JP3544696B2 - ゴルフクラブセット - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は複数本のゴルフクラブからなるゴルフクラブセットに関し、更に詳しくは、各クラブのインパクト時のシャフト軸周りのクラブヘッドの回転トルクを実質的に同一にしたゴルフクラブセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、クラブ長さ及びクラブヘッド重量の異なる複数本のゴルフクラブを一定条件のもとに相関性をもたせて揃えたものをゴルフクラブセットと称している。例えば、ウッドクラブの場合、クラブNo.1のドライバーからクラブNo.5のクリークまでの5本のウッドクラブの中から幾つかを選択してセットを構成するのが一般的である。また、アイアンクラブの場合、クラブNo.1のドライビングアイアンからクラブNo.9のニブリックまでの9本とピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジ等の特殊クラブの中から幾つかを選択してセットを構成するのが一般的である。また、ヘッド材料が多様化し設計自由度が増大した近年においては、両者を機能的に統合したゴルフクラブセットも出現している。
【0003】
そして、セットを構成する複数本のゴルフクラブは、同一の感覚でスイングすることができ且つ各クラブで打球されたボールが予め設定された軌跡を描いて所定距離を飛ぶように、クラブ長さ、ヘッドの形状及び重量、ライ、ロフト等に相関性をもたせて設計されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、現状のゴルフクラブセットでは、ゴルファーが一定のスイングを行っても、クラブ長さの長いゴルフクラブほどインパクト時にクラブヘッドのフェースが開いた状態になり打球がスライスする傾向があり、また、クラブ長さの短いゴルフクラブほどインパクト時にクラブヘッドのフェースが閉じた状態になり打球がフックする傾向がある。その原因の1つとして、ゴルフスイングにおいてはボールを打球するインパクト直前のクラブヘッドの返り、すなわちクラブシャフトのシャフト軸の周りのクラブヘッドの回転が重要であり、このクラブヘッドの返り具合が打球の方向性に大きく影響することが知られている。
【0005】
そこで、従来より、セットを構成する各ゴルフクラブのクラブヘッドの返り具合を同一にするための試みがなされてきたが、従来はこのクラブヘッドの返り易さを決定する要素としてシャフト軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントのみが着目されていた。例えば特開平1−166781号公報に示されるゴルフクラブセットは、各ゴルフクラブのシャフト軸周りの慣性モーメントを同一にすることで各ゴルフクラブのクラブヘッドの返り具合を同一にしようとするものである。
【0006】
しかしながら、各ゴルフクラブのシャフト軸周りの慣性モーメントを同一にしただけでは不十分である。なぜなら、クラブヘッドの返りはシャフト軸周りのクラブヘッドの回転トルクによって引き起こされるものであり、この回転トルクはインパクト付近(通常はインパクトの直前)で大きさが最大となるクラブの角速度の影響を大きく受けるからである。
【0007】
今、ゴルフクラブの慣性主軸座標系として、ゴルフクラブのシャフトの中心軸(シャフト軸)に沿った主軸を第1軸(x)とし、この第1軸(x)と直交してクラブのスイング方向に延びる主軸を第2軸(z)とし、第1軸(x)及び第2軸(z)と直交する主軸を第3軸(y)とすると、第1軸(x)の周りのクラブヘッドの回転トルクNxは次の数2で表すことができる。
【0008】
【数2】
ここで、Ixは第1軸(x)の周りのクラブヘッドの慣性モーメント、Izは第2軸(z)周りのクラブヘッドの慣性モーメント、Iyは第3軸(y)の周りのクラブヘッドの慣性モーメント、Wx,Wz,Wyはそれぞれ第1軸,第2軸及び第3軸の周りのクラブヘッドの角速度である。
【0009】
数2から明らかなように、シャフト軸すなわち第1軸(x)周りのクラブヘッドの慣性モーメントIxは第1軸(x)周りのクラブヘッドの回転トルクNxを生み出す要素の1つであるが、たとえ各ゴルフクラブの慣性モーメントIxを同一にしても、他の要素との関係で回転トルクNxは変動し得る。実験によれば、セットを構成する一般的な各ゴルフクラブで通常のスイングを行った場合、図3に示すように、第1軸(x)周りのクラブヘッドの角加速度dWx/dtは各ゴルフクラブにおいてほぼ同一である。したがって、慣性モーメントIxを同一にすれば、Ix・dWx/dtは同一になる。
【0010】
一方、同図に示すように、各ゴルフクラブの第2軸(z)及び第3軸(y)周りの角速度Wz,Wyについては、角速度Wy,Wzの積Wy・Wzの値(絶対値)はインパクト付近(通常はインパクト直前)で最大になり、しかも、Wy・Wzの最大値(絶対値)はクラブ長さの増大に従ってほぼ比例的に増大する。
【0011】
したがって、各ゴルフクラブにおけるインパクト直前の第1軸(x)の周りのクラブヘッドの回転トルクNxを同一にするためには、各ゴルフクラブの慣性モーメントIxとの関係でインパクト直前における(Iy−Iz)Wy・Wzの大きさを調整する必要があることが判明した。
【0012】
したがって、本発明の目的は、セットを構成する各ゴルフクラブのインパクト直前のクラブヘッドのフェースの向き(クラブヘッドの返り具合)をほぼ同一にすることができ、打球の方向を一定とすることができるゴルフクラブセットを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、クラブ長さ及びクラブヘッド重量の異なる複数本のゴルフクラブからなるゴルフクラブセットにおいて、上記数2で表される各ゴルフクラブのインパクト直前におけるシャフト軸周りのクラブヘッドの回転トルク(Nx)を実質的に同一としたことを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のゴルフクラブセットにおいて、各ゴルフクラブにおける第1軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメント(Ix)が実質的に同一であり、各ゴルフクラブにおける第2軸及び第3軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントの差(Iy−Iz)とインパクト直前における第2軸及び第3軸の周りの角速度(Wz,Wy)との積値(絶対値)が実質的に同一であることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載のゴルフクラブセットは、請求項1記載のゴルフクラブセットにおいて、各ゴルフクラブにおける第1軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメント(Ix)がクラブ長さの変化に従ってほぼ比例的に変化しており、各ゴルフクラブにおける第2軸及び第3軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントの差(Iy−Iz)とインパクト直前における第2軸及び第3軸の周りの角速度(Wz,Wy)との積値(絶対値)が第1軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメント(Ix)と第1軸周りの角加速度(dWx/dt)との積値の変化量と実質的に同一の変化量で変化していることを特徴とする。
【0016】
請求項4記載のゴルフクラブセットは、請求項2記載のゴルフクラブセットにおいて、各ゴルフクラブがクラブシャフトと、該クラブシャフトの先端に固着されるネック部を一体に有するクラブヘッドとを備え、各ゴルフクラブ又は1つのゴルフクラブを除く他のゴルフクラブのネック部にクラブヘッドの慣性モーメントを調整する重量体を設けたことを特徴とする。
【0017】
請求項5記載のゴルフクラブセットは、請求項3記載のゴルフクラブセットにおいて、各ゴルフクラブがクラブシャフトと、該クラブシャフトの先端に固着されるネック部及びヘッド本体部を有するクラブヘッドとを備え、各ゴルフクラブ又は1つのゴルフクラブを除く他のゴルフクラブのクラブヘッドのヘッド本体部にクラブヘッドの慣性モーメントを調整する重量体を設けたことを特徴とする。
【0018】
【作用】
請求項1記載のゴルフクラブセットにおいては、各ゴルフクラブのインパクト直前におけるクラブヘッドのシャフト軸周りの回転トルクNxを同一にしたことにより、各ゴルフクラブのインパクト時のクラブフェースの向きを同一にできることとなり、打球の方向を同一にすることができる。
【0019】
請求項2記載のゴルフクラブセットにおいては、各ゴルフクラブにおける第1軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントIxを実質的に同一にした条件のもとで、各ゴルフクラブのインパクト時のクラブフェースの向きを同一にできるゴルフクラブセットを提供することができる。
【0020】
請求項3記載のゴルフクラブセットにおいては、各ゴルフクラブにおける第1軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントIxがクラブ長さの変化に従ってほぼ比例的に変化している条件のもとで、各ゴルフクラブのインパクト時のクラブフェースの向きを同一にできるゴルフクラブセットを提供することができる。
【0021】
請求項4記載のゴルフクラブセットにおいては、各ゴルフクラブがクラブシャフトと、該クラブシャフトの先端に固着されるネック部を一体に有するクラブヘッドとを備え、各ゴルフクラブ又は1つのゴルフクラブを除く他のゴルフクラブのネック部にクラブヘッドの慣性モーメントを調整する重量体を設けることにより、既存のゴルフクラブの僅かな変更によって、各ゴルフクラブにおける第1軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントIxを実質的に同一にした条件のもとで、各ゴルフクラブのインパクト時のクラブヘッドのフェースの向きを同一にできるゴルフクラブセットを容易に実現することができる。
【0022】
請求項5記載のゴルフクラブセットにおいては、各ゴルフクラブがクラブシャフトと、該クラブシャフトの先端に固着されるネック部及びヘッド本体部を有するクラブヘッドとを備え、各ゴルフクラブ又は1つのゴルフクラブを除く他のゴルフクラブのクラブヘッドのヘッド本体部にクラブヘッドの慣性モーメントを調整する重量体を設けることにより、既存のゴルフクラブの僅かな変更によって、各ゴルフクラブにおける第1軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントIxがほぼ比例的に変化する条件のもとで、各ゴルフクラブのインパクト時のクラブヘッドのフェースの向きを同一にできるゴルフクラブセットを容易に実現することができる。
【0023】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例につき説明する。
【0024】
図1(a),(b),(c)は本発明をクラブNo.3からクラブNo.9までのアイアンクラブで構成されるゴルフクラブセットに適用した場合の第1実施例を示したものであり、そのセットを構成するアイアンクラブの1つを図示したものである。同図を参照すると、アイアンクラブ10はネック部12を一体に有するクラブヘッド11と、このクラブヘッド11のネック部12に先端が挿入され固着されたクラブシャフト13とを有し、クラブシャフト13の基端側にはグリップ(不図示)が装着されている。すなわち、この第1実施例のクラブヘッド11は、図1(a),(b),(c)に示すように、フェース(打球面)11b及びバック面11cを有するヘッド本体部11aとこのヘッド本体部11aに一体のネック部12とからなっている。各アイアンクラブの慣性主軸座標系として、クラブシャフト13の中心軸(シャフト軸)に沿った主軸を第1軸(x)とし、この第1軸(x)と直交してクラブのスイング方向に延びる主軸(一般に、この主軸は第1軸と直交し、また、クラブヘッド11のスイートスポットでフェース(打球面)11aと直交する鉛直面に対し平行に延び、且つ、水平である)を第2軸(z)とし、第1軸(x)及び第2軸(z)に直交する主軸を第3軸(y)とする。本発明の第1実施例は、このような既存形態のアイアンクラブ10のネック部12に質量分布の均一な棒状の重量体14を貫通固着することにより実現される。
【0025】
【表1】
【0026】
表1は本発明の第1実施例を適用したクラブNo.3からクラブNo.9までのアイアンクラブの長さと、重量体14を取り付ける前の各主軸周りの慣性モーメントIx,Iy,Izと、第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の角加速度dWx/dtと、インパクト直前における第2軸(z)及び第3軸(y)の周りのクラブヘッド11の角速度Wz,Wyの積Wy・Wzの値(最大値)を示している。なお、各主軸周りの慣性モーメントIx,Iy,Izは、次の数3で求めることができる。
【0027】
【数3】
I(x,y,z) =IG(x,y,z)・md2=mr2+md2
ここでIG(x,y,z)はそれぞれ対応する主軸(x,y,z)と平行で且つクラブヘッド11の重心を通る軸の周りの慣性モーメント、mはクラブヘッド11の質量、rは回転半径、dは対応する主軸からクラブヘッド11の重心までの距離である。
【0028】
図3はこのゴルフクラブセットにおけるクラブNo.3,6,9の各アイアンクラブのトップスイングからインパクトまでのスイング中の角加速度dWx/dtと角速度の積Wy・Wzの値の時間的変化を示したものである。図3から判るように、各クラブのトップスイングからインパクト直前までの各時点における第1軸(x)の周りの角加速度dWx/dtはほぼ同一値をとり、インパクト直前の平均値は約−125.0rad/sec 2 である。そこで、表1では各アイアンクラブの第1軸(x)の周りの角加速度dWx/dtを−125.0rad/sec 2 としている。また、表1における角速度の積Wy・Wzはインパクト直前の最大値(図3参照)をとったものであり、これをグラフで示すと、図4(a)に示すように、角速度の積Wy・Wzの値(|Wy・Wz|)はクラブ番手数(クラブNo.)が増大する(クラブ長さが減少する)に従ってほぼ比例的に減少していることが判る。
【0029】
