JP3543324B2 - 表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両や船舶や飛行体等の乗り物のメータ等に用いられる密閉された表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の表示装置は例えば水上で使用する乗り物等に用いられるメータに搭載されている。このようなメータにあっては、メータ自体が屋外あるいは水中の環境下に置かれることが多いことから気密性及び水密性を有する構造が必要とされる。具体的には、例えば枠体と、この枠体内に設けられた表示部材と、この表示部材を電気接続する配線部材と、前記枠体下面に形成された開口部に保持され前記配線部材を枠体外に導出する略平板状の弾性部材であるグロメットと、このグロメットを気密性及び水密性を得るために圧縮固定する抑え部材とを備え、前記抑え部材を前記枠体にネジ固定することにより前記弾性部材が前記枠体側に圧縮され前記枠体内を密閉したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の表示装置の場合、前述のようにメータが密閉されているため太陽熱等の照射を通じて枠体内が熱せられ、この枠体内の空気が膨張してしまう。さらに、この膨張した空気の圧力が枠体の内壁に加わることで枠体が膨張変形を起こし外観上の見映えに不具合が生じてしまう。また、熱せられた内部の空気が膨張した状態のメータが、水中に没した場合にメータが急激に冷やされて枠体内の空気が収縮して凹んでしまい外観上の見映えに不具合が生じてしまう。
【0004】
本発明は、この点に鑑みてなされたもので、その主な目的は、枠体内に生じる空気の膨張収縮に影響されないメータ装置を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、表示部材と、この表示部材と接続する配線部材と、前記表示部材と前記配線部材の一部を収納する空洞部を有する枠体と、この枠体に形成された開口部を塞ぐと共に前記配線部材を外部に導出する弾性部材とを有し、前記弾性部材に前記空洞部内の圧力の変動を吸収する吸収部を設けたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、表示部材と、この表示部材を収納する空洞部を有する枠体と、この枠体に前記表示部材を固定すると共に外部に露出する取付手段と、この取付手段を覆い隠す弾性部材とを備え、前記弾性部材に前記空洞部内の圧力の変動を吸収する吸収部を設けたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の表示装置は、液晶表示素子(LCD)からなる表示部材と、この表示部材と接続する電気コードとコネクタ等と、前記表示部材と前記電気コードの一部を収納する空洞部を有する合成樹脂製の枠体と、この枠体に形成された開口部を塞ぐと共に前記電気コードを外部に導出する弾性部材であるグロメットとを有し、前記グロメットに前記空洞部内の圧力の変動を吸収する吸収部を設けたものである。このように構成したことにより、枠体内の空洞部に生じる空気の膨張収縮を吸収でき、さらにグロメットに吸収部を一体に形成したことにより部品点数が削減されると共に組み付けが容易になり作業効率が向上する。
【0009】
また本発明の表示装置は、指針を回転駆動する駆動装置を備えた表示部材と、この表示部材を収納する空洞部を有する合成樹脂製の枠体と、この枠体に前記表示部材を固定すると共に外部に露出する取付手段であるネジと、このネジを覆い隠す弾性部材であるグロメットとを備え、前記グロメットに前記空洞部内の圧力の変動を吸収する吸収部を設けたものである。このように構成したことにより、枠体内の空洞部に生じる空気の膨張収縮を吸収することができる。
【0010】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1から図3はそれぞれ本発明の第1実施例による表示装置を乗り物のメータに適用したものを示すもので、図1はメータの正面図、図2は図1のA−A断面図、図3はメータの背面図である。
【0011】
図1から図3において、メータは観測者に走行速度等の所定の情報を表示する表示部材1と、図示しない乗り物に配置されたセンサからの電気信号を表示部材1に導入する配線部材2と、表示部材1と配線部材2の所要部を収納し底面側(図2中右側)が開口した枠体3と、配線部材2を保持すると共に枠体3の開口を覆う弾性部材4と、弾性部材4を固定する抑え部材5とから構成されている。
【0012】
