JP3543266B2 - 光結合装置及びそれを備えたソリッドステートリレー - Google Patents

光結合装置及びそれを備えたソリッドステートリレー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光素子と受光素子が光学的に結合され一体化されて成る光結合装置及びその光結合装置を備えたソリッドステートリレーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のフォトトライアック型光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を図9に示す。フォトトライアック型光結合装置1は、入力側に発光ダイオード103を有し、出力側に発光ダイオード103と光結合されたフォトトライアック200を有している。
【0003】
発光ダイオード103のアノードには、定電圧Vccが供給されている。また、発光ダイオード103のカソードは抵抗101を介してnpn型トランジスタ100のコレクタに接続されている。また、トランジスタ100のエミッタは接地されている。これにより、トランジスタ100のベースにHighレベルの電圧信号が送られトランジスタ100がオン状態になると、発光ダイオード103に電流が流れ発光ダイオード103が発光する。一方、トランジスタ100のベースにLowレベルの電圧信号が送られトランジスタ100がオフ状態になると、発光ダイオード103に電流が流れないので発光ダイオード103は発光しない。
【0004】
フォトトライアック200の第1アノードはトライアック201のゲートに接続されており、フォトトライアック200の第2アノードはトライアック201の第2アノードに接続されている。また、トライアック201の第1アノード−第2アノード間には、負荷202とAC電源203とが直列接続されている。
【0005】
次に、従来のフォトトライアック型光結合装置1の動作について説明する。トランジスタ100のベースに送られる電圧信号がLowレベルのときは、発光ダイオード103は発光しないので、フォトトライアック200はオフ状態であり、トライアック201もオフ状態であるから負荷202に電流は流れない。
【0006】
トランジスタ100のベースに送られる電圧信号がHighレベルのときは、発光ダイオード103が発光し、フォトトライアック200がオン状態になる。フォトトライアック200がオン状態になると、フォトトライアック200からトライアック201のゲートにトリガ電流が供給され、トライアック201もオン状態となり、負荷202に電流が流れる。トライアック200がオン状態になると、AC電源203からフォトトライアック200に供給される電流が保持電流以下になるので、フォトトライアック200はオフ状態となる。
【0007】
その後、AC電源203の出力電圧がゼロクロスポイント近傍になると、トライアック201に供給される電流も保持電流以下になるので、トライアック201もオフ状態となる。さらに、AC電源203の出力電圧がゼロクロスポイントを過ぎて極性が切り替わりフォトトライアック200に供給される電圧が阻止電圧以上になると、再びフォトトライアック200がオン状態になり、上述した動作を繰り返す。
【0008】
さらに、トランジスタ100のベースに送られる電圧信号がHighレベルからLowレベルに変化させると、発光ダイオード103の発光が停止する。すると、AC電源203の出力電圧がゼロクロスポイントを過ぎて極性が切り替わりフォトトライアック200に供給される電圧が阻止電圧以上になっても、フォトトライアック200はオフ状態のままになる。
【0009】
従って、トランジスタ100のベースに送る電圧信号のレベルを制御することによって負荷202への通電を制御することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようにトライアック201は、発光ダイオード103が発光している間常時オン状態を保持しているわけではなく、AC電源203から出力されるAC電圧の極性が切り替わるゼロクロスポイントの近傍では一時的にオフ状態となっている。そして、AC電源203の出力電圧がゼロクロスポイントを過ぎて極性が切り替わりフォトトライアック200に供給される電圧が阻止電圧以上になると、再びフォトトライアック200がオン状態になり、それに伴いトライアック201も再びオン状態になる。
【0011】
このとき、フォトトライアック200に印加される電圧、照射される光の強度がオン状態になる条件を満たしても、実際にオフ状態からオン状態に切り替わるまでには若干の時間の遅れがある。この若干の時間のおくれをターンオン時間という。
【0012】
AC電源203から出力されるAC電圧は時々刻々と変化するので、AC電源203から出力されるAC電圧が零より大きくなり、フォトトライアック200に供給される電圧が阻止電圧に達してからフォトトライアック200がオン状態になり、それに伴いトライアック201がオン状態になるまでの間、トライアック201の両端電圧VTは増加し続ける。このため、AC電源203から出力されるAC電圧の極性が切り替わるゼロクロスポイント時点毎に、トライアック201の両端電圧VTに雑音端子間電圧(以下、EMIノイズという)が現れる。
