JP3276219B2 - アンチスキッド制御方法及びアンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御方法及びアンチスキッド制御装置

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JP3276219B2 JP23390693A JP23390693A JP3276219B2 JP 3276219 B2 JP3276219 B2 JP 3276219B2 JP 23390693 A JP23390693 A JP 23390693A JP 23390693 A JP23390693 A JP 23390693A JP 3276219 B2 JP3276219 B2 JP 3276219B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制動時のホイールロッ
クを防止するアンチスキッド制御方法及びこれを用いた
アンチスキッド制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】制動時のホイールロックを防止するアン
チスキッド制御装置として、本出願人は先の出願を行っ
ている(特願平5−6272号)。このアンチスキッド
制御装置は、アンチスキッド制御時に、モジュレータに
よりホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、所定の
条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを
時間に対して直線的に増加させるとともに、この再増圧
時において、車輪速検出器からの検出情報から、例え
ば、車輪速が減少する範囲内における車輪加速度が、所
定のしきい値を上回る場合に、車輪スリップ率に対する
路面摩擦係数の変化率kがk>0の安定制動状態にあると
してモジュレータによりブレーキ液圧の再増圧を維持さ
せ、前記しきい値を下回る場合に、変化率kがk<0の不
安定制動状態にあるとしてモジュレータによりブレーキ
液圧を減圧させるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ア
ンチスキッド制御装置においては、車輪加速度を計測条
件に利用しているため、悪路走行等による路面からの振
動要因、または車両エンジン、他の車輪からのトルク伝
達等による振動要因によって車輪速に脈動が発生する場
合には、上記変化率kの計測精度が低下するという問題
があり、この点でさらなる改善の余地があった。
【0004】したがって、本発明の目的は、外乱により
車輪速に脈動が発生する場合にも、車輪スリップ率に対
する路面摩擦係数の変化率kを精度よく演算または推定
することができるアンチスキッド制御方法およびこれを
用いたアンチスキッド制御装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のアンチスキッド制御方法は、アンチスキッ
ド制御時に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧
後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間
に対して直線的に増加させた際に、車輪スリップ率に対
する路面摩擦係数の変化率から、該変化率が所定のしき
い値を下回る場合に再減圧を行う方法であって、車輪速
に脈動がない場合に、所定の一定時間間隔毎に計測した
複数の車輪速を用いて、前記変化率を演算または推定す
るとともに、車輪速に脈動がある場合に、車輪速の複数
の相続く極大値および極小値を用いて、前記変化率を演
算または推定することを特徴としている。
【0006】本発明のアンチスキッド制御装置は、車輪
速を検出する車輪速検出器と、ホイールシリンダのブレ
ーキ液圧を少なくとも減圧または増圧可能なモジュレー
タと、該モジュレータの作動を制御するコントローラと
を有し、前記コントローラは、アンチスキッド制御時
に、前記モジュレータによりホイールシリンダのブレー
キ液圧を減圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキト
ルクを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させ
るとともに、この再増圧時において、車輪速に脈動がな
いと判定される場合に所定の一定時間間隔毎に計測した
複数の車輪速を用いて車輪スリップ率に対する路面摩擦
係数の変化率を演算または推定し該変化率が所定のしき
い値を下回る場合に前記モジュレータにより再減圧を行
うとともに、車輪速に脈動があると判定される場合に車
輪速の複数の相続く極大値および極小値を用いて前記変
化率を演算または推定して該変化率が所定のしきい値を
下回る場合に前記モジュレータにより再減圧を行わせる
ことを特徴としている。
【0007】
【作用】本発明のアンチスキッド制御方法によれば、ア
ンチスキッド制御時に、ホイールシリンダのブレーキ液
圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トル
クを時間に対して直線的に増加させた際に、車輪スリッ
プ率に対する路面摩擦係数の変化率を、車輪速に脈動が
ない場合に、所定の一定時間間隔毎に計測した複数の車
輪速を用いて演算または推定し、車輪速に脈動がある場
合に、車輪速の複数の相続く極大値および極小値を用い
て演算または推定し、その結果、該変化率が所定のしき
い値を下回る場合に再減圧を行うことになる。ここで、
車輪速の極大値および極小値は、その平均値が、脈動が
無い場合の車輪速と類似の経過をたどることになり、よ
って、車輪速に脈動が発生する場合にこれら極大値およ
び極小値を用いて前記変化率を演算または推定すれば、
該変化率の精度を低下させることがなくなる。
【0008】本発明のアンチスキッド制御装置によれ
ば、コントローラは、アンチスキッド制御時に、モジュ
レータによりホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧
後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む制
動トルクを時間に対して直線的に増加させるとともに、
この再増圧時において、車輪速検出器からの検出情報か
ら、車輪速に脈動がないと判定される場合に所定の一定
時間間隔毎に計測した複数の車輪速を用いて車輪スリッ
プ率に対する路面摩擦係数の変化率を演算または推定し
該変化率が所定のしきい値を下回る場合にモジュレータ
により再減圧を行うとともに、車輪速に脈動があると判
定される場合に車輪速の複数の相続く極大値および極小
値を用いて前記変化率を演算または推定して該変化率が
所定のしきい値を下回る場合にモジュレータにより再減
圧を行わせることになる。ここで、車輪速の極大値およ
び極小値は、その平均値が、脈動が無い場合の車輪速と
類似の経過をたどることになり、よって、車輪速に脈動
が発生する場合にこれら極大値および極小値を用いて前
記変化率を演算または推定すれば、該変化率の精度を低
下させることがなくなる。
【0009】
【実施例】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御
方法について図面を参照して以下に説明する。なお、以
下においては、図1に模式的に示すように、車輪1にか
かる荷重をW0、車輪1の有効半径をR、車輪角速度をω
とし、また、車輪角速度の微分値をω’、車軸2に関す
る慣性モーメントをI、車軸2にかかる軸トルクをP、車
輪1と路面との間の路面摩擦係数をμとして説明する。
【0010】まず、一般的に、車輪スリップ率λに対す
る路面摩擦係数μの関係は図2に示されるようになって
おり、変化率k=dμ/dλが、Xの範囲では変化率k>0、Y
の時点では変化率k=0、Zの範囲では変化率k<0となっ
ている。ここで、スリップ率λはλ=1-Rω/vから求め
られるものであり、Rωは車輪速検出器(後述)からの
信号から割り出される車輪速で、vは、該車輪速等から
推定される模擬車体速度である。そして、k=0の時点Y
を中心に、スリップ率λが小さい範囲Xにあると、ホイ
ールロックを生じることがない安定制動状態と判定さ
れ、逆にスリップ率λが大きい範囲Zにあると、図2に
おいて破線で示すコーナリングフォースFcが低下してホ
イールロックを生じやすい不安定制動状態と判定され
る。
【0011】ここで、アンチスキッド制御中の時間tに
対する車輪速Rωの関係は、図3に示すような特性をな
すことになる。そして本実施例は、アンチスキッド制御
時に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を減圧後、再増
圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時間に対して
直線的に増加させた際に、車輪が加速状態から減速状態
に転じる区間TM1において再度減圧を行わせるタイミン
グを制御する方法、および車輪が全体として減速状態に
ある区間TM2において再度減圧を行わせるタイミングを
制御する方法であり、制動初期の減圧の開始タイミング
および減圧から再増圧への切り換えのタイミング等の他
の制御は、従来と同様に行われる。
【0012】まず、ホイールシリンダのブレーキ液圧を
減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを
時間に対して直線的に増加させた際に、車輪速に脈動が
ない状態で、車輪1が加速状態から減速状態に転じる区
間TM1において再度減圧を行わせるタイミングを制御す
る方法の判定に用いられる変化率kの第一の演算方法に
ついて説明する。
【0013】上記したように車輪にかかる荷重をW0、車
輪有効半径をR、車輪角速度をω、車輪角速度の微分値
をω'、車軸に関する慣性モーメントをI、車軸にかかる
軸トルクをP、重力加速度をgとすると、 Rω'=(g/C0)・{μ-P/(W0R)} ……式(1) である。ただし、C0=I/(W0R2/g)である。また、ある時
刻tnにおいては、 Rω'n=(g/C0)・[μn-{P/(W0R)}n] ……式(2) となる。
【0014】また、車輪スリップ率λ、車輪速Rωおよ
び車体速度vの関係は、 λ=1-(Rω/v) ……式(3) で定義される。微少時間内で車両速度vを一定と考え、
式(3)の両辺を時間で微分すると、 λ'=-Rω'/v ……式(4) となる。
【0015】さらに、路面摩擦係数μの車輪スリップ率
λに対する変化率kは、その定義より、 k=μ'/λ' ……式(5) となる。上記式(4)および式(5)より、 μ'=-(k/v)・Rω' ……式(6) となる。
【0016】ここで、図4は、アンチスキッド制御にお
いてブレーキ液圧を減圧後、制動トルクを、制動トルク
の上昇率Qが一定になるように増加させて、車輪速が加
速状態から減速状態に向う図3に示す区間TM1(この区
間TM1は車輪速検出器からの信号で検出できる)での、
車輪速Rω、路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)を
示したものである。そして、この図4では、式(2)のカ
ッコ[ ]内の路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)
が、共に無次元量として示されており、μ>P/(W0R)の
状態では車輪は加速し、μ<P/(W0R)の状態では車輪は
減速する。
【0017】時刻tnからtn+1までの間の車輪速変化(Rω
n+1-Rωn)は、式(2)より、μの特性線とP/(W0R)の特性
線とにより囲まれた面積(n)A(n+1)のg/C0倍であるか
ら、 Rωn+1-Rωn=(g/C0)・(n)A(n+1) ……式(7) となる。また、式(6)と式(7)とより、 μnn+1=(k/v)・(Rωn+1-Rωn)=(k/v)・(g/C0)・(n)A(n+1) ……式(8) が導かれる。
【0018】μの特性線とP/(W0R)の特性線とにより囲
まれた面積(n)A(n+1)は、図4に示す、時刻tnにおける
μnと{P/(W0R)}nとの間隔をa、{P/(W0R)}n+1と{P/(W
