JPH11354922A - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板の製造方法

Info

Publication number
JPH11354922A
JPH11354922A JP17210298A JP17210298A JPH11354922A JP H11354922 A JPH11354922 A JP H11354922A JP 17210298 A JP17210298 A JP 17210298A JP 17210298 A JP17210298 A JP 17210298A JP H11354922 A JPH11354922 A JP H11354922A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inner layer
copper foil
resin
insulating resin
plating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17210298A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideki Hiraoka
秀樹 平岡
Yoichi Haruta
要一 春田
Hiroshi Niitsuma
裕志 新妻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toagosei Co Ltd filed Critical Toagosei Co Ltd
Priority to JP17210298A priority Critical patent/JPH11354922A/ja
Publication of JPH11354922A publication Critical patent/JPH11354922A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スルーホール密集部での内層板とビルドアッ
プ法により形成した絶縁樹脂層の密着性との問題を解決
した多層プリント配線板の製造方法を提供すること。 【解決手段】 内層板の銅箔回路の表面を腐食液で化学
的に粗化する工程、前記粗化後の銅箔回路の表面をニッ
ケルまたはニッケル含有金属のめっきで被覆する工程、
前記金属のめっきを形成した後の内層板を特定のシラン
化合物で処理する工程、前記シラン化合物で処理した内
層板上に硬化性絶縁樹脂による絶縁樹脂層を形成する工
程、並びに前記絶縁樹脂層の表面に配線パターンを形成
する工程からなることを特徴とする多層プリント配線板
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層プリント配線板
用の製造方法に関し、更に詳しくは、表面処理により、
耐熱性、耐ハローイング性および耐水性に優れた銅箔回
路を有する内層板を用いた多層プリント配線板の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器の小型化、多機能化に伴って、
現在プリント配線板はより高密度化の方向に進んでい
る。例えば、銅箔回路の細線化、高多層化、スルーバイ
アホール、ブラインドバイアホール、バリードバイアホ
ール等のインタースティシャルバイアホ−ルを含むスル
ーホールの小径化、小型チップ部品の表面実装による高
密度実装等がある。更に近年ガラスクロス等を絶縁層に
含まないビルドアップ工法等の新しい技術も採用されて
いる。
【0003】従来、ガラスエポキシプリプレグ等のプリ
プレグを単数または複数枚介して両面に銅箔を積層した
銅張積層板の両面にエッチング処理を施して内層板の銅
箔回路(以下「内層回路」と称する。)を形成し、黒化
処理を行った後、プリプレグ、銅箔を適宜レイアップし
てプレスにより加熱加圧積層し、続いてドリル穴加工、
めっき、エッチング等の処理をしてパターン形成を行う
ことにより多層プリント配線板が製造されている。
【0004】従来の方法では内層回路と絶縁樹脂層との
密着性を高める目的で、黒化処理と呼ばれる銅の酸化処
理を内層回路の表面に行っているために、その後の酸
洗、ソフトエッチおよび銅めっき等、酸性の処理液を使
用する工程で、スルーホールのように黒化処理した回路
が液に接触する場所では黒化処理膜が酸に溶けて絶縁樹
脂層と内層回路間に液が浸透する現象が起こる。このよ
うな現象はハローイング、あるいはスルーホール周辺の
黒化処理膜が溶けるとピンク色に見えるためにピンクリ
ングと呼ばれている。ハローイングが発生した場所では
内層回路と絶縁樹脂層の接着性が著しく弱められ、回路
の信頼性が低下する。このためマルチチップモジュール
用基板やチップサイズパッケージの実装を目的とするよ
うな小径ブラインドバイアホール等を多数形成した多層
プリント配線板ではピンクリング同士が近接するように
なり、極端な場合は複数のピンクリングがつながる恐れ
もあるため、黒化処理は採用できないという問題があっ
た。
【0005】上述のような問題点に対して、銅箔表面を
いったん黒化処理して酸化銅の針状結晶を析出させた後
に、亜酸化銅または純銅にまで還元処理する方法が提案
されており、ガラスエポキシプリプレグ等を用いた多層
プリント配線板の内層板に使用されている。しかし、こ
のような処理方法はハローイングの発生は抑えられる
が、還元処理工程中に酸化銅の針状結晶が化学変化する
ために凹凸形状も小さくなってしまい、アンカー効果が
十分に発揮されないために黒化処理に比べて接着力が低
く、このために使用範囲が限られていた。
【0006】また、銅が還元された状態で絶縁樹脂層に
接触する場合、銅表面が酸化されている場合に比べて、
多層プリント配線板の耐熱性が低下する。このような耐
熱性の低下は金属銅との接着性が低いアクリル樹脂また
はメタクリル樹脂のようにC=C不飽和二重結合の重合
により硬化する樹脂を使用した場合に起こり易い。本発
明者等が検討した結果、このような場合は内層回路の粗
面化された銅箔上に無電解めっき等の方法でニッケル等
のめっきを薄く形成すると耐熱性が大きく向上すること
が分かった。
【0007】しかしながら、例えばスルーホールが4個
以上密集したような構造では前記のめっき処理を行った
内層板を使用しても、部品実装時のはんだ溶融温度にお
いて内層回路または内層板の樹脂部分とビルドアップ法
により形成した絶縁樹脂層とが剥がれてしまう問題が発
生する。即ち、内層板の樹脂部分と絶縁樹脂層との熱膨
張率が異なるため加熱により両者間にストレスが生じる
ものの、スルーホールが少ない場合には、厚さ方向への
膨張等で応力が逃げ両者が剥離に到ることは少ないもの
の、スルーホールが密集していると樹脂に比べて膨張率
の低いスルーホール内の銅の柱で樹脂の動きが固定され
てしまうために、ストレスが逃げ難い構造となるため、
内層板の樹脂部分と絶縁樹脂層が剥離を起こし易くな
る。更に多層プリント配線板の中でもスルーホール密集
部分の最外層が幅広く銅箔で覆われていると、面方向、
厚み方向共に更に樹脂の拘束力が高まるため、界面への
ストレス集中が大きくなり、剥離が極めて発生し易くな
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
なスルーホール密集部での内層板とビルドアップ法によ
り形成した絶縁樹脂層の密着性との問題を解決した多層
プリント配線板の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意検討の結果、本発明に至ったもので
ある。すなわち本発明は、内層板の銅箔回路の表面を腐
食液で化学的に粗化する工程、前記粗化後の銅箔回路の
表面をニッケルまたはニッケル含有金属のめっきで被覆
する工程、前記金属のめっきを形成した後の内層板を前
記式(1)で表されるシラン化合物で処理する工程、前
