JP3544016B2 - モータ駆動制御回路の保護装置 - Google Patents
モータ駆動制御回路の保護装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3544016B2 JP3544016B2 JP30314494A JP30314494A JP3544016B2 JP 3544016 B2 JP3544016 B2 JP 3544016B2 JP 30314494 A JP30314494 A JP 30314494A JP 30314494 A JP30314494 A JP 30314494A JP 3544016 B2 JP3544016 B2 JP 3544016B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- signal
- stop
- motor
- circuit
- drive control
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、直流ブラシレスモータのモータ駆動制御回路において、その安全性を向上したモータ駆動制御回路の保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ブラシレス多相直流モータでは、励磁状態において磁界を発生するステータコイルを備えたステータと、このステータコイルの磁界との電磁相互作用により回転力を得るロータマグネットを備えたロータと、ロータマグネットの回転位置を検出するセンサとを有する構造のものがよく知られている。このようなブラシレスモータでは、多くの場合、半導体チップ化された電子回路つまりモータ駆動制御回路により回転制御が行われている。
【0003】
この場合のステータ側の磁界発生タイミングは、センサによりロータマグネットの回転位置を検知して制御され、この種のセンサには、従来からホール素子が用いられている。また、この種のモータ駆動制御回路は、モータに一体化された回路基板に実装される場合が多く、製品の小型化に伴って1チップ化される傾向にある。
【0004】
図3は、3相ブラシレスモータのモータ駆動制御回路を1チップ化した場合の一例を示している。モータ駆動制御回路IC1(例えば三洋電機株式会社製の型番LB1825)の出力端子OUT1〜OUT3には、スター結線された3相のステータコイルL1〜L3が接続され、ホール入力端子IN1〜IN3の正負端子には、3個のホール素子H1〜H3が接続されている。また、ブレーキ指令入力端子S/Bには、外部からのスタート信号/ストップ信号(S/S)が入力される。
【0005】
このモータ駆動制御回路IC1は、ロータの回転位置を検出する各ホール素子H1〜H3の出力信号に基づいて各ステータコイルL1〜L3に供給する励磁電流を制御する回転制御機能を有し、外部からのスタート信号及びストップ信号によりそれぞれスタートモード及び停止モードが選択されるようになっている。つまり、この場合、スタート信号がロウレベル、ストップ信号がハイレベルになっており、ストップ信号のハイレベルがブレーキ指令入力端子S/Bに入力されることにより停止モードが選択される。
【0006】
そして、モータ停止時にスタート信号が入力されると、各ステータコイルL1〜L3に比較的大きな起動電流が供給され、これにより加速制御が行われ、モータが回転し、その回転がホール素子H1〜H3により検出されると、起動電流の供給を終了して回転制御機能を実行し、所定の回転状態を維持するように働く。
また、モータ回転時にストップ信号が入力されると、ステータコイルL1〜L3に励磁電流に代えて逆相回転用の比較的大きな停止電流が供給され、これによりブレーキ制御が行われる。そして、モータの回転速度が規定値以下にまで低下すると、この停止電流の供給が停止され、その後モータが停止状態になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したモータ駆動制御回路IC1における働きは、一般的なものであるが、この種駆動制御回路IC1にあっては、つぎに説明するような問題点がある。
【0008】
すなわち、モータにおける負荷が急激に上昇してロータにロックがかかった場合、例えばプリンタ用メインモータにおいて紙送り動作において紙詰まりが生じた場合やギヤ部分での噛み合いに支障が生じた場合或いは人為的にロータの回転を拘束した場合等、モータの回転のためにスタート信号を入力すると、モータ駆動制御回路IC1は各ステータコイルL1〜L3に起動電流を供給するが、ロータが回転しないため、起動電流が励磁電流に切り換わることがなく、この大きな起動電流が流れ続けることになる。
【0009】
また、スタート信号の入力によってもロータが回転しないことから、異常に気付いて今度はストップ信号を入力すると、モータ駆動制御回路IC1は各ステータコイルL1〜L3に停止電流を供給するが、ロータは既に停止しており、従ってロータの回転速度が規定値以下に低下したことを検出できない場合が生じ、この大きな停止電流が流れ続けることになる。この場合、ストップ信号を入力したこととロータの停止状態との事実関係だけでモータ停止動作が完了したかにみえるが、実際には停止電流が流れ続ける。
【0010】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に留意してなされたものであり、その目的とするところは、ロータのロック時に起動電流や停止電流を確実に切ることのできるモータ駆動制御回路の保護装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、第1の発明に係るモータ駆動制御回路の保護装置は、モータの回転位置を検出するセンサの出力信号に基づいてコイルに供給する励磁電流を制御する回転制御機能を有し、スタート信号及びストップ信号によりそれぞれスタートモード及び停止モードが選択され、モータ停止時のスタート信号によりコイルに起動電流を供給して加速制御を行い、モータの回転検出により起動電流の供給を終了して回転制御機能を実行し、モータ回転時のストップ信号によりコイルに停止電流を供給してブレーキ制御を行い、モータの回転速度が規定値以下に低下した時に停止電流の供給を停止するモータ駆動制御回路を備え、モータの回転速度に応じた周波数のパルス信号よりなる回転速度検出信号及び前記スタート信号が入力され、前記スタート信号の入力時、所定の遅延時間内に前記回転速度検出信号が入力されない場合に前記遅延時間後に前記モータ駆動制御回路に前記コイルへの電流供給を停止する電源オフ信号を入力する第1保護回路と、回転速度検出信号を用いてモータの停止を検出しこの停止信号によりモータ駆動制御回路に電源オフ信号を入力する第2保護回路と、を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
この場合、第2保護回路に、スタート信号の入力時に停止信号をキャンセルする起動補償回路を含むことが望ましい。
【0013】
