JP3543250B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)に関し、詳しくは感光材料の発色性に優れ、カブリが少なく、しかも迅速処理性にも優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
直接鑑賞用に供されるハロゲン化銀カラー写真感光材料、例えばカラー印画紙等においては、色素画像を形成する発色剤として、通常イエローカプラー、マゼンタカプラー及びシアンカプラーの組合せが用いられる。これらのカプラーには、発色性がに優れること、カブリが低いこと、色素画像の色再現性及び保存耐久性が良好であること等の性能が要求されるが、特に近年、カラー撮影用及びプリント用感光材料においては、プリント工程及び現像処理工程が短縮、迅速化されてきており、迅速処理が可能であることが益々強く要求されるようになった。
【0003】
カラー写真感光材料の1成分としてイエローカプラーが用いられるが、当業界では少量の銀で最大の色素濃度と写真感度を得るため2当量イエローカプラーが用いられており、この2当量イエローカプラーの場合、活性点置換基として、例えば特開昭50−87650号及び米国特許3,408,194号等に記載のアリールオキシ基、特開昭51−131325号に記載のオキサゾリルオキシ基、同51−139333号に記載のクロマン−4−オキシ基、同52−43426号のテトラゾリルオキシ基、同52−115219号に記載の含窒素複素環基、特公昭51−33410号に記載のウラゾール基、ヒダントイン基、米国特許3,227,554号に記載のアリールチオ基等が知られている。
【0004】
一方、ハロゲン化銀写真感光材料の進歩に従ってカプラーの性能に対する要求は益々厳しくなっており、前記2当量イエローカプラーについても発色効率の向上が求められている。このためカプラー分子の設計上、様々の工夫が試みられ、例えばバラスト成分にアルコキシカルボニル基又はN−置換もしくは無置換のアルキルスルホンアミド基やアリールスルホンアミド基の導入による発色性の改善が提案されているが、十分に改善されているとは言えない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発色性に優れ、カブリが少なく、しかも迅速処理性にも優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0007】
1.支持体上に青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層、及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を含む写真構成層を有し、該青感性ハロゲン化銀乳剤層に下記一般式〔YI〕で表されるイエローカプラーを含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0008】
【化6】
【0009】
式中、RA、RB及びRCは各々アルキル基又はシクロアルキル基を表し、RDは無置換のアルキル基を表す。
【0010】
2.支持体上に青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層、及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を含む写真構成層を有し、該青感性ハロゲン化銀乳剤層に下記一般式〔YII〕で表されるイエローカプラーを含有することを特徴とするハロゲン化カラー写真感光材料。
【0011】
【化7】
【0012】
式中、RA、RB、RC及びREは各々アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
【0022】
以下、本発明を更に詳細に述べる。
【0023】
一般式〔YI〕〜一般式〔Y II〕で表されるイエローカプラーについて説明する。
【0024】
前記一般式〔YI〕〜一般式〔Y II〕においてRA、RB及びRCで表されるアルキル基及びシクロアルキル基としては、直鎖或いは分岐のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、2−オクチルノニル基、シクロプロピル基等が挙げられる。
【0025】
これらRA、RB及びRCで表されるアルキル基、シクロアルキル基は更に置換原子、置換基を有することができ、これら置換原子、置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば塩素原子、弗素原子等)、アリール基(例えばフェニル基、p−t−オクチルフェニル基等)、アルコキシル基(例えばメトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基等)、アシルアミノ基(例えばアセチル基、ベンゾイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、ドデシルオキシカルボニル基等)、ヒドロキシル基等が挙げられる。
【0026】
ここで、RAとしては、分岐アルキル基が好ましく、t−ブチル基が特に好ましい。
【0027】
また、RBとしては、メチル基が特に好ましい。
【0028】
さらに、RCとしては、好ましくは無置換のアルキル基であり、炭素数10以上の直鎖または分岐アルキル基が特に好ましい。
【0029】
一般式〔YI〕〜一般式〔YV〕において、RD、RE及びRFで表されるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10の直鎖、分岐及び置換基を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基及びシクロプロピル基等が挙げられる。
【0030】
一般式〔YI〕〜一般式〔YV〕で表されるイエローカプラーは、いずれかの置換基において結合し、ビス体、トリス体、テトラキス体あるいはポリマー体を形成してもよい。
【0031】
一般式〔YI〕〜一般式〔YV〕で表されるイエローカプラーは容易に入手できる市販の化合物を出発原料として用い、従来公知の方法、例えば特開昭63−123047号及び特開平4−124661号等に記載されている方法に従い容易に合成することができる。
【0032】
次に本発明の一般式〔YI〕〜一般式〔Y II〕で表されるイエローカプラー(以下、本発明のイエローカプラーともいう)の代表的具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、参考例として一般式〔Y II 〕〜一般式〔YV〕で表される具体例も挙げる。
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】
【化13】
【0036】
【化14】
【0037】
【化15】
【0038】
合成例1(YI−1の合成)
α−ピバロイル−2−メトキシ−5−n−ヘキサデシルオキシカルボニルアセトアニリド69.7gをクロロホルム1000mlに溶解し、これに塩化スルフリル14.8gを滴下し、1時間撹拌した後、反応液を水洗、硫酸マグネシウムで脱水後、減圧下に溶媒を留去した。得られた残さをアセトン1000mlに溶解し、これに3−n−ブチルヒダントイン16g及び炭酸カリウム11.6gを加え、3時間加熱還流した。不溶物を濾別した後、5%炭酸カリウム水溶液及び希硫酸で水洗した。残さを300mlのメタノールから再結晶して目的とするカプラーYI−1を得た。収量51g(収率60%)
例示カプラーYI−1の構造は、NMR、IRおよびマススペクトルで確認した。
【0039】
合成例2(YIII−1の合成)
α−ピバロイル−2−メトキシ−5−n−ヘキサデシルオキシカルボニルアセトアニリド69.7gをクロロホルム1000mlに溶解し、これに塩化スルフリル14.8gを滴下し、1時間撹拌した後、反応液を水洗、硫酸マグネシウムで脱水後、減圧下に溶媒を留去した。得られた残さをアセトン1000mlに溶解し、これに4,4−ジメチルヒダントイン13g及び炭酸カリウム11.6gを加え、3時間加熱還流した。不溶物を濾別した後、5%炭酸カリウム水溶液及び希硫酸で水洗した。残さを300mlのメタノールから再結晶して目的とするカプラーYIII−1を得た。収量45g(収率55%)
例示カプラーYIII−1の構造は、NMR、IRおよびマススペクトルで確認した。
【0040】
例示カプラーYI−1、YIII−1以外の本発明のイエローカプラーの例示カプラーも、上記合成例に準じて合成した。
【0041】
本発明の感光材料に用いられるマゼンタ及びシアンカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得る如何なる化合物をも用いることができるが、代表的な物としては、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタカプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアンカプラーとして知られているものが挙げられる。
【0042】
本発明の感光材料に好ましく用いることのできるマゼンタカプラーとしては、特開平4−114154号12頁に記載の一般式(M−I)及び(M−II)で表されるカプラーを挙げることができ、具体的な化合物は同公報13〜16頁にMC−1〜MC−11として記載されているものが挙げられる。
【0043】
本発明の感光材料に好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、特開平4−114154号17頁に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表されるカプラーを挙げることができ、具体的な化合物例は、同公報18〜21頁にCC−1〜CC−9として記載されている。
【0044】
これらの中で好ましく用いられるシアンカプラーの一つは2−アシルアミノ−5−エチルフェノール系シアンカプラーであり、特開平2−251845号5頁右下欄〜6頁左上欄に記載の化合物であり、具体例としては、同公報6頁右上欄〜7頁左上欄のカプラーNo.II−1〜II−20を挙げることができる。このうち最も好ましく用いられるのはII−4で示される化合物である。好ましく用いられるシアンカプラーのもう一つのタイプは2,5−ジアシルアミノフェノール系シアンカプラーであり、これは特開平2−251845号3頁左上欄下から7行目〜右下欄4行目に記載された化合物であり、具体例としては同公報4頁左上欄〜5頁左下欄のカプラーNo.I−1〜I−31を挙げることができる。このうち最も好ましく用いられるのはI−2で示される化合物である。
【0045】
本発明の感光材料に用いられるカプラーを添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/又は水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、又は分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れることが好ましい。
【0046】
カプラー(及び後記の紫外線吸収剤や色濁り防止剤等の写真有用有機化合物)を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、100℃における蒸気圧が0.5mmHg以下の高沸点有機溶媒が好ましく、誘電率が6.0以下の化合物がより好ましい。誘電率とは30℃における誘電率を示す。具体的化合物例としては、特開昭63−103245号記載の化合物例II−1〜II−9、III−1〜III−6、特開平1−196048号記載の化合物例H−1〜H−22、特開昭64−66646号記載の化合物例II−1〜II−38を好ましく使用することができる。このうちジオクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジ−i−ドデシルフタレート等のフタル酸エステル、トリクレジルホスフェート等の燐酸エステル類が特に好ましい。
【0047】
低沸点有機溶媒としては酢酸エチルが好ましく用いられる。又、分散時に用いられる好ましい界面活性剤としては、1分子中に炭素原子数8〜30の疎水性基と−SO3M基もしくは−OSO3M基(Mは水素原子又はカチオンを表す)とを併せ持つ化合物を挙げることができる。好ましい界面活性剤の具体的化合物例としては、特開昭64−26854号55〜56頁に記載のアニオン性界面活性剤A−1〜A−11を、更に好ましくはA−11及びA−8が挙げられる。又、アルキル鎖に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。
【0048】
これらの界面活性剤は塗布液に添加することも好ましい。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤等を含有する塗布液に添加し塗布されるが、分散後10時間以内に塗布液に添加されることが好ましく、更に3時間以内、最も好ましくは20分以内に添加されることである。
【0049】
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号33頁に記載の化合物(d−11)、同公報35頁に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。又、これ以外にも米国特許4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることもできる。
【0050】
カプラーの塗布量としては、十分に高い濃度を得ることができれば、特に制限はないが、好ましくはハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜5モル、更に好ましくは1×10−2〜1モルの範囲で用いられる。
【0051】
本発明に用いるマゼンタカプラーには褪色防止剤を併用することが好ましい。この化合物の一つ目として、特開平2−66541号3頁に記載の一般式I及びIIで示されるフェニルエーテル系化合物が挙げられる。具体的化合物例としては、上記公報3〜5頁記載の化合物I−1〜I−32及びII−1〜II−18が挙げられる。このうち更に好ましい化合物はI−13及びII−9で示される化合物である。
【0052】
好ましく併用される褪色防止剤の二つ目として、特開平3−174150号記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物が挙げられる。このうち該公報記載の化合物III−1、III−12、III−13、III−14が更に好ましく、特に好ましいのはIII−14で示される化合物である。
【0053】
好ましく併用される褪色防止剤の三つ目として、特開昭64−90445号に示される一般式Aで示されるアミン系化合物が挙げられる。具体的化合物例としては、上記公報右上欄記載のA−1〜A−15が挙げられる。このうち更に好ましい化合物はA−3である。
【0054】
本発明に用いるシアンカプラーには褪色防止剤を併用することが好ましい。このうち好ましい褪色防止剤としては、特開平1−196049号8頁記載の一般式I′で示される化合物及び特開平5−11417号記載の化合物が挙げられる。更に好ましい化合物としては、該特許記載のI−10及びI−13で示される化合物である。これらのマゼンタ及びシアンカプラーに併用される褪色防止剤は、カプラーと同一オイル油滴中にカプラー1モルに対し0.1〜3モルの割合で添加されることが好ましく、更には0.5〜1.5モルの割合で添加されるのがより好ましい。
【0055】
褪色防止剤は異種の化合物を併用することが好ましく、特開平3−17450号記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物と特開平2−66541号3頁に記載の一般式I及びIIで示されるフェニルエーテル系化合物の併用が好ましい例として挙げられる。又、特開平3−17450号記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物と特開昭64−90445号に示される一般式Aで示されるアミン系化合物の併用も好ましい併用例である。
【0056】
本発明に用いる紫外線吸収剤としては、紫外部(400nm以下)に分光吸収極大波長を有し、分子吸光係数が5000以上の化合物が挙げられる。好ましい化合物としては、特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物及び特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物を挙げることができる。具体的化合物例としては、特開平1−250944号記載のIIIc−1〜IIIc−17、特開昭64−66646号記載のIII−1〜III−24、同63−187240号記載のUV−1L〜UV−22L、同公報記載のUV−1S〜UV−19S及び特開平4−1633号記載の化合物I−1〜I−23等を挙げることができる。中でも特に好ましい化合物として、特開平1−250944号15頁左上欄記載のIIIc−7及びIIIc−12、特開昭63−187240号記載の液状紫外線吸収剤UV−23Lが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は前記の分散方法により添加されるのが好ましいが、本発明においては紫外線吸収剤層に用いられる高沸点有機溶媒は紫外線吸収剤に対して重量比で0.3〜0の割合で添加される。好ましくは0.1〜0、最も好ましくは0の割合である。高沸点有機溶媒としては、前記カプラーの分散に使用される化合物が好ましく用いられる。
【0057】
本発明においては、紫外線吸収剤は非感光性層に含有されることが好ましい。更には支持体に対して最も離れた位置にあるハロゲン化銀乳剤層より更に離れた位置にある非感光性中間層及び支持体に対して最も離れた位置にある乳剤層と2番目に離れた位置にある乳剤層との中間の非感光性層である。
【0058】
本発明においては、支持体に対し最も離れた層、表面層に微粒子粉末(いわゆるマット剤)を添加することが好ましい。マット剤としては、特開平2−73250号4頁9行目〜20行目に記載の化合物が好ましく、最も好ましくは結晶性又は非結晶性シリカである。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。上記マット剤の粒子サイズは、平均粒径が1〜10μmが好ましく、2〜7μmがより好ましい。マット剤の塗布量としては0.021〜0.1g/m2、更に好ましくは0.025〜0.08g/m2である。
【0059】
又、表面層に高沸点有機溶媒を添加することが好ましい。表面層に添加する好ましい高沸点有機溶媒としては、100℃における蒸気圧が0.5mmHg以下の高沸点有機溶媒が好ましく、誘電率が6.0以下の化合物がより好ましい。具体的化合物例としては、前記カプラーの分散で述べたものがそのまま挙げられる。添加量としては1〜100mg/m2、好ましくは10〜50mg/m2である。
【0060】
本発明に係る感光材料には、光沢等の表面特性、べたつき感、くっつき耐性、滑り性、耐傷性等の表面物理特性を改良する目的で含弗素界面活性剤やオルガノポリシロキサンを添加してもよい。好ましい含弗素界面活性剤としては、特願平4−270425号記載の一般式(I)、(II)及び(III)で示される化合物が挙げられる。その中で特に好ましいものはFI−55,FI−81,FK−5,FK−13及びFK−23で示される化合物である。好ましいオルガノポリシロキサンとしては、特願平4−270425号記載の一般式(S1)、(S2)、(I)、(II)及び(III)で示される化合物が挙げられる。その中で特に好ましい化合物としては、S−7及びS−19で示される化合物が挙げられる。
【0061】
本発明では油溶性染料を使用することが好ましい。油溶性染料とは、20℃での水への溶解度が0.01以下の有機染料を言い、波長400nm以上での最大吸収波長の分子吸光係数が20000以上の化合物が好ましい。好ましい化合物としては、特開平2−842号26頁に示される一般式II及びIIIの化合物が挙げられる。好ましい具体的化合物例としては、該公報29〜32頁に記載の化合物1〜27が挙げられる。この中でも化合物4及び9が特に好ましい。油溶性染料は非感光性層に添加するのが好ましく、0.05〜5mg/m2の量で添加するのが好ましい。
【0062】
本発明では、感光材料中に蛍光増白剤を添加することが好ましい。蛍光増白剤としては、特開平2−232652号記載の一般式IIで示される化合物が好ましく、具体的化合物例としては、該18〜20頁に記載の化合物1〜6が挙げられる。このうち化合物No.3,1,5で示される化合物が特に好ましい。これらの蛍光増白剤は非感光性層に添加されるのが好ましい。添加量としては0.001〜0.3mg/m2が好ましく、更には0.1〜0.2mg/m2がより好ましい。
【0063】
本発明では、上記蛍光増白剤を補足し蛍光増白効果を増進させる水溶性重合体化合物を添加することが好ましい。好ましい化合物としては、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンを繰返し単位として含有するポリマーが挙げられる。これらは支持体に対して最も離れた紫外線吸収剤含有層及び/又は該層より更に離れた層に含有されるのが好ましい。
【0064】
本発明の感光材料には、イラジェーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する水溶性染料を用いることが好ましい。好ましいイラジェーション防止染料としては、特開昭62−253146号記載の一般式IIで示される化合物(具体的化合物例としては同公報12〜13頁記載の化合物II−1〜II−19)、特開昭64−26850号記載の一般式Iで示される化合物(具体的化合物例としては同公報7〜11頁記載の化合物No.1〜85)、特開平2−97940号に記載の一般式Iで示される化合物(具体的化合物例としては同公報5頁下段〜9頁上段記載のNo.1〜103で示される化合物)、特願平4−182885号3頁22行目〜5頁2行目記載の化合物が挙げられる。このうち特に好ましい化合物としては、特開昭64−26850号記載の一般式Iで示される化合物のNo.47、特開平2−97940号に記載の一般式Iで示される化合物No.54、特開平6−3770号記載の1,4,6,7,9で示される化合物である。
