JP3545060B2 - アンチスキッド制御方法及びアンチスキッド制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、制動時のホイールロックを防止するアンチスキッド制御方法及びこれを用いたアンチスキッド制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
制動時のホイールロックを防止するアンチスキッド制御装置には、アンチスキッド制御時に、モジュレータによりホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させるとともに、この再増圧時において、車輪速度検出器からの検出情報から、例えば、車輪速度が減少する範囲内における車輪加速度が、所定のしきい値を上回る場合に、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率kがk>0の安定制動状態にあるとしてモジュレータによりブレーキ液圧の再増圧を維持させ、前記しきい値を下回る場合に、変化率kがk<0の不安定制動状態にあるとしてモジュレータによりブレーキ液圧を減圧させるようになっている。
また、本出願人は、このようなアンチスキッド制御装置の改良として、四カ所の測定点における車輪速度等から、変化率kを演算する方法について先の出願を行なっている(特願平5−233906号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先の出願のアンチスキッド制御装置においては、四カ所の測定点における車輪速度から、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率kを演算することになるため、演算処理時間が多少長くなり、よって、この点でさらなる改善の余地があった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率kから、安定・不安定制動状態を判断する場合において、さらに演算処理時間を短縮することができるアンチスキッド制御方法およびこれを用いたアンチスキッド制御装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のアンチスキッド制御方法は、アンチスキッド制御時に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際に、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率から、該変化率が所定のしきい値を下回る場合に再減圧を行う方法であって、再増圧中車輪速度に脈動がない場合に、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、前記変化率を演算することを特徴としている。
【0006】
本発明のアンチスキッド制御装置は、車輪速度を検出する車輪速度検出器と、ホイールシリンダのブレーキ液圧を少なくとも減圧または増圧可能なモジュレータと、該モジュレータの作動を制御するコントローラとを有し、前記コントローラは、アンチスキッド制御時に、前記モジュレータによりホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させるとともに、この再増圧時において、車輪速度に脈動がないと判定される場合に、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を演算し、該変化率が所定のしきい値を下回る場合に前記モジュレータにより再減圧を行うことを特徴としている。
【0007】
【作用】
本発明のアンチスキッド制御方法によれば、アンチスキッド制御時に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際に、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を、車輪速度に脈動がない場合に、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、演算し、その結果、該変化率が所定のしきい値を下回る場合に再減圧を行うことになる。
【0008】
本発明のアンチスキッド制御装置によれば、コントローラは、アンチスキッド制御時に、モジュレータによりホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させるとともに、この再増圧時において、車輪速度検出器からの検出情報から、車輪速度に脈動がないと判定される場合に、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、演算し、該変化率が所定のしきい値を下回る場合にモジュレータにより再減圧を行わせることになる。
【0009】
【実施例】
本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方法について図面を参照して以下に説明する。
なお、以下においては、図1に模式的に示すように、車輪1にかかる荷重をW0、車輪1の有効半径をR、車輪角速度をωとし、また、車輪角速度の微分値をω’、車軸2に関する慣性モーメントをI、車軸2にかかる軸トルクをP、車輪1と路面との間の路面摩擦係数をμとして説明する。なお、W0は、車体重量に応じる当該車輪荷重の基準値等が用いられ、Rは、車輪有効半径の基準値等が用いられる。
【0010】
