JP3545946B2 - 階調表示用制御方法および制御回路 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置などの画素を階調データに応じて見かけの輝度を換えるための階調表示用制御方法および制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、たとえば特開平1−267697や特開平2−1812などで開示されているように、液晶表示装置では多階調表示が行われている。特開平1−267697では、諸定数のフレームを1表示単位とするとともに、表示単位中で表示するフレームの数を階調に対応させている。特開平2−1812では、パルス幅変調(PWM)方式で階調表示を行う。PWM方式も、所定の時間内で、階調に応じて表示する時間の割合を変化させることに関しては、1つの表示単位毎に階調に対応した数のフレームを表示することと実質的に同等である。
【0003】
図6は、1表示期間中表示するフレーム数を、階調データに応じて変化させるための概略的な構成を示す。フレームカウンタ1は1表示期間を階調数で分割したタイミングで発生されるクロック信号を計数する。階調データラッチ2は、1つの画素で表示すべき階調を表すデータを記憶する。比較器3は、フレームカウンタ1の計数値と階調データラッチ2の記憶値とを、それぞれデジタルデータとして比較する。4ビットで表される16階調の場合を例として説明すると、フレームカウンタ1の計数値は、最上位ビット(MSB)23から最下位ビット(LSB)20までを、比較器のA1〜A4の入力にそれぞれ与える。階調データラッチ2の記憶値は、最上位ビット23から最下位ビット20までを、比較器3のB1〜B4の入力にそれぞれ与える。比較器3では、A<Bの条件が満たされるときに、表示を行う出力を導出する。
【0004】
図7は、階調データB=9のときに、フレームカウンタ1の計数値に合わせて、表示される波形を示す。フレームカウンタの計数値nが8以下のときには、たとえば発光ダイオード(以下「LED)と略称する)などの表示器が点灯するON状態となる。計数値nがBの値以上になると、LEDは消灯するOFF状態となる。階調数が16であれば、nが0〜15までを1期間として繰返し、そのうちのn=0から8までの期間がON状態であるので、9/16の割合で表示が行われる。
【0005】
特開平9−90906には、1輝度変調フレーム周期における階調制御クロック数は、同一またはほぼ同一として、階調に応じてクロックの周期を輝度変調フレーム周期の前期と後期とで変化させる先行技術が開示されている。図7では、階調表示の1期間を階調数で分割するクロック信号は同一の周期で与えられるけれども、この先行技術ではクロックの周期を調整して、階調データを変えることなく、周囲の明るさなどに対応してLED表示の輝度の明るさを調整している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示すような階調表示の考え方では点灯と消灯とが交互に繰返され、しかもその繰返しの割合は表示の単位期間内で1回ずつであり、階調に応じて相対的な割合が変化する。特開平2−1812のようなPWM方式でも、表示と非表示との交互の繰返し周期は1表示単位期間であり、表示と非表示との相対的な時間的割合が階調に応じて変化する点では同一である。このような階調表示では、時間軸方向に点灯と非点灯とがかたまり、階調データが階調数の半分程度であるときに、1表示単位期間の半分で表示し、半分で非表示となる。すなわち、相対的に長い期間連続して表示し、長い期間連続して非表示となるので、フリッカと呼ばれるちらつきが目立ち、画面が見づらくなるという問題が生じる。表示の単位とする期間を短くして、一定時間内に多くの画像を表示するようにすれば、フリッカは目立ちにくくなるけれども、単位時間内に多くの画像データを転送するために高速なデータ転送が必要となってしまう。
【0007】
特開平9−90906の先行技術のように、クロックを変化させて、輝度の調整を行ってもフリッカの改善が困難である一方、クロックの周期を変化させるための構成が必要となる。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で、フリッカを低減することができる階調表示用制御方法およひ制御回路を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、画像表示のフレーム期間毎に、画素を表示する時間的割合を、画素毎に階調データに応じて変化させる階調表示用制御方法において、
画像表示の1フレーム期間を階調数で分割し、
1フレーム期間の階調数での分割時点を表すクロック信号を計数し、
計数値を、階調数を2進数で表すビット数と同数のビット数を用いる2進数で表現し、
計数値の2進数表現を、最上位ビットと他のビットとを入れ換えて表現し、
