JP3545192B2 - 床暖房装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床面に敷設した温水配管内へ温水を循環させて暖房する床暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
室内を暖房する暖房装置には、室内を床面から暖房する床暖房装置がある。この床暖房装置では、室内の床面に温水チューブが織り込まれているマットを敷設し、熱源ユニットによって生成した温水を、温水チューブ内へ循環させることにより、室内を床面から暖房するようになっている。
【0003】
一方、空気調和機(以下「エアコン」と言う)には、冷媒を用いた冷凍サイクルによって冷暖房運転を行う一般的なものに加えて、温水を用いて室内の暖房を行う温水空気調和機(以下「温水エアコン」と言う)がある。温水エアコンでは、室内ユニットに、冷房時に用いる冷媒用の熱交換器(蒸発器)と共に温水熱交換器(放熱器)が設けられており、室外に配置される熱源ユニットによって生成した温水を室内ユニットの放熱器との間で循環させることにより、放熱器を通過して室内へ吹出される空気を加熱して暖房するようになっている。
【0004】
近年、温水エアコンと床暖房装置を用いた空調システムが普及しつつある。この空調システムでは、暖房時に熱源ユニットによって生成した温水を、温水エアコンの放熱器と床暖房装置の温水チューブのそれぞれへ循環させることにより、温水エアコンの室内ユニットから吹出す温風と床面の双方から室内の暖房を図ることができる。
【0005】
ところで、熱源ユニットの生成する温水の温度は略一定に保たれるので、床暖房装置では、温度センサによって検出する床温と、設定床温に基づいて温水を循環させている時間(オン時間)と温水の循環を停止させている時間(オフ時間)の比を制御することにより、床温を設定床温に保つようにしている。
【0006】
すなわち、所定の時間間隔で温度センサによって床温を検出しながら、検出した床温が設定床温より低いときにはオン時間が長くなるようにし、検出した床温が設定床温を越えたときには、オン時間が短くなるように制御する。これによって、床暖房装置によって暖房される床温が設定床温に保つようにすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、床温を検出する温度センサによって検出温度に誤差が生じたり温度センサに故障が発生すると、的確な床温の検出が困難となる。このために、暖房不足が生じたり、暖房の効きすぎによって床温が上昇して低温火傷等を生じさせてしまうことになり、温度センサに故障が発生しているか否かを的確に検出する必要がある。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、暖房能力の制御のために床温を検出する温度検出手段の故障の有無を的確に検出し、適切な暖房能力で床暖房を行うことができる床暖房装置を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、温水生成手段によって生成した所定の温度の温水を循環手段によって床面に敷設した温水配管内へ循環させて暖房する床暖房装置であって、所定の時間間隔で前記暖房される床面の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段によって検出された温度が適切な温度範囲であるか否かの判定の基準となる温度が記憶される記憶手段と、前記温度検出手段によって検出した温度と前記記憶手段に記憶されている温度を比較手段で比較して前記温度検出手段に異常があるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって正常と判定されたときに設定床温と前記温度検出手段によって検出した床温に基づいて前記循環手段の作動を制御する暖房制御手段とを含む構成とし、前記記憶手段に記憶される判定の基準となる温度は、前記温度検出手段によって検出されて前記判定手段によって否定判定された履歴の温度とし、前記判定手段は、前記記憶手段に記憶されている履歴の温度と前記温度検出手段によって次に検出した温度の温度差が所定以上となったときに異常と判定することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、記憶手段には、温度検出手段によって検出する床温が適切な範囲であるか否かを判定するときの基準となる温度が記憶される。判定手段は、温度検出手段によって検出した床面の温度と記憶手段に記憶されている履歴の温度とを比較して、温度検出手段によって検出された温度が不適値であるか否かを判定する。暖房制御手段は、温度検出手段の検出温度が不適値でなく、判定手段が異常でない(正常)と判定しているときに、温度検出手段の検出温度に基づいた暖房制御を行う。
【0011】
これによって、温度検出手段によって検出する床温に基づいて適切な暖房を行うことができる。
【0013】
また、この発明によれば、判定手段が不適切な温度でないと判定した温度検出手段の検出値を記憶手段に記憶する。また、判定手段は、記憶手段に記憶されている履歴の温度と、温度検出手段が検出した温度を比較し、検出した温度が異常か否かを判定する。すなわち、少なくとも前回の温度と今回の温度を比較することにより、温度検出手段によって検出した温度の異常の有無を判定する。
【0014】
この結果、例えば今回の検出温度が暖房能力を越える温度差が生じていたり、温度が大きく下がっていれば、温度検出手段によって検出した温度に異常があるので、温度検出手段に異常が発生していると判断できる。
【0015】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の床暖房装置において、前記温度検出手段によって検出されて前記判定手段によって否定判定された温度が前記記憶手段に記憶されているときに、前記比較手段が前記記憶手段に記憶されている温度から予測した床温と前記温度検出手段によって新たに検出した温度を比較し、該温度差が所定以上であるときに前記判定手段が異常と判定することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、判定手段が不適切な温度でないと判定した温度検出手段の検出温度を順に記憶手段に記憶する。これにより、記憶手段には、温度検出手段によって検出した床温の履歴が記憶される。判定手段は、床温の履歴に基づいて床温を予測し、予測した床温に基づいて温度検出手段によって検出した温度に異常がないか否かを判定する。
