JP3543823B2 - クローラ式斜面走行機及びその履帯 - Google Patents
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Description
【0001】
技術分野
この発明は、クローラ式の下部走行体により斜面を走行するクローラ式斜面走行機およびその履帯に関するもので、特に緩勾配斜面上を走行して建設工事を行う建設機械、あるいは緩勾配斜面上を走行して建設資材を運搬する運搬機械に有効に適用される。
【0002】
背景技術
近年、盛土法面などの地震・降雨対策として、地盤をアースオーガタイプなどのドリリング・ミキシングマシンにより回転掘進しつつ土壌と固化材を混合攪拌して固結化し、さらにその中心部にアンカー体を構築する斜面強化工法が開発され実施されている。
このような斜面強化工法を緩勾配斜面に適用する場合、従来、小規模工事では人力により資材の運搬等を行い、側道に配置したバックホータイプの施工機械でドリリング・ミキシングなどの作業を行っていた。また、比較的大規模工事では建設機械用の仮設構台を架設して、この仮説構台にアースオーガタイプの施工機械を配置してドリリング・ミキシングなどの作業を行っていた。
しかしながら、従来の人力による場合には、次のような問題点がある。
▲1▼ 斜面上での運搬作業や土工は、人が自由に移動することが困難であり、極めて作業効率が悪く、かつ危険な作業となる。
▲2▼ これにより、工期が長くなり、コストが高くなる。
▲3▼ 斜面の手前に側道がない場合には、バックホータイプの施工機械を設置することができない。
また、仮設構台を架設する場合にも、次のような問題点がある。
▲1▼ 仮設構台を架設するため、工期が長くなり、かつコストが高くなる。
▲2▼ 斜面の手前に側道がない場合には、仮設構台用の資材を人力で運搬せざるを得ず、前述の人力による場合と同様の問題点を有する。
【0003】
なお、斜面にアースオーガタイプのクローラ式施工機械を走行させて直接斜面強化工法を実施することも考えられるが、現状のクローラ式走行機の履帯は進行方向に対して直交する方向のグローサー(突起物)があるだけであり、斜面を登った下りたりすることはできるものの、斜面を水平方向(斜面勾配方向と直交する方向)に走行することができず、また作業時の安定性が悪く、実施できない。
【0004】
また、斜面上で土砂,コンクリートブロック,パイプ,矢板などの建設資材を運搬する方法としては、従来、次のような方法が採用されていた。
(1)人力により運搬する方法。
(2)ベルトコンベヤで運搬する方法。
(3)斜面上に仮設運搬路を構築する方法。
しかしながら、従来の建設資材運搬方法では、次のような問題点がある。
(1)人力による方法
▲1▼ 軽微な資材のみ運搬可能であり、大きく重い資材を扱うことができない、
▲2▼ 斜面上では、人が自由に移動することが困難であり、極めて運搬効率が悪く、かつ危険な作業となる、▲3▼ 運搬効率が悪いため、工期が長くなり、コストも高くなる。
(2)ベルトコンベヤによる方法
▲1▼ 土砂の搬送はできるが、それ以外の資材の搬送は困難である、▲2▼ 斜面上にベルトコンベヤを設置すること自体が困難となる。
(3)仮設運搬路を構築する方法
▲1▼ 人力運搬路程度の軽微なものでは、運搬効率が悪い、▲2▼ 建設車両が通行可能な規模の仮設運搬路では、仮設構台などを構築するため、工期とコストが増大する。
【0005】
この発明は、前述のような問題点を解消すべくなされたもので、第1の目的は、斜面を自由にかつ安全に走行することができると共に、作業時の安定性を確保することができ、斜面上でも建設工事を効率良く実施できるようにすることにより、従来の人力作業を極力軽減すると共に、仮設構台を不要のものとし、工期の短縮を工事コストの低減を図ることのできるクローラ式斜面走行機を提供することにある。
【0006】
第2の目的は、斜面を自由にかつ安全に走行して建設資材を運搬することができ、従来の人力作業を極力軽減すると共に、仮設構台を不要のものとし、工期の短縮と工事コストの低減を図ることのできる運搬用のクローラ式斜面走行機を提供することにある。
【0007】
第3の目的は、斜面走行機が斜面を斜面勾配方向と直交する方向に水平に走行する際、もしくは前記水平状態で停止して作業を行う場合に、斜面走行機の斜面勾配方向の横滑りを確実に防止することができ、あるいは横滑りを防止した上で、斜面に敷設された斜面保護部材などを破壊することない履帯を提供することにある。
発明の開示
本発明に係るクローラ式斜面走行機は、シューエレメントがエンドレスに連結された履帯を装着してなるクローラ式斜面走行機であって、特に斜面強化工法に使用されるクローラ式のドリリング・ミキシングマシン等に適用されるものであり、前記シューエレメントの接地面に、走行方向と直交する方向の爪(通常のグローサー)と、この爪とは別に、シューエレメントの有効長とほぼ同じ長さを有して走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する板状の突起物(走行方向に長い板状の突起物:横滑り防止グローサー)が設けられ、該板状の突起物のシューエレメントの表面からの高さHは前記爪のシューエレメントの表面からの高さhよりも大きく、かつ、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に隙間があり断続的になっていて履帯の直線部分で断続的な板状スタビライザーが形成されるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
前記走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する突起物の形状は、地盤への貫入性の良さや製作のし易さなどの点から走行方向に長い板状のものとする。また、各突起物は走行方向に連続することなく断続的とし、突起物と突起物との間に隙間が設けられるようにしている。また、各突起物は走行方向に対して傾斜させてもよい。走行方向に長い板状の突起物の高さは、履帯の走行方向と直交する爪すなわち通常のグローサーの高さよりも大きくする方が横滑り防止効果が大きい。
【0009】
また、これら突起物は、山側および谷側の両側の履帯に設ける方がよいが、斜面の谷側の履帯にのみ(履帯の両側面あるいは谷側の片面のみ)、設けるだけでも有効である。
【0010】
クローラ式建設施工機械は、一般に下部走行体と上部旋回体とから構成されており、本発明のクローラ式斜面走行機をこのような建設施工機械に適用する場合には、上部旋回体に施工用のフロントアタッチメント(例えば、ドリリング・ミキシング装置,バックホーのバケット,ブルドーザーの土工板,クレーンなど)を取付ける。
【0011】
以上のような構成において、走行機本体を傾斜面の水平方向に走行させ、所定の位置で停止させてドリリング・ミキシングなどの作業を行う。履帯に設けられた横滑り防止グローサーにより走行時の横滑りが大幅に解消され、安全で安定した走行により斜面強化作業や運搬作業などを効率良く行える。さらに、作業時の負荷に対しても横滑り防止グローサーにより安全性が確保され、ドリリング・ミキシングなどの作業を安全に行うことができる。
【0012】
横滑り防止グローサーの高さは、高い程横滑り防止効果が大きく、履帯の走行方向と直交する爪よりも高くする。なお、横滑り防止グローサーの高さを高くし過ぎると、走行機本体の旋回性が悪くなり、また斜面を傷める(乱す)ため、これを考慮して上限が決められる。
【0013】
また、谷側の履帯における谷側面の横滑り防止グローサーの横滑り防止効果が大きく、ここにのみ横滑り防止グローサーを設けても横滑り防止効果がある。
【0014】
以上のような構成のクローラ式斜面走行機であれば、クローラ式斜面走行機の履帯のシューエレメントに、通常のグローサーとは別に、板状の突起物を設けて横滑り防止グローサーとしたため、次のような効果を奏する。