表示部材1は所定の表示をなすLCD11と、LCD11を保持する保持体12と、図示しない抵抗、コンデンサ等の電子部品を搭載した回路基板13と、LCD11と回路基板13とを導通接続する導電ゴム14と、保持体12を介してLCD11と回路基板13とを固定する回路基板13の図示しない孔を貫通し回路基板13の背後に突出させ折り曲げるかしめ片15aを備えた金属フレーム15とからなる。
【0013】
配線部材2は回路基板13の背後に固定されたコネクタ21と、外部からの電気信号等を後述する弾性部材4の保持孔を通じて枠体3内に導入する電気コード22と、この電気コード22の先端に設けられコネクタ21を通じて回路基板13の図示しない孔に挿入され回路基板13の前面側に突出する接続部23とを備えている。この接続部23を回路基板13に接続することで表示部材1が配線部材2と電気的に接続される。
【0014】
枠体3は上側枠体6と下側枠体7とからなり、上側枠体6は例えば透明なアクリル樹脂等の合成樹脂からなり、略薄板状の楕円に形成されており、表示部材1を覆うと共にLCD11の表示を視認可能とする表示部61と、この表示部61の外周に下側枠体7を覆うように階段状に折り曲げられて形成される密閉側壁面62とから構成されている。また、表示部61の背後に配置され外部からの衝撃等を保護する透明な合成樹脂からなる板状の保護体63が溶着部64により表示部61と一体に積層されている。
【0015】
また、下側枠体7は例えば黒色系の合成樹脂からなり、底面71の略中央部に開口部72を有する略楕円形のカップ状に形成されており、この開口部72は後述する弾性部材4の嵌合部を嵌合するものである。また、開口部72の全周に渡り肉厚の底面部73と、底面71から連続して形成されネジSが螺合する第1の固定部74(図2参照)とが設けられている。他方、下側枠体7の側面上端周縁には上側枠体6の密閉側壁面62に覆われるフランジ部75と、このフランジ部75の表面に形成される例えば防水パッキン8等を収納する溝部76とを備えている。図2に示すように、フランジ部75が密閉側壁面62と対向配置するように上側枠体6と下側枠体7を配設すると共に溝部76より外側のフランジ部75箇所に例えば超音波溶着等の溶着手段により上側枠体6と下側枠体7とを溶着固定することにより、上側枠体6と下側枠体7とで形成される空間に空洞部9が形成される。なお、77は第2の固定部であり回路基板13の図示しない孔を通じてネジSにより表示部材1を支持するものである。
【0016】
弾性部材4は例えばゴム製のグロメットからなり、略断面凹状を有しており、略中央部に位置する配線部材2の電気コード22を保持する保持孔41と、空洞部9側へ伸びる袋状からなる袋42を有する2つの吸収部43と、開口部72を塞ぎ下側枠体7の底面部73に固定される断面が略「コ」字状の嵌合部44とを備えている。
【0017】
抑え部材5は金属材料からなり、略ドーナツ状に形成されており、配線部材2と弾性部材4を露出する貫通孔51と、この貫通孔51の周りに形成される平面部52と、平面部52の一部を外側に連続して突出した3つの鍔部53と、第1の固定部74に対応する位置に対応し、各鍔部53に設けられる取付孔54とを有している。
【0018】
このような構成において、枠体3内の空洞部9に表示部材1とこれに接続した配線部材2とを収納し、配線部材2の電気コード22を弾性部材4の保持孔41に貫通させ外部に導出する。そして、弾性部材4の嵌合部44を下側枠体7の底面部73に嵌合し、弾性部材4の背後から抑え部材5を下側枠体7の第1の固定部74に、抑え部材5の取付孔54が対応するように配設する。さらに、ネジSで抑え部材5を枠体3に組み付けることにより、抑え部材5の平面部52と当接する弾性部材4箇所が弾性変形により下側枠体7側に圧縮される。すなわち、開口部72が弾性部材4と抑え部材5とで封止されることにより、この開口部72から空洞部9に空気が入り込むのを防ぐことができ空洞部9が気密保持されることになる。
【0019】
また、このように気密保持された空洞部9を有するメータが外部からの太陽光等により枠体3の表面が熱せられる環境下においては、この枠体3を通じて空洞部9内の空気が熱せられ、これに伴い空洞部9の空気が膨張してしまう。この際、膨張した空気の圧力は枠体3に加わり枠体3を膨張変形させようとするが、本実施例では弾性部材4に弾性変形可能な吸収部43を設けたことにより、空洞部9に生じる膨張による圧力の上昇を吸収部43で吸収して枠体3の膨張変形を抑制すると共に空洞部9を気密保持することができる。
【0020】
また本実施例では、吸収部43に袋状からなる袋42を設けたことにより、空洞部9に生じる空気膨張を袋42で吸収できる。なお、このように袋42を設けることは吸収面積を広く形成でき空洞部9の空気膨張を効率的に吸収できる点で有利である。