まず、一般的に、車輪スリップ率λに対する路面摩擦係数μの関係は図2に示されるようになっており、変化率k=dμ/dλが、Xの範囲では変化率k>0、Yの時点では変化率k=0、Zの範囲では変化率k<0となっている。ここで、スリップ率λはλ=1−Rω/vから求められるものであり、Rωは車輪速度検出器(後述)からの信号から割り出される車輪速度で、vは、一般に該車輪速度等から推定される模擬車体速度等である。
そして、k=0の時点Yを中心に、スリップ率λが小さい範囲Xにあると、ホイールロックを生じることがない安定制動状態と判定され、逆にスリップ率λが大きい範囲Zにあると、図2において破線で示すコーナリングフォースFcが低下してホイールロックを生じやすい不安定制動状態と判定される。
【0011】
ここで、アンチスキッド制御中の時間tに対する車輪速度Rωの関係は、図3に示すような特性をなすことになる。そして、本実施例は、アンチスキッド制御時に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際に、車輪速度に脈動がない状態で、車輪1が加速状態から減速状態に転じる区間TM1において再度減圧を行わせるタイミングを制御する方法の判定に用いられる変化率kの演算方法についてであり、制動初期の減圧の開始タイミング、減圧から再増圧への切り換えのタイミング、および車輪が全体として減速状態にある区間TM2において再度減圧を行わせるタイミングを制御する方法等の他の制御は、従来と同様に行われる。
【0012】
上記したように車輪にかかる荷重をW0、車輪有効半径をR、車輪角速度をω、車輪角速度の微分値をω’、車軸に関する慣性モーメントをI、車軸にかかる軸トルクをP、重力加速度をgとすると、
Rω’=(g/C0){μ−P/(W0R)} ……式(1)
である。
ただし、C0=I/(W0R2/g)である。
また、ある時刻tnにおいては、
Rω’n=(g/C0)[μn−{P/(W0R)}n] ……式(2)
となる。
【0013】
また、車輪スリップ率λ、車輪速度Rωおよび車体速度vの関係は、
λ=1−(Rω/v) ……式(3)
で定義される。
微少時間内で車両速度vを一定と考え、式(3)の両辺を時間で微分すると、
λ’=−Rω’/v ……式(4)
となる。
【0014】
さらに、路面摩擦係数μの車輪スリップ率λに対する変化率kは、その定義より、
k=μ’/λ’ ……式(5)
となる。
上記式(4)および式(5)より、
μ’=−(k/v)Rω’ ……式(6)
となる。
【0015】
ここで、図4は、アンチスキッド制御においてブレーキ液圧を減圧後、制動トルクを、制動トルクの時間に対する上昇率Qが一定になるように増加させて、車輪速度が加速状態から減速状態に向う図3に示す区間TM1(この区間TM1は車輪速度検出器からの信号で検出できる)での、車輪速度Rω、路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)を示したものである。なお、μ−λ特性、k、v、W0およびC0は、すべて一定とする。
そして、この図4では、式(2)のカッコ[ ]内の路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)が、共に無次元量として示されており、μ>P/(W0R)の状態では車輪は加速し、μ<P/(W0R)の状態では車輪は減速する。
【0016】
tn時点における車輪速度Rωn、tn+1時点における車輪速度Rωn+1、tn+2時点における車輪速度Rωn+2を、一定時間間隔T/2毎に測定し、Rωn=Rωn+2に選ぶ。図4において、tn時点の路面摩擦係数μnとtn+2時点の路面摩擦係数μn+2との関係は、Rωn=Rωn+2であるから、μとP/(W0R)とに挟まれた面積A1とA2とは等しい。
まず、以下のように面積A1を求める。
最大車輪速度RωEに相当する点Eを原点とし左方にx1軸をとり、曲線(μE〜μn)をy1とし、y1をx1の2次曲線で近似する。すなわち、
y1≒{(μn−μE)/(T/2−ΔT)2}x1 2
故に、面積A1は、a=T/2−ΔTとすると、
A1≒∫0 a{(μn−μE)(x1/a)2+(Q/(W0R))x1}dx1
=(1/3)(μn−μE)a+(1/2)(Q/(W0R))a2 ……式(7)
なお、Q/(W0R)は、区間(tn〜tn+1)における制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算したものである。ここで、Qは、ポンプ特性とホイールシリンダおよびそれを結ぶ油圧配管系統によって決まるホイールシリンダの圧力上昇速度に応じる制動トルク上昇速度を用いる。
【0017】
次に、以下のように面積A2を求める。
点Eを原点とし右方にx2軸をとり、曲線(μE〜μn+2)をy2として次式で近似する。
【0018】
ここで、面積A1=A2であるため、
【0019】
式(9)を用いると、
また、E、F、μn+1で囲まれた面積ΔAを三角形で近似すると、
【0020】
次に式(9)を用いると図4より明らかに、
式(11)、式(12)を用いて、
【0021】
一方、
【0022】
式(15)の右辺の[]内は1に近似であるので、
とすることもできる。
【0023】
すなわち、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率kは、車輪速度が等しい第一時点tnおよび第二時点tn+2の真中時点tn+1における車輪速度Rωn+1から、第一時点tnにおける車輪速度Rωnまたは第二時点tn+2における車輪速度Rωn+2を減算し、この減算値(Rωn+1−Rωn)または減算値(Rωn+1−Rωn+2)を4倍するとともに第一時点tnから第二時点tn+2までの時間Tで除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点tnの車輪加速度Rωn’の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点tn+1の制動トルクの上昇速度Qを車輪荷重W0と車輪有効半径Rとの積(W0R)で除算した値Q/(W0R)と車両速度vとを乗算し、該乗算値を3倍することにより、演算されることになるのである。