(1)斜面上を横滑りを起こすことなく水平方向に走行することができ、安定した水平走行と作業能率の向上を図ることができ、また作業時においても負荷に対して横滑りをおこすことなく安全に建設作業を行うことができる。
(2)これにより、従来の人力による作業が大幅に削減され、仮設構台が不要となり、工期の短縮および工事コストの低減を図ることができる。
(3)走行方向に前後する一対の板状の突起物間に所定の隙間があり断続的となっているため、前記一対の板状の突起物によりコンクリート法枠の突出部分を挟んで剪断破壊させることがない。
【0015】
次に、本発明に係る運搬用のクローラ式斜面走行機は、建設資材を載せる上部荷台と、シューエレメントがエンドレスに連結された履帯を装着してなるクローラ式の下部走行体とからなり、前記シューエレメントの接地面に、走行方向と直交する方向の爪(通常のグローサー)と、この爪とは別に、シューエレメントの有効長とほぼ同じ長さを有して走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する板状の突起物(走行方向に長い板状の突起物:横滑り防止グローサー)が設けられ、該板状の突起物のシューエレメントの表面からの高さHは前記爪のシューエレメントの表面からの高さhよりも大きく、かつ、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に隙間があり断続的になっていて履帯の直線部分で断続的な板状スタビライザーが形成されるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
前記走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する突起物の形状は、地盤への貫入性の良さや製作のし易さなど点から走行方向に長い板状のものとする。また、各突起物は走行方向に連続することなく断続的とし、突起物と突起物との間に隙間が設けられるようにしている。また、各突起物は走行方向に対して傾斜させてもよい。走行方向に長い板状の突起物の高さは、履帯の走行方向と直交する爪すなわち通常のグローサーの高さよりも大きくする方が横滑り防止効果が大きい。
【0017】
また、これら突起物は、山側および谷側の両側の履帯に設ける方がよいが、斜面の谷側の履帯にのみ(履帯の両側面あるいは谷側の片面のみ)、設けるだけでも有効である。
【0018】
上部荷台は、下部走行体に走行方向と直行する方向に傾転自在に取付け、かつ油圧シリンダにより傾転可能とする。この傾転方向は、運搬機本体が谷側へ転倒しないように山側とする。また、走行方向と直交する方向における上部荷台の重心位置を下部走行体の重心位置よりも、山側に偏心させる。
【0019】
以上のような構成において、上部荷台上に建設資材を載せて下部走行体により斜面を水平方向に走行させ、次いで停止させて建設資材を上部荷台から排出する。履帯に設けられた横滑り防止グローサーにより走行時の横滑りが大幅に解消され、走行が安全で安定したものとなり、また停止時に建設資材を上部荷台から排出する際にも横滑りすることがなく、作業を効率よく安全に行える。
【0020】
横滑り防止グローサーの高さは、高い程横滑り防止効果が大きく、履帯の走行方向と直交する爪よりも高くする。なお、横滑り防止グローサーの高さを高くし過ぎると、走行機本体の旋回性が悪くなり、また斜面を傷める(乱す)ため、これを考慮して上限が決められる。
【0021】
また、谷側の履帯における谷側面の横滑り防止グローサーの横滑り防止効果が大きく、ここにのみ横滑り防止グローサーを設けても横滑り防止効果がある。
【0022】
上部荷台は、油圧シリンダにより傾転可能であるため、斜面の種々の勾配に対して常に水平を保持することができ、安全に建設資材を運搬することができ、さらに傾転角度を大きくすることにより山側へ土砂等を安全に自動的に排出することができる。また、上部荷台の重心が山側に偏心しているため、転倒モーメントを減少させることができ、より安全な走行が可能となる。
【0023】
以上のような構成の運搬用のクローラ式斜面走行機であれば、斜面上運搬機を、上部荷台と下部走行体から構成し、下部走行体の履帯のシューエレメントに、通常のグローサーとは別に、板状の突起物を設けて横滑り防止グローサーとし、さらに上部荷台を油圧シリンダにより傾動可能とし、また上部荷台の重心を山側へ偏心させるようにしたため、次のような効果を奏する。
(1)斜面上を横滑りを起こすことなく水平方向に走行することができ、運搬作業の安全性の向上と作業能率の大幅な向上を図ることができ、また停止時に建設資材を上部荷台から排出する際においても横滑りをおこすことなく安全に作業を行うことができる。
(2)これにより、側道のない斜面上における従来の人力による作業が大幅に削減され、仮設構台も不要となり、工期の短縮および工事コストの低減を図ることができる。
(3)走行方向に前後する一対の板状の突起物間に所定の間隙があり断続的になっているため、前記一対の板状の突起物によりコンクリート法枠の突出部分を挟んで剪断破壊させることがない。
(4)斜面上での人力運搬作業を機械運搬で代替えさせるため、作業環境が大幅に改善される。
(5)上部荷台を油圧シリンダにより傾動可能としているため、上部荷台を常に水平に保持でき、また上部荷台の重心を山側へ偏心させているので、前述の横滑り防止グローサーと相まって、より安全・確実に運搬作業を行うことができる。さらに、上部荷台の前期傾動角度を大きくすることにより、資材を自動的に排出することができる利点もある。
【0024】
次に、本発明に係る履帯は、シューエレメントがエンドレスに連結された履帯において、前記シューエレメントの接地面に、走行方向と直交する方向の爪(通常のグローサー)と、この爪とは別に、シューエレメントの有効長とほぼ同じ長さを有して走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する板状の突起物(走行方向に長い板状の突起物:横滑り防止グローサー)が設けられ、該板状の突起物のシューエレメントの表面からの高さHは前記爪のシューエレメントの表面からの高さhよりも大きく、かつ、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に隙間があり断続的になっていて履帯の直線部分で断続的な板状スタビライザーが形成されるように構成されていることを特徴とする。
【0025】
履帯を構成するシューエレメントに、走行方向と直交する方向の爪(通常のグローサー)とは別に、走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する突起物(走行方向に長い板状の突起物)を設けることにより、斜面走行機が斜面を斜面勾配方向と直交する方向に平行に走行する際、あるいは前期平行状態で停止して作業を行う場合に、斜面走行機の斜面勾配方向の横滑りを確実に防止することができる。また、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に所定の間隙があり断続的になっているため、前記一対の板状の突起物によりコンクリート法枠の突出部分を挟んで剪断破壊させることがない。
発明を実施するための最良の形態
以下、この発明を図示する実施例に基づいて説明する。図1〜図11は、斜面強化工法に使用するクローラ式ドリリング・ミキシングマシンに適用した例、図12〜図15は、建設資材を運搬するクローラ式斜面運搬機に適用した例である。
【0026】
クローラ式ドリリング・ミキシングマシン1は、図1,図2に示すように、主として本体フレーム2と足回り部分3と上部旋回体4とフロントアタッチメント5から構成されている。本体フレーム2上に旋回可能に取付けられた上部旋回体4の前面には、フロントアタッチメント5が垂直方向の傾動部材6,回転部材7,横方向のスライド部材8を介して取付けられ、必要な作業姿勢や待機姿勢等をとることができる。
【0027】