0R)}nとの間隔をb、μnとμn+1との間隔をcとし、時刻t
n+1と時刻tnとの間隔すなわちサンプリング間隔をT/2と
すると、面積(n)A(n+1)は、 (n)A(n+1)≒a・(T/2)-(1/2)・b・(T/2)-(1/2)・c・(T/2) ……式(9) によって表わされる。
【0019】ここで、aは、時刻tnにおけるμn-{P/(W
0R)}nであり、式(2)から、 a=(C0/g)・Rω'n ……式(10) となる。また、bは、時刻tn、tn+1間の制動トルク差分
であり、制動トルクはその上昇率Qが一定であるので、 b={(Q/(W0R)}・(T/2) ……式(11) で表わされる。さらに、cは、時刻tn、tn+1間のμの差
分であり、Tを十分短い時間とすると、 c=(μnn+1)=(k/v)・(Rωn+1-Rωn)≒(k/v)・Rω'n・(T/2) ……式(12) で表わされる。
【0020】よって、式(8)は、 μnn+1≒(k/v)・(g/C0)・[(C0/g)・Rω'n・(T/2)-(1/2)・
{Q/(W0R)}・(T/2)2-(1/2)・(k/v)・Rω'n・(T/2)2] =(k/v)・(T/2)・[Rω'n+(v/k)・{Q/(W0R)}]・{1-(1/2)・(k/
v)・(g/C0)・(T/2)}-{Q/(W0R)}・(T/2) となる。
【0021】故に、 {Q/(W0R)}・(T/2)+(μnn+1) ≒(k/v)・(T/2)・[Rω'n+(v/k)・{Q/(W0R)}] ・{1-(1/2)・(k/v)・(g/C0)・(T/2)} ……式(13) となる。また、時刻tnにおける制動トルク{P/(W0R)}
nと、時刻tn+1における制動トルク{P/(W0R)}n+1との関
係は、 {P/(W0R)}n+1={P/(W0R)}n+{Q/(W0R)}・(T/2) ……式(14) で表わされる。
【0022】ここで、時刻tn+1において、式(2)は、 Rω'n+1=(g/C0)・[μn+1-{(P/(W0R))n+(Q/(W0R))・(T/2)}] ……式(15) となる。式(2)と式(15)との差をとると、 Rω'n-Rω'n+1=(g/C0)・{μnn+1+(Q/(W0R))・(T/2)} となる。故に、 {Q/(W0R)}・(T/2)+(μnn+1)=(C0/g)・(Rω'n-Rω'n+1) ……式(16) となる。
【0023】そこで、式(13)および式(16)の左辺が等し
いことにより (C0/g)・(Rω'n-Rω’n+1)≒(k/v)・(T/
2)・[Rω'n+(v/k)・{Q/(W0R)}]・{1-(1/2)・(k/v)・(g
/C0)・(T/2)} よって、 (Rω'n-Rω'n+1)/[Rω'n+(v/k)・{Q/(W0R)}]≒(k/v)・(g/
C0)・(T/2)・{1-(1/2)・(k/v)・(g/C0)・(T/2)}
【0024】1から両辺を引くと、 [Rω'n+1+(v/k)・{Q/(W0R)}]/[Rω'n+(v/k)・{Q/(W0R)}] ≒1-(k/v)・(g/C0)・(T/2)・{1-(1/2)・(k/v)・(g/C0)・(T/2)} ……式(17) となる。ここで、時刻tn、tn+1の区間にて、k、v、C0
ほぼ一定と考えられるので、式(17)は一定の値をもつ。
【0025】次に、式(13)は、次なるサンプリング時
刻、すなわちtn+1、tn+2(tn、tn+1、tn+2、tn+3、tn+4
等のサンプリング間隔はT/2で一定)についても成り立
つので 、 {Q/(W0R)}・(T/2)+(μn+1n+2) ≒(k/v)・(T/2)・[Rω'n+1+(v/k)・{Q/(W0R)}] ・{1-(1/2)・(k/v)・(g/C0)・(T/2)} ……式(18) となる。ここで、区間tn、tn+2でも、k、v、C0は、ほぼ
一定と考えられるので、式(13)と式(18)との比をとると [{Q/(W0R)}・(T/2)+(μnn+1)]/[{Q/(W0R)}・(T/2)+(μn+1n+2)] =[Rω'n+(v/k)・{Q/(W0R)}]/[Rω'n+1+(v/k)・{Q/(W0R)}] ……式(19) となる。
【0026】式(19)の右辺は、すでに式(17)で示したよ
うに一定の値をもつ。式(19)は次なる区間tn+1〜tn+3
についても適用できるので、 [{Q/(W0R)}・(T/2)+(μnn+1)]/[{Q/(W0R)}・(T/2)+(μn+1n+2)] =[{Q/(W0R)}・(T/2)+(μn+1n+2)]/[{Q/(W0R)}・(T/2)+(μn+2-
μn+3)] =一定 ……式(20) を導くことができる。この式(20)を展開すると -{Q/(W0R)}・(T/2)・{(μnn+1)+(μn+2n+3)-2(μn+1n+2)} =(μnn+1)・(μn+2n+3)-(μn+1n+2)2 ……式(21)
【0027】さらに、式(6)の関係から、 k=v・{Q/(W0R)}・(T/2)・[(Rωn-Rωn+1)+(Rωn+2-Rωn+3)-2(Rωn+1-Rωn+2)] /[(Rωn-Rωn+1)・(Rωn+2-Rωn+3)-(Rωn+1-Rωn+2)2] ……式(22) を導き出すことができる。
【0028】そして、本実施例においては、このような
式(22)で演算された変化率kが、予め定められた所定の
しきい値(例えば0)を下回った場合に、アンチスキッ
ド制御における再増圧後の減圧を開始させる制御を行う
ことになる。
【0029】次に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を
減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを
時間に対して直線的に増加させた際に、車輪速の脈動の
有無によらず、車輪が加速状態から減速状態に転じる区
間TM1において再度減圧を行わせるタイミングを制御す
る方法の判定に用いられる変化率kの第二の演算方法に
ついて説明する。
【0030】まず、車輪速に脈動がない場合、上記した
式(20)をtn+1〜tn+4についても拡張すると、 [{Q/(W0R)}・(T/2)+(μnn+1)]/[{Q/(W0R)}・(T/2)+(μn+1n+2)] =[{Q/(W0R)}・(T/2)+(μn+1n+2)]/[{Q/(W0R)}・(T/2)+(μn+2n+3)] =[{Q/(W0R)}・(T/2)+(μn+2n+3)]/[{Q/(W0R)}・(T/2)+(μn+3n+4)] ……式(23) となる。これにより、 [{(Q/(W0R))・(T/2)+(μnn+1)}+{(Q/(W0R))・(T/2)+
n+1n+2)}]/[{(Q/(W0R))・(T/2)+(μn+1n+2)}+
{(Q/(W0R))・(T/2)+(μn+2n+3)}]=[{(Q/(W0R))・(T/
2)+(μn+1n+2)}+{(Q/(W0R))・(T/2)+(μn+2n+3)}]
/[{(Q/(W0R))・(T/2)+(μn+2n+3)}+{(Q/(W0R))・(T/2)
+(μn+3n+4)}] となり、これを展開すると、 -{Q/(W0R)}・T・{(μnn+2)+(μn+2n+4)-2(μn+1n+3)} =(μnn+2)・(μn+2n+4)-(μn+1n+3)2 ……式(24) となる。
【0031】この式(24)は、式(21)と類似しており、式
(21)から式(22)を導いたのと同様に、式(24)に式(6)を
適用して、 k=v・{Q/(W0R)}・T・[(Rωn-Rωn+4)-2(Rωn+1-Rωn+3)] /[(Rωn-Rωn+2)・(Rωn+2-Rωn+4)-(Rωn+1-Rωn+3)2] ……式(25) を導き出すことができる。
【0032】ここで、車のばね下振動により車輪荷重が
変化して車輪速に脈動が生じた場合には、車輪荷重Wの
変化をW=αW0、α=1+a・sin2πfat(a、faとも一定)
と仮定すると、この場合の車輪の運動方程式は、 Rω'=(g/C0)・[αμ-{P/(W0R)}] ……式(26) となる。ただし、C0=I/(W0R2/g)である。
【0033】図5は、この車輪荷重変化により車輪速に
脈動が生じた時のRωと、αμと、μと、P/(W0R)との関
係を示したものであり、式(26)から明らかなように、車
輪速Rωは、αμ-P/(W0R)により加減速し、αμ=P/(W0
R)となった時に極大値または極小値をとることになる。
ここで、時刻tn時点の車輪速Rωnと時刻tn+1時点の車輪
速Rωn+1の平均値は、概ねRωの変曲点と考えられるの
で、この点をRω(n)(n+1)として、相続く平均値Rω
(n)(n+1)、平均値Rω(n+1)(n+2)の差を考えると、すで
に上記第一の演算方法で示したように、Rω(n+1)(n+2)-
(n)(n+1)は、式(26)より、αμの特性線とP/(W0R)の
特性線に囲まれた面積のg/C0倍となる。
【0034】図5中に面積A1=A5となるようにA1とA2
境界線eを引くと、 Rω(n+1)(n+2)-Rω(n)(n+1)=(g/C0)・{(A1+A2+A3)-A5} ……式(27) であるが、路面摩擦係数μの曲線は緩やかに変化するの
で(図7参照)、μの平均値が、μ(n)(n+1)≒μ
(n+1)(n+2)であると考えると、A2≒A4となり、 Rω(n+1)(n+2)-Rω(n)(n+1)≒(g/C0)・(A3+A4) ……式(28) となる。これは既に述べた図4に類似するものであり、
(n+1)(n+2)-Rω(n)(n+1)は、μの特性線とP/(W0R)の
特性線で囲まれた面積のg/C0倍となる。
【0035】次に、軸トルクにエンジン等からの脈動が
含まれて車輪速に脈動が生じた場合には、軸トルク={P
/(W0R)}+b・sin2πfbt(b、fbとも一定)と仮定する
と、この場合の車輪の運動方程式は、 Rω'=(g/C0)・[μ-{(P/(W0R))+(b・sin2πfbt)}] ……式(29) 図6は、この時のRωと、μと、{P/(W0R)}+(b・sin2πfb
t)と、P/(W0R)との関係を示したもので、式(29)から明
らかなように、車輪速Rωは、μ−[{P/(W0R)}+(b・sin2
πfbt)]により加減速し、μ={P/(W0R)}+(b・sin2πfbt)
となった時に極大値または極小値をとることになる。
【0036】図6において、μやP/(W0R)の変化がbに比
べて無視できるほど小さい時、A1≒A4+A5+A6、(A2+A4)>
>(A3+A5)なので、 Rω(n+1)(n+2)-Rω(n)(n+1)=(g/C0)・{(A1+A2+A3)-A6} ≒(g/C0)・{(A4+A5+A6+A2+A3)-A6} =(g/C0)・{(A2+A4)+(A3+A5)} ≒(g/C0)・(A2+A4) ……式(30) となる。これは既に述べた図4に類似するものであり、
(n+1)(n+2)-Rω(n)(n+1)は、μの特性線とP/(W0R)の
特性線で囲まれた面積のg/C0倍となる。
【0037】以上、車のばね下振動によって車輪速に脈
動を生じる場合と、軸トルク変動によって車輪速に脈動
を生じる場合とについて説明してきたように、制動トル
クを直線的に上昇中に車輪速に脈動がある場合、この脈
動の振幅が一定の時は、車輪速の相続く極大値および極
小値の平均値は、脈動が無い場合の車輪速と類似した経
過をたどり、既に説明した式(22)を概ね満足することに
なる。
【0038】そこで、式(22)のRωn等の代りに、(Rωn+
n+1)/2等を代入することにより 、 k=v・{Q/(W0R)}・(T/2)・{(1/2)/(1/4)}・[(Rωn-Rω
n+2)+(Rωn+2-Rωn+4)-2(Rωn+1-Rωn+3)]/[(Rωn-Rω
n+2)・(Rωn+2-Rωn+4)-(Rωn+1-Rωn+3)2] =v・{Q/(W0R)}・T・[(Rωn-Rωn+2)+(Rωn+2-Rωn+4)-2(R
ωn+1-Rωn+3)]/[(Rωn-Rωn+2)・(Rωn+2-Rωn+4)-(Rω
n+1-Rωn+3)2] =v・{Q/(W0R)}・T・[(Rωn-Rωn+4)-2(Rωn+1-Rωn+3)]/
[(Rωn-Rωn+2)・(Rωn+2-Rωn+4)-(Rωn+1-Rωn+3)2] となる式(25)を導き出すことができる。
【0039】そして、このような式(25)で演算された変
化率kが、予め定められた所定のしきい値(例えば0)
を下回った場合に、アンチスキッド制御における再増圧
後の減圧を開始させる制御を行うことになる。なお、時
間Tは、車輪速に脈動がない場合上記した一定のサンプ
リング間隔T/2の2倍となり、脈動発生時には計測した
各周期の平均値を用いることになる。
【0040】次に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を
減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを
時間に対して直線的に増加させた際に、車輪速に脈動が
ない状態で、車輪が全体として減速状態(μ<P/(WR))
にある区間TM2において再度減圧を行わせるタイミング
を制御する方法の判定に用いられる変化率kの第一の推
定方法について説明する。
【0041】車輪速に脈動が無い場合に車輪が減速を続
けている状態、すなわち図4に示すRωn+2〜Rωn+3の時
刻tn+2〜tn+3間において、μn+3n+2は、図4に示す
μの特性線とP/(W0R)の特性線との間隔bn+2、間隔bn+3
を用いると、 μn+3−μn+2={Q/(W0R)}・(T/2)-(bn+3-bn+2) と表わすことができる。ここで、bn+3>bn+2であるの
で、 μn+3−μn+2<{Q/(W0R)}・(T/2) ……式(31) となり、この式(31)と式(6)との関係から、 k<v・{Q/(W0R)}・(T/2)・{1/(Rωn+2-Rωn+3)} となり、このときのn+2nとし、n+3n+1とすれば、 k<v・{Q/(W0R)}・(T/2)・{1/(Rωn-Rωn+1)} ……式(32) が得られる。
【0042】そして、このような式(32)の右辺を演算
し、該演算された推定値が、予め定められた所定のしき
い値(例えば0)を下回った場合に、該推定値より小さ
い変化率kの値が前記所定のしきい値を下回っていると
推定してアンチスキッド制御における再増圧後の減圧を
開始させる制御を行うことになる。
【0043】次に、ホイールシリンダのブレーキ液圧を
減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを
時間に対して直線的に増加させた際に、車輪速の脈動の
有無によらず、車輪が全体として減速状態にある区間T
M2において再度減圧を行わせるタイミングを制御する方
法の判定に用いられる変化率kの第二の推定方法につい
て説明する。
【0044】まず、車両のばね下振動により車輪荷重が
変化する場合(図7参照)、上述したように、車輪荷重
Wの変化をW=αW0、α=1+a・sin2πfat(a、faとも一
定)とすると、図7から a・μ(n)(n+1)-an+{Q/(W0R)}・T =(μ(n+2)(n+3)(n)(n+1))+a・μ
(n+2)(n+3)−an+1 と表わすことができる。
【0045】故に、 μ(n+2)(n+3)−μ(n)(n+1) ={1/(1+a)}・{Q/(W0R)}・T・[1-(an-an+1)/{Q/(W0R)・T}] ここで、an>an+1なので、 μ(n+2)(n+3)(n)(n+1)<{1/(1+a)}・{Q/(W0R)}・T<{Q/(W0R)}・T …式(33) となり、この式(33)と式(6)との関係から、 k<v・{Q/(W0R)}・T・{1/(Rω(n)(n+1)-Rω(n+2)(n+3))} ……式(34) が導き出される。
【0046】次に、軸トルクにエンジン等からの脈動が
含まれて車輪速に脈動が生じた場合(図8参照)、上述
したように、軸トルク={P/(W0R)}+b・sin2πfbt(b、f
bとも一定)すると、図8から bn+{Q/(W0R)}・T=(μ(n+2)(n+3)(n)(n+1))+bn+1 故に、 μ(n+2)(n+3)(n)(n+1)={Q/(W0R)}・T-(bn+1-bn) と表わすことができる。ここで、bn+1>bnなので、 μ(n+2)(n+3)(n)(n+1)<{Q/(W0R)}・T となり、式(33)と等しいので、同様にして上記式(34)を
得ることができる。なお、時間Tは、脈動がない場合上
記した一定のサンプリング間隔T/2の2倍となり、脈動
時には計測した各周期の平均値を用いることになる。
【0047】そして、このような式(34)の右辺を演算
し、該演算された推定値が、予め定められた所定のしき
い値(例えば0)を下回った場合に、該推定値より小さ
い変化率kの値が前記所定のしきい値を下回っていると
推定してアンチスキッド制御における再増圧後の減圧を
開始させる制御を行うことになる。
【0048】以上をまとめると、以下の通りである。第
一の演算方法は、ホイールシリンダのブレーキ液圧を減
圧後、再増圧させブレーキトルクを含む制動トルクを時
間に対して直線的に増加させた際に、車輪が加速状態か
ら減速状態に転じる区間TM1において、車輪速に脈動が
ない状態で、再減圧を行わせるタイミングの制御に適用
できる。この場合、一定間隔T/2にて計測した、相続く
4つの車輪速Rωn〜Rωn+3を用いて、以下の式により変
化率kの値を演算する。 k=v・{Q/(W0R)}・(T/2)・[(Rωn-Rωn+1)+(Rωn+2-R
ωn+3)-2(Rωn+1-Rωn+2)]/[(Rωn-Rωn+1)・(Rωn+2-R
ωn+3)-(Rωn+1-Rωn+2)2]
【0049】第二の演算方法は、ホイールシリンダのブ
レーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む
制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際に、車
輪が加速状態から減速状態に転じる区間TM1において、
車輪速脈動の有無にかかわらず再減圧を行わせるタイミ
ングの制御に適用できる。この場合、車輪速に脈動があ
る場合には、相続く5つの極大値および極小値での車輪
速Rωn〜Rωn+4を用いる。すなわち極小値Rωn、極大値
n+1、極小値Rωn+2、極大値Rωn+3および極小値Rω
n+4のデータ群を用いるか、あるいは、極大値Rωn、極
小値Rωn+1、極大値Rωn+2、極小値Rωn+3および極大値