また、前記目的を達成するために、第2の発明に係るモータ駆動制御回路の保護装置は、モータの回転位置を検出するセンサの出力信号に基づいてコイルに供給する励磁電流を制御する回転制御機能を有し、スタート信号及びストップ信号によりそれぞれスタートモード及び停止モードが選択され、モータ停止時のスタート信号によりコイルに起動電流を供給して加速制御を行い、モータの回転検出により起動電流の供給を終了して回転制御機能を実行し、モータ回転時のストップ信号によりコイルに停止電流を供給してブレーキ制御を行い、モータの回転速度が規定値以下に低下した時に停止電流の供給を停止するモータ駆動制御回路を備え、
電源投入時に第1疑似パルス信号を生成する第1パルス生成回路と、ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号を生成する第2パルス生成回路と、両パルス生成回路からのそれぞれの疑似パルス信号により各疑似パルス信号の出力時間だけセンサの出力信号を反転させる反転回路と、を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
この場合、センサをホール素子により構成し、反転回路を、各疑似パルス信号の入力により各疑似パルス信号の出力時間だけホール素子への電源の極性を反転させるよう構成するのがよい。さらに、ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号よりパルス幅の長い電源オフ信号を生成する第3パルス生成回路を設け、電源オフ信号のモータ駆動制御回路への入力によりコイルへの電流供給を停止するとなおよい。
【0015】
【作用】
前述した本発明のモータ駆動制御回路の保護装置にあっては、第1の発明の場合、スタート信号の入力時、所定の遅延時間内に回転速度検出信号が入力されないことを条件に第1保護回路よりモータ駆動制御回路に電源オフ信号が入力されるため、ロータロック時に起動電流が流れてもこの電源オフ信号により起動電流の供給を停止することができる。この場合、スタート信号の入力によりモータが正常に回転を開始すると、所定の遅延時間内にモータの回転速度に応じた回転速度検出信号が入力されるため、第1保護回路は電源オフ信号を出力することはなく、正常な回転制御が行われる。
【0016】
また、ロータロック時にモータの回転が行われないためストップ信号を入力すると、モータ駆動制御回路より停止電流が供給されるが、第2保護回路では、モータ駆動制御回路より出力される回転速度検出信号を用いてモータの停止を検出しこの停止信号によりモータ駆動制御回路に電源オフ信号を入力することが行われるため、モータ停止状態では確実に電流供給が停止される。
【0017】
そして、第2保護回路にスタート信号の入力時に停止信号をキャンセルする起動補償回路を含むようにすれば、モータ停止時のスタート信号入力時に第2保護回路が停止信号を出力してしまう不具合を回避でき、モータ回転が速やかに行われる。
【0018】
つぎに、第2の発明の場合、電源投入時及びストップ信号の入力時にそれぞれ第1、第2パルス生成回路より第1、第2疑似パルス信号が出力され、反転回路によりこの疑似パルス信号の出力時間だけセンサの出力信号が反転されるため、一瞬ではあるがモータが回転したのと同じ状況をつくることができる。従って、ロータロック時においても、起動時の起動電流をこの疑似回転によって切ることができ、ストップ時の停止電流を疑似回転による回転速度低下の検出により切ることが可能となる。
【0019】
ここで、モータ回転時にストップ信号が入力された際、センサ出力のパルス信号に疑似パルス信号による反転信号が混入しモータの回転が加速される可能性があるが、ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号よりパルス幅の長い電源オフ信号を生成する第3パルス生成回路を設ければ、モータ回転時の電源オフ信号のモータ駆動制御回路への入力によりコイルへの電流供給を停止し、加速制御が行われることが回避される。
【0020】
【実施例】
以下、図示の実施例に基づき本発明を説明する。なお、従来と同一符号のものは同一もしくは相当するものを示すものとする。
【0021】
まず、第1の発明に対応する第1の実施例を図1を用いて説明する。
図1において、モータ駆動制御回路IC1(LB1825)のFGパルス出力端子FGout2は、ホール素子H1〜H3のいずれかの信号を利用して形成されたモータの回転速度に応じた周波数のパルス信号よりなる回転速度検出信号を出力し、この回転速度検出信号が第1保護回路1に入力されている。第1保護回路1は、コンデンサC1、スイッチング用トランジスタQ1、充放電用コンデンサC2、コンパレータCOM1、オープンコレクタ型トランジスタQ2等を備えて構成され、スタート信号/ストップ信号(S/S)が逆流防止用ダイオードD1を介してトランジスタQ1のベースに入力されている。ここで、コンデンサC2は、電源端子に接続された抵抗R1の抵抗値設定によりその充電は緩やかに行われ、放電は急速に行われるように設定されている。
【0022】
モータ回転時、出力端子FGout2よりロータの回転速度に応じた周波数のパルス信号よりなる回転速度検出信号が第1保護回路1に入力されると、このパルス信号はコンデンサC1を通してトランジスタQ1をスイッチングし、コンデンサC2の充放電を繰り返す。このため、コンデンサC2の端子電圧は分圧抵抗R1、R2により規定されたある基準電位を越えられず、コンパレータCOM1の出力はロウレベルとなり、トランジスタQ2はオフのままとなる。トランジスタQ2のコレクタはモータ駆動制御回路IC1の周波数特性補正端子FCに接続されている。モータ駆動制御回路IC1はこの補正端子FCがハイレベルの時ステータコイルL1〜L3への電流供給を行わせ、ロウレベルの時ステータコイルL1〜L3への電流供給を停止するように作用する。従って、このモータ回転時補正端子FCがハイレベルとなるため、モータの回転が継続される。
【0023】
一方、モータ停止時にスタート信号(ロウレベル)が入力されると、トランジスタQ1はオフになるため、コンデンサC2は充電のみが行われる。この場合、コンデンサC2の充電動作は緩やかに行われるため、スタート信号によりロータが正常に回転すると、コンデンサC2の端子電位が基準電位に達する以前に出力端子FGout2より回転速度検出信号のパルス信号が出力されるようになり、従ってこの回転速度検出信号によりトランジスタQ1はスイッチング動作し、コンデンサC2が充放電を繰り返してその端子電位が上がらず、コンパレータCOM1の出力はロウレベル、トランジスタQ2はオフとなり、補正端子FCがハイレベルとなってモータの回転が継続される。
【0024】
ここで、ロータロック時にスタート信号が入力されると、コンデンサC2の充電動作時に出力端子FGout2よりパルス信号が出力されないため、コンデンサC2の端子電位は遂にはコンパレータCOM1の基準電位を上回り、コンパレータCOM1の出力がハイレベルになってトランジスタQ2がオンし、補正端子FCがロウレベルになり、ステータコイルL1〜L3への電流供給が停止され、起動電流が切れることになる。
【0025】
第1保護回路1にストップ信号(ハイレベル)が入力された場合は、トランジスタQ1がオンになるためコンデンサC2は放電動作を行い、従ってコンパレータCOMはロウレベル、トランジスタQ2はオンになり、ステータコイルL1〜L3への停止電流の供給が行われる。しかし、ロータロック時にストップ信号が入力されるとこの停止電流を切れない不具合を生じる。このため、第2保護回路2が設けられている。