記シラン化合物で処理した内層板上に硬化性絶縁樹脂に
よる絶縁樹脂層を形成する工程、並びに前記絶縁樹脂層
の表面に配線パターンを形成する工程からなることを特
徴とする多層プリント配線板の製造方法である。以下、
本発明について詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】腐食液による銅表面の化学的な粗
化方法は化学研磨とも呼ばれる。腐食液としては硫酸と
過酸化水素を配合して得られる水溶液や、過硫酸ナトリ
ウムを用いた液が知られている。また特開平7−292
483号に開示されているアゾール類の第二銅錯体、有
機酸およびハロゲンイオンよりなる処理剤、特開平9−
41162号に開示されている銅の酸化剤、ポリアミン
および/またはカチオン性基を有する高分子化合物を含
んだ処理剤等のマイクロエッチング剤も知られている。
【0011】本発明ではこれらの腐食液を用いることが
できるが、特に、銅箔表面に深い凹凸を形成することが
できるマイクロエッチング剤が好ましく、凹凸の平均的
な段差は0.5〜5μmの範囲が好ましい。0.5μm
未満ではアンカー効果が十分に発揮されず耐熱性向上が
得られ難く、5μmを超えるとアンカー効果は十分であ
るが、凹部に付着しためっき液が水洗工程などで取りき
れずに逆に耐熱性を低下させてしまう恐れがありいずれ
も好ましくない。また凹凸が大きすぎると銅の凸部がと
れ易くなり密着性が逆に低下する場合もある。
【0012】本発明でニッケルまたはニッケル含有金属
を銅箔表面に被覆する方法としては、無電解めっき、置
換めっき等の化学めっきが使用できる。ニッケルは銅よ
りもイオン化傾向が高いが、めっき液の配合によって銅
とニッケルの還元電位を逆転させることで置換めっきを
析出させることができる。
【0013】電子部品のめっきに使用されている金属は
元素周期律表の内、VIII族、IB族、IVB族の第
4、5、6周期に属するものである。このうちIVB族
に属するもの、即ちすず、鉛のめっきまたはすず−鉛合
金めっきは融点が低く、はんだ付け時の温度で溶融する
ため内層板用めっきには使用が困難である。IB族に属
するものは銅以外に、銀、金があり、銀めっきはマイグ
レーションが発生し易いため好ましくない。VIII族
に属する金属は鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、
ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金
があるが耐食性、電気伝導性、はんだ付け性等が良好な
点から化学めっき用途ではニッケル、パラジウムが好ま
しく使用できる。しかしながら、検討の結果前記式
(1)で表されるシラン化合物の表面処理により高い効
果が得られるものはニッケル系のめっきであった。以上
の理由から本発明に用いる内層回路の被覆に用いるめっ
きの種類は、ニッケルめっき、ニッケル/リン合金めっ
き、ニッケル/タングステン/リン合金めっき等のニッ
ケル系めっきである。
【0014】金属を付着させる方法としては、この他に
電解めっきやスパッタリングが知られている。電解めっ
きは、めっき被着対象に電流を流す必要があるため、回
路パターンを形成する前にめっきを行なうことが一般的
である。パターン形成後にめっきをする場合は周囲の回
路に対して島状に孤立したパターン上にはめっきが付着
しないため、応用範囲が極めて限定される。また、スパ
ッタリングによる金属の付着は絶縁体にも金属が付着す
るために回路パターン形成後に行なうことはできず、ま
た装置的にも大量生産には向かず実用的でない。
【0015】金属被覆後に回路パターンを形成する場合
はパターン形成後に新たに出現する回路端部の銅の被覆
ができなく、銅被覆可能な回路表面積に比べて銅被覆不
可能な回路端部の面積の比率が大きい微細な配線パター
ンでは、銅の被覆の効果が不十分になる場合がある。ま
たパターン形成前に腐食液による銅箔の粗化を行うと、
ドライフィルムレジストの密着性が悪くなるため、微細
パターンの形成が困難になる。したがって腐食液による
銅箔の粗化および金属薄膜の形成は回路パターン形成後
に行うことが好ましい。
【0016】無電解めっきは、絶縁体上にもめっきを析
出することができるめっき法として知られているが、パ
ラジウム等のめっき触媒を置換めっきにより金属上だけ
に選択的に析出させ、回路部分のみにめっきを析出させ
ることも可能である。従って回路パターン形成後に回路
のみを被覆することが可能である。本発明に使用するめ
っきは銅の表面を覆うことができればわずかな厚みで必
要かつ十分な効果が得られる。直接めっき厚を測定する
ことは困難であるが、めっきを厚く析出させたときの重
量増加率から換算すると、例えば無電解ニッケルの場合
ではめっきの厚みは0.05μm以下、0.001μm
以上が好ましい。0.05μm以上では湿熱条件で電圧
を印加するとイオンマイグレーションの発生が起こり易
いため好ましくなく、0.001μm以下では耐熱性向
上効果は不十分である。
【0017】また、イオン化傾向の違いを利用して銅の
表面を他の金属で置換する置換めっきは、本質的に絶縁
体上には金属の析出は起こり得ないため、この方法によ
っても回路パターン形成後に回路のみを被覆することが
できる。イオン化傾向の違いを利用する場合は、ニッケ
ルの還元電位を銅よりも下げるようなめっき液組成にす
ることで銅箔回路上へのニッケル置換めっきが可能であ
る。新たにできためっき層の厚さの測定は困難で、重量
変化から類推することもできないが、実施例1で用いた
塩化パラジウム浴を使用した場合は60秒以下、5秒以
上の浸漬時間で十分な効果が発揮される。60秒以上で
も十分な耐熱性が得られるが、これ以上の浸漬は意味が
なく、さらに長時間浸漬すると化学研磨により形成した
銅箔表面の凹凸が変形してかえって耐熱性を低下させる
ことがある。また5秒未満では耐熱性の向上が全く無い
わけではないが、処理を終えるまでの間に、回路パター
ン間に付着した気泡を取りきれないなどの不具合が生じ
て均一な処理ができず、耐熱性の向上にばらつきが生じ
ることがあるため好ましくない。
【0018】これらの方法では回路端部にも金属による
被覆が行えるため、微細配線パターン回路に応用した場
合にも本発明の効果が十分発揮され、特に好ましい。
【0019】内層回路を腐食液により化学的に粗化する
方法は、機械研磨による粗化と比較して、回路パターン
形成後にも簡単に粗化処理ができ、かつパターンの端部
にも粗化処理がされるために、ファインパターン形成後
の絶縁樹脂層の密着性に優れ、かつパターン形成後に生
じる銅箔端面も粗化できるという利点がある。また銅表
面の被覆方法では電解めっきやスパッタリングを用いて
行う場合は前述のように、回路パターンを予め形成する
方法は使用できない場合が殆どであるため、最も好まし
い方法は、回路パターン形成後に化学的粗化を行い、続
いて無電解めっき、あるいは金属のイオン化傾向の違い
を利用して銅表面をニッケルで置換する方法のいずれか
である。
【0020】式(1)で表されるシラン化合物による内
層板の処理は、該シラン化合物を内層板表面に付着させ
た後、加熱により脱アルコールさせて内層回路および内
層板の樹脂部分に化学的に結合させることによって行
う。シラン化合物は内層板表面にごく薄く付着させれば
充分な効果が得られるため、アルコール等の有機溶剤に
0.5〜5重量%程度に薄めて使用すれば無駄が少なく
好ましい。また薄めた溶液中に1〜5重量%の少量の水
を添加すると脱アルコールが進行し易く好ましい。用い
る有機溶剤はシラン化合物と水を何れも溶かすことがで
き、更に揮発し易い点でメタノール、エタノール、イソ
プロパノールが好ましい。
【0021】シラン化合物を配合した表面処理液を内層
板に付着させる方法は特に限定しないが代表的な方法と
しては内層板を表面処理液中に浸漬して引き上げる方法