【0013】
図9に示した従来のトライアック型光結合装置1を交流負荷制御用に用いた場合の各部の電圧波形または電流波形を図11に示す。尚、図中の波形は、トランジスタ100がオン状態のときのものである。
【0014】
電源電圧EはAC電源203が出力するAC電圧波形を示している。また、トライアック電圧Vはトライアック201の両端電圧波形を示しおり、前述したように電源電圧Eがゼロクロスポイントになる毎にEMIノイズであるピーク電圧が存在するが、電源電圧Eのゼロクロスポイント近傍以外は一定値となる。また、入力電流Iは発光ダイオード103に入力される電流波形を示しており、一定値となっている。
【0015】
電源電圧Eがゼロクロスポイントになる毎に現れるトライアック電圧Vのピーク電圧は、フォトトライアック200のターンオン時間を短くすることで、小さくすることができる。
【0016】
フォトトライアック200のターンオン時間tonと発光ダイオード103に入力される入力電流Iとの間には、図13に示すように入力電流Iが大きいほどターンオン時間tonは短くなる関係がある。尚、図13は定電圧Vccが6[V]、負荷202が100[Ω]、温度が25[℃]の条件での関係を示している。従って、入力電流Iを大きくすることによって電源電圧Eがゼロクロスポイントになる毎に現れるトライアック電圧Vのピーク電圧を小さくすることができる。
【0017】
しかしながら、このように入力電流Iを大きくすると発光ダイオード103の光出力の劣化が早くなる。従って、発光ダイオード103の光出力が減少し、フォトトライアック200のターンオン時間が長くなり、その結果トライアック201のEMIノイズが高くなる現象が比較的早期に起こってしまう。
【0018】
また、この光出力の劣化に伴い、光結合装置1がオン状態になるのに必要な入力電流閾値IFthが大きくなるので、最悪の場合、入力電流閾値IFthが定電圧Vcc、抵抗101の抵抗値などによって予め設定されている入力電流Iの値を越えてしまい発光ダイオード103が発光しなくなることがある。さらに、入力電流Iを大きくすることにより光結合装置を備える事務機器、家電製品等の各機器の消費電流が大きくなり、省エネルギー化を図るうえで不利になる。
【0019】
尚、図10に示すように発光ダイオード103からの光を受光する受光素子にフォトトライアックではなくpnpn接合によって構成されるフォトサイリスタ207を用い、フォトサイリスタ207のアノードとトライアック201の第2アノードを接続し、フォトサイリスタ207のカソードとトライアック201のゲートを接続したサイリスタ型光結合装置2においても、フォトサイリスタ207とトライアック201との間にダイオードD1〜D4をブリッジ接続してなる整流回路208を設け、AC電源203から出力されるAC電圧を整流回路208で整流し、その整流した電圧をフォトサイリスタ207に供給することによって、上述したトライアック型光結合装置1を交流負荷制御に用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0020】
本発明は、上記の問題点に鑑み、入力側に設けられた発光素子の寿命に悪影響を及ぼすことなく出力側に接続される半導体制御整流素子の両端に発生するEMIノイズを低減することができる光結合装置及びそれを備えたソリッドステートリレーを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る光結合装置においては、第1の発光素子を入力側に、第1の発光素子と光結合された第1の受光素子を出力側に各々備え、前記出力側に接続されるAC電源の出力電圧がゼロクロスポイント直前になってからゼロクロスポイント直後になるまで期間であるときはそれ以外の期間であるときに比べて第1の発光素子に入力される電流を大きくする入力電流制御手段と、を備える構成としている。さらに、第1の受光素子は、フォトトライアックまたはフォトサイリスタとしてもよい。
【0022】
また、前記入力電流制御手段は、前記AC電源の両端に接続されて前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍でないときに発光する第2の発光素子と、第2の発光素子と光結合されたフォトトランジスタと、該フォトトランジスタに直列接続される抵抗と、を備えるとともに、前記フォトトランジスタ及び前記抵抗を第1の発光素子に並列接続する構成としてもよい。
【0023】
また、前記入力電流制御手段は、第1の発光素子に直列接続される抵抗と、前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍であるときは前記抵抗を短絡させる接続切り替え手段と、を備える構成としてもよい。さらに、前記接続切り替え手段は、第1の受光素子に直列接続されて前記AC電源が供給する電圧がゼロクロスポイント近傍であるときは発光する第2の発光素子と、第2の発光素子と光結合されたフォトトランジスタと、を備えるとともに、前記フォトトランジスタのエミッタ及びコレクタが前記抵抗の両端に接続される構成としてもよい。
【0024】