【0065】
イラジェーション防止染料は異種の最大吸収波長を有する染料を併用することが好ましく、600〜700nmに最大吸収を有する染料と500〜600nmに最大吸収波長を有する染料、400〜500nmに最大吸収波長を有する染料とを併用するのが好ましい。これらの染料はいずれの層に添加してもよいが、非感光性層に添加するのが好ましい。添加量としては、各々の化合物につき好ましくは1〜100mg/m2、更に好ましくは3〜60mg/m2である。
【0066】
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0067】
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該粒子は一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0068】
可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0069】
又、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行う装置などを用いてもよい。
【0070】
更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。又、メルカプト基を有する化合物、含窒素複素環化合物又は増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、又は粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0071】
ハロゲン化銀粒子を含有する乳剤は、ハロゲン化銀粒子の成長の終了後に不要な可溶性塩類を除去してもよいし、あるいは含有させたままでもよい。該塩類を除去する場合には、リサーチ・ディスクロージャ17643号記載の方法に基づいて行うことができる。
【0072】
本発明に使用されるハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることができる。好ましい一つの例は、{100}面を結晶表面として有する立方体である。
【0073】
又、米国特許4,183,756号、同4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21巻39頁(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子を作り、これを用いることもできる。更に、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0074】
本発明に使用されるハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる粒子を用いてもよいし、種々の形状の粒子が混合された物でもよい。
【0075】
ハロゲン化銀粒子の粒径は特に制限はないが、迅速処理性及び感度等、他の写真性能等考慮すると、好ましくは0.1〜1.6μm、更に好ましくは0.2〜1.2μmの範囲である。なお、上記粒子は当該技術分野において一般に用いられる各種の方法によって測定することができる。粒子径は、粒子の投影面積又は直径近似値を使って求めることができる。
【0076】
粒子が実質的に均一形状である場合には、粒子分布は直径又は投影面積を用いて可成り正確に表すことができる。ハロゲン化銀粒子の粒径分布は、多分散であってもよいし、単分散でもよい。好ましくはハロゲン化銀粒子の粒子分布において、その変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀である。ここで変動係数は粒径分布の広さを示す係数であり、下記によって定義される。
【0077】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、又、立方体や球状以外の形状の粒子の場合は、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
【0078】
本発明に使用されるハロゲン化銀粒子乳剤は、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩臭化銀、臭化銀あるいは塩化銀であるが、好ましくは実質的に沃化銀を含まない90モル%以上が塩化銀からなる塩臭化銀粒子又は塩化銀である。実質的に沃化銀を含まないとは、沃化銀含有量が0.5モル%以下のことをいい、好ましくは0.1モル%以下、更に好ましくは全く含有しないことである。又、塩化銀含有率は95モル%以上が好ましく、より好ましくは98モル%以上、更に好ましくは99モル%以上である。
【0079】
本発明に使用されるハロゲン化銀粒子が臭化銀を含有する塩臭化銀の場合には、ハロゲン化銀粒子内で組成が異なるコア/シェル粒子あるいは臭化銀局在相を粒子表面又は内部に有する粒子でも構わないが、好ましくは粒子内部から表面まで組成の均一なハロゲン化銀粒子である。
【0080】
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、その粒子形成又は物理熟成の過程において種々の金属塩又は、金属錯塩を導入することができる。
【0081】
使用する金属としては、周期律において第VIB族、第VIIB族、第VIII族、第IIB族、第IIIA族、第IVA族が挙げられ、上記の中でも好ましく用いられるものは、Mn,Fe,Co,Ni,Zn,Ga,Ge,Mo,Ru,Pd,Cd,In,Sn,W,Re,Os,Ir,Pt,Tl,Zn,Auの塩又は錯塩である。これらは単独あるいは併用して用いられる。
【0082】
好ましい金属塩又は錯塩は、特開平4−51232号、同4−131838号、同4−336537号、同6−102609号、同5−281638号、同6−102610号、同6−102641号等に記載されている。
【0083】
これらの化合物の添加量は、化合物の種類あるいは目的に応じて広範囲に亘るが、ハロゲン化銀1モルに対して10−11〜10−3モルが好ましく用いられる。
【0084】
本発明に使用されるハロゲン化銀粒子乳剤は、金化合物を用いる金増感法、カルコゲン増感剤を用いる(硫黄)増感法を組み合わせて用いることができる。
【0085】
金増感剤としては、塩化金酸、塩化金、チオ硫酸金などの他、各種の金錯体として添加することができる。用いられる酸化化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等が挙げられる。
【0086】
金増感剤の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、金化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常ハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−4モルが好ましく、更に好ましくは1×10−8〜1×10−5モルである。
【0087】
カルコゲン増感剤としては、硫黄増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤を用いることができるが、硫黄増感剤が好ましい。硫黄化合物としては、チオ硫酸塩、アリルチオカルバミド、チオ尿素、アリルイソチオシアナート、シスチン、p−トルエンスルホン酸塩、ローダニン、無機硫黄等が挙げられる。
【0088】
又、本発明の感光材料は還元増感を施すことができる。還元増感については公知の方法が知られており、例えば種々の還元剤を添加する方法、銀イオン濃度が高い条件で熟成する方法、高pHの条件で熟成する方法等を用いることができる。
【0089】
還元増感に用いる還元剤としては、塩化第一錫等の第一錫塩、トリ−t−ブチルアミンボラン等のボラン類、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩、アスコルビン酸等のレダクトン類、二酸化チオ尿素等を挙げることができる。
【0090】
この内、好ましく用いることができる化合物として、二酸化チオ尿素、アスコルビン酸及びその誘導体、亜硫酸塩を挙げることができる。熟成時の銀イオン濃度やpHを制御することにより還元増感を行う場合と比べ、上記のような還元剤を用いる方法は再現性に優れており好ましい。
【0091】
これらの還元剤は、水、アルコール等の溶媒に溶解してハロゲン化銀乳剤中に添加して熟成を行うか、あるいはハロゲン化銀粒子の形成時に添加して粒子形成と同時に還元増感を行ってもよい。
【0092】
これらの還元剤を添加する量は、ハロゲン化銀乳剤のpH、銀イオン濃度などに応じて調整する必要があるが、一般には、ハロゲン化銀乳剤1モル当たり10−7〜10−2モルが好ましい。
【0093】
還元増感後に還元増感核を修飾したり、残存する還元剤を失活させるために少量の酸化剤を用いてもよい。このような目的で用いられる化合物としては、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、ブロモサクシンイミド、p−キノン、過塩素酸カリウム、チオスルフィン酸、過酸化水素水等を挙げることができる。
【0094】
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、増感の過程においてハロゲン化銀溶剤を添加してもよい。好ましく用いられるハロゲン化銀溶剤は、チオシアン化合物類であり、例えばチオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸マグネシウム、チオシアン酸銀塩及びチオシアン酸アンモニウム等が挙げられる。
【0095】
増感時のpH、pAgは特に制限はなく、通常pH4.0〜11.0、pAg4.5〜8.5の範囲で行われる。
【0096】
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることができる。こうした目的に用いられる化合物の例として、下記一般式〔S〕で表される化合物を挙げることができる。
【0097】
【化16】
【0098】
式中、Qは5〜6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を表す。
【0099】
Qで表される5員複素環としては、例えばイミダゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、セレナゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトセレナゾール環、ベンゾオキサゾール環などが挙げられ、Qで表される6員複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環等が挙げられ、これらの5〜6員の複素環は置換基を有するものも含む。Mで表されるアルカリ金属原子としては、ナトリウム原子、カリウム原子等が挙げられる。
【0100】
一般式〔S〕で示されるメルカプト化合物のより好ましい構造は、特開平6−175263号の段落0016〜段落0032に記載される通りである。又、具体的化合物としては、同出願の段落0034〜段落0039に記載されるS−1−1〜S−4−8が挙げられる。又、特開平5−281683号の一般式〔I〕で表される化合物も好ましく、段落0026〜段落0028に1〜49として具体例が挙げられる。
【0101】
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができる。青感光性増感色素としては、特開平3−251840号108〜109頁に記載のBS−1〜8を単独で又は組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同明細書の110頁に記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。
【0102】
本発明の感光材料を半導体レーザーを用いたプリンターにより露光する場合には、赤外に感光性を有する増感色素を用いる必要があり、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号12〜14頁に記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられる。又、同特許14〜15頁に記載の強色増感剤SS−1〜SS−9をこれらの色素に組み合わせて用いるのが好ましい。
【0103】
本発明の感光材料をレーザーを用いて露光する場合には、半導体レーザーを用いた露光装置を用いるのが装置の小型化等の面で有利である。走査露光においては、一画素当たりの露光時間がハロゲン化銀乳剤が実際に受ける露光時間に対応するが、一画素当たりの露光時間とは、レーザー光による走査露光のような場合には、その光束の強度の空間的な変化において、光強度が最大値の1/2になる処を以て光束の外縁とし、走査線と平行であり、かつ光強度が最大となる点を通る線と光束の外縁の交わる2点間の距離を光束の径とした時、
(光束の径)/(走査速度)
を以て一画素当たりの露光時間と考えればよい。一画素当たりの露光時間が短くなるに従って、露光時間と発色濃度の関係は複雑になる傾向にあり、一画素当たりの露光時間の短い装置を用いた場合に本発明は特に有効である。
【0104】
こうしたシステムに適用可能と考えられるレーザープリンター装置としては、例えば特開昭55−4071号、同59−11062号、同63−197947号、特開平2−74942号、同2−236538号、特公昭56−14963号、同56−40822号、欧州広域特許77,410号、電子通信学科合技術研究報告80巻244号、及び映画テレビ技術誌1984/6(382)34〜36頁などに記載されているものがある。
【0105】
赤感性増感色素としては、下記一般式〔2〕及び一般式〔3〕で表されるシアニン色素が好ましく用いられる。
【0106】
【化17】
【0107】
式中、R1、R2、R3及びR4は、各々アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。L1、L2、L3、L4及びL5は、各々メチル基を表す。Z1、Z2、Z3及びZ4は、各々5又は6員の複素環核を完成するに必要な原子又は原子群を表す。Z5は6員炭素環を形成するに必要な原子群を表す。m1、m2、m3及びm4は、各々0又は1を表す。nは0又は1を表す。X−は酸アニオンを表す。Y1及びY2は、各々0又は1を表し、化合物が分子内塩を形成する場合、Y1及びY2は、各々0を表す。
【0108】
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤に用いる強色増感剤としては、例えばスチルベン、アザインデン、メルカプト複素環化合物、チオ尿素あるいはフェノール類とヘキサメチレンテトラミンの縮合物などの化合物を用いることができるが、複素環を含む9員環以上の環状化合物を用いることが好ましい。
【0109】
環状化合物としては、効果の点から脂肪族環及び/又は芳香族環及びエーテル結合を有するものが好ましく、更に環状化合物を形成する脂肪族環が4以下が好ましく、芳香族環を有する大環状化合物がより好ましい。
【0110】
代表的化合物としてはクラウンエーテル類であり、これら環状化合物の具体例は特開平6−175263号の段落0049〜段落0055に記載のS−1〜S−39を挙げることができる。
【0111】
本発明の感光材料には、バインダーとして分散用及び塗布液用にゼラチンを用いることが有利である。
【0112】
ゼラチンの製法については例えばT.H James;The Theoryof The Photographic Process,4th ed.(1977)55頁及び写真工学の基礎・銀塩写真編119〜124頁等に記載の方法により作製される。原料としては、牛骨(オセイン)、牛皮(ハイド)、豚皮(ピッグスキン)が使用されるが、好ましくは牛骨から調製されたものであるが、これらの内2種以上を混合してもよい。
【0113】
処理としては、アルカリ処理、酸処理、酸素処理などが行われるが、好ましくはアルカリ処理ゼラチンである。アルカリ処理ゼラチンの等電点は、4.5以上が好ましく、更に5以上がより好ましい。ゼラチンは通常イオン交換処理を行うことができるが、本発明ではカチオン、アニオン及び両イオン交換処理したゼラチンの内、用途によって適宜選択することが可能だが、両イオン交換したゼラチンが好ましい。又、過酸化水素処理したゼラチンも好ましく用いられる。
【0114】
過酸化水素処理はゼラチン調製工程のいずれで行ってもよい。例えばオセインに対して直接行ったり、アルカリ処理している最中やアルカリ処理後、あるいはゼラチン液として抽出した後に行ってもよい。本発明ではアルカリ処理中に過酸化水素水を添加することで調製されたゼラチンが好ましい。過酸化水素の添加量はオセイン1kg当たり、純H2O2として1〜100gの範囲で添加される。過酸化水素による反応はpH9.0以上で行われることが好ましい。
【0115】
ゼラチンの組成としては、低分子量成分が少ない方が、又、高分子量成分が多い方が好ましい。高及び低分子量成分の測定法については、特開平1−265247号2頁左下欄15行目〜3頁左上欄8行目に記載の方法を使うことができる。この方法に従う表示で高分子量成分が30%以上及び/又は低分子量成分が40%以下が、より好ましい。ゼラチンの分子量としては1万〜20万が適当である。
【0116】
ゼラチンのゼリー強度は高い方が好ましく、250以上であることがより好ましい。特に好ましいのは270以上である。
【0117】
ゼラチン中に含有される不純物であるイオン含有量は低い方が好ましく、例えばカルシウムイオンは5000ppm以下が好ましく、更に2000ppm以下が好ましい。ただし、乳剤によっては、4000〜5000ppmのカルシウムが存在した方が好ましいこともある。
【0118】
鉄や銅イオン等の重金属イオンはトータルで500ppm以下、各成分で10ppm以下が好ましい。特に鉄イオンは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である。
【0119】
又、ゼラチンの比旋光度は高い方が好ましく、150以上が好ましい。最上層に使用する場合には、比旋光度210以上が好ましい。
【0120】
ゼラチンの着色は少ない程良好であり、ゼラチンの10重量%水溶液の420nmにおける透過率が50%以上、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上のゼラチンが本発明には有利である。ゼラチンの透過率を上げるには、原料の選択、過酸化水素処理、イオン交換、キレート樹脂による吸着などが適宜行われる。
【0121】
本発明の感光材料に含まれるゼラチン量の総和は10.0g/m2以下が好ましく、更に好ましくは7.0g/m2以下であり、下限には制限はないが、物性もしくは写真性能の面から一般的には3.0g/m2以上であることがより好ましい。ゼラチンの量は、パギィー法に記載された水分の測定法で11.0%の水分を含有したゼラチンの重量に換算して求められる。
【0122】
本発明においてはバインダーの硬膜剤が使用される。硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤、クロロトリアジン型硬膜剤が好ましく用いられる。ビニルスルホン型硬膜剤としては、特開昭61−249054号25頁右上欄13行目〜27頁右上欄2行目に記載の化合物を好ましく用いることができる。更には、該公報26頁に記載の化合物H−12がより好ましい。クロロトリアジン系硬膜剤としては、特開昭61−245153号3頁左下欄1行目〜3頁右下欄下から4行目及び3頁右下欄下から4行目〜5頁左下欄記載の化合物が好ましく用いられる。更に上記公報4頁記載のXII−1で示される化合物がより好ましい。これら硬膜剤は異種の化合物を併用することが好ましく、又、どの層に添加してもよい。硬膜剤は、バインダーに対して0.1〜10重量%で用いられるのが好ましい。
【0123】
本発明においては、いずれかの層に防黴剤を添加することが好ましい。好ましい化合物としては、特開平3−157646号9頁に記載の一般式IIで示される化合物が好ましい。具体的化合物例としては、同特許に記載の化合物例No.9〜22が挙げられる。この内、特に好ましいものはNo.9で示される化合物である。
【0124】
本発明においては、防腐剤及び防黴剤を用いることができる。好ましい例としては、特開平3−157646号17頁右下欄16行目〜19頁左下欄に記載の化合物がある。
【0125】
本発明に使用される反射支持体としては、どのような材質を用いてもよく、白色顔料含有ポリエチレン被覆紙、バライタ紙、塩化ビニルシート、白色顔料を含有したポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体などを用いることができる。中でも白色顔料を含有するポリオレフィン樹脂層を表面に有する支持体が好ましい。
【0126】
反射支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/又は有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉珪酸、合成珪酸塩等のシリカ類、珪酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられるが、好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。白色顔料は水酸化アルミニウムやアルコール、界面活性剤等で表面処理されていてもよい。
【0127】