がある。シラン化合物付着後、90℃〜150℃で30
分〜1時間程度の加熱により内層板表面との反応を起こ
させて表面処理を完了する。この時、反応温度が高すぎ
ると反応する前にシラン化合物が揮散して充分な効果が
得られないことがあり、また温度が低すぎても反応に時
間がかかりすぎ、好ましくない。また反応時間は充分な
反応を起こさせるためには30分以上かけることが好ま
しい。更に内層板が放置中に空気中から取り込んだり、
銅箔回路をエッチング法で形成する際に取り込んだ水分
も除去することができる点で、100℃以上で1時間程
度の加熱を行うことが好ましい。
【0022】本発明で用いる式(1)で表されるシラン
化合物は脱アルコールによって内層板表面と化学的に結
合するためのアルコキシシリル基を1分子中に1個以上
有しているものである。更に絶縁樹脂層となる硬化性樹
脂とも化学的に結合して絶縁樹脂層と内層回路との接着
性を向上させるための官能基を有するアルキル基も1分
子中に1個以上有するものである。アルコキシシリル基
と官能基を有するアルキル基の合計は硅素原子1個あた
り最大4個までである。またこれらの化合物は縮合し易
く、2分子以上が縮合してSi−O−Si結合で連結し
た化合物も含まれている場合があるが、アルコキシ基が
残存しておれば同様の反応により接着力を増すことがで
きる。アルコキシ基の種類は、反応のし易さという点で
炭素数が1〜3のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基が挙げられる。また樹脂と反応する官能基は耐熱性、
耐水性が良いという点でグリシジル基、メルカプト基、
アミノ基から選ばれる基、または2級アミンである。
【0023】本発明による多層プリント配線板の製造に
おいて、表面処理を行なった内層回路上に形成する絶縁
樹脂層に用いることができる樹脂は特に限定はされない
が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂および/またはメタク
リル樹脂(以下(メタ)アクリル樹脂」と称する)、ジ
アリルフタレート樹脂、ビスマレイミド樹脂、ビスマレ
イミドトリアジン樹脂等、樹脂を硬化させるときにエポ
キシ基またはメルカプト基またはアミノ基と反応できる
樹脂は何れも使用することができる。このうちエポキシ
樹脂は金属に対する密着性が本来高く、また内層板の樹
脂部分の多くはエポキシ樹脂単独かエポキシ樹脂がブレ
ンドされたものであることから、内層板とのなじみも良
いため本発明の表面処理を行わなくても密着性不良を生
じることは少ない。
【0024】本発明による表面処理の効果が最も顕著に
発現される樹脂は、(メタ)アクリル樹脂、マレイミド
樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の硬化反応に関与する
官能基がC=C不飽和二重結合による樹脂、あるいはこ
れらの樹脂がブレンドされた硬化性樹脂である。これら
の樹脂は通常、金属銅に対しての密着性がエポキシ樹脂
に比べて劣る。更に内層板として使用することができる
積層板用の樹脂の多くがエポキシ樹脂単独あるいはエポ
キシ樹脂を混合したものであるため、内層板の樹脂部分
との密着性に関してもエポキシ樹脂よりも劣る場合が多
い。しかし銅を他の金属で被覆し、さらに式(1)で表
されるシラン化合物で処理すると内層板の金属面、樹脂
面何れに対しても効果が著しくなる。
【0025】本発明による銅箔の表面処理方法は、本発
明者らによる特開平5−218651号公報、特開平6
−232563号公報、特開平6−250771号公報
等によって開示されたプリント配線板の製造方法の内層
回路の表面処理に好適である。すなわち、未硬化の(メ
タ)アクリル樹脂をコートしてなる樹脂付き銅箔を、予
め内層回路を形成したガラスエポキシ基板等にラミネー
トし、樹脂を硬化することによって多層プリント配線板
が生産性良く製造する方法である。このような樹脂付き
銅箔を使用した多層プリント配線板では、樹脂を硬化す
る前に銅箔の所定位置にエッチングにより穴を明けた
後、樹脂を化学的に溶解する方法や、樹脂硬化後に銅箔
の所定の位置に同様に穴を明け、樹脂を炭酸ガスレーザ
ーやエキシマーレーザーで穴を明ける等の方法で容易に
ブラインドバイアホールを形成することができ、多層配
線板の高密度化方法として広く検討されている。
【0026】特開平8−139457号公報等において
提案されている、エポキシアクリレート樹脂等のC=C
不飽和二重結合を有する樹脂を絶縁樹脂層に用いたビル
ドアップ工法による多層プリント配線板の製造において
も内層回路の表面処理に用いれば優れた効果を発揮す
る。ビルドアップ工法は内層回路上に未硬化の感光性樹
脂等の絶縁樹脂を塗布し、ブラインドバイアホールを形
成した後にめっきをすることで外層回路を形成する工法
として提案され、前述の樹脂付き銅箔を用いる方法と同
様に高密度多層プリント配線板の製造方法として知られ
ている。またビルドアップ法基板用に開発されている感
光性の官能基の多くは、アクリロイル基および/または
メタクリロイル基(以下「(メタ)アクリロイル基」と
称する。)であり、本発明の銅箔表面処理方法を用いれ
ばビルドアップ法による多層プリント配線板の信頼性の
向上が期待できる。
【0027】本発明で用いる表面処理を行なった内層板
を内層に使用した多層プリント配線板は耐熱性が著しく
高められる。その理由は銅箔の光沢面を粗化した事によ
り、絶縁樹脂層となる樹脂との間にアンカー効果が生じ
ることに加えて、樹脂との密着性が一般的に低い金属銅
の表面を異種金属で保護することによる相乗効果による
ものと推察される。更に式(1)で表されるシラン化合
物で表面処理することにより、内層板の樹脂部分と外層
の絶縁樹脂層間および内層回路と外層の絶縁樹脂層間と
が化学結合によって強く結びつけられるためと考えられ
る。
【0028】なお内層板の樹脂部分と式(1)で表され
るシラン化合物との間には、内層板のエポキシ樹脂等に
由来する水酸基と脱アルコール反応により、C−O−S
i結合ができていると推察されるが、この結合は加水分
解され易いため、はんだ付け工程までは乾燥状態を保つ
必要がある。すなわちスルーホールやブラインドバイア
ホールを有するプリント基板の製造時には、これらの穴
にめっきをつける直前の工程で乾燥工程を入れることで
耐熱性の低下は防ぐことができる。但し、本発明者等が
確認実験を行ったところでは、意外にも乾燥工程を入れ
なくても耐熱性の低下は僅かであり、本発明による表面
処理を行わない場合と比べると耐熱性は大きく向上して
いた。
【0029】本発明による多層プリント配線板の製造方
法において、下記の樹脂組成を絶縁樹脂層として使用す
ると、耐熱性、耐ハローイング性、耐水性に優れる特徴
に加えて、外層の絶縁樹脂層にガラスクロスを使わない
ことによる軽量性、ブラインドバイアホールの形成性に
優れた多層プリント配線板ができる。特にスルーホール
が密集した場所においてもはんだ付け工程で不具合が生
じることがなくなり、回路設計の自由度が増す。
【0030】この樹脂組成は、(1)アクリル酸および
/またはメタクリル酸(以下「(メタ)アクリル酸」と
称する。)と、(メタ)アクリル酸エステルとを主成分
とする線状重合体であって、その構成成分である(メ
タ)アクリル酸の一部または全部にグリシジル基および
C=C不飽和二重結合を有する化合物を付加させた線状
重合体(以下「第1成分」と称する。)、(2)C=C
不飽和二重結合を1個以上有する重合性化合物(以下
「第2成分」と称する。)、(3)平均粒径が5μm以
下の微粒子状弾性重合体(以下「第3成分」と称す
る。)、(4)ハロゲン化フェノール化合物のグリシジ
ルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応物(以下「第
4成分」と称する。)、(5)リンまたはリン系難燃剤
(以下「第5成分」と称する。)、並びに(6)加熱ま
たは活性エネルギー線の照射によって前記C=C不飽和
二重結合の重合を開始させ得る重合開始剤(以下「第6
成分」と称する。)の(1)(2)(3)(4)(5)
(6)から成る組成物(以下「本樹脂組成物」と称す
る。)である。以下、本樹脂組成物について詳細に説明
する。
【0031】本発明で使用する第1成分の基本骨格分
は、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル
とを主成分とする線状重合体(以下「ポリマーA」と称
する。)である。ポリマーAは、メチルアクリレートお
よび/またはメチルメタクリレート(以下「アクリレー
トおよび/またはメタクリレート」を「(メタ)アクリ
レート」と称する。)、エチル(メタ)アクリレート、
ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフ
ルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸
エステルと(メタ)アクリル酸とを適当な組成比率で、
イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル
等のアルコール系溶媒に溶解し、アゾビスイソブチロニ
トリル、ベンゾイルパーオキサイド等を開始剤とし、共
重合させることにより得られるものである。第1成分は
ポリマーA中のカルボキシル基の一部または全部に一分
子中にグリシジル基およびC=C不飽和二重結合を有す
る化合物を付加したものである。
【0032】ポリマーAは、(メタ)アクリル酸と(メ
タ)アクリル酸エステル以外の第3成分として、スチレ
ン、アクリロニトリル等のビニル化合物を共重合させる
ことも可能であり、特に耐熱性、耐水性を必要とする場
合はスチレンを全モノマー量に対し5〜30重量%の範
囲で共重合させると良い。
【0033】また、ポリマーA中の(メタ)アクリル酸
とその他の成分との比率は、硬化前の樹脂にアルカリ可
溶性が必要な場合は最終組成物としての酸価を0.5〜
3.0meq/gの範囲に調整する必要があり、また後
述するように、酸の一部はグリシジル基およびC=C不
飽和二重結合を有する化合物の付加に利用することを考
慮すると、該化合物と反応させる以前の状態において、
(メタ)アクリル酸が全モノマーに対し20〜50重量
%であることが好ましい。
【0034】硬化前の本樹脂組成物にアルカリ溶解性が
必要でない場合は酸価を考慮する必要がないので、(メ
タ)アクリル酸の量をグリシジル化合物に対して当量以
上になるように重合すればよい。
【0035】次に、ポリマーA鎖中に共重合させた(メ
タ)アクリル酸に付加させる、グリシジル基およびC=
C不飽和二重結合とを有する化合物について説明する。
この付加反応は加熱、または電子線、紫外線のようなC
=C二重結合を重合させ得るようなエネルギー線により
ポリマーを不溶不融化させ、かつ配線基板として充分な
機械物性を付与するために行うのであって、グリシジル
基とC=C不飽和二重結合を有する化合物としては、グ
リシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエー
テル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−グリシ
ジルオキシ−3,5−ジメチルベンジルアクリルアミド
等が挙げられ、これらの中では、入手し易さ、酸への付
加反応が容易に可能な点で、グリシジル(メタ)アクリ
レートが好ましい。
【0036】また本発明者等によって出願された特開平
7−233226号公報に記載されるごとく、樹脂中の
カルボン酸の一部に例えば臭素化フェニルグリシジルエ
ーテルのような他のグリシジル化合物を付加しても良
い。
【0037】第1成分は本樹脂組成物を銅箔等の金属箔
に塗工乾燥して製造する、多層プリント配線板用に好適
な樹脂付き銅箔をロール状にして保存する際、ロール端
からの樹脂のしみだしや巻きずれを防止する効果を得る
ことができ、更に塗工乾燥後の樹脂のひび割れや銅箔か
らの脱落を防止するために必要不可欠な成分であり、そ
の最適量は本樹脂組成物全体の10〜60重量%であ
る。
【0038】次に、第2成分であるC=C不飽和二重結
合を1個以上有する重合性化合物について説明する。こ
れらは、末端に(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビ
ニル基等を有する化合物である。具体的には二重結合が
1個のメチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3
−フェノキシプロピルアクリレート等の単官能(メタ)
アクリレート類;スチレン、アクリロニトリル等ビニル
基を有する化合物;アリルフェノール、オイゲノール等
アリル基を有する化合物;N−フェニルマレイミド、p
−ヒドロキシ−N−フェニルマレイミド、p−クロロ−
N−フェニルマレイミド等マレイミド基を有する化合物
等が挙げられる。二重結合が2個のものでは、1,3−
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキ
シのジ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等
のジ(メタ)アクリレート類;あるいはジビニルベンゼ
ン等ビニル化合物類;ジアリルフタレート、ビスフェノ
ールAのジアリルエーテル等アリル化合物類がある。ま
た、二重結合が3個以上のものでは、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、フェノールノボラック型
エポキシ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌ
レート等が挙げられる。
【0039】上記重合性化合物の中では、ポリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレートのように架橋点間
が長く、柔軟な硬化物を与える化合物と、更に、第1成
分との相溶性の点で、ウレタン(メタ)アクリレート、
ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好まし
い。また、第2成分の配合量は、第1成分100重量部
に対して、10〜100重量部の範囲が耐熱性の点で好
ましい。
【0040】第3成分である微粒子状弾性重合体は、本
樹脂組成物の硬化物中に均一に分散することによって海
島構造の島に相当する構造を形成し、耐衝撃性を向上さ
せることができ、具体的にはMBS樹脂、アクリルゴ
ム、架橋NBR等が挙げられる。これらの平均粒子系は
5μm以下であることが好ましく、これ以上の場合は樹
脂を溶剤に溶かしたワニス中への粒子の分散性が悪く安
定性が得られ難い。また十分な耐衝撃性を得るために
は、本樹脂組成物全体の5〜30重量%の範囲で添加す
ることが好ましい。30重量%を超えて使用する場合は
耐衝撃性の点では何ら問題はないが、本樹脂組成物を溶
剤中に混合した樹脂ワニスを製造した場合第3成分が分
離し易くワニスの安定性が低下したり、銅箔に塗工乾燥
する際、塗工ムラや気泡の発生が起こり易くなり好まし
くない。
【0041】第3成分の微粒子状弾性重合体を本樹脂組
成物中に分散させる場合は、予めメチルエチルケトン等
の溶剤中に第3成分を加えてホモミキサー等により分散
した後に他の成分と配合するか、第3成分と他の成分を
配合後ホモミキサーを用いて分散し、微粒子の二次凝集
をほぐしておく必要がある。またその他の方法として三
本ロール、ボールミル等も好適である。二次凝集が十分
ほぐされないまま使用すると第3成分が樹脂ワニス中で
分離してワニスの保存安定性が著しく低下し、またこの
ワニスを銅箔にコーティングしても均一な塗膜が得られ
ないため、本樹脂組成物を銅箔にコーティングした樹脂
付き銅箔を内層回路上にラミネートする際、気泡がかみ
やすくなり、この気泡や凝集した粒子と樹脂の界面が絶
縁信頼性を低下させる。また凝集した粒子が大きい場合
は塗工した銅箔を重ねたり巻き取ったりして保存する間
に銅箔を変形させてしまうために、エッチング法による
微細な回路の形成が著しく損なわれる。
【0042】第4成分であるハロゲン化フェノール化合
物のグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応
物の具体例としては、テトラブロモビスフェノールAジ
グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の反応物、テ
トラブロモビスフェノールA骨格と臭素を含有しないビ
スフェノールAを共に含有するエポキシ樹脂(例えばダ
ウ社製DER514)と(メタ)アクリル酸との反応物
等が使用でき、所望により2種類以上を添加することも
できる。またテトラブロモビスフェノールAの副生物と
して含まれるモノブロモ体やジブロモ体等、ビスフェノ
ールA骨格当たりの臭素置換数の異なる物が存在してい
ても良い。また単官能の臭素化エポキシ樹脂(例えば日
本化薬(株)製BROCシリーズ)と(メタ)アクリル
酸との反応物や多官能の臭素化エポキシ樹脂(例えば日
本化薬(株)製BRENシリーズ)と(メタ)アクリル
酸との反応物を使用することもできる。この中では、本
樹脂組成物に用いた場合に強度と適度な柔軟性を合わせ
持つことができる2官能性の化合物が好ましく、ハロゲ
ンの種類としては臭素が難燃性が優れるため特に好まし
い。これらの化合物は所望により2種類以上を添加する
こともできる。また第4成分の添加量は本樹脂組成物中
の臭素含有量が5重量%から25重量%になるように配
合するのが好ましい。
【0043】臭素含有量が5重量%未満ではリンを2重
量%以上添加しないと樹脂硬化物の難燃性を得られない
がこの場合は絶縁性が低下するために好ましくなく、臭
素含有量が25重量%以上の場合も難燃性は得られるが
加熱時にハロゲン化合物が脱離しやすいためにはんだ耐
熱性や長期の信頼性が低下するため好ましくない。
【0044】第5成分であるリン酸系難燃剤の具体例と
しては、トリクレジルホスフェート、トリ(2,6−ジ
メチルフェニル)ホスフェート(大八化学工業(株)製
PX130)、トリアリールホスフェート(味の素
(株)製レオフォス)等が使用でき、所望により2種類
以上を添加することもできる。またリン単体である赤燐
も難燃効果が高く、その微粉末たとえば日本化学工業
(株)製ヒシガードCPなども使用できる。
【0045】第6成分である重合開始剤のうち、加熱に
よる開始剤としては、有機過酸化物系、アゾビス系が挙
げられ、保存安定性を得るために分解開始温度が高い点
と、分解した時に低分子量の揮発性成分の発生が少ない
点から、ジアルキルパーオキサイドが最適であり、その
他ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキ
サイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン等も挙げられる。ま
た、その添加量は、樹脂固型分(第1成分、第2成分お
よび第4成分の合計)100重量部に対して0.5〜5
重量部が好ましい。0.5重量部未満では重合が不十分
であり、5重量部を超えるとシェルフライフが短くなる
とともに開始剤の分解物の量が多く発生するために耐熱
性が損なわれる。
【0046】第6成分である重合開始剤のうち、紫外線
による開始剤としては、芳香族ケトンのベンゾフェノ
ン、ミヒラーのケトン、キサントン、チオキサントン、
2−エチルアントラキノン、アセトフェノン類としてア
セトフェノン、トリクロロアセトフェノン、2−ヒドロ
キシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシ
クロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインイソプロピル
エーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジ
エトキシアセトフェノン等、ジケトン類としてベンジ
ル、メチルベンゾイルフォルメート等が挙げられる。そ
の配合量は樹脂固型分100重量部に対して0.5〜1
0重量部が好ましい。
【0047】本樹脂組成物は、少なくとも上記の6成分
を含む組成物であるが、通常使用されるようなタルク、
炭酸カルシウム、シリカ等の無機充填材、あるいはレベ
リング剤、消泡剤等の添加剤を必要に応じて追加しても
よい。
【0048】本発明で使用するリン化合物は上記第5成
分に由来するリンの含有量が本樹脂組成物全体に対して
0.1〜2重量%の範囲で使用することが好ましい。リ
ンの含有量が少ない場合には臭素化合物をより多く配合
しないと難燃性が得られないため、はんだ付けの際ハロ
ゲン化物の分解物が多く発生して耐熱性が十分でなく、
多くなれば電気的な絶縁性が悪くなる。
【0049】本樹脂組成物は、本発明者等による特開平
5−218651号公報、特開平6−232563号公
報、特開平6−250771号公報等によって開示され
た多層プリント配線板の製造方法に好適である。すなわ
ち、未硬化のアクリル系樹脂組成物を銅箔にコートした
樹脂付き銅箔を予め内層回路を形成したガラスエポキシ
基板等にラミネートし、該樹脂組成物を硬化することに
よって多層プリント配線板が生産性良く製造する方法で
ある。この方法を用いれば、内層回路と外層回路間の電
気的な接続をするためのブラインドバイアホールの形成
が従来1穴ずつドリルで明けていたところを、アルカリ
可溶性を付与した絶縁樹脂層を用いれば、所定位置の銅
箔をエッチング法で取り除き、露出した絶縁樹脂層をア
ルカリ水溶液で溶解除去することにより一度に多数個の
ブラインドバイアホールを形成することもでき、更に生
産効率を上げることができる。露出した絶縁樹脂層の溶
解除去はアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類や
メタノール、エタノール等のアルコール類、セロソル
ブ、カルビトール等の有機溶剤、もしくは有機溶剤を含
む水溶液を使用しても可能であるが、良好な作業環境が
保たれる点でアルカリ水溶液が最も好ましい。
【0050】従来のガラスエポキシ積層板の誘電率は
4.7〜5.0である。エポキシ樹脂単独では誘電率が
約3.5であるが、ガラスクロスを補強材に使用すると
誘電率が大きくなることが知られている。本樹脂組成物
ではガラスクロスがないことそして樹脂の特性から誘電
率は2.9〜3.4であり、層間絶縁材料として使用す
る場合には信号伝送の高速化に有利になる。
【0051】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を詳細に説明す
る。 (第1成分の合成)n−ブチルアクリレート26.8重
量部、スチレン5.2重量部、アクリル酸26.8重量
部およびアゾビスイソブチロニトリル0.25重量部か
らなる混合物を、窒素ガス雰囲気下で温度75℃に保持
したメチルエチルケトンとエタノールの混合溶剤(混合
比率=7対3)100重量部中に5時間かけて滴下し
た。その後0.5時間熟成し、更にアゾビスイソブチロ
ニトリル0.3重量部を加えて4時間熟成することによ
りポリマーAを合成した。次に重合禁止剤としてハイド
ロキノン0.23重量部を加えて微量の空気を吹き込み
ながら、N,N-ジメチルベンジルアミン1.5重量部およ
びグリシジルメタクリレート14.7重量部を加え、温
度77℃で10時間反応させて分子量15,000〜5
0,000、酸価2.25meq/g 、不飽和基含有量0.
9モル/kgのカルボキシル基を有する第1成分を合成し
た。
【0052】(樹脂組成物の調製)上述のように合成し
た第1成分を固型分換算で30重量部、エチレンオキサ
イド変性ビスフェノールAジアクリレート(東亞合成
(株)製アロニックスM210)を10重量部、臭素化
エポキシメタアクリレート(固形分中の臭素含有量は約
38%)を固形分換算で40重量部、トリアリールリン
酸(リン含有量8%)7重量部およびラジカル重合開始
剤(日本油脂(株)製パーヘキシン25B)2.0重量
部を配合し良く混合した。ここに予め2本ロールで素練
りしたアクリルゴム微粒子(日本合成ゴム(株)製DH
S−2)をメチルエチルケトンに固型分濃度20重量%
で分散した分散液を100重量部添加し、ホモディスパ
ー(特殊機化(株)製)を用いてよく混合して樹脂組成
物を調製し、メチルエチルケトンを加えて粘度を約70
0cpsとした後300目のろ布でろ過し更に孔径5μ
mのフィルターを用いて加圧ろ過して樹脂ワニスを調整
した。
【0053】実施例1 (内層板の表面処理)10cm角の大きさの両面銅張り
積層板(住友ベークライト(株)製:ELC4765)
の片面の銅箔にエッチング法によりIPC規格に規定さ
れているIPC B−25テストパターンの表面絶縁抵
抗測定用Aパターンを形成し、もう一方の面はエッチン
グ時に銅箔を全面除去した。該積層板を40℃に保持し
たマイクロエッチング剤(メック(株)製メックエッチ
ボンドCZ8100)で90秒間スプレー処理した後、
水洗し、5重量%硫酸水溶液で室温で10秒間洗浄して
から、更に水洗して表面に約3μmの凹凸を形成した。
この基板を塩化パラジウム0.01重量%、塩酸1重量
%の濃度で予め調製した水溶液に25℃で30秒間浸し
た後、水洗した。次いでこの積層板を、70℃に保持し
た後述の無電解ニッケル/リンめっき浴に浸漬し、気泡
が発生し始めてから10秒後に引き上げ、ニッケルめっ
きを行ない、水洗し回路表面にニッケル/リン合金めっ
きを析出させた。この積層板をエタノール/水/γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー
(株)製A−187)を94/5/1の割合で混合した
処理液に30秒間浸漬後引き上げ、10分風乾した後、
105℃のオーブンに1時間投入してテストピース作成
用内層板とした。この内層板を使用して後述の方法でテ
ストピースを作製し、、評価を行ったところ全ての項目
について高い信頼性が得られることが分かった。結果を
表1にまとめた。
【0054】実施例2 (内層板の表面処理)実施例1の場合と同様の方法で銅
箔表面に凹凸を形成し、ニッケル/リンめっきを析出さ
せた積層板をエタノール/水/γ−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製A−18
9)を94/5/1の割合で混合した処理液に30秒間
浸漬後引き上げ、10分風乾した後、105℃のオーブ
ンに1時間投入してテストピース作成用内層板とした。
この内層板を使用して後述の方法でテストピースを作製
し、評価を行ったところ全ての項目について高い信頼性
が得られることが分かった。結果を表1にまとめた。
【0055】実施例3 (内層板の表面処理)実施例1の場合と同様の方法で銅
箔表面に凹凸を形成し、ニッケル/リンめっきを析出さ
せた積層板をエタノール/水/γ−メルカプトプロピル
トリエトキシシラン(日本ユニカー(株)製A−110
0)を94/5/1の割合で混合した処理液に30秒間
浸漬後引き上げ、10分風乾した後、105℃のオーブ
ンに1時間投入してテストピース作成用内層板とした。
この内層板を使用して後述の方法でテストピースを作製
し、評価を行ったところ全ての項目について高い信頼性
が得られることが分かった。結果を表1にまとめた。
【0056】なお、実施例1〜3で用いた無電解ニッケ
ル/リンめっき浴は、硫酸ニッケル6水和物14.6g
/リットル、次亜リン酸ナトリウム水和物13.3g/
リットル、DL−りんご酸16g/リットル、コハク酸
18g/リットルおよび酢酸鉛(II)3水和物0.0
018g/リットルの水溶液で、水酸化ナトリウム水溶
液を用いて25℃でのpHを5.2に調製したものであ
る。
【0057】実施例4 (内層板の表面処理)実施例1の場合と同様の方法で銅
箔表面に凹凸を形成した積層板を塩化パラジウム0.0
1重量%、塩酸1重量%の濃度で予め調製した水溶液に
25℃で30秒間浸した後、水洗した。次に67℃に保
った後述の無電解ニッケル/タングステン/リンめっき
浴にパラジウム処理した積層板を浸し、気泡発生30秒
間後に引き上げ無電解ニッケル/タングステン/リンめ
っきを行ない、水洗後エタノール/水/γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製
A−187)を94/5/1の割合で混合した処理液に
20秒間浸漬後引き上げ、10分風乾した後、105℃
のオーブンに1時間投入してテストピース作成用内層板
とした。この内層板を使用して後述の方法でテストピー
スを作製し、評価を行ったところ、全ての項目について
高い信頼性が得られることが分かった。結果を表1にま
とめた。
【0058】なお、実施例4で用いた無電解ニッケル/
タングステン/リンめっき浴は、硫酸ニッケル6水和物
7g/リットル、タングステン酸ナトリウム35g/リ
ットル、クエン酸ナトリウム50g/リットルおよび次
亜リン酸ナトリウム10g/リットルの水溶液を、水酸
化ナトリウム水溶液を用いて25℃でのpHを9.8に
調製したものである。
【0059】比較例1 (内層板の表面処理)実施例1の場合と同様の方法で銅
箔表面に凹凸を形成した積層板をめっきをしないでその
まま乾燥して、テストピース作製用内層板とした。この
内層板を使用して後述の方法でテストピースを作製し、
評価を行った結果を表1にまとめた。各実施例と比較す
るとはんだ耐熱性が劣り、また加熱時のスルーホール密
集部での浮きはパターンの内面では改善されたがパター
ン上は浮きが多いことが分かった。
【0060】比較例2 (内層板の表面処理)実施例1の場合と同様の方法で銅
箔表面に凹凸を形成し、ニッケル/リンめっきをした積
層板を、シラン処理は行わずに105℃で1時間乾燥
し、そのままテストピース作製用内層板とした。この内
層板を使用して後述の方法でテストピースを作製し、評
価を行った結果を表1にまとめた。各実施例と比較する
と加熱時のスルーホール密集部での浮きが多いことが分
かった。
【0061】比較例3 (内層板の表面処理)実施例1の場合と同様の方法で銅
箔表面に凹凸を形成した積層板を、めっきをしないでそ
のまま実施例1と同様のシラン処理を行って、テストピ
ース作製用内層板とした。この内層板を使用して後述の
方法でテストピースを作製し、評価を行った結果を表1
にまとめた。各実施例と比較すると加熱時のスルーホー
ル密集部での浮きはやや改善されるが充分でないことが
分かった。
【0062】比較例4 (内層板の表面処理)実施例1の場合と同様の方法で銅
箔表面に凹凸を形成した積層板を塩化パラジウム0.1
重量%、塩酸1重量%の濃度で予め調製した水溶液に2
5℃で30秒間浸した後、水洗してパラジウムめっきを
行ない、エタノール/水/γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン(日本ユニカー(株)製A−187)
を94/5/1の割合で混合した処理液に30秒間浸漬
後引き上げ、10分風乾した後、105℃のオーブンに
1時間投入してテストピース作成用内層板とした。この
内層板を使用して後述の方法でテストピースを作製し、
評価を行った結果を表1にまとめた。実施例と比較する
とはんだ耐熱性がやや劣り、加熱時のスルーホール密集
部での浮きはパターンのない面では改善効果が見られる
が、パターン上は浮きが多いことが分かった。
【0063】比較例5 (内層板の表面処理)実施例1の場合と同様の方法で銅
箔表面に凹凸を形成した積層板を90℃に保った下記の
黒化処理液に5分間浸して黒化処理後乾燥し、テストピ
ース作製用内層板とした。この内層板を使用して後述の
方法でテストピースを作製し、評価を行った結果を表1
にまとめた。実施例と比較してスルーホール密集部での
浮きが悪く、また耐ハローイング性も悪いことが分かっ
た。
【0064】比較例5で用いた黒化処理液は、亜塩素酸
ナトリウム30g、水酸化ナトリウム10gおよびリン
酸三ナトリウム12水和物10gを水に溶かして1リッ
トルとしたものである。
【0065】(テストピースの作成)各実施例および比
較例のすべてのテストピース作製用内層板を用いて、以
下に示す方法でテストピースを作製した。
【0066】厚さ18μmの銅箔の粗化面に前述の樹脂
組成物をバーコーターを用いて塗布し、70℃で10分
間乾燥した後、更に110℃で5分乾燥して溶剤を蒸発
除去し厚さ約80μmの樹脂層を形成して銅箔と樹脂層
からなる2層構造の樹脂付き銅箔を作製した。この樹脂
付き銅箔は下記においてラミネートするまでの間、ほこ
り等の付着を防ぐため樹脂面にポリエチレン製の保護フ
ィルムを貼りつけておき、必要に応じてこのフィルムを
はがしてから使用した。
【0067】各実施例および比較例のテストピース作製
用内層板の両面に前記樹脂付き銅箔の樹脂面を合わせて
真空プレス機を用いて張り合わせ、電子線照射装置にて
加速電圧175kVの電子線を20Mrad照射した
後、170℃で30分間加熱して樹脂層を硬化して内層
板を有する銅張積層パネルを作製した。
【0068】次に、作成した銅張積層パネルに対し、該
パネルのIPCパターンの櫛状の部分に全てが収まるよ
うに、直径0.7mmのドリル穴を1.5mmピッチ1
列14穴で4列あけた。この時、列間も1.5mmピッ
チとし、穴が14個並んだ列を櫛パターンの櫛の歯に直
角に並べるようにした。
【0069】次いで、120℃で30分乾燥後、室温に
もどし、スルーホールにもめっきをつけるために、通常
の方法で無電解銅めっきを行い、更に電解銅めっきを2
0μmの厚さになるように行ってテストピースとした。
この状態でめっきは外層の両面とスルーホール周壁に析
出したことになる。
【0070】(スルーホール密集部での耐熱試験)この
テストピースをそのまま260℃に昇温したオーブンに
6分間投入した後、直ちに取り出した。テストピースが
室温になるまで放置した後、外層の銅箔およびスルーホ
ール部の銅箔をエッチング除去して、内層と外層に樹脂
間で浮きが発生していないかを顕微鏡で観察した。この
試験の際、テストピースをオーブンに投入後、基板表面
が260℃に達する時間は約2.5〜3分であるので6
分間の試験で問題がなければ実用上何ら差し支えない。
【0071】浮きは4個のスルーホールで囲まれた部分
に発生するため、内層パターンがない面ではスルーホー
ル4個で囲まれた部分で浮いた個数を数えて評価した。
テストピース1枚にはスルーホール4個で囲まれた部分
は39カ所ある。したがって最も浮きが多い場合は39
個となる。他方、内層に櫛パターンがある場合は櫛状の
内層回路と外層樹脂間、あるいは内層板の樹脂と外層の
樹脂層間で浮きが発生する。この時発生した浮きの個数
を数えて評価したが、櫛パターンの一部はスルーホール
間にもあるため、浮いた部分の長さはばらつきがある。
このためスルーホールのピッチ1つ分の長さを1として
計算した。従って、例えば約3mmの長さのクシパター
ン上の浮きは2個分として数えた。
【0072】(はんだ耐熱試験)テストピースを、浴温
260℃および280℃の溶融はんだ浴に銅箔面を下に
して浮かべ、耐熱性を測定した。テストピースを浮かべ
ている間、ピンセットでテストピースの端部をつかみ、
銅箔が膨れた時の衝撃が伝わるまでの時間を測定し、さ
らに膨れの有無を確認するために外層の銅箔をエッチン
グ除去して目視により確認した。
【0073】(ハローイング試験)テストピースの外層
銅箔をエッチングにより除去し、樹脂を通して表面処理
をした内層回路が見える状態とした。次に、内層の銅箔
のある部分をドリルを用いて直径1mmの穴を空けた。
該穴を明けたテストピースを10%塩酸に室温で5分間
浸漬した後、水洗、乾燥してドリル穴周囲の内層銅箔の
変化を観察し、ハローイングの有無を確認した。
【0074】(絶縁信頼性試験)テストピースの端子間
の絶縁抵抗の初期値を予め測定した後、端子間に50V
の直流電圧を印加しながら、110℃、相対湿度85%
の条件で200時間プレッシャークッカー試験機中に放
置後テストピースを取りだし、23℃、相対湿度60%
の条件に1時間放置してから絶縁抵抗を測定した。
【0075】
【表1】 *1 スルーホール密集部での耐熱性試験(260℃,6分後) *2 僅かにデンドライト発生
【0076】実施例5〜8 (デスミア処理後の耐熱性の確認)本発明に用いた表面
処理で、内層のエポキシ樹脂とシランカップリング剤は
Si−O−C結合によって接着力が増し、耐熱性が得ら
れたと考えられる。しかしこの結合は加水分解を受けや
すく、プリント配線板加工時に接するアルカリ性薬品に
よって耐熱性が低下する恐れがある。そこで、最も厳し
いと思われるアルカリ性過マンガン酸カリウムのデスミ
ア液によるデスミア後の耐熱性に関しても試験を行って
評価した。デスミア処理の方法は以下に述べる。
【0077】(デスミア液の調製)デスミア液は、過マ
ンガン酸カリウム、水酸化ナトリウム、pHを12にな
るよう調整して得られた。
【0078】(デスミア処理)実施例1〜4のテストピ
ース作製用内層板の両面に前記樹脂付き銅箔の樹脂面を
合わせて真空プレス機を用いて張り合わせ、電子線照射
装置にて加速電圧175kVの電子線を20Mrad照
射した後、170℃で30分間加熱して樹脂層を硬化し
て内層板を有する銅張積層パネルを作製した。
【0079】次に、作成した銅張積層パネルに対し、該
パネルのIPCパターンの櫛状の部分に全てが収まるよ
うに、直径0.7mmのドリル穴を1.5mmピッチ1
列14穴で4列あけた。この時、列間も1.5mmピッ
チとし、穴が14個並んだ列を櫛パターンの櫛の歯に直
角に並べるようにした。
【0080】水洗後、30℃のジメチルホルムアミドに
5分間浸し、30秒間水洗した。この後直ちに70℃に
保持したデスミア液に15分間浸しデスミア処理を行
い、30秒間水洗した。更に120℃で40分間乾燥し
た後、室温にもどし、スルーホールにもめっきをつける
ために、通常の方法で無電解銅めっきを行い、更にに電
解銅めっきを20μmの厚さになるように行ってテスト
ピースとした。実施例1〜4と同様にスルーホール密集
部での耐熱試験を行い、結果を表2に示した。
【0081】
【表2】 *1 スルーホール密集部での耐熱性試験(260
℃,6分後)
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、従来のプリプレグを使
った多層プリント配線板の内層回路の表面処理として用
いても優れた効果が得られる表面処理方法を使用するた
め、信頼性を著しく向上させた多層プリント配線板を製
造することができる。更に本樹脂組成物と組み合わせる
と、ガラスクロスのような補強材のない構造でしかも従
来のアクリル系樹脂では得られなかった耐衝撃性、耐熱
性、難燃性、絶縁信頼性を兼ね備えた材料が可能にな
り、薄型軽量化、高速伝送化に適し、かつ量産性に優れ
た多層プリント配線板の製造が可能になり工業上極めて
有用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内層板の銅箔回路の表面を腐食液で化学
    的に粗化する工程、前記粗化後の銅箔回路の表面をニッ
    ケルまたはニッケル含有金属のめっきで被覆する工程、
    前記金属のめっきを形成した後の内層板を下記式(1)
    で表されるシラン化合物で処理する工程、前記シラン化
    合物で処理した内層板上に硬化性絶縁樹脂による絶縁樹
    脂層を形成する工程、並びに前記絶縁樹脂層の表面に配
    線パターンを形成する工程からなることを特徴とする多
    層プリント配線板の製造方法。 【化1】 (X−CH2 n −Si−(OR)4-n (1) n=1,2,3 R=炭素数1〜3のアルキル基 X=グリシジル基、メルカプト基、アミノ基から選ばれ
    た基、または2級アミン
