤(Z)とを含み、100〜150℃に
おける最低粘度が2〜20Pa・s、30℃における粘度が10,000〜100,00
0Pa・sのエポキシ樹脂組成物が繊維補強材に含浸されたプレス成形用プリプレグ。
また、該プレス成形用プリプレグを用いた成形品の製造方法。
【選択図】なし
Description
製造方法に関する。
め、釣り竿やゴルフシャフト等のスポーツ・レジャー用途、自動車や航空機等の産業用途
等の幅広い分野で用いられている。FRPの製造には、強化繊維等の長繊維からなる繊維
補強材に樹脂を含浸した中間材料であるプリプレグを使用する方法が好適に用いられる。
プリプレグを所望の形状に切断した後に賦形し、金型内で加熱硬化させることによりFR
Pからなる成形品を得ることができる。
材のような量産性を求められる部材に使用することは難しかった。一方、高温高圧を用い
るハイサイクルプレス成形は、その生産性の高さから、自動車用途に多用される成形方法
として知られており、特許文献1には、プリプレグをプレス成形で成形する方法が示され
ている。
ハイサイクルプレス成形では、通常、100〜150℃、1〜15MPaの高温高圧条
件が用いられる。これは、速硬化による硬化時間の短縮と、金型内においてプリプレグが
適度に流動することによる該金型内からのガスの排出のためである。
ことにより樹脂粘度が低下し、金型の構造によってはシアエッジ部から激しい樹脂の流出
が見られる。そのため、得られた成形品の表面に樹脂が不足した樹脂枯れのような外観不
良、繊維蛇行等の性能上の不良、金型内のエジェクターピンやエアー弁等への樹脂流入に
よる金型の動作不良等の成形上の問題が生じることがあった。
一方、金型内における樹脂の流動を調整する方法としては、高粘度のエポキシ樹脂を用
いたり、エポキシ樹脂に熱可塑性樹脂を添加したりする方法が示されている(特許文献1、2)。
低下させることなく高温高圧成形時における樹脂の過剰な流動を抑え、得られる成形品の
外観不良、性能不良、及び金型の動作不良等を抑制することができるプレス成形用プリプ
レグを目的とする。また、本発明では、前記プレス成形用プリプレグを用いた高い生産性の成形品の製造方法を提供する。
ビスフェノールS型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂(X)100質量部と、
熱可塑性樹脂(Y)5〜25質量部と、
ジシアンジアミド(以下、「DICY」という。)及びトルエンビスジメチルウレア(以下、「TBDMU」という。)を含むエポキシ硬化剤(Z)5〜15質量部とを含み、
100〜150℃における最低粘度が2〜20Pa・sであり、30℃における粘度が10,000〜100,000Pa・sのエポキシ樹脂組成物が、繊維補強材に含浸されたプレス成形用プリプレグである。
また、本発明のプレス成形用プリプレグに使用する熱可塑性樹脂(Y)は質量平均分子量10,000〜60,000のポリエーテルスルホン樹脂であり、エポキシ樹脂(X)100質量部中に5〜15質量部含まれる。
更に、本発明のプレス成形用プリプレグに使用する熱可塑性樹脂(Y)は質量平均分子量50,000〜80,000のフェノキシ樹脂で、エポキシ樹脂(X)100質量部中に5〜25質量部含まれる。
硬化速度をほとんど低下させることなく高温高圧成形時における樹脂の過剰な流動を抑え
ることができる。そのため、高温高圧によるハイサイクルプレス成形であっても、得られ
る成形品の外観不良、性能不良、及び金型の不良等を抑制することができる。
また、本発明の製造方法によれば、高温高圧による硬化により、高い生産性で成形品を得ることができる。
本発明のプレス成形用プリプレグは、エポキシ樹脂(X)、熱可塑性樹脂(Y)、及びエポキシ硬化剤(Z)を含むエポキシ樹脂組成物を、繊維補強材に含浸したプリプレグである。本発明のプレス成形用プリプレグは、特に、高温高圧下に短時間で硬化させて成形品を得るハイサイクルプレス成形に好適に用いることができる。
(エポキシ樹脂(X))
エポキシ樹脂(X)は、ビスフェノールS型エポキシ樹脂を含むことにより硬化時間を飛躍的に短縮することが出来る。エポキシ樹脂(X)100質量部中に、ビスフェノールS型エポキシ樹脂が20〜70質量部含まれることが速硬化性の面で好ましい。20質量部未満ではエポキシ樹脂(X)に含まれる量が少ないため、ビスフェノールS型エポキシ樹脂が有する分子間の凝集力が低下して速硬化性が低下する。70質量部を超えるとエポキシ樹脂(X)の樹脂粘度の上昇に伴う分子間のモビリティー低下により速硬化性が低下する。
ビスフェノールS型エポキシ樹脂として使用できるものは、DIC株式会社製のEPICLON EXA1514等が挙げられる。