n+4のデータ群を用いて、以下の式により変化率kの
値を演算する(時間Tは、脈動時には計測した各周期の
平均値を用いる)。また、車輪速に脈動がない場合に
は、一定のサンプリング間隔T/2で検出される、相続く
5つの車輪速Rωn〜Rωn+4を用いる。 k=v・{Q/(W0R)}
・T・[(Rωn-Rωn+4)-2(Rωn+1-Rωn+3)]/[(Rωn-Rωn+2)
・(Rωn+2-Rωn+4)-(Rωn+1-Rωn+3)2]
【0050】第一の推定方法は、ホイールシリンダのブ
レーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む
制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際に、車
輪が全体として減速状態にある区間TM2において、車輪
速に脈動がない状態で、再減圧を行わせるタイミングの
制御に適用できる。この場合、一定間隔T/2にて計測し
た、相続く2つの車輪速Rωn〜Rωn+1を用いて、以下の
式により変化率kの値を推定する。 k<v・{Q/(W0R)}・(T/2)・{1/(Rωn-Rωn+1)}
【0051】第二の推定方法は、ホイールシリンダのブ
レーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルクを含む
制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際に、車
輪が全体として減速状態にある区間TM2において、車輪
速脈動の有無にかかわらず再減圧を行わせるタイミング
の制御に適用できる。この場合、車輪速に脈動がある場
合には、相続く4つの極大値および極小値での車輪速R
ωn〜Rωn+3、すなわち極小値Rωn、極大値Rωn+1、極
小値Rωn+2および極大値Rωn+3のデータ群、或いは極大
値Rωn、極小値Rωn+1、極大値Rωn+2、極小値Rωn+3
データ群を用いて、隣り合った車輪速の平均値(Rωn+R
ωn+1)/2=Rω(n)(n+1)、(Rωn+2+Rωn+3)/2=Rω
(n+2)(n+3)を算出し、以下の式により変化率kの値を推
定する(時間Tは、脈動時には計測した各周期の平均値
を用いる)。また、車輪速に脈動がない場合には、一定
のサンプリング間隔T/2で検出される、相続く4つの車
輪速Rωn〜Rωn+3を用いる。 k<v・{Q/(W0R)}・T・{1/(Rω(n)(n+1)-Rω(n+2)(n+3))}
【0052】以上に述べた第一および第二の演算方法
と、第一および第二の推定方法とが適用されたアンチス
キッド制御装置について、以下に説明する。図9は、車
両用のアンチスキッド制御装置の一ブレーキ液圧系を示
しており、ブレーキペダル11の入力によりブレーキ液
圧が発生されるマスタシリンダ12と、伝達されるブレ
ーキ液圧により車輪1を制動するホイールシリンダ13
との間にモジュレータ14が設けられている。なお、ホ
イールシリンダ13は例えばディスクブレーキあるいは
ドラムブレーキ等の液圧作動装置である。
【0053】上記モジュレータ14は、電磁常閉弁15
と、容量可変のリザーバ16と、該リザーバ16からブ
レーキ液を吸入し吐出するポンプ17と、流量制御弁1
8とを有しており、流量制御弁18は、アンチスキッド
制御の非作動時に電磁常閉弁15が閉じられた状態にお
いてマスタシリンダ12とホイールシリンダ13とを連
通させ、アンチスキッド制御の減圧時に電磁常閉弁15
が励磁されて開かれることによりマスタシリンダ12と
ホイールシリンダ13との連通を遮断しつつホイールシ
リンダ13とリザーバ16とを連通させて該ホイールシ
リンダ13のブレーキ液をリザーバ16に流入させ、ア
ンチスキッド制御の再増圧時に電磁常閉弁15が閉じら
れた状態でポンプ17から吐出されるリザーバ16内の
ブレーキ液を、ホイールシリンダ13に単位時間当りの
流量を一定に制御しつつ流しブレーキトルクの上昇速度
を一定に保つようになっている。なお、アンチスキッド
制御の減圧時において、リザーバ16に流入されたブレ
ーキ液は、ポンプ17によりマスタシリンダ12側に戻
されるようになっている。
【0054】そして、上記電磁常閉弁15およびポンプ
17はコントローラ19に接続されており、このコント
ローラ19には、車輪1の回転速度を検出し車輪1の回
転に応じたパルスを出力する車輪速検出器20が接続さ
れている。
【0055】なお、コントローラ19は、アンチスキッ
ド制御の開始(初期減圧開始)の判断については、車輪
速検出器20からの出力により、模擬車速に対する車輪
1のスリップ率または車輪1のスリップ量を演算しスリ
ップ率またはスリップ量があらかじめ設定されたしきい
値を超えたら車輪1がロック傾向にあると判定してアン
チスキッド制御を開始し、または、車輪1の減速度があ
らかじめ設定されたしきい値を超えたら車輪1がロック
傾向にあると判定してアンチスキッド制御を開始し、あ
るいはこれらを組み合わせる等、一般的なアンチスキッ
ド制御の開始判断を行うようになっている。
【0056】また、コントローラ19は、アンチスキッ
ド制御の減圧から再増圧への判断についても、減圧中に
スリップ率またはスリップ量があらかじめ設定されたし
きい値以下となったら車輪1がロック傾向から回避され
たと判定して再増圧を開始し、または、車輪1の減速度
があらかじめ設定されたしきい値以下となったら車輪1
がロック傾向から回避されたと判定してアンチスキッド
制御を開始し、あるいはこれらを組み合わせる等、一般
的なアンチスキッド制御の減圧から再増圧への判断を行
うようになっている。
【0057】上記コントローラ19の制御内容の特徴部
分について、図10に示すフローチャートを参照して以
下にステップ毎に説明する。 〔ステップS1〕アンチスキッド制御の作動中におい
て、ホイールシリンダ13のブレーキ液圧を減圧させて
いる減圧中および保持させている保持中のいずれかの状
態にあるか、再増圧させている再増圧中であるかをメモ
リ中の記憶から判定する。そして、再増圧中である場合
には、〔ステップS2〕に進み、減圧中または保持中で
ある場合にはこの制御を終了する。ここで、勿論減圧中