【0024】
そして、本実施例においては、このような式(17)または式(18)で演算された変化率kが、予め定められた所定のしきい値(例えば0)を下回った場合に、アンチスキッド制御における再増圧後の減圧を開始させる制御を行うことになる。
【0025】
次に、以上に述べた演算方法が適用されたアンチスキッド制御装置について、以下に説明する。
図5は、車両用のアンチスキッド制御装置の一ブレーキ液圧系を示しており、ブレーキペダル11の入力によりブレーキ液圧が発生されるマスタシリンダ12と、伝達されるブレーキ液圧により車輪1を制動するホイールシリンダ13との間にモジュレータ14が設けられている。なお、ホイールシリンダ13は例えばディスクブレーキあるいはドラムブレーキ等の液圧作動装置である。
【0026】
上記モジュレータ14は、電磁常閉弁15と、容量可変のリザーバ16と、該リザーバ16からブレーキ液を吸入し吐出するポンプ17と、流量制御弁18とを有しており、流量制御弁18は、アンチスキッド制御の非作動時に電磁常閉弁15が閉じられた状態においてマスタシリンダ12とホイールシリンダ13とを連通させ、アンチスキッド制御の減圧時に電磁常閉弁15が励磁されて開かれることによりマスタシリンダ12とホイールシリンダ13との連通を遮断しつつホイールシリンダ13とリザーバ16とを連通させて該ホイールシリンダ13のブレーキ液をリザーバ16に流入させ、アンチスキッド制御の再増圧時に電磁常閉弁15が閉じられた状態でポンプ17から吐出されるリザーバ16内のブレーキ液を、ホイールシリンダ13に単位時間当りの流量を一定に制御しつつ流しブレーキトルクの上昇速度を一定に保つようになっている。
なお、アンチスキッド制御の減圧時において、リザーバ16に流入されたブレーキ液は、ポンプ17によりマスタシリンダ12側に戻されるようになっている。
【0027】
そして、上記電磁常閉弁15およびポンプ17はコントローラ19に接続されており、このコントローラ19には、車輪1の回転速度を検出し車輪1の回転に応じたパルスを出力する車輪速度検出器20が接続されている。
【0028】
なお、コントローラ19は、アンチスキッド制御の開始(初期減圧開始)の判断については、車輪速度検出器20からの出力により、模擬車速に対する車輪1のスリップ率または車輪1のスリップ量を演算しスリップ率またはスリップ量があらかじめ設定されたしきい値を超えたら車輪1がロック傾向にあると判定してアンチスキッド制御を開始し、または、車輪1の減速度があらかじめ設定されたしきい値を超えたら車輪1がロック傾向にあると判定してアンチスキッド制御を開始し、あるいはこれらを組み合わせる等、一般的なアンチスキッド制御の開始判断を行うようになっている。
【0029】
また、コントローラ19は、アンチスキッド制御の減圧から再増圧への判断についても、減圧中にスリップ率またはスリップ量があらかじめ設定されたしきい値以下となったら車輪1がロック傾向から回避されたと判定して再増圧を開始し、または、車輪1の減速度があらかじめ設定されたしきい値以下となったら車輪1がロック傾向から回避されたと判定してアンチスキッド制御を開始し、あるいはこれらを組み合わせる等、一般的なアンチスキッド制御の減圧から再増圧への判断を行うようになっている。
【0030】
上記コントローラ19の制御内容の特徴部分について説明する。
アンチスキッド制御の作動中において、ホイールシリンダ13のブレーキ液圧を減圧させている減圧中および保持させている保持中のいずれかの状態にあるか、再増圧させている再増圧中であるかをメモリ中の記憶から判定する。そして、減圧中または保持中である場合には、従来と同様、それぞれに応じた別の制御を行い、一方、再増圧中である場合には、車輪速度に脈動が有るか無いかを、車輪速度検出器20からの出力信号により判定する。
【0031】
そして、車輪速度に脈動が有る場合には、従来と同様、脈動発生時の制御を行ない、車輪速度に脈動が無い場合には、予め定められた一定間隔で車輪速度をサンプルするためにサンプル時間を監視して、サンプル時刻が検出されたか否かを判定し、サンプル時刻が検出された場合には、車輪速度Rωをスタック記憶する。 ここで、スタック記憶とは、記憶データを新しいものから順に記憶する所定数のデータ記憶部を準備し、最新のデータを取り込む毎に、既に記憶されているデータの最も古いデータを消去するように記憶するものである。一方、サンプル時刻が検出されない場合には、車輪速度検出器20からの信号で割り出される車輪速度Rωにより車輪が加速状態から減速状態に転じる区間にあるか、車輪が全体として減速を継続している区間にあるかを判定する。そして、車輪が全体として減速を継続している区間にある場合には、従来と同様の制御を行ない、車輪が加速状態から減速状態に転じる区間にある場合には、上記演算方法により、変化率kの値を演算する。
そして、コントローラ19は、上記のようにして演算された、変化率kの値の演算値を予め定められた所定のしきい値と比較して該しきい値を下回る場合には、アンチスキッド制御を増圧から減圧に切り換えることになる。
【0032】