反射支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、耐水性樹脂層中での含有量として10重量%以上であることが好ましく、更には13重量%以上であることが好ましく、15重量%以上がより好ましい。紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定した時に、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、0.10以下であることが更に好ましい。紙支持体の表面はより平滑であることが好ましく、中心平均粗さ(SRa)が1.0μm以下であることが好ましい。SRaの算出法は特願平3−2576号に記載の式により算出される。
【0128】
本発明の支持体に用いられる原紙は一般的に用いられる材料から選ばれる。即ち、硫酸法晒針葉樹パルプ(NBKP)、硫酸法晒広葉樹パルプ(LBKP)、亜硫酸法晒針葉樹パルプ(NBSP)、亜硫酸法晒広葉樹パルプ(LBSP)等の天然パルプを1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。組み合わせ使用する場合の望ましいパルプの配合率は、広葉樹パルプ/針葉樹パルプの比が95/5〜60/40である。
【0129】
本発明では、原紙に以下に示す各種添加剤を添加し、耐水性等の紙力を増強させるのがよい。例えばサイズ剤としては、アルキルケテンダイマー脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン、アルケニル琥珀酸塩、アルキル琥珀酸塩及び多糖類等が用いられるが、好ましくはアルキルケテンダイマー脂肪酸塩が好ましく用いられる。これらはパルプ当たり0.2〜2%用いるのが好ましい。乾燥紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等が用いられるが、好ましくはカチオン化澱粉、アニオン化ポリアクリルアミドである。又、湿潤紙力増強剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂等が用いられるが、好ましくはエポキシ化ポリアミド樹脂である。又、一般的に、パルプ表面に水溶性高分子添加剤を含有する液で表面をタブサイズ又はサイズプレスされる。この水溶性高分子としては、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、ゼラチン等が用いられるが、好ましくはカチオン化澱粉及びポリビニルアルコールである。
【0130】
カブリ防止剤としては、特開昭55−103549号に記載の水溶性沃素化合物、同56−43637号に記載のマグネシウム、カルシウムあるいは亜鉛の弱酸塩又は酸化物、特開昭56−97343号に記載の分子量150以下の尿素化合物、特開平5−19405号に記載のマグネシウム化合物等が用いられる。これらの化合物の内、好ましくは水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛であり、パルプに対し0.1〜10重量%用いられることが好ましい。
【0131】
又、無機電解質として、食塩、芒硝などが用いられるが好ましくは食塩である。吸湿性物質としてグリセリン、ポリエチレングリコールなどが、pH調整剤として塩酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等が用いられ、その他、染料(青色染料、群青が好ましい)、蛍光増白剤、帯電防止剤、消泡剤等の添加剤が組み合わせて用いられる。パルプは適度に砕かれた後、必要に応じて前記添加剤を含有させたパルプスラリーとなり、長網抄紙機等の抄紙機により抄紙して乾燥及びスーパーカレンダー処理される。この乾燥の前又は後で表面サイズ処理が行われる。
【0132】
支持体は、前記のようにして得た原紙の両面にポリオレフィン樹脂を被覆したものが好ましい。このポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィンの単独重合体及びこれら各重合体の混合物であり、特に好ましいポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン又はそれらの混合物である。これらのポリオレフィンの分子量は特に制限はないが、一般的には2万〜20万の範囲にあるポリオレフィンが用いられる。ポリオレフィン樹脂被覆層の厚さについても特に制限はなく、通常は約15〜50μmの厚さである。支持体が紙支持体である場合、種々の形態の支持体を使用することができるが、例えば支持体の厚さが80〜180μmの薄手原紙、実開昭64−29550号等に記載の剥離接着型及び厚手原紙も用いることができる。又、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の支持体を用いた場合、透明、半透明、不透明の各タイプに白色顔料塗布量の調整等により製造することもできる。又、支持体の酸素透過率は2.0cc/m2・hr・atm以下であることが好ましい。
【0133】
本発明に使用される反射支持体として、無機及び/又は有機の白色顔料を含有して電子線照射により硬化された樹脂組成物層を、基体の少なくとも片面に有する印画紙支持体も高平滑、高鮮鋭性であり、好ましく用いられる。
【0134】
本発明に用いられる電子線硬化性塗布液は、電子線により硬化樹脂を生成しうる少なくとも1種の有機化合物と、顔料、好ましくは無機顔料とを主成分とし、必要によりその他の添加剤を含むものである。
【0135】
電子線照射によって重合硬化する有機化合物は、1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を含む不飽和化合物、例えばアクリル系及びメタクリル系オリゴマー、多官能性アクリル系及びメタクリル系モノマー、並びに1分子中に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む不飽和化合物、例えば単官能性アクリルモノマー、メタクリルモノマー及びビニルモノマーなどを包含する。
【0136】
これらの不飽和有機化合物は、電子線照射によりラジカルを発生して重合し、かつ分子間、及び分子内架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、硬化樹脂を生成する。
【0137】
代表的な樹脂としては、アクリロイル基、メタクリロイル基を両末端に有し、骨格がポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル及びポリカーボネートである化合物がある。
【0138】
アクリル系及びメタクリル系オリゴマーとしては、ポリウレタンのアクリル酸又はメタクリル酸エステル、ポリエーテルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステル、ビスフェノールAのアクリル酸又はメタクリル酸エステル、ポリエステルのマレイン酸又はフマル酸エステルなどを挙げることができる。又、多官能性アクリルモノマー及びメタクリルモノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、グリセロールトリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、イソシアマル酸ジアクリレート、イソシアマル酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパンポリアクリレートなどを挙げることができる。又、単官能性アクリルモノマー、メタクリルモノマー並びにビニルモノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、スチレン、N−ビニルピロリドン、ポリオキシエチレンフェノールのアクリル酸エステル、2−エチルヘキシルアクリレートなどを挙げることができる。
【0139】
なお、市販品として入手できるものとして、例えばアロニックスM−5700及びM−6100(ポリエステルアクリレート)、アロニックスM−1100及びM−1200(ウレタンアクリレート)、アロニックスM−101、102(単官能アクリレート)、アロニックスM−210、215(多官能アクリレート、以上いずれも東亜合成社製)やGE−510(エポキシ化合物:三菱ガス社製)が挙げられる。
【0140】
塗布液中には、有機溶媒に溶解又は分散した電子線硬化性有機化合物と均一に混合された顔料、通常は白色の無機顔料を含んでいる。白色無機顔料としては、前記反射支持体に用いられる白色顔料を、そのまま挙げることができる。
【0141】
塗布液中の白色無機顔料の含有量は、硬化樹脂被覆層の全固形分重量に対し20〜80重量%になるように設定されていることが好ましい。その含有量が20重量%より少なくなると、得られる印画紙上の写真画像の鮮鋭性が十分でなく、又、含有量が80重量%を超えると、得られる硬化樹脂被覆層の柔軟性が低下し、膜割れを生ずるようになる。白色無機顔料を電子線硬化性不飽和有機化合物中に分散するには、3本ロールミル(スリーロールミル)、2本ロールミル(ツーロールミル)、カウレスディゾルバー、ホモミキサー、サンドグラインダー、及び超音波分散機などを使用することができる。
【0142】
有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロベンゼン等を用いることができる。
【0143】
塗布方法としては、ローラーコート法を用いてもよく、或は、その代わりにシートの塗布に用いられる一般的方法、例えばバーコート法、エアードクターコート法、ブレードコート法、スクイズコート法、エアーナイフコート法、リバースロールコート法、トランスファーコート法などの何れを用いてもよい。又、ファウンテンコーターあるいはスリットオリフィスコーター方式を用いることもできる。
【0144】
本発明に用いられる電子線照射装置に格別の制限はなく、一般には、このような電子線照射用電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は100〜300kVが好ましく、吸収線量としては0.5〜10Mradが好ましい。
【0145】
塗布層の厚みとしては3〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜50μmが適当である。この範囲を外れると、塗布ムラを生じたり、硬化のために多大なエネルギーが必要となり、硬化が不充分になって品質上好ましくない。
【0146】
又、必要に応じて塗布液もしくは硬化後に鏡面ロールによる表面平滑化、又は絹目ロール等のマットロールによる表面マット化を施してもよい。
【0147】
本発明に用いられる支持体基体としては、一般に写真用支持体に用いられるものであれば全て使用できるが、通常は紙が用いられる。シート状基体として用いられる紙としては、例えば天然パルプ紙、合成パルプ紙、天然パルプと合成パルプの混抄紙等の他、各種の抄合せ紙が挙げられる。これらの紙基体には、一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、定着剤、充填剤、帯電防止剤、pH調整剤、顔料、染料等の添加剤が配合されていてもよい。更に、表面サイズ剤、表面紙力剤、帯電防止剤が表面塗布されていてもよい。
【0148】
本発明の感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接又は下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/又はその他の特性を向上するための1又は2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0149】
ハロゲン化銀乳剤を用いた感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては、2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0150】
作製されたプリント感光材料は、処理済みのネガフィルムを通して露光される。使用されるネガフィルムは種々のタイプのものが使用できる。又、種々の分光感度を有するネガフィルムが使用できる。好ましいネガフィルムとしてはコニカカラーSuperDD100が挙げられる。更に好ましくは、コニカImpressa50,フジリアラが挙げられる。又、露光時間は数十ミリ秒〜数十秒の広範囲の条件で露光される。この際の露光方法は通常の現像所で行われている種々の方法が使用できる。
【0151】
プリンターとして好ましく使用される機器としては、例えばコニカプリンターCRP−5N2、SCP−8015、KCP−7N3、グレタッグ3141プリンター、アグファMSPプリンター、コダックCLAS35プリンター等が挙げられる。又、引伸し機、エンラージャーを用いて大サイズのプリントを作製することも好ましく行われる。
【0152】
本発明において、露光から現像迄の時間はどのようなものであってもよいが、全体の処理時間を短くする上では短時間である方が好ましい。又、本発明に係る感光材料は、露光〜現像の時間が30秒以下の場合にも画像濃度の変化が小さく、高画質な画像を安定して得ることができる。
【0153】
本発明において用いられる芳香族1級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。代表的化合物例を以下に示す。
【0154】
CD−1:N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2:2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3:2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4:4−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアミノ)アニリン
CD−5:2−メチル−4−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアミノ)アニリン
CD−6:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
CD−7:N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミド
CD−8:N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリンCD−10:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ブトキシエチル)アニリン
CD−12:4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシプロピルアミノ)アニリン
これらの発色現像主薬は単独で用いてもよいし、又、公知のp−フェニレンジアミン誘導体と併用してもよい。
【0155】
発色現像主薬は、通常、現像液1リットル当たり1×10−2〜2×10−1モルの範囲で用いられ、迅速処理の観点からは発色現像液1リットル当たり1.5×10−2〜2×10−1モルの範囲で好ましく用いられる。
【0156】
本発明において用いる発色現像主薬としては、CD−5、CD−6、CD−9が好ましい。
【0157】
これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩の形で用いられるのが一般的である。
【0158】
本発明の好ましい現像液では、ベンジルアルコールを実質的に含まないことが好ましい。ここで実質的に含まないとは、ベンジルアルコールが2cc/リットル以下を示し、本発明では全く含まないことが最も好ましい。
【0159】
発色現像液には上記成分の他に以下の現像液成分を含有させることができる。アルカリ剤として、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メタ硼酸ナトリウム、メタ硼酸カリウム、燐酸3ナトリウム、燐酸3カリウム、硼砂や珪酸塩等を単独で又は組み合わせて、沈澱の発生がなく、pH安定化効果を維持する範囲内で併用することができる。更に調剤上の必要性から、あるいはイオン強度を高めるなどの目的で、燐酸水素2ナトリウム、燐酸水素2カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、硼酸塩等の各種の塩類を使用することができる。
【0160】
本発明においては、カラー発色現像液中に塩素イオンを2.5×10−2〜5×10−1モル/リットル含有することが好ましい。又、臭素イオンを2.0×10−5〜2.0×10−2モル/リットル含有することが好ましい。
【0161】
ここで塩素イオン及び臭素イオンは現像液中に直接添加されてもよく、現像処理中に感光材料から現像液に溶出してもよい。カラー現像液に直接添加される場合、塩素イオン供給物質として塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化リチウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化カルシウム、塩化カドミウム等が挙げられるが、そのうち好ましいものは、塩化ナトリウム、塩化カリウムである。又、現像液中に添加されている蛍光増白剤から供給されてもよい。
【0162】
臭素イオンの供給物質として臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化リチウム、臭化ニッケル、臭化マグネシウム、臭化マンガン、臭化カルシウム、臭化カドミウム、臭化セリウム、臭化タリウム等が挙げられるが、そのうち好ましいものは、臭化ナトリウム、臭化カリウムである。現像処理中に感光材料から溶出する場合、塩素イオンや臭素イオンは共に乳剤から供給されてもよく、乳剤以外から供給されてもよい。
【0163】
又、発色現像液には、従来保恒剤として用いられているヒドロキシルアミンに代えて、特開昭63−146043号、同63−146042号、同63−146041号、同63−146040号、同63−135938号、同63−118748号及び同63−179351号等に記載のヒドロキシルアミン誘導体及び特開昭64−62639号及び特開平1−303438号等に記載のヒドロキサム酸類、ヒドラジン類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、4級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが有機保恒剤として好ましく用いられる。
【0164】
これらの化合物と、従来より用いられているヒドロキシルアミン及び前記有機保恒剤を組み合わせて用いることもできるが、好ましくはヒドロキシルアミンを用いない方が現像特性の上から好ましい。
【0165】
更に又、必要に応じて現像促進剤も用いることができる。現像促進剤としては、米国特許2,648,604号、同3,671,247号、特公昭44−9503号等記載されている各種のピリジニウム化合物や、その他のカチオン性化合物、フェノサフラニンのようなカチオン性色素、硝酸タリウムのような中性塩、米国特許2,533,990号、同2,531,832号、同2,950,970号、同2,577,127号及び特公昭44−9504号等に記載のポリエチレングリコールやその誘導体、ポリチオエーテル類等のノニオン性化合物、特公昭44−9509号に記載の有機溶剤や有機アミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が含まれる。又、米国特許2,304,925号に記載されているフェネチルアルコール、その他、アセチレングリコール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ピリジン、アンモニア、ヒドラジン、チオエーテル類、アミン類等が挙げられる。
【0166】
更に必要に応じて、エチレングリコール、メチルセロソルブ、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、β−シクロデキストリン、p−トルエンスルホン酸、その他特公昭47−33378号、同44−9509号等に記載の化合物を、現像主薬の溶解度を上げるための溶解補助剤として使用することができる。
【0167】
更に、現像主薬と共に補助現像剤を使用することもできる。補助現像剤としては、例えばN−メチル−p−アミノフェノール硫酸塩、フェニドン、N,N−ジエチル−p−アミノフェノール塩酸塩、N,N,N′,N′−テトラメチル−p−フェニレンジアミン塩酸塩等が知られており、その添加量としては、通常、現像液1リットル当たり0.01〜1.0g用いられる。この他にも、必要に応じて競合カプラー、かぶらせ剤、現像抑制剤放出型カプラー(DIRカプラー)、現像抑制剤放出化合物等を添加することができる。
【0168】
更に又、その他のステイン防止剤、スラッジ防止剤、重層効果促進剤等の各種添加剤を用いることができる。
【0169】
上記発色現像液の各成分は、一定量の水に順次添加・撹拌して調製することができる。この場合、水に対する溶解性の低い成分は、トリエタノールアミン等の前記の有機溶媒等と混合して添加することができる。又、より一般的には、それぞれが安定に共存し得る複数の成分を濃厚水溶液、又は固体状態で小容器に予め調製したものを水中に添加、撹拌することにより発色現像液を調製することもできる。
【0170】
発色現像液中の亜硫酸塩濃度は、1×10−2モル/リットル以下が好ましい。
【0171】
特に0を含み7×10−3モル/リットル以下の場合に良好であり、とりわけ0を含み5×10−3モル/リットル以下が好ましい。
【0172】
本発明においては、発色現像液を任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0173】
発色現像の処理温度は、25〜70℃が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からは余り高くない方が好ましく、25〜50℃で処理することが好ましい。発色現像時間は、70〜240秒であることが好ましい。70秒より短い場合は連続処理時の最高濃度が不安定になり、又、240秒より長い場合には発色現像液中にスラッジが発生し易い欠点がある。好ましくは90〜220秒の範囲である。
【0174】