または保持中である場合には、それぞれに応じた別の制
御を行っている。
【0058】〔ステップS2〕車輪速に脈動が有るか無
いかを、車輪速検出器20からの出力信号により判定す
る。そして、車輪速に脈動が無い場合には〔ステップS
3〕に進み、車輪速に脈動が有る場合には〔ステップS
8〕に進む。 〔ステップS3〕予め定められた一定間隔で車輪速をサ
ンプルするためにサンプル時間を監視して、サンプル時
刻が検出されたか否かを判定する。そして、サンプル時
刻が検出された場合には、〔ステップS4〕に進み、そ
うでない場合には、〔ステップS5〕に進む。
【0059】〔ステップS4〕車輪速Rωをスタック記
憶する。ここで、スタック記憶とは、図11に示すよう
に、記憶データを新しいものから順に記憶する所定数の
データ記憶部1A〜5Aを準備し、最新のデータを取り
込む毎に、既に記憶されているデータの最も古いデータ
を消去するように記憶するものである。例えば、図11
において、データ記憶部1Aからデータ記憶部5Aにか
けて、データ1B〜データ5Bが記憶されているとし
て、新データ0Bを記憶する際には、最も古いデータ記
憶部5Aのデータ5Bを消去して、次に古いデータ記憶
部4Aのデータ4Bをデータ記憶部5Aに、その次に古
いデータ記憶部3Aのデータ3Bをデータ記憶部4A
に、その次に古いデータ記憶部2Aのデータ2Bをデー
タ記憶部3Aに、その次に古いデータ記憶部1Aのデー
タ1Bをデータ記憶部2Aに移し、データ記憶部1Aに
新データ0Bを記憶するものである。 〔ステップS5〕車輪速検出器20からの信号が割り出
される車輪速Rωにより車輪が加速状態から減速状態に
転じる区間にあるか、車輪が全体として減速を継続して
いる区間にあるかを判定する。そして、車輪が加速状態
から減速状態に転じる区間にある場合には、〔ステップ
S6〕に進み、車輪が全体として減速を継続している区
間にある場合には、〔ステップS7〕に進む。
【0060】〔ステップS6〕上記第一の演算方法およ
び第二の演算方法のうちのいずれか一方により、変化率
kの値を演算する。なお、第一、第二のいずれの演算方
法で行うかは、予め設定しておく。 〔ステップS7〕上記第一の推定方法および第二の推定
方法のうちのいずれか一方により、変化率kの値の推定
値を演算する。なお、第一、第二のいずれの推定方法で
行うかは、予め設定しておく。
【0061】〔ステップS8〕車輪速検出器20からの
信号により車輪速の極大値および極小値を監視して、極
大値および極小値のいずれか一方が検出されたか否かを
判定する。そして、いずれかが検出された場合には、
〔ステップS9〕に進み、そうでない場合には、〔ステ
ップS10〕に進む。 〔ステップS9〕極大値または極小値となる車輪速Rω
とその検出時刻tをスタック記憶する。〔ステップS1
0〕車輪速検出器20からの信号により車輪が加速状態
から減速状態に転じる区間にあるか、車輪が全体として
減速を継続している区間にあるかを判定する。そして、
車輪が加速状態から減速状態に転じる区間にある場合に
は、〔ステップS11〕に進み、車輪が全体として減速
を継続している区間にある場合には、〔ステップS1
2〕に進む。
【0062】〔ステップS11〕上記第二の演算方法に
より、変化率kの値を演算する。 〔ステップS12〕上記第二の推定方法により、変化率
kの値の推定値を演算する。そして、コントローラ19
は、上記のようにして演算された、変化率kの値の演算
値または推定値を、予め定められた所定のしきい値と比
較して該しきい値を下回る場合には、アンチスキッド制
御を増圧から減圧に切り換えることになる。
【0063】以上のように、本実施例のアンチスキッド
制御方法およびこれを用いたアンチスキッド制御装置に
よれば、アンチスキッド制御時に、ホイールシリンダ1
3のブレーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトルク
を含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させた際
に、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率を、
車輪速に脈動がない場合に、所定の一定時間間隔毎に計
測した複数の車輪速を用いて演算または推定し、車輪速
に脈動がある場合に、車輪速の複数の相続く極大値およ
び極小値を用いて演算または推定し、その結果、該変化
率が所定のしきい値を下回る場合に再減圧を行うことに
なるが、車輪速の極大値および極小値は、その平均値
が、脈動が無い場合の車輪速と類似の経過をたどること
になり、よって、車輪速に脈動が発生する場合にこれら
極大値および極小値を用いて前記変化率を演算または推
定すれば、該変化率の精度を低下させることがなくな
る。
【0064】したがって、外乱により車輪速に脈動が発
生している場合であっても、変化率kの値が演算または
推定できるため、スリップ率λ−路面摩擦係数μ特性の
判定がさらに正確となり、確実にホイールロックを防止
でき、かつ最大路面摩擦係数付近が有効利用でき、作動
中のスリップ率λの変化範囲を少なくすることができ
る。
【0065】ここで、図12に示すように、従来のよう
に再増圧中に車輪スリップ率λが所定のしきい値を超え
た場合に減圧させるのでは、図12におけるA点付近で
減圧を開始させることになってしまうが、上記アンチス
キッド制御装置によれば、変化率kの値により判定する
ため、図12におけるB点付近で減圧することができ、
図2において破線で示すコーナリングフォースFcの低い
状態にある時間を短くでき、制御を速くできる。
【0066】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のアンチス
キッド制御方法及びアンチスキッド制御装置によれば、
車輪速の極大値および極小値はその平均値が脈動が無い
場合の車輪速と類似の経過をたどることになることに着
目し、車輪速に脈動が発生する場合にこれら極大値およ
び極小値を用いて前記変化率を演算または推定している
ので、該変化率の精度を低下させることがなくなる。し
たがって、外乱により車輪速に脈動が発生している場合