以上のように、本実施例のアンチスキッド制御方法を用いたアンチスキッド制御装置によれば、コントローラ19は、アンチスキッド制御時に、モジュレータ14によりホイールシリンダ13のブレーキ液圧を減圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させるとともに、この再増圧時において、車輪速度検出器20からの検出情報から、車輪速度に脈動がないと判定される場合に、車輪速度が等しい第一時点tnおよび第二時点tn+2の真中時点tn+1における車輪速度Rωn+1から、第一時点tnにおける車輪速度Rωnまたは第二時点tn+2における車輪速度Rωn+2を減算し、該減算値(Rωn+1−Rωn)または(Rωn+1−Rωn+2)を4倍するとともに第一時点tnから第二時点tn+2までの時間Tで除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点tnの車輪加速度Rωn’の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点tn+1の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した値Q/(W0R)と車両速度vとを乗算し、該乗算値を3倍することにより、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率kを演算し、該変化率kが所定のしきい値を下回る場合にモジュレータ14により再減圧を行わせることになる。
したがって、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率kを演算する際に、演算に用いる車輪速度の測定点の数が少なくすみ、演算処理時間を短縮することができる。
【0033】
なお、条件的に、(Rωn+1−Rωn)≒(RωE−Rωn)とおける場合は、Rωn、Rωn’、RωE−Rωn、Rωnと同じ値Rωn+2になるまでの時間Tを測定すればよいので、さらに、簡便となる。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のアンチスキッド制御方法によれば、アンチスキッド制御時に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際に、車輪速度に脈動がない場合に、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を演算し、その結果、該変化率が所定のしきい値を下回る場合に再減圧を行うことになる。
したがって、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を演算する際に、演算に用いる車輪速度の測定点の数が少なくすみ、演算処理時間を短縮することができる。
【0035】
本発明のアンチスキッド制御装置によれば、コントローラは、アンチスキッド制御時に、モジュレータによりホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させるとともに、この再増圧時において、車輪速度検出器からの検出情報から、車輪速度に脈動がないと判定される場合に、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を演算し、該変化率が所定のしきい値を下回る場合にモジュレータにより再減圧を行わせることになる。
したがって、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を演算する際に、演算に用いる車輪速度の測定点の数が少なくすみ、演算処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方法が適用される車輪の運動モデルを示す模式図である。
【図2】車輪のスリップ率λに対する、路面摩擦係数μおよびコーナリングフォースFcの関係を示す特性線図である。
【図3】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方法の、アンチスキッド制御中の時間tに対する車輪速度Rωの関係を示す特性線図である。
【図4】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方法の、車輪速度が加速状態から減速状態に向う区間での、車輪速度Rω、路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)の関係を示す特性線図であって、車輪速度に脈動が発生していない状態を示すものである。
【図5】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御装置を概略的に示す構成図である。
【符号の説明】
1 車輪
13 ホイールシリンダ
14 モジュレータ
19 コントローラ
20 車輪速度検出器
【産業上の利用分野】
本発明は、制動時のホイールロックを防止するアンチスキッド制御方法及びこれを用いたアンチスキッド制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
制動時のホイールロックを防止するアンチスキッド制御装置には、アンチスキッド制御時に、モジュレータによりホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させるとともに、この再増圧時において、車輪速度検出器からの検出情報から、例えば、車輪速度が減少する範囲内における車輪加速度が、所定のしきい値を上回る場合に、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率kがk>0の安定制動状態にあるとしてモジュレータによりブレーキ液圧の再増圧を維持させ、前記しきい値を下回る場合に、変化率kがk<0の不安定制動状態にあるとしてモジュレータによりブレーキ液圧を減圧させるようになっている。