計数値の入れ換え表現と階調データとを比較して、計数値の入れ換え表現値が階調データよりも小さい条件で画素を表示し、他の条件で画素を非表示にすることによって、
各画素を表示する階調データが2以上で、かつ最大値よりも2以上小さい値であるとき、各画素の表示と非表示とを1フレーム期間内で複数回繰返し、かつ表示と非表示との切換えを、1フレーム期間が階調数で分割される時点のいずれかで行うように制御することを特徴とする階調表示用制御方法である。
【0010】
本発明に従えば、フレーム期間毎に画素を表示する時間的割合を、各画素を表示する階調データが2以上で、かつ階調データの最大値よりも2以上小さい数であるときに、画像表示の1フレーム期間を階調数で分割するいずれかの時点で画素の表示と非表示とを切換え、表示と非表示とを複数回繰返すように制御する。1フレーム期間内でも、各画素に対して複数回の表示と非表示との繰返しが行われるので、フリッカを低減させることができる。
【0012】
また、階調数でフレーム期間を分割する時点を示すクロック信号を計数した2進数の最上位ビットを他のビットと入れ換えて表現し、階調データと比較して小さくなる条件で表示を行い、他の条件で表示を行わないので、全体としては階調データに応じた表示を行うことができる。階調データと比較する最上位ビットが計数値の下位のビットのデータとなるので、階調データと比較する入れ換えた計数値は変化が大きく、1フレーム期間内で複数回の表示と非表示とを繰換えさせることができる。
【0013】
また本発明は、前記計数値の2進数表現の入れ換えは、元の最上位ビットから最下位ビットまでを順に、最下位ビットから最上位ビットとなるように行うことを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、階調表示用のクロック信号の計数値の最上位ビットから最下位ビットまでを、順に、最下位ビットから最上位ビットまでに入れ換えて、階調データと比較するので、入れ換えた計数値の変化を最も大きくして、表示と非表示との切換え回数を最大限にすることができる。
【0015】
また本発明で前記各画素は、マトリクス状に配置される発光ダイオードで表示されることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、発光ダイオードをマトリクス状に配置して表示する際に、データの転送速度を高速にしないでも時間軸による点灯のかたまりがなくなるので、フリッカを低減させることができる。
【0017】
さらに本発明は、表示装置を階調表示させるための階調表示用制御装置であって、
画像表示のフレーム期間を、階調数で分割した周期でクロック信号を発生するクロック発生回路と、
クロック発生回路からの信号を計数し、計数値を2進数で出力するカウンタと、
カウンタの計数値を、最上位ビットから最下位ビットまでを順に入れ換えて入力し、2進数で表現される階調データと比較する比較器と、
比較器からの出力に応答して、ビットを入れ換えた計数値が階調データよりも小さい条件で表示を行い、他の条件では表示を行わないように制御する制御回路とを含むことを特徴とする階調表示用制御装置である。
【0018】
本発明に従えば、クロック発生器から画像表示のフレーム期間を階調数で分割した周期でクロック信号を発生させ、カウンタで計数する。カウンタの計数値は最上位ビットと最下位ビットとを順に入れ換えて、比較器で階調データと比較される。制御回路は、比較器からの出力に応答して、ビットを入れ換えた計数値が階調データよりも小さい条件で表示を行い、他の条件で表示を行わないように制御する。ビットを入れ換えた計数値は、クロック信号を1つ計数する毎に大きく値を変化させ、比較器からの出力も変化する可能性が大きくなる。時間軸方向に表示がかたまって行われるのを避けて、表示でのフリッカを低減させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態としての階調表示用制御装置10の概略的な電気的構成を示す。階調表示用制御装置10は、図6で示した従来からの構成と同様に、フレームカウンタ11、階調データラッチ12および比較器13を備える。フレームカウンタ11は、クロック発生器14から、1フレーム期間を階調数で分割した周期で発生されるクロック信号を計数する。16階調で表示する場合を想定すると、フレームカウンタ11は4ビットでクロック信号を計数する。階調データラッチ12は、4ビットで表される階調データを記憶する。比較器13は、4ビットずつのデジタル値A,Bを比較し、A<Bのときにドライバ15を制御してLED16が点灯するように制御する。
【0020】