発色現像液の補充量は、感光材料1リットル当たり200cc以下が好ましく、より好ましくは20〜180ccであり、特に好ましくは20〜165ccである。
【0175】
処理工程は、実質的に発色現像工程、漂白定着工程、水洗工程(水洗代替の安定化処理を含む)からなるが、仕上がり効果を損なわない範囲において工程を付け加えたり同等の意味を持つ工程に置き換えることができる。例えば、漂白定着工程は、漂白工程と定着工程に分離したり、漂白定着工程の前に漂白工程を置くことも可能である。本発明の感光材料の処理工程としては、発色現像工程後、直ちに漂白定着工程を設けることが好ましい。
【0176】
漂白定着液に使用することができる漂白剤は限定されないが、有機酸の金属錯塩であることが好ましい。該錯塩は、ポリカルボン酸、アミノポリカルボン酸又は、蓚酸、枸櫞酸等の有機酸が鉄、コバルト、銅等の金属イオンに配位したものである。このような有機酸の金属錯塩を形成するために用いられる最も好ましい有機酸としては、ポリカルボン酸又はアミノポリカルボン酸が挙げられる。これらのポリカルボン酸又はアミノポリカルボン酸は、アルカリ金属塩、アンモニウム塩もしくは水溶性アミン塩であってもよい。これらの具体的化合物としては、特開平1−205262号58〜59頁に記載の化合物2〜20を挙げることができる。
【0177】
これらの漂白剤は漂白定着液1リットル当たり5〜450gが好ましく、より好ましくは20〜250gで使用する。
【0178】
漂白定着液には前記の如き漂白剤以外にハロゲン化銀定着剤を含有し、必要に応じて保恒剤として亜硫酸塩を含有する組成の液が適用される。又、エチレンジアミン四酢酸鉄(III)塩漂白剤とハロゲン化銀定着剤の他に、臭化アンモニウムの如きハロゲン化物を多量に添加した組成からなる漂白定着液、更にはエチレンジアミン四酢酸鉄(III)塩漂白剤と多量の臭化アンモニウムの如きハロゲン化物との組合せからなる組成の特殊な漂白定着液などを用いることができる。
【0179】
上記ハロゲン化物としては、臭化アンモニウムの他に塩酸、臭化水素酸、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム、沃化アンモニウム等を用いることもできる。
【0180】
漂白定着液に含まれる前記ハロゲン化銀定着剤としては、通常の定着処理に用いられるようなハロゲン化銀と反応して水溶性の錯塩を形成する化合物、例えばチオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムの如きチオ硫酸塩、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムの如きチオシアン酸塩、チオ尿素、チオエーテル等がその代表的なものである。
【0181】
これらの定着剤は、漂白定着液1リットル当たり5g以上、溶解できる範囲の量で使用するが、一般には70〜250gで使用する。
【0182】
なお、漂白定着液には、硼酸、硼砂、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム等の各種pH緩衝剤を、単独あるいは2種以上を組み合わせて含有させることができる。更に又、各種の蛍光増白剤や消泡剤あるいは界面活性剤を含有させることもできる。又、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、アルデヒド化合物の重亜硫酸付加物などの保恒剤、アミノポリカルボン酸等の有機キレート剤あるいはニトロアルコール、硝酸塩などの安定剤、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒などを適宜含有させることができる。
【0183】
漂白定着液には、特開昭46−280号、特公昭45−8506号、同46−556号、ベルギー特許770,910号、特公昭45−8836号、同53−9854号、特開昭54−71634号及び同49−42349号等に記載される種々の漂白促進剤を添加することができる。
【0184】
漂白定着液のpHは4.0以上で用いられるのが好ましく、一般には4.0〜9.5の範囲で使用され、望ましくは4.5〜8.5で使用される。最も好ましくはpH5.0〜8.5の範囲で用いられる。処理温度は80℃以下が好ましく、望ましくは55℃以下で蒸発などを抑えて使用する。漂白定着の処理時間は240秒以下が好ましい。
【0185】
本発明に使用される現像処理においては、発色現像、漂白定着に続いて水洗処理が施されるが、以下、水洗処理の好ましい実施態様について説明する。
【0186】
水洗液に好ましく用いられる化合物としては、鉄イオンに対するキレート安定化定数が8以上であるキレート剤が挙げられる。ここにキレート安定化定数とは、L.G.Sillen&A.E.Martell著「Stability Constants of Metalion Complexes」,The Chemical Society,London(1964)やS.Chaberek&A.E.Martell著「Organic Sequestering Agents」,Wiley(1959)等により一般に知られた定数を意味する。
【0187】
鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤としては、有機カルボン酸キレート剤、有機燐酸キレート剤、無機燐酸キレート剤、ポリヒドロキシ化合物などが挙げられる。なお、上記鉄イオンは第2鉄イオンを意味する。第2鉄イオンとのキレート安定度定数が8以上であるキレート剤の具体的化合物としては、特開平1−205162号63頁15行目〜64頁17行目に記載の化合物を挙げることができる。
【0188】
上記キレート剤の使用量は水洗液1リットル当たり0.01〜50gが好ましく、0.05〜20gがより好ましい。
【0189】
更に水洗液に添加する化合物として、アンモニウム化合物が特に好ましい。これらは各種の無機化合物のアンモニウム塩によって供給されるが、具体的には、特開平1−205162号65頁5行目〜66頁11行目に記載の化合物が挙げられる。
【0190】
アンモニウム化合物の添加量は、水洗液1リットル当たり1.0×10−5モル以上が好ましく、より好ましくは0.001〜5.0モルの範囲であり、特に好ましくは0.002〜1.0モルの範囲である。
【0191】
又、水洗液にバクテリアの発生等がない範囲で亜硫酸塩を含有することが望ましい。水洗液に含有させる亜硫酸塩は亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物など如何なるものでもよいが、好ましくは無機塩であり、具体的化合物として亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム及びハイドロサルファイト、グルタルアルデヒドビス重亜硫酸ナトリウム、琥珀酸アルデヒドビス重亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0192】
亜硫酸塩は、水洗液1リットル中に少なくとも1.0×10−5モル添加されることが好ましく、5×10−5〜1.0×10−1モルがより好ましい。添加方法は水洗液に直接添加してもよいが、水洗補充液に添加して置くことが好ましい。
【0193】
本発明において用いられる水洗液は、防黴剤を含有することが望ましく、これによって硫化防止、画像保存性の向上などを果たすことができる。このような防黴剤としては、ソルビン酸、安息香酸系化合物、フェノール系化合物、チアゾール系化合物、ピリジン系化合物、グアジニン系化合物、モルホリン系化合物、4級ホスホニウム系化合物、アンモニウム系化合物、尿素系化合物、イソオキサゾール系化合物、プロパノールアミン系化合物、スルファミド系化合物、ピロノン系化合物及びアミノ系化合物である。具体的な化合物としては、特開平1−205162号68頁10行目〜72頁16行目に記載の化合物が挙げられる。これらの化合物の中で特に好ましく用いられる化合物は、チアゾール系化合物、スルファミド系化合物、ピロノン系化合物である。
【0194】
水洗液への防黴剤の添加量は、水洗液1リットル当たり0.001〜30gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.003〜5gで用いられる。
【0195】
本発明において用いられる水洗液には、キレート剤と併用して金属化合物を含有することが好ましい。係る金属化合物としては、Ba、Ca、Ce、Co、In、La、Mn、Ni、Bi、Pb、Sn、Zn、Ti、Zr、Mg、Al、Srの化合物を挙げることができる。これらの金属化合物はハロゲン化物、硫酸塩、炭酸塩、燐酸塩、酢酸塩等の無機、有機の塩や水酸化物あるいは水溶性キレート化合物として供給できる。
【0196】
これらの化合物の添加量としては、水洗液1リットル当たり1.0×10−4〜1.0×10−1モルが好ましく、4.0×10−4〜2.0×10−2モルがより好ましい。
【0197】
水洗液に含有するものとしては、上記の他にアルデヒド基を有する化合物を用いてもよい。具体的な化合物としては、特開平1−205162号73頁〜75頁に記載された例示化合物1〜32を挙げることができる。
【0198】
このアルデヒド基を有する化合物は水洗液1リットル当たり0.1〜50gの範囲で用いられることが好ましく、特に0.5〜10gの範囲で用いられることが好ましい。
【0199】
又、本発明において用いられる水洗水にはイオン交換樹脂により処理したイオン交換水を用いてもよい。
【0200】
本発明に適用できる水洗水のpHは5.5〜10.0の範囲が好ましい。適用できるpH調整剤は、一般に知られているアルカリ剤、酸剤の如何なるものも使用することができる。
【0201】
水洗処理の処理温度は15〜60℃が好ましく、20〜45℃の範囲がより好ましい。又、水洗処理時間は240秒以下が好ましい。複数槽で水洗処理を行う場合には、前の槽ほど短時間で処理し、後の槽ほど処理時間が長いことが好ましい。特に前槽の20〜50%増しの処理時間で順次処理することが好ましい。
【0202】
水洗処理工程での水洗液の供給方法は、多槽カウンターフローカレント方式の場合、後浴に供給して前浴にオーバーフローさせることが好ましい。勿論、単槽で処理することもできる。上記化合物を添加する方法としては、水洗槽に濃厚液として添加するか、又は水洗槽に供給する水洗液に上記化合物及びその他の添加剤を加え、これを水洗補充液とする等の各種の方法が用いられる。
【0203】
本発明に使用される水洗工程における水洗水量は、感光材料単位面積当り前浴(通常漂白定着液又は定着液)の持込み量の0.1〜50倍が好ましく、特に0.5〜30倍が好ましい。
【0204】
水洗処理における水洗槽は1〜5槽であることが好ましく、1〜3槽がより好ましい。
【0205】
感光材料の現像処理装置としては、公知の如何なる方式の装置を用いてもよい。具体的には、処理槽に配置されたローラーに感光材料を挟んで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給すると共に感光材料を搬送する方式や、処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。
【0206】
本発明においては、これらの発色現像〜乾燥工程で多量の感光材料を処理ランニングし、処理液への感光材料からの成分溶出や処理槽間のコンタミネーションや処理液の蒸発が飽和、一定化した後に処理した場合に、特に効果が発揮される。
【0207】
これら露光〜乾燥処理のプロセスは、例えば大型ラボ用のカラー自動現像機により処理される。好ましい機器の具体例としては、例えばノーリツPRV2−406、PRV2−212、PRV2−416が挙げられる。又、ミニラボシステムにより処理されてもよく、好ましい機器としては例えばコニカナイスプリントシステムNPS−602QA、ノーリツQSS−1401、フジFA−120等が挙げられる。
【0208】
又、環境適性上、ACR−40による廃液リサイクルが可能な、コニカナイスプリントシステムFriendySQA−Zシステムにより処理されてもよい。
【0209】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。
【0210】
実施例1
カナディアンスタンダードフリーネス(JIS P−8121−76)が250ccになるまで叩解した針葉樹亜硫酸法晒パルプ(NBSP)20%と、上記フリーネス280ccまで叩解した広葉樹亜硫酸法晒パルプ(LBSP)80%とを混合し、濃度1%のパルプスラリーを調製した。
【0211】
このパルプスラリー中に、カチオン化澱粉、アルキルケテンダイマー樹脂、アニオン性ポリアクリルアミド樹脂及びポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を添加した。十分に分散した後、これに水酸化マグネシウムを抄紙後の最終含有量が固形分全量に対し5重量%になるように添加した。
【0212】
上記原料のスラリーから抄紙し、米秤量170g/m2の紙基体を製造した。
【0213】
紙基体の表裏両面にコロナ放電処理を施した後、裏面に高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを樹脂温度330℃で押出塗布し、30μm厚の裏面樹脂被覆層を形成した。
【0214】
この反射支持体に、表1及び表2に示す構成の各層を塗設し、多層カラー感光材料No.1〜No37を作製した。塗布液は下記の如く調製した。
【0215】
第1層塗布液
イエローカプラー(表3に記載)0.04モル、ステイン防止剤(HQ−4)0.67g及び高沸点有機溶媒(DNP)6.67gに酢酸エチル60ccを加え溶解し、この溶液を20%界面活性剤(SU−1)7ccを含有する10%ゼラチン水溶液220ccに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製した。この分散液を下記条件にて作製した青感性ハロゲン化銀乳剤と混合し第1層塗布液を調製した。
【0216】
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に調製した。
【0217】
又、硬膜剤として第2層及び第4層に(H−1)を、第7層に(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。
【0218】
【表1】
【0219】
【表2】
【0220】
【化18】
【0221】
【化19】
【0222】
【化20】
【0223】
【化21】
【0224】
【化22】
【0225】
【化23】
【0226】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオ
ロペンチル)・ナトリウム塩
DBP :ジブチルフタレート
DNP :ジノニルフタレート
DOP :ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
PVP :ポリビニルピロリドン
H−1 :テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ30分かけて同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ180分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0227】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200cc
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200cc
(C液)
K2IrCl6 2×10−8モル/モルAg
塩化ナトリウム 102.7g
K4Fe(CN)6 1×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600cc
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600cc
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.85μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−1を得た。
【0228】
上記EMP−1に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を得た。
【0229】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤 STAB−3 8×10−4モル/モルAgX
増感色素 BS−1 4×10−4モル/モルAgX
増感色素 BS−2 1×10−4モル/モルAgX
(緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.43μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−2を得た。
【0230】
上記EMP−2に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を得た。
【0231】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤 STAB−1 6×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 GS−1 4×10−4モル/モルAgX
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−3を得た。
【0232】
上記EMP−3に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を得た。
【0233】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤 STAB−1 6×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 RS−1 1×10−4モル/モルAgX
強色増感剤 RSS−1 3×10−3モル/モルAgX
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
【0234】
【化24】
【0235】
各試料を常法通り白色光楔露光した後、下記現像処理工程に従って処理した。
尚、補充量は感材1m2処理するごとに補充する量を示す。
【0236】
処理工程 処理温度 時間 補充量
発色現像 38.0±0.3℃ 45秒 80cc
漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 120cc
安 定 化 30〜34℃ 60秒 150cc
乾 燥 60〜80℃ 30秒
現像処理液の組成を下記に示す。
【0237】
発色現像液タンク液及び補充液 タンク液 補充液
純水 800cc 800cc
トリエチレンジアミン 2g 3g
ジエチレングリコール 10g 10g
臭化カリウム 0.01g −
塩化カリウム 3.5g −
亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g
N−エチル−N−(βメタンスルホンアミドエチル)
−3−メチル−4−アミノアニリン硫酸塩 6.0g 10.0g
N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 6.8g 6.0g
トリエタノールアミン 10.0g 10.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体)
2.0g 2.5g
炭酸カリウム 30g 30g
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.10に、補充液はpH=10.60に調整する。
【0238】
漂白定着液タンク液及び補充液
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100cc
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5cc
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=6.5に調整する。
【0239】
安定化液タンク液及び補充液
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整する。
【0240】
得られた発色試料の感度、カブリ、最高濃度を以下の様に測定した。結果を表3に示す。
【0241】
〈感度〉
カブリ+0.5の青色光濃度を与えるのに必要な露光量の逆数より求め、試料No.1を100とする相対値で示した
〈カブリ〉
各試料の青色光による最低反射濃度(Dmin)をPDA−65濃度計(コニカ株式会社製)を用いて測定しカブリの値とした。
【0242】
〈最高濃度〉
各試料の青色光による最高濃度(Dmax)をPDA−65濃度計(コニカ株式会社製)を用いて測定した。
【0243】
また、得られた各試料についてウェッジ露光した後、前記処理工程中の発色現像処理時間を30秒とした以外は同様の工程により処理し、青色光による最高濃度(Dmax′)を測定することにより各試料の迅速処理性を評価した。結果を併せて表3に示す。
【0244】
【化25】
【0245】
【表3】
【0246】
表3からも明らかなように比較カプラーYY−1を使用した試料No.1は、感度及び最高濃度が不十分であり、また迅速処理時の最高濃度(Dmax′)すなわち迅速処理性も不十分である。一方、比較カプラーYY−2を使用した試料No.2及び比較カプラーYY−3を使用した試料No.3は、感度及び最高濃度は良好であるが、カブリ及び迅速処理性が不十分である。これに対し、本発明のカプラーを使用した試料No.4〜試料No.33は、何れも感度、最高濃度及び迅速処理性が良好であり、しかもカブリも少ない。
【0247】
【発明の効果】
本発明によるハロゲン化銀カラー写真感光材料は、発色性に優れ、カブリが少なく、しかも迅速処理性にも優れた効果を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)に関し、詳しくは感光材料の発色性に優れ、カブリが少なく、しかも迅速処理性にも優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
直接鑑賞用に供されるハロゲン化銀カラー写真感光材料、例えばカラー印画紙等においては、色素画像を形成する発色剤として、通常イエローカプラー、マゼンタカプラー及びシアンカプラーの組合せが用いられる。これらのカプラーには、発色性がに優れること、カブリが低いこと、色素画像の色再現性及び保存耐久性が良好であること等の性能が要求されるが、特に近年、カラー撮影用及びプリント用感光材料においては、プリント工程及び現像処理工程が短縮、迅速化されてきており、迅速処理が可能であることが益々強く要求されるようになった。
【0003】
カラー写真感光材料の1成分としてイエローカプラーが用いられるが、当業界では少量の銀で最大の色素濃度と写真感度を得るため2当量イエローカプラーが用いられており、この2当量イエローカプラーの場合、活性点置換基として、例えば特開昭50−87650号及び米国特許3,408,194号等に記載のアリールオキシ基、特開昭51−131325号に記載のオキサゾリルオキシ基、同51−139333号に記載のクロマン−4−オキシ基、同52−43426号のテトラゾリルオキシ基、同52−115219号に記載の含窒素複素環基、特公昭51−33410号に記載のウラゾール基、ヒダントイン基、米国特許3,227,554号に記載のアリールチオ基等が知られている。
【0004】
一方、ハロゲン化銀写真感光材料の進歩に従ってカプラーの性能に対する要求は益々厳しくなっており、前記2当量イエローカプラーについても発色効率の向上が求められている。このためカプラー分子の設計上、様々の工夫が試みられ、例えばバラスト成分にアルコキシカルボニル基又はN−置換もしくは無置換のアルキルスルホンアミド基やアリールスルホンアミド基の導入による発色性の改善が提案されているが、十分に改善されているとは言えない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発色性に優れ、カブリが少なく、しかも迅速処理性にも優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0007】
1.支持体上に青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層、及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を含む写真構成層を有し、該青感性ハロゲン化銀乳剤層に下記一般式〔YI〕で表されるイエローカプラーを含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0008】
【化6】
【0009】
式中、RA、RB及びRCは各々アルキル基又はシクロアルキル基を表し、RDは無置換のアルキル基を表す。
【0010】
2.支持体上に青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層、及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を含む写真構成層を有し、該青感性ハロゲン化銀乳剤層に下記一般式〔YII〕で表されるイエローカプラーを含有することを特徴とするハロゲン化カラー写真感光材料。
【0011】
【化7】
【0012】
式中、RA、RB、RC及びREは各々アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
【0022】
以下、本発明を更に詳細に述べる。
【0023】
一般式〔YI〕〜一般式〔Y II〕で表されるイエローカプラーについて説明する。
【0024】
前記一般式〔YI〕〜一般式〔Y II〕においてRA、RB及びRCで表されるアルキル基及びシクロアルキル基としては、直鎖或いは分岐のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、2−オクチルノニル基、シクロプロピル基等が挙げられる。
【0025】
これらRA、RB及びRCで表されるアルキル基、シクロアルキル基は更に置換原子、置換基を有することができ、これら置換原子、置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば塩素原子、弗素原子等)、アリール基(例えばフェニル基、p−t−オクチルフェニル基等)、アルコキシル基(例えばメトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基等)、アシルアミノ基(例えばアセチル基、ベンゾイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、ドデシルオキシカルボニル基等)、ヒドロキシル基等が挙げられる。
【0026】
ここで、RAとしては、分岐アルキル基が好ましく、t−ブチル基が特に好ましい。
【0027】
また、RBとしては、メチル基が特に好ましい。
【0028】
さらに、RCとしては、好ましくは無置換のアルキル基であり、炭素数10以上の直鎖または分岐アルキル基が特に好ましい。
【0029】
一般式〔YI〕〜一般式〔YV〕において、RD、RE及びRFで表されるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10の直鎖、分岐及び置換基を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基及びシクロプロピル基等が挙げられる。
【0030】
一般式〔YI〕〜一般式〔YV〕で表されるイエローカプラーは、いずれかの置換基において結合し、ビス体、トリス体、テトラキス体あるいはポリマー体を形成してもよい。
【0031】
一般式〔YI〕〜一般式〔YV〕で表されるイエローカプラーは容易に入手できる市販の化合物を出発原料として用い、従来公知の方法、例えば特開昭63−123047号及び特開平4−124661号等に記載されている方法に従い容易に合成することができる。
【0032】
次に本発明の一般式〔YI〕〜一般式〔Y II〕で表されるイエローカプラー(以下、本発明のイエローカプラーともいう)の代表的具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、参考例として一般式〔Y II 〕〜一般式〔YV〕で表される具体例も挙げる。
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】
【化13】
【0036】
【化14】
【0037】
【化15】
【0038】
合成例1(YI−1の合成)
α−ピバロイル−2−メトキシ−5−n−ヘキサデシルオキシカルボニルアセトアニリド69.7gをクロロホルム1000mlに溶解し、これに塩化スルフリル14.8gを滴下し、1時間撹拌した後、反応液を水洗、硫酸マグネシウムで脱水後、減圧下に溶媒を留去した。得られた残さをアセトン1000mlに溶解し、これに3−n−ブチルヒダントイン16g及び炭酸カリウム11.6gを加え、3時間加熱還流した。不溶物を濾別した後、5%炭酸カリウム水溶液及び希硫酸で水洗した。残さを300mlのメタノールから再結晶して目的とするカプラーYI−1を得た。収量51g(収率60%)
例示カプラーYI−1の構造は、NMR、IRおよびマススペクトルで確認した。
【0039】
合成例2(YIII−1の合成)
α−ピバロイル−2−メトキシ−5−n−ヘキサデシルオキシカルボニルアセトアニリド69.7gをクロロホルム1000mlに溶解し、これに塩化スルフリル14.8gを滴下し、1時間撹拌した後、反応液を水洗、硫酸マグネシウムで脱水後、減圧下に溶媒を留去した。得られた残さをアセトン1000mlに溶解し、これに4,4−ジメチルヒダントイン13g及び炭酸カリウム11.6gを加え、3時間加熱還流した。不溶物を濾別した後、5%炭酸カリウム水溶液及び希硫酸で水洗した。残さを300mlのメタノールから再結晶して目的とするカプラーYIII−1を得た。収量45g(収率55%)
例示カプラーYIII−1の構造は、NMR、IRおよびマススペクトルで確認した。
【0040】
例示カプラーYI−1、YIII−1以外の本発明のイエローカプラーの例示カプラーも、上記合成例に準じて合成した。
【0041】
本発明の感光材料に用いられるマゼンタ及びシアンカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得る如何なる化合物をも用いることができるが、代表的な物としては、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタカプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアンカプラーとして知られているものが挙げられる。
【0042】
本発明の感光材料に好ましく用いることのできるマゼンタカプラーとしては、特開平4−114154号12頁に記載の一般式(M−I)及び(M−II)で表されるカプラーを挙げることができ、具体的な化合物は同公報13〜16頁にMC−1〜MC−11として記載されているものが挙げられる。
【0043】
本発明の感光材料に好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、特開平4−114154号17頁に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表されるカプラーを挙げることができ、具体的な化合物例は、同公報18〜21頁にCC−1〜CC−9として記載されている。
【0044】
これらの中で好ましく用いられるシアンカプラーの一つは2−アシルアミノ−5−エチルフェノール系シアンカプラーであり、特開平2−251845号5頁右下欄〜6頁左上欄に記載の化合物であり、具体例としては、同公報6頁右上欄〜7頁左上欄のカプラーNo.II−1〜II−20を挙げることができる。このうち最も好ましく用いられるのはII−4で示される化合物である。好ましく用いられるシアンカプラーのもう一つのタイプは2,5−ジアシルアミノフェノール系シアンカプラーであり、これは特開平2−251845号3頁左上欄下から7行目〜右下欄4行目に記載された化合物であり、具体例としては同公報4頁左上欄〜5頁左下欄のカプラーNo.I−1〜I−31を挙げることができる。このうち最も好ましく用いられるのはI−2で示される化合物である。
【0045】
本発明の感光材料に用いられるカプラーを添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/又は水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、又は分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れることが好ましい。
【0046】
カプラー(及び後記の紫外線吸収剤や色濁り防止剤等の写真有用有機化合物)を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、100℃における蒸気圧が0.5mmHg以下の高沸点有機溶媒が好ましく、誘電率が6.0以下の化合物がより好ましい。誘電率とは30℃における誘電率を示す。具体的化合物例としては、特開昭63−103245号記載の化合物例II−1〜II−9、III−1〜III−6、特開平1−196048号記載の化合物例H−1〜H−22、特開昭64−66646号記載の化合物例II−1〜II−38を好ましく使用することができる。このうちジオクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジ−i−ドデシルフタレート等のフタル酸エステル、トリクレジルホスフェート等の燐酸エステル類が特に好ましい。
【0047】
低沸点有機溶媒としては酢酸エチルが好ましく用いられる。又、分散時に用いられる好ましい界面活性剤としては、1分子中に炭素原子数8〜30の疎水性基と−SO3M基もしくは−OSO3M基(Mは水素原子又はカチオンを表す)とを併せ持つ化合物を挙げることができる。好ましい界面活性剤の具体的化合物例としては、特開昭64−26854号55〜56頁に記載のアニオン性界面活性剤A−1〜A−11を、更に好ましくはA−11及びA−8が挙げられる。又、アルキル鎖に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。
【0048】
これらの界面活性剤は塗布液に添加することも好ましい。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤等を含有する塗布液に添加し塗布されるが、分散後10時間以内に塗布液に添加されることが好ましく、更に3時間以内、最も好ましくは20分以内に添加されることである。
【0049】
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号33頁に記載の化合物(d−11)、同公報35頁に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。又、これ以外にも米国特許4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることもできる。
【0050】
カプラーの塗布量としては、十分に高い濃度を得ることができれば、特に制限はないが、好ましくはハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜5モル、更に好ましくは1×10−2〜1モルの範囲で用いられる。
【0051】
本発明に用いるマゼンタカプラーには褪色防止剤を併用することが好ましい。この化合物の一つ目として、特開平2−66541号3頁に記載の一般式I及びIIで示されるフェニルエーテル系化合物が挙げられる。具体的化合物例としては、上記公報3〜5頁記載の化合物I−1〜I−32及びII−1〜II−18が挙げられる。このうち更に好ましい化合物はI−13及びII−9で示される化合物である。
【0052】
好ましく併用される褪色防止剤の二つ目として、特開平3−174150号記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物が挙げられる。このうち該公報記載の化合物III−1、III−12、III−13、III−14が更に好ましく、特に好ましいのはIII−14で示される化合物である。
【0053】
好ましく併用される褪色防止剤の三つ目として、特開昭64−90445号に示される一般式Aで示されるアミン系化合物が挙げられる。具体的化合物例としては、上記公報右上欄記載のA−1〜A−15が挙げられる。このうち更に好ましい化合物はA−3である。
【0054】
本発明に用いるシアンカプラーには褪色防止剤を併用することが好ましい。このうち好ましい褪色防止剤としては、特開平1−196049号8頁記載の一般式I′で示される化合物及び特開平5−11417号記載の化合物が挙げられる。更に好ましい化合物としては、該特許記載のI−10及びI−13で示される化合物である。これらのマゼンタ及びシアンカプラーに併用される褪色防止剤は、カプラーと同一オイル油滴中にカプラー1モルに対し0.1〜3モルの割合で添加されることが好ましく、更には0.5〜1.5モルの割合で添加されるのがより好ましい。
【0055】
褪色防止剤は異種の化合物を併用することが好ましく、特開平3−17450号記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物と特開平2−66541号3頁に記載の一般式I及びIIで示されるフェニルエーテル系化合物の併用が好ましい例として挙げられる。又、特開平3−17450号記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物と特開昭64−90445号に示される一般式Aで示されるアミン系化合物の併用も好ましい併用例である。
【0056】
本発明に用いる紫外線吸収剤としては、紫外部(400nm以下)に分光吸収極大波長を有し、分子吸光係数が5000以上の化合物が挙げられる。好ましい化合物としては、特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物及び特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物を挙げることができる。具体的化合物例としては、特開平1−250944号記載のIIIc−1〜IIIc−17、特開昭64−66646号記載のIII−1〜III−24、同63−187240号記載のUV−1L〜UV−22L、同公報記載のUV−1S〜UV−19S及び特開平4−1633号記載の化合物I−1〜I−23等を挙げることができる。中でも特に好ましい化合物として、特開平1−250944号15頁左上欄記載のIIIc−7及びIIIc−12、特開昭63−187240号記載の液状紫外線吸収剤UV−23Lが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は前記の分散方法により添加されるのが好ましいが、本発明においては紫外線吸収剤層に用いられる高沸点有機溶媒は紫外線吸収剤に対して重量比で0.3〜0の割合で添加される。好ましくは0.1〜0、最も好ましくは0の割合である。高沸点有機溶媒としては、前記カプラーの分散に使用される化合物が好ましく用いられる。
【0057】
本発明においては、紫外線吸収剤は非感光性層に含有されることが好ましい。更には支持体に対して最も離れた位置にあるハロゲン化銀乳剤層より更に離れた位置にある非感光性中間層及び支持体に対して最も離れた位置にある乳剤層と2番目に離れた位置にある乳剤層との中間の非感光性層である。
【0058】
本発明においては、支持体に対し最も離れた層、表面層に微粒子粉末(いわゆるマット剤)を添加することが好ましい。マット剤としては、特開平2−73250号4頁9行目〜20行目に記載の化合物が好ましく、最も好ましくは結晶性又は非結晶性シリカである。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。上記マット剤の粒子サイズは、平均粒径が1〜10μmが好ましく、2〜7μmがより好ましい。マット剤の塗布量としては0.021〜0.1g/m2、更に好ましくは0.025〜0.08g/m2である。
【0059】
又、表面層に高沸点有機溶媒を添加することが好ましい。表面層に添加する好ましい高沸点有機溶媒としては、100℃における蒸気圧が0.5mmHg以下の高沸点有機溶媒が好ましく、誘電率が6.0以下の化合物がより好ましい。具体的化合物例としては、前記カプラーの分散で述べたものがそのまま挙げられる。添加量としては1〜100mg/m2、好ましくは10〜50mg/m2である。
【0060】
本発明に係る感光材料には、光沢等の表面特性、べたつき感、くっつき耐性、滑り性、耐傷性等の表面物理特性を改良する目的で含弗素界面活性剤やオルガノポリシロキサンを添加してもよい。好ましい含弗素界面活性剤としては、特願平4−270425号記載の一般式(I)、(II)及び(III)で示される化合物が挙げられる。その中で特に好ましいものはFI−55,FI−81,FK−5,FK−13及びFK−23で示される化合物である。好ましいオルガノポリシロキサンとしては、特願平4−270425号記載の一般式(S1)、(S2)、(I)、(II)及び(III)で示される化合物が挙げられる。その中で特に好ましい化合物としては、S−7及びS−19で示される化合物が挙げられる。
【0061】
本発明では油溶性染料を使用することが好ましい。油溶性染料とは、20℃での水への溶解度が0.01以下の有機染料を言い、波長400nm以上での最大吸収波長の分子吸光係数が20000以上の化合物が好ましい。好ましい化合物としては、特開平2−842号26頁に示される一般式II及びIIIの化合物が挙げられる。好ましい具体的化合物例としては、該公報29〜32頁に記載の化合物1〜27が挙げられる。この中でも化合物4及び9が特に好ましい。油溶性染料は非感光性層に添加するのが好ましく、0.05〜5mg/m2の量で添加するのが好ましい。
【0062】
本発明では、感光材料中に蛍光増白剤を添加することが好ましい。蛍光増白剤としては、特開平2−232652号記載の一般式IIで示される化合物が好ましく、具体的化合物例としては、該18〜20頁に記載の化合物1〜6が挙げられる。このうち化合物No.3,1,5で示される化合物が特に好ましい。これらの蛍光増白剤は非感光性層に添加されるのが好ましい。添加量としては0.001〜0.3mg/m2が好ましく、更には0.1〜0.2mg/m2がより好ましい。
【0063】
本発明では、上記蛍光増白剤を補足し蛍光増白効果を増進させる水溶性重合体化合物を添加することが好ましい。好ましい化合物としては、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンを繰返し単位として含有するポリマーが挙げられる。これらは支持体に対して最も離れた紫外線吸収剤含有層及び/又は該層より更に離れた層に含有されるのが好ましい。
【0064】
本発明の感光材料には、イラジェーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する水溶性染料を用いることが好ましい。好ましいイラジェーション防止染料としては、特開昭62−253146号記載の一般式IIで示される化合物(具体的化合物例としては同公報12〜13頁記載の化合物II−1〜II−19)、特開昭64−26850号記載の一般式Iで示される化合物(具体的化合物例としては同公報7〜11頁記載の化合物No.1〜85)、特開平2−97940号に記載の一般式Iで示される化合物(具体的化合物例としては同公報5頁下段〜9頁上段記載のNo.1〜103で示される化合物)、特願平4−182885号3頁22行目〜5頁2行目記載の化合物が挙げられる。このうち特に好ましい化合物としては、特開昭64−26850号記載の一般式Iで示される化合物のNo.47、特開平2−97940号に記載の一般式Iで示される化合物No.54、特開平6−3770号記載の1,4,6,7,9で示される化合物である。
【0065】
イラジェーション防止染料は異種の最大吸収波長を有する染料を併用することが好ましく、600〜700nmに最大吸収を有する染料と500〜600nmに最大吸収波長を有する染料、400〜500nmに最大吸収波長を有する染料とを併用するのが好ましい。これらの染料はいずれの層に添加してもよいが、非感光性層に添加するのが好ましい。添加量としては、各々の化合物につき好ましくは1〜100mg/m2、更に好ましくは3〜60mg/m2である。
【0066】
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0067】
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該粒子は一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0068】
可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0069】
又、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行う装置などを用いてもよい。
【0070】
更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。又、メルカプト基を有する化合物、含窒素複素環化合物又は増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、又は粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0071】
ハロゲン化銀粒子を含有する乳剤は、ハロゲン化銀粒子の成長の終了後に不要な可溶性塩類を除去してもよいし、あるいは含有させたままでもよい。該塩類を除去する場合には、リサーチ・ディスクロージャ17643号記載の方法に基づいて行うことができる。
【0072】
本発明に使用されるハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることができる。好ましい一つの例は、{100}面を結晶表面として有する立方体である。
【0073】
又、米国特許4,183,756号、同4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21巻39頁(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子を作り、これを用いることもできる。更に、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0074】
本発明に使用されるハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる粒子を用いてもよいし、種々の形状の粒子が混合された物でもよい。
【0075】
ハロゲン化銀粒子の粒径は特に制限はないが、迅速処理性及び感度等、他の写真性能等考慮すると、好ましくは0.1〜1.6μm、更に好ましくは0.2〜1.2μmの範囲である。なお、上記粒子は当該技術分野において一般に用いられる各種の方法によって測定することができる。粒子径は、粒子の投影面積又は直径近似値を使って求めることができる。
【0076】
粒子が実質的に均一形状である場合には、粒子分布は直径又は投影面積を用いて可成り正確に表すことができる。ハロゲン化銀粒子の粒径分布は、多分散であってもよいし、単分散でもよい。好ましくはハロゲン化銀粒子の粒子分布において、その変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀である。ここで変動係数は粒径分布の広さを示す係数であり、下記によって定義される。
【0077】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、又、立方体や球状以外の形状の粒子の場合は、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
【0078】
本発明に使用されるハロゲン化銀粒子乳剤は、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩臭化銀、臭化銀あるいは塩化銀であるが、好ましくは実質的に沃化銀を含まない90モル%以上が塩化銀からなる塩臭化銀粒子又は塩化銀である。実質的に沃化銀を含まないとは、沃化銀含有量が0.5モル%以下のことをいい、好ましくは0.1モル%以下、更に好ましくは全く含有しないことである。又、塩化銀含有率は95モル%以上が好ましく、より好ましくは98モル%以上、更に好ましくは99モル%以上である。
【0079】
本発明に使用されるハロゲン化銀粒子が臭化銀を含有する塩臭化銀の場合には、ハロゲン化銀粒子内で組成が異なるコア/シェル粒子あるいは臭化銀局在相を粒子表面又は内部に有する粒子でも構わないが、好ましくは粒子内部から表面まで組成の均一なハロゲン化銀粒子である。
【0080】
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、その粒子形成又は物理熟成の過程において種々の金属塩又は、金属錯塩を導入することができる。
【0081】
使用する金属としては、周期律において第VIB族、第VIIB族、第VIII族、第IIB族、第IIIA族、第IVA族が挙げられ、上記の中でも好ましく用いられるものは、Mn,Fe,Co,Ni,Zn,Ga,Ge,Mo,Ru,Pd,Cd,In,Sn,W,Re,Os,Ir,Pt,Tl,Zn,Auの塩又は錯塩である。これらは単独あるいは併用して用いられる。
【0082】
好ましい金属塩又は錯塩は、特開平4−51232号、同4−131838号、同4−336537号、同6−102609号、同5−281638号、同6−102610号、同6−102641号等に記載されている。
【0083】
これらの化合物の添加量は、化合物の種類あるいは目的に応じて広範囲に亘るが、ハロゲン化銀1モルに対して10−11〜10−3モルが好ましく用いられる。
【0084】
本発明に使用されるハロゲン化銀粒子乳剤は、金化合物を用いる金増感法、カルコゲン増感剤を用いる(硫黄)増感法を組み合わせて用いることができる。
【0085】
金増感剤としては、塩化金酸、塩化金、チオ硫酸金などの他、各種の金錯体として添加することができる。用いられる酸化化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等が挙げられる。
【0086】
金増感剤の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、金化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常ハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−4モルが好ましく、更に好ましくは1×10−8〜1×10−5モルである。
【0087】
カルコゲン増感剤としては、硫黄増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤を用いることができるが、硫黄増感剤が好ましい。硫黄化合物としては、チオ硫酸塩、アリルチオカルバミド、チオ尿素、アリルイソチオシアナート、シスチン、p−トルエンスルホン酸塩、ローダニン、無機硫黄等が挙げられる。
【0088】
又、本発明の感光材料は還元増感を施すことができる。還元増感については公知の方法が知られており、例えば種々の還元剤を添加する方法、銀イオン濃度が高い条件で熟成する方法、高pHの条件で熟成する方法等を用いることができる。
【0089】
還元増感に用いる還元剤としては、塩化第一錫等の第一錫塩、トリ−t−ブチルアミンボラン等のボラン類、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩、アスコルビン酸等のレダクトン類、二酸化チオ尿素等を挙げることができる。
【0090】
この内、好ましく用いることができる化合物として、二酸化チオ尿素、アスコルビン酸及びその誘導体、亜硫酸塩を挙げることができる。熟成時の銀イオン濃度やpHを制御することにより還元増感を行う場合と比べ、上記のような還元剤を用いる方法は再現性に優れており好ましい。
【0091】
これらの還元剤は、水、アルコール等の溶媒に溶解してハロゲン化銀乳剤中に添加して熟成を行うか、あるいはハロゲン化銀粒子の形成時に添加して粒子形成と同時に還元増感を行ってもよい。
【0092】
これらの還元剤を添加する量は、ハロゲン化銀乳剤のpH、銀イオン濃度などに応じて調整する必要があるが、一般には、ハロゲン化銀乳剤1モル当たり10−7〜10−2モルが好ましい。
【0093】
還元増感後に還元増感核を修飾したり、残存する還元剤を失活させるために少量の酸化剤を用いてもよい。このような目的で用いられる化合物としては、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、ブロモサクシンイミド、p−キノン、過塩素酸カリウム、チオスルフィン酸、過酸化水素水等を挙げることができる。
【0094】
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、増感の過程においてハロゲン化銀溶剤を添加してもよい。好ましく用いられるハロゲン化銀溶剤は、チオシアン化合物類であり、例えばチオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸マグネシウム、チオシアン酸銀塩及びチオシアン酸アンモニウム等が挙げられる。
【0095】
増感時のpH、pAgは特に制限はなく、通常pH4.0〜11.0、pAg4.5〜8.5の範囲で行われる。
【0096】
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることができる。こうした目的に用いられる化合物の例として、下記一般式〔S〕で表される化合物を挙げることができる。
【0097】
【化16】
【0098】
式中、Qは5〜6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を表す。
【0099】
Qで表される5員複素環としては、例えばイミダゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、セレナゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトセレナゾール環、ベンゾオキサゾール環などが挙げられ、Qで表される6員複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環等が挙げられ、これらの5〜6員の複素環は置換基を有するものも含む。Mで表されるアルカリ金属原子としては、ナトリウム原子、カリウム原子等が挙げられる。
【0100】
一般式〔S〕で示されるメルカプト化合物のより好ましい構造は、特開平6−175263号の段落0016〜段落0032に記載される通りである。又、具体的化合物としては、同出願の段落0034〜段落0039に記載されるS−1−1〜S−4−8が挙げられる。又、特開平5−281683号の一般式〔I〕で表される化合物も好ましく、段落0026〜段落0028に1〜49として具体例が挙げられる。
【0101】
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができる。青感光性増感色素としては、特開平3−251840号108〜109頁に記載のBS−1〜8を単独で又は組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同明細書の110頁に記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。
【0102】
本発明の感光材料を半導体レーザーを用いたプリンターにより露光する場合には、赤外に感光性を有する増感色素を用いる必要があり、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号12〜14頁に記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられる。又、同特許14〜15頁に記載の強色増感剤SS−1〜SS−9をこれらの色素に組み合わせて用いるのが好ましい。
【0103】
本発明の感光材料をレーザーを用いて露光する場合には、半導体レーザーを用いた露光装置を用いるのが装置の小型化等の面で有利である。走査露光においては、一画素当たりの露光時間がハロゲン化銀乳剤が実際に受ける露光時間に対応するが、一画素当たりの露光時間とは、レーザー光による走査露光のような場合には、その光束の強度の空間的な変化において、光強度が最大値の1/2になる処を以て光束の外縁とし、走査線と平行であり、かつ光強度が最大となる点を通る線と光束の外縁の交わる2点間の距離を光束の径とした時、
(光束の径)/(走査速度)
を以て一画素当たりの露光時間と考えればよい。一画素当たりの露光時間が短くなるに従って、露光時間と発色濃度の関係は複雑になる傾向にあり、一画素当たりの露光時間の短い装置を用いた場合に本発明は特に有効である。
【0104】
こうしたシステムに適用可能と考えられるレーザープリンター装置としては、例えば特開昭55−4071号、同59−11062号、同63−197947号、特開平2−74942号、同2−236538号、特公昭56−14963号、同56−40822号、欧州広域特許77,410号、電子通信学科合技術研究報告80巻244号、及び映画テレビ技術誌1984/6(382)34〜36頁などに記載されているものがある。
【0105】
赤感性増感色素としては、下記一般式〔2〕及び一般式〔3〕で表されるシアニン色素が好ましく用いられる。
【0106】
【化17】
【0107】
式中、R1、R2、R3及びR4は、各々アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。L1、L2、L3、L4及びL5は、各々メチル基を表す。Z1、Z2、Z3及びZ4は、各々5又は6員の複素環核を完成するに必要な原子又は原子群を表す。Z5は6員炭素環を形成するに必要な原子群を表す。m1、m2、m3及びm4は、各々0又は1を表す。nは0又は1を表す。X−は酸アニオンを表す。Y1及びY2は、各々0又は1を表し、化合物が分子内塩を形成する場合、Y1及びY2は、各々0を表す。
【0108】
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤に用いる強色増感剤としては、例えばスチルベン、アザインデン、メルカプト複素環化合物、チオ尿素あるいはフェノール類とヘキサメチレンテトラミンの縮合物などの化合物を用いることができるが、複素環を含む9員環以上の環状化合物を用いることが好ましい。
【0109】
環状化合物としては、効果の点から脂肪族環及び/又は芳香族環及びエーテル結合を有するものが好ましく、更に環状化合物を形成する脂肪族環が4以下が好ましく、芳香族環を有する大環状化合物がより好ましい。
【0110】
代表的化合物としてはクラウンエーテル類であり、これら環状化合物の具体例は特開平6−175263号の段落0049〜段落0055に記載のS−1〜S−39を挙げることができる。
【0111】
本発明の感光材料には、バインダーとして分散用及び塗布液用にゼラチンを用いることが有利である。
【0112】
ゼラチンの製法については例えばT.H James;The Theoryof The Photographic Process,4th ed.(1977)55頁及び写真工学の基礎・銀塩写真編119〜124頁等に記載の方法により作製される。原料としては、牛骨(オセイン)、牛皮(ハイド)、豚皮(ピッグスキン)が使用されるが、好ましくは牛骨から調製されたものであるが、これらの内2種以上を混合してもよい。
【0113】
処理としては、アルカリ処理、酸処理、酸素処理などが行われるが、好ましくはアルカリ処理ゼラチンである。アルカリ処理ゼラチンの等電点は、4.5以上が好ましく、更に5以上がより好ましい。ゼラチンは通常イオン交換処理を行うことができるが、本発明ではカチオン、アニオン及び両イオン交換処理したゼラチンの内、用途によって適宜選択することが可能だが、両イオン交換したゼラチンが好ましい。又、過酸化水素処理したゼラチンも好ましく用いられる。
【0114】
過酸化水素処理はゼラチン調製工程のいずれで行ってもよい。例えばオセインに対して直接行ったり、アルカリ処理している最中やアルカリ処理後、あるいはゼラチン液として抽出した後に行ってもよい。本発明ではアルカリ処理中に過酸化水素水を添加することで調製されたゼラチンが好ましい。過酸化水素の添加量はオセイン1kg当たり、純H2O2として1〜100gの範囲で添加される。過酸化水素による反応はpH9.0以上で行われることが好ましい。
【0115】
ゼラチンの組成としては、低分子量成分が少ない方が、又、高分子量成分が多い方が好ましい。高及び低分子量成分の測定法については、特開平1−265247号2頁左下欄15行目〜3頁左上欄8行目に記載の方法を使うことができる。この方法に従う表示で高分子量成分が30%以上及び/又は低分子量成分が40%以下が、より好ましい。ゼラチンの分子量としては1万〜20万が適当である。
【0116】
ゼラチンのゼリー強度は高い方が好ましく、250以上であることがより好ましい。特に好ましいのは270以上である。
【0117】
ゼラチン中に含有される不純物であるイオン含有量は低い方が好ましく、例えばカルシウムイオンは5000ppm以下が好ましく、更に2000ppm以下が好ましい。ただし、乳剤によっては、4000〜5000ppmのカルシウムが存在した方が好ましいこともある。
【0118】
鉄や銅イオン等の重金属イオンはトータルで500ppm以下、各成分で10ppm以下が好ましい。特に鉄イオンは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である。
【0119】
又、ゼラチンの比旋光度は高い方が好ましく、150以上が好ましい。最上層に使用する場合には、比旋光度210以上が好ましい。
【0120】
ゼラチンの着色は少ない程良好であり、ゼラチンの10重量%水溶液の420nmにおける透過率が50%以上、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上のゼラチンが本発明には有利である。ゼラチンの透過率を上げるには、原料の選択、過酸化水素処理、イオン交換、キレート樹脂による吸着などが適宜行われる。
【0121】
本発明の感光材料に含まれるゼラチン量の総和は10.0g/m2以下が好ましく、更に好ましくは7.0g/m2以下であり、下限には制限はないが、物性もしくは写真性能の面から一般的には3.0g/m2以上であることがより好ましい。ゼラチンの量は、パギィー法に記載された水分の測定法で11.0%の水分を含有したゼラチンの重量に換算して求められる。
【0122】
本発明においてはバインダーの硬膜剤が使用される。硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤、クロロトリアジン型硬膜剤が好ましく用いられる。ビニルスルホン型硬膜剤としては、特開昭61−249054号25頁右上欄13行目〜27頁右上欄2行目に記載の化合物を好ましく用いることができる。更には、該公報26頁に記載の化合物H−12がより好ましい。クロロトリアジン系硬膜剤としては、特開昭61−245153号3頁左下欄1行目〜3頁右下欄下から4行目及び3頁右下欄下から4行目〜5頁左下欄記載の化合物が好ましく用いられる。更に上記公報4頁記載のXII−1で示される化合物がより好ましい。これら硬膜剤は異種の化合物を併用することが好ましく、又、どの層に添加してもよい。硬膜剤は、バインダーに対して0.1〜10重量%で用いられるのが好ましい。
【0123】
本発明においては、いずれかの層に防黴剤を添加することが好ましい。好ましい化合物としては、特開平3−157646号9頁に記載の一般式IIで示される化合物が好ましい。具体的化合物例としては、同特許に記載の化合物例No.9〜22が挙げられる。この内、特に好ましいものはNo.9で示される化合物である。
【0124】
本発明においては、防腐剤及び防黴剤を用いることができる。好ましい例としては、特開平3−157646号17頁右下欄16行目〜19頁左下欄に記載の化合物がある。
【0125】
本発明に使用される反射支持体としては、どのような材質を用いてもよく、白色顔料含有ポリエチレン被覆紙、バライタ紙、塩化ビニルシート、白色顔料を含有したポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体などを用いることができる。中でも白色顔料を含有するポリオレフィン樹脂層を表面に有する支持体が好ましい。
【0126】
反射支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/又は有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉珪酸、合成珪酸塩等のシリカ類、珪酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられるが、好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。白色顔料は水酸化アルミニウムやアルコール、界面活性剤等で表面処理されていてもよい。
【0127】
反射支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、耐水性樹脂層中での含有量として10重量%以上であることが好ましく、更には13重量%以上であることが好ましく、15重量%以上がより好ましい。紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定した時に、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、0.10以下であることが更に好ましい。紙支持体の表面はより平滑であることが好ましく、中心平均粗さ(SRa)が1.0μm以下であることが好ましい。SRaの算出法は特願平3−2576号に記載の式により算出される。
