JP3543827B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は放送衛星或いは通信衛星等の衛星から到来する電波を受信する為のアンテナ装置に関し、更に詳しくは複数の衛星から夫々到来する電波を個別の一次放射器で受信できるようにしたアンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の衛星から夫々到来する電波を受信する場合、各々の衛星に対して個別のパラボラアンテナを用いている。パラボラアンテナは反射鏡の焦点位置に一次放射器を備えている。しかも反射鏡に到来する電波を遮らぬよう反射鏡の最下端からアームを前方に伸ばして一次放射器を支えるのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記のようなパラボラアンテナを用いる場合、受信しようとする衛星の数に対応する数のパラボラアンテナを設置せねばならず、パラボラアンテナの設置の為に広い場所を必要としたり、或いは各々のアンテナについてそれを衛星の方向に向ける為の調節を行わねばならずその作業に非常に手間が掛かる問題点があった。そこで上記アームの先端に一次放射器を二つ並べて取付けて、上記二つの電波を個別に受信することが考えられている。そしてそのような構成については本件の出願人においても特願平4−146593号で出願している。このようなアンテナ装置を用いると、複数の衛星から夫々到来する電波をただ一つの反射鏡を用いたアンテナ装置で夫々受信することができて、その設置スペースが狭くて足り、その上アンテナを衛星の方向に向ける調整作業も非常に簡易に行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記のような構成のものを用いて例えばスーパーバードBとJCSAT2の二つの通信衛星からの各電波の受信をしようとすると、例えば九州の地においては図11に示すように、反射鏡5fの最下端に設けられているはずの支持アーム6fが、左上方に持ち上がり、二つの一次放射器7f,8fの位置も同様に左上方に上がった状態となる。しかしアンテナがそのような状態に設置されていると、通常の衛星放送受信用アンテナの設置状態を見慣れている第3者がそれを見た場合、恰も異方向に向けて不正な状態に取付が行なわれているように感じられて極めて評判が悪くなりその実用化が阻まれる問題点があった。
【0005】
本願発明は上記従来技術の問題点(技術的課題)を解決する為になされたもので、複数の衛星から夫々到来する電波をただ一つの反射鏡を用いたアンテナ装置で夫々受信することができて、その設置スペースが狭くて足り、しかもアンテナを衛星の方向に向ける調整作業も非常に簡易に行うことができ、その上、日本国内の主たる市場である三大都市部においては、通常の衛星放送受信用アンテナの設置状態を見慣れた人が見ても全く違和感の感じられない設置状態において、前記二つの通信衛星からの電波を適正に受信できるようにしたアンテナ装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明におけるアンテナ装置は、複数の衛星からの到来電波を反射する為の一つの反射鏡と、上記反射鏡の下側位置から上記反射鏡の前方へ向けて延出させた一次放射器支持用のアームと、上記反射鏡で反射された複数の上記到来電波を夫々個別に受信し得るよう上記アームの自由端部に装着した複数の一次放射器と、上記反射鏡を支持する支持装置とを備えるアンテナ装置において、
上記支持装置は、上記反射鏡における開口中心と上記複数の衛星の中間点とを結ぶ中間点指向線の方位角の調節が自在な第1結合具と、
上記反射鏡における中間点指向線の仰角の調節が自在で、かつその仰角を示す目盛を備えている第2結合具と、
上記反射鏡における中間点指向線を中心にした反射鏡の回転を自在にし、かつその回転位置を示す目盛を備えている第3結合具とから構成してあり、
上記複数の一次放射器相互の位置関係は、日本列島の中心地域において上記アームが反射鏡の略真下位置にくるように該アンテナ装置を設置した状態において、上記複数の一次放射器が上記複数の衛星からの上記到来電波の各集束位置に夫々対応位置するよう、相互に上下に位置をずらした位置関係にし、しかも、一方の一次放射器の受信偏波面の方向を、反射鏡の長軸の方向と一致させ、他方の一次放射器の受信偏波面の方向を、反射鏡の短軸の方向から7.37°傾けた状態に設定したものである。意見書に代える手続補正書