表1に示すこれらのデータをもとに各アイアンクラブの第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の回転トルクNxを前述の数2により求めると、表1及び図4(c)に示すように、インパクト直前における各アイアンクラブの回転トルクNxは一定ではないことが判る。
【0030】
【表2】
【0031】
そこで、本実施例においては、図1(a),(b),(c)及び表2に示すように、クラブNo.3からクラブNo.8までのアイアンクラブのクラブヘッド11のネック部12に質量Mが同一(0.02kg)の棒状重量体14を設け、各アイアンクラブにおける第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の慣性モーメントIxが同一となるように、そして各ゴルフクラブにおける第2軸及び第3軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントの差(Iy−Iz)とインパクト直前における第2軸及び第3軸の周りの角速度Wz,Wyとの積値(|(Iy−Iz)Wy・Wz|)が実質的に同一になるように、各重量体14の長さLと取付け角度θを変化させたものである。なお、図1に示すように、重量体14の軸線は第2軸(z)と第3軸(y)でなすy−z平面内に位置しており、重量体14は第1軸(x)を中心としてL/2の長さ分ずつ対称に配設されている。そしてy−z平面上で第2軸(z)から時計方向に重量体14の取付け角度θを定めている。
【0032】
上述したように、クラブセットにおいては角速度Wy,Wzの積値(|Wy・Wz|)はクラブ長さが長くなるに従ってほぼ直線的(比例的)に増大しているので(図4(a)参照)、各アイアンクラブの慣性モーメントIxを同一にする場合、各アイアンクラブにおけるインパクト直前の第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の回転トルクNxを同一にするためには、各ゴルフクラブにおける第2軸及び第3軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントの差(Iy−Iz)とインパクト直前における第2軸及び第3軸の周りの角速度Wz,Wyとの積(|(Iy−Iz)Wy・Wz|)を同一にする必要がある。それ故、第1実施例では、図4(b)に示すように、各アイアンクラブの番手数(クラブNo.)の増大に従い慣性モーメントの差(|Iy−Iz|)を双曲線に沿うように変化させている。
【0033】
表2に示すこれらのデータをもとに各アイアンクラブの第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の回転トルクNxを前述の数2により求めると、第1実施例の重量体取付け後の各アイアンクラブにおけるインパクト直前の第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の回転トルクNxは表2及び図4(c)に示すように同一値(−0.250Nm)になることが判る。
【0034】
なお、図4(a)〜(c)における縦軸はクラブNo.9のアイアンクラブの値に対する他の各アイアンクラブの値の比を示している。
【0035】
図2(a),(b),(c)は本発明を表1に示すクラブNo.3からクラブNo.9までのアイアンクラブで構成されるゴルフクラブセットに適用した場合の第2実施例を示したものであり、そのセットを構成するアイアンクラブの1つを図示したものである。同図において上記第1実施例と同様の構成要素には同一の参照符号が付してある。
【0036】
【表3】
【0037】
この第2実施例では、表3に示すように、クラブNo.3からクラブNo.8までのアイアンクラブ10のクラブヘッド11のネック部12に実質的に両端のみに質量を有する重量体15が貫通固着されている。各重量体15の質量Mは同一(0.02kg)である。この第2実施例においても、各アイアンクラブにおける第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の慣性モーメントIxが同一となるように、そして各ゴルフクラブにおける第2軸(z)及び第3軸(y)の周りのクラブヘッド11の慣性モーメントの差(Iy−Iz)とインパクト直前における第2軸及び第3軸の周りの角速度Wz,Wyとの積値(|(Iy−Iz)Wy・Wz|)が実質的に同一になるように、各重量体14の長さLと取付け角度θを変化させている。
【0038】
表3に示すこれらのデータをもとに各アイアンクラブの第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の回転トルクNxを前述の数2により求めると、第2実施例の重量体取付け後の各アイアンクラブにおけるインパクト直前の第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の回転トルクNxは表3に示すように同一値(−0.250Nm)になることが判る。