フロントアタッチメント5は、リーダ9に沿って直線駆動機構により移動可能なオーガロッド10と、このオーガロッド10を回転駆動する回転用モータ11などを備えている。オーガロッド10の先端部には、掘削翼,攪拌翼,共回り防止翼,固化材吐出口などが設けられ、回転掘進しつつ土壌と固化材を混合攪拌して土壌を固結化し、またオーガロッド10内にはアンカー材が挿通されており、混合攪拌されたソイルセメント中心部にアンカー材が配設される。
【0028】
足回り部分3は履帯(シューリンク)12,起動スプロケット13,アイドラ14,トラックフレーム15,トラックローラ16,キャリアローラ17などからなり、シューリンク12はシューエレメント18を多数エンドレスに連結して構成されている(図2参照)。
【0029】
シューエレメント18は、図4に示すように、例えば進行方向先端に内側に湾曲するカーブ部分18aを有し、表面に走行方向と直交する方向に延在する爪(グローサー)19が複数突設された単位部材であり、下面に設けたブラケット20をピン21を介してエンドレスのチェーンリンク22に取付けることにより連結されている。なお、シューエレメント18の形状、構造等は図示したものに限定されるものではない。
【0030】
このような各シューエレメント18の走行方向の両側面に板状の突起物(横滑り防止グローサー)23が設けられる。この突起物23はシューエレメント18の有効長とほぼ同じ長さとし、直線部分で連続した板状スタビライザーが形成されるようにする。この場合、板状突起物3は殆ど隙間がなく連続させているが、適当な間隔をあけて断続的になるようにする。即ち、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に隙間があり断続的になっている。
【0031】
板状の突起物23のシューエレメント18の表面からの高さHは爪19のシューエレメント18の表面からの高さhよりも大きくする。突起物23の内側には必要に応じて補強リブ24を設け、強度の向上を図るようにしてもよい。
【0032】
なお、シューエレメントは通常長尺成形材から切り出されて製作されるため、突起物23はシューエレメント18と別体で製作し、溶接あるいはボルト接合などで一体化させる。また、シューエレメント18と一体的に製作することも可能である。さらに、突起物32は、履帯12の幅方向両側面に設置するが、履帯12の谷側の側面にのみ設置するようにしてもよい。
【0033】
また、板状突起物3は走行方向と平行に配設しているが、走行方向に対して傾斜させてもよい。
【0034】
以上のような構成のクローラ式ドリリング・ミキシングマシン1を、図3に示すように、緩斜面A上に配置し、斜面の水平方向に走行させ、所定の位置で上部旋回体4を旋回させ、フロントアタッチメント5を傾動,回転,スライドさせることにより任意の作業姿勢で回転掘進,固化材混合攪拌,アンカー材の定着などを行う。
【0035】
水平方向の走行に際しては、履帯12に設けた突起物23が板状スタビライザーとして働き、傾斜面の上下方向における滑りを大幅に低減することができる。これにより、安定した走行と能率の良い作業を行うことができると共に、作業時の負荷に対しても横滑りを防止でき、安全に作業を行うことができる。
【0036】
次に、実際に走行試験,作業時の安定性確認試験,負荷率確認試験を行った結果を示す。この試験は小型のクローラ式トラクタ(機械本体重量7トンの実機の1/6モデル)に疑似フロントアタッチメントを装着し、履帯に種々の高さの板状横滑りグローサーを取付けて行った。なお、者W面の傾斜角度は35゜で、爪19の高さhは15mmである。
<走行試験>
図6(a)に示すのは、操向補正せずに、低速で走行した場合の水平方向等高線からの横滑り量を測定したグラフであり、板状横滑り防止グローサーの高さHが高い程、横滑り防止効果が高いことがわかる。
【0037】
図6(b)は、H=50mmの板状横滑り防止グローサーを用い、操向補正なしに走行速度を変えて横滑り量を測定したグラフであり、高速になる程、横滑り量が減少することがわかる。これは、地盤の破壊速度よりも走行速度が遅いためと推定できる。
【0038】
なお、図6(a),(b)において、曲線で変化しているのは、横滑りと走行機本体の向きの変化とが合成された実際のデータを表しており、直線で変化しているのは、前記向きの変化分を除去し横滑り分のみとした補正データを表している。
【0039】
図7は板状横滑り防止グローサーを左右両側の履帯に装着し、操向補正を行った場合の例であり、速度にあまり影響されず、板状横滑り防止グローサーを高さに影響される。なお、図示していないが板状横滑り防止グローサーを谷側の履帯にのみ、あるいは谷側の履帯の谷側面のみに装着した場合、左右両側の履帯に装着した場合より若干劣るものの有効であった。
<作業時の安定性確認試験>
疑似フロントアタッチメントの谷側,中央,山側にそれぞれ油圧ジャッキを配置し、それぞれの位置で機械本体を谷側へ持ち上げる方向(攪拌混合補強体の傾斜角度)の負荷を与え、機械本体の持ち上がり量と横滑り荷重を測定した。
【0040】
図8,図9に横滑り荷重の測定結果を示す。この図から横滑り防止グローサーの高さH=20mmでは殆ど効果がないが、これより高くすることにより効果が現れ、H=50mmとして左右両側の履帯に設けることにより、安定性が増大することがわかる。
<負荷率確認試験>
機械本体に山側から油圧ジャッキにより負荷を掛けた時の横滑り量を測定した。図10,図11に測定結果を示す。ここで、横滑り負荷率は、
で表される。
【0041】
この図から、H=20mm以上で負荷率が低下し、H=50mmとして左右両側の履帯に設けることにより、負荷率が大きく低下して大きな横方向負荷荷重に対して安定性が向上することがわかる。
【0042】
なお、以上は斜面補強工を行うドリリング・ミキシングマシンに適用した例を示したが、斜面を走行してその他の施工を行うクローラ式建設機械などにも本発明を適用できることはいうまでもない。例えば、図17に示すように、上部旋回体にバケット30を取付けてバックホーとすることもできるし、またブルドーザーの土工板やクレーンなどを取付けることもできる。
【0043】
次に、建設資材を運搬するクローラ式斜面運搬機を図示する一実施例に基づいて説明する。図12,図13に示すように、この発明に係る斜面上運搬機101は、緩勾配斜面上を上下方向と直交する水平方向に走行して建設資材を運搬する運搬台車であり、主として建設資材を載せる水平の上部荷台102と、クローラ式の下部走行体103から構成されている。
【0044】
クローラ式下部走行体103は、ベースフレーム104と、左右一対の足回り部分105と、走行駆動装置106などからなる。足回り部分105は履帯(シューリンク)107,起動スプロケット108,アイドラ109,トラックフレーム110,トラックローラ111,キャリアローラ112などからなり、シューリンク107はシューエレメント113を多数エンドレスに連結して構成されている(図13参照)。
【0045】
シューエレメント113は、図14に示すように、例えば進行方向先端に内側に湾曲するカーブ部分113aを有し、表面に走行方向と直交する方向に延在する爪(グローサー)114が複数突設された単位部材であり、下面に設けたブラケット115をピン116を介してエンドレスのチェーリンク117に取付けることにより連結されている。なお、シューエレメント113の形状、構造等は図示したものに限定されるものではない。
【0046】
このような名シューエレメント113の走行方向の両側面に板状の突起物(横滑り防止グローサー)118が設けられる。この突起物118はシューエレメント113の有効長とほぼ同じ長さとし、直線部分で連続した板状スタビライザーが形成されるようにする。この場合、板状突起物118は殆ど隙間なく連続させているが、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に間隔をあけて断続的になるようにする。
【0047】
板状の突起物118のシューエレメント113の表面からの高さHは爪114のシューエレメント113の表面からの高さhよりも大きくする。突起物118の内側には、必要に応じて補強リブ119を設け、強度の向上を図るようにしてもよい。