【0007】
【作用】
複数の衛星から夫々到来する電波を受信しようとする場合、第3結合具により反射鏡を中間点指向線を中心に回し、回転位置目盛を予め定められている点に合わせる。又上記反射鏡の仰角を仰角目盛が予め定められている値となるように合わせる。然る後第1結合具において反射鏡を水平方向に回し、いずれかの一次放射器において電波が最大のレベルで受信できるようにする。これらの作業でもって調整が完了する。
【0008】
【実施例】
以下本願の実施例を示す図面について説明する。図1において、1はアンテナ装置を示す。2はアンテナ装置におけるマストで、鉛直状態に設置され、下端は固定物例えば基礎に固定してある。3はマスト2の上部に装着した支持装置、4は上記支持装置3によって支持されたパラボラアンテナで、一例としてオフセットパラボラアンテナを示す。5は該アンテナ4における反射鏡、6は一次放射器支持用のアームで、反射鏡5の長軸の一端側から反射鏡5の前方に延出するように備えられている。7,8は一次放射器で、夫々異なる衛星から到来する電波を受信する為のものであり、何れもコンバータを内蔵している。9は各一次放射器における出力端子である。
【0009】
上記一次放射器7,8について説明する。一次放射器7は衛星の一例としてスーパーバードBから到来する電波を受信する為のものであり、一次放射器8は他の衛星の例としてJCSAT2からの到来電波を受信する為のものである。これらの一次放射器7,8は、日本列島の中心地域の一例として名古屋において該アンテナ装置を前記アーム6が反射鏡5の真下位置にくるように設置した状態において、各一次放射器7,8が各々の衛星からの到来電波の集束位置に対応位置するよう、図5に示されるように反射鏡5の焦点Fに対して対称の位置関係で、しかも相互に上下に位置をずらした位置関係に配置されている。図5において、両一次放射器7,8を結ぶ方向12と反射鏡5の短軸の方向5bとのなす角度αは例えば23゜に設定してある。両一次放射器7,8の間隔は受信しようとする2衛星の間隔に対応させてある。7aは一次放射器7の受信偏波面の方向を示し、反射鏡5の長軸の方向5aと一致させてある。8aは一次放射器8の受信偏波面の方向を示し、反射鏡5の短軸の方向5bから7.37°傾けてある。尚一次放射器は送られてくる電波を受信しようとする衛星の数に対応した数が用いられ、その数が奇数の場合は、一つが焦点Fの位置に置かれ、他が上記のような角度αの方向に並ぶよう所定間隔ずつ隔てた位置に置かれる。又偶数の場合は、焦点Fを中心に上記のような角度αの方向に並ぶよう所定間隔ずつ隔てた位置に配置される。尚上記名古屋を中心地域と定めたのは、アンテナにおける反射鏡5の短軸の長さが120cmの場合、前記二つの衛星からの電波は北海道から九州までが受信可能地域となるので、その中心をほぼ名古屋としたものである。上記中心地域は該アンテナ装置が実際に利用される地方の内の中心の地域に定めても良い。例えば該アンテナ装置が東北から北海道のみで利用されるものである場合には、それらの地方の中心地域に定めれば良い。或いは該アンテナ装置の市場の中心地域に定めても良い。
【0010】
再び図1において、10は反射鏡5の開口中心を示す(r=r’)。11は反射鏡5における中間点指向線で、複数の衛星から到来する電波を夫々対応する一次放射器で個別に受信している状態において、開口中心10と上記複数の衛星の中間位置とを結ぶ線である。この中間点指向線11は、本例においては反射鏡5の光軸(回転放物面の中心軸)と平行になっている。尚複数の衛星の中間位置とは、衛星の数が偶数の場合は真中の二つの衛星の中間位置であり、奇数の場合は丁度中間に位置する衛星の位置である。
【0011】
次に上記支持装置3について説明する。15は第1結合具を示し、反射鏡5における中間点指向線11の方位角の調節をする為のものである。16は第2結合具を示し、上記中間点指向線11の仰角の調節をする為のものである。17は第3結合具を示し、上記反射鏡5を上記中間点指向線11を中心に回転させる為のものである。
【0012】