本実施形態では、フレームカウンタ11の出力する計数値の最下位ビット20から最上位ビット23までを、比較器13のA入力の最上位ビットA1〜最下位ビットA4にそれぞれ入力する。階調データラッチ12の最上位ビット23〜最下位ビット20は、比較器13のBデータの最上位ビットB1〜最下位ビットB4にそれぞれ入力する。すなわち、フレームカウンタ11の計数値は、最上位ビットから最下位ビットまでを順に最下位ビットから最上位ビットまでに入れ換えて比較器13のAデータとして入力する。比較器のAデータとして入力されるビットを入れ換えたフレームカウンタ11の計数値n’は、元の計数値nに対して、次の表1に示すような関係を有する。
【0021】
【表1】
【0022】
表1のn’の値がAの値として比較器13は階調データBと比較するので図2に斜線を施して示す期間にLED16が点灯するON状態となる。この期間は、階調データである9よりn’が小さい区間であり、図7と同等の時間的な割合で階調表示が行われる。全体としての点灯区間の数は図7と同様に1フレーム期間中9となって、全体としての点灯時間の割合9/16は同一であることが分かる。しかしながら、時間軸方向に点灯する期間は1箇所にかたまらず分散されるので、フリッカを低減することができる。ただし、階調データが0,1,14,15のとき、すなわち2未満、最大値より1だけ小さい値、または最大値では、点灯期間を分散する余地はないので、本発明を適用しても効果は生じない。
【0023】
本実施形態では、フレームカウンタ11の計数値の最上位ビットから最下位ビットまでを順に最下位ビットから最上位ビットまでに入れ換えて比較器13に入力しているけれども、いずれかの下位のビットを比較器13のデータ入力の最上位ビットに入れ換えれば、時間軸方向での点灯または非点灯の周期のかたまりを避けることができる。点灯または非点灯の区間が、1フレーム期間内でかたまらずに分散されると、平均化され、フリッカを低減することができる。
【0024】
図3は、本発明の他の形態としてのLED表示装置20の概略的な電気的構成を示す。ドライバ部21にはシフトレジスタ22、ラッチ群23、比較器群24およびNPNトランジスタ群25を含む。シフトレジスタ22は1画素当たり4ビットで表される階調データを順次シフトしながら記憶する。ラッチ群23は、1画素毎に図1に示すフレームカウンタ11を備える。比較器24は、図1の比較器13をそれぞれ1画素毎に備える。ドライバ部21には図1のフレームカウンタ11およびクロック発生器14も備えられ、フレームカウンタ11の出力は各比較器13に共通に与えられる。各比較器13は、フレームカウンタ11の計数値のビットの順番を入れ換えたA入力と、各階調データラッチ12で階調データを表すB入力とを比較し、A<BとなるときNPNトランジスタ群25内の各NPNトランジスタON状態に制御する。
【0025】
NPNトランジスタ群25は、抵抗26を介してLED27のカソード側に接続される。NPNトランジスタ群の中の1つのNPNトランジスタがON状態となると、LEDが点灯する。抵抗26は、LED27に流れる電流を制限するために投入されている。LED27は、マトリクス状に配置され1つの表示パネルを構成する。
【0026】
以上の実施形態では、16階調の場合について説明しているけれども、同様に8ビットで256階調を付けることもできる。従来、256階調をちらつきなく表示するためには1秒間に30のフレームを表示し、1フレーム内を256で分割するために次の第1式で表されるフレーム周波数でクロック発生器14からクロック信号を発生する必要がある。
【0027】
フレーム周波数ffr=256階調×30回=7.68kHz …(1)
本発明を採用すると、次の第2式に示すフレーム周波数まで低下させることができる。
フレーム周波数ffr=256階調×15回=3.84kHz …(2)
【0028】
図4は、本発明の実施のさらに他の形態のドットマトリクスユニット30の概略的な構成を示す。LEDマトリクス31は、16×16のドットマトリクス状にLEDが配置され、画像表示を行う。LEDマトリクス31の16の列および行を駆動するために、16出力のシフトレジスタおよびドライバ32,33がそれぞれ設けられ、LEDマトリクス31の各LED側にそれぞれ接続される。LEDマトリクスを構成する各LEDのアノード側は、PNPドライバ34によって列毎に駆動される。PNPドライバ34には、デコーダ35,36によってアドレスライン37に与えられるA0〜A3のアドレス信号がデコードされて与えられる。LEDマトリクス31のLEDのカドード側の各行を駆動するシフトレジスタおよびドライバ32には階調データのRDATAが与えられ、ラッチ信号LATCH、イネーブル信号ENABLEで制御され、クロック信号CLOCKにしたがってシフト動作を行う。LEDマトリクス31の各LEDのカソードの列方向の駆動を行うシフトレジスタおよびドライバ33には、駆動データGDATAが与えられ、シフトレジスタおよびドライバ32と同様に制御される。
【0029】