【0048】
なお、シューエレメントは通常長尺成形材から切り出されて製作されるため、突起物118はシューエレメント113と別体で製作し、溶接あるいはボルト接合などで一体化させる。また、シューエレメント113と一体的に製作することも可能である。さらに、突起物118は、履帯107の幅方向両側面に設置するが、履帯107の谷側の側面にのみ設置するようにしてもよい。
【0049】
また、板状突起物118は走行方向と平行に配設しているが、走行方向に対して傾斜させてもよい。
【0050】
上部荷台102は、土砂やコンクリートブロック、あるいはパイプや矢板等の長尺物を載せることのできる上部が開口した荷台であり、下部走行体103の上に走行方向と直交する方向に傾転可能に搭載される。即ち、下部走行体103のベースフレーム104上に載置台120を設け、この載置台120の山側にピン軸着機構121を介して上部荷台102の下面を取付け、上部荷台102と下部走行体103との間には、走行方向に一対の油圧シリンダ122を配設する。
【0051】
この油圧シリンダ122は、シリンダ基部をベースフレーム104にピン着し、ピストンロッド先端を上部荷台102の下面にピン着する。油圧シリンダ122を作動させる油圧ユニットは、下部走行体103の駆動機構と共に下部走行体103内に収納し、重心が低くなるようにする。なお、油圧シリンダ122も最下限ストローク位置では下部走行体103内に収納可能とし、水平な地面では上部荷台102が載置台120上に水平に載置されるようにするのが好ましい。
【0052】
油圧シリンダ122のピストンロッドを伸縮させることにより、上部荷台102の傾斜角度を調整し、傾斜面水平走行時に、斜面の種々の勾配に対して上部荷台120を常に水平に保持することができ、またこの状態から傾動角度を大きくすることにより上部荷台120を山側に傾けて土砂等を排出させることができる。なお、上部荷台102の山側の側板は、開閉扉102aとし、土砂等を簡単に排出できるようにしている。
【0053】
また、走行方向と直交する方向における上部荷台102の重心位置は、下部走行体103の重心位置よりも山側に偏心させ、傾斜面水平走行時に、転倒モーメントと反対のモーメントが下部走行体103に作用し、転倒モーメントが減少するようにしている。
【0054】
なお、下部走行体103には、操作ボックスを設け、作業者が運転と荷台の操作を行えるようにする。また、下部走行体103に運転席を設けるようにしてもよい。
【0055】
以上のような構成の斜面上運搬機101を、図15に示すように、緩斜面A上に配置し、斜面の水平方向に走行させ、建設資材を運搬する。所定の位置で上部荷台102を油圧シリンダ122で傾転させ、土砂等を排出する。
【0056】
水平方向の走行に際しては、履帯107に設けた突起物118が板状スタビライザーとして働き、傾斜面の上下方向における滑りを大幅に低減することができた。例えば、斜面の傾斜角度35゜に対してH=50mm程度の板状突起物118(爪114の高さh=15mm)で十分な横滑り防止効果が得られる。これにより、安定した走行と能率の良い作業を行うことができると共に、停止時に建設資材を上部荷台から排出する際においても横滑りを防止でき、安全に作業を行うことができた。また、上部荷台102は油圧シリンダ122により水平に保持することができ、走行中に土砂等がこぼれることがなく、また、その重心が山側へ偏心しているので、より安全に運搬を行うことができた。
【0057】
なお、以上のような斜面上運搬機101には、図18に示すように、クレーン130を取付け、このクレーンによりコンクリートブロック等の資材の積み込み・取り降ろしを行うようにすることもできる。
【0058】
次に、履帯の突起物について詳述する。以上の説明において図示した突起物23および118は、走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する板状の突起物であり、斜面に何も施工されていない土砂だけの状態の場合には、横滑り防止効果も大きく、極めて有効である。
【0059】
しかし、板状の突起物が走行方向に対して連続的に延在し、斜面に法面保護用のコンクリート法枠等が敷設してある場合には、板状の突起物が爪よりも突出していると、コンクリート法枠の一部を板状突起物が破壊してしまう場合がある。即ち、図16に示すように、コンクリート法枠aには、雨水のガイド用の突出部分bが形成されており、一方、走行方向に前後する一対の板状突起物23間に隙間が無く連続している場合には、突出部分bを走行方向に前後する一対の板状突起物23(または118)で挟み、剪断破壊する場合がある。
【0060】
しかし、板状突起物23(または118)でも、本発明では走行方向に前後する一対の板状の突起物間に所定の隙間があり断続的になるようになっているので、前記剪断破壊を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、この発明に係る建設施工用のクローラ式斜面走行機の使用状態を示す側面図である。
図2は、図1のクローラ式斜面走行機の(a)正面図、(b)側面図である。
図3は、斜面における作業姿勢を示す概略斜視図である。
図4は、この発明で用いるシューエレメントの一例を示す斜視図である。
図5は、図4のシューエレメントに板状の突起物を設けた場合の(a)側面図、(b)断面図である。
図6は、実験車を水平に走行させた時の横滑り量を表すグラフであり、(a)は横滑り防止グローサーの高さを変えた場合、(b)は走行速度を変えた場合を示す。
図7は、実験車を水平に走行させ操向補正した場合の横滑り量を表すグラフである。
図8は、実験車の作業時の安定性確認試験の測定結果を示す表である。
図9は、実験車の作業時の安定性確認試験の測定結果を示すグラフである。
図10は、実験車の負荷率確認試験の測定結果を示す表である。
図11は、実験車の負荷率確認試験の測定結果を示すグラフである。
図12は、この発明に係る運搬用のクローラ式斜面走行機であり、(a)は走行状態,(b)は建設資材排出状態を示す正面図である。
図13は、図12のクローラ式斜面走行機の側面図である。
図14(a)は、この発明で用いるシューエレメントの一例を示す斜視図、(b)、(c)はこのシューエレメントに板状の突起物を設けた場合の側面図、断面図である。
図15は、この発明に係る運搬用のクローラ式斜面走行機の斜面における作動状態を示す斜視図である。
図16は、板状突起物によるコンクリート法枠突出部分の剪断破壊を示す概略側面図である。
図17は、この発明に係る建設施工用のクローラ式斜面走行機をバックホーに適用した例を示す概略斜視図である。
図18は、この発明に係る運搬用のクローラ式斜面走行機にクレーンを取付けた例を示す概略斜視図である。
技術分野
この発明は、クローラ式の下部走行体により斜面を走行するクローラ式斜面走行機およびその履帯に関するもので、特に緩勾配斜面上を走行して建設工事を行う建設機械、あるいは緩勾配斜面上を走行して建設資材を運搬する運搬機械に有効に適用される。
【0002】
背景技術
近年、盛土法面などの地震・降雨対策として、地盤をアースオーガタイプなどのドリリング・ミキシングマシンにより回転掘進しつつ土壌と固化材を混合攪拌して固結化し、さらにその中心部にアンカー体を構築する斜面強化工法が開発され実施されている。
このような斜面強化工法を緩勾配斜面に適用する場合、従来、小規模工事では人力により資材の運搬等を行い、側道に配置したバックホータイプの施工機械でドリリング・ミキシングなどの作業を行っていた。また、比較的大規模工事では建設機械用の仮設構台を架設して、この仮説構台にアースオーガタイプの施工機械を配置してドリリング・ミキシングなどの作業を行っていた。
しかしながら、従来の人力による場合には、次のような問題点がある。
▲1▼ 斜面上での運搬作業や土工は、人が自由に移動することが困難であり、極めて作業効率が悪く、かつ危険な作業となる。