第1結合具15について説明する。21はマスト2に沿わせるようにした基体、22はマスト2を挟んで基体21に対向させた締付片、23は締付用のねじ棒を示す。これらは、ねじ棒23を締めることによって基体21をマスト2に固定し、緩めることによって基体21をマスト2の回りで水平方向に回動させ得るようになっている。尚24は基体21に取付けたストッパで、マスト2の上端に係合して該結合具15の落下を防止する為のものである。
【0013】
次に第2結合具16について説明する。この結合具は上記基体21を共通に利用している。26は傾動体で、基体21に対し枢着具27(例えばねじ棒)を中心にして上下に傾動が可能となっている。28は固定具で、例えばボルトが用いられ、傾動体26に形成した長孔29を通して基体21に螺合させてある。この固定具28を緩めることにより傾動体26の傾動が自在となり、締めることにより傾動体26が基体21に固定される。30は傾動体26に付した目盛で、中間点指向線11の仰角を表示する為のものである。尚前記固定具28はこの目盛30を指し示すための指標を兼ねている。
【0014】
次に第3結合具17について図1〜4に基づき説明する。32は軸体で、円筒体が用いてある。33は軸体の一端に取付けた反射鏡取付具で、該取付具33に反射鏡5が取付けてある。軸体32と反射鏡5との関係は、軸体32の中心軸線が反射鏡5の中間点指向線11と一致するようにしてある。34は軸体32を支える為の受具で、前記傾動体26に固定してある。35は受具における受部で、軸体32の形状と対応した半円弧状に形成してある。36は受具34に取付けたストッパで、軸体32のずり下がりを阻止する為のものである。37は軸体32を挟んで受具34と対向状に設けた押え具、38は押え具37における押え部で、軸体32の形状と対応した半円弧状に形成してある。39は締付用のねじ棒で、押え具37を貫通して、受具34に固定のナット40に螺合させてある。
【0015】
上記構造の第3結合具17においては、締付用のねじ棒39を緩めることにより軸体32が回動自在となって反射鏡5を中間点指向線11を中心に回転させることができ、ねじ棒39を締めることにより押え具37と受具34とで軸体32を挟んでそれが回転できないように固定することができる。図4に示される41は軸体32に備えさせた指標、42は押え具37に備えさせた目盛で、反射鏡5の回転位置を示す為のものであり、この例では日本各地の地域において上記指標41を合わせるべき位置が目盛ってある。角度目盛りであっても良い。
【0016】
次に上記アンテナ装置の設置について説明する。先ずマスト2を予定の設置場所に立て、それに支持装置3を取付ける。然る後その支持装置3に対して予め組み立てたアンテナ4を取付ける。
【0017】
次に上記設置したアンテナの方向の調整について説明する。先ず第3結合具17を緩め、反射鏡5を軸体32を中心に回し、指標41がアンテナの設置地域について予め定められている目盛42を指し示すようにする。そしてその位置で第3結合具17を固定する。この調整により、中間点指向線11に沿ってアンテナ装置1を見た場合、図6に示されるような状態となる。次に第2結合具16を緩め、反射鏡5を枢着具27を中心に上又は下に首を振らせ、指標28がアンテナの設置地域について予め定められている値の目盛30を指し示すようにする。そしてその位置で第2結合具16を固定する。次に何れかの一次放射器の出力端子9に例えばレベルメータを接続する。そして第1結合具15を緩め、反射鏡5をマスト2を中心に水平方向に回し、上記レベルメータの指示値が最大となるようにする。そしてその状態において第1結合具15を固定する。これにより調整作業が完了する。この完了状態では、中間点指向線11は正しく複数の衛星の中間点を指向した状態となり、スーパーバードBからの電波は反射鏡5で反射されて一次放射器7の箇所に正しく集束しその一次放射器7で受信され、又JCSAT2からの電波は反射鏡5で反射されて一次放射器8の箇所で正しく集束しその一次放射器8で受信される状態となる。
【0018】
次に図7は札幌において衛星スーパーバードB(符号45で示す)と衛星JCSAT2(符号46で示す)を見た状態を示し、図8は名古屋において上記両衛星を見た状態を示し、図9は種子島において上記両衛星を見た状態を示す。これらの図において、51は両衛星の静止軌道面、52は各々の地域での鉛直線、53は各々の衛星の位置において静止軌道面に対する法線の方向、45a, 46aは各々の衛星から発射される電波の偏波面の方向を夫々示す。前記構成のアンテナ装置においては、前述のような調整作業によって前記中間点指向線11が正しく両衛星45, 46の中間を指向し、またアンテナ装置における各一次放射器の受信偏波面の方向7a,8aが夫々衛星45, 46の偏波面の方向45a, 46aと一致する状態となる。