図5は、図4に示すドットマトリクスユニット30を複数個配列して、さらに大きな画素数で画像表示を行う構成を示す。16×16ドットのドットマトリクスユニット30を10ユニットシリーズ接続して256階調表示を行おうとするためには、従来の図7に示すような考え方を適用すると、第3式に示すようなクロック周波数fCLKが必要である。
【0030】
本発明では、次の第4式のようにクロック周波数fCLKを低減することが可能となる。
【0031】
このように転送クロックの周波数を下げることができると、複数のドットマトリクスユニット30間を接続する行データライン39や列データライン40などからの不要副射を抑えることが可能となる。これによって、VCCI対策も簡略化することができ、表示装置のコストダウンが可能となる。
【0032】
以上説明した各実施形態では、階調数を16階調や256階調としているけれども、他の階調数とすることも可能である。また、表示はLEDで発光表示する場合について説明しているけれども、他の発光表示として、たとえばエレクトロルミネセンス(EL)やプラズマディスプレイパネル(PDP)、蛍光表示管などでも同様の階調表示を行うことができる。さらに、液晶表示装置(LCD)などでも本発明を適用して階調表示を行うことができる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、階調データの階調数で画像表示の1フレーム期間を分割した時点のいずれかで画素の表示と非表示とを切換え、複数回に分けて表示と非表示とを行うようにするので、表示と非表示とが時間軸方向でかたまるのを避けて、フリッカを低減することができる。
【0034】
また、フレーム期間の階調数での分割時点を表すクロック信号の計数値の最上位ビットを他のビットと入れ換えて階調データと比較するので、階調データと比較する入れ換えた計数値は時間軸方向での変化が大きくなり、時間軸方向に表示期間あるいは非表示期間がかたまるのを避けることができる。
【0035】
また本発明によれば、計数値の最上位ビットと最下位ビットとを順に入れ換えて階調データと比較するので、クロック信号の計数毎に入れ換えた計数値の変化が大きくなり、表示と非表示との切換の入れ換えの可能性を高めることができる。
【0036】
また本発明によれば、発光ダイオードによるマトリクス表示での階調データの転送速度を高速にしないでもフリッカを低減することができる。
【0037】
さらに本発明によれば、カウンタの計数値を最上位ビットから最下位ビットまでを順に入れ換えた状態で比較器で階調データと比較し、比較器の出力で表示を行うか行わないかを切換えるので、表示を行う期間や表示を行わない期間が時間軸方向にかたまることなく、フリッカを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の概略的な電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1の実施形態での表示と非表示とのタイミングを示す波形図である。
【図3】本発明の実施の他の形態のLED表示装置20の概略的な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施のさらに他の形態のドットマトリクスユニット30の概略的な電気的構成を示すブロック図である。
【図5】図4のドットマトリクスユニット30を複数個接続した状態を示す簡略化したブロック図である。
【図6】従来からの階調表示を行うための基本的な構成を示すブロック図である。
【図7】図6の構成で行われる階調表示の波形図である。
【符号の説明】
10 階調表示用制御装置
11 フレームカウンタ
12 階調データラッチ
13 比較器
14 クロック発生器
15 ドライバ
16 LED
20 LED表示装置
21 ドライバ部
22 シフトレジスタ
27 LED
30 ドットマトリクスユニット
31 LEDマトリクス
32,33 シフトレジスタおよびドライバ
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置などの画素を階調データに応じて見かけの輝度を換えるための階調表示用制御方法および制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、たとえば特開平1−267697や特開平2−1812などで開示されているように、液晶表示装置では多階調表示が行われている。特開平1−267697では、諸定数のフレームを1表示単位とするとともに、表示単位中で表示するフレームの数を階調に対応させている。特開平2−1812では、パルス幅変調(PWM)方式で階調表示を行う。PWM方式も、所定の時間内で、階調に応じて表示する時間の割合を変化させることに関しては、1つの表示単位毎に階調に対応した数のフレームを表示することと実質的に同等である。
【0003】