▲2▼ これにより、工期が長くなり、コストが高くなる。
▲3▼ 斜面の手前に側道がない場合には、バックホータイプの施工機械を設置することができない。
また、仮設構台を架設する場合にも、次のような問題点がある。
▲1▼ 仮設構台を架設するため、工期が長くなり、かつコストが高くなる。
▲2▼ 斜面の手前に側道がない場合には、仮設構台用の資材を人力で運搬せざるを得ず、前述の人力による場合と同様の問題点を有する。
【0003】
なお、斜面にアースオーガタイプのクローラ式施工機械を走行させて直接斜面強化工法を実施することも考えられるが、現状のクローラ式走行機の履帯は進行方向に対して直交する方向のグローサー(突起物)があるだけであり、斜面を登った下りたりすることはできるものの、斜面を水平方向(斜面勾配方向と直交する方向)に走行することができず、また作業時の安定性が悪く、実施できない。
【0004】
また、斜面上で土砂,コンクリートブロック,パイプ,矢板などの建設資材を運搬する方法としては、従来、次のような方法が採用されていた。
(1)人力により運搬する方法。
(2)ベルトコンベヤで運搬する方法。
(3)斜面上に仮設運搬路を構築する方法。
しかしながら、従来の建設資材運搬方法では、次のような問題点がある。
(1)人力による方法
▲1▼ 軽微な資材のみ運搬可能であり、大きく重い資材を扱うことができない、
▲2▼ 斜面上では、人が自由に移動することが困難であり、極めて運搬効率が悪く、かつ危険な作業となる、▲3▼ 運搬効率が悪いため、工期が長くなり、コストも高くなる。
(2)ベルトコンベヤによる方法
▲1▼ 土砂の搬送はできるが、それ以外の資材の搬送は困難である、▲2▼ 斜面上にベルトコンベヤを設置すること自体が困難となる。
(3)仮設運搬路を構築する方法
▲1▼ 人力運搬路程度の軽微なものでは、運搬効率が悪い、▲2▼ 建設車両が通行可能な規模の仮設運搬路では、仮設構台などを構築するため、工期とコストが増大する。
【0005】
この発明は、前述のような問題点を解消すべくなされたもので、第1の目的は、斜面を自由にかつ安全に走行することができると共に、作業時の安定性を確保することができ、斜面上でも建設工事を効率良く実施できるようにすることにより、従来の人力作業を極力軽減すると共に、仮設構台を不要のものとし、工期の短縮を工事コストの低減を図ることのできるクローラ式斜面走行機を提供することにある。
【0006】
第2の目的は、斜面を自由にかつ安全に走行して建設資材を運搬することができ、従来の人力作業を極力軽減すると共に、仮設構台を不要のものとし、工期の短縮と工事コストの低減を図ることのできる運搬用のクローラ式斜面走行機を提供することにある。
【0007】
第3の目的は、斜面走行機が斜面を斜面勾配方向と直交する方向に水平に走行する際、もしくは前記水平状態で停止して作業を行う場合に、斜面走行機の斜面勾配方向の横滑りを確実に防止することができ、あるいは横滑りを防止した上で、斜面に敷設された斜面保護部材などを破壊することない履帯を提供することにある。
発明の開示
本発明に係るクローラ式斜面走行機は、シューエレメントがエンドレスに連結された履帯を装着してなるクローラ式斜面走行機であって、特に斜面強化工法に使用されるクローラ式のドリリング・ミキシングマシン等に適用されるものであり、前記シューエレメントの接地面に、走行方向と直交する方向の爪(通常のグローサー)と、この爪とは別に、シューエレメントの有効長とほぼ同じ長さを有して走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する板状の突起物(走行方向に長い板状の突起物:横滑り防止グローサー)が設けられ、該板状の突起物のシューエレメントの表面からの高さHは前記爪のシューエレメントの表面からの高さhよりも大きく、かつ、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に隙間があり断続的になっていて履帯の直線部分で断続的な板状スタビライザーが形成されるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
前記走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する突起物の形状は、地盤への貫入性の良さや製作のし易さなどの点から走行方向に長い板状のものとする。また、各突起物は走行方向に連続することなく断続的とし、突起物と突起物との間に隙間が設けられるようにしている。また、各突起物は走行方向に対して傾斜させてもよい。走行方向に長い板状の突起物の高さは、履帯の走行方向と直交する爪すなわち通常のグローサーの高さよりも大きくする方が横滑り防止効果が大きい。
【0009】
また、これら突起物は、山側および谷側の両側の履帯に設ける方がよいが、斜面の谷側の履帯にのみ(履帯の両側面あるいは谷側の片面のみ)、設けるだけでも有効である。
【0010】
クローラ式建設施工機械は、一般に下部走行体と上部旋回体とから構成されており、本発明のクローラ式斜面走行機をこのような建設施工機械に適用する場合には、上部旋回体に施工用のフロントアタッチメント(例えば、ドリリング・ミキシング装置,バックホーのバケット,ブルドーザーの土工板,クレーンなど)を取付ける。
【0011】
以上のような構成において、走行機本体を傾斜面の水平方向に走行させ、所定の位置で停止させてドリリング・ミキシングなどの作業を行う。履帯に設けられた横滑り防止グローサーにより走行時の横滑りが大幅に解消され、安全で安定した走行により斜面強化作業や運搬作業などを効率良く行える。さらに、作業時の負荷に対しても横滑り防止グローサーにより安全性が確保され、ドリリング・ミキシングなどの作業を安全に行うことができる。
【0012】
横滑り防止グローサーの高さは、高い程横滑り防止効果が大きく、履帯の走行方向と直交する爪よりも高くする。なお、横滑り防止グローサーの高さを高くし過ぎると、走行機本体の旋回性が悪くなり、また斜面を傷める(乱す)ため、これを考慮して上限が決められる。
【0013】
また、谷側の履帯における谷側面の横滑り防止グローサーの横滑り防止効果が大きく、ここにのみ横滑り防止グローサーを設けても横滑り防止効果がある。
【0014】
以上のような構成のクローラ式斜面走行機であれば、クローラ式斜面走行機の履帯のシューエレメントに、通常のグローサーとは別に、板状の突起物を設けて横滑り防止グローサーとしたため、次のような効果を奏する。
(1)斜面上を横滑りを起こすことなく水平方向に走行することができ、安定した水平走行と作業能率の向上を図ることができ、また作業時においても負荷に対して横滑りをおこすことなく安全に建設作業を行うことができる。
(2)これにより、従来の人力による作業が大幅に削減され、仮設構台が不要となり、工期の短縮および工事コストの低減を図ることができる。
(3)走行方向に前後する一対の板状の突起物間に所定の隙間があり断続的となっているため、前記一対の板状の突起物によりコンクリート法枠の突出部分を挟んで剪断破壊させることがない。
【0015】
次に、本発明に係る運搬用のクローラ式斜面走行機は、建設資材を載せる上部荷台と、シューエレメントがエンドレスに連結された履帯を装着してなるクローラ式の下部走行体とからなり、前記シューエレメントの接地面に、走行方向と直交する方向の爪(通常のグローサー)と、この爪とは別に、シューエレメントの有効長とほぼ同じ長さを有して走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する板状の突起物(走行方向に長い板状の突起物:横滑り防止グローサー)が設けられ、該板状の突起物のシューエレメントの表面からの高さHは前記爪のシューエレメントの表面からの高さhよりも大きく、かつ、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に隙間があり断続的になっていて履帯の直線部分で断続的な板状スタビライザーが形成されるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