であっても、前記変化率が演算または推定できるため、
確実にホイールロックを防止でき、かつ最大路面摩擦係
数付近が有効利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方
法が適用される車輪の運動モデルを示す模式図である。
【図2】車輪のスリップ率λに対する、路面摩擦係数μ
およびコーナリングフォースFcの関係を示す特性線図で
ある。
【図3】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方
法の、アンチスキッド制御中の時間tに対する車輪速Rω
の関係を示す特性線図である。
【図4】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方
法の、車輪速が加速状態から減速状態に向う区間での、
車輪速Rω、路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)の
関係を示す特性線図であって、車輪速に脈動が発生して
いない状態を示すものである。
【図5】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方
法の、車輪速が加速状態から減速状態に向う区間での、
車輪速Rω、路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)の
関係を示す特性線図であって、車輪荷重の変化により車
輪速に脈動が発生した状態を示すものである。
【図6】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方
法の、車輪速が加速状態から減速状態に向う区間での、
車輪速Rω、路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)の
関係を示す特性線図であって、軸トルクの変化により車
輪速に脈動が発生した状態を示すものである。
【図7】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方
法の、車輪が全体として減速状態にある区間での、車輪
速Rω、路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)の関係
を示す特性線図であって、車輪荷重の変化により車輪速
に脈動が発生した状態を示すものである。
【図8】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御方
法の、車輪が全体として減速状態にある区間での、車輪
速Rω、路面摩擦係数μおよび制動トルクP/(W0R)の関係
を示す特性線図であって、軸トルクの変化により車輪速
に脈動が発生した状態を示すものである。
【図9】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御装
置を概略的に示す構成図である。
【図10】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御
装置の制御内容の特徴部分を示すフローチャートであ
る。
【図11】本発明の一実施例によるアンチスキッド制御
装置のスタック記憶を説明する図である。
【図12】従来のアンチスキッド制御装置の車体速度
v、車輪速Rωおよび制動トルクpの関係を示す特性線図
である。
【符号の説明】
1 車輪 13 ホイールシリンダ 14 モジュレータ 19 コントローラ 20 車輪速検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−106766(JP,A) 特開 平3−246157(JP,A) 特開 平1−267461(JP,A) 特開 平3−7648(JP,A) 特開 平6−247275(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/32

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンチスキッド制御時に、ホイールシリ
    ンダのブレーキ液圧を減圧後、再増圧させブレーキトル
    クを含む制動トルクを時間に対して直線的に増加させた
    際に、車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率か
    ら、該変化率が所定のしきい値を下回る場合に再減圧を
    行うアンチスキッド制御方法において、 車輪速に脈動がない場合に、所定の一定時間間隔毎に計
    測した複数の車輪速を用いて、前記変化率を演算または
    推定するとともに、 車輪速に脈動がある場合に、車輪速の複数の相続く極大
    値および極小値を用いて、前記変化率を演算または推定
    することを特徴とするアンチスキッド制御方法。
  2. 【請求項2】 車輪速を検出する車輪速検出器と、ホイ
    ールシリンダのブレーキ液圧を少なくとも減圧または増
    圧可能なモジュレータと、該モジュレータの作動を制御
    するコントローラとを有し、 前記コントローラは、アンチスキッド制御時に、前記モ
    ジュレータによりホイールシリンダのブレーキ液圧を減
    圧後、所定の条件下で再増圧させブレーキトルクを含む
    制動トルクを時間に対して直線的に増加させるととも
    に、この再増圧時において、車輪速に脈動がないと判定
    される場合に所定の一定時間間隔毎に計測した複数の車
    輪速を用いて車輪スリップ率に対する路面摩擦係数の変
    化率を演算または推定し該変化率が所定のしきい値を下
    回る場合に前記モジュレータにより再減圧を行うととも
    に、車輪速に脈動があると判定される場合に車輪速の複
    数の相続く極大値および極小値を用いて前記変化率を演
    算または推定して該変化率が所定のしきい値を下回る場
    合に前記モジュレータにより再減圧を行わせることを特
    徴とするアンチスキッド制御装置。
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