【0017】
これにより、温度検出手段の検出した温度が予測された床温と所定値以上の差があるときには、温度検出手段によって検出した温度に異常があると的確に判断することができる。
【0018】
なお、記憶手段に記憶されている温度と温度検出手段の検出温度を比較するときには暖房能力を含めることが好ましい。
【0019】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の床暖房装置において、前記暖房制御手段が最大の暖房能力となるように前記循環手段を作動させているときに、前記温度検出手段によって新たに検出された温度が前記記憶手段に記憶されている温度より高いときに前記判定手段が正常と判定することを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、例えば最大の暖房能力などの確実に床温を上昇させる暖房能力となっているときに、記憶手段に記憶している前回の床温と、新たに温度検出手段によって検出した温度を比較する。このとき、床温が上昇することになるが、温度検出手段によって検出した温度が上昇していなければ検出した温度に異常があると判断することができる。
【0023】
このように、温度検出手段によって検出する床温に基づいて暖房能力を制御するときに、温度検出手段の検出した温度に異常があるなどの暖房能力の制御を行ううえで不適値であるか否かを判断し、不適値でないと判断されたときにのみ、この温度に基づいた暖房能力の制御を行う。
【0024】
これにより、温度検出手段の故障等によって検出温度に異常が生じたときに、温度検出手段により検出した温度に基づいた暖房能力の制御を行わないようにすることにより、温度検出手段に異常が生じたまま暖房運転を継続することによる暖房の効きすぎや暖房不足を生じるのを防止することができる。
【0025】
なお、温度検出手段の検出する温度が不適値であると判断したときには、暖房運転を停止しても良いが、温度検出手段の検出した温度以外に異常が生じていないことが明確であれば、暖房運転を継続するようにしても良い。この場合、温度検出手段の検出した温度が不適切ではないと判断されるまで、既に設定されている暖房能力を維持するようにしても良く、又、室内温度や外気温度等の暖房負荷を予測することができる温度等の検出可能であれば、室内温度及び外気温度に基づいた暖房能力の制御を行うようにしても良い。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1に示されるように、本実施の形態に適用した空調システム11は、温水を用いて暖房を行う温水空気調和機(以下「温水エアコン10」と言う)と、温水を用いて床暖房を行う床暖房装置140及び温水エアコン10と床暖房装置140のそれぞれに接続される連動コントローラ20を備えている。温水エアコン10は、空調する室内に設置される室内機12と、屋外に設置される室外機14によって構成され、床暖房装置140は、室外機14と床暖房マット142によって構成され、室内機12の近傍に設けられる連動コントローラ20が、室内機12と室外機14に接続される。
【0028】
図1及び図3に示されるように、温水エアコン10の室内機12内には、冷凍サイクルによって循環される冷媒用の熱交換器である蒸発器16と、温水が循環される温水用の熱交換器である放熱器18を備えた室内ユニット22が設けられている。なお、蒸発器16と放熱器18は、一体に連結されたものであっても良く、また、別々に設けられているものであっても良い。
【0029】
室外機14は、室内ユニット22の蒸発器16との間で冷媒を循環する冷凍サイクルを形成する冷媒ユニット24と、温水を生成すると共に生成した温水を室内ユニット22の放熱器18との間で循環させる熱源ユニット26によって構成されている。なお、室外機14は、冷媒ユニット24と熱源ユニット26とが同一のケーシング内に収容されている一体型であっても良く、それぞれが別々のケーシングに収容されている別体型であっても良い。また、熱源ユニット26としては、給湯用の温水の生成を兼ねるものであっても良い。
【0030】
室内ユニット22の蒸発器16と冷媒ユニット24は、冷媒配管28A、28Bによって接続されている。図3に示されるように、蒸発器16には、冷媒配管28A、28Bの一端がそれぞれ接続されており、冷媒配管28A、28Bの他端は、それぞれ冷媒ユニット24のバルブ32、48に接続されている。冷媒ユニット24では、バルブ32がマフラー34A、アキュムレータ38、コンプレッサ40、マフラー34Bを介して熱交換器(凝縮器)42に接続され、さらに、キャピラリチューブ44及びストレーナ46を介してバルブ48に接続されており、これによって、室内ユニット22と冷媒ユニット24との間で冷凍サイクルが形成されている。
【0031】
冷媒ユニット24は、温水エアコン10の冷房運転ないし除湿運転(ドライ運転)時に、コンプレッサ40を駆動して冷媒の循環を行う。これによって、室内ユニット22の蒸発器16を通過する空気が冷却される。なお、冷媒ユニット24では、必要に応じて冷却ファン53を作動させて熱交換器42を冷却し、冷媒の凝縮効率の低下を防止している。また、温水エアコン10では、熱交換器温度センサ(図示省略)を用いて冷房運転時に室内ユニット22の蒸発器16が所定温度以下(例えば6.4°C以下)とならないようにコンプレッサ40の能力を制御しながら冷房運転を行うようになっている。図3には、矢印によって冷媒の流れと後述する温水の流れを示している。
【0032】
室内ユニット22の放熱器18には、温水入口ニップル66A、66Bが設けられており、例えばフレキシブルな温水配管(以下「温水チューブ」という)30Aの一端が温水入口ニップル66Aに接続され、温水チューブ30Bが流量可変弁68を介して温水出口ニップル66Bに接続される。また、温水チューブ30A、30Bの他端は、それぞれ熱源ユニット26に設けられている温水出口ニップル56B、温水入口ニップル56Aに接続される。
【0033】