前記走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する突起物の形状は、地盤への貫入性の良さや製作のし易さなど点から走行方向に長い板状のものとする。また、各突起物は走行方向に連続することなく断続的とし、突起物と突起物との間に隙間が設けられるようにしている。また、各突起物は走行方向に対して傾斜させてもよい。走行方向に長い板状の突起物の高さは、履帯の走行方向と直交する爪すなわち通常のグローサーの高さよりも大きくする方が横滑り防止効果が大きい。
【0017】
また、これら突起物は、山側および谷側の両側の履帯に設ける方がよいが、斜面の谷側の履帯にのみ(履帯の両側面あるいは谷側の片面のみ)、設けるだけでも有効である。
【0018】
上部荷台は、下部走行体に走行方向と直行する方向に傾転自在に取付け、かつ油圧シリンダにより傾転可能とする。この傾転方向は、運搬機本体が谷側へ転倒しないように山側とする。また、走行方向と直交する方向における上部荷台の重心位置を下部走行体の重心位置よりも、山側に偏心させる。
【0019】
以上のような構成において、上部荷台上に建設資材を載せて下部走行体により斜面を水平方向に走行させ、次いで停止させて建設資材を上部荷台から排出する。履帯に設けられた横滑り防止グローサーにより走行時の横滑りが大幅に解消され、走行が安全で安定したものとなり、また停止時に建設資材を上部荷台から排出する際にも横滑りすることがなく、作業を効率よく安全に行える。
【0020】
横滑り防止グローサーの高さは、高い程横滑り防止効果が大きく、履帯の走行方向と直交する爪よりも高くする。なお、横滑り防止グローサーの高さを高くし過ぎると、走行機本体の旋回性が悪くなり、また斜面を傷める(乱す)ため、これを考慮して上限が決められる。
【0021】
また、谷側の履帯における谷側面の横滑り防止グローサーの横滑り防止効果が大きく、ここにのみ横滑り防止グローサーを設けても横滑り防止効果がある。
【0022】
上部荷台は、油圧シリンダにより傾転可能であるため、斜面の種々の勾配に対して常に水平を保持することができ、安全に建設資材を運搬することができ、さらに傾転角度を大きくすることにより山側へ土砂等を安全に自動的に排出することができる。また、上部荷台の重心が山側に偏心しているため、転倒モーメントを減少させることができ、より安全な走行が可能となる。
【0023】
以上のような構成の運搬用のクローラ式斜面走行機であれば、斜面上運搬機を、上部荷台と下部走行体から構成し、下部走行体の履帯のシューエレメントに、通常のグローサーとは別に、板状の突起物を設けて横滑り防止グローサーとし、さらに上部荷台を油圧シリンダにより傾動可能とし、また上部荷台の重心を山側へ偏心させるようにしたため、次のような効果を奏する。
(1)斜面上を横滑りを起こすことなく水平方向に走行することができ、運搬作業の安全性の向上と作業能率の大幅な向上を図ることができ、また停止時に建設資材を上部荷台から排出する際においても横滑りをおこすことなく安全に作業を行うことができる。
(2)これにより、側道のない斜面上における従来の人力による作業が大幅に削減され、仮設構台も不要となり、工期の短縮および工事コストの低減を図ることができる。
(3)走行方向に前後する一対の板状の突起物間に所定の間隙があり断続的になっているため、前記一対の板状の突起物によりコンクリート法枠の突出部分を挟んで剪断破壊させることがない。
(4)斜面上での人力運搬作業を機械運搬で代替えさせるため、作業環境が大幅に改善される。
(5)上部荷台を油圧シリンダにより傾動可能としているため、上部荷台を常に水平に保持でき、また上部荷台の重心を山側へ偏心させているので、前述の横滑り防止グローサーと相まって、より安全・確実に運搬作業を行うことができる。さらに、上部荷台の前期傾動角度を大きくすることにより、資材を自動的に排出することができる利点もある。
【0024】
次に、本発明に係る履帯は、シューエレメントがエンドレスに連結された履帯において、前記シューエレメントの接地面に、走行方向と直交する方向の爪(通常のグローサー)と、この爪とは別に、シューエレメントの有効長とほぼ同じ長さを有して走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する板状の突起物(走行方向に長い板状の突起物:横滑り防止グローサー)が設けられ、該板状の突起物のシューエレメントの表面からの高さHは前記爪のシューエレメントの表面からの高さhよりも大きく、かつ、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に隙間があり断続的になっていて履帯の直線部分で断続的な板状スタビライザーが形成されるように構成されていることを特徴とする。
【0025】
履帯を構成するシューエレメントに、走行方向と直交する方向の爪(通常のグローサー)とは別に、走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する突起物(走行方向に長い板状の突起物)を設けることにより、斜面走行機が斜面を斜面勾配方向と直交する方向に平行に走行する際、あるいは前期平行状態で停止して作業を行う場合に、斜面走行機の斜面勾配方向の横滑りを確実に防止することができる。また、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に所定の間隙があり断続的になっているため、前記一対の板状の突起物によりコンクリート法枠の突出部分を挟んで剪断破壊させることがない。
発明を実施するための最良の形態
以下、この発明を図示する実施例に基づいて説明する。図1〜図11は、斜面強化工法に使用するクローラ式ドリリング・ミキシングマシンに適用した例、図12〜図15は、建設資材を運搬するクローラ式斜面運搬機に適用した例である。
【0026】
クローラ式ドリリング・ミキシングマシン1は、図1,図2に示すように、主として本体フレーム2と足回り部分3と上部旋回体4とフロントアタッチメント5から構成されている。本体フレーム2上に旋回可能に取付けられた上部旋回体4の前面には、フロントアタッチメント5が垂直方向の傾動部材6,回転部材7,横方向のスライド部材8を介して取付けられ、必要な作業姿勢や待機姿勢等をとることができる。
【0027】
フロントアタッチメント5は、リーダ9に沿って直線駆動機構により移動可能なオーガロッド10と、このオーガロッド10を回転駆動する回転用モータ11などを備えている。オーガロッド10の先端部には、掘削翼,攪拌翼,共回り防止翼,固化材吐出口などが設けられ、回転掘進しつつ土壌と固化材を混合攪拌して土壌を固結化し、またオーガロッド10内にはアンカー材が挿通されており、混合攪拌されたソイルセメント中心部にアンカー材が配設される。
【0028】
足回り部分3は履帯(シューリンク)12,起動スプロケット13,アイドラ14,トラックフレーム15,トラックローラ16,キャリアローラ17などからなり、シューリンク12はシューエレメント18を多数エンドレスに連結して構成されている(図2参照)。
【0029】
シューエレメント18は、図4に示すように、例えば進行方向先端に内側に湾曲するカーブ部分18aを有し、表面に走行方向と直交する方向に延在する爪(グローサー)19が複数突設された単位部材であり、下面に設けたブラケット20をピン21を介してエンドレスのチェーンリンク22に取付けることにより連結されている。なお、シューエレメント18の形状、構造等は図示したものに限定されるものではない。
【0030】
このような各シューエレメント18の走行方向の両側面に板状の突起物(横滑り防止グローサー)23が設けられる。この突起物23はシューエレメント18の有効長とほぼ同じ長さとし、直線部分で連続した板状スタビライザーが形成されるようにする。この場合、板状突起物3は殆ど隙間がなく連続させているが、適当な間隔をあけて断続的になるようにする。即ち、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に隙間があり断続的になっている。