また、本出願人は、このようなアンチスキッド制御装置の改良として、四カ所の測定点における車輪速度等から、変化率kを演算する方法について先の出願を行なっている(特願平5−233906号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先の出願のアンチスキッド制御装置においては、四カ所の測定点における車輪速度から、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率kを演算することになるため、演算処理時間が多少長くなり、よって、この点でさらなる改善の余地があった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率kから、安定・不安定制動状態を判断する場合において、さらに演算処理時間を短縮することができるアンチスキッド制御方法およびこれを用いたアンチスキッド制御装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のアンチスキッド制御方法は、アンチスキッド制御時に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際に、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率から、該変化率が所定のしきい値を下回る場合に再減圧を行う方法であって、再増圧中車輪速度に脈動がない場合に、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、前記変化率を演算することを特徴としている。
【0006】
本発明のアンチスキッド制御装置は、車輪速度を検出する車輪速度検出器と、ホイールシリンダのブレーキ液圧を少なくとも減圧または増圧可能なモジュレータと、該モジュレータの作動を制御するコントローラとを有し、前記コントローラは、アンチスキッド制御時に、前記モジュレータによりホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させるとともに、この再増圧時において、車輪速度に脈動がないと判定される場合に、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を演算し、該変化率が所定のしきい値を下回る場合に前記モジュレータにより再減圧を行うことを特徴としている。
【0007】
【作用】
本発明のアンチスキッド制御方法によれば、アンチスキッド制御時に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際に、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を、車輪速度に脈動がない場合に、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、演算し、その結果、該変化率が所定のしきい値を下回る場合に再減圧を行うことになる。
【0008】
本発明のアンチスキッド制御装置によれば、コントローラは、アンチスキッド制御時に、モジュレータによりホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させるとともに、この再増圧時において、車輪速度検出器からの検出情報から、車輪速度に脈動がないと判定される場合に、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、演算し、該変化率が所定のしきい値を下回る場合にモジュレータにより再減圧を行わせることになる。
【0009】
【実施例】
本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方法について図面を参照して以下に説明する。
なお、以下においては、図1に模式的に示すように、車輪1にかかる荷重をW0、車輪1の有効半径をR、車輪角速度をωとし、また、車輪角速度の微分値をω’、車軸2に関する慣性モーメントをI、車軸2にかかる軸トルクをP、車輪1と路面との間の路面摩擦係数をμとして説明する。なお、W0は、車体重量に応じる当該車輪荷重の基準値等が用いられ、Rは、車輪有効半径の基準値等が用いられる。
【0010】
まず、一般的に、車輪スリップ率λに対する路面摩擦係数μの関係は図2に示されるようになっており、変化率k=dμ/dλが、Xの範囲では変化率k>0、Yの時点では変化率k=0、Zの範囲では変化率k<0となっている。ここで、スリップ率λはλ=1−Rω/vから求められるものであり、Rωは車輪速度検出器(後述)からの信号から割り出される車輪速度で、vは、一般に該車輪速度等から推定される模擬車体速度等である。
そして、k=0の時点Yを中心に、スリップ率λが小さい範囲Xにあると、ホイールロックを生じることがない安定制動状態と判定され、逆にスリップ率λが大きい範囲Zにあると、図2において破線で示すコーナリングフォースFcが低下してホイールロックを生じやすい不安定制動状態と判定される。
【0011】
ここで、アンチスキッド制御中の時間tに対する車輪速度Rωの関係は、図3に示すような特性をなすことになる。そして、本実施例は、アンチスキッド制御時に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際に、車輪速度に脈動がない状態で、車輪1が加速状態から減速状態に転じる区間TM1において再度減圧を行わせるタイミングを制御する方法の判定に用いられる変化率kの演算方法についてであり、制動初期の減圧の開始タイミング、減圧から再増圧への切り換えのタイミング、および車輪が全体として減速状態にある区間TM2において再度減圧を行わせるタイミングを制御する方法等の他の制御は、従来と同様に行われる。