【0039】
なお、上記第1実施例及び第2実施例において、第1軸(x)線上における重量体14,15の取付け位置は第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の回転トルクNxに影響しない。なぜなら、重量体14,15の取付け位置(第1軸上の位置)をΔxだけ変化ときの各主軸周りの慣性モーメントの変化量ΔIx,ΔIy,ΔIzは次の数4に示すように0であるからである。
【0040】
【数4】
ΔIx=0
ΔIy=ΔIz=M・Δx2
∴ΔIy−ΔIz=0
【0041】
したがって、クラブヘッド11のネック部12に対する重量体14,15の取付け位置は第1軸(x)上の任意位置とすることができる。
【0042】
さらに、上述した第1,第2実施例では、クラブNo.9のアイアンクラブを除く他のアイアンクラブに重量体14,15を設けることでこれら他のアイアンクラブの回転トルクNxの値をクラブNo.9のアイアンクラブの回転トルクNxに一致させたが、このような態様に限定されず、重量体14,15を省略するアイアンクラブはクラブNo.9以外の何れのクラブであってもよく、また、セットを構成する全てのアイアンクラブに重量体14,15を設けてもよい。
【0043】
図5(a),(b),(c)は本発明を表1に示すクラブNo.3からクラブNo.9までのアイアンクラブで構成されるゴルフクラブセットに適用した場合の第3実施例を示したものであり、そのセットを構成するアイアンクラブの1つを図示したものである。同図において上記第1実施例と同様の構成要素には同一の参照符号が付してある。
【0044】
【表4】
【0045】
この第3実施例では、図5及び表4に示すように、クラブNo.3からクラブNo.9までのアイアンクラブ10のクラブヘッド11のヘッド本体部11aのバック面11c側に重量体16が固着されている。ここで、重量体16の取付け位置は第2軸(z)からの距離をa、第2軸(y)からの距離をbとして定めている(図5(a),(b)参照)。この第3実施例においては、各アイアンクラブにおける第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の慣性モーメントIxは、図6(a)に示すように、重量体16の取付け前も取付け後もクラブ番手数(クラブNo.)の増大に従いほぼ比例的に増大している。そして各ゴルフクラブにおける第2軸(z)及び第3軸(y)の周りのクラブヘッド11の慣性モーメントの差(Iy−Iz)とインパクト直前における第2軸及び第3軸の周りの角速度Wz,Wyとの積値(|(Iy−Iz)Wy・Wz|)は慣性モーメントIxと第1軸(x)周りの角加速度dWx/dtとの積値の変化量と実質的に同一の変化量で変化するように、各重量体16の質量(M)と各主軸(x,y,z)に対する取付け位置a,bを変化させたものである。このとき、前述したように、Wy・Wzの値がほぼ比例的に変化する条件のもとで、図6(b)に示すように、重量体取付け前の各アイアンクラブではIy−Izの値がほぼ直線的に変化しているのに対し、重量体取付け後の各アイアンクラブではIy−Izの値は曲線的に変化するものとなっている。
【0046】
表4に示すこれらのデータをもとに各アイアンクラブの第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の回転トルクNxを前述の数2により求めると、第3実施例の各アイアンクラブにおけるインパクト直前の第1軸(x)の周りのクラブヘッド11の回転トルクNxは表4及び図6(c)に示すように同一値(−0.257Nm)となることが判る。
【0047】
なお、図6(a),(b)における縦軸は各アイアンクラブの値を示しており、同図(c)における縦軸はクラブNo.9のアイアンクラブの値に対する他の各アイアンクラブの値の比を示している。
【0048】
この第3実施例ではセットを構成する全てのアイアンクラブのクラブヘッド11に重量体16を設けたが、何れか1つのアイアンクラブにおいて重量体16を省略することが可能である。
【0049】
以上、本発明をアイアンクラブのセットに適用した場合について説明したが、本発明をウッドクラブのセットにも適用できることは明らかであろう。また、セットを構成するゴルフクラブの番手数(クラブNo.)の組合せは任意に選択可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、セットを構成する各ゴルフクラブにおけるインパクト直前のシャフト軸(第1軸)の周りのクラブヘッドの回転トルクを同一にすることにより、セットを構成する各ゴルフクラブのインパクト直前のクラブヘッドのフェースの向き(クラブヘッドの返り具合)を同一にすることができるので、一定のスイングのもとで打球の方向を一定とすることができるゴルフクラブセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をアイアンクラブセットに適用した場合の第1実施例を示し、(a)はアイアンクラブをクラブヘッドのトウ側より見た要部側面図、(b)はクラブヘッドのフェース側より見た要部正面図、(c)はシャフト軸上方より見た要部平面図である。