【0021】
また本実施例では、弾性部材4に吸収部43を一体形成したことにより、吸収部43を別部材として形成することが不要となり部品点数を削減できると共に組み付け作業性を向上させることができる。
【0022】
図4から図6はそれぞれ本発明の第2実施例による表示装置を乗り物のメータに適用したものを示すもので、図4はメータの要部正面図、図5は図4のA−A断面図、図6はメータの要部背面図である。なお、前記第1実施例と同一及び相当部分には、同一符号を付してその詳細説明は省略する。
【0023】
図4から図6において、本実施例によるメータは観測者にエンジン回転数を表示する表示部材1と、この表示部材1を収納する枠体3と、表示部材1を枠体3に固定するネジSと、枠体3から露出するネジSを覆い隠す弾性部材20と、弾性部材20を固定する抑え部材5とから構成されている。
【0024】
表示部材1は例えばアナログ式計器等からなり、具体的には回路基板13上に導通装着され駆動軸16aが前方に延びる計器本体16と、計器本体16の駆動軸16aにて回動駆動される長手状に延びる指示部材17と、この指示部材17の背後に配置される文字板18と、文字板18と回路基板13との間に配設され文字板18と対向する受部19aと、回路基板13の孔13aと対向するように受部19aと直交する方向に延びる第3の固定部19bとを有するケース体19とを備えている。
【0025】
枠体3は上側枠体6と下側枠体7と保護部材10とからなり、上側枠体6は例えばアクリル樹脂等の合成樹脂からなり、表面が湾曲した略薄板状に形成されており、表示部材1を覆うと共に指示部材17等を視認可能とする表示部65と、この表示部65の外周に位置して後述する保護部材10の第1の係止爪101により係合する係合部66を有するフランジ67と、さらにフランジ67の外周に連続形成され下側枠体7を覆うように折り曲げられて形成される密閉側壁面68とから構成されている。なお、表示部65と指示部材17との間には保護体69が表示部65と略平行に配設され、この保護体69の外周には腕部69aが全周に形成されている。
【0026】
下側枠体7は例えば黒色系の合成樹脂からなり、底面701に凹部を有する略筒形カップ状に形成されており、図5中、凹部は計器本体16を支持する第1の凹部702と、側面が傾斜した側面傾斜部703を有する2つの第2の凹部704とを有している。この側面傾斜部703には回路基板13側を切り欠いた切り欠き孔705が形成されている。この切り欠き孔705により側面傾斜部703と隔てた後述する固定孔を有する第2の凹部704箇所は下側枠体7と一体に形成されている。また、底面701箇所には階段状の段部706が設けられており、この段部706と側面傾斜部703から延長して延びる突起部707により位置決め溝708が形成される。なお、回路基板13の孔13aに対向する第2の凹部704箇所には取付手段となるネジSが貫通する固定孔709が設けられている。
【0027】
図5に示すように、側面部710の外周には側面部710に連続して略「L」字状からなる幅広側面部711が密閉側壁面68に覆われるように配設され、この幅広側面部711には後述する保護部材10側に突出して後述する保護部材10の第2の係止爪102と係合する突出片712が設けられている。また、幅広側面部711の上端面713とこれに対応するフランジ67箇所を超音波溶着等の溶着手段により上側枠体6と下側枠体7とを溶着固定することにより、上側枠体6と下側枠体7とで形成される空間に空洞部9が形成される。
【0028】
また、下側枠体7の側面部710とこれに連続する幅広側面部711及び上側枠体6のフランジ67で囲まれる空洞部9箇所にはパッキンPが設けられ、このパッキンPは保護体69の腕部69aを固定すると共に保護体69を保持するものである。
【0029】
保護部材10は例えば黒色系の合成樹脂からなり、略断面「L」字状のリングに形成され、主に上側枠体6と下側枠体7の側面領域を覆うように保護するものであり、上側枠体6の係合部66と係合する第1の係止爪101と、下側枠体7の突出片712と係合する第2の係止爪102とを備えている。
【0030】
弾性部材20は例えばゴム製のグロメットからなり、ネジSを覆い隠すように下側枠体7の第2の凹部704に収納され、袋状に形成された袋45を有する吸収部46と、この吸収部46の開口47近くに設けられ吸収部46から略直交する方向に延びる延長部48と、延長部48端面から袋45側に突出した位置決め部49とを備えている。
【0031】
抑え部材5は金属材料からなり、略菱形状の板材で形成されており、弾性部材20を露出する貫通孔55と、この貫通孔55の周りに形成される平面部56と、貫通孔55を挟んで平面部56の端部側に形成され、下側枠体7の図示しない固定部に対応する一対の取付孔57とを有している。