ビスフェノールS型エポキシ樹脂の他に使用できるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシメタン)のようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂(Y)は、エポキシ樹脂組成物の流動性を調整する役割を果たす樹脂である。また、本発明の熱可塑性樹脂(Y)としては、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニールホルマール樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などエポキシ樹脂に溶解可能なものが使用できる。
ポリエーテルスルホン樹脂は、質量平均分子量が10,000〜60,000の樹脂であり、20,000〜50,000の樹脂であることが好ましい。
質量平均分子量が10,000以上であれば、エポキシ樹脂組成物の粘度が低くなりす
ぎることを防ぐことができ、適正な配合量でエポキシ樹脂組成物の粘度を本発明で規定す
る適正な粘度域とすることができる。質量平均分子量が60,000以下であれば、エポ
キシ樹脂への溶解が可能であり、極少量の配合でもエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎることを防ぐことができ、エポキシ樹脂組成物の粘度を本発明で規定する適正な粘度
域とすることができる。
エポキシ硬化剤(Z)は、エポキシ樹脂組成物の架橋密度や硬化速度を適切な範囲に保
つ役割を果たす。特にDICY、TBDMUを併用して使用することにより硬化時間を飛躍的に短縮することが出来る。DICYとしてはジャパンエポキシレジン株式会社製のjERキュアDICY15等が使用できる。TBDMUとしてはピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製のオミキュア24等が使用できる。
量部に対して5〜15質量部である。エポキシ硬化剤(Z)の使用量が5質量部以上であ
れば、架橋密度が充分になり、また充分な硬化速度が得られる。エポキシ硬化剤(Z)が
15質量部以下であれば、硬化剤が過剰に存在することによる硬化樹脂の機械物性の低下
や硬化樹脂の濁り等の不具合を抑制することができる。好ましくは、8〜15質量部である。
000Pa・sである。プリプレグのプレス成形においては成形前にプリプレグを所定の
形状に切断し、積層してプリフォームとする場合が多いが、30℃における粘度が10,
000Pa・s以上であれば、常温における積層作業でプリプレグのベタツキが少なく、
良好な作業性が得られる。また、30℃における粘度が100,000Pa・s以下であ
れば、プリプレグが十分な柔軟性を維持しており、プリフォーム作成作業でプリプレグを
金型の形状に合わせて積層していくために必要な賦形性が維持できる。
の性能を有する装置を用いて、周波数1Hz、パラレルプレート(25mmφ、ギャップ
0.5mm)で測定することができる。エポキシ樹脂組成物の100〜150℃における最低粘度、及び30℃における粘度は、エポキシ樹脂(X)の種類、並びに熱可塑性樹脂(Y)、エポキシ硬化剤(Z)の種類及び使用量により調節することができる。
とが好ましい。エポキシ樹脂組成物の硬化物Tgが硬化温度の−30℃以上であれば、成
形型(金型)からの脱型が容易でかつ脱型後の変形が起こり難い。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化温度100〜150℃、成形圧力1〜15
MPaの条件で加熱加圧した際に1〜20分間で硬化するものであることが好ましい。
本発明におけるエポキシ樹脂組成物の製造方法としては、例えば、前述のエポキシ樹脂
(X)、熱可塑性樹脂(Y)、エポキシ硬化剤(Z)、及び必要に応じて添加するその他の成分を適量ずつ添加して混合する方法が挙げられる。また、エポキシ硬化剤(Z)が固体である場合には、液状のエポキシ樹脂(X)に予め均一混合した後に、残りの成分と混合してもよい。
55〜60℃であることがより好ましい。混合温度が50℃以上であれば、前記成分の混
合が容易になる。また、混合温度が65℃以下であれば、エポキシ樹脂組成物が硬化反応
を起こすことを抑制しやすい。
本発明における繊維補強材としては、FRPの補強材として通常用いられる繊維を用い
ることができ、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、鉱物
繊維(例えば、バサルト繊維等)等が挙げられる。なかでも、軽量かつ高強度で高弾性率