【0031】
板状の突起物23のシューエレメント18の表面からの高さHは爪19のシューエレメント18の表面からの高さhよりも大きくする。突起物23の内側には必要に応じて補強リブ24を設け、強度の向上を図るようにしてもよい。
【0032】
なお、シューエレメントは通常長尺成形材から切り出されて製作されるため、突起物23はシューエレメント18と別体で製作し、溶接あるいはボルト接合などで一体化させる。また、シューエレメント18と一体的に製作することも可能である。さらに、突起物32は、履帯12の幅方向両側面に設置するが、履帯12の谷側の側面にのみ設置するようにしてもよい。
【0033】
また、板状突起物3は走行方向と平行に配設しているが、走行方向に対して傾斜させてもよい。
【0034】
以上のような構成のクローラ式ドリリング・ミキシングマシン1を、図3に示すように、緩斜面A上に配置し、斜面の水平方向に走行させ、所定の位置で上部旋回体4を旋回させ、フロントアタッチメント5を傾動,回転,スライドさせることにより任意の作業姿勢で回転掘進,固化材混合攪拌,アンカー材の定着などを行う。
【0035】
水平方向の走行に際しては、履帯12に設けた突起物23が板状スタビライザーとして働き、傾斜面の上下方向における滑りを大幅に低減することができる。これにより、安定した走行と能率の良い作業を行うことができると共に、作業時の負荷に対しても横滑りを防止でき、安全に作業を行うことができる。
【0036】
次に、実際に走行試験,作業時の安定性確認試験,負荷率確認試験を行った結果を示す。この試験は小型のクローラ式トラクタ(機械本体重量7トンの実機の1/6モデル)に疑似フロントアタッチメントを装着し、履帯に種々の高さの板状横滑りグローサーを取付けて行った。なお、者W面の傾斜角度は35゜で、爪19の高さhは15mmである。
<走行試験>
図6(a)に示すのは、操向補正せずに、低速で走行した場合の水平方向等高線からの横滑り量を測定したグラフであり、板状横滑り防止グローサーの高さHが高い程、横滑り防止効果が高いことがわかる。
【0037】
図6(b)は、H=50mmの板状横滑り防止グローサーを用い、操向補正なしに走行速度を変えて横滑り量を測定したグラフであり、高速になる程、横滑り量が減少することがわかる。これは、地盤の破壊速度よりも走行速度が遅いためと推定できる。
【0038】
なお、図6(a),(b)において、曲線で変化しているのは、横滑りと走行機本体の向きの変化とが合成された実際のデータを表しており、直線で変化しているのは、前記向きの変化分を除去し横滑り分のみとした補正データを表している。
【0039】
図7は板状横滑り防止グローサーを左右両側の履帯に装着し、操向補正を行った場合の例であり、速度にあまり影響されず、板状横滑り防止グローサーを高さに影響される。なお、図示していないが板状横滑り防止グローサーを谷側の履帯にのみ、あるいは谷側の履帯の谷側面のみに装着した場合、左右両側の履帯に装着した場合より若干劣るものの有効であった。
<作業時の安定性確認試験>
疑似フロントアタッチメントの谷側,中央,山側にそれぞれ油圧ジャッキを配置し、それぞれの位置で機械本体を谷側へ持ち上げる方向(攪拌混合補強体の傾斜角度)の負荷を与え、機械本体の持ち上がり量と横滑り荷重を測定した。
【0040】
図8,図9に横滑り荷重の測定結果を示す。この図から横滑り防止グローサーの高さH=20mmでは殆ど効果がないが、これより高くすることにより効果が現れ、H=50mmとして左右両側の履帯に設けることにより、安定性が増大することがわかる。
<負荷率確認試験>
機械本体に山側から油圧ジャッキにより負荷を掛けた時の横滑り量を測定した。図10,図11に測定結果を示す。ここで、横滑り負荷率は、
で表される。
【0041】
この図から、H=20mm以上で負荷率が低下し、H=50mmとして左右両側の履帯に設けることにより、負荷率が大きく低下して大きな横方向負荷荷重に対して安定性が向上することがわかる。
【0042】
なお、以上は斜面補強工を行うドリリング・ミキシングマシンに適用した例を示したが、斜面を走行してその他の施工を行うクローラ式建設機械などにも本発明を適用できることはいうまでもない。例えば、図17に示すように、上部旋回体にバケット30を取付けてバックホーとすることもできるし、またブルドーザーの土工板やクレーンなどを取付けることもできる。
【0043】
次に、建設資材を運搬するクローラ式斜面運搬機を図示する一実施例に基づいて説明する。図12,図13に示すように、この発明に係る斜面上運搬機101は、緩勾配斜面上を上下方向と直交する水平方向に走行して建設資材を運搬する運搬台車であり、主として建設資材を載せる水平の上部荷台102と、クローラ式の下部走行体103から構成されている。
【0044】
クローラ式下部走行体103は、ベースフレーム104と、左右一対の足回り部分105と、走行駆動装置106などからなる。足回り部分105は履帯(シューリンク)107,起動スプロケット108,アイドラ109,トラックフレーム110,トラックローラ111,キャリアローラ112などからなり、シューリンク107はシューエレメント113を多数エンドレスに連結して構成されている(図13参照)。
【0045】
シューエレメント113は、図14に示すように、例えば進行方向先端に内側に湾曲するカーブ部分113aを有し、表面に走行方向と直交する方向に延在する爪(グローサー)114が複数突設された単位部材であり、下面に設けたブラケット115をピン116を介してエンドレスのチェーリンク117に取付けることにより連結されている。なお、シューエレメント113の形状、構造等は図示したものに限定されるものではない。
【0046】
このような名シューエレメント113の走行方向の両側面に板状の突起物(横滑り防止グローサー)118が設けられる。この突起物118はシューエレメント113の有効長とほぼ同じ長さとし、直線部分で連続した板状スタビライザーが形成されるようにする。この場合、板状突起物118は殆ど隙間なく連続させているが、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に間隔をあけて断続的になるようにする。
【0047】
板状の突起物118のシューエレメント113の表面からの高さHは爪114のシューエレメント113の表面からの高さhよりも大きくする。突起物118の内側には、必要に応じて補強リブ119を設け、強度の向上を図るようにしてもよい。
【0048】
なお、シューエレメントは通常長尺成形材から切り出されて製作されるため、突起物118はシューエレメント113と別体で製作し、溶接あるいはボルト接合などで一体化させる。また、シューエレメント113と一体的に製作することも可能である。さらに、突起物118は、履帯107の幅方向両側面に設置するが、履帯107の谷側の側面にのみ設置するようにしてもよい。
【0049】
また、板状突起物118は走行方向と平行に配設しているが、走行方向に対して傾斜させてもよい。
【0050】
上部荷台102は、土砂やコンクリートブロック、あるいはパイプや矢板等の長尺物を載せることのできる上部が開口した荷台であり、下部走行体103の上に走行方向と直交する方向に傾転可能に搭載される。即ち、下部走行体103のベースフレーム104上に載置台120を設け、この載置台120の山側にピン軸着機構121を介して上部荷台102の下面を取付け、上部荷台102と下部走行体103との間には、走行方向に一対の油圧シリンダ122を配設する。
【0051】
この油圧シリンダ122は、シリンダ基部をベースフレーム104にピン着し、ピストンロッド先端を上部荷台102の下面にピン着する。油圧シリンダ122を作動させる油圧ユニットは、下部走行体103の駆動機構と共に下部走行体103内に収納し、重心が低くなるようにする。なお、油圧シリンダ122も最下限ストローク位置では下部走行体103内に収納可能とし、水平な地面では上部荷台102が載置台120上に水平に載置されるようにするのが好ましい。