熱源ユニット26内では、温水出口ニップル56Bに温水生成手段となる温水熱交換器64、循環手段となるポンプ62及びプレッシャタンク60を介して温水入口ニップル56Aが接続されており、これによって、室内ユニット22と熱源ユニット26の間で密閉された温水の循環路が形成される。
【0034】
熱源ユニット26には、ガス電磁弁180A、180B及びガス比例弁182を介してガスバーナー70に機外から燃焼用のガスが供給される。熱源ユニット26は、ガスバーナー70でガスを燃焼させて温水熱交換器64内の水を加熱し、暖房用の温水を生成する。なお、プレッシャタンク60は、プレッシャキャップ58を介してドレンタンク72に接続されており、水温(温水の温度)が上昇して内圧が所定値(例えば0.9kg/cmU)以上となると、プレッシャキャップ58の圧力弁が作動して、温水をドレンタンク72へ排出して配管内の圧力上昇を防止し、温水の温度が低下して内圧が所定値未満となると、ドレンタンク72から水を回収するようになっている。
【0035】
温水エアコン10は、冷房モードで運転しているときには、熱源ユニット26の作動(温水の生成等)を停止させると共に、可変流量弁68を閉じている(動作ステップ0)が、ドライモード又は暖房運転時(暖房モード)には、熱源ユニット26のガスバーナー70を点火すると共にポンプ62を作動させる。これにより、流量可変弁68の開度(動作ステップ)に応じて温水熱交換器64で生成された温水が放熱器18内を循環して、放熱器18を通過する空気を加熱する。なお、熱源ユニット26には、温水熱交換器64と温水出口ニップル56Bの間に高温サーミスタ(図示省略)が設けられており、この高温サーミスタによる検出温度が所定温度となるように温水の温度を制御しながら循環させている。また、熱源ユニット26は、暖房運転を開始する立ち上げ時には、温水の温度を高温側(例えば約80℃)となるようにし、立ち上げ終了後は、温水の温度が低温側(例えば約60℃)となるようにしている。
【0036】
室内ユニット22には、クロスフローファン90が設けられている。また、図2に示されるように、室内ユニット22が収容されている室内機12のケーシング36には、吸込み口50及び吹出し口52が形成されている。
【0037】
室内ユニット22では、クロスフローファン90を作動させることにより、吸込み口50から室内の空気を吸込んで、吹出し口52から吹出す。このとき、吸込み口50から吸込まれた空気が室内ユニット22の蒸発器16ないし放熱器18を通過することにより温調され、この温調された空気が吹出し口52から吹出されることにより、室内が空調される。なお、吹出し口52には、上下フラップ54と図示しない左右フラップが設けられており、上下フラップ54と左右フラップによって吹出し口52から吹き出される温調した空気の吹出し方向が変えられる。
【0038】
図4に示されるように、室内ユニット22には、マイクロコンピュータ(以下「マイコン100」と言う)を備えたコントロール基板102が設けられており、このコントロール基板102に電源基板104、表示基板106、スイッチ基板108と共に、パワーリレー110、温度ヒューズ112、流量可変弁68、クロスフローファン90を駆動するファンモータ114、上下フラップ54を制御するルーバーモータ116が接続されている。
【0039】
室内ユニット22では、電源基板104へ運転用の交流電力が供給されることにより、この交流電力が電源基板104によって所定の電力に変換されてコントロール基板102へ供給される。また、室内ユニット22に供給された交流電力は、端子板132から室外機14の熱源ユニット26へ供給されると共に、パワーリレー110を介して端子板132から室外機14の冷媒ユニット24へ供給される。すなわち、温水ユニット26には、室内ユニット22と同様に常に運転用の電力が供給され、冷媒ユニット24は、コントロール基板102からの信号によってパワーリレー110をオンすることにより供給される電力によって運転される。
【0040】
また、コントロール基板102には、蒸発器16の温度を検出する熱交温度センサ118、室内の湿度を検出する湿度センサ120、放熱器18の温度を検出する温水熱交換器センサ122、ガス欠センサ124等と共に室温センサ126が接続されている。室温センサ126は、ケーシング36の吸込み口50から吸込まれる空気の温度を室内温度として検出するようになっている。
【0041】
表示基板106には、表示LED128等が設けられている。図2に示されるように、室内機12のケーシング36には、表示部82が設けられており、表示基板106の表示LED128等がこの表示部82上に配置されている(図2では図示省略)。これにより、表示部82の表示LED128の点灯状態によって温水エアコン10の運転状態(運転/ 停止及び運転モード等)を判断できるようになっている。
【0042】
また、図4に示されるように、室内ユニット22のコントロール基板102には、通信I/F(図示省略)が設けられており、この通信I/Fを介して冷媒ユニット22及び連動コントローラ20に接続されており、これによって、コントロール基板102には、こ連動コントローラ20から操作信号等が入力されるようになっている。マイコン100は、連動コントローラ20から入力される操作信号等に基づいて空調運転を行う。また、マイコン100は、冷媒ユニット24の図示しないコントローラのマイコンとの間でシリアル通信を行うことにより、空調運転時の冷媒ユニット24の作動を制御している。
【0043】
温水エアコン10では、運転モード、設定温度(設定室温)等の運転条件を示す操作信号が連動コントローラ20から入力されて空調運転が指示されると、設定室温と室内温度に基づいて空調能力を制御しながら、室内温度が設定室温となるように空調運転を行う。例えば、自動運転モードで暖房運転を行うときには、ファジー演算によって室内温度の変化を予測しながら暖房能力、送風量及び風向等を制御する。なお、空調能力の制御には、後述する連動コントローラ20から入力される温度又は温度センサ126によって検出する温度の何れかが用いられる。また、なお、室内ユニット22の空調能力の制御、冷媒ユニット24の構成及びシリアル通信による冷媒ユニット24の制御は、従来公知の構成及び方法を適用でき、本実施の形態では詳細な説明を省略する。
【0044】