【0019】
【発明の効果】
以上のように本願発明にあっては、複数の衛星45, 46から夫々到来する電波を夫々対応させる複数の一次放射器7,8で個別に受信する場合でも、それらの複数の電波を単に一つの反射鏡5で反射して夫々個別の一次放射器7,8での受信を可能にする構成上の効果を有するは勿論のこと、
アンテナ装置を設置して上記のような受信ができるように調整を行なう場合、反射鏡5を回転させてその回転位置の目盛42を合わせると共に、反射鏡5を上又は下に首を振らせてその仰角の目盛30を合わせることと、然る後いずれか一つの一次放射器7に測定用のメータをつないだ状態で反射鏡を水平方向に回し上記メータが最大の受信レベルを示すようにする(方位角の調節をする)という、3つの調節をすることで、いずれの衛星からの電波も夫々適正な受信状態にでき、電波の知識に疎い作業員でも極めて簡単、迅速に調整作業ができる効果がある。
【0020】
しかも複数の一次放射器7,8相互の位置関係は、日本列島の中心地域において上記アーム6が反射鏡5の略真下位置にくるように設置した状態において、それらの一次放射器7,8が複数の衛星からの到来電波の各集束位置に夫々対応位置するよう、相互に上下に位置をずらした位置関係にした構成であるから、例えば図10の(B)に示す如く名古屋においては設置状態においてアーム6及び一次放射器7,8が反射鏡5の真下に来るは勿論のこと、東京や大阪においても同様にアーム6及び一次放射器7,8が反射鏡5の略真下に来、また九州あるいは北海道においても夫々図10の(A)、(C)に示す如く真下から大きくずれることのない位置に来、通常の衛星放送受信用アンテナを見慣れた人にとっても全く違和感なく見られる設置状態となる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンテナ装置の側面図。
【図2】第3結合具の縦断面図。
【図3】図2におけるIII −III 線断面図。
【図4】図1におけるIV矢視方向図(一部破断図)。
【図5】一次放射器の図1におけるV矢視方向図。
【図6】図1におけるVI矢視方向図。
【図7】札幌において二つの衛星を見た状態を示す図。
【図8】名古屋において二つの衛星を見た状態を示す図。
【図9】種子島において二つの衛星を見た状態を示す図。
【図10】(A)は九州、(B)は名古屋、(C)は北海道での夫々アンテナ装置の設置状態を示す正面図。
【図11】従来のアンテナ装置の九州での設置状態を示す正面図。
【符号の説明】
3 支持装置
5 反射鏡
7,8 一次放射器
11 中間点指向線
15 第1結合具
16 第2結合具
17 第3結合具

Claims (1)

  1. 複数の衛星からの到来電波を反射する為の一つの反射鏡と、上記反射鏡の下側位置から上記反射鏡の前方へ向けて延出させた一次放射器支持用のアームと、上記反射鏡で反射された複数の上記到来電波を夫々個別に受信し得るよう上記アームの自由端部に装着した複数の一次放射器と、上記反射鏡を支持する支持装置とを備えるアンテナ装置において、
    上記支持装置は、上記反射鏡における開口中心と上記複数の衛星の中間点とを結ぶ中間点指向線の方位角の調節が自在な第1結合具と、
    上記反射鏡における中間点指向線の仰角の調節が自在で、かつその仰角を示す目盛を備えている第2結合具と、
    上記反射鏡における中間点指向線を中心にした反射鏡の回転を自在にし、かつその回転位置を示す目盛を備えている第3結合具とから構成してあり、
    上記複数の一次放射器相互の位置関係は、日本列島の中心地域において上記アームが反射鏡の略真下位置にくるように該アンテナ装置を設置した状態において、上記複数の一次放射器が上記複数の衛星からの上記到来電波の各集束位置に夫々対応位置するよう、相互に上下に位置をずらした位置関係にし、しかも、一方の一次放射器の受信偏波面の方向を、反射鏡の長軸の方向と一致させ、他方の一次放射器の受信偏波面の方向を、反射鏡の短軸の方向から7.37°傾けた状態に設定してあることを特徴とするアンテナ装置。
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