【0128】
本発明の支持体に用いられる原紙は一般的に用いられる材料から選ばれる。即ち、硫酸法晒針葉樹パルプ(NBKP)、硫酸法晒広葉樹パルプ(LBKP)、亜硫酸法晒針葉樹パルプ(NBSP)、亜硫酸法晒広葉樹パルプ(LBSP)等の天然パルプを1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。組み合わせ使用する場合の望ましいパルプの配合率は、広葉樹パルプ/針葉樹パルプの比が95/5〜60/40である。
【0129】
本発明では、原紙に以下に示す各種添加剤を添加し、耐水性等の紙力を増強させるのがよい。例えばサイズ剤としては、アルキルケテンダイマー脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン、アルケニル琥珀酸塩、アルキル琥珀酸塩及び多糖類等が用いられるが、好ましくはアルキルケテンダイマー脂肪酸塩が好ましく用いられる。これらはパルプ当たり0.2〜2%用いるのが好ましい。乾燥紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等が用いられるが、好ましくはカチオン化澱粉、アニオン化ポリアクリルアミドである。又、湿潤紙力増強剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂等が用いられるが、好ましくはエポキシ化ポリアミド樹脂である。又、一般的に、パルプ表面に水溶性高分子添加剤を含有する液で表面をタブサイズ又はサイズプレスされる。この水溶性高分子としては、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、ゼラチン等が用いられるが、好ましくはカチオン化澱粉及びポリビニルアルコールである。
【0130】
カブリ防止剤としては、特開昭55−103549号に記載の水溶性沃素化合物、同56−43637号に記載のマグネシウム、カルシウムあるいは亜鉛の弱酸塩又は酸化物、特開昭56−97343号に記載の分子量150以下の尿素化合物、特開平5−19405号に記載のマグネシウム化合物等が用いられる。これらの化合物の内、好ましくは水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛であり、パルプに対し0.1〜10重量%用いられることが好ましい。
【0131】
又、無機電解質として、食塩、芒硝などが用いられるが好ましくは食塩である。吸湿性物質としてグリセリン、ポリエチレングリコールなどが、pH調整剤として塩酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等が用いられ、その他、染料(青色染料、群青が好ましい)、蛍光増白剤、帯電防止剤、消泡剤等の添加剤が組み合わせて用いられる。パルプは適度に砕かれた後、必要に応じて前記添加剤を含有させたパルプスラリーとなり、長網抄紙機等の抄紙機により抄紙して乾燥及びスーパーカレンダー処理される。この乾燥の前又は後で表面サイズ処理が行われる。
【0132】
支持体は、前記のようにして得た原紙の両面にポリオレフィン樹脂を被覆したものが好ましい。このポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィンの単独重合体及びこれら各重合体の混合物であり、特に好ましいポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン又はそれらの混合物である。これらのポリオレフィンの分子量は特に制限はないが、一般的には2万〜20万の範囲にあるポリオレフィンが用いられる。ポリオレフィン樹脂被覆層の厚さについても特に制限はなく、通常は約15〜50μmの厚さである。支持体が紙支持体である場合、種々の形態の支持体を使用することができるが、例えば支持体の厚さが80〜180μmの薄手原紙、実開昭64−29550号等に記載の剥離接着型及び厚手原紙も用いることができる。又、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の支持体を用いた場合、透明、半透明、不透明の各タイプに白色顔料塗布量の調整等により製造することもできる。又、支持体の酸素透過率は2.0cc/m2・hr・atm以下であることが好ましい。
【0133】
本発明に使用される反射支持体として、無機及び/又は有機の白色顔料を含有して電子線照射により硬化された樹脂組成物層を、基体の少なくとも片面に有する印画紙支持体も高平滑、高鮮鋭性であり、好ましく用いられる。
【0134】
本発明に用いられる電子線硬化性塗布液は、電子線により硬化樹脂を生成しうる少なくとも1種の有機化合物と、顔料、好ましくは無機顔料とを主成分とし、必要によりその他の添加剤を含むものである。
【0135】
電子線照射によって重合硬化する有機化合物は、1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を含む不飽和化合物、例えばアクリル系及びメタクリル系オリゴマー、多官能性アクリル系及びメタクリル系モノマー、並びに1分子中に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む不飽和化合物、例えば単官能性アクリルモノマー、メタクリルモノマー及びビニルモノマーなどを包含する。
【0136】
これらの不飽和有機化合物は、電子線照射によりラジカルを発生して重合し、かつ分子間、及び分子内架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、硬化樹脂を生成する。
【0137】
代表的な樹脂としては、アクリロイル基、メタクリロイル基を両末端に有し、骨格がポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル及びポリカーボネートである化合物がある。
【0138】
アクリル系及びメタクリル系オリゴマーとしては、ポリウレタンのアクリル酸又はメタクリル酸エステル、ポリエーテルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステル、ビスフェノールAのアクリル酸又はメタクリル酸エステル、ポリエステルのマレイン酸又はフマル酸エステルなどを挙げることができる。又、多官能性アクリルモノマー及びメタクリルモノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、グリセロールトリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、イソシアマル酸ジアクリレート、イソシアマル酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパンポリアクリレートなどを挙げることができる。又、単官能性アクリルモノマー、メタクリルモノマー並びにビニルモノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、スチレン、N−ビニルピロリドン、ポリオキシエチレンフェノールのアクリル酸エステル、2−エチルヘキシルアクリレートなどを挙げることができる。
【0139】
なお、市販品として入手できるものとして、例えばアロニックスM−5700及びM−6100(ポリエステルアクリレート)、アロニックスM−1100及びM−1200(ウレタンアクリレート)、アロニックスM−101、102(単官能アクリレート)、アロニックスM−210、215(多官能アクリレート、以上いずれも東亜合成社製)やGE−510(エポキシ化合物:三菱ガス社製)が挙げられる。
【0140】
塗布液中には、有機溶媒に溶解又は分散した電子線硬化性有機化合物と均一に混合された顔料、通常は白色の無機顔料を含んでいる。白色無機顔料としては、前記反射支持体に用いられる白色顔料を、そのまま挙げることができる。
【0141】
塗布液中の白色無機顔料の含有量は、硬化樹脂被覆層の全固形分重量に対し20〜80重量%になるように設定されていることが好ましい。その含有量が20重量%より少なくなると、得られる印画紙上の写真画像の鮮鋭性が十分でなく、又、含有量が80重量%を超えると、得られる硬化樹脂被覆層の柔軟性が低下し、膜割れを生ずるようになる。白色無機顔料を電子線硬化性不飽和有機化合物中に分散するには、3本ロールミル(スリーロールミル)、2本ロールミル(ツーロールミル)、カウレスディゾルバー、ホモミキサー、サンドグラインダー、及び超音波分散機などを使用することができる。
【0142】
有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロベンゼン等を用いることができる。
【0143】
塗布方法としては、ローラーコート法を用いてもよく、或は、その代わりにシートの塗布に用いられる一般的方法、例えばバーコート法、エアードクターコート法、ブレードコート法、スクイズコート法、エアーナイフコート法、リバースロールコート法、トランスファーコート法などの何れを用いてもよい。又、ファウンテンコーターあるいはスリットオリフィスコーター方式を用いることもできる。
【0144】
本発明に用いられる電子線照射装置に格別の制限はなく、一般には、このような電子線照射用電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は100〜300kVが好ましく、吸収線量としては0.5〜10Mradが好ましい。
【0145】
塗布層の厚みとしては3〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜50μmが適当である。この範囲を外れると、塗布ムラを生じたり、硬化のために多大なエネルギーが必要となり、硬化が不充分になって品質上好ましくない。
【0146】
又、必要に応じて塗布液もしくは硬化後に鏡面ロールによる表面平滑化、又は絹目ロール等のマットロールによる表面マット化を施してもよい。
【0147】
本発明に用いられる支持体基体としては、一般に写真用支持体に用いられるものであれば全て使用できるが、通常は紙が用いられる。シート状基体として用いられる紙としては、例えば天然パルプ紙、合成パルプ紙、天然パルプと合成パルプの混抄紙等の他、各種の抄合せ紙が挙げられる。これらの紙基体には、一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、定着剤、充填剤、帯電防止剤、pH調整剤、顔料、染料等の添加剤が配合されていてもよい。更に、表面サイズ剤、表面紙力剤、帯電防止剤が表面塗布されていてもよい。
【0148】
本発明の感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接又は下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/又はその他の特性を向上するための1又は2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0149】
ハロゲン化銀乳剤を用いた感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては、2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0150】
作製されたプリント感光材料は、処理済みのネガフィルムを通して露光される。使用されるネガフィルムは種々のタイプのものが使用できる。又、種々の分光感度を有するネガフィルムが使用できる。好ましいネガフィルムとしてはコニカカラーSuperDD100が挙げられる。更に好ましくは、コニカImpressa50,フジリアラが挙げられる。又、露光時間は数十ミリ秒〜数十秒の広範囲の条件で露光される。この際の露光方法は通常の現像所で行われている種々の方法が使用できる。
【0151】
プリンターとして好ましく使用される機器としては、例えばコニカプリンターCRP−5N2、SCP−8015、KCP−7N3、グレタッグ3141プリンター、アグファMSPプリンター、コダックCLAS35プリンター等が挙げられる。又、引伸し機、エンラージャーを用いて大サイズのプリントを作製することも好ましく行われる。
【0152】
本発明において、露光から現像迄の時間はどのようなものであってもよいが、全体の処理時間を短くする上では短時間である方が好ましい。又、本発明に係る感光材料は、露光〜現像の時間が30秒以下の場合にも画像濃度の変化が小さく、高画質な画像を安定して得ることができる。
【0153】
本発明において用いられる芳香族1級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。代表的化合物例を以下に示す。
【0154】
CD−1:N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2:2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3:2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4:4−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアミノ)アニリン
CD−5:2−メチル−4−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアミノ)アニリン
CD−6:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
CD−7:N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミド
CD−8:N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリンCD−10:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ブトキシエチル)アニリン
CD−12:4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシプロピルアミノ)アニリン
これらの発色現像主薬は単独で用いてもよいし、又、公知のp−フェニレンジアミン誘導体と併用してもよい。
【0155】
発色現像主薬は、通常、現像液1リットル当たり1×10−2〜2×10−1モルの範囲で用いられ、迅速処理の観点からは発色現像液1リットル当たり1.5×10−2〜2×10−1モルの範囲で好ましく用いられる。
【0156】
本発明において用いる発色現像主薬としては、CD−5、CD−6、CD−9が好ましい。
【0157】
これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩の形で用いられるのが一般的である。
【0158】
本発明の好ましい現像液では、ベンジルアルコールを実質的に含まないことが好ましい。ここで実質的に含まないとは、ベンジルアルコールが2cc/リットル以下を示し、本発明では全く含まないことが最も好ましい。
【0159】
発色現像液には上記成分の他に以下の現像液成分を含有させることができる。アルカリ剤として、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メタ硼酸ナトリウム、メタ硼酸カリウム、燐酸3ナトリウム、燐酸3カリウム、硼砂や珪酸塩等を単独で又は組み合わせて、沈澱の発生がなく、pH安定化効果を維持する範囲内で併用することができる。更に調剤上の必要性から、あるいはイオン強度を高めるなどの目的で、燐酸水素2ナトリウム、燐酸水素2カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、硼酸塩等の各種の塩類を使用することができる。
【0160】
本発明においては、カラー発色現像液中に塩素イオンを2.5×10−2〜5×10−1モル/リットル含有することが好ましい。又、臭素イオンを2.0×10−5〜2.0×10−2モル/リットル含有することが好ましい。
【0161】
ここで塩素イオン及び臭素イオンは現像液中に直接添加されてもよく、現像処理中に感光材料から現像液に溶出してもよい。カラー現像液に直接添加される場合、塩素イオン供給物質として塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化リチウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化カルシウム、塩化カドミウム等が挙げられるが、そのうち好ましいものは、塩化ナトリウム、塩化カリウムである。又、現像液中に添加されている蛍光増白剤から供給されてもよい。
【0162】
臭素イオンの供給物質として臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化リチウム、臭化ニッケル、臭化マグネシウム、臭化マンガン、臭化カルシウム、臭化カドミウム、臭化セリウム、臭化タリウム等が挙げられるが、そのうち好ましいものは、臭化ナトリウム、臭化カリウムである。現像処理中に感光材料から溶出する場合、塩素イオンや臭素イオンは共に乳剤から供給されてもよく、乳剤以外から供給されてもよい。
【0163】
又、発色現像液には、従来保恒剤として用いられているヒドロキシルアミンに代えて、特開昭63−146043号、同63−146042号、同63−146041号、同63−146040号、同63−135938号、同63−118748号及び同63−179351号等に記載のヒドロキシルアミン誘導体及び特開昭64−62639号及び特開平1−303438号等に記載のヒドロキサム酸類、ヒドラジン類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、4級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが有機保恒剤として好ましく用いられる。
【0164】
これらの化合物と、従来より用いられているヒドロキシルアミン及び前記有機保恒剤を組み合わせて用いることもできるが、好ましくはヒドロキシルアミンを用いない方が現像特性の上から好ましい。
【0165】
更に又、必要に応じて現像促進剤も用いることができる。現像促進剤としては、米国特許2,648,604号、同3,671,247号、特公昭44−9503号等記載されている各種のピリジニウム化合物や、その他のカチオン性化合物、フェノサフラニンのようなカチオン性色素、硝酸タリウムのような中性塩、米国特許2,533,990号、同2,531,832号、同2,950,970号、同2,577,127号及び特公昭44−9504号等に記載のポリエチレングリコールやその誘導体、ポリチオエーテル類等のノニオン性化合物、特公昭44−9509号に記載の有機溶剤や有機アミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が含まれる。又、米国特許2,304,925号に記載されているフェネチルアルコール、その他、アセチレングリコール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ピリジン、アンモニア、ヒドラジン、チオエーテル類、アミン類等が挙げられる。
【0166】
更に必要に応じて、エチレングリコール、メチルセロソルブ、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、β−シクロデキストリン、p−トルエンスルホン酸、その他特公昭47−33378号、同44−9509号等に記載の化合物を、現像主薬の溶解度を上げるための溶解補助剤として使用することができる。
【0167】
更に、現像主薬と共に補助現像剤を使用することもできる。補助現像剤としては、例えばN−メチル−p−アミノフェノール硫酸塩、フェニドン、N,N−ジエチル−p−アミノフェノール塩酸塩、N,N,N′,N′−テトラメチル−p−フェニレンジアミン塩酸塩等が知られており、その添加量としては、通常、現像液1リットル当たり0.01〜1.0g用いられる。この他にも、必要に応じて競合カプラー、かぶらせ剤、現像抑制剤放出型カプラー(DIRカプラー)、現像抑制剤放出化合物等を添加することができる。
【0168】
更に又、その他のステイン防止剤、スラッジ防止剤、重層効果促進剤等の各種添加剤を用いることができる。
【0169】
上記発色現像液の各成分は、一定量の水に順次添加・撹拌して調製することができる。この場合、水に対する溶解性の低い成分は、トリエタノールアミン等の前記の有機溶媒等と混合して添加することができる。又、より一般的には、それぞれが安定に共存し得る複数の成分を濃厚水溶液、又は固体状態で小容器に予め調製したものを水中に添加、撹拌することにより発色現像液を調製することもできる。
【0170】
発色現像液中の亜硫酸塩濃度は、1×10−2モル/リットル以下が好ましい。
【0171】
特に0を含み7×10−3モル/リットル以下の場合に良好であり、とりわけ0を含み5×10−3モル/リットル以下が好ましい。
【0172】
本発明においては、発色現像液を任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0173】
発色現像の処理温度は、25〜70℃が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からは余り高くない方が好ましく、25〜50℃で処理することが好ましい。発色現像時間は、70〜240秒であることが好ましい。70秒より短い場合は連続処理時の最高濃度が不安定になり、又、240秒より長い場合には発色現像液中にスラッジが発生し易い欠点がある。好ましくは90〜220秒の範囲である。
【0174】
発色現像液の補充量は、感光材料1リットル当たり200cc以下が好ましく、より好ましくは20〜180ccであり、特に好ましくは20〜165ccである。
【0175】
処理工程は、実質的に発色現像工程、漂白定着工程、水洗工程(水洗代替の安定化処理を含む)からなるが、仕上がり効果を損なわない範囲において工程を付け加えたり同等の意味を持つ工程に置き換えることができる。例えば、漂白定着工程は、漂白工程と定着工程に分離したり、漂白定着工程の前に漂白工程を置くことも可能である。本発明の感光材料の処理工程としては、発色現像工程後、直ちに漂白定着工程を設けることが好ましい。
【0176】
漂白定着液に使用することができる漂白剤は限定されないが、有機酸の金属錯塩であることが好ましい。該錯塩は、ポリカルボン酸、アミノポリカルボン酸又は、蓚酸、枸櫞酸等の有機酸が鉄、コバルト、銅等の金属イオンに配位したものである。このような有機酸の金属錯塩を形成するために用いられる最も好ましい有機酸としては、ポリカルボン酸又はアミノポリカルボン酸が挙げられる。これらのポリカルボン酸又はアミノポリカルボン酸は、アルカリ金属塩、アンモニウム塩もしくは水溶性アミン塩であってもよい。これらの具体的化合物としては、特開平1−205262号58〜59頁に記載の化合物2〜20を挙げることができる。
【0177】
これらの漂白剤は漂白定着液1リットル当たり5〜450gが好ましく、より好ましくは20〜250gで使用する。
【0178】
漂白定着液には前記の如き漂白剤以外にハロゲン化銀定着剤を含有し、必要に応じて保恒剤として亜硫酸塩を含有する組成の液が適用される。又、エチレンジアミン四酢酸鉄(III)塩漂白剤とハロゲン化銀定着剤の他に、臭化アンモニウムの如きハロゲン化物を多量に添加した組成からなる漂白定着液、更にはエチレンジアミン四酢酸鉄(III)塩漂白剤と多量の臭化アンモニウムの如きハロゲン化物との組合せからなる組成の特殊な漂白定着液などを用いることができる。
【0179】
上記ハロゲン化物としては、臭化アンモニウムの他に塩酸、臭化水素酸、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム、沃化アンモニウム等を用いることもできる。
【0180】
漂白定着液に含まれる前記ハロゲン化銀定着剤としては、通常の定着処理に用いられるようなハロゲン化銀と反応して水溶性の錯塩を形成する化合物、例えばチオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムの如きチオ硫酸塩、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムの如きチオシアン酸塩、チオ尿素、チオエーテル等がその代表的なものである。
【0181】
これらの定着剤は、漂白定着液1リットル当たり5g以上、溶解できる範囲の量で使用するが、一般には70〜250gで使用する。
【0182】
なお、漂白定着液には、硼酸、硼砂、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム等の各種pH緩衝剤を、単独あるいは2種以上を組み合わせて含有させることができる。更に又、各種の蛍光増白剤や消泡剤あるいは界面活性剤を含有させることもできる。又、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、アルデヒド化合物の重亜硫酸付加物などの保恒剤、アミノポリカルボン酸等の有機キレート剤あるいはニトロアルコール、硝酸塩などの安定剤、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒などを適宜含有させることができる。
【0183】
漂白定着液には、特開昭46−280号、特公昭45−8506号、同46−556号、ベルギー特許770,910号、特公昭45−8836号、同53−9854号、特開昭54−71634号及び同49−42349号等に記載される種々の漂白促進剤を添加することができる。
【0184】
漂白定着液のpHは4.0以上で用いられるのが好ましく、一般には4.0〜9.5の範囲で使用され、望ましくは4.5〜8.5で使用される。最も好ましくはpH5.0〜8.5の範囲で用いられる。処理温度は80℃以下が好ましく、望ましくは55℃以下で蒸発などを抑えて使用する。漂白定着の処理時間は240秒以下が好ましい。
【0185】
本発明に使用される現像処理においては、発色現像、漂白定着に続いて水洗処理が施されるが、以下、水洗処理の好ましい実施態様について説明する。
【0186】
水洗液に好ましく用いられる化合物としては、鉄イオンに対するキレート安定化定数が8以上であるキレート剤が挙げられる。ここにキレート安定化定数とは、L.G.Sillen&A.E.Martell著「Stability Constants of Metalion Complexes」,The Chemical Society,London(1964)やS.Chaberek&A.E.Martell著「Organic Sequestering Agents」,Wiley(1959)等により一般に知られた定数を意味する。
【0187】
鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤としては、有機カルボン酸キレート剤、有機燐酸キレート剤、無機燐酸キレート剤、ポリヒドロキシ化合物などが挙げられる。なお、上記鉄イオンは第2鉄イオンを意味する。第2鉄イオンとのキレート安定度定数が8以上であるキレート剤の具体的化合物としては、特開平1−205162号63頁15行目〜64頁17行目に記載の化合物を挙げることができる。
【0188】
上記キレート剤の使用量は水洗液1リットル当たり0.01〜50gが好ましく、0.05〜20gがより好ましい。
【0189】
更に水洗液に添加する化合物として、アンモニウム化合物が特に好ましい。これらは各種の無機化合物のアンモニウム塩によって供給されるが、具体的には、特開平1−205162号65頁5行目〜66頁11行目に記載の化合物が挙げられる。
【0190】
アンモニウム化合物の添加量は、水洗液1リットル当たり1.0×10−5モル以上が好ましく、より好ましくは0.001〜5.0モルの範囲であり、特に好ましくは0.002〜1.0モルの範囲である。
【0191】
又、水洗液にバクテリアの発生等がない範囲で亜硫酸塩を含有することが望ましい。水洗液に含有させる亜硫酸塩は亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物など如何なるものでもよいが、好ましくは無機塩であり、具体的化合物として亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム及びハイドロサルファイト、グルタルアルデヒドビス重亜硫酸ナトリウム、琥珀酸アルデヒドビス重亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0192】
亜硫酸塩は、水洗液1リットル中に少なくとも1.0×10−5モル添加されることが好ましく、5×10−5〜1.0×10−1モルがより好ましい。添加方法は水洗液に直接添加してもよいが、水洗補充液に添加して置くことが好ましい。
【0193】
本発明において用いられる水洗液は、防黴剤を含有することが望ましく、これによって硫化防止、画像保存性の向上などを果たすことができる。このような防黴剤としては、ソルビン酸、安息香酸系化合物、フェノール系化合物、チアゾール系化合物、ピリジン系化合物、グアジニン系化合物、モルホリン系化合物、4級ホスホニウム系化合物、アンモニウム系化合物、尿素系化合物、イソオキサゾール系化合物、プロパノールアミン系化合物、スルファミド系化合物、ピロノン系化合物及びアミノ系化合物である。具体的な化合物としては、特開平1−205162号68頁10行目〜72頁16行目に記載の化合物が挙げられる。これらの化合物の中で特に好ましく用いられる化合物は、チアゾール系化合物、スルファミド系化合物、ピロノン系化合物である。
【0194】
水洗液への防黴剤の添加量は、水洗液1リットル当たり0.001〜30gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.003〜5gで用いられる。
【0195】
本発明において用いられる水洗液には、キレート剤と併用して金属化合物を含有することが好ましい。係る金属化合物としては、Ba、Ca、Ce、Co、In、La、Mn、Ni、Bi、Pb、Sn、Zn、Ti、Zr、Mg、Al、Srの化合物を挙げることができる。これらの金属化合物はハロゲン化物、硫酸塩、炭酸塩、燐酸塩、酢酸塩等の無機、有機の塩や水酸化物あるいは水溶性キレート化合物として供給できる。
【0196】
これらの化合物の添加量としては、水洗液1リットル当たり1.0×10−4〜1.0×10−1モルが好ましく、4.0×10−4〜2.0×10−2モルがより好ましい。
【0197】
水洗液に含有するものとしては、上記の他にアルデヒド基を有する化合物を用いてもよい。具体的な化合物としては、特開平1−205162号73頁〜75頁に記載された例示化合物1〜32を挙げることができる。
【0198】
このアルデヒド基を有する化合物は水洗液1リットル当たり0.1〜50gの範囲で用いられることが好ましく、特に0.5〜10gの範囲で用いられることが好ましい。
【0199】
又、本発明において用いられる水洗水にはイオン交換樹脂により処理したイオン交換水を用いてもよい。
【0200】
本発明に適用できる水洗水のpHは5.5〜10.0の範囲が好ましい。適用できるpH調整剤は、一般に知られているアルカリ剤、酸剤の如何なるものも使用することができる。
【0201】
水洗処理の処理温度は15〜60℃が好ましく、20〜45℃の範囲がより好ましい。又、水洗処理時間は240秒以下が好ましい。複数槽で水洗処理を行う場合には、前の槽ほど短時間で処理し、後の槽ほど処理時間が長いことが好ましい。特に前槽の20〜50%増しの処理時間で順次処理することが好ましい。
【0202】
水洗処理工程での水洗液の供給方法は、多槽カウンターフローカレント方式の場合、後浴に供給して前浴にオーバーフローさせることが好ましい。勿論、単槽で処理することもできる。上記化合物を添加する方法としては、水洗槽に濃厚液として添加するか、又は水洗槽に供給する水洗液に上記化合物及びその他の添加剤を加え、これを水洗補充液とする等の各種の方法が用いられる。
【0203】
本発明に使用される水洗工程における水洗水量は、感光材料単位面積当り前浴(通常漂白定着液又は定着液)の持込み量の0.1〜50倍が好ましく、特に0.5〜30倍が好ましい。
【0204】
水洗処理における水洗槽は1〜5槽であることが好ましく、1〜3槽がより好ましい。
【0205】
感光材料の現像処理装置としては、公知の如何なる方式の装置を用いてもよい。具体的には、処理槽に配置されたローラーに感光材料を挟んで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給すると共に感光材料を搬送する方式や、処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。
【0206】
本発明においては、これらの発色現像〜乾燥工程で多量の感光材料を処理ランニングし、処理液への感光材料からの成分溶出や処理槽間のコンタミネーションや処理液の蒸発が飽和、一定化した後に処理した場合に、特に効果が発揮される。
【0207】
これら露光〜乾燥処理のプロセスは、例えば大型ラボ用のカラー自動現像機により処理される。好ましい機器の具体例としては、例えばノーリツPRV2−406、PRV2−212、PRV2−416が挙げられる。又、ミニラボシステムにより処理されてもよく、好ましい機器としては例えばコニカナイスプリントシステムNPS−602QA、ノーリツQSS−1401、フジFA−120等が挙げられる。
【0208】
又、環境適性上、ACR−40による廃液リサイクルが可能な、コニカナイスプリントシステムFriendySQA−Zシステムにより処理されてもよい。
【0209】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。
【0210】
実施例1
カナディアンスタンダードフリーネス(JIS P−8121−76)が250ccになるまで叩解した針葉樹亜硫酸法晒パルプ(NBSP)20%と、上記フリーネス280ccまで叩解した広葉樹亜硫酸法晒パルプ(LBSP)80%とを混合し、濃度1%のパルプスラリーを調製した。
【0211】
このパルプスラリー中に、カチオン化澱粉、アルキルケテンダイマー樹脂、アニオン性ポリアクリルアミド樹脂及びポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を添加した。十分に分散した後、これに水酸化マグネシウムを抄紙後の最終含有量が固形分全量に対し5重量%になるように添加した。
【0212】
上記原料のスラリーから抄紙し、米秤量170g/m2の紙基体を製造した。
【0213】
紙基体の表裏両面にコロナ放電処理を施した後、裏面に高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを樹脂温度330℃で押出塗布し、30μm厚の裏面樹脂被覆層を形成した。
【0214】
この反射支持体に、表1及び表2に示す構成の各層を塗設し、多層カラー感光材料No.1〜No37を作製した。塗布液は下記の如く調製した。
【0215】
第1層塗布液
イエローカプラー(表3に記載)0.04モル、ステイン防止剤(HQ−4)0.67g及び高沸点有機溶媒(DNP)6.67gに酢酸エチル60ccを加え溶解し、この溶液を20%界面活性剤(SU−1)7ccを含有する10%ゼラチン水溶液220ccに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製した。この分散液を下記条件にて作製した青感性ハロゲン化銀乳剤と混合し第1層塗布液を調製した。
【0216】
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に調製した。
【0217】
又、硬膜剤として第2層及び第4層に(H−1)を、第7層に(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。
【0218】
【表1】
【0219】
【表2】
【0220】
【化18】
【0221】
【化19】
【0222】
【化20】
【0223】
【化21】
【0224】
【化22】
【0225】
【化23】
【0226】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオ
ロペンチル)・ナトリウム塩
DBP :ジブチルフタレート
DNP :ジノニルフタレート
DOP :ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
PVP :ポリビニルピロリドン
H−1 :テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ30分かけて同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ180分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0227】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200cc
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200cc
(C液)
K2IrCl6 2×10−8モル/モルAg
塩化ナトリウム 102.7g
K4Fe(CN)6 1×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600cc
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600cc
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.85μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−1を得た。
【0228】
上記EMP−1に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を得た。
【0229】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤 STAB−3 8×10−4モル/モルAgX
増感色素 BS−1 4×10−4モル/モルAgX
増感色素 BS−2 1×10−4モル/モルAgX
(緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.43μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−2を得た。
【0230】
上記EMP−2に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を得た。
【0231】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤 STAB−1 6×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 GS−1 4×10−4モル/モルAgX
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−3を得た。
【0232】
上記EMP−3に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を得た。
【0233】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤 STAB−1 6×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 RS−1 1×10−4モル/モルAgX
強色増感剤 RSS−1 3×10−3モル/モルAgX
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
【0234】
【化24】
【0235】
各試料を常法通り白色光楔露光した後、下記現像処理工程に従って処理した。
尚、補充量は感材1m2処理するごとに補充する量を示す。
【0236】
処理工程 処理温度 時間 補充量
発色現像 38.0±0.3℃ 45秒 80cc
漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 120cc
安 定 化 30〜34℃ 60秒 150cc
乾 燥 60〜80℃ 30秒
現像処理液の組成を下記に示す。
【0237】
発色現像液タンク液及び補充液 タンク液 補充液
純水 800cc 800cc
トリエチレンジアミン 2g 3g
ジエチレングリコール 10g 10g
臭化カリウム 0.01g −
塩化カリウム 3.5g −
亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g
N−エチル−N−(βメタンスルホンアミドエチル)
−3−メチル−4−アミノアニリン硫酸塩 6.0g 10.0g
N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 6.8g 6.0g
トリエタノールアミン 10.0g 10.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体)
2.0g 2.5g
炭酸カリウム 30g 30g
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.10に、補充液はpH=10.60に調整する。
【0238】
漂白定着液タンク液及び補充液
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100cc
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5cc
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=6.5に調整する。
【0239】
安定化液タンク液及び補充液
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整する。
【0240】
得られた発色試料の感度、カブリ、最高濃度を以下の様に測定した。結果を表3に示す。
【0241】
〈感度〉
カブリ+0.5の青色光濃度を与えるのに必要な露光量の逆数より求め、試料No.1を100とする相対値で示した
〈カブリ〉
各試料の青色光による最低反射濃度(Dmin)をPDA−65濃度計(コニカ株式会社製)を用いて測定しカブリの値とした。
【0242】
〈最高濃度〉
各試料の青色光による最高濃度(Dmax)をPDA−65濃度計(コニカ株式会社製)を用いて測定した。
【0243】
また、得られた各試料についてウェッジ露光した後、前記処理工程中の発色現像処理時間を30秒とした以外は同様の工程により処理し、青色光による最高濃度(Dmax′)を測定することにより各試料の迅速処理性を評価した。結果を併せて表3に示す。
【0244】
【化25】
【0245】
【表3】
【0246】
表3からも明らかなように比較カプラーYY−1を使用した試料No.1は、感度及び最高濃度が不十分であり、また迅速処理時の最高濃度(Dmax′)すなわち迅速処理性も不十分である。一方、比較カプラーYY−2を使用した試料No.2及び比較カプラーYY−3を使用した試料No.3は、感度及び最高濃度は良好であるが、カブリ及び迅速処理性が不十分である。これに対し、本発明のカプラーを使用した試料No.4〜試料No.33は、何れも感度、最高濃度及び迅速処理性が良好であり、しかもカブリも少ない。
【0247】
【発明の効果】
本発明によるハロゲン化銀カラー写真感光材料は、発色性に優れ、カブリが少なく、しかも迅速処理性にも優れた効果を有する。
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