図5に示されるように、熱源ユニット26には、図示しないマイコンを備えたコントロール基板174が設けられている。コントロール基板174には、電源トランス176、温水循環用のポンプ(ポンプモータ)62、ガスバーナー70を点火するイグナイタ178、ガスバーナー70へ燃焼ガスを供給するガス電磁弁180A、180B及びガス比例弁182、給気用のファンモータ184等が接続されている。コントロール基板174は、室内ユニット22の端子板132から供給される電力を電源トランス176によって変圧し、ポンプ62等の駆動用の電力を得ている。
【0045】
また、コントロール基板174には、温水熱交換器64から送り出される温水の温度を測定する高温サーミスタ186、外気温度を検出する外気温度センサ188、ファンモータ184の回転検出器190等が接続されており、コントロール基板174は、これらのセンサによって熱源ユニット26内の各機器の作動状態を監視しながら所定の温度の温水を生成し、この温水を室内ユニット26の放熱器18ないし後述する床暖房マット142との間で循環させる。
【0046】
なお、コントロール基板174には、温度ヒューズ192、ハイリミットスイッチ194等が接続され、また、ポンプ試験端子196、外部に動作状態等を表示する動作モニタ用端子198と共に、設定スイッチ200、ガスバーナー70の点火時に点灯する燃焼ランプ202、故障時のエラーコード等を表示する故障表示LED204、メンテナンス用スイッチ206、二次圧調整ボリューム208等が設けられている。
【0047】
図1及び図3に示されるように、床暖房装置140を構成する床暖房マット142は、室内の床面に敷かれるマット144内に温水チューブ146が織込まれており、温水チューブ146内を循環する温水によってマット144の表面が暖められる。なお、床暖房装置としては、室内の床板内または床板の下側に温水配管を敷設したものであってもよい。
【0048】
図3に示されるように、熱源ユニット26には、温水入口ニップル56A、温水出口ニップル56Bのそれぞれに温水入口ニップル80A、温水出口ニップル80Bが併設されている。また、床暖房マット142には、温水チューブ146の両端に温水入口ニップル84A、84Bが設けられている。
【0049】
温水入口ニップル84Aには、温水チューブ86Aの一端が接続され、この温水チューブ86Aの他端が熱動弁76を介して熱源ユニット26の温水出口ニップル80Bに接続される。また、温水出口ニップル84Bは、温水入口ニップル80Aとの間が温水チューブ86Bによって接続される。これにより、熱源ユニット26のポンプ62が作動すると、熱動弁76の開閉に応じて温水チューブ146内へ温水が循環される。
【0050】
図5に示されるように、熱動弁76は、熱源ユニット26のコントロール基板174に接続されており、このコントロール基板174によって開閉が制御される。また、コントロール基板174には、通信I/F基板136が設けられており、この通信I/F基板136を介して連動コントローラ20に接続され、通信I/F基板136を介して連動コントローラ20から操作信号等が入力される。また、コントロール基板174は、この通信I/F基板136を介して連動コントローラ20へ運転状態等を出力する。
【0051】
熱源ユニット26は、例えば連動コントローラ20から床暖房マット142の運転を指示する操作信号が入力されることにより熱動弁76を所定の時間間隔(デューテー比)で開閉して床暖房マット142の温水チューブ146内へ温水を循環させる。このとき、熱動弁76をオン/オフするデューテー比を変えることにより、床暖房マット142による床暖房能力が制御される。
【0052】
すなわち、熱源ユニット26のコントロール基板174には、例えば表1に示されるように、熱動弁76のオン/オフ制御するときのデューテー比が複数段階に設定されており、連動コントローラ20から操作信号と共に熱動弁76の動作ステップを指定する信号が入力されることにより、該当する動作ステップで熱動弁76のオン/オフ制御を行う。
【0053】
【表1】
Figure 0003545192
【0054】
なお、本実施の形態では、1サイクルを20min (20分)としてデューテー比を設定しており、通常、ステップ1〜ステップ15の範囲で運転され、ステップ16は、床暖房ユニット142が運転を強制停止させた状態となる。また、図1及び図5に示されるように、熱源ユニット26には、床暖房マット142のマット144内に設けられている図示しないサーミスタ等からの信号線148が接続されており、マット144の温度が所定値(例えば31°C)を越えたことを信号線148を介して検出すると、熱動弁76を閉じて温水の循環を停止させ、床温の異常上昇を防止するようになっている。
【0055】
図6に示されるように、連動コントローラ20は、マイコン150を備えたコントロール基板152に、データ通信用の通信I/F基板154及びシリアル通信用の通信I/F基板156が接続されている。また、コントロール基板152には、温度検出基板158及び受信基板160が接続されている。
【0056】
受信基板160は、システムリモコン130から送出される操作信号を受信するようになっている。すなわち、図2に示されるように、連動コントローラ20には、受信窓162が形成されており、この受信窓162へ向けてシステムリモコン130を操作することにより、システムリモコン130から送出される操作信号が受信基板160で受信される。
【0057】
図7に示されるように、システムリモコン130は、LCD等の表示手段を用いた表示部87と共に、温水エアコン10と床暖房マット142の運転条件の設定を行うための種々の操作ボタンが配置された操作パネル88が設けられている。すなわち、システムリモコン130は、温水エアコン10の運転を操作と床暖房マット142の運転操作機能を兼ね備えたマルチタイプリモコンとなっており、表示部84には、操作パネル88上で設定された温水エアコン10と床暖房マット142の運転条件等が表示される。なお、操作パネル88は、通常カバー89によって覆われており、カバー89を開くことにより種々のボタン操作が可能となる。
【0058】