【0012】
上記したように車輪にかかる荷重をW0、車輪有効半径をR、車輪角速度をω、車輪角速度の微分値をω’、車軸に関する慣性モーメントをI、車軸にかかる軸トルクをP、重力加速度をgとすると、
Rω’=(g/C0){μ−P/(W0R)} ……式(1)
である。
ただし、C0=I/(W0R2/g)である。
また、ある時刻tnにおいては、
Rω’n=(g/C0)[μn−{P/(W0R)}n] ……式(2)
となる。
【0013】
また、車輪スリップ率λ、車輪速度Rωおよび車体速度vの関係は、
λ=1−(Rω/v) ……式(3)
で定義される。
微少時間内で車両速度vを一定と考え、式(3)の両辺を時間で微分すると、
λ’=−Rω’/v ……式(4)
となる。
【0014】
さらに、路面摩擦係数μの車輪スリップ率λに対する変化率kは、その定義より、
k=μ’/λ’ ……式(5)
となる。
上記式(4)および式(5)より、
μ’=−(k/v)Rω’ ……式(6)
となる。
【0015】
ここで、図4は、アンチスキッド制御においてブレーキ液圧を減圧後、制動トルクを、制動トルクの時間に対する上昇率Qが一定になるように増加させて、車輪速度が加速状態から減速状態に向う図3に示す区間TM1(この区間TM1は車輪速度検出器からの信号で検出できる)での、車輪速度Rω、路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)を示したものである。なお、μ−λ特性、k、v、W0およびC0は、すべて一定とする。
そして、この図4では、式(2)のカッコ[ ]内の路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)が、共に無次元量として示されており、μ>P/(W0R)の状態では車輪は加速し、μ<P/(W0R)の状態では車輪は減速する。
【0016】
tn時点における車輪速度Rωn、tn+1時点における車輪速度Rωn+1、tn+2時点における車輪速度Rωn+2を、一定時間間隔T/2毎に測定し、Rωn=Rωn+2に選ぶ。図4において、tn時点の路面摩擦係数μnとtn+2時点の路面摩擦係数μn+2との関係は、Rωn=Rωn+2であるから、μとP/(W0R)とに挟まれた面積A1とA2とは等しい。
まず、以下のように面積A1を求める。
最大車輪速度RωEに相当する点Eを原点とし左方にx1軸をとり、曲線(μE〜μn)をy1とし、y1をx1の2次曲線で近似する。すなわち、
y1≒{(μn−μE)/(T/2−ΔT)2}x1 2
故に、面積A1は、a=T/2−ΔTとすると、
A1≒∫0 a{(μn−μE)(x1/a)2+(Q/(W0R))x1}dx1
=(1/3)(μn−μE)a+(1/2)(Q/(W0R))a2 ……式(7)
なお、Q/(W0R)は、区間(tn〜tn+1)における制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算したものである。ここで、Qは、ポンプ特性とホイールシリンダおよびそれを結ぶ油圧配管系統によって決まるホイールシリンダの圧力上昇速度に応じる制動トルク上昇速度を用いる。
【0017】
次に、以下のように面積A2を求める。
点Eを原点とし右方にx2軸をとり、曲線(μE〜μn+2)をy2として次式で近似する。
【0018】
ここで、面積A1=A2であるため、
【0019】
式(9)を用いると、
また、E、F、μn+1で囲まれた面積ΔAを三角形で近似すると、
【0020】
次に式(9)を用いると図4より明らかに、
式(11)、式(12)を用いて、
【0021】
一方、
【0022】
式(15)の右辺の[]内は1に近似であるので、
とすることもできる。
【0023】
すなわち、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率kは、車輪速度が等しい第一時点tnおよび第二時点tn+2の真中時点tn+1における車輪速度Rωn+1から、第一時点tnにおける車輪速度Rωnまたは第二時点tn+2における車輪速度Rωn+2を減算し、この減算値(Rωn+1−Rωn)または減算値(Rωn+1−Rωn+2)を4倍するとともに第一時点tnから第二時点tn+2までの時間Tで除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点tnの車輪加速度Rωn’の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点tn+1の制動トルクの上昇速度Qを車輪荷重W0と車輪有効半径Rとの積(W0R)で除算した値Q/(W0R)と車両速度vとを乗算し、該乗算値を3倍することにより、演算されることになるのである。
【0024】
そして、本実施例においては、このような式(17)または式(18)で演算された変化率kが、予め定められた所定のしきい値(例えば0)を下回った場合に、アンチスキッド制御における再増圧後の減圧を開始させる制御を行うことになる。
【0025】
次に、以上に述べた演算方法が適用されたアンチスキッド制御装置について、以下に説明する。
図5は、車両用のアンチスキッド制御装置の一ブレーキ液圧系を示しており、ブレーキペダル11の入力によりブレーキ液圧が発生されるマスタシリンダ12と、伝達されるブレーキ液圧により車輪1を制動するホイールシリンダ13との間にモジュレータ14が設けられている。なお、ホイールシリンダ13は例えばディスクブレーキあるいはドラムブレーキ等の液圧作動装置である。