【図2】本発明をアイアンクラブセットに適用した場合の第2実施例を示し、(a)はアイアンクラブをクラブヘッドのトウ側より見た要部側面図、(b)はクラブヘッドのフェース側より見た要部正面図、(c)はシャフト軸上方より見た要部平面図である。
【図3】セットを構成するクラブNo.3,6,9のアイアンクラブの重量体取付け前のトップスイングからインパクトに至るスイング中のdWx/dt及びWy・Wzの変化を示すグラフである。
【図4】(a)はセットを構成する各アイアンクラブのインパクト直前におけるWy・Wzの最大値(絶対値)の比を示すグラフ、(b)は各アイアンクラブのIy−Izの値(絶対値)の比を示すグラフ、(c)は各アイアンクラブの重量体取付け前と第1及び第2実施例の重量体取付け後の(Iy−Iz)Wy・Wzの値(絶対値)の比を比較して示すグラフである。
【図5】本発明をアイアンクラブセットに適用した場合の第3実施例を示し、(a)はアイアンクラブをシャフト軸上方より見た要部平面図、(b)はクラブヘッドのソール側より見た要部底面図、(c)はクラブヘッドのフェース側より見たクラブ全体の概略正面図である。
【図6】(a)はセットを構成する各アイアンクラブの重量体取付け前と第3実施例の重量体取付け後のIxの値を示すグラフ、(b)は各アイアンクラブの重量体取付け前と第3実施例の重量体取付け後のIy−Izの値を示すグラフ、(c)は各アイアンクラブの重量体取付け前と第3実施例の重量体取付け後の回転トルクNxの値(絶対値)の比を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
10 アイアンクラブ
11 クラブヘッド
11a ヘッド本体部
11b フェース
11c バック面
12 ネック部
13 クラブシャフト
14,15,16 重量体
Claims (5)
- クラブ長さ及びクラブヘッド重量の異なる複数本のゴルフクラブからなるゴルフクラブセットにおいて、次の数1で表される各ゴルフクラブのインパクト直前におけるシャフト軸周りのクラブヘッドの回転トルク(Nx)を実質的に同一としたことを特徴とするゴルフクラブセット:
- 各ゴルフクラブにおける第1軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメント(Ix)が実質的に同一であり、各ゴルフクラブにおける第2軸及び第3軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントの差(Iy−Iz)とインパクト直前における第2軸及び第3軸の周りの角速度(Wz,Wy)との積値(絶対値)が実質的に同一であることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブセット。
- 各ゴルフクラブにおける第1軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメント(Ix)がクラブ長さの変化に従ってほぼ比例的に変化しており、各ゴルフクラブにおける第2軸及び第3軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメントの差(Iy−Iz)とインパクト直前における第2軸及び第3軸の周りの角速度(Wz,Wy)との積値(絶対値)が第1軸の周りのクラブヘッドの慣性モーメント(Ix)と第1軸周りの角加速度(dWx/dt)との積値の変化量と実質的に同一の変化量で変化していることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブセット。
- 各ゴルフクラブがクラブシャフトと、クラブシャフトの先端に固着されるネック部を一体に有するクラブヘッドとを備え、各ゴルフクラブ又は1つのゴルフクラブを除く他のゴルフクラブのネック部にクラブヘッドの慣性モーメントを調整する重量体を設けたことを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブセット。
- 各ゴルフクラブがクラブシャフトと、該クラブシャフトの先端に固着されるネック部及びヘッド本体部を有するクラブヘッドとを備え、各ゴルフクラブ又は1つのゴルフクラブを除く他のゴルフクラブのクラブヘッドのヘッド本体部にクラブヘッドの慣性モーメントを調整する重量体を設けたことを特徴とする請求項3記載のゴルフクラブセット。
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