操作パネル88上には、運転/停止ボタン91、温度設定ボタン92、温水エアコン10用の温度下げボタン93Aと温度上げボタン93B、床暖房マット14用の温度下げボタン94Aと温度上げボタン94Bと共に、冷暖切替ボタン95、床暖房ボタン96が設けられている。冷暖切替ボタン95を操作することにより、運転モードが「冷房」、「自動」、「暖房」、「暖房、床暖房」、「床暖房」、「ドライ」及び「送風」と切り替わり、さらに冷暖切替ボタン95を操作することにより「冷房」モードに切り替わる。
【0059】
温水エアコン10は、「冷房」、「自動」、「暖房」「暖房・床暖房」及び「「ドライ」モードで運転され、床暖房マット142は、「暖房・床暖房」及び「床暖房」モードで運転される。また、「暖房・床暖房」又は「床暖房」モードが選択されているときに、床暖房ボタン96を操作することにより、「自動コンフォト」モード、「自動エコノミ」モード及び「手動」モードに切り替えられる。「自動コンフォト」及び「自動エコノミ」は、それぞれ設定床温ないし設定床温と設定室温を予め設定されている温度に自動設定する。「自動エコノミ」モードでは、設定室温を比較的低い温度に設定するようになっており、これにより、快適さを損なうことなく暖房能力を抑えて省エネを図る。また、「手動」モードに設定されることにより、温度下げボタン93A、94A及び温度上げボタン93B、94Bによって具体的な温度が設定可能となる。
【0060】
システムリモコン130では、温度下げボタン93A及び温度上げボタン93Bの操作で、温水エアコン10によって空調するときの設定温度(設定室温)が設定され、温度下げボタン94A及び温度上げボタン94Bの操作で、床暖房時の設定温度(設定床温)が設定される。
【0061】
システムリモコン130は、操作パネル88のボタン操作によって設定された運転モード、設定温度(設定室温、設定床温)等の運転条件に基づいた操作信号を送出する。このとき、表示部87には、設定された運転モード、設定室温ないし設定床温等の運転条件が表示される。
【0062】
なお、表示部87上への設定室温の表示は、具体的な数値が表示される。また、設定床温は例えば7段階のレベルに分けられており、設定する温度に応じたレベルのキャラクタコードが表示部87に表示される。なお、システムリモコン130では、温水エアコン10を用いた暖房と床暖房マット142による暖房を同時に行う併用暖房時(「暖房・床暖房」モード時)には、温水エアコン10の設定室温又は床暖房マット142の設定床温に応じたレベル表示の何れか一方を表示するようになっている。
【0063】
図7に示されるように、システムリモコン130には、操作パネル88上にセンサ切替スイッチ97が設けられている。また、システムリモコン130内には、従来のエアコン用のリモコンスイッチと同様に温度センサが内蔵されており、この温度センサによってシステムリモコン130の周囲の温度を室内温度として検出できるようになっている。
【0064】
空調システム11では、センサ切替スイッチ97の操作によってシステムリモコン130内の室温センサまたは室内ユニット22内の室温センサ126の何れかを選択することにより、選択したセンサによって検出した温度を、温水エアコン10の空調能力を制御するときの室温として用いる。このとき、システムリモコン130の表示部87には、選択されている温度センサを判別可能な表示がなされる。なお、後述するように連動コントローラ20も温度検出が可能となっており、この連動コントローラ20の検出する温度を室内温度として用いても良い。
【0065】
このようなシステムリモコン130では、通常のエアコンのリモコンと同様に、風向(上下フラップ54の向き)、風量(クロスフローファン90の回転数)及びタイマ運転等の設定が可能であり、また、システムリモコン130では、カバー88を閉じた状態でも、運転/停止ボタン91の操作が可能となっている。
【0066】
一方、図6に示されるように、温度検出基板158には、床暖房マット142(マット144)の表面温度を床温として検出する温度検出手段となる輻射センサ164が設けられている。この輻射センサ164は、被測定物から発せられる赤外線を受信して、被測定物の表面温度を1℃程度の誤差範囲で正確に検出できるようになっている。
【0067】
すなわち、図2に示されるように、連動コントローラ20には、集光レンズ166が設けられており、この集光レンズ166が向けられている被測定物が表面温度に応じて発する赤外線を輻射センサ164によって受光する。空調システム11では、集光レンズ166が、床暖房マット142(マット144)の表面へ向けられている。これにより、輻射センサ164がマット144の温度を検出し、温度検出基板158は、輻射センサ164の検出結果を床温としてコントロール基板152へ出力する。
【0068】
なお、連動コントローラ20としては、集光レンズ166をスイングさせるなどすることにより輻射センサ164によって室内温度を検出させるようにしても良い。
【0069】
連動コントローラ20のマイコン150は、システムリモコン130から送出された操作信号を受信すると、この操作信号から、室内ユニット22及び冷媒ユニット24に対する空調用の操作信号(主に温水エアコン10の運転に関わる操作信号)と、床暖房装置140及び熱源ユニット26に対する温水暖房用の操作信号を分離し、空調用の操作信号を通信I/F基板156を介してシリアル通信によって室内ユニット22へ送出する。また、連動コントローラ20のマイコン150は、システムリモコン130から受信した操作信号から温水暖房用の操作信号を分離すると、通信I/F基板154を介して熱源ユニット26へ出力する。これと共に、マイコン150には、熱源ユニット26及び熱源ユニット26を用いた床暖房マット142の運転状態が、熱源ユニット26のコントロール基板174から通信I/F基板154へ入力されるようになっており、連動コントローラ20では、必要に応じて熱源ユニット26及び床暖房マット142の運転状態も室内ユニット22へ送出するようになっている。
【0070】
ところで、連動コントローラ20は、床暖房マット142によって床暖房を行うときに、輻射センサ164によって検出した温度(床温)と、システムリモコン130の操作によって設定される設定床温に基づいて床暖房マット142の暖房能力の制御を行う。すなわち、連動コントローラ20は、設定床温と輻射センサ164によって検出した床温に基づいて熱動弁76をオン/オフ制御するときの動作ステップ(表1参照)を設定して、熱源ユニット26へ送出する。熱源ユニット26は、連動コントローラ20によって設定された動作ステップに基づいたデューテー比で熱動弁76を制御するようになっている。