【0026】
すなわち、第2保護回路2は、出力端子FGout2からの回転速度検出信号を用いてモータの停止を検出する停止検出回路IC2を有し、この停止検出回路IC2からの停止信号(ロウレベル)の有無によりスイッチングするトランジスタQ3及びオープンコレクタ型のトランジスタQ4を備えて構成されている。トランジスタQ4のコレクタはモータ駆動制御回路IC1のFGアンプ出力端子FGout1に接続されている。モータ駆動制御回路IC1は出力端子FGout1にロウレベルの電源オフ信号を入力すると、内部回路及びステータコイルL1〜L3への電源供給を停止する。
【0027】
従って、ロータロック時にストップ信号が入力され、第1保護回路1において停止電流を切ることができなくても、この時停止検出回路IC2の出力はロウレベルの停止信号となるため、トランジスタQ3はオフ、トランジスタQ4はオンとなり、出力端子FGout1にロウレベルの電源オフ信号が入力され、停止電流を確実に切ることができる。
【0028】
ロータが回転していれば、停止検出回路IC2は停止を検出せず、その出力はハイレベルになるため、トランジスタQ3はオン、トランジスタQ4はオフになり、電源が切られることはない。
【0029】
ここで、モータ停止時にスタート信号が入力された場合、この時停止検出回路IC2の出力はロウレベルの停止信号となるため、第2保護回路2により電源が切られたままとなり、起動できない不具合が生じる。このため、第2保護回路2には、スタート信号の入力時に停止検出回路IC2からの停止信号をキャンセルする起動補償回路3が含まれている。この起動補償回路3は、スタート信号/ストップ信号がベースに入力されるトランジスタQ5及び逆流防止用ダイオードD2よりなり、この出力がトランジスタQ3のベースに入力される。
【0030】
そして、モータ停止時にスタート信号が入力されると、これがロウレベルであるため、トランジスタQ5はオフとなり、ダイオードD2を通して電源端子の電圧5VがトランジスタQ3に入力され、停止検出回路IC2からの停止信号がキャンセルされ、トランジスタQ3がオン、トランジスタQ4がオフとなり、前述した電源オフの状態が回避され、起動制御が行われる。
【0031】
つぎに、第2の発明に対応する第2の実施例を、図2を用いて説明する。
この実施例では、モータ駆動制御回路IC1(LB1825)に接続されるホール素子H1〜H3への電源の極性を電源供給時及びストップ時に一瞬反転させることによりロータが回転したのと同じ状況をつくり、前述したロータロック時の不具合を解消するようにしたものである。
【0032】
すなわち、電源投入時に第1疑似パルス信号を生成する第1パルス生成回路4と、ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号を生成する第2パルス生成回路5と、両パルス生成回路4、5からのそれぞれの疑似パルス信号により各疑似パルス信号の出力時間だけホール素子H1〜H3の出力信号を反転させる反転回路6とを備えている。
【0033】
第1パルス生成回路4は、時定数が異なる2つの積分回路7、8を12V電源端子に接続し、電源投入時のそれぞれの積分出力の立ち上がりを異ならせてその積分出力を、コンパレータCOM2、3においてそれぞれモータ駆動制御回路IC1の安定化電源出力端子Vregからの基準電圧と比較し、このそれぞれの比較出力を排他的論理和回路EXOR1に入力することにより第1疑似パルス信号を生成するものである。
【0034】
また、第2パルス生成回路5は、時定数が異なる2つの積分回路9、10をスタート信号/ストップ信号の入力端子に接続し、ストップ信号(ハイレベル)の入力時のそれぞれの積分出力の立ち上がりを異ならせてその積分出力を、コンパレータCOM4、5においてそれぞれ安定化電源出力端子Vregからの基準電圧と比較し、このそれぞれの比較出力を排他的論理和回路EXOR2に入力することにより第2疑似パルス信号を生成するものである。
【0035】
反転回路6は、両パルス生成回路4、5からのそれぞれの疑似パルス信号が入力される排他的論理和回路EXOR3と、ホール素子H1〜H3の電源回路に設けられコレクタとベースとを共通接続した一対ずつ2組のトランジスタQ6〜Q9と、排他的論理和回路EXOR3と一方の組のトランジスタQ6、Q7のベースとの間に接続されたインバータを構成するトランジスタQ10と、を備えている。
【0036】
そして、電源投入時に第1パルス生成回路4よりハイレベルの第1疑似パルス信号が出力され、ストップ信号入力時に第2疑似パルス生成回路5よりハイレベルの第2疑似パルス信号が出力され、それぞれ反転回路6においてこれら疑似パルス信号が一方の組のトランジスタQ6、Q7には反転して、他方の組のトランジスタQ8、Q9には直接入力され、ホール素子H1〜H3への電源の極性がこの疑似パルス信号の出力時間だけ反転される。
【0037】
すなわち、通常はホール素子H1〜H3への電源が12V電源からトランジスタQ8及びトランジスタQ7を介して供給されていたのが、疑似パルス信号の入力時のみ12V電源からトランジスタQ6及びトランジスタQ9を介して供給され、これに伴って各ホール素子H1〜H3からの検出信号がこの疑似パルス信号の時間だけ反転される。
【0038】
従って、ロータロック時、電源が投入されスタートモードになると、第1パルス生成回路4からの第1疑似パルス信号により各ホール素子H1〜H3からの検出信号がこの疑似パルス信号の時間だけ反転され、ロータがロックしているにも拘らずロータが回転したような状況をつくることができるため、起動電流を切ることができる。
【0039】
また、このロータロック時、ストップ信号が入力されたときも、第2パルス生成回路5からの第2疑似パルス信号により各ホール素子H1〜H3からの検出信号がこの疑似パルス信号の時間だけ反転され、ロータが一瞬回転したような状況をつくることができ、その後のロータの非回転検出によりモータの回転速度が規定値以下に低下したことが検出されるため、停止電流を切ることが可能となる。
【0040】
この場合、モータ回転時にストップ信号が入力された際、ホール素子H1〜H3からの出力信号に第2疑似パルス信号による反転信号が混入し、モータの回転が加速される可能性がある。そこで、この実施例では、ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号よりパルス幅の長い電源オフ信号を生成する第3パルス生成回路11が設けられている。
【0041】
すなわち、第3パルス生成回路11は、ストップ信号の立ち上がりにより起動するモノマルチバイブレータ(以下、モノマルチという)12とこのモノマルチ12からの信号がベースに入力されるオープンコレクタ型のトランジスタQ11とを有しており、トランジスタQ11のコレクタがモータ駆動制御回路IC1の周波数補正端子FCに接続されている。モノマルチ12は第2疑似パルス信号の立ち上がりによりこの信号よりパルス幅の長い信号を出力するように設定されている。
【0042】