図6は、1表示期間中表示するフレーム数を、階調データに応じて変化させるための概略的な構成を示す。フレームカウンタ1は1表示期間を階調数で分割したタイミングで発生されるクロック信号を計数する。階調データラッチ2は、1つの画素で表示すべき階調を表すデータを記憶する。比較器3は、フレームカウンタ1の計数値と階調データラッチ2の記憶値とを、それぞれデジタルデータとして比較する。4ビットで表される16階調の場合を例として説明すると、フレームカウンタ1の計数値は、最上位ビット(MSB)23から最下位ビット(LSB)20までを、比較器のA1〜A4の入力にそれぞれ与える。階調データラッチ2の記憶値は、最上位ビット23から最下位ビット20までを、比較器3のB1〜B4の入力にそれぞれ与える。比較器3では、A<Bの条件が満たされるときに、表示を行う出力を導出する。
【0004】
図7は、階調データB=9のときに、フレームカウンタ1の計数値に合わせて、表示される波形を示す。フレームカウンタの計数値nが8以下のときには、たとえば発光ダイオード(以下「LED)と略称する)などの表示器が点灯するON状態となる。計数値nがBの値以上になると、LEDは消灯するOFF状態となる。階調数が16であれば、nが0〜15までを1期間として繰返し、そのうちのn=0から8までの期間がON状態であるので、9/16の割合で表示が行われる。
【0005】
特開平9−90906には、1輝度変調フレーム周期における階調制御クロック数は、同一またはほぼ同一として、階調に応じてクロックの周期を輝度変調フレーム周期の前期と後期とで変化させる先行技術が開示されている。図7では、階調表示の1期間を階調数で分割するクロック信号は同一の周期で与えられるけれども、この先行技術ではクロックの周期を調整して、階調データを変えることなく、周囲の明るさなどに対応してLED表示の輝度の明るさを調整している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示すような階調表示の考え方では点灯と消灯とが交互に繰返され、しかもその繰返しの割合は表示の単位期間内で1回ずつであり、階調に応じて相対的な割合が変化する。特開平2−1812のようなPWM方式でも、表示と非表示との交互の繰返し周期は1表示単位期間であり、表示と非表示との相対的な時間的割合が階調に応じて変化する点では同一である。このような階調表示では、時間軸方向に点灯と非点灯とがかたまり、階調データが階調数の半分程度であるときに、1表示単位期間の半分で表示し、半分で非表示となる。すなわち、相対的に長い期間連続して表示し、長い期間連続して非表示となるので、フリッカと呼ばれるちらつきが目立ち、画面が見づらくなるという問題が生じる。表示の単位とする期間を短くして、一定時間内に多くの画像を表示するようにすれば、フリッカは目立ちにくくなるけれども、単位時間内に多くの画像データを転送するために高速なデータ転送が必要となってしまう。
【0007】
特開平9−90906の先行技術のように、クロックを変化させて、輝度の調整を行ってもフリッカの改善が困難である一方、クロックの周期を変化させるための構成が必要となる。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で、フリッカを低減することができる階調表示用制御方法およひ制御回路を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、画像表示のフレーム期間毎に、画素を表示する時間的割合を、画素毎に階調データに応じて変化させる階調表示用制御方法において、
画像表示の1フレーム期間を階調数で分割し、
1フレーム期間の階調数での分割時点を表すクロック信号を計数し、
計数値を、階調数を2進数で表すビット数と同数のビット数を用いる2進数で表現し、
計数値の2進数表現を、最上位ビットと他のビットとを入れ換えて表現し、
計数値の入れ換え表現と階調データとを比較して、計数値の入れ換え表現値が階調データよりも小さい条件で画素を表示し、他の条件で画素を非表示にすることによって、
各画素を表示する階調データが2以上で、かつ最大値よりも2以上小さい値であるとき、各画素の表示と非表示とを1フレーム期間内で複数回繰返し、かつ表示と非表示との切換えを、1フレーム期間が階調数で分割される時点のいずれかで行うように制御することを特徴とする階調表示用制御方法である。
【0010】
本発明に従えば、フレーム期間毎に画素を表示する時間的割合を、各画素を表示する階調データが2以上で、かつ階調データの最大値よりも2以上小さい数であるときに、画像表示の1フレーム期間を階調数で分割するいずれかの時点で画素の表示と非表示とを切換え、表示と非表示とを複数回繰返すように制御する。1フレーム期間内でも、各画素に対して複数回の表示と非表示との繰返しが行われるので、フリッカを低減させることができる。
【0012】
また、階調数でフレーム期間を分割する時点を示すクロック信号を計数した2進数の最上位ビットを他のビットと入れ換えて表現し、階調データと比較して小さくなる条件で表示を行い、他の条件で表示を行わないので、全体としては階調データに応じた表示を行うことができる。階調データと比較する最上位ビットが計数値の下位のビットのデータとなるので、階調データと比較する入れ換えた計数値は変化が大きく、1フレーム期間内で複数回の表示と非表示とを繰換えさせることができる。
【0013】
また本発明は、前記計数値の2進数表現の入れ換えは、元の最上位ビットから最下位ビットまでを順に、最下位ビットから最上位ビットとなるように行うことを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、階調表示用のクロック信号の計数値の最上位ビットから最下位ビットまでを、順に、最下位ビットから最上位ビットまでに入れ換えて、階調データと比較するので、入れ換えた計数値の変化を最も大きくして、表示と非表示との切換え回数を最大限にすることができる。
【0015】
また本発明で前記各画素は、マトリクス状に配置される発光ダイオードで表示されることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、発光ダイオードをマトリクス状に配置して表示する際に、データの転送速度を高速にしないでも時間軸による点灯のかたまりがなくなるので、フリッカを低減させることができる。
【0017】
さらに本発明は、表示装置を階調表示させるための階調表示用制御装置であって、
画像表示のフレーム期間を、階調数で分割した周期でクロック信号を発生するクロック発生回路と、
クロック発生回路からの信号を計数し、計数値を2進数で出力するカウンタと、
カウンタの計数値を、最上位ビットから最下位ビットまでを順に入れ換えて入力し、2進数で表現される階調データと比較する比較器と、
比較器からの出力に応答して、ビットを入れ換えた計数値が階調データよりも小さい条件で表示を行い、他の条件では表示を行わないように制御する制御回路とを含むことを特徴とする階調表示用制御装置である。
【0018】
本発明に従えば、クロック発生器から画像表示のフレーム期間を階調数で分割した周期でクロック信号を発生させ、カウンタで計数する。カウンタの計数値は最上位ビットと最下位ビットとを順に入れ換えて、比較器で階調データと比較される。制御回路は、比較器からの出力に応答して、ビットを入れ換えた計数値が階調データよりも小さい条件で表示を行い、他の条件で表示を行わないように制御する。ビットを入れ換えた計数値は、クロック信号を1つ計数する毎に大きく値を変化させ、比較器からの出力も変化する可能性が大きくなる。時間軸方向に表示がかたまって行われるのを避けて、表示でのフリッカを低減させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態としての階調表示用制御装置10の概略的な電気的構成を示す。階調表示用制御装置10は、図6で示した従来からの構成と同様に、フレームカウンタ11、階調データラッチ12および比較器13を備える。フレームカウンタ11は、クロック発生器14から、1フレーム期間を階調数で分割した周期で発生されるクロック信号を計数する。16階調で表示する場合を想定すると、フレームカウンタ11は4ビットでクロック信号を計数する。階調データラッチ12は、4ビットで表される階調データを記憶する。比較器13は、4ビットずつのデジタル値A,Bを比較し、A<Bのときにドライバ15を制御してLED16が点灯するように制御する。
【0020】
本実施形態では、フレームカウンタ11の出力する計数値の最下位ビット20から最上位ビット23までを、比較器13のA入力の最上位ビットA1〜最下位ビットA4にそれぞれ入力する。階調データラッチ12の最上位ビット23〜最下位ビット20は、比較器13のBデータの最上位ビットB1〜最下位ビットB4にそれぞれ入力する。すなわち、フレームカウンタ11の計数値は、最上位ビットから最下位ビットまでを順に最下位ビットから最上位ビットまでに入れ換えて比較器13のAデータとして入力する。比較器のAデータとして入力されるビットを入れ換えたフレームカウンタ11の計数値n’は、元の計数値nに対して、次の表1に示すような関係を有する。
【0021】
【表1】
【0022】
表1のn’の値がAの値として比較器13は階調データBと比較するので図2に斜線を施して示す期間にLED16が点灯するON状態となる。この期間は、階調データである9よりn’が小さい区間であり、図7と同等の時間的な割合で階調表示が行われる。全体としての点灯区間の数は図7と同様に1フレーム期間中9となって、全体としての点灯時間の割合9/16は同一であることが分かる。しかしながら、時間軸方向に点灯する期間は1箇所にかたまらず分散されるので、フリッカを低減することができる。ただし、階調データが0,1,14,15のとき、すなわち2未満、最大値より1だけ小さい値、または最大値では、点灯期間を分散する余地はないので、本発明を適用しても効果は生じない。
【0023】
本実施形態では、フレームカウンタ11の計数値の最上位ビットから最下位ビットまでを順に最下位ビットから最上位ビットまでに入れ換えて比較器13に入力しているけれども、いずれかの下位のビットを比較器13のデータ入力の最上位ビットに入れ換えれば、時間軸方向での点灯または非点灯の周期のかたまりを避けることができる。点灯または非点灯の区間が、1フレーム期間内でかたまらずに分散されると、平均化され、フリッカを低減することができる。
【0024】
図3は、本発明の他の形態としてのLED表示装置20の概略的な電気的構成を示す。ドライバ部21にはシフトレジスタ22、ラッチ群23、比較器群24およびNPNトランジスタ群25を含む。シフトレジスタ22は1画素当たり4ビットで表される階調データを順次シフトしながら記憶する。ラッチ群23は、1画素毎に図1に示すフレームカウンタ11を備える。比較器24は、図1の比較器13をそれぞれ1画素毎に備える。ドライバ部21には図1のフレームカウンタ11およびクロック発生器14も備えられ、フレームカウンタ11の出力は各比較器13に共通に与えられる。各比較器13は、フレームカウンタ11の計数値のビットの順番を入れ換えたA入力と、各階調データラッチ12で階調データを表すB入力とを比較し、A<BとなるときNPNトランジスタ群25内の各NPNトランジスタON状態に制御する。
【0025】
NPNトランジスタ群25は、抵抗26を介してLED27のカソード側に接続される。NPNトランジスタ群の中の1つのNPNトランジスタがON状態となると、LEDが点灯する。抵抗26は、LED27に流れる電流を制限するために投入されている。LED27は、マトリクス状に配置され1つの表示パネルを構成する。
【0026】
以上の実施形態では、16階調の場合について説明しているけれども、同様に8ビットで256階調を付けることもできる。従来、256階調をちらつきなく表示するためには1秒間に30のフレームを表示し、1フレーム内を256で分割するために次の第1式で表されるフレーム周波数でクロック発生器14からクロック信号を発生する必要がある。
【0027】
フレーム周波数ffr=256階調×30回=7.68kHz …(1)
本発明を採用すると、次の第2式に示すフレーム周波数まで低下させることができる。
フレーム周波数ffr=256階調×15回=3.84kHz …(2)
【0028】
図4は、本発明の実施のさらに他の形態のドットマトリクスユニット30の概略的な構成を示す。LEDマトリクス31は、16×16のドットマトリクス状にLEDが配置され、画像表示を行う。LEDマトリクス31の16の列および行を駆動するために、16出力のシフトレジスタおよびドライバ32,33がそれぞれ設けられ、LEDマトリクス31の各LED側にそれぞれ接続される。LEDマトリクスを構成する各LEDのアノード側は、PNPドライバ34によって列毎に駆動される。PNPドライバ34には、デコーダ35,36によってアドレスライン37に与えられるA0〜A3のアドレス信号がデコードされて与えられる。LEDマトリクス31のLEDのカドード側の各行を駆動するシフトレジスタおよびドライバ32には階調データのRDATAが与えられ、ラッチ信号LATCH、イネーブル信号ENABLEで制御され、クロック信号CLOCKにしたがってシフト動作を行う。LEDマトリクス31の各LEDのカソードの列方向の駆動を行うシフトレジスタおよびドライバ33には、駆動データGDATAが与えられ、シフトレジスタおよびドライバ32と同様に制御される。
【0029】
図5は、図4に示すドットマトリクスユニット30を複数個配列して、さらに大きな画素数で画像表示を行う構成を示す。16×16ドットのドットマトリクスユニット30を10ユニットシリーズ接続して256階調表示を行おうとするためには、従来の図7に示すような考え方を適用すると、第3式に示すようなクロック周波数fCLKが必要である。
【0030】
本発明では、次の第4式のようにクロック周波数fCLKを低減することが可能となる。
【0031】
このように転送クロックの周波数を下げることができると、複数のドットマトリクスユニット30間を接続する行データライン39や列データライン40などからの不要副射を抑えることが可能となる。これによって、VCCI対策も簡略化することができ、表示装置のコストダウンが可能となる。
【0032】
以上説明した各実施形態では、階調数を16階調や256階調としているけれども、他の階調数とすることも可能である。また、表示はLEDで発光表示する場合について説明しているけれども、他の発光表示として、たとえばエレクトロルミネセンス(EL)やプラズマディスプレイパネル(PDP)、蛍光表示管などでも同様の階調表示を行うことができる。さらに、液晶表示装置(LCD)などでも本発明を適用して階調表示を行うことができる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、階調データの階調数で画像表示の1フレーム期間を分割した時点のいずれかで画素の表示と非表示とを切換え、複数回に分けて表示と非表示とを行うようにするので、表示と非表示とが時間軸方向でかたまるのを避けて、フリッカを低減することができる。
【0034】
また、フレーム期間の階調数での分割時点を表すクロック信号の計数値の最上位ビットを他のビットと入れ換えて階調データと比較するので、階調データと比較する入れ換えた計数値は時間軸方向での変化が大きくなり、時間軸方向に表示期間あるいは非表示期間がかたまるのを避けることができる。
【0035】
また本発明によれば、計数値の最上位ビットと最下位ビットとを順に入れ換えて階調データと比較するので、クロック信号の計数毎に入れ換えた計数値の変化が大きくなり、表示と非表示との切換の入れ換えの可能性を高めることができる。
【0036】
また本発明によれば、発光ダイオードによるマトリクス表示での階調データの転送速度を高速にしないでもフリッカを低減することができる。
【0037】
さらに本発明によれば、カウンタの計数値を最上位ビットから最下位ビットまでを順に入れ換えた状態で比較器で階調データと比較し、比較器の出力で表示を行うか行わないかを切換えるので、表示を行う期間や表示を行わない期間が時間軸方向にかたまることなく、フリッカを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の概略的な電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1の実施形態での表示と非表示とのタイミングを示す波形図である。
【図3】本発明の実施の他の形態のLED表示装置20の概略的な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施のさらに他の形態のドットマトリクスユニット30の概略的な電気的構成を示すブロック図である。
【図5】図4のドットマトリクスユニット30を複数個接続した状態を示す簡略化したブロック図である。
【図6】従来からの階調表示を行うための基本的な構成を示すブロック図である。
【図7】図6の構成で行われる階調表示の波形図である。
【符号の説明】
10 階調表示用制御装置
11 フレームカウンタ
12 階調データラッチ
13 比較器
14 クロック発生器
15 ドライバ
16 LED
20 LED表示装置
21 ドライバ部
22 シフトレジスタ
27 LED
30 ドットマトリクスユニット
31 LEDマトリクス
32,33 シフトレジスタおよびドライバ
Claims (4)
- 画像表示のフレーム期間毎に、画素を表示する時間的割合を、画素毎に階調データに応じて変化させる階調表示用制御方法において、
画像表示の1フレーム期間を階調数で分割し、
1フレーム期間の階調数での分割時点を表すクロック信号を計数し、
計数値を、階調数を2進数で表すビット数と同数のビット数を用いる2進数で表現し、
計数値の2進数表現を、最上位ビットと他のビットとを入れ換えて表現し、
計数値の入れ換え表現と階調データとを比較して、計数値の入れ換え表現値が階調データよりも小さい条件で画素を表示し、他の条件で画素を非表示にすることによって、
各画素を表示する階調データが2以上で、かつ最大値よりも2以上小さい値であるとき、各画素の表示と非表示とを1フレーム期間内で複数回繰返し、かつ表示と非表示との切換えを、1フレーム期間が階調数で分割される時点のいずれかで行うように制御することを特徴とする階調表示用制御方法。 - 前記計数値の2進数表現の入れ換えは、元の最上位ビットから最下位ビットまでを順に、最下位ビットから最上位ビットとなるように行うことを特徴とする請求項1記載の階調表示用制御方法。
- 前記各画素は、マトリクス状に配置される発光ダイオードで表示されることを特徴とする請求項1または2記載の階調表示用制御方法。
- 表示装置を階調表示させるための階調表示用制御装置であって、
画像表示のフレーム期間を、階調数で分割した周期でクロック信号を発生するクロック発生回路と、
クロック発生回路からの信号を計数し、計数値を2進数で出力するカウンタと、
カウンタの計数値を、最上位ビットから最下位ビットまでを順に入れ換えて入力し、2進数で表現される階調データと比較する比較器と、
比較器からの出力に応答して、ビットを入れ換えた計数値が階調データよりも小さい条件で表示を行い、他の条件では表示を行わないように制御する制御回路とを含むことを特徴とする階調表示用制御装置。
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