【0071】
このとき、連動コントローラ20は、輻射センサ164によって検出した温度から輻射センサ164が適切に作動している状態か否か、すなわち、輻射センサ164に異常が発生しているか否かの判断をしている。
【0072】
図6に示されるように、連動コントローラ20のコントロール基板152には、メモリ168が設けられており、このメモリ168には、輻射センサ164によって検出した温度から輻射センサ164の異常の有無を判定する基準となる温度が記憶されている。
【0073】
このメモリ168には、基準の温度として輻射センサ164から出力される温度で、この温度が異常と判断できる下限の温度TM が記憶されている。マイコン150は、輻射センサ164から出力される温度Tが温度TM を越えたとき(T≧TM )に、輻射センサ164に異常が発生していると判断する。本実施の形態では、輻射センサ164によって床温を検出しているので、温度TM を40℃としており、これにより、マット144上に居る人から体温に応じて発せられる輻射熱を輻射センサ164で検出したときに、輻射センサ164に異常が発生していると判断してしまうのを防止している。
【0074】
なお、本実施の形態では、マイコン150と別にメモリ168を設けたが、温度TM をマイコン150に記憶させておいても良い。
【0075】
一方、マイコン150は、所定の時間間隔tで輻射センサ164によって検出した温度を床温とし、この床温と設定床温に基づいて熱動弁76のデューテー比(動作ステップ)を設定する。これと共に、動作ステップの設定に用いた床温をメモリ168に記憶させるようになっている。すなわち、メモリ168には、輻射センサ164によって検出した温度の履歴が記憶されている。なお、メモリ168に記憶される検出温度の履歴は、少なくとも1回分(前回熱動弁76の動作ステップの設定に用いた床温T-1)、好ましくは最新の複数回分(床温T-1〜T-n)の検出温度が記憶される。
【0076】
連動コントローラ20のマイコン150は、このメモリ168に記憶させた床温の履歴を用いて次に熱動弁76のデューテー比を設定するときに、輻射センサ164に異常が発生しているか否かの判定を行うようになっている。
【0077】
この輻射センサ164によって検出した温度の履歴を基準とした輻射センサ164の異常の有無の判断は、前回検出してメモリ168に記憶している床温T-1と今回検出した温度T(床温T0 )を比較して、温度差が所定値Qを越えているか否か又は、メモリ168に記憶されている床温の履歴から次の床温TP を予測し、予測した床温TP と輻射センサ164によって検出した温度Tとの差が所定値Qを越えているか否かによって行われる。このときの所定値Qは、床暖房マット142を最大能力にして床暖房を行ったときに、時間tの間の最大の温度変化よりも大きければ良く、本実施の形態では、一例として10℃(Q=10℃)としている。
【0078】
これと共に、マイコン150は、床暖房マット142が最大能力となっているとき(熱動弁76の動作ステップがステップ1に設定されているとき)にメモリ168に記憶させている前回の床温T-1と新たに輻射センサ164によって検出した温度に変化がないときには、輻射センサ164に異常が発生していると判断している。すなわち、床暖房装置140の最大暖房能力(熱動弁76の動作ステップがステップ1のとき)は、床温が32℃以下であれば、床温を上昇させる能力となっている。このため、最大能力で床暖房をおこなっているときには、輻射センサ164によって検出する温度が上昇することになるので、輻射センサ164の出力する温度Tが上昇しないときには、輻射センサ164に異常が発生していると判断することができる。
【0079】
連動コントローラ20のマイコン150は、輻射センサ164に異常が発生していないと判断されたときに、輻射センサ164から出力された温度Tに基づいて床暖房能力を制御する。
【0080】
なお、連動コントローラ20は、時間tの間隔で輻射センサ164の異常の有無の判定を行いながら熱動弁76のデューテー比を設定し、時間2・tの間隔で設定したデューテー比に応じた動作ステップを熱源ユニット26へ出力する。
【0081】
熱源ユニット26は、時間2・tの間隔で熱動弁76の動作ステップを更新しながら床暖房マット142を用いた床暖房を行うようになっている。
【0082】
以下に本実施の形態の作用として、連動コントローラ20による輻射センサ164の異常検出について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、熱源ユニット26は、連動コントローラ20で設定された熱動弁76のデューテー比に基づいて作動するものとし、床暖房マット142の温水チューブ146への温水の循環及び循環される温水の温度は、熱源ユニット26によって的確に制御されるものとし、温水の温度や温水の循環時のエラーは、熱源ユニット26で検出するようになっているものとする。
【0083】
図8のフローチャートは、輻射センサ164の検出した温度を暖房能力を制御するときの床温として用いるときの輻射センサの異常検出の一例を示している。このフローチャートは、システムリモコン130の操作によって設定床温が設定されると共に床暖房が指示されることにより、時間t(t=10min )で実行され、床暖房能力は検出した床温に基づいて2回毎(2・t=20min )に更新される。なお、図8に示されるフローチャートでは、輻射センサ164によって検出した温度Tの履歴を基準にして輻射センサ164の異常の有無を判定するときに、輻射センサ164によって検出した温度Tを前回の床温T-1と比較する例を示している。
【0084】
このフローチャートの最初のステップ300は、床暖房の開始が指示されると、時間t間隔で実行されて輻射センサ164によって検出した温度Tを読み込む。次のステップ302では、温度Tを予め設定されている温度TM と比較する。
【0085】
ここで、輻射センサ164に異常が発生していないときは勿論、輻射センサ164がマット144上に居る人の体温を適切に検出したときにも、温度Tは、温度TM より低いので、ステップ302では否定判定される。
【0086】
次のステップ304では、メモリ168に記憶されている前回の床温T-1を読み込み、床温T-1を基準として温度Tから輻射センサ164の異常の有無を判定する。
【0087】
なお、システムリモコン130によって床暖房の開始が指示された直後は、メモリ168に前回の床温T-1が記憶されてないので、床温T-1と温度Tの比較を省略しても良く、また、例えばシステムリモコン130に内蔵されている温度センサによって検出した室温と輻射センサ164の検出した温度Tと比較するようにしても良く、熱源ユニット26に設けている外気温度センサ188によって検出した外気温度と輻射センサ164の検出した温度Tを比較するようにしても良く、さらに、室温と外気温度の平均値と輻射センサ164によって検出した温度Tを比較しても良い。
【0088】
以下では、メモリ168に床温T-1が記憶されている2回目移行の床温検出処理として説明する。
【0089】
ステップ306では、温度Tと前回の床温T-1の差が所定値Q(Q=10℃)以内であるか否か(|T−T-1|≦Q、但し|T−T-1|は、温度Tと床温T-1の差の絶対値)を確認している。通常、床暖房装置140は、床暖房能力を最大としても時間t以内で床温の変化が所定値Qに達しないので、輻射センサ164が正常であれば、ステップ306で肯定判定される。
【0090】
次のステップ308では、既に設定されている床暖房能力となる熱動弁76のデューテー比を指定する動作ステップを読み込む。この後、ステップ310では、床暖房能力が所定以上(例えば最大能力)に設定されているか否かを確認し、例えば床暖房能力が最大に設定されているとき(ステップ310で肯定判定)には、ステップ312へ移行して、前回と比較して温度Tが上昇しているか否かを確認する。
【0091】
床暖房装置140では、最大能力に設定されていれば、時間tだけ経過することにより少なからず床温が上昇するので、輻射センサ164によって検出した温度Tは前回の温度(床温T-1)より高くなっている。したがって、通常は、ステップ312で肯定判定される。
【0092】
このように、輻射センサ164の検出した温度Tが所定の範囲であれば、輻射センサ164に故障等の異常が発生していないと判断して、ステップ314へ移行して輻射センサ164によって検出した温度Tと設定床温に基づいて熱動弁76の動作ステップを設定する。また、ステップ316では、輻射センサ164によって検出した温度Tを床温T-1としてメモリ168に書き込む。なお、メモリ168には、時間t毎に輻射センサ164に異常が発生していないと判断されると、床温T-1が更新され、床暖房マット142の暖房能力の設定は時間2・t毎に行われる。
【0093】
ところで、輻射センサ164に異常が発生すると検出する温度Tが変化しなくなったり、また高くなりすぎるか低くなりすぎる。
【0094】
ここで、例えば輻射センサ164の故障によって輻射センサ164から出力される温度Tが高くなりすぎて、実際には検出される可能性のない温度TM (40℃)を越えると(ステップ302で肯定判定)、輻射センサ164の検出した温度Tに異常が生じたと判断する。また、輻射センサ164の故障によって輻射センサ164出力される温度Tが前回の床温T-1と比較して所定値Q以上変化すると輻射センサ164によって検出した温度Tに異常があると判断する(ステップ306で否定判定)。
【0095】
また、輻射センサ164の故障等によって床暖房能力が高く設定されているにも拘わらず、輻射センサ164によって検出する温度Tが床温T-1に対して変化しなかったり逆に低くなる(ステップ312で否定判定)ことにより、輻射センサ164の検出する温度Tに異常が発生していると判断する。
【0096】
このように、輻射センサ164の検出した温度Tに異常が発生すると、輻射センサ164に異常が生じていると判断して輻射センサ164から出力された温度Tに基づいた暖房能力の設定や、検出した温度Tにより床温T-1の更新を行わずに、ステップ318へ移行してエラー処理を行う。
【0097】
このエラー処理では、例えば、輻射センサ164によって検出した温度Tに基づいた暖房能力の制御を停止し、その旨を報知するなどしても良く、床暖房を停止するようにしても良い。また、暖房能力を変更せずに床暖房を継続し、連続して輻射センサ164の検出した温度Tに異常があると判断されたときに、床暖房を停止するようにしても良い。
【0098】
また、空調システム11では、システムリモコン130によって室内温度を検出でき、熱源ユニット26に設けている外気温度センサ188によって外気温度を検出できるので、連動コントローラ20が、室内温度や外気温度を読み込み、室内温度や外気温度によって予測される暖房負荷に応じて暖房能力(熱動弁76のデューテー比)を設定するようにしても良い。
【0099】
このように、床暖房装置140が設けられている空調システム11では、連動コントローラ20に設けている輻射センサ164によって床温を検出しながら床暖房能力を制御するときに、輻射センサ164の検出温度に異常が発生すると、輻射センサ164によって検出した温度に基づいた暖房能力の制御を中止するので、輻射センサ164に異常が発生した状態で床暖房を継続することによる暖房不足や暖房の効きすぎ等が発生してしまうのを防止することができ、また、輻射センサ164の故障に気づかずに床暖房を継続してしまうことよる低温火傷等の発生を確実に防止することができる。
【0100】
なお、以上の説明では、輻射センサ164によって検出した温度Tを前回の床温T-1と比較したが、メモリ168に床温の履歴を記憶させて、この床温の履歴から次の床温T0 を予測して温度Tと比較するようにしても良い。
【0101】
すなわち、図9のフローチャートに示すように、ステップ320で時間t間隔で実行されて輻射センサ164によって検出した温度Tを読み込み(図8のステップ300に相当)、ステップ322で温度Tを予め設定されている温度TM と比較する(図8のステップ302に相当)。
【0102】
このステップ322で否定判定されると、ステップ324では、メモリ168に記憶させた床温の履歴を読み出すと共に、ステップ326で暖房能力を読み込む(図8のステップ308に相当)。この後、ステップ328では、床温の履歴と暖房能力から床温の予測値(温度T0 )を予測する。
【0103】