【0026】
上記モジュレータ14は、電磁常閉弁15と、容量可変のリザーバ16と、該リザーバ16からブレーキ液を吸入し吐出するポンプ17と、流量制御弁18とを有しており、流量制御弁18は、アンチスキッド制御の非作動時に電磁常閉弁15が閉じられた状態においてマスタシリンダ12とホイールシリンダ13とを連通させ、アンチスキッド制御の減圧時に電磁常閉弁15が励磁されて開かれることによりマスタシリンダ12とホイールシリンダ13との連通を遮断しつつホイールシリンダ13とリザーバ16とを連通させて該ホイールシリンダ13のブレーキ液をリザーバ16に流入させ、アンチスキッド制御の再増圧時に電磁常閉弁15が閉じられた状態でポンプ17から吐出されるリザーバ16内のブレーキ液を、ホイールシリンダ13に単位時間当りの流量を一定に制御しつつ流しブレーキトルクの上昇速度を一定に保つようになっている。
なお、アンチスキッド制御の減圧時において、リザーバ16に流入されたブレーキ液は、ポンプ17によりマスタシリンダ12側に戻されるようになっている。
【0027】
そして、上記電磁常閉弁15およびポンプ17はコントローラ19に接続されており、このコントローラ19には、車輪1の回転速度を検出し車輪1の回転に応じたパルスを出力する車輪速度検出器20が接続されている。
【0028】
なお、コントローラ19は、アンチスキッド制御の開始(初期減圧開始)の判断については、車輪速度検出器20からの出力により、模擬車速に対する車輪1のスリップ率または車輪1のスリップ量を演算しスリップ率またはスリップ量があらかじめ設定されたしきい値を超えたら車輪1がロック傾向にあると判定してアンチスキッド制御を開始し、または、車輪1の減速度があらかじめ設定されたしきい値を超えたら車輪1がロック傾向にあると判定してアンチスキッド制御を開始し、あるいはこれらを組み合わせる等、一般的なアンチスキッド制御の開始判断を行うようになっている。
【0029】
また、コントローラ19は、アンチスキッド制御の減圧から再増圧への判断についても、減圧中にスリップ率またはスリップ量があらかじめ設定されたしきい値以下となったら車輪1がロック傾向から回避されたと判定して再増圧を開始し、または、車輪1の減速度があらかじめ設定されたしきい値以下となったら車輪1がロック傾向から回避されたと判定してアンチスキッド制御を開始し、あるいはこれらを組み合わせる等、一般的なアンチスキッド制御の減圧から再増圧への判断を行うようになっている。
【0030】
上記コントローラ19の制御内容の特徴部分について説明する。
アンチスキッド制御の作動中において、ホイールシリンダ13のブレーキ液圧を減圧させている減圧中および保持させている保持中のいずれかの状態にあるか、再増圧させている再増圧中であるかをメモリ中の記憶から判定する。そして、減圧中または保持中である場合には、従来と同様、それぞれに応じた別の制御を行い、一方、再増圧中である場合には、車輪速度に脈動が有るか無いかを、車輪速度検出器20からの出力信号により判定する。
【0031】
そして、車輪速度に脈動が有る場合には、従来と同様、脈動発生時の制御を行ない、車輪速度に脈動が無い場合には、予め定められた一定間隔で車輪速度をサンプルするためにサンプル時間を監視して、サンプル時刻が検出されたか否かを判定し、サンプル時刻が検出された場合には、車輪速度Rωをスタック記憶する。 ここで、スタック記憶とは、記憶データを新しいものから順に記憶する所定数のデータ記憶部を準備し、最新のデータを取り込む毎に、既に記憶されているデータの最も古いデータを消去するように記憶するものである。一方、サンプル時刻が検出されない場合には、車輪速度検出器20からの信号で割り出される車輪速度Rωにより車輪が加速状態から減速状態に転じる区間にあるか、車輪が全体として減速を継続している区間にあるかを判定する。そして、車輪が全体として減速を継続している区間にある場合には、従来と同様の制御を行ない、車輪が加速状態から減速状態に転じる区間にある場合には、上記演算方法により、変化率kの値を演算する。
そして、コントローラ19は、上記のようにして演算された、変化率kの値の演算値を予め定められた所定のしきい値と比較して該しきい値を下回る場合には、アンチスキッド制御を増圧から減圧に切り換えることになる。
【0032】
以上のように、本実施例のアンチスキッド制御方法を用いたアンチスキッド制御装置によれば、コントローラ19は、アンチスキッド制御時に、モジュレータ14によりホイールシリンダ13のブレーキ液圧を減圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させるとともに、この再増圧時において、車輪速度検出器20からの検出情報から、車輪速度に脈動がないと判定される場合に、車輪速度が等しい第一時点tnおよび第二時点tn+2の真中時点tn+1における車輪速度Rωn+1から、第一時点tnにおける車輪速度Rωnまたは第二時点tn+2における車輪速度Rωn+2を減算し、該減算値(Rωn+1−Rωn)または(Rωn+1−Rωn+2)を4倍するとともに第一時点tnから第二時点tn+2までの時間Tで除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点tnの車輪加速度Rωn’の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点tn+1の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した値Q/(W0R)と車両速度vとを乗算し、該乗算値を3倍することにより、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率kを演算し、該変化率kが所定のしきい値を下回る場合にモジュレータ14により再減圧を行わせることになる。
