JP3767784B2 - マグネタイト粒子及びその製造方法 - Google Patents

マグネタイト粒子及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマグネタイト粒子及びその製造方法に関し、詳しくはAlとFeの複合酸化鉄層にてその表面を被覆し、さらにその上にSi成分による被覆層を有することにより、流動性、分散性、ハンドリング性、耐環境性等の諸特性をバランスよく向上させた、特に静電複写磁性トナー用材料粉、静電潜像現像用キャリア用材料粉、塗料用黒色顔料粉等の用途に主に用いられるマグネタイト粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
最近、電子複写機、プリンター等の磁性トナー用材料として、水溶液反応によるマグネタイト粒子が広く利用されている。磁性トナーとしては各種の一般的現像特性が要求されるが、近年、電子写真技術の発達により、特にデジタル技術を用いた複写機、プリンターが急速に発達し、要求特性がより高度なものになってきた。
【0003】
すなわち、従来の文字以外にもグラフィックや写真等の出力も要求されており、複写機、プリンターの中には1インチ当たり1200ドット以上の能力のものも現れ、感光体上の潜像はより緻密になってきている。そのため、現像での細線再現性の高さ、各環境下でも問題なく使用できること等が強く要求されている。
【0004】
例えば特開平5−71801号公報には磁性トナーについて開示され、磁性粉として抵抗が高く、流動性の良いものが望まれるとされている。また、特開平8−101529号公報には磁性トナーについて開示され、流動性の良いもの、抵抗の高くないものが望まれるとされている。それは、低湿下におけるトナーの帯電過剰を防止するためである。また、低湿下におけるカブリを防止するために残留磁化や保磁力の高めのものを使用している。特開平7−239571号公報においても、上記同様に磁性粉の耐環境性、特に高温高湿下における問題点があることを指摘している。さらに、特開平3−1160号公報の磁性トナーについて開示されている記載において、多様な環境下において満足させるには、高抵抗化や低吸湿が必要となる旨が記載されている。
【0005】
特開平8−6303号公報の樹脂被覆キャリアについて開示されている記載において、キャリアコアに求められるものは抵抗に関しては1010〜1012Ω・cmであると記載されている。つまり、キャリアコアとして使用される磁性粉の抵抗値が高いことが要求されている。特開平8−76519号公報の樹脂被覆キャリアについて開示においては、混練機にて総量の約90重量%前後のマグネタイト粒子を使用して樹脂被覆キャリアが製造されることが示されている。つまり非常に分散しやすい磁性粉が必要であることが伺える。
【0006】
つまり、これらの要求を満足させるためには、通常磁性粉に要求される特性のみならず、流動性、ハンドリング性、分散性、耐環境性に優れ、抵抗が任意に調整できる磁性粉を提供する必要があり、例えば次のような提案がなされている。
【0007】
先ず、特開平5−286723号公報には、多面体マグネタイトを生成させた後、Si、Al化合物と塩化第二鉄の共沈による表面処理したマグネタイト粒子について開示されている。これにより、耐熱性が改善されるものの剥離の可能性があり、環境変化に対する吸湿安定性、ハンドリング性において不充分である。次に、特開平7−110598号公報には、粒子内部にSiを含有させ、その表面にシリカやアルミの共沈物で処理したマグネタイト粒子について開示されている。これにより、繰り返し測定の時に帯電安定性に優れたマグネタイト粒子が得られるものの、環境変化に対する吸湿安定性、流動性、ハンドリング性、抵抗制御については不充分である。また、特開平7−240306号公報には、粒子内部にSiを含有させ、その表面にシリカやアルミナの共沈物で処理し、さらに非磁性粒子を固着させたマグネタイト粒子について開示されている。これにより、繰り返し測定の時に帯電安定性に優れ、流動性、初期分散性に優れているものの、非磁性粒子を固着させるためにはコストがかかる上、剥離の可能性、均一かつ完全な表面処理は困難である上に、環境変化に対する吸湿安定性に対し不充分であり、黒色度の低下を招くことになる。