【0052】
油圧シリンダ122のピストンロッドを伸縮させることにより、上部荷台102の傾斜角度を調整し、傾斜面水平走行時に、斜面の種々の勾配に対して上部荷台120を常に水平に保持することができ、またこの状態から傾動角度を大きくすることにより上部荷台120を山側に傾けて土砂等を排出させることができる。なお、上部荷台102の山側の側板は、開閉扉102aとし、土砂等を簡単に排出できるようにしている。
【0053】
また、走行方向と直交する方向における上部荷台102の重心位置は、下部走行体103の重心位置よりも山側に偏心させ、傾斜面水平走行時に、転倒モーメントと反対のモーメントが下部走行体103に作用し、転倒モーメントが減少するようにしている。
【0054】
なお、下部走行体103には、操作ボックスを設け、作業者が運転と荷台の操作を行えるようにする。また、下部走行体103に運転席を設けるようにしてもよい。
【0055】
以上のような構成の斜面上運搬機101を、図15に示すように、緩斜面A上に配置し、斜面の水平方向に走行させ、建設資材を運搬する。所定の位置で上部荷台102を油圧シリンダ122で傾転させ、土砂等を排出する。
【0056】
水平方向の走行に際しては、履帯107に設けた突起物118が板状スタビライザーとして働き、傾斜面の上下方向における滑りを大幅に低減することができた。例えば、斜面の傾斜角度35゜に対してH=50mm程度の板状突起物118(爪114の高さh=15mm)で十分な横滑り防止効果が得られる。これにより、安定した走行と能率の良い作業を行うことができると共に、停止時に建設資材を上部荷台から排出する際においても横滑りを防止でき、安全に作業を行うことができた。また、上部荷台102は油圧シリンダ122により水平に保持することができ、走行中に土砂等がこぼれることがなく、また、その重心が山側へ偏心しているので、より安全に運搬を行うことができた。
【0057】
なお、以上のような斜面上運搬機101には、図18に示すように、クレーン130を取付け、このクレーンによりコンクリートブロック等の資材の積み込み・取り降ろしを行うようにすることもできる。
【0058】
次に、履帯の突起物について詳述する。以上の説明において図示した突起物23および118は、走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する板状の突起物であり、斜面に何も施工されていない土砂だけの状態の場合には、横滑り防止効果も大きく、極めて有効である。
【0059】
しかし、板状の突起物が走行方向に対して連続的に延在し、斜面に法面保護用のコンクリート法枠等が敷設してある場合には、板状の突起物が爪よりも突出していると、コンクリート法枠の一部を板状突起物が破壊してしまう場合がある。即ち、図16に示すように、コンクリート法枠aには、雨水のガイド用の突出部分bが形成されており、一方、走行方向に前後する一対の板状突起物23間に隙間が無く連続している場合には、突出部分bを走行方向に前後する一対の板状突起物23(または118)で挟み、剪断破壊する場合がある。
【0060】
しかし、板状突起物23(または118)でも、本発明では走行方向に前後する一対の板状の突起物間に所定の隙間があり断続的になるようになっているので、前記剪断破壊を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、この発明に係る建設施工用のクローラ式斜面走行機の使用状態を示す側面図である。
図2は、図1のクローラ式斜面走行機の(a)正面図、(b)側面図である。
図3は、斜面における作業姿勢を示す概略斜視図である。
図4は、この発明で用いるシューエレメントの一例を示す斜視図である。
図5は、図4のシューエレメントに板状の突起物を設けた場合の(a)側面図、(b)断面図である。
図6は、実験車を水平に走行させた時の横滑り量を表すグラフであり、(a)は横滑り防止グローサーの高さを変えた場合、(b)は走行速度を変えた場合を示す。
図7は、実験車を水平に走行させ操向補正した場合の横滑り量を表すグラフである。
図8は、実験車の作業時の安定性確認試験の測定結果を示す表である。
図9は、実験車の作業時の安定性確認試験の測定結果を示すグラフである。
図10は、実験車の負荷率確認試験の測定結果を示す表である。
図11は、実験車の負荷率確認試験の測定結果を示すグラフである。
図12は、この発明に係る運搬用のクローラ式斜面走行機であり、(a)は走行状態,(b)は建設資材排出状態を示す正面図である。
図13は、図12のクローラ式斜面走行機の側面図である。
図14(a)は、この発明で用いるシューエレメントの一例を示す斜視図、(b)、(c)はこのシューエレメントに板状の突起物を設けた場合の側面図、断面図である。
図15は、この発明に係る運搬用のクローラ式斜面走行機の斜面における作動状態を示す斜視図である。
図16は、板状突起物によるコンクリート法枠突出部分の剪断破壊を示す概略側面図である。
図17は、この発明に係る建設施工用のクローラ式斜面走行機をバックホーに適用した例を示す概略斜視図である。
図18は、この発明に係る運搬用のクローラ式斜面走行機にクレーンを取付けた例を示す概略斜視図である。
Claims (4)
- シューエレメントがエンドレスに連結された履帯を装着してなるクローラ式斜面走行機において、前記シューエレメントの接地面に、走行方向と直交する方向の爪と、この爪とは別に、シューエレメントの有効長とほぼ同じ長さを有して走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する板状の突起物が設けられ、該板状の突起物のシューエレメントの表面からの高さHは前記爪のシューエレメントの表面からの高さhよりも大きく、かつ、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に隙間があり断続的になっていて履帯の直線部分で断続的な板状スタビライザーが形成されるように構成されていることを特徴とするクローラ式斜面走行機。
- 請求項1に記載のクローラ式斜面走行機において、走行機上部体に施工用フロントアッタチメントが設けられていることを特徴とするクローラ式斜面走行機。
- 建設資材を載せる上部荷台と、シューエレメントがエンドレスに連結された履帯を装着してなるクローラ式の下部走行体とからなり、前記シューエレメントの接地面に、走行方向と直交する方向の爪と、この爪とは別に、シューエレメントの有効長とほぼ同じ長さを有して走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する板状の突起物が設けられ、該板状の突起物のシューエレメントの表面からの高さHは前記爪のシューエレメントの表面からの高さhよりも大きく、かつ、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に隙間があり断続的になっていて履帯の直線部分で断続的な板状スタビライザーが形成されるように構成されていることを特徴とする運搬用のクローラ式斜面走行機。
- シューエレメントがエンドレスに連結された履帯において、前記シューエレメントの接地面に、走行方向と直交する方向の爪と、この爪とは別に、シューエレメントの有効長とほぼ同じ長さを有して走行方向に対して平行にまたは傾斜して延在する板状の突起物が設けられ、該板状の突起物のシューエレメントの表面からの高さHは前記爪のシューエレメントの表面からの高さhよりも大きく、かつ、走行方向に前後する一対の板状の突起物間に隙間があり断続的になっていて履帯の直線部分で断続的な板状スタビライザーが形成されるように構成されていることを特徴とする履帯。
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