ステップ330では、予測した温度T0 と検出した温度Tを比較し(図8のステップ306に相当)、温度差が所定値Q以内であれば、ステップ332で暖房能力を確認し(図8のステップ310に相当)、暖房能力が所定以上であるときには、ステップ334で検出した温度Tが前回の温度T-1を越えているか否かを確認する(図8のステップ312に相当)。
【0104】
このようにして、輻射センサ164によって検出した温度Tに異常があるか否かを確認し、異常がないと判断されたときには、ステップ336へ移行して検出した温度Tに基づいた暖房能力の制御を行なう(図8のステップ314)に相当)。
【0105】
さらに、輻射センサ164によって検出した温度Tに異常がないと判断されたときには、ステップ338でメモリ168に記録する床温の履歴を更新する。すなわち、新たに読み込んだ温度Tを温度T-1として記憶すると共に、温度Tn を温度Tn-1 (nは−1以下の整数)として記憶する。
【0106】
このように輻射センサ164によって検出した床温の履歴を記憶し、記憶した床温の履歴と暖房能力に基づいて温度T0 を予測し、予測した温度温度T0 を輻射センサ164によって検出する温度Tと比較することにより、輻射センサ164から出力される温度Tの異常の有無をより的確に判断することができる。これにより、温度T0 に異常があると判断されたとき(ステップ320で否定判定)には、ステップ340へ移行して的確にエラー処理を行なうことができる(図8のステップ318に相当)。
【0107】
なお、本実施の形態では、温水エアコン10及び連動コントローラ20と共に空調システム11を構成する床暖房装置140を用いて説明したが、連動コントローラ20は、温水エアコン10に一体で設けられたものであっても良い。すなわち、温水エアコン10の室内ユニット22に、床面の温度を検出する輻射センサ164等を設けた構成であって良く、また、本発明は、連動コントローラ20と床暖房装置140(熱源ユニット26と床暖房マット144)によって構成した床暖房装置に適用しても良い。
【0108】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明によれば、温度検出手段によって検出した温度に異常があるか否かを判断して、異常がないと判断できるときにのみ温度検出手段によって検出した温度に基づいて暖房を行うため、温度検出手段に異常が生じたのに気づかずに床暖房を行うことによる暖房不足や暖房の効きすぎ感が生じるのを確実に防止して、適切な床暖房を行うことができるばかりでなく、判定手段が不適切な温度でないと判定した温度検出手段の検出値を記憶手段に記憶させ、その記憶手段に記憶されている履歴の温度と、温度検出手段が検出した温度を比較して、判定手段が温度検出手段の異常か否かを判定するので、床温を検出する温度検出手段の異常発生を的確に検出できるなどの優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に適用した空調システムを示す概略構成図である。
【図2】空調システムを構成する温水エアコンの室内ユニット、中継ユニット及び床暖房マットの配置を示す概略図である。
【図3】本実施の形態に適用した温水エアコンの冷媒と温水の流路を示す概略系統図である。
【図4】室内ユニットの電気回路の基板構成を示す概略図である。
【図5】熱源ユニットの電気回路の基板構成を示す概略図である。
【図6】本実施の形態に適用した連動コントローラを示す概略構成図である。
【図7】本実施の形態に適用したシステムリモコンの一例を示す概略平面図である。
【図8】輻射センサの異常検出の一例を示すフローチャートである。
【図9】輻射センサの異常検出の他の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 温水エアコン
11 空調システム
20 連動コントローラ(温度検出手段、判定手段)
26 熱源ユニット(床暖房装置)
62 ポンプ(循環手段)
64 温水熱交換器(温水生成手段)
76 熱動弁(循環手段)
130 システムリモコン
140 床暖房装置
142 床暖房マット
152 コントロール基板(判定手段)
158 温度検出基板(温度検出手段)
164 輻射センサ(温度検出手段)
168 メモリ(記憶手段)
174 コントロール基板(暖房制御手段)

Claims (3)

  1. 温水生成手段によって生成した所定の温度の温水を循環手段によって床面に敷設した温水配管内へ循環させて暖房する床暖房装置であって、所定の時間間隔で前記暖房される床面の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段によって検出された温度が適切な温度範囲であるか否かの判定の基準となる温度が記憶される記憶手段と、前記温度検出手段によって検出した温度と前記記憶手段に記憶されている温度を比較手段で比較して前記温度検出手段に異常があるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって正常と判定されたときに設定床温と前記温度検出手段によって検出した床温に基づいて前記循環手段の作動を制御する暖房制御手段とを含む構成とし、
    前記記憶手段に記憶される判定の基準となる温度は、前記温度検出手段によって検出されて前記判定手段によって否定判定された履歴の温度とし、
    前記判定手段は、前記記憶手段に記憶されている履歴の温度と前記温度検出手段によって次に検出した温度の温度差が所定以上となったときに異常と判定することを特徴とする床暖房装置。
  2. 前記温度検出手段によって検出されて前記判定手段によって否定判定された温度が前記記憶手段に記憶されているときに、前記比較手段が前記記憶手段に記憶されている温度から予測した床温と前記温度検出手段によって新たに検出した温度を比較し、該温度差が所定以上であるときに前記判定手段が異常と判定することを特徴とする請求項1に記載の床暖房装置。
  3. 前記暖房制御手段が最大の暖房能力となるように前記循環手段を作動させているときに、前記温度検出手段によって新たに検出された温度が前記記憶手段に記憶されている温度より高いときに前記判定手段が正常と判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床暖房装置。
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