【0008】
ここでいう環境変化に対する吸湿安定性とは、一般に酸化鉄粒子の比表面積が大きいと空気と接触する面積が大きく吸湿率は比例して大きくなる。よって、同じ面積当たりに吸湿する量が低温低湿、高温高湿において変化が少ないもののことをいう。
【0009】
特開平8−133745号公報には、下層にZnx Fe2+yz、上層にSi、Al、 Tiの共沈物で表面処理されたマグネタイト粒子について開示されている。これにより、耐熱性と着色力に優れ、帯電量が制御されるものの、流動性、ハンドリング性、環境変化に対する吸湿安定性、抵抗制御に対し不充分である。
【0010】
特開平10−182163号公報には、ケイ素を含んだ金平糖状のマグネタイト粒子の表面にAlを被着させたマグネタイト粒子について開示されている。これにより、トナー粒子からの脱落がなく、流動性に優れたマグネタイト粒子が得られるものの、トナー粒子から露出した粒子の凹凸により、ドラムの表面に傷をつけ寿命を短くする恐れがあり、また環境変化に対する吸湿安定性において不充分である。
【0011】
つまり、従来の技術においては、通常磁性粉に要求される特性はもとより、流動性、分散性、ハンドリング性、耐環境性に優れ、用途に応じた抵抗の調整可能な酸化鉄粒子、特にマグネタイト粒子は未だ提供されていない。
【0012】
また、酸化鉄粒子の流動性ばかりでなく、磁性トナーや現像用キャリア、塗料用黒色顔料粉製造においては、磁性体含有の樹脂粉の流動性もまた重要である。
【0013】
以上のことから、本発明の目的は、流動性、分散性、ハンドリング性、環境変化に対する吸湿安定性等に優れ、抵抗を任意に調整でき、かつ磁性体含有の樹脂粉の流動性をも改良したマグネタイト粒子及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は検討の結果、マグネタイト粒子の表面を、AlとFeの複合酸化物層にて被覆した後に、Si成分を被覆することにより上記目的が達成し得ることを知見した。
【0015】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、マグネタイトコア粒子が、AlとFeの複合酸化鉄層にて被覆され、該複合酸化鉄層の上にSi成分による被覆層を有し、前記複合酸化鉄層中のAl成分が、マグネタイト粒子全体に対してAlに換算して0.05〜2重量%含有し、該複合酸化鉄層の上に被覆されたSi成分がマグネタイト粒子全体に対してSiに換算して0.05〜0.5重量%であることを特徴とするマグネタイト粒子を提供するものである。
【0016】
また、本発明のマグネタイト粒子の好ましい製造方法として、本発明は、湿式法にて生成したマグネタイトコア粒子を含むスラリーに、水可溶性アルミニウム塩とアルカリの水溶液を添加混合し、pH5〜12、60〜98℃にて酸化し、該マグネタイトコア粒子をAlとFeの複合酸化鉄層にて被覆し、さらに該被覆粒子を含むスラリーに水可溶性Si成分を添加し、pH5〜9にてSi成分を被覆することを特徴とするマグネタイト粒子の製造方法を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明でいうマグネタイト粒子とは、好ましくはマグネタイトを主成分とするものであり、ケイ素、アルミニウム等の各種の有効元素を含有するものも包含される。マグネタイト粒子という時には、その内容によって個々の粒子又はその集合のいずれも意味する。
【0018】
本発明のマグネタイト粒子は、AlとFeの複合酸化鉄層にて被覆してなるものである。芯材(コア材)となるマグネタイトコア粒子は、通常は湿式法で製造されるものであるが、乾式法で製造されたものでもよい。また、このマグネタイトコア粒子中には、上記のように、ケイ素、アルミニウム等の各種の有効元素を含有していてもよい。
【0019】
公知技術としては、マグネタイト粒子中にアルミニウムを含有させることによって、黒色度を上げ、かつ磁化値を小さくさせることが特開平7−101731号公報や特開平7−277738号公報に記載されているが、このものは表面にアルミニウムと鉄の複合酸化物層を形成するものではない。
【0020】
また、マグネタイトコア粒子の表面に、Alの中和処理を行ったものでは、そのAl自体に吸湿性がある上に、流動性、抵抗、ハンドリング等の諸特性が得られない。また、マグネタイトコア粒子の表面をFe成分のみで中和及び酸化することは表面を何ら被覆しないマグネタイト粒子そのものを製造するに過ぎず、要求される諸特性が得られない。
【0021】
複合酸化鉄層中のAl成分は、マグネタイト粒子全体に対してAlに換算して0. 05〜2重量%含有される。Alの含有量が0. 05重量%未満の場合には目的とする効果が少なく、2重量%を超えるとマグネタイト粒子に通常要求される磁気特性の低下を招く。飽和磁化(測定磁場10kOe)は70emu/g以上が好ましく、さらには75emu/g以上が好ましい。複合酸化鉄層を形成するAlとFeのモル比は、好ましくはAl:Fe=1: 100〜100: 1、さらに好ましくは5:100〜75:25である。
【0022】
さらに、本発明においてはAlとFeの複合酸化鉄層にて被覆された後に、Si成分を被覆することによって、更なる粉体の流動性や分散性の向上が達成できる。Si成分の被覆量としては酸化鉄粒子全体に対してSiに換算して0.05〜0.5重量%である。好ましくはこの値の範囲が、0.05〜0.4重量%、さらに好ましくは0.1〜0.3重量%である。Si成分が酸化鉄重量全体に対してSiに換算して0.05重量%未満の場合、Si成分による樹脂との混練物粉末の流動性の改善効果が得られにくく、また0.5重量%を超える場合には、流動性においての効果は見られるものの、Si成分が粒子表面に過多となり、前述の環境依存性が高くなってしまうので好ましくない。また、粒子表面へのSi中和処理のみでは、酸化鉄粒子粉末の流動性やハンドリング性等の諸特性の改善は得られないが、本発明ではAlとFeによる複合酸化鉄被覆による酸化鉄粒子の改善効果を付与した上に、さらにSi成分を被覆することにより、樹脂との混練物粉末においての粉体特性の向上も達成することができた。
【0023】
この複合酸化鉄層にはヘルシナイトを含有することが望ましい。ヘルシナイトを含有することによりマグネタイト粒子の色味が黒味を帯びる。その作用は不明であるが、本発明者等がAlとFeについて種々検討した際に、Feのみで製造したマグネタイト粒子に対し、AlとFeで製造したマグネタイト粒子の色が黒いことを発見した。条件は、第一鉄塩の水溶液(Fe濃度;0.28mol/lを10リットル)、水可溶性アルミニウム塩の水溶液(Al:Feのモル比=15:100)とアルカリ溶液を混合し、pH12、総液量20リットルとし、80℃で100リットル/minのエアーで反応し、反応終了後、常法の濾過、洗浄、乾燥してサンプルを得た。その時のX線分析結果を図1に示す。図1に示されるように通常のマグネタイトでは得られないヘルシナイトのピークが見られる。つまり、表面層の改質にAlとFeの複合酸化鉄を使用することにより、表面改質時に黒みを劣化させることなく、さらに黒みを付与しているのではないかと推測される。
【0024】
本発明のマグネタイト粒子は、該粒子と熱可塑性樹脂との混練物を粉砕し、平均粒子径が7〜20μmになるように微粉砕及び分級処理を行った粉体の凝集度が50以下であることが望ましく、より好ましい値は45以下である。マグネタイト粒子は静電複写磁性トナー用材料粉、静電潜像現像用キャリア用材料粉、塗料用黒色顔料粉等の用途に主に用いられるため、このような熱可塑性樹脂との混練物を微粉砕及び分級処理を行った粉体に高い流動性が求められていることは、従来技術にも述べたが、本発明によるマグネタイト粒子を使用した上記粉体は、凝集度が低く、このような用途としてより好ましい材料粉である。
【0025】
本発明のマグネタイト粒子は、10℃、20%RHと35℃、85%RHの各環境下で曝露された後の各吸湿率と比表面積とが下記(1)式を満足することが望ましい。マシンあるいはトナーが使用される環境は様々であり、低温低湿から高温高湿のあらゆる環境下においても同様の性能を出すことが要求される。磁性粉は、一成分のトナーにおいて40〜50重量%、二成分の樹脂被覆キャリアにおいて約90重量%前後もそれぞれ含有される。よって、トナー及びキャリアにおいて磁性粉は露出しており、この磁性粉自身の吸湿変化が環境の変化に対し下記式(1)を超えるとトナー及びキャリアの帯電性、流動性等の環境安定性が損なわれる恐れがある。
(ΔWHH−ΔWLL)/A≦0.05 ・・・・・ (1)
ΔWHH;35℃、85%での吸湿率(wt%)
ΔWLL;10℃、20%での吸湿率(wt%)
A ;比表面積(m2 /g)
【0026】
本発明のマグネタイト粒子は、凝集度が40以下であることが望ましい。磁性粉体の流動性が悪い、すなわち凝集度が40を超えると取り扱い性、樹脂への混合性、トナー製造設備への供給安定性が悪く、ひいてはトナー自身の流動性に影響を及ぼす恐れがある。
【0027】
本発明のマグネタイト粒子は、付着力が5×10-5dyne/contact以下であることが望ましい。付着力がこれを超えると粉体同士の付着が強く、トナー製造時の粉体取り扱いのハンドリング性、つまり粉体同士が付着することによる搬送設備の負荷、及びトナー製造時の樹脂と磁性体の混合状態は悪くなり、分散性に劣るものとなる。
【0028】
本発明のマグネタイト粒子は、色差計による黒色度(L)が18. 5以下、反射率(60度)が80以上であることが望ましい。L値は高いと黒みが低下し、反射率は高いと樹脂への分散性が良好となる。粉体として樹脂への分散性がよく、黒色度も凝集体ではなく、分散した上で、黒色度の高いものが顔料として最も適している。近年のトナー小径化に伴い、高解像度の上での黒色のためには、使用される磁性体にも高い黒色度が要求される。
【0029】
本発明のマグネタイト粒子は、複合酸化鉄層中のAl成分が、マグネタイト粒子全体に対してAlに換算して0. 3〜2重量%含有され、電気抵抗が1×104 Ω・cm以上であることが望ましい。Al成分が0. 3重量%未満の場合、電気抵抗は1×104 Ω・cm未満となり、抵抗が高いことが望まれるトナーについてはAlを0. 3重量%以上にする必要がある。Al成分が2重量%を超えると飽和磁化が低下し望ましくない。
【0030】
本発明のマグネタイト粒子は、まずAlとFeの複合酸化鉄層にて被覆されることにより、Al等の化合物が単体で表面に存在するのではなく、複合酸化鉄層中に存在し、しかも粒子表面層に制御されたことにより、Al等の化合物が単体で表面に存在することによる吸湿が抑えられ、また、層内に存在するAl成分が適度の水分を安定的に保有することにより、外部の環境変化に対する応答が少ないため、上記目的が達成されるものと推測される。
【0031】
また、複合酸化物層中にAlが存在するため、ヘルシナイトの存在により、粉体そのものの黒色度、適度なAlが表面層に制御されているため、樹脂へのなじみ、複合酸化鉄内部でのFeの価数変化の抑制が抑えられ、少量にて高抵抗、表面層の磁気凝集が抑えられたことによる個々粉体の付着力が低下し、また分散が良好なものを得ることが可能となるのではないかと推測される。
【0032】
次に、本発明のマグネタイト粒子の好適な製造方法について述べる。
本発明の酸化鉄粒子の製造方法は、マグネタイトコア粒子を湿式法にて生成したスラリーに水可溶性アルミニウム塩と第一鉄塩とアルカリの水溶液を添加混合し、pH5〜12、60〜98℃にて酸化し、該コア粒子をAlとFeの複合酸化鉄層で被覆した後に、さらに該複合酸化鉄層で被覆したスラリーに水可溶性Si成分を添加しpH5〜9にてSi成分を被覆することを特徴とする。
【0033】
この際に使用されるマグネタイトコア粒子は、その形状が八面体、六面体、球形等であり、何ら限定されるものではない。水可溶性アルミニウム塩としては硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム等が挙げられる。第一鉄塩としては硫酸鉄、塩化鉄等が挙げられる。アルカリとしては水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。水可溶性Si成分としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムのようなケイ酸塩類であればいずれでも良い。
【0034】
Al+Feの複合酸化鉄の被覆時における溶液のpHは5〜12であり、pHが5未満だと、酸化する工程において反応スピードが遅く工業的ではなく、pH12を超えるとコストがかかり、経済的ではない。また、溶液の温度は60〜98℃であり、温度が60℃未満だとFeOOH等が混在し、色味、飽和磁化、粒子の均一性等の問題点が生じる。温度が98℃超では工業的ではない。酸化する方法としては、酸素を含有するガスを送入すればよく、経済的にも好ましくは空気を使用する。また、液体の酸化剤を使用してもよい。
【0035】
また、Si成分の被覆時における溶液のpHは5〜9であり、pHが5未満だと、被覆形成が進行しにくく、pH9を超えるとコストがかかり、経済的ではない。
【0036】
【実施例】
以下、実施例等に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0037】
〔実施例1〕
表1に示されるように、Fe2+2. 0mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液50リットルと4. 0mol/lの水酸化ナトリウム水溶液45リットルとを混合撹拌した。この時のpHは6. 5であった。そのスラリーを温度85℃及びpH6.5を維持しながら30リットル/minの空気を吹き込み反応を終了させた(マグネタイトコア粒子の製造)。
【0038】
このスラリーにAl濃度1.0mol/lの硫酸アルミニウム水溶液を3リットルとFe2+濃度1.2mol/lの硫酸第一鉄水溶液5リットルと水酸化ナトリウム水溶液とを混合し、pH9.0に調整した。次いで30リットル/minの空気を吹き込み、pH9.0を維持しながら再度酸化し反応を終了させた(Al+Fe複合酸化鉄層の被覆)。
【0039】
さらに、このスラリーにSi濃度1.0mol/lのケイ酸ナトリウム水溶液を1.0リットル添加し、pHを7.5に調整した。(Si成分の被覆)
【0040】
得られた生成粒子を通常の濾過洗浄、乾燥、粉砕工程により処理し、マグネタイト粒子を得た。
【0041】
こうして得られたマグネタイト粒子を、下記に示す方法にて、Al及びSi含有量、比表面積、磁気特性(飽和磁化)、各環境下での吸湿率、面積当たりの吸湿率変化、凝集度、付着力、黒色度、反射率、電気抵抗、熱可塑性樹脂との混練物粉末の凝集度について評価した。これらの結果を、粒子形状とともに表2に示す。
【0042】
<測定方法>
(1)Al及びSi含有量分析
サンプルを溶解し、ICPにて測定した。
(2)比表面積
島津−マイクロメリティックス製2200型BET計にて測定した。
(3)磁気特性
東英工業製振動試料型磁力計VSM−P7にて測定した。
(4)各環境下での吸湿率
乾燥機で105℃、1hrにて予め乾燥(乾燥重量W1)させ、環境室内に10℃、20%RHと35℃、85%RHの環境下に各々4時間曝露し(吸湿後の重量W2)、各々の重量測定を以下の式にて吸湿率(重量%) を算出した(ΔWLL;10℃、20%、ΔWHH;35℃、85%)。
ΔW:吸湿率(重量%) =〔(W2−W1)/W1〕×100
また、面積当たりの吸湿率変化は、以下の式にて表される。
(ΔWHH−ΔWLL)/A(比表面積)
(5)凝集度
Hosokawa Micron製「Powder Tester TypePT−E」(商品名)を用いて、振動時間65secにて測定した。測定結果を所定の計算式にて凝集度を求めた。
(6)付着力
島津粉体付着力測定装置(EB−3300CH)を用いて、試料をセル内に容器の縁いっぱいに入れる(粉重量を測定)セル内の切断面より1cm上まで、プレス後、上記測定器により測定し、所定の計算式にて算出した(比重は5.2、粒径はSEM写真におけるフェレ径の個数平均値を使用)。
(7)黒色度、反射率
スチレンアクリル系樹脂(TB−1000F)をトルエン(樹脂:トルエン=1: 2)にて溶解した液を60g、試料10g、直径1mmのガラスビーズ90gを内容積140mlのビンに入れ、蓋をした後、ペイントシェーカー(トウヨウセイキ社製)にて30分混合した。これをガラス板上に4milのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥後、色差計にて黒色度、ムラカミ式GLOSS METER(GM−3M)にて60度の反射率を測定した。
(8)電気抵抗
試料10gをホルダーに入れ600kg/cm2 の圧力を加えて25mmφの錠剤型に成形後、電極を取り付け150kg/cm2 の加圧状態で測定する。測定に使用した試料の厚さ、及び断面積と抵抗値から算出して、マグネタイト粒子の電気抵抗値を求めた。
(9)熱可塑性樹脂との混練物粉末の凝集度
スチレン‐アクリル系熱可塑性樹脂(三洋化成(株)製 TB−1000F)とマグネタイト粒子、及び帯電制御剤(オリエント化学製 ボントロン S−34)、及びワックス(三洋化成(株)製 ビスコール 550P)を、それぞれ重量比が100:100:1:2となるように計量し、ヘンシェルミキサ−にて混合後、2軸のニーダーにて180℃での溶融混練を行った。得られた混練物を冷却し、バンタムミルにて粗粉砕後、ジェットミルにて微粉砕を行ない、風力分級機(日清エンジニアリング社製 ターボクラシファイア TC−15M)にて分級を行い、平均粒径8μmの粉末粒子を得た。このようにして得られた粉末を、上記(5)記載の凝集度によって評価を行なった。
【0043】
〔実施例2〜
マグネタイトコア粒子製造の反応条件、表面の複合酸化鉄層の被覆条件を変えた以外は、実施例1と同様にマグネタイト粒子を製造した。このマグネタイト粒子の製造条件を表1に示す。また、実施例1と同様に各種性状及び特性を評価した結果を表2に示す。
【0044】
〔比較例1〕
被覆処理を行わなかった以外は、実施例1と同様な方法でマグネタイト粒子を製造した。このマグネタイト粒子の製造条件を表1に示す。また、実施例1と同様に各種性状及び特性を評価した結果を表2に示す。
【0045】
〔比較例2〕
Si成分による被覆処理を行わなかった以外は、実施例1と同様な方法でマグネタイト粒子を製造した。このマグネタイト粒子の製造条件を表1に示す。また、実施例1と同様に各種性状及び特性を評価した結果を表2に示す。
【0046】
〔比較例3〕
複合酸化鉄層の被覆処理を行わず、Si成分被覆の際のpHを8.0とした以外は、実施例1と同様な方法でマグネタイト粒子を製造した。このマグネタイト粒子の製造条件を表1に示す。また、実施例1と同様に各種性状及び特性を評価した結果を表2に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003767784
【0048】
【表2】
Figure 0003767784
【0049】
表2から明らかなように、本発明のマグネタイト粒子は、飽和磁化を大きく劣化させることなく、各環境下における面積当たりの吸湿率変化が安定であり、流動性、ハンドリング性、分散性、黒色度に優れ、磁性体含有の樹脂粉の流動性も良好で、かつ高抵抗化が可能であった。
【0051】
比較例1はAl+Feによる複合酸化鉄層の被覆処理及びSi成分による被覆処理がなされていないため、高い飽和磁化を有するが、各環境下における面積当たりの吸湿率変化が若干高く、電気抵抗が低く、マグネタイト粒子の流動性、樹脂との混練物粉末の流動性、分散性、黒色度は劣ったものであった。
【0052】
比較例2のようにAl+Feのみの複合酸化鉄層の被覆をしたものは、各環境下における面積当たりの吸湿率変化は改善されているものの、マグネタイト粒子の流動性、樹脂との混練物粉末の流動性に劣ったものであった。
【0053】
比較例3のようにSi中和処理のみの場合、分散性が悪く、面積当りの吸湿率変化が大きい。また、電気抵抗が低く、マグネタイト粒子の流動性、分散性、黒色度は劣ったものであった。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のマグネタイト粒子は、マグネタイトコア粒子AlとFeの複合酸化鉄層にて被覆し、その後Si成分にて被覆することにより、通常磁性粉に要求される特性はもとより、マグネタイト粒子及び樹脂との混練物粉末の流動性、分散性、ハンドリング性、環境変化に対する吸湿安定性に優れ、かつ抵抗を任意に調整可能であることから、静電複写磁性トナー用材料粉、静電潜像現像用キャリア用材料粉、塗料用黒色顔料粉等の用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、コア粒子なしにAl+Feの複合酸化鉄層の処理方法のみで作成し得られた粒子のX線分析図である。

Claims (9)

  1. マグネタイトコア粒子が、AlとFeの複合酸化鉄層にて被覆され、該複合酸化鉄層の上にSi成分による被覆層を有し、前記複合酸化鉄層中のAl成分が、マグネタイト粒子全体に対してAlに換算して0.05〜2重量%含有し、該複合酸化鉄層の上に被覆されたSi成分がマグネタイト粒子全体に対してSiに換算して0.05〜0.5重量%であることを特徴とするマグネタイト粒子。
  2. 上記複合酸化鉄層がヘルシナイトを有する請求項に記載のマグネタイト粒子。
  3. 熱可塑性樹脂との混練物を粉砕し、平均粒子径が7〜20μmになるように微粉砕及び分級処理を行った粉体の凝集度が50%以下である請求項1〜のいずれかに記載のマグネタイト粒子。
  4. 10℃、20%RHと35℃、85%RHの各環境下で4Hr曝露された後の吸湿率(wt%)をそれぞれΔWLL、ΔWHHとし、比表面積(m2/g)をAとした時に下記式(1)を満足する請求項1〜のいずれかに記載のマグネタイト粒子。
    (ΔWHH−ΔWLL)/A<0.05…(1)
  5. 凝集度が40以下である請求項1〜のいずれかに記載のマグネタイト粒子。
  6. 付着力が5×10-5dyne/contact以下である請求項1〜のいずれかに記載のマグネタイト粒子。
  7. 色差計による黒色度(L)が18.5以下、反射率(60度)が80以上である請求項1〜のいずれかに記載のマグネタイト粒子。
  8. 上記複合酸化鉄層中のAl成分が、マグネタイト粒子全体に対してAlに換算して0.3〜2重量%含有され、電気抵抗が1×104Ω・cm以上である請求項1〜のいずれかに記載のマグネタイト粒子。
  9. 湿式法にて生成したマグネタイトコア粒子を含むスラリーに、水可溶性アルミニウム塩とアルカリの水溶液を添加混合し、pH5〜12、60〜98℃にて酸化し、該マグネタイトコア粒子をAlとFeの複合酸化鉄層にて被覆し、さらに該被覆粒子を含むスラリーに水可溶性Si成分を添加し、pH5〜9にてSi成分を被覆することを特徴とするマグネタイト粒子の製造方法。
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