【0032】
このような構成において、枠体3内の空洞部9に表示部材1を収納する。この際、表示部材1の回路基板13の孔13a及び第3の固定部19bが第2の凹部704の固定孔709に対応するように配設し、第2の凹部704の背後(図5中右側)からネジSが第2の凹部704の固定孔709を介して第3の固定部19bに螺合することにより表示部材1が空洞部9を有する枠体3内に固定される。そして、下側枠体7の位置決め溝708に弾性部材20の位置決め部49を位置決めすると共に、弾性部材20を第2の凹部704内に収納し、吸収部46の開口部側が貫通孔55を貫通するように弾性部材20の背後から抑え部材5を下側枠体7の図示しない固定部が抑え部材5の取付孔57に対応するように配設する。さらに、ネジSが取付孔57を貫通して下側枠体7の図示しない固定部に螺合することにより、抑え部材5の平面部56と当接する弾性部材20の延長部48が下側枠体7の突起部707側に圧縮される。すなわち、第2の凹部704が弾性部材20と抑え部材5とで封止されることにより、この第2の凹部704から空洞部9に空気や水が入り込むのを防ぐことができ空洞部9が気密保持されることになる。
【0033】
また、このように気密保持された空洞部9を有するメータが外部からの太陽光等により枠体3の表面が熱せられる環境下においては、この枠体3を通じて空洞部9内の空気が熱せられ、これに伴い空洞部9の空気が膨張してしまう。この際、膨張した圧力は枠体3に加わり枠体3を膨張変形させようとするが、本実施例では弾性部材20に弾性変形可能な吸収部46を設けたことにより、膨張した圧力が第2の凹部704の切り欠き孔705を通じて吸収部46で吸収でき、前記第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
また、弾性部材4,20の形状は前記各実施例に限定されることはなく、空洞部9を気密保持し得る形状であれば任意の構成を採用することができる。
【0035】
また、前記各実施例では弾性部材4,20を抑え部材5でネジ固定する取付手段を用いて空洞部9を気密保持する例について示したが、前記各実施例に限定されることはなく、空洞部9を気密保持し得る任意の取付手段を採用することができる。
【0036】
また、前記各実施例では、空洞部9内の空気の膨張についてのみ述べたが、逆に、空洞部9内の空気が収縮する場合においても、本発明の構造を採用することにより吸収部43,46が弾性変形することで空気の収縮による影響を受けることがない。
【0037】
なお、前記各実施例では本発明をメータからなる表示装置に適用した例を示したが、本発明はメータからなる表示装置に限定されることはなく、空気の膨張収縮に影響される例えば浴室用リモコン等の表示装置に適用してもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、初期の目的を達成することができ、枠体内に生じる空気の膨張収縮に影響されない表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による表示装置の正面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】同実施例による表示装置の背面図。
【図4】本発明の第2実施例による表示装置の要部正面図。
【図5】図4のB−B断面図。
【図6】同実施例による表示装置の要部背面図。
【符号の説明】
1 表示部材
2 配線部材
3 枠体
4,20 弾性部材
5 抑え部材
6 上側枠体
7 下側枠体
9 空洞部
42,45 袋
43,46 吸収部
44 嵌合部
47 開口
48 延長部
49 位置決め部
54,57 取付孔
71,701 底面
72 開口部
704 第2の凹部
705 切り欠き孔
709 固定孔
S ネジ
Claims (2)
- 表示部材と、この表示部材と接続する配線部材と、前記表示部材と前記配線部材の一部を収納する空洞部を有する枠体と、この枠体に形成された開口部を塞ぐと共に前記配線部材を外部に導出する弾性部材とを有し、前記弾性部材に前記空洞部内の圧力の変動を吸収する吸収部を設けたことを特徴とする表示装置。
- 表示部材と、この表示部材を収納する空洞部を有する枠体と、この枠体に前記表示部材を固定すると共に外部に露出する取付手段と、この取付手段を覆い隠す弾性部材とを備え、前記弾性部材に前記空洞部内の圧力の変動を吸収する吸収部を設けたことを特徴とする表示装置。
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