従って、モータ回転時にストップ信号が入力されると、前述した動作によりホール出力が第2疑似パルス信号の時間反転されるが、モノマルチ12より第2疑似パルス信号より長い時間の信号が出力され、この信号によりトランジスタQ11がオンになって補正端子FCにロウレベルの電源オフ信号が入力されるため、電源オフ制御によりステータコイルL1〜L3への電流供給が停止され、加速制御が行われることが回避される。
【0043】
以上、本発明に従うモータ駆動制御回路の保護装置の実施例について説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更が可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、次に記載する効果を奏する。
第1の発明のモータ駆動制御回路の保護装置にあっては、スタート信号の入力時に所定の遅延時間内に回転速度検出信号が入力されない場合に、第1保護回路よりモータ駆動制御回路に電源オフ信号を入力するようにしたため、ロータロック時に起動電流が流れてもこの電源オフ信号により起動電流の供給を停止することができる。また、第2保護回路によりモータ駆動制御回路からの回転速度検出信号を用いてモータの停止を検出しこの停止信号によりモータ駆動制御回路に電源オフ信号を入力することが行われるため、ロータロック時にストップ信号を入力しても、モータ駆動制御回路よりコイルに供給される停止電流を確実に停止することができる。
【0045】
特に、第2保護回路にスタート信号の入力時に停止信号をキャンセルする起動補償回路を含むようにすれば、モータ停止時のスタート信号入力時に第2保護回路が停止信号を出力してしまう不具合を回避できる。
【0046】
第2の発明のモータ駆動制御回路の保護装置にあっては、電源投入時及びストップ信号の入力時にそれぞれ第1、第2パルス生成回路より第1、第2疑似パルス信号を出力させ、反転回路によりこの疑似パルス信号の出力時間だけセンサの出力信号が反転されるようにしたため、一瞬ではあるがモータが回転したのと同じ状況をつくることができ、ロータロック時においても、起動時の起動電流をこの疑似回転によって切ることができ、ストップ時の停止電流を疑似回転による回転速度低下の検出により切ることができる。
【0047】
この場合、ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号よりパルス幅の長い電源オフ信号を生成する第3パルス生成回路を設ければ、モータ回転時にストップ信号が入力されて疑似パルス信号によりセンサ信号が反転され、これにより加速されようとしても、電源オフ信号のモータ駆動制御回路への入力によりコイルへの電流供給を停止でき、加速制御が行われることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うモータ駆動制御回路の保護装置の第1の実施例を示す回路図である。
【図2】本発明に従うモータ駆動制御回路の保護装置の第2の実施例を示す回路図である。
【図3】従来例を示すモータ駆動制御回路の概略構成図である。
【符号の説明】
IC1 モータ駆動制御回路
H1〜H3 ホール素子
L1〜L3 ステータコイル
1 第1保護回路
2 第2保護回路
3 起動補償回路
4 第1パルス生成回路
5 第2パルス生成回路
6 反転回路
11 第3パルス生成回路
【産業上の利用分野】
本発明は、直流ブラシレスモータのモータ駆動制御回路において、その安全性を向上したモータ駆動制御回路の保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ブラシレス多相直流モータでは、励磁状態において磁界を発生するステータコイルを備えたステータと、このステータコイルの磁界との電磁相互作用により回転力を得るロータマグネットを備えたロータと、ロータマグネットの回転位置を検出するセンサとを有する構造のものがよく知られている。このようなブラシレスモータでは、多くの場合、半導体チップ化された電子回路つまりモータ駆動制御回路により回転制御が行われている。
【0003】
この場合のステータ側の磁界発生タイミングは、センサによりロータマグネットの回転位置を検知して制御され、この種のセンサには、従来からホール素子が用いられている。また、この種のモータ駆動制御回路は、モータに一体化された回路基板に実装される場合が多く、製品の小型化に伴って1チップ化される傾向にある。
【0004】
図3は、3相ブラシレスモータのモータ駆動制御回路を1チップ化した場合の一例を示している。モータ駆動制御回路IC1(例えば三洋電機株式会社製の型番LB1825)の出力端子OUT1〜OUT3には、スター結線された3相のステータコイルL1〜L3が接続され、ホール入力端子IN1〜IN3の正負端子には、3個のホール素子H1〜H3が接続されている。また、ブレーキ指令入力端子S/Bには、外部からのスタート信号/ストップ信号(S/S)が入力される。
【0005】
このモータ駆動制御回路IC1は、ロータの回転位置を検出する各ホール素子H1〜H3の出力信号に基づいて各ステータコイルL1〜L3に供給する励磁電流を制御する回転制御機能を有し、外部からのスタート信号及びストップ信号によりそれぞれスタートモード及び停止モードが選択されるようになっている。つまり、この場合、スタート信号がロウレベル、ストップ信号がハイレベルになっており、ストップ信号のハイレベルがブレーキ指令入力端子S/Bに入力されることにより停止モードが選択される。
【0006】
そして、モータ停止時にスタート信号が入力されると、各ステータコイルL1〜L3に比較的大きな起動電流が供給され、これにより加速制御が行われ、モータが回転し、その回転がホール素子H1〜H3により検出されると、起動電流の供給を終了して回転制御機能を実行し、所定の回転状態を維持するように働く。
また、モータ回転時にストップ信号が入力されると、ステータコイルL1〜L3に励磁電流に代えて逆相回転用の比較的大きな停止電流が供給され、これによりブレーキ制御が行われる。そして、モータの回転速度が規定値以下にまで低下すると、この停止電流の供給が停止され、その後モータが停止状態になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したモータ駆動制御回路IC1における働きは、一般的なものであるが、この種駆動制御回路IC1にあっては、つぎに説明するような問題点がある。
【0008】
すなわち、モータにおける負荷が急激に上昇してロータにロックがかかった場合、例えばプリンタ用メインモータにおいて紙送り動作において紙詰まりが生じた場合やギヤ部分での噛み合いに支障が生じた場合或いは人為的にロータの回転を拘束した場合等、モータの回転のためにスタート信号を入力すると、モータ駆動制御回路IC1は各ステータコイルL1〜L3に起動電流を供給するが、ロータが回転しないため、起動電流が励磁電流に切り換わることがなく、この大きな起動電流が流れ続けることになる。
【0009】
また、スタート信号の入力によってもロータが回転しないことから、異常に気付いて今度はストップ信号を入力すると、モータ駆動制御回路IC1は各ステータコイルL1〜L3に停止電流を供給するが、ロータは既に停止しており、従ってロータの回転速度が規定値以下に低下したことを検出できない場合が生じ、この大きな停止電流が流れ続けることになる。この場合、ストップ信号を入力したこととロータの停止状態との事実関係だけでモータ停止動作が完了したかにみえるが、実際には停止電流が流れ続ける。