したがって、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率kを演算する際に、演算に用いる車輪速度の測定点の数が少なくすみ、演算処理時間を短縮することができる。
【0033】
なお、条件的に、(Rωn+1−Rωn)≒(RωE−Rωn)とおける場合は、Rωn、Rωn’、RωE−Rωn、Rωnと同じ値Rωn+2になるまでの時間Tを測定すればよいので、さらに、簡便となる。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のアンチスキッド制御方法によれば、アンチスキッド制御時に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際に、車輪速度に脈動がない場合に、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を演算し、その結果、該変化率が所定のしきい値を下回る場合に再減圧を行うことになる。
したがって、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を演算する際に、演算に用いる車輪速度の測定点の数が少なくすみ、演算処理時間を短縮することができる。
【0035】
本発明のアンチスキッド制御装置によれば、コントローラは、アンチスキッド制御時に、モジュレータによりホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させるとともに、この再増圧時において、車輪速度検出器からの検出情報から、車輪速度に脈動がないと判定される場合に、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を演算し、該変化率が所定のしきい値を下回る場合にモジュレータにより再減圧を行わせることになる。
したがって、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を演算する際に、演算に用いる車輪速度の測定点の数が少なくすみ、演算処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方法が適用される車輪の運動モデルを示す模式図である。
【図2】車輪のスリップ率λに対する、路面摩擦係数μおよびコーナリングフォースFcの関係を示す特性線図である。
【図3】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方法の、アンチスキッド制御中の時間tに対する車輪速度Rωの関係を示す特性線図である。
【図4】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方法の、車輪速度が加速状態から減速状態に向う区間での、車輪速度Rω、路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)の関係を示す特性線図であって、車輪速度に脈動が発生していない状態を示すものである。
【図5】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御装置を概略的に示す構成図である。
【符号の説明】
1 車輪
13 ホイールシリンダ
14 モジュレータ
19 コントローラ
20 車輪速度検出器
Claims (2)
- アンチスキッド制御時に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際に、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率から、該変化率が所定のしきい値を下回る場合に再減圧を行うアンチスキッド制御方法において、
再増圧中車輪速度に脈動がない場合に、
車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、前記変化率を演算することを特徴とするアンチスキッド制御方法。 - 車輪速度を検出する車輪速度検出器と、ホイールシリンダのブレーキ液圧を少なくとも減圧または増圧可能なモジュレータと、該モジュレータの作動を制御するコントローラとを有し、
前記コントローラは、アンチスキッド制御時に、前記モジュレータによりホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させるとともに、この再増圧時において、車輪速度に脈動がないと判定される場合に、車輪速度が等しい第一時点および第二時点の真中時点における車輪速度から、第一時点または第二時点における車輪速度を減算し、該減算値を4倍するとともに第一時点から第二時点までの時間で除算し、該除算値の逆数をとって、該逆数から、第一時点の車輪加速度の逆数を減算し、さらに、該減算値に、真中時点の制動トルク上昇速度を車輪荷重と車輪有効半径との積で除算した除算値と車両速度とを乗算し、該乗算値を3倍することにより、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を演算し、該変化率が所定のしきい値を下回る場合に前記モジュレータにより再減圧を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
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