また、前記入力電流制御手段は、第1の受光素子に直列接続されて前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍であるときは発光する第2の発光素子と、第2の発光素子からの光を受けると二つの出力端子が短絡状態になるフォトIC素子と、該フォトIC素子の前記二つの出力端子間に接続される抵抗と、を備えるとともに、前記抵抗は第1の発光素子に直列接続される構成としてもよい。
【0025】
また、前記入力電流制御手段は、第1の受光素子に直列接続されて前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍であるときは発光する第2の発光素子と、第2の発光素子から受ける光の強度が大きければ出力する電流を大きくするフォトIC素子と、を備えるとともに、前記フォトIC素子の出力端子は第1の発光素子に接続される構成としてもよい。
【0026】
本発明に係るソリッドステートリレーにおいては、上記構成の光結合装置を備える構成とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。第一実施形態の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を図1に示す。図9と同一部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0028】
入力側では、フォトトランジスタ104のエミッタは発光ダイオード103のカソードと抵抗101との接続点に接続されており、フォトトランジスタ104のコレクタは抵抗102を介して発光ダイオード103のアノードに接続されている。また、出力側では、発光ダイオード205と発光ダイオード206を互いに逆方向に並列接続した発光回路209が、抵抗204を介してAC電源203に接続されている。また、フォトトランジスタ104と発光回路209は光結合されている。さらに、発光ダイオード103と抵抗102との接続点には、入力端子を介して定電流源106が接続されている。
【0029】
次に、第一実施形態の光結合装置の動作について説明する。フォトトライアック200とトライアック201のオン・オフ状態は上述した従来の光結合装置と同様に、トランジスタ100のベースに送られる電圧信号がHighレベルのときは、フォトトライアック200はAC電源203の出力電圧がゼロクロスポイント近傍のときのみオン状態となり、トライアック201はAC電源203の出力電圧がゼロクロスポイント近傍のとき以外はオン状態となっている。
【0030】
トランジスタ100のベースにHighレベルの電圧信号を入力し、トランジスタ100をオン状態にすると、発光ダイオード103が発光する。このとき、AC電源203の出力電圧がゼロクロスポイント近傍でなければ発光回路209はフォトトランジスタ104に向けて光を発するので、フォトトランジスタ104はオン状態になり、定電流源から供給される電流は抵抗102側と発光ダイオード103側とに分割される。
【0031】
一方、AC電源203の出力電圧がゼロクロスポイント近傍であれば発光回路209はフォトトランジスタ104に向けて光を発しないので、フォトトランジスタ104はオフ状態になり、定電流源から供給される電流は抵抗102側には流れず、発光ダイオード103側のみに流れる。
【0032】
従って、AC電源203の出力電圧がゼロクロスポイント近傍であるときは、図12に示すように発光ダイオード103に流れる入力電流Iが通常より大きくなる。このため、フォトトライアック200のターンオン時間が短くなり、トライアック201の両端電圧Vのピーク電圧が小さくなる。また、ゼロクロスポイント近傍以外は入力電圧Iが大きくならないので、発光ダイオード103の光劣化が早くなることもない。
【0033】
尚、本実施形態では光結合装置3とトライアック201を別構成にしたがこれらを一体としたソリッドステートリレーとしてもよい。
【0034】
また、図2に示すように発光ダイオード103からの光を受光する受光素子にフォトトライアックではなくフォトサイリスタ207を用い、フォトサイリスタ207のアノードとトライアック201の第2アノードを接続し、フォトサイリスタ207のカソードとトライアック201のゲートを接続した第二実施形態の光結合装置4においても、フォトサイリスタ207とトライアック201との間にダイオードD1〜D4をブリッジ接続してなる整流回路208を設け、AC電源203から出力されるAC電圧を整流回路208で整流し、その整流した電圧をフォトサイリスタ207に供給するような構成にすれば、上述した第一実施形態の光結合装置と同様の効果が得られる。
【0035】
尚、本実施形態では光結合装置4と、トライアック201及び整流回路208と、を別構成にしたがこれらを一体としたソリッドステートリレーとしてもよい。
【0036】
第三実施形態の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を図3に示す。図1と同一部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0037】
入力側では、フォトトランジスタ104のエミッタ−コレクタ間に抵抗102が接続されている。また、フォトトランジスタ104のコレクタは発光ダイオード103のカソードに接続されており、フォトトランジスタ104のエミッタは抵抗101に接続されている。