【0010】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に留意してなされたものであり、その目的とするところは、ロータのロック時に起動電流や停止電流を確実に切ることのできるモータ駆動制御回路の保護装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、第1の発明に係るモータ駆動制御回路の保護装置は、モータの回転位置を検出するセンサの出力信号に基づいてコイルに供給する励磁電流を制御する回転制御機能を有し、スタート信号及びストップ信号によりそれぞれスタートモード及び停止モードが選択され、モータ停止時のスタート信号によりコイルに起動電流を供給して加速制御を行い、モータの回転検出により起動電流の供給を終了して回転制御機能を実行し、モータ回転時のストップ信号によりコイルに停止電流を供給してブレーキ制御を行い、モータの回転速度が規定値以下に低下した時に停止電流の供給を停止するモータ駆動制御回路を備え、モータの回転速度に応じた周波数のパルス信号よりなる回転速度検出信号及び前記スタート信号が入力され、前記スタート信号の入力時、所定の遅延時間内に前記回転速度検出信号が入力されない場合に前記遅延時間後に前記モータ駆動制御回路に前記コイルへの電流供給を停止する電源オフ信号を入力する第1保護回路と、回転速度検出信号を用いてモータの停止を検出しこの停止信号によりモータ駆動制御回路に電源オフ信号を入力する第2保護回路と、を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
この場合、第2保護回路に、スタート信号の入力時に停止信号をキャンセルする起動補償回路を含むことが望ましい。
【0013】
また、前記目的を達成するために、第2の発明に係るモータ駆動制御回路の保護装置は、モータの回転位置を検出するセンサの出力信号に基づいてコイルに供給する励磁電流を制御する回転制御機能を有し、スタート信号及びストップ信号によりそれぞれスタートモード及び停止モードが選択され、モータ停止時のスタート信号によりコイルに起動電流を供給して加速制御を行い、モータの回転検出により起動電流の供給を終了して回転制御機能を実行し、モータ回転時のストップ信号によりコイルに停止電流を供給してブレーキ制御を行い、モータの回転速度が規定値以下に低下した時に停止電流の供給を停止するモータ駆動制御回路を備え、
電源投入時に第1疑似パルス信号を生成する第1パルス生成回路と、ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号を生成する第2パルス生成回路と、両パルス生成回路からのそれぞれの疑似パルス信号により各疑似パルス信号の出力時間だけセンサの出力信号を反転させる反転回路と、を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
この場合、センサをホール素子により構成し、反転回路を、各疑似パルス信号の入力により各疑似パルス信号の出力時間だけホール素子への電源の極性を反転させるよう構成するのがよい。さらに、ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号よりパルス幅の長い電源オフ信号を生成する第3パルス生成回路を設け、電源オフ信号のモータ駆動制御回路への入力によりコイルへの電流供給を停止するとなおよい。
【0015】
【作用】
前述した本発明のモータ駆動制御回路の保護装置にあっては、第1の発明の場合、スタート信号の入力時、所定の遅延時間内に回転速度検出信号が入力されないことを条件に第1保護回路よりモータ駆動制御回路に電源オフ信号が入力されるため、ロータロック時に起動電流が流れてもこの電源オフ信号により起動電流の供給を停止することができる。この場合、スタート信号の入力によりモータが正常に回転を開始すると、所定の遅延時間内にモータの回転速度に応じた回転速度検出信号が入力されるため、第1保護回路は電源オフ信号を出力することはなく、正常な回転制御が行われる。
【0016】
また、ロータロック時にモータの回転が行われないためストップ信号を入力すると、モータ駆動制御回路より停止電流が供給されるが、第2保護回路では、モータ駆動制御回路より出力される回転速度検出信号を用いてモータの停止を検出しこの停止信号によりモータ駆動制御回路に電源オフ信号を入力することが行われるため、モータ停止状態では確実に電流供給が停止される。
【0017】
そして、第2保護回路にスタート信号の入力時に停止信号をキャンセルする起動補償回路を含むようにすれば、モータ停止時のスタート信号入力時に第2保護回路が停止信号を出力してしまう不具合を回避でき、モータ回転が速やかに行われる。
【0018】
つぎに、第2の発明の場合、電源投入時及びストップ信号の入力時にそれぞれ第1、第2パルス生成回路より第1、第2疑似パルス信号が出力され、反転回路によりこの疑似パルス信号の出力時間だけセンサの出力信号が反転されるため、一瞬ではあるがモータが回転したのと同じ状況をつくることができる。従って、ロータロック時においても、起動時の起動電流をこの疑似回転によって切ることができ、ストップ時の停止電流を疑似回転による回転速度低下の検出により切ることが可能となる。
【0019】
ここで、モータ回転時にストップ信号が入力された際、センサ出力のパルス信号に疑似パルス信号による反転信号が混入しモータの回転が加速される可能性があるが、ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号よりパルス幅の長い電源オフ信号を生成する第3パルス生成回路を設ければ、モータ回転時の電源オフ信号のモータ駆動制御回路への入力によりコイルへの電流供給を停止し、加速制御が行われることが回避される。
【0020】
【実施例】
以下、図示の実施例に基づき本発明を説明する。なお、従来と同一符号のものは同一もしくは相当するものを示すものとする。
【0021】
まず、第1の発明に対応する第1の実施例を図1を用いて説明する。
図1において、モータ駆動制御回路IC1(LB1825)のFGパルス出力端子FGout2は、ホール素子H1〜H3のいずれかの信号を利用して形成されたモータの回転速度に応じた周波数のパルス信号よりなる回転速度検出信号を出力し、この回転速度検出信号が第1保護回路1に入力されている。第1保護回路1は、コンデンサC1、スイッチング用トランジスタQ1、充放電用コンデンサC2、コンパレータCOM1、オープンコレクタ型トランジスタQ2等を備えて構成され、スタート信号/ストップ信号(S/S)が逆流防止用ダイオードD1を介してトランジスタQ1のベースに入力されている。ここで、コンデンサC2は、電源端子に接続された抵抗R1の抵抗値設定によりその充電は緩やかに行われ、放電は急速に行われるように設定されている。
【0022】
