JP3544485B2 - 黒色酸化鉄粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は黒色酸化鉄粒子及びその製造方法に関し、詳しくはAlとFeの複合酸化鉄層にてその表面を被覆することにより、流動性、分散性、ハンドリング性、耐環境性等の諸特性をバランスよく向上させ、とりわけ分散性を向上させ、かつ帯電量をプラス側に調整させた、特に静電複写磁性トナー用材料粉、静電潜像現像用キャリア用材料粉、塗料用黒色顔料粉等の用途に主に用いられる黒色酸化鉄粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
最近、電子複写機、プリンター等の磁性トナー用材料として、水溶液反応によるマグネタイト粒子が広く利用されている。磁性トナーとしては各種の一般的現像特性が要求されるが、近年、電子写真技術の発達により、特にデジタル技術を用いた複写機、プリンターが急速に発達し、要求特性がより高度なものになってきた。
【0003】
すなわち、従来の文字以外にもグラフィックや写真等の出力も要求されており、複写機、プリンターの中には1インチ当たり1200ドット以上の能力のものも現れ、感光体上の潜像はより緻密になってきている。そのため、現像での細線再現性の高さ、各環境下でも問題なく使用できること等が強く要求されている。
【0004】
例えば特開平5−71801号公報には磁性トナーについて開示され、磁性粉として抵抗が高く、流動性の良いものが望まれるとされている。また、特開平8−101529号公報には磁性トナーについて開示され、流動性の良いもの、抵抗の高くないものが望まれるとされている。それは、低湿下におけるトナーの帯電過剰を防止するためである。また、低湿下におけるカブリを防止するために残留磁化や保磁力の高めのものを使用している。特開平7−239571号公報においても、上記同様に磁性粉の耐環境性、特に高温高湿下における問題点があることを指摘している。さらに、特開平3−1160号公報の磁性トナーについて開示されている記載において、多様な環境下において満足させるには、高抵抗化や低吸湿が必要となる旨が記載されている。
【0005】
特開平8−6303号公報の樹脂被覆キャリアについて開示されている記載において、キャリアコアに求められるものは抵抗に関しては1010〜1012Ω・cmであると記載されている。つまり、キャリアコアとして使用される磁性粉の抵抗値が高いことが要求されている。特開平8−76519号公報の樹脂被覆キャリアについて開示においては、混練機にて総量の約90重量%前後のマグネタイト粒子を使用して樹脂被覆キャリアが製造されることが示されている。つまり非常に分散しやすい磁性粉が必要であることが伺える。
【0006】
つまり、これらの要求を満足させるためには、通常磁性粉に要求される特性のみならず、流動性、ハンドリング性、分散性、耐環境性に優れ、抵抗、帯電量が任意に調整できる磁性粉を提供する必要があり、例えば次のような提案がなされている。
【0007】
先ず、特開平5−286723号公報には、多面体マグネタイトを生成させた後、Si、Al化合物と塩化第二鉄の共沈による表面処理したマグネタイト粒子について開示されている。これにより、耐熱性が改善されるものの剥離の可能性があり、環境変化に対する吸湿安定性、ハンドリング性において不充分である。次に、特開平7−110598号公報には、粒子内部にSiを含有させ、その表面にシリカやアルミの共沈物で処理したマグネタイト粒子について開示されている。これにより、繰り返し測定の時に帯電安定性に優れたマグネタイト粒子が得られるものの、環境変化に対する吸湿安定性、流動性、ハンドリング性、抵抗制御については不充分である。また、特開平7−240306号公報には、粒子内部にSiを含有させ、その表面にシリカやアルミナの共沈物で処理し、さらに非磁性粒子を固着させたマグネタイト粒子について開示されている。これにより、繰り返し測定の時に帯電安定性に優れ、流動性、初期分散性に優れているものの、非磁性粒子を固着させるためにはコストがかかる上、剥離の可能性、均一かつ完全な表面処理は困難である上に、環境変化に対する吸湿安定性に対し不充分であり、黒色度の低下を招くことになる。
【0008】
ここでいう環境変化に対する吸湿安定性とは、一般に酸化鉄粒子の比表面積が大きいと空気と接触する面積が大きく吸湿率は比例して大きくなる。よって、同じ面積当たりに吸湿する量が低温低湿、高温高湿において変化が少ないもののことをいう。
【0009】
特開平8−133745号公報には、下層にZnFe2+y 、上層にSi、 Al、 Tiの共沈物で表面処理されたマグネタイト粒子について開示されている。これにより、耐熱性と着色力に優れ、帯電量が制御されるものの、流動性、ハンドリング性、環境変化に対する吸湿安定性、抵抗制御に対し不充分である。
【0010】
特開平10−182163号公報には、ケイ素を含んだ金平糖状のマグネタイト粒子の表面にAlを被着させたマグネタイト粒子について開示されている。これにより、トナー粒子からの脱落がなく、流動性に優れたマグネタイト粒子が得られるものの、トナー粒子から露出した粒子の凹凸により、ドラムの表面に傷をつけ寿命を短くする恐れがあり、また環境変化に対する吸湿安定性において不充分である。
【0011】
また、カップリング剤等を使用し、粉体の樹脂への分散性の向上を図る試みが種々なされている。例えば特開平1−119519号公報には、磁性粒子とカップリング剤の間にベーマイト構造を有する水和アルミナ粒子を存在させ、カップリング剤の収率を向上させると共に、分散性を改善しているが、得られた粒子の流動性、ハンドリング性の改善において不充分である。
【0012】
つまり、従来の技術においては、通常磁性粉に要求される特性はもとより、流動性、分散性、ハンドリング性、耐環境性に優れ、用途に応じた抵抗の調整可能な酸化鉄粒子、特にマグネタイト粒子は未だ提供されていない。
【0013】
一方、マグネタイト粒子中にアルミニウムを含有させることによって、黒色度を上げ、かつ磁化値を小さくさせることが特開平7−101731号公報や特開平7−277738号公報に記載されているが、このものは表面にアルミニウムと鉄の複合酸化物層を形成するものではない。
【0014】
従って、本発明の目的は、流動性、分散性、ハンドリング性、環境変化に対する吸湿安定性等に優れ、かつ抵抗、帯電量を任意に調整でき、特に分散性を向上させ、かつ帯電量をプラス側に調整させた黒色酸化鉄粒子及びその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は検討の結果、黒色酸化鉄粒子の表面を、AlとFeの複合酸化物層にて被覆し、さらに該複合酸化鉄層の上にアミノ基を有する有機物の被覆層を設けることにより上記目的が達成し得ることを知見した。
【0016】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、AlとFeの複合酸化鉄層にて被覆し、さらに該複合酸化鉄層の上にアミノ基を有する有機物の被覆層を設け、マグネタイトを主成分とし、球状であることを特徴とする黒色酸化鉄粒子を提供するものである。
【0017】
また、本発明の黒色酸化鉄粒子の製造方法として、本発明は、
黒色酸化鉄を湿式法にてpH6.5で生成したスラリーに、水可溶性アルミニウム塩と第一鉄塩とアルカリの水溶液を添加混合し、pH5〜12、60〜98℃にて酸化し、該黒色酸化鉄をAlとFeの複合酸化鉄層で被覆し、次いでアミノ基を有する有機物で被覆することを特徴とする黒色酸化鉄粒子の製造方法を提供するものである。

【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明でいう黒色酸化鉄粒子(以下、単に酸化鉄粒子と略す)はマグネタイトを主成分とするものであり、ケイ素、アルミニウム等の各種の有効元素を含有するものも包含される。以下の説明では、酸化鉄粒子又はマグネタイト粒子という時には、その内容によって個々の粒子又はその集合のいずれも意味する。
【0019】
本発明のマグネタイト粒子は、AlとFeの複合酸化鉄層にて被覆し、さらにアミノ基を有する有機物を被覆してなるものである。芯材(コア材)となるマグネタイトコア粒子は、通常は湿式法で製造されるものであるが、乾式法で製造されたものでもよい。また、このマグネタイトコア粒子中には、上記のように、ケイ素、アルミニウム等の各種の有効元素を含有していてもよい。
【0020】
マグネタイトコア粒子の表面に、Alの中和処理を行ったものでは、そのAl自体に吸湿性がある上に、流動性、抵抗、ハンドリング等の諸特性が得られない。また、マグネタイトコア粒子の表面をFe成分のみで中和及び酸化することは表面を何ら被覆しないマグネタイト粒子そのものを製造するに過ぎず、要求される諸特性が得られない。
【0021】
複合酸化鉄層中のAl成分は、マグネタイト粒子全体に対してAlに換算して0. 05〜2重量%含有されることが望ましい。Alの含有量が0. 05重量%未満の場合には目的とする効果が少なく、2重量%を超えるとマグネタイト粒子に通常要求される磁気特性の低下を招く。飽和磁化(測定磁場10kOe)は70emu/g以上が好ましく、さらには75emu/g以上が好ましい。複合酸化鉄層を形成するAlとFeのモル比は、好ましくはAl:Fe=1: 100〜100: 1、さらに好ましくは5:100〜75:25である。
【0022】
この複合酸化鉄層にはヘルシナイトを含有することが望ましい。ヘルシナイトを含有することによりマグネタイト粒子の色味が黒味を帯びる。その作用は不明であるが、本発明者等がAlとFeについて種々検討した際に、Feのみで製造したマグネタイト粒子に対し、AlとFeで製造したマグネタイト粒子の色が黒いことを発見した。条件は、第一鉄塩の水溶液(Fe濃度;0.28mol/lを10リットル)、水可溶性アルミニウム塩の水溶液(Al:Feのモル比=15:100)とアルカリ溶液を混合し、pH12、総液量20リットルとし、80℃で100リットル/minのエアーで反応し、反応終了後、常法の濾過、洗浄、乾燥してサンプルを得た。その時のX線分析結果を図1に示す。図1に示されるように通常のマグネタイトでは得られないヘルシナイトのピークが見られる。つまり、表面層の改質にAlとFeの複合酸化鉄を使用することにより、表面改質時に黒みを劣化させることなく、さらに黒みを付与しているのではないかと推測される。
【0023】
本発明のマグネタイト粒子は、上記複合酸化鉄層の上にアミノ基を有する有機物の被覆層が設けられている。このように、アミノ基を有する有機物の被覆層を設けることによって、分散性をさらに向上させ、かつ帯電量をプラス側に調整することができる。
【0024】
ここで用いられるアミノ基を有する有機物の被覆層とは、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、トリエタノールアミン、アミノ変性シリコーンオイル等の被覆層が例示される。
【0025】
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えばN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0026】
アミノ基を有する有機物の被覆層を設ける方法としては、湿式法、乾式法のいずれでもよく、何ら限定されるものではない。
【0027】
アミノ基を有する有機物の存在量は、マグネタイト粒子全体に対して0.1〜3.0重量%であることが望ましい。アミノ基を有する有機物の存在量が0.1重量%未満では分散性等の有機処理層での効果が得られず、3.0重量%を超えるとマグネタイト粒子に通常要求される磁性特性の低下を招く。
【0028】
本発明のマグネタイト粒子は、10℃、20%RHと35℃、85%RHの各環境下で曝露された後の各吸湿率と比表面積とが下記(1)式を満足することが望ましい。マシンあるいはトナーが使用される環境は様々であり、低温低湿から高温高湿のあらゆる環境下においても同様の性能を出すことが要求される。磁性粉は、一成分のトナーにおいて40〜50重量%、二成分の樹脂被覆キャリアにおいて約90重量%前後もそれぞれ含有される。よって、トナー及びキャリアにおいて磁性粉は露出しており、この磁性粉自身の吸湿変化が環境の変化に対し下記式(1)を超えるとトナー及びキャリアの帯電性、流動性等の環境安定性が損なわれる恐れがある。
(ΔWHH−ΔWLL)/A≦0.05 ・・・・・ (1)
ΔWHH;35℃、85%での吸湿率(wt%)
ΔWLL;10℃、20%での吸湿率(wt%)
A ;比表面積(m/g)
【0029】
本発明のマグネタイト粒子は、凝集度が40以下であることが望ましい。磁性粉体の流動性が悪い、すなわち凝集度が40を超えると取り扱い性、樹脂への混合性、トナー製造設備への供給安定性が悪く、ひいてはトナー自身の流動性に影響を及ぼす恐れがある。
【0030】
本発明のマグネタイト粒子は、付着力が5×10−5dyne/contact以下であることが望ましい。付着力がこれを超えると粉体同士の付着が強く、トナー製造時の粉体取り扱いのハンドリング性、つまり粉体同士が付着することによる搬送設備の負荷、及びトナー製造時の樹脂と磁性体の混合状態は悪くなり、分散性に劣るものとなる。
【0031】
本発明のマグネタイト粒子は、色差計による黒色度(L)が15.0以下、反射率(60度)が95以上であることが望ましい。L値は高い方が黒みが低下し、反射率は高いと樹脂への分散性が良好となる。粉体として樹脂への分散性がよく、黒色度も凝集体ではなく、分散した上で、黒色度の高いものが顔料として最も適している。近年のトナー小径化に伴い、高解像度の上での黒色のためには、使用される磁性体にも高い黒色度が要求される。
【0032】
本発明のマグネタイト粒子は、複合酸化鉄層中のAl成分が、マグネタイト粒子全体に対してAlに換算して0. 3〜2重量%含有され、電気抵抗が1×10Ω・cm以上であることが望ましい。Al成分が0. 3重量%未満の時は抵抗は1×10Ω・cm未満となり、抵抗が高いことが望まれるトナーについてはAlを0. 3重量%以上にする必要がある。Al成分が2重量%を超えると飽和磁化が低下し望ましくない。
【0033】
本発明のマグネタイト粒子は、帯電量が+10μC/g以上であることが望ましい。上記のように、アミノ基を有する有機物の被覆層を設けることによって、帯電量をプラス側に大きく調整することができる。
【0034】
本発明のマグネタイト粒子は、AlとFeの複合酸化鉄層にて被覆されることにより、Al等の化合物が単体で表面に存在するのではなく、複合酸化鉄層中に存在し、しかも粒子表面層に制御されたことにより、Al等の化合物が単体で表面に存在することによる吸湿が抑えられ、また、層内に存在するAl成分が適度の水分を安定的に保有することにより、外部の環境変化に対する応答が少ないため、上記目的が達成されるものと推測される。
【0035】
また、複合酸化物層中にAlが存在するため、ヘルシナイトの存在により、粉体そのものの黒色度、適度なAlが表面層に制御されているため、樹脂へのなじみ、複合酸化鉄内部でのFeの価数変化の抑制が抑えられ、少量にて高抵抗、表面層の磁気凝集が抑えられたことによる個々粉体の付着力が低下し、また分散が良好なものを得ることが可能となるのではないかと推測される。
【0036】
アミノ基を有する有機物の被覆層を設けることにより、マグネタイト粒子の樹脂への分散性をさらに向上させるだけでなく、マグネタイト粒子の帯電量そのものをプラス帯電側に大きく調整することができる。現在感光体が有機感光体になり、トナーとして一般的にマイナス帯電性のものが多いが、樹脂被覆キャリアはそのトナーに帯電付与することが必要なため、プラス帯電キャリアが一般的に使用される。そのため、樹脂被覆キャリアに使用される磁性体もプラス帯電が望ましい。また、有機感光体はその寿命が短いため、アモルファスシリコン感光体を用いた場合には、トナーは一般的にデジタルではプラストナーが使用される。今後商品の長寿命化をねらう時には、マイナス成分のトナーにおいてもプラストナー化されていくと思われる。このために、マグネタイト粒子もプラスに帯電する必要性が増大している。
【0037】
本発明のマグネタイト粒子の好適な製造方法は、マグネタイトコア粒子を湿式法にて生成したスラリーに水可溶性アルミニウム塩と第一鉄塩とアルカリの水溶液を添加混合し、pH5〜12、60〜98℃にて酸化し、該コア粒子をAlとFeの複合酸化鉄層で被覆し、次いでアミノ基を有する有機物を被覆するものである。
【0038】
この時に使用されるマグネタイトコア粒子は、その形状が球形である。水可溶性アルミニウム塩としては硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム等が挙げられる。第一鉄塩としては硫酸鉄、塩化鉄等が挙げられる。アルカリとしては水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。
【0039】
この際の溶液のpHは5〜12であり、pHが5未満だと、酸化する工程において反応スピードが遅く工業的ではなく、pH12を超えるとコストがかかり、経済的ではない。また、溶液の温度は60〜98℃であり、温度が60℃未満だとFeOOH等が混在し、色味、飽和磁化、粒子の均一性等の問題点が生じる。温度が98℃超では工業的ではない。酸化する方法としては、酸素を含有するガスを送入すればよく、経済的にも好ましくは空気を使用する。また、液体の酸化剤を使用してもよい。
【0040】
アミノ基を有する有機物の被覆は、乾式で行っても湿式で行ってもよい。
【0041】
【実施例】
以下、実施例等に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0042】
〔実施例1〕
表1に示されるように、Fe2+2. 0mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液50リットルと3. 6Nの水酸化ナトリウム水溶液50リットルとを混合撹拌した。この時のpHは6. 5であった。そのスラリーを85℃に維持しながら65リットル/minの空気を吹き込み反応を終了させた(マグネタイトコア粒子の製造)。
【0043】
このスラリーにAl濃度1.1mol/lの硫酸アルミニウム水溶液を3リットルとFe2+濃度1.4mol/lの硫酸第一鉄水溶液5リットルと水酸化ナトリウム水溶液とを混合し、pH9.0に調整した。スラリー温度は80℃であった。次いで65リットル/minの空気を吹き込み再度酸化し反応を終了させた(複合酸化鉄層の被覆)。
【0044】
得られた生成粒子を通常の濾過洗浄、乾燥、粉砕工程により処理し、マグネタイト粒子を得た。
【0045】
この複合酸化鉄層を被覆した生成粒子に、アミノ系シランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)をマグネタイト粒子全体に対して1.0重量%となるように添加し、乳鉢にて30分混合した。
【0046】
また、下記に示す方法にて、得られたマグネタイト粒子のAl含有量、比表面積、磁気特性(飽和磁化)、各環境下において得られた吸湿率、面積当たりの吸湿率変化、凝集度、付着力、黒色度、反射率、抵抗、帯電量について評価した。これらの結果を、粒子形状と共に表3に示す。
【0047】
<測定方法>
(1)Al含有量分析
サンプルを溶解し、ICPにて測定した。
(2)比表面積
島津−マイクロメリティックス製2200型BET計にて測定した。
(3)磁気特性
東英工業製振動試料型磁力計VSM−P 7にて測定した。
(4)各環境下での吸湿率
乾燥機で105℃、1hrにて予め乾燥(乾燥重量W1)させ、環境室内に10℃、20%RHと35℃、85%RHの環境下に各々4時間曝露し(吸湿後の重量W2)、各々の重量測定を以下の式にて吸湿率(重量%) を算出した(ΔWLL;10℃、20%、ΔWHH;35℃、85%)。
ΔW:吸湿率(重量%) =〔(W2−W1)/W1〕×100
また、面積当たりの吸湿率変化は、以下の式にて表される。
(ΔWHH−ΔWLL)/A(比表面積)
(5)凝集度
Hosokawa Micron製「Powder Tester TypePT−E」(商品名)を用いて、振動時間65secにて測定した。測定結果を所定の計算式にて凝集度を求めた。
(6)付着力
島津粉体付着力測定装置(EB−3300CH)を用いて、試料をセル内に容器の縁いっぱいに入れる(粉重量を測定)、セル内の切断面より1cm上まで、プレス後、上記測定器により測定し、所定の計算式にて算出した(比重は5.2、粒径はSEM写真におけるフェレ径の個数平均値を使用)。
(7)黒色度、反射率
スチレンアクリル系樹脂(TB−1000F)をトルエン(樹脂:トルエン=1: 2)にて溶解した液を60g、試料10g、直径1mmのガラスビーズ90gを内容積140mlのビンに入れ、蓋をした後、ペイントシェーカー(トウヨウセイキ社製)にて30分混合した。これをガラス板上に4milのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥後、色差計にて黒色度、ムラカミ式GLOSS METER(GM−3M)にて60度の反射率を測定した。
(8)電気抵抗
試料10gをホルダーに入れ600kg/cmの圧力を加えて25mmφの錠剤型に成形後、電極を取り付け150kg/cmの加圧状態で測定する。測定に使用した試料の厚さ、及び断面積と抵抗値から算出して、マグネタイト粒子の電気抵抗値を求めた。
(10)帯電量
鉄粉キャリアを用いて、ブローオフ法にて測定した。
【0048】
〔実施例2〜1
マグネタイトコア粒子製造の反応条件、表面の複合酸化鉄層の被覆条件、アミノ基を有する有機物の種類、量を変えた以外は、実施例1と同様にマグネタイト粒子を製造した。このマグネタイト粒子の製造条件を表1〜2に示す。また、実施例1と同様に各種性状及び特性を評価した結果を表3〜4に示す。
【0049】
〔比較例1〕
アミノ基を有する有機物の被覆処理を行わない以外は、実施例1と同様にマグネタイト粒子を製造した。このマグネタイト粒子の製造条件を表2に示す。また、実施例1と同様に各種性状及び特性を評価した結果を表4に示す。
【0050】
〔比較例2〜5〕
マグネタイトコア粒子製造の反応条件、表面の複合酸化鉄層の被覆条件、アミアミノ基を有する有機物の種類、量を変えた以外は、実施例1と同様にマグネタイト粒子を製造した。このマグネタイト粒子の製造条件を表2に示す。また、実施例1と同様に各種性状及び特性を評価した結果を表4に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003544485
【0052】
【表2】
Figure 0003544485
【0053】
【表3】
Figure 0003544485
【0054】
【表4】
Figure 0003544485
【0055】
表3〜4から明らかなように、本発明のマグネタイト粒子は、飽和磁化を大きく劣化させることなく、各環境下における面積当たりの吸湿率変化が安定であり、流動性、ハンドリング性、分散性、黒色度に優れ、かつ高抵抗の調整が可能である。そして、アミノ基を有する有機物の被覆処理を行っているため反射率及び帯電量の値が高くなった。なお、実施例1は、被覆層に使用したAlが多いため、特に飽和磁化が低かった。
【0056】
比較例1は、実施例1〜1に比較して、複合酸化鉄層により吸湿率変化が安定であり、凝集力、付着力は安定であるが、黒色度、反射率及び帯電量の値が低いものであった。
【0057】
比較例2〜5は、各環境下における面積当たりの吸湿率変化が不安定であり、凝集度、黒色度、反射率は劣ったものであった。また、電気抵抗については高いものが得られなかった。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の黒色酸化鉄粒子は、黒色酸化鉄粒子にAlとFeの複合酸化鉄層にて被覆することによって、通常磁性粉に要求される特性はもとより、流動性、分散性、ハンドリング性、環境変化に対する吸湿安定性に優れ、かつ抵抗を任意に調整可能であり、しかもアミノ基を有する有機物の被覆層を設けることによって、分散性を向上させ、かつ帯電量をプラス側に調整させることが可能なため、静電複写磁性トナー用材料粉、静電潜像現像用キャリア用材料粉、塗料用黒色顔料粉等の用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、コア粒子なしに複合酸化鉄層の処理方法のみで作成し得られた粒子のX線分析図である。

Claims (10)

  1. AlとFeの複合酸化鉄層にて被覆し、さらに該複合酸化鉄層の上にアミノ基を有する有機物の被覆層を設け、マグネタイトを主成分とし、球状であることを特徴とする黒色酸化鉄粒子。
  2. 上記複合酸化鉄層中のAl成分が、酸化鉄粒子全体に対してAlに換算して0. 05〜2重量%含有される請求項1に記載の黒色酸化鉄粒子。
  3. 上記複合酸化鉄層がヘルシナイトを有する請求項1又は2に記載の黒色酸化鉄粒子。
  4. 10℃、20%RHと35℃、85%RHの各環境下で4Hr曝露された後の吸湿率(wt%)をそれぞれΔWLL、ΔWHHとし、比表面積(m2 /g)をAとした時に下記式(1)を満足する請求項1、2又は3記載の黒色酸化鉄粒子。
    (ΔWHH−ΔWLL)/A≦0.05 ・・・・・ (1)
  5. 凝集度が40以下である請求項1〜4のいずれかに記載の黒色酸化鉄粒子。
  6. 付着力が5×10-5dyne/contact以下である請求項1〜5のいずれかに記載の黒色酸化鉄粒子。
  7. 色差計による黒色度(L)が15.0以下、反射率(60度)が95以上である請求項1〜6のいずれかに記載の黒色酸化鉄粒子。
  8. 上記複合酸化鉄層中のAl成分が、酸化鉄粒子全体に対してAlに換算して0. 3〜2重量%含有され、電気抵抗が1×104 Ω・cm以上である請求項1〜7のいずれかに記載の黒色酸化鉄粒子。
  9. 帯電量が+10μc/g以上である請求項1〜8のいずれかに記載の黒色酸化鉄粒子。
  10. 請求項1記載の黒色酸化鉄粒子の製造方法であって、黒色酸化鉄を湿式法にてpH6.5で生成したスラリーに、水可溶性アルミニウム塩と第一鉄塩とアルカリの水溶液を添加混合し、pH5〜12、60〜98℃にて酸化し、該黒色酸化鉄をAlとFeの複合酸化鉄層で被覆し、次いでアミノ基を有する有機物で被覆することを特徴とする黒色酸化鉄粒子の製造方法。
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