【0038】
また、出力側では、発光ダイオード205と発光ダイオード206を互いに逆方向に並列接続した発光回路209及び抵抗204が、フォトトライアック200の第1アノードとトライアック201のゲートとの間に設けられている。
【0039】
次に、第三実施形態の光結合装置の動作について説明する。フォトトライアック200とトライアック201のオン・オフ状態は上述した従来の光結合装置と同様に、トランジスタ100のベースに送られる電圧信号がHighレベルであれば、フォトトライアック200はAC電源203の出力電圧がゼロクロスポイント近傍のときのみオン状態となり、トライアック201はAC電源203の出力電圧がゼロクロスポイント近傍のとき以外はオン状態となっている。
【0040】
さらに、AC電源203の出力電圧がゼロクロスポイント近傍のときにおけるフォトトライアック200に流れる電流IT0とトライアック201に流れる電流IT1について図14を参照して説明する。
【0041】
区間T1では、フォトトライアック200がオフ状態なので電流IT0は零であり、トライアック201がオン状態なのでトライアック201に流れる電流IT1はAC電源203が出力する電源電圧Eに比例している。トライアック201に流れる電流IT1がトライアック201の保持電流以下になるt1時点に達すると、トライアック201はオフ状態になり、トライアック201に流れる電流IT1は零になる。トライアック201がオフ状態になることによって、フォトトライアック200に電流が流れることになる。しかしながら、この電流はフォトトライアック200の阻止電流以下であるので、フォトトライアック200は発光ダイオード103から光を受けているがオフ状態のままである。
【0042】
区間T2では、フォトトライアック200、トライアック201ともにオフ状態であるが、フォトトライアック200に流れる電流IT0は電源電圧Eに比例し、トライアック201に流れる電流IT1は零になる。また、フォトトライアック200から発光回路209に電流IT0が流れるので、発光回路209は光を発する。その光受けてフォトトランジスタ104がオン状態になる。フォトトランジスタ104がオン状態になると、抵抗102を短絡する経路ができるので、発光ダイオード103を流れる入力電流Iはフォトトランジスタ104がオフ状態のときと比べて大きくなる。
【0043】
フォトトライアック200に流れる電流IT0がフォトトライアック200の阻止電流に達したt2時点で、フォトトライアック200はターンオンしてオン状態になり、フォトトライアック200に流れる電流IT0が増加する。フォトトライアック200に流れる電流IT0はトライアック201のゲートに供給されており、フォトトライアック200がターンオンすることでフォトトライアックに流れる電流IT0の値がトライアック201のゲートトリガ電流以上になるので、トライアック201はオン状態になる。これに伴い、フォトトライアック200に流れる電流IT0が零になりフォトトライアック200はオフ状態になる。
【0044】
フォトトライアック200がターンオンするt2時点では入力電流Iが通常より大きくなっているので、フォトトライアック200のターンオン時間が短くなる。これにより、EMIノイズを小さくすることができる。従って、各部の電圧波形または電流波形は、第一実施形態と同様に図12のようになる。
【0045】
尚、本実施形態では光結合装置5とトライアック201を別構成にしたがこれらを一体としたソリッドステートリレーとしてもよい。
【0046】
また、図4に示すように発光ダイオード103からの光を受光する受光素子にフォトトライアックではなくフォトサイリスタ207を用い、フォトサイリスタ207のアノードとトライアック201の第2アノードを接続し、フォトサイリスタ207のカソードとトライアック201のゲートを接続した第四実施形態の光結合装置4においても、フォトサイリスタ207とトライアック201との間にダイオードD1〜D4をブリッジ接続してなる整流回路208を設け、AC電源203から出力されるAC電圧を整流回路208で整流し、その整流した電圧をフォトサイリスタ207に供給するような構成にすれば、上述した第三実施形態の光結合装置と同様の効果が得られる。
【0047】
尚、この場合発光回路29は第三実施形態と同様でもよいが、フォトサイリスタから供給される電流の方向は常に一定であるため、サイリスタ207のカソードにアノードが接続される発光ダイオード205のみにしてもよい。また、本実施形態では光結合装置6とトライアック201を別構成にしたがこれらを一体としたソリッドステートリレーとしてもよい。
【0048】
第五実施形態の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を図5に示す。図3と同一部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0049】
入力側では、発光ダイオード103のカソードは抵抗101に接続され、抵抗101は抵抗102に直列接続され、抵抗102の抵抗101と接続されていない側はトランジスタ100のコレクタに接続されている。
【0050】
また、フォトIC素子105は発光ダイオード103のアノード及びトランジスタ100のコレクタに接続されており、トランジスタ100がオン状態のときは定電圧Vccを得る。さらに、フォトIC素子105は抵抗101と抵抗102との接続点に接続されている。フォトIC素子105は光を受けると抵抗102の両端に接続されている二つの端子間を短絡するように動作する。
【0051】
このような構成にすると、フォトIC素子105が発光回路209から光を受けていないときは、発光ダイオード103を流れる入力電流Iは抵抗102、抵抗101、トランジスタ100を流れる。一方、フォトIC素子105が発光回路209から光を受けると、フォトIC素子105が動作し抵抗102を短絡する経路ができるので、発光ダイオードを流れる入力電流Iは抵抗101、トランジスタ100を流れる。従って、フォトIC素子105が発光回路209から光を受けたときのみ、発光ダイオード103を流れる入力電流Iが大きくなる。
【0052】
これにより、本実施形態の光結合装置においても、第三実施形態の光結合装置と同様の効果を得ることができる。尚、本実施形態では光結合装置7とトライアック201を別構成にしたがこれらを一体としたソリッドステートリレーとしてもよい。
【0053】
また、図6に示すように発光ダイオード103からの光を受光する受光素子にフォトトライアックではなくフォトサイリスタ207を用い、フォトサイリスタ207のアノードとトライアック201の第2アノードを接続し、フォトサイリスタ207のカソードとトライアック201のゲートを接続した第六実施形態の光結合装置4においても、フォトサイリスタ207とトライアック201との間にダイオードD1〜D4をブリッジ接続してなる整流回路208を設け、AC電源203から出力されるAC電圧を整流回路208で整流し、その整流した電圧をフォトサイリスタ207に供給するような構成にすれば、上述した第五実施形態の光結合装置と同様の効果が得られる。
【0054】
尚、この場合発光回路29は第五実施形態と同様でもよいが、フォトサイリスタから供給される電流の方向は常に一定であるため、サイリスタ207のカソードにアノードが接続される発光ダイオード205のみにしてもよい。また、本実施形態では光結合装置8とトライアック201を別構成にしたがこれらを一体としたソリッドステートリレーとしてもよい。
【0055】
第七実施形態の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を図7に示す。図5と同一部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0056】
入力側においては、フォトIC素子105は、発光ダイオード103のアノードと、トランジスタ100のコレクタに接続されており、トランジスタ100がオン状態のときは定電圧Vccを得る。また、フォトIC素子105の出力端子は発光ダイオード103のカソードに接続されている。フォトIC素子105は光を受けると出力する電流値を大きくするように動作する。
【0057】
このような構成にすると、フォトIC素子105が発光回路209から光を受けると、フォトIC素子105が動作し発光ダイオード103を流れる入力電流Iが大きくなる。
【0058】
これにより、本実施形態の光結合装置においても、第三及び第五実施形態の光結合装置と同様の効果を得ることができる。尚、本実施形態では光結合装置9とトライアック201を別構成にしたがこれらを一体としたソリッドステートリレーとしてもよい。
【0059】
また、図9に示すように発光ダイオード103からの光を受光する受光素子にフォトトライアックではなくフォトサイリスタ207を用い、フォトサイリスタ207のアノードとトライアック201の第2アノードを接続し、フォトサイリスタ207のカソードとトライアック201のゲートを接続した第六実施形態の光結合装置4においても、フォトサイリスタ207とトライアック201との間にダイオードD1〜D4をブリッジ接続してなる整流回路208を設け、AC電源203から出力されるAC電圧を整流回路208で整流し、その整流した電圧をフォトサイリスタ207に供給するような構成にすれば、上述した第七実施形態の光結合装置と同様の効果が得られる。
【0060】
尚、この場合発光回路29は第七実施形態と同様でもよいが、フォトサイリスタから供給される電流の方向は常に一定であるため、サイリスタ207のカソードにアノードが接続される発光ダイオード205のみにしてもよい。また、本実施形態では光結合装置10とトライアック201を別構成にしたがこれらを一体としたソリッドステートリレーとしてもよい。
【0061】
【発明の効果】
本発明によると、出力側に接続されるAC電源の出力電圧がゼロクロスポイント直前になってからゼロクロスポイント直後になるまで期間(ゼロクロス近傍)であるときはそれ以外の期間であるときに比べて第1の発光素子に入力される電流を大きくする入力電流制御手段を備えているので、前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍のときのみ第1の発光素子が発する光の強度が大きくなる。これにより、第1の受光素子のターンオン時間が短くなり、出力側に接続される半導体制御整流素子の両端に発生するEMIノイズを低減することができる。また、第1の発光素子の光出力の劣化が早まることがない。さらに、前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍でないときに第1の発光素子が発する光の強度を小さく設定することができるので、第1の発光素子での消費電流を低減し省エネルギ化を図ることができる。
【0062】
また、本発明によると、第1の受光素子はフォトトライアックまたはフォトサイリスタであるので、出力側に接続される半導体制御整流素子がオン状態になると第1の受光素子には電流が流れなくなる。これにより、入力電流制御手段を多様な形態にすることができる。
【0063】
また、本発明によると、AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍のときのみオフ状態になるフォトトランジスタ及び抵抗を第1の発光素子に並列接続しているので、光結合装置の入力側を定電流源に接続すると、前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍のときのみ第1の発光素子に流れる電流が大きくなる。これにより、第1の受光素子のターンオン時間が短くなり、出力側に接続される半導体制御整流素子の両端に発生するEMIノイズを低減することができる。また、第1の発光素子の光出力の劣化が早まることがない。さらに、前記フォトトランジスタがオフ状態のときの方がオン状態のときに比べて光結合装置の入力側での消費電力が少ないので、省エネルギー化を図ることができる。
【0064】
また、本発明によると、入力電流制御手段は第1の発光素子に直列接続される抵抗と、前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍であるときは前記抵抗を短絡させる接続切り替え手段と、を備えているので、光結合装置の入力側を定電圧源に接続すると、前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍のときのみ第1の発光素子に流れる電流が大きくなる。これにより、第1の受光素子のターンオン時間が短くなり、出力側に接続される半導体制御整流素子の両端に発生するEMIノイズを低減することができる。また、第1の発光素子の光出力の劣化が早まることがない。さらに、前記フォトトランジスタがオフ状態のときの方がオン状態のときに比べて光結合装置の入力側での消費電流が少ないので、省エネルギー化を図ることができる。
【0065】
また、本発明によると、前記接続切り替え手段は、第1の受光素子に直列接続されて前記AC電源が供給する電圧がゼロクロスポイント近傍であるときは発光する第2の発光素子を備えているので、光結合装置の出力側端子の数を従来の光結合装置と同数にすることができる。これにより、出力側の接続コネクタの小型化・低コスト化を図ることができる。
【0066】
また、本発明によると、入力電流制御手段は、入力側にフォトIC素子を備えているので、フォトトランジスタを用いる構成に比べて小型化を図ることができる。
【0067】
また、本発明によると、受光する光の強度に応じてフォトIC素子が出力電流値を可変するので、前記フォトIC素子の出力端子に抵抗を接続する必要がなくなる。これにより、より一層小型化を図ることができる。
【0068】
また、本発明によると、ソリッドステートリレーは入力電流制御手段を有する光結合装置を備えているので、EMIノイズを低減することができる。また、光結合装置と半導体制御整流素子を一体化しているので、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を示した図である。
【図2】本発明の第二実施形態の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を示した図である。
【図3】本発明の第三実施形態の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を示した図である。
【図4】本発明の第四実施形態の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を示した図である。
【図5】本発明の第五実施形態の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を示した図である。
【図6】本発明の第六実施形態の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を示した図である。
【図7】本発明の第七実施形態の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を示した図である。
【図8】本発明の第八実施形態の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を示した図である。
【図9】従来のフォトトライアック型光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を示した図である。
【図10】従来のフォトサイリスタ型光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の回路構成を示した図である。
【図11】従来の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の各部の電圧波形または電流波形を示した図である。
【図12】本発明の光結合装置を交流負荷制御用に用いた場合の各部の電圧波形または電流波形を示した図である。
【図13】フォトトライアックのターンオン時間と発光ダイオードの入力電流との関係を示した図である。
【図14】第三実施形態におけるフォトトライアックとトライアックに流れる電流波形を示した図である。
【符号の説明】
1、2 従来の光結合装置
3〜10 本発明の光結合装置
101、102 抵抗
103 発光ダイオード
104 フォトダイオード
105 フォトIC素子
200 フォトトライアック
201 トライアック
202 負荷
203 AC電源
204 抵抗
205、206 発光ダイオード
207 フォトサイリスタ
208 整流回路
209 発光回路

Claims (5)

  1. 第1の発光素子を入力側に、第1の発光素子と光結合された第1の受光素子を出力側に、各々備えた光結合装置において、
    前記出力側に接続されるAC電源の出力電圧がゼロクロスポイント直前になってからゼロクロスポイント直後になるまで期間であるときはそれ以外の期間であるときに比べて第1の発光素子に入力される電流を大きくする入力電流制御手段を備え
    前記入力電流制御手段は、前記AC電源の両端に接続されて前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍でないときに発光する第2の発光素子と、第2の発光素子と光結合されたフォトトランジスタと、該フォトトランジスタに直列接続される抵抗と、を備えるとともに、前記フォトトランジスタ及び前記抵抗を第1の発光素子に並列接続していることを特徴とする光結合装置。
  2. 第1の発光素子を入力側に、第1の発光素子と光結合された第1の受光素子を出力側に、各々備えた光結合装置において、
    前記出力側に接続されるAC電源の出力電圧がゼロクロスポイント直前になってからゼロクロスポイント直後になるまで期間であるときはそれ以外の期間であるときに比べて第1の発光素子に入力される電流を大きくする入力電流制御手段を備え、
    第1の受光素子は、フォトトライアックまたはフォトサイリスタであって、
    前記入力電流制御手段は、第1の発光素子に直列接続される抵抗と、前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍であるときは前記抵抗を短絡させる接続切り替え手段と、を備え、
    前記接続切り替え手段は、第1の受光素子に直列接続されて前記AC電源が供給する電圧がゼロクロスポイント近傍であるときは発光する第2の発光素子と、第2の発光素子と光結合されたフォトトランジスタと、を備えるとともに、前記フォトトランジスタのエミッタ及びコレクタが前記抵抗の両端に接続されることを特徴とする光結合装置。
  3. 第1の発光素子を入力側に、第1の発光素子と光結合された第1の受光素子を出力側に、各々備えた光結合装置において、
    前記出力側に接続されるAC電源の出力電圧がゼロクロスポイント直前になってからゼロクロスポイント直後になるまで期間であるときはそれ以外の期間であるときに比べて第1の発光素子に入力される電流を大きくする入力電流制御手段を備え、
    第1の受光素子は、フォトトライアックまたはフォトサイリスタであって、
    前記入力電流制御手段は、第1の受光素子に直列接続されて前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍であるときは発光する第2の発光素子と、第2の発光素子からの光を受けると二つの出力端子が短絡状態になるフォトIC素子と、該フォトIC素子の前記二つの出力端子間に接続される抵抗と、を備えるとともに、前記抵抗は第1の発光素子に直列接続されることを特徴とする光結合装置。
  4. 第1の発光素子を入力側に、第1の発光素子と光結合された第1の受光素子を出力側に、各々備えた光結合装置において、
    前記出力側に接続されるAC電源の出力電圧がゼロクロスポイント直前になってからゼロクロスポイント直後になるまで期間であるときはそれ以外の期間であるときに比べて第1の発光素子に入力される電流を大きくする入力電流制御手段を備え、
    第1の受光素子は、フォトトライアックまたはフォトサイリスタであって、
    前記入力電流制御手段は、第1の受光素子に直列接続されて前記AC電源の出力電圧がゼロクロスポイント近傍であるときは発光する第2の発光素子と、第2の発光素子から受ける光の強度が大きければ出力する電流を大きくするフォトIC素子と、を備えるとともに、前記フォトIC素子の出力端子は第1の発光素子に接続されることを特徴とする光結合装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の光結合装置を備えることを特徴とするソリッドステートリレー。
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