モータ回転時、出力端子FGout2よりロータの回転速度に応じた周波数のパルス信号よりなる回転速度検出信号が第1保護回路1に入力されると、このパルス信号はコンデンサC1を通してトランジスタQ1をスイッチングし、コンデンサC2の充放電を繰り返す。このため、コンデンサC2の端子電圧は分圧抵抗R1、R2により規定されたある基準電位を越えられず、コンパレータCOM1の出力はロウレベルとなり、トランジスタQ2はオフのままとなる。トランジスタQ2のコレクタはモータ駆動制御回路IC1の周波数特性補正端子FCに接続されている。モータ駆動制御回路IC1はこの補正端子FCがハイレベルの時ステータコイルL1〜L3への電流供給を行わせ、ロウレベルの時ステータコイルL1〜L3への電流供給を停止するように作用する。従って、このモータ回転時補正端子FCがハイレベルとなるため、モータの回転が継続される。
【0023】
一方、モータ停止時にスタート信号(ロウレベル)が入力されると、トランジスタQ1はオフになるため、コンデンサC2は充電のみが行われる。この場合、コンデンサC2の充電動作は緩やかに行われるため、スタート信号によりロータが正常に回転すると、コンデンサC2の端子電位が基準電位に達する以前に出力端子FGout2より回転速度検出信号のパルス信号が出力されるようになり、従ってこの回転速度検出信号によりトランジスタQ1はスイッチング動作し、コンデンサC2が充放電を繰り返してその端子電位が上がらず、コンパレータCOM1の出力はロウレベル、トランジスタQ2はオフとなり、補正端子FCがハイレベルとなってモータの回転が継続される。
【0024】
ここで、ロータロック時にスタート信号が入力されると、コンデンサC2の充電動作時に出力端子FGout2よりパルス信号が出力されないため、コンデンサC2の端子電位は遂にはコンパレータCOM1の基準電位を上回り、コンパレータCOM1の出力がハイレベルになってトランジスタQ2がオンし、補正端子FCがロウレベルになり、ステータコイルL1〜L3への電流供給が停止され、起動電流が切れることになる。
【0025】
第1保護回路1にストップ信号(ハイレベル)が入力された場合は、トランジスタQ1がオンになるためコンデンサC2は放電動作を行い、従ってコンパレータCOMはロウレベル、トランジスタQ2はオンになり、ステータコイルL1〜L3への停止電流の供給が行われる。しかし、ロータロック時にストップ信号が入力されるとこの停止電流を切れない不具合を生じる。このため、第2保護回路2が設けられている。
【0026】
すなわち、第2保護回路2は、出力端子FGout2からの回転速度検出信号を用いてモータの停止を検出する停止検出回路IC2を有し、この停止検出回路IC2からの停止信号(ロウレベル)の有無によりスイッチングするトランジスタQ3及びオープンコレクタ型のトランジスタQ4を備えて構成されている。トランジスタQ4のコレクタはモータ駆動制御回路IC1のFGアンプ出力端子FGout1に接続されている。モータ駆動制御回路IC1は出力端子FGout1にロウレベルの電源オフ信号を入力すると、内部回路及びステータコイルL1〜L3への電源供給を停止する。
【0027】
従って、ロータロック時にストップ信号が入力され、第1保護回路1において停止電流を切ることができなくても、この時停止検出回路IC2の出力はロウレベルの停止信号となるため、トランジスタQ3はオフ、トランジスタQ4はオンとなり、出力端子FGout1にロウレベルの電源オフ信号が入力され、停止電流を確実に切ることができる。
【0028】
ロータが回転していれば、停止検出回路IC2は停止を検出せず、その出力はハイレベルになるため、トランジスタQ3はオン、トランジスタQ4はオフになり、電源が切られることはない。
【0029】
ここで、モータ停止時にスタート信号が入力された場合、この時停止検出回路IC2の出力はロウレベルの停止信号となるため、第2保護回路2により電源が切られたままとなり、起動できない不具合が生じる。このため、第2保護回路2には、スタート信号の入力時に停止検出回路IC2からの停止信号をキャンセルする起動補償回路3が含まれている。この起動補償回路3は、スタート信号/ストップ信号がベースに入力されるトランジスタQ5及び逆流防止用ダイオードD2よりなり、この出力がトランジスタQ3のベースに入力される。
【0030】
そして、モータ停止時にスタート信号が入力されると、これがロウレベルであるため、トランジスタQ5はオフとなり、ダイオードD2を通して電源端子の電圧5VがトランジスタQ3に入力され、停止検出回路IC2からの停止信号がキャンセルされ、トランジスタQ3がオン、トランジスタQ4がオフとなり、前述した電源オフの状態が回避され、起動制御が行われる。
【0031】
つぎに、第2の発明に対応する第2の実施例を、図2を用いて説明する。
この実施例では、モータ駆動制御回路IC1(LB1825)に接続されるホール素子H1〜H3への電源の極性を電源供給時及びストップ時に一瞬反転させることによりロータが回転したのと同じ状況をつくり、前述したロータロック時の不具合を解消するようにしたものである。
【0032】
すなわち、電源投入時に第1疑似パルス信号を生成する第1パルス生成回路4と、ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号を生成する第2パルス生成回路5と、両パルス生成回路4、5からのそれぞれの疑似パルス信号により各疑似パルス信号の出力時間だけホール素子H1〜H3の出力信号を反転させる反転回路6とを備えている。
【0033】
第1パルス生成回路4は、時定数が異なる2つの積分回路7、8を12V電源端子に接続し、電源投入時のそれぞれの積分出力の立ち上がりを異ならせてその積分出力を、コンパレータCOM2、3においてそれぞれモータ駆動制御回路IC1の安定化電源出力端子Vregからの基準電圧と比較し、このそれぞれの比較出力を排他的論理和回路EXOR1に入力することにより第1疑似パルス信号を生成するものである。
【0034】
また、第2パルス生成回路5は、時定数が異なる2つの積分回路9、10をスタート信号/ストップ信号の入力端子に接続し、ストップ信号(ハイレベル)の入力時のそれぞれの積分出力の立ち上がりを異ならせてその積分出力を、コンパレータCOM4、5においてそれぞれ安定化電源出力端子Vregからの基準電圧と比較し、このそれぞれの比較出力を排他的論理和回路EXOR2に入力することにより第2疑似パルス信号を生成するものである。
【0035】
反転回路6は、両パルス生成回路4、5からのそれぞれの疑似パルス信号が入力される排他的論理和回路EXOR3と、ホール素子H1〜H3の電源回路に設けられコレクタとベースとを共通接続した一対ずつ2組のトランジスタQ6〜Q9と、排他的論理和回路EXOR3と一方の組のトランジスタQ6、Q7のベースとの間に接続されたインバータを構成するトランジスタQ10と、を備えている。
【0036】
そして、電源投入時に第1パルス生成回路4よりハイレベルの第1疑似パルス信号が出力され、ストップ信号入力時に第2疑似パルス生成回路5よりハイレベルの第2疑似パルス信号が出力され、それぞれ反転回路6においてこれら疑似パルス信号が一方の組のトランジスタQ6、Q7には反転して、他方の組のトランジスタQ8、Q9には直接入力され、ホール素子H1〜H3への電源の極性がこの疑似パルス信号の出力時間だけ反転される。
【0037】