  2. 【請求項2】 硬化性絶縁樹脂が、硬化に関与する官能
    基として重合性C=C不飽和二重結合を有する樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】 硬化性絶縁樹脂が、(1)アクリル酸お
    よび/またはメタクリル酸とアクリル酸エステルおよび
    /またはメタクリル酸エステルとを主成分とする線状重
    合体であって、その構成成分であるアクリル酸および/
    またはメタクリル酸の一部または全部に、グリシジル基
    およびC=C不飽和二重結合を有する化合物を付加させ
    た線状重合体、(2)C=C不飽和二重結合を1個以上
    有する重合性化合物、(3)平均粒径が5μm以下の微
    粒子状弾性重合体、(4)ハロゲン化フェノール化合物
    のグリシジルエーテルとアクリル酸および/またはメタ
    クリル酸との反応物、(5)リンまたはリン系難燃剤、
    並びに(6)加熱または活性エネルギー線の照射によっ
    て前記C=C不飽和二重結合の重合を開始させ得る重合
    開始剤を配合してなる樹脂組成物であることを特徴とす
    る、請求項1または2に記載の多層プリント配線板の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 内層板の銅箔回路の表面を腐食液で化学
    的に粗化する工程、前記粗化後の銅箔回路の表面をニッ
    ケルまたはニッケル含有金属のめっきで被覆する工程、
    前記金属のめっきを形成した後の内層板を前記式(1)
    で表されるシラン化合物で処理する工程、未硬化または
    半硬化状態の硬化性絶縁樹脂を銅箔の粗化面にコーティ
    ングしてなる樹脂付き銅箔の樹脂面を、前記シラン化合
    物で処理した内層板上にラミネートする工程、ラミネー
    トにより形成された外層の銅箔の、前記内層板の銅箔回
    路上に当たる所定の位置に、エッチング法により微細穴
    を明けて絶縁樹脂層を露出させる工程、銅箔の微細穴の
    下に露出した絶縁樹脂を除去して穴を明け内層板の銅箔
    回路を露出させる工程、絶縁樹脂層を硬化させる工程、
    微細穴の下に形成した絶縁樹脂の穴の内面に銅めっきを
    して内層板の銅箔回路と外層の銅箔とを接続する工程、
    エッチングにより外層の銅箔に配線パターンを形成する
    工程からなることを特徴とする請求項1乃至3に記載の
    多層プリント配線板の製造方法。
JP17210298A 1998-06-05 1998-06-05 多層プリント配線板の製造方法 Pending JPH11354922A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17210298A JPH11354922A (ja) 1998-06-05 1998-06-05 多層プリント配線板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17210298A JPH11354922A (ja) 1998-06-05 1998-06-05 多層プリント配線板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11354922A true JPH11354922A (ja) 1999-12-24

Family

ID=15935590

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17210298A Pending JPH11354922A (ja) 1998-06-05 1998-06-05 多層プリント配線板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11354922A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011086972A1 (ja) * 2010-01-15 2011-07-21 Jx日鉱日石金属株式会社 電子回路及びその形成方法並びに電子回路形成用銅張積層板
JP2012102365A (ja) * 2010-11-10 2012-05-31 Koichi Kugimiya 機能性紋様形成方法及び機能性デバイス
JP2016211036A (ja) * 2015-05-08 2016-12-15 富士通株式会社 金属表面処理液、配線構造、及び配線構造の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011086972A1 (ja) * 2010-01-15 2011-07-21 Jx日鉱日石金属株式会社 電子回路及びその形成方法並びに電子回路形成用銅張積層板
CN102714915A (zh) * 2010-01-15 2012-10-03 吉坤日矿日石金属株式会社 电子电路及其形成方法以及电子电路形成用覆铜层压板
JP5248684B2 (ja) * 2010-01-15 2013-07-31 Jx日鉱日石金属株式会社 電子回路及びその形成方法並びに電子回路形成用銅張積層板
JP2012102365A (ja) * 2010-11-10 2012-05-31 Koichi Kugimiya 機能性紋様形成方法及び機能性デバイス
JP2016211036A (ja) * 2015-05-08 2016-12-15 富士通株式会社 金属表面処理液、配線構造、及び配線構造の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20110088933A1 (en) Low dielectric loss wiring board, multilayer wiring board, copper foil and laminate
WO2017026501A1 (ja) 多層プリント配線板の製造方法、接着層付き金属箔、金属張積層板、多層プリント配線板
JP2007001291A (ja) 接着補助剤付金属箔、およびこれを用いたプリント配線板およびその製造方法
JP2006159900A (ja) 接着補助剤付金属箔及びそれを用いたプリント配線板
JP6045872B2 (ja) フレキシブルプリント配線板
JPH1126945A (ja) 多層プリント配線板の製造方法
JPH11354922A (ja) 多層プリント配線板の製造方法
JPH1154919A (ja) 多層プリント配線板およびその製造方法
JP4505284B2 (ja) 多層配線板の製造方法
JP2000082878A (ja) ビルドアップ多層プリント配線板の製造方法
JPH1154936A (ja) 多層プリント配線板およびその製造方法
JP2000017133A (ja) 絶縁用樹脂組成物およびこれを用いた多層プリント配線板の製造方法
JP2000186217A (ja) 絶縁用樹脂組成物およびこれを用いた多層プリント配線板の製造方法
JP5516657B2 (ja) 接着補助剤付金属箔、およびこれを用いたプリント配線板およびその製造方法
JP2000022332A (ja) 多層プリント配線板の製造方法
JP5055659B2 (ja) 絶縁樹脂組成物およびその用途ならびに配線板の製造方法
JPH08174755A (ja) 銅張絶縁シートおよび多層プリント配線板の製造方法
JP4759883B2 (ja) 絶縁樹脂組成物及びこれを用いた多層配線板の製造方法
JPH07283540A (ja) 多層プリント配線板およびその製造方法
JPH10182758A (ja) 絶縁用樹脂組成物およびこれを用いた多層プリント配線板の製造方法
JP2560952B2 (ja) 樹脂組成物、樹脂付き銅はくおよびブラインドバイアホールを有する多層プリント配線板の製造方法
JP2567357B2 (ja) プリント配線用基板
JP2003243836A (ja) 多層配線板の製造方法及び絶縁樹脂組成物
JP4126735B2 (ja) 特定の酸化防止剤を含む絶縁樹脂を用いた多層配線板の製造方法
JPH06260733A (ja) 銅張絶縁シート用樹脂組成物