を有し、耐熱性、耐薬品性にも優れる点から、炭素繊維が好ましい。
炭素繊維としては、ピッチ系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、レーヨン系等の種
類が挙げられ、いずれの炭素繊維を用いてもよいが、炭素繊維の生産性の面から、PAN
系炭素繊維の使用がより好ましい。
繊維補強材の形態としては、ミルドファイバー状、チョップドファイバー状、連続繊維
、各種織物等の形態が挙げられる。
本発明のプレス成形用プリプレグは、これらの繊維補強材に前述のエポキシ樹脂組成物
が含浸されたプリプレグである。
プレス成形用プリプレグの製造方法は、繊維補強材にエポキシ樹脂組成物を含浸させる
ことができる方法であればよく、例えば、離型紙上に薄く塗布したエポキシ樹脂組成物と
各種形態の繊維強化材とを接触させて含浸させるプリプレグ法が挙げられる。
る粘度及び100〜150℃における最低粘度を制御していることから、常温における取
り扱い性に優れ、かつ成形時において金型内での樹脂の過剰な流動が抑制される。また、
エポキシ樹脂組成物が上記組成であるので、エポキシ樹脂組成物のTgの低下及び硬化速
度の低下を抑制することができる。そのため、高温高圧下における短時間の硬化によるハ
イサイクルプレス成形により、高品質な成形品を高い生産性で得ることができる。
本発明の成形品の製造方法は、前述のプレス成形用プリプレグを用いた成形材料を、金
型により高温高圧で硬化させて成形することにより成形品を得る方法である。本発明の製
造方法は、特に、自動車部材等の用途の成形品(FRP)のハイサイクルプレス成形に好
適に用いることができる。
本発明の製造方法における金型としては、成形材料を高温高圧下で硬化させることので
きる金型であればよく、金型を閉じた時に該金型の内部を気密に保つことのできる構造を
有する金型を用いることが好ましい。ここで、気密とは、金型を満たすのに十分な量の成
形材料を金型内に入れ、加圧した際にも成形材料を構成するエポキシ樹脂組成物が金型か
ら実質的に漏れ出さないことをいう。
内部を気密に保つ金型としては、金型を締めた時に上型・下型(雄型・雌型)が接触す
る部分にシアエッジ構造(図1参照)やゴムシール構造を採用した金型が挙げられる。ま
た、金型の内部を気密に保つものであれば公知のいかなる構造を採用した金型であっても
よい。
ある。
金型1は、上型2(雌型)と下型3(雄型)とを有する。上型2には雌型シアエッジ部
4が設けられており、下型3には雄型シアエッジ部5が設けられている。そして、シアエ
ッジ構造(雌型シアエッジ部4及び雄型シアエッジ部5)により、上型2と下型3を閉じ
た際に金型1の内部が気密に保たれる。
ンホールや成形品内部のボイドの原因となる場合があるが、金型1として脱気機構を有す
る金型を用い、金型1の内部のすべてを成形材料で満たす際に、脱気機構を用いて脱気す
ることにより、金型1の内部に残存する空気を効果的に脱気することが可能である。脱気
機構としては、例えば、金型1の下型3に開閉可能な孔(例えば、国際公開第2004/
048435号パンフレットに記載の孔)を設けて空気を金型1外部に開放する機構や、
該孔に更にポンプを設け、減圧する機構等が挙げられる。この場合、脱気は、金型1の内
部全てを成形材料で満たす瞬間まで開孔しておき、加圧時に閉じることにより行なわれる
。
ンやエアー弁等の成形品を脱型する機構を金型1に取り付けることもできる。この機構は
、金型1の冷却を待たずに容易に成形品を取り出すことが可能となるので大量生産に好適
である。なお、脱型する機構は、エジェクターピン、エアー弁以外の従来公知のいかなる
機構であっても構わない。
以下、本発明の成形品の製造方法の実施形態の一例として、図1に例示した金型1を用
いた方法について説明する。
まず、金型1をエポキシ樹脂組成物の硬化温度以上まで調温した後、下型3上に成形材
料6(必要に応じてプレス成形用プリプレグ切断し、積層したもの)を配置する(図1(
A))。ついで、上型2及び下型3を閉じ、加圧して成形する(図1(B))。樹脂(エ
ポキシ樹脂組成物)は金型1の外へはほとんど流出することはなく、成形材料6は加圧さ
れて金型1の内部の全てを満たすこととなる。
入れる前の成形材料6(図1(A)における成形材料6)の片面表面積を、金型1を閉じ
た時に成形材料6のその片面と接触する金型内部の表面積(得られる成形品の片面表面積
と同じ表面積である。)に近づけておくことが好ましい。ここで、成形材料の片面表面積
とは成形品を構成する2面(上型2及び下型3と接する面)のうちの一方の面の表面積で
あり、いずれの面についても同様のことが言える。
記成形材料の片面との接触面の表面積S2との比S1/S2が0.8〜1であることが好
ましい。
S1/S2が0.8以上であれば、金型1の内部における樹脂の流動を抑えやすいため
、繊維蛇行が生じ難くなる。また、S1/S2が1以下であれば、成形材料の周縁部が金
型1からはみ出して金型1を閉じる際に障害や成形品内の成形材料不足が生じたりするこ
とを抑制しやすい。また、金型1内で成形材料が折り畳まれて繊維配向の乱れが生じるこ
とを防止しやすい。
れる成形品(金型を閉じた時の金型内部の形状)に近いものを用いることが好ましい。具
体的には、金型の内部に入れる成形材料6の体積を得られる成形品の体積の100〜12
0%、成形材料6の厚みを得られる成形品の厚みの100〜150%とすることが好まし
い。
金型1の内部に入れる成形材料6の体積が得られる成形品の体積の100%未満である
と、成形材料6に十分な圧力がかかり難くなる。一方、金型1の内部に入れる成形材料6
の体積が得られる成形品の体積の120%を超えると、金型1を閉める際に金型1の気密
性が得られる以前に成形材料6が流出しやすくなる。
また、成形材料6の厚みが得られる成形品の厚みの100%未満の場合、及び150%
を超える場合には、成形材料6の全面を均等に加圧することが難しくなる。ここで、成形
材料6の厚み及び得られる成形品の厚みとは、それぞれ成形材料及び得られる成形品の厚
みを平均した厚みである。
反応を起こすことができ、高い生産性で成形品を得ることができる。また、成形温度が1
50℃以下であれば、樹脂粘度が低くなり過ぎることによる金型1内における樹脂の過剰
な流動を抑えることができ、金型1からの樹脂の流出や繊維の蛇行を抑制できるため、高
品質な成形品が得られる。
適度な流動が得られ、ガス抜けが悪いことによる外観不良やボイドの発生を防ぐことがで
き、成形材料がしっかりと金型に密着するため良好な外観品質を得ることができる。また
、圧力が15MPa以下であれば、樹脂を必要以上に流動させることによる外観不良や、
金型に必要以上の負荷をかけることによる変形等の問題を抑制できる。
また、本発明の製造方法における硬化時間は1〜20分間である。これにより高い生産
性で優れた品質の成形品を製造することができる。
ことができ、また外観不良、性能不良等を抑えた高品質な成形品を高い生産性で得ること
ができる。
なお、本発明の製造方法は、図1に例示した金型1を用いる方法には限定されない。前
述の高温高圧下において短時間で硬化させることができる金型であれば、金型1以外の金
型を用いる方法であってもよい。
載によっては限定されない。
<エポキシ樹脂組成物>
エポキシ樹脂組成物の製造に用いた原料を以下に示す。
(エポキシ樹脂(X))
EXA1514:ビスフェノールS型エポキシ樹脂(商品名:EPICLON
EXA1514、エポキシ当量300g/eq、DIC株式会社製)
jER828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER828、エポキシ当量189g/eq、ジャパンエポキシレジン株式会社製)
jER1001:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER1001、エポキシ当量475g/eq、ジャパンエポキシレジン株式会社製)
(熱可塑性樹脂(Y))
E2020P:ポリエーテルスルホン(商品名:ウルトラゾーンE2020P、質量平均分子量32,000、BASF社製)
YP50S:フェノキシ樹脂(商品名フェノトートYP50S、質
量平均分子量50,000〜70,000、東都化成株式会社製)
(エポキシ硬化剤(Z))
DICY:ジシアンジアミド(商品名:jERキュアDICY15、ジャパンエポキ
シレジン株式会社製)
TBDMU:トルエンビスジメチルウレア(商品名:オミキュア24、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製)
PDMU:フェニルジメチルウレア(商品名:オミキュア94、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製)
本発明のプリプレグに用いるエポキシ樹脂組成物の調製は、以下の方法で行った。
すなわち、ジャパンエポキシレジン株式会社製jER828を12質量部と、ジャパンエポキシレジン株式会社製jERキュアDICY15を7質量部と、ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社製オミキュア24を4質量部とを配合し、三本ロールミルを用いて均一に分散させて、表1、表2に示した実施例1〜3、比較例1〜4に使用する触媒樹脂Aを得た。
本実施例、比較例における、100〜150℃における最低粘度、30℃における粘度は以下に示す方法で測定した。
装置:レオメトリックス株式会社製 DSR−200
測定モード:パラレルプレート(25mmφ、ギャップ0.5mm)
周波数:1Hz
温度設定:30℃から2℃/分で120℃にまで昇温しながら粘度を測定した。
最低粘度については、100℃付近で最低の粘度が確認され、それ以降粘度が上昇した
ため、120℃までの測定とした。
装置:日合商事株式会社製 キュラストメーター IIF−HT
測定モード:P.P.(ピーク測定モード)
振動数:6 CPM
振幅角度:±3°
測定温度:140℃
最大トルク値、最大トルク到達時間は日合商事株式会社製キュラストメーター IIF−HTを使用し、ダイ温度140℃でのトルク値(kgf・cm)の変化を測定し、時間−トルク曲線を得る。ついで、該曲線からトルクが変化しなくなる最大トルク値(Tmax)、到達時間を求める。
得られたエポキシ樹脂組成物(A)を簡易型ロールコーターで離型紙上に樹脂目付133g/m2で均一に塗布して樹脂層を形成した。ついで、前記樹脂層に三菱レイヨン株式会社製平織り炭素繊維クロスTR3110Mを貼り付けた後、ローラーで100℃、線圧0.1MPaで加熱及び加圧してエポキシ樹脂組成物を炭素繊維に含浸させ、繊維目付が200g/m2、樹脂含有率が40質量%のプレス成形用プリプレグを作製した。
ついで、前記プレス成形用プリプレグを縦298mm×横298mmに切断し、繊維の配向方向が0°と90°とが交互になるように10枚積層したプリフォーム(厚さ22mm、層体積195.4cm3、片面表面積S1(下面の表面積)888.0cm2)を用意し
た。
成形材料の厚み部分と接触する面を除く)の表面積S2は900.0cm2であった。S
1/S2は、888.0/900.0=0.987であった。
金型1の上型2及び下型3を予め140℃に加熱し、下型3上に前記プリフォームを配
置し、すぐに上型2を降ろして金型1を閉め、10MPaの圧力をかけて比較例7は4分、実施例1,比較例2は5分、実施例2,3と比較例3,5は6分、比較例1,6は7分、比較例4は10分間加熱加圧して硬化させ、硬化後に金型1から取り出して成形品を得た。
W1;成形前のプリフォームの重量(g)
W2;成形後の成形品(バリ除去後)の重量(g)
樹脂流出量(%)=(W2−W1)/W1×100
プレス成形にて得られた成形品の表面を目視にて濁りの有無を確認した。
実施例1〜3及び比較例1〜7についての評価結果を表1、表2に示す。
熱可塑性樹脂の添加量が過剰な比較例4では、最大トルク到達時間が実施例に比べて長かった。また、TBDMUを用いずにフェニルジメチルウレアを用いた比較例5では、金型のシアエッジからの樹脂流出量が多く、最大トルク到達時間が長く実施例に比べて劣っていた。エポキシ硬化剤の添加量が少ない比較例6では、金型のシアエッジからの樹脂流出量が多く、最大トルク到達時間が長く実施例に比べて劣っていた。エポキシ硬化剤の添加量が過剰な比較例7では、成形品表面が白濁が見られ実施例に比べて劣っていた。
方法は、優れた品質の成形品を高い生産性で製造できるため、自動車部品等の用途のFR
Pのハイサイクルプレス成形による製造に好適に使用できる。
2 上型
3 下型
4 雌型シアエッジ部
5 雄型シアエッジ部
6 成形材料
Claims (4)
- ビスフェノールS型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂(X)100質量部と、
熱可塑性樹脂(Y)5〜25質量部と、
ジシアンジアミド及びトルエンビスジメチルウレアを含むエポキシ硬化剤(Z)5〜15質量部とを含み、
100〜150℃における最低粘度が2〜20Pa・sであり、30℃における粘度が10,000〜100,000Pa・sのエポキシ樹脂組成物が、繊維補強材に含浸されたプレス成形用プリプレグ。 - 熱可塑性樹脂(Y)が質量平均分子量10,000〜60,000のポリエーテルスルホン樹脂であり、エポキシ樹脂(X)100質量部中に5〜15質量部含まれる請求項1記載のプレス成形用プリプレグ。
- 熱可塑性樹脂(Y)が質量平均分子量50,000〜80,000のフェノキシ樹脂であり、エポキシ樹脂(X)100質量部中に5〜25質量部含まれる請求項1記載のプレス成形用プリプレグ。
- 請求項1〜3に記載のプレス成形用プリプレグを用いた成形材料を、金型内で、100〜150℃、1〜15MPaの条件下で1〜20分間加熱加圧して硬化させる成形品の製造方法。
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