すなわち、通常はホール素子H1〜H3への電源が12V電源からトランジスタQ8及びトランジスタQ7を介して供給されていたのが、疑似パルス信号の入力時のみ12V電源からトランジスタQ6及びトランジスタQ9を介して供給され、これに伴って各ホール素子H1〜H3からの検出信号がこの疑似パルス信号の時間だけ反転される。
【0038】
従って、ロータロック時、電源が投入されスタートモードになると、第1パルス生成回路4からの第1疑似パルス信号により各ホール素子H1〜H3からの検出信号がこの疑似パルス信号の時間だけ反転され、ロータがロックしているにも拘らずロータが回転したような状況をつくることができるため、起動電流を切ることができる。
【0039】
また、このロータロック時、ストップ信号が入力されたときも、第2パルス生成回路5からの第2疑似パルス信号により各ホール素子H1〜H3からの検出信号がこの疑似パルス信号の時間だけ反転され、ロータが一瞬回転したような状況をつくることができ、その後のロータの非回転検出によりモータの回転速度が規定値以下に低下したことが検出されるため、停止電流を切ることが可能となる。
【0040】
この場合、モータ回転時にストップ信号が入力された際、ホール素子H1〜H3からの出力信号に第2疑似パルス信号による反転信号が混入し、モータの回転が加速される可能性がある。そこで、この実施例では、ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号よりパルス幅の長い電源オフ信号を生成する第3パルス生成回路11が設けられている。
【0041】
すなわち、第3パルス生成回路11は、ストップ信号の立ち上がりにより起動するモノマルチバイブレータ(以下、モノマルチという)12とこのモノマルチ12からの信号がベースに入力されるオープンコレクタ型のトランジスタQ11とを有しており、トランジスタQ11のコレクタがモータ駆動制御回路IC1の周波数補正端子FCに接続されている。モノマルチ12は第2疑似パルス信号の立ち上がりによりこの信号よりパルス幅の長い信号を出力するように設定されている。
【0042】
従って、モータ回転時にストップ信号が入力されると、前述した動作によりホール出力が第2疑似パルス信号の時間反転されるが、モノマルチ12より第2疑似パルス信号より長い時間の信号が出力され、この信号によりトランジスタQ11がオンになって補正端子FCにロウレベルの電源オフ信号が入力されるため、電源オフ制御によりステータコイルL1〜L3への電流供給が停止され、加速制御が行われることが回避される。
【0043】
以上、本発明に従うモータ駆動制御回路の保護装置の実施例について説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更が可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、次に記載する効果を奏する。
第1の発明のモータ駆動制御回路の保護装置にあっては、スタート信号の入力時に所定の遅延時間内に回転速度検出信号が入力されない場合に、第1保護回路よりモータ駆動制御回路に電源オフ信号を入力するようにしたため、ロータロック時に起動電流が流れてもこの電源オフ信号により起動電流の供給を停止することができる。また、第2保護回路によりモータ駆動制御回路からの回転速度検出信号を用いてモータの停止を検出しこの停止信号によりモータ駆動制御回路に電源オフ信号を入力することが行われるため、ロータロック時にストップ信号を入力しても、モータ駆動制御回路よりコイルに供給される停止電流を確実に停止することができる。
【0045】
特に、第2保護回路にスタート信号の入力時に停止信号をキャンセルする起動補償回路を含むようにすれば、モータ停止時のスタート信号入力時に第2保護回路が停止信号を出力してしまう不具合を回避できる。
【0046】
第2の発明のモータ駆動制御回路の保護装置にあっては、電源投入時及びストップ信号の入力時にそれぞれ第1、第2パルス生成回路より第1、第2疑似パルス信号を出力させ、反転回路によりこの疑似パルス信号の出力時間だけセンサの出力信号が反転されるようにしたため、一瞬ではあるがモータが回転したのと同じ状況をつくることができ、ロータロック時においても、起動時の起動電流をこの疑似回転によって切ることができ、ストップ時の停止電流を疑似回転による回転速度低下の検出により切ることができる。
【0047】
この場合、ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号よりパルス幅の長い電源オフ信号を生成する第3パルス生成回路を設ければ、モータ回転時にストップ信号が入力されて疑似パルス信号によりセンサ信号が反転され、これにより加速されようとしても、電源オフ信号のモータ駆動制御回路への入力によりコイルへの電流供給を停止でき、加速制御が行われることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うモータ駆動制御回路の保護装置の第1の実施例を示す回路図である。
【図2】本発明に従うモータ駆動制御回路の保護装置の第2の実施例を示す回路図である。
【図3】従来例を示すモータ駆動制御回路の概略構成図である。
【符号の説明】
IC1 モータ駆動制御回路
H1〜H3 ホール素子
L1〜L3 ステータコイル
1 第1保護回路
2 第2保護回路
3 起動補償回路
4 第1パルス生成回路
5 第2パルス生成回路
6 反転回路
11 第3パルス生成回路
Claims (5)
- モータの回転位置を検出するセンサの出力信号に基づいてコイルに供給する励磁電流を制御する回転制御機能を有し、
スタート信号及びストップ信号によりそれぞれスタートモード及び停止モードが選択され、
モータ停止時のスタート信号によりコイルに起動電流を供給して加速制御を行い、モータの回転検出により該起動電流の供給を終了して前記回転制御機能を実行し、
モータ回転時のストップ信号によりコイルに停止電流を供給してブレーキ制御を行い、モータの回転速度が規定値以下に低下した時に前記停止電流の供給を停止するモータ駆動制御回路において、
モータの回転速度に応じた周波数のパルス信号よりなる回転速度検出信号及び前記スタート信号が入力され、前記スタート信号の入力時、所定の遅延時間内に前記回転速度検出信号が入力されない場合に前記遅延時間後に前記モータ駆動制御回路に前記コイルへの電流供給を停止する電源オフ信号を入力する第1保護回路と、
前記回転速度検出信号を用いてモータの停止を検出しこの停止信号により前記モータ駆動制御回路に前記電源オフ信号を入力する第2保護回路と、
を備えたことを特徴とするモータ駆動制御回路の保護装置。 - 前記第2保護回路には、前記スタート信号の入力時に前記停止信号をキャンセルする起動補償回路が含まれている請求項1記載のモータ駆動制御回路の保護装置。
- モータの回転位置を検出するセンサの出力信号に基づいてコイルに供給する励磁電流を制御する回転制御機能を有し、
スタート信号及びストップ信号によりそれぞれスタートモード及び停止モードが選択され、
モータ停止時のスタート信号によりコイルに起動電流を供給して加速制御を行い、モータの回転検出により該起動電流の供給を終了してその後前記回転制御機能を実行し、
モータ回転時のストップ信号によりコイルに停止電流を供給してブレーキ制御を行い、モータの回転速度が規定値以下に低下した時に前記停止電流の供給を停止するモータ駆動制御回路において、
電源投入時に第1疑似パルス信号を生成する第1パルス生成回路と、
前記ストップ信号の入力時に第2疑似パルス信号を生成する第2パルス生成回路と、
前記両パルス生成回路からのそれぞれの疑似パルス信号により該各疑似パルス信号の出力時間だけ前記センサの出力信号を反転させる反転回路と、
を備えたことを特徴とするモータ駆動制御回路の保護装置。 - 前記センサはホール素子からなり、前記反転回路は、前記各疑似パルス信号の入力により該各疑似パルス信号の出力時間だけ前記ホール素子への電源の極性を反転させるよう構成されている請求項3記載のモータ駆動制御回路の保護装置。
- 前記ストップ信号の入力時に前記第2疑似パルス信号よりパルス幅の長い電源オフ信号を生成する第3パルス生成回路が設けられ、該電源オフ信号の前記モータ駆動制御回路への入力により前記コイルへの電流供給が停止される請求項3記載のモータ駆動制御回路の保護装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30314494A JP3544016B2 (ja) | 1994-11-11 | 1994-11-11 | モータ駆動制御回路の保護装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30314494A JP3544016B2 (ja) | 1994-11-11 | 1994-11-11 | モータ駆動制御回路の保護装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08140393A JPH08140393A (ja) | 1996-05-31 |
JP3544016B2 true JP3544016B2 (ja) | 2004-07-21 |
Family
ID=17917416
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30314494A Expired - Fee Related JP3544016B2 (ja) | 1994-11-11 | 1994-11-11 | モータ駆動制御回路の保護装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3544016B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006101653A (ja) * | 2004-09-30 | 2006-04-13 | Shinano Kenshi Co Ltd | 搬送機構における駆動モータの制御方法及び制御回路並びにその制御回路を搭載した駆動モータ |
JP2007174874A (ja) * | 2005-12-26 | 2007-07-05 | Asmo Co Ltd | モータ用制御装置の製造方法及びモータの製造方法 |
JP4445978B2 (ja) | 2007-04-12 | 2010-04-07 | ローム株式会社 | モータ駆動装置、モータの制御方法およびそれを用いた冷却装置 |
JP5771369B2 (ja) * | 2010-07-16 | 2015-08-26 | セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー | モータ駆動回路 |
JP6228911B2 (ja) * | 2014-11-28 | 2017-11-08 | ミネベアミツミ株式会社 | モータ駆動制御装置およびモータ駆動制御方法 |
CN106580364B (zh) * | 2016-11-16 | 2020-06-09 | 上海惠影医疗科技有限公司 | 一种x射线机限位保护装置及其方法 |
-
1994
- 1994-11-11 JP JP30314494A patent/JP3544016B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08140393A (ja) | 1996-05-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS59220092A (ja) | 無整流子モ−タの焼損防止回路 | |
JP3544016B2 (ja) | モータ駆動制御回路の保護装置 | |
EP0108732B1 (en) | A device for controlling a reluctance motor | |
KR101240002B1 (ko) | 모터 구동 장치 | |
JP3309518B2 (ja) | ブラシレスモータのロック警報装置 | |
JPH10234130A (ja) | モータのロック保護回路装置 | |
JPH1042586A (ja) | モータ駆動回路 | |
US5317244A (en) | Motor control unit provided with anti-burning device | |
JP4402216B2 (ja) | ブラシレスモータの制御回路 | |
JP3941731B2 (ja) | 負荷駆動制御装置 | |
JP2002119083A (ja) | モータ制御装置 | |
JP2000354390A (ja) | 単相ブラシレスモータ | |
JP2538977B2 (ja) | モ―タの焼損防止装置を備えた駆動装置 | |
JP2004173466A (ja) | モータ保護回路 | |
JPH0851789A (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
JPH04161092A (ja) | ブラシレスモータ制御装置 | |
CN109831131B (zh) | 控制装置、包括该控制装置的旋转电机和控制方法 | |
JP2579552B2 (ja) | Dcブラシレスモータ | |
JP2658722B2 (ja) | モータのコイル焼損防止装置 | |
JPH0349585A (ja) | 直流モータ駆動回路 | |
JP4467023B2 (ja) | モータの駆動装置 | |
JP3815812B2 (ja) | フアンモータの駆動装置 | |
JPH0537629Y2 (ja) | ||
JPH07184390A (ja) | 無整流子電動機の制御方法およびその装置 | |
JPH05236792A (ja) | 2相ユニポーラセンサレスモータの駆動回路 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20031126 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